JP3680674B2 - 被削性と靱性に優れた機械構造用鋼材及び機械構造部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は被削性と靱性に優れた機械構造用鋼材及び機械構造部品に関する。より詳しくは、JIS S 2202に規定の3号シャルピー衝撃試験片(2mmUノッチシャルピー試験片)を用いた衝撃試験における室温での吸収エネルギー(UERT)が40J以上の靱性を有するとともに、被削性、なかでもドリル穿孔時の「ドリル寿命」と「切り屑処理性」に極めて優れたHv硬さが160〜350の機械構造用鋼材及び機械構造部品に関する。
【従来の技術】
【0003】
各種の機械構造部品は、熱間鍛造などの熱間加工で所定の形状に粗加工され、次いで、切削加工によって所望形状に仕上げられてそのままで、つまり非調質のままで使用されたり、切削加工の後に更に熱処理(例えば、焼ならし、焼ならし−焼戻し、焼入れ−焼戻し)されて使用されるか、熱間加工の後に熱処理を施され、次いで、切削加工によって所望形状に仕上げられて使用される。なお、一部の部品のように、最終処理としての表面硬化処理(浸炭焼入れ、窒化、高周波焼入れなど)を施されてから使用される場合もある。
【0004】
被削性に優れた鋼、すなわち快削鋼は快削性付与元素(快削元素)によって、S(硫黄)系、Pb(鉛)系、S−Pb系、Ca系、S−Pb−Ca系、Ti系、黒鉛系などに分類される。これらの快削鋼のうち、最終製品に硬さが要求される機械構造用の快削鋼としては、S快削鋼やPb快削鋼及びそれらの複合快削鋼が用いられることが多い。これは、硬さが上がると被削性が劣化するので、Pb、S、Caなどの快削性付与元素を多量に添加して被削性を改善するためである。しかし、上記のPb、S、Caなどの多量添加は、必然的に靱性の低下を招いてしまう。このため、近年、機械構造部品が高硬度化するにともなって、機械構造用の快削鋼として従来多用されてきた前記の快削鋼では所望の高い靱性を確保し難いという問題が生じている。例えば、Hv硬さで160以上を必要とするような高硬度機械構造部品の場合、前記の快削鋼が被削性を高めるために大量のSを含有していたり、切り屑処理性を高めるために多くのPbを含有しているので、靱性の異方性が大きくなり、しかも靱性そのものが著しく低下してしまう。
【0005】
このため、例えば、WO98/23784号の国際公開公報に、Tiを0.04〜1.0質量%含んでTi炭硫化物を微細に分散させた、被削性に優れるとともに良好な硬さと靱性のバランスを有する機械構造用の快削鋼材が開示されている。しかし、産業界における被削性向上に対する要望はますます大きなものとなっており、最近では自動化された生産ラインで更なる切削時間短縮のために切削速度を一層上昇させることも試みられている。このため、前記公報で提案された鋼材の被削性を凌ぐとともに、良好な靱性を有する機械構造用鋼材が求められている。
【0006】
被削性を向上させる新しい技術として、Si含有量を高めた「プラスチック成形金型用鋼」が特開平9−49067号公報に開示されている。しかし、この公報で提案された「プラスチック成形金型用鋼」をそのまま機械構造部品の素材鋼として用いても、近年において機械構造部品に要求されているような良好な硬度と靱性のバランスを必ずしも安定して確保できるわけではない。加えて、機械構造部品のうちでもコンロッドや歯車といった自動車用部品のように自動化された生産ラインで大量生産される部品の切削時に要求される安定した切り屑処理性が得られるわけではない。これは、金型の切削加工が1品毎に解放された状態で行われるため、前記公報で提案された「プラスチック成形金型用鋼」の場合には、被削性としての切り屑処理性は問題にならず、したがって、切り屑処理性に対する配慮がなされていないためである。更に、金型には通常「靱性」は必要とされないし、金型のなかでも特に「プラスチック成型用金型」の場合は、被加工材が軟質なプラスチックであるため、「板金金型」や「鍛造金型」のような鋼材を被加工材とする金型とは異なって、硬さも必要とされない。むしろ、硬さを下げて軟質化させることで被削性を高め、切削加工時間を短縮することが行われている。つまり、前記公報で提案された「プラスチック成形金型用鋼」の場合には、良好な硬さと靱性のバランスを確保するための配慮が十分にはなされていないのである。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みなされたもので、その目的は、JIS S 2202に規定の3号シャルピー衝撃試験片を用いた衝撃試験における室温での吸収エネルギー(UERT)が40J以上の靱性を有するとともに、被削性、なかでも通常のCoを含有する高速度鋼製のドリル(所謂「ハイスドリル」)を用いて(穴深さ)/(穴直径)が5以上の所謂「深穴」をあけた場合の「ドリル寿命」と「切り屑処理性」に極めて優れたHv硬さが160〜350の熱間加工ままで用いる非調質機械構造用鋼材及び機械構造部品を提供することである。なお、本発明の目標とする「ドリル寿命」としての穿孔個数は150以上である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、下記(1)に示す被削性と靱性に優れた熱間加工ままで用いる非調質機械構造用鋼材及び(2)に示す機械構造部品にある。
【0009】
(1)質量%で、C:0.05〜0.55%、Si:0.87〜2.5%、Mn:0.01〜2.00%、S:0.005〜0.080%、Cr:0〜2.0%、P:0.035%以下、V:0〜0.50%、N:0.0100%以下、Al:0.04%以下、Mo:0〜1.5%、Bi:0〜0.10%、Ca:0〜0.05%、Pb:0〜0.12%、Zr:0〜0.04%未満、Te:0〜0.05%、Nb:0〜0.1%、Cu:0〜1.5%、Se:0〜0.5%を含有し、下記(1)式で表されるfn1の値が100以下、下記(2)式で表されるfn2の値が0以上、下記(3)式で表されるfn3の値が3.0以上を満たし、残部がFe及び不純物からなる化学組成で、面積割合で組織に占めるフェライト相の割合が10〜80%、Hv硬さが160〜350であることを特徴とする、被削性と靱性に優れた熱間加工ままで用いる非調質機械構造用鋼材。
fn1=100C+11Si+18Mn+32Cr+45Mo+6V・・・(1)
fn2=−23C+Si(5−2Si)−4Mn+104S−3Cr−9V+10・・・(2)
fn3=3.2C+0.8Mn+5.2S+0.5Cr−120N+2.6Pb+4.1Bi−0.001α2 +0.13α・・・(3)
ここで、各式における元素記号はその元素の質量%での含有量を示し、αは組織におけるフェライト相の%での面積割合を示す。
【0010】
(2)上記(1)に記載の機械構造用鋼材を素材とし、切削による加工を受けたことを特徴とする機械構造部品。
【0011】
ドリル穿孔条件は前記のとおり、通常のCoを含有するハイスドリルを用いて(穴深さ)/(穴直径)が5以上の所謂「深穴」をあけるものである。なお前記の「穴」はドリル加工方向に貫通しない所謂「盲穴」であってもよいし、貫通した「孔」であってもよい。
【0012】
なお、穴を1つドリル穿孔した際、穿孔開始直後にドリル先端から排出される切り屑を除いた他の切り屑の切断状況は種々の形態をとる。前記(3)式で表されるfn3は「切り屑処理性」としての「切り屑切断指数」を示すもので、その値と前記の切り屑の切断状況の間の関係は図1に示すとおりである。なお、このfn3の値が0以下になる場合にはすべて「0」と定義する。
【0013】
組織の面積割合は顕微鏡観察したときの組織割合をいう。
【0014】
更に、本発明における鋼材の「加工長手方向縦断面」(以下「L断面」という)とは、鋼材の加工方向に平行に、その中心線を通って切断した面のことをいう。又、介在物の「最大直径」とは「L断面における個々の介在物の最も幅の広い部分」のことを指す。
【0015】
本発明者らは、鋼材の化学組成と組織が被削性及び機械的性質としての硬さと靱性に及ぼす影響について調査・研究を重ねた。その結果、下記の知見を得た。
【0016】
(a)鋼材の組織中に占めるフェライト相の面積割合(以下、「フェライト相」を単に「フェライト」という。又、「面積割合」は単に「割合」ということもある)を制御すれば、被削性としてのドリル加工性、なかでも切り屑処理性を大きく高めることができる。
【0017】
(b)前記(1)式で表されるfn1の値を100以下にすれば、Hv硬さで160〜350の高硬度機械構造部品に対して、JIS S 2202に規定の3号シャルピー衝撃試験片を用いた衝撃試験における室温での吸収エネルギー(UERT)が40J以上の良好な靱性を具備させることができる。
【0018】
(c)前記(2)式で表されるfn2の値を0以上にすれば、通常のCoを含有するハイスドリルを用いて上記の高硬度機械構造部品に(穴深さ)/(穴直径)が5以上の所謂「深穴」をあける場合、「ドリル寿命」としての穿孔個数を150以上にすることができる。
【0019】
(d)被削性としての「切り屑処理性」を高めることは、特にドリル穿孔の場合にドリルの寿命安定化や高寿命化が図れるとともに、切り屑の後処理を不要にして作業工程を自動化するために重要不可欠であるが、従来のように多量のSを含有させなくとも「切り屑処理性」を高めることができる。
【0020】
(e)組織中に占めるフェライトの割合を適正に制御することに加えて、前記(3)式で表されるfn3(「切り屑切断指数」)の値を3.0以上にすれば、上記の高硬度機械構造部品に対して、前記ドリル加工(ドリル穿孔)を行う場合の切り屑処理性が改善されて切り屑の排出が容易となる。このため、ドリル寿命を安定して高めることができるし、切り屑の後処理が不要になるので作業工程を自動化することができる。
【0021】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【発明の実施の形態】
【0022】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼材の化学組成
C:0.05〜0.55%
Cは、鋼の硬さを高めて機械構造部品に所望の高い硬さを付与するのに必須の元素である。加えてCには、被削性としての「切り屑処理性」を高める作用がある。しかし、その含有量が0.05%未満では前記効果が得難い。一方、Cの含有量が高すぎると「切り屑処理性」は飽和あるいは却って低下し、更に靱性の劣化及び旋削時の工具摩耗量の増大(つまり、旋削工具寿命の低下)をきたす。特に、その含有量が0.55%を超えると靱性の劣化が著しくなるし、被削性は前記の旋削摩耗性を含めてすべて低下する。したがって、Cの含有量を0.05〜0.55%とした。
【0023】
Si:Si:0.87〜2.5%
Siは、被削性改善に有効な元素である。前記の作用はSiを0.87%以上含有させる必要がある。一方、Si含有量が2.0%程度で被削性改善効果は飽和し、2.5%を超えると切り屑の変形様式が断続的な剪断変形へと移行して切り屑厚さが大きく変動し、却って工具寿命が損なわれる。したがって、Siの含有量をSi:0.87〜2.5%とした。なお、Siは硬さの向上には余り寄与しないものの多量に添加すると靱性を劣化させるので、機械構造用鋼材の被削性改善のためにSiを多量使用する場合、靱性保持との兼ね合いが重要となる。
【0024】
Mn:0.01〜2.00%
Mnは、鋼中のSを固定して熱間加工性を高める作用を有する。しかし、その含有量が0.01%未満では前記の効果が得られない。一方、Mnには硬さを高める作用があり、靱性改善の作用もあるが、快削性を有する機械構造部品に対しては靱性、被削性を低下させてしまう。このため、機械構造用鋼材の場合には、靱性を高めるとともに被削性を改善する(工具寿命を長くし、切り屑処理性を容易にする)ためにMn含有量は低くすることが好ましい。更に、Mn含有量を低くすると、主にMnSを減少させることになって介在物の微細分散化が行えるので、最終処理として表面硬化処理が施される場合の割れを防止することもできる。したがって、Mnの含有量を0.01〜2.00%とした。
【0025】
なお、Mnの含有量は機械構造部品に所望の硬さを付与できる限りなるべく低くする方がよく、その上限は1.0%とすることが好ましい。機械構造部品に対して靱性と被削性がともに高いレベルで要求される場合にはMn含有量の上限は0.5%とすることが一層望ましい。なお、Mn含有量の上限を0.3%とすれば、靱性、なかでも低温域における靱性を高めることができ、しかも、被削性の向上とMnS系介在物が減少して最大直径が3μmを超える介在物が減少するので、介在物の微細分散化に対しても一層の効果が得られる。
【0026】
S:0.005〜0.080%
Sは、鋼中でMnSを形成して被削性を改善する作用、なかでも旋削における工具寿命を改善する作用を有する。しかし、その含有量が0.005%未満では前記の効果が得難い。一方、Sを多量に添加すると、L断面において、最大直径が3μmを超えるMnSが多くなるので靱性の異方性が顕著になり、更に、靱性そのものが劣化する場合がある。特に、Sの含有量が0.080%を超えると靱性の劣化が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.005〜0.080とした。
【0027】
靱性に顕著な異方性を生じさせることなく高硬度鋼材の被削性を高めるためには、L断面におけるMnSの最大直径を小さくし、しかも被削性を高めることができる手段が必要となる。このため、本発明においては、合金元素の組み合わせやフェライトの割合を適正に制御する。なお、靱性の確保が重視される場合のS含有量の上限は0.035%とすることが望ましい。この場合には、合金元素の組み合わせやフェライトの割合に対する制御を厳しくすることで、十分な被削性を確保することができる。更に、靱性の確保が極めて重視される場合のS含有量の上限は0.02%とすることが好ましい。この場合にも、例えば、Siの含有量を高めるとともにMnの含有量を低くし、更に、適正量のCrやVを含有させることによって十分な被削性を確保することが可能である。
【0028】
Cr:0〜2.0%
Crは添加しなくてもよい。添加すれば、硬さを高める作用がある。更に、被削性としての「切り屑処理性」を高める作用や微細な介在物(CrS)を鋼材中にもたらす作用も有する。こうした効果を確実に得るにはCrは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。Crの含有量は0.5%以上とすることが一層好ましい。しかし、その含有量が2.0%を超えると組織中のフェライトの割合が大きく低下するので、「切り屑処理性」は逆に著しく低下するし、靱性も大きく劣化する。したがって、Crの含有量を0〜2.0%とした。なお、Cr含有量の上限は、C含有量が0.25%程度以下の場合には1.5%とすることが好ましい。0.55%を上限とする前記範囲のC含有量に対して、Cr含有量の上限は1.0%とすることが一層好ましい。
【0029】
P:0.035%以下
Pは靱性を低下させてしまう。特にその含有量が0.035%を超えると靱性の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.035%以下とした。
V:0〜0.50%
Vは添加しなくてもよい。添加すれば、靱性やドリル寿命を大きく低下させることなく硬さを大きく高める作用を有し、更に、旋削時の工具摩耗を抑制する効果がある。こうした効果を確実に得るにはVは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.50%を超えると、未固溶のV炭窒化物が生成して硬さの向上に寄与しないばかりか、靱性、被削性の低下を招く。したがって、Vの含有量を0〜0.50%とした。
【0030】
N:0.0100%以下
Nはその含有量を制限することが極めて重要である。すなわち、Nは「切り屑処理性」を劣化させてしまい、特に、その含有量が0.0100%を超えると、「切り屑処理性」の低下が極めて著しくなる。このため、他の「切り屑処理性」改善元素を添加しても「切り屑処理性」が改善できない。したがって、Nの含有量を0.0100%以下とした。なお、従来Nは非調質鋼の硬さ上昇のために添加されていたが、既に述べたC、Si、Mn、Cr及びVなどの含有量を適正に制御することで、Nを意図的に添加しなくても所望の硬さが得られるため、N含有量はできるだけ低く抑えることが望ましく、0.0100%以下にする必要がある。硬さがHv280以下になって、切り屑処理性が劣化し易い場合には、特にNの含有量を0.0060%以下にすることが好ましい。
【0031】
Al:0.04%以下
Alは鋼の脱酸に有効な元素であるが、本発明においては既に述べた量のSiを含有させるので、Siで脱酸することができる。したがって、Alで脱酸処理することは特に必要でないため、Alは添加しなくても良い。なお、Alの含有量が0.04%を超えると工具と切り屑との凝着が著しくなるので、ドリル加工や旋削で工具寿命の低下が生じる。したがって、Alの含有量を0.04%以下とした。良好な靱性を確保するためには鋼中のO(酸素)含有量を0.015%以下に制御することが望ましいため、C含有量が0.15%程度以下の低炭素鋼の場合や、Mn、Crなど合金元素の添加量が多い鋼の場合、つまり、fn1の値の制限条件からSi含有量が低く前記したSiだけでは脱酸が十分に行えない場合には、Alは0.010%以上の含有量とすることが好ましい。
【0032】
Mo:0〜1.5%
Moも添加しなくてもよい。添加すれば、硬さと靱性を高める作用がある。この効果を確実に得るにはMoは0.1%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が1.5%を超えると前記の効果が飽和しコストが嵩んで経済性に欠ける。したがって、Moの含有量を0〜1.5%とした。
【0033】
Bi:0〜0.10%
Biは添加しなくてもよい。添加すれば、被削性を一段と高める作用がある。この効果を確実に得るにはBiは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.10%を超えると靱性及び熱間加工性の低下をきたす。したがって、Biの含有量を0〜0.10%とした。
【0034】
Ca:0〜0.05%
Caは添加しなくてもよい。添加すれば、主にMnSを球状化するので、例えば熱間鍛造による成形後の機械構造部品が非破壊検査で不良品とされることを防止できるし、最終処理として表面硬化処理が施される場合の割れを防止することもできる。この効果を確実に得るにはCaは0.001%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.05%を超えると熱間加工性の著しい低下をきたす。したがって、Caの含有量を0〜0.05%とした。
【0035】
Pb:0〜0.12%
Pbも添加しなくてもよい。添加すれば、被削性を一段と高める作用がある。この効果を確実に得るにはPbは0.02%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.12%を超えると靱性及び熱間加工性の低下をきたす。したがって、Pbの含有量を0〜0.12%とした。
【0036】
Zr:0〜0.04%未満
Zrは添加しなくてもよい。添加すれば、Zrの硫化物を形成してMnSの生成を抑制するので、介在物の微細分散化が行える。更に、Zrの炭化物が析出するので硬さを高めることもできる。こうした効果を確実に得るにはZrは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Zrを多く含有させると成分系によっては靱性が低下する場合があり、特に、その含有量が0.04%以上になると靱性が著しく低下する場合がある。したがって、Zrの含有量を0〜0.04%未満とした。
【0037】
Te:0〜0.05%
Teも添加しなくてもよい。添加すれば、主にMnSを球状化するので、例えば熱間鍛造による成形後の機械構造部品が非破壊検査で不良品とされることを防止できるし、最終処理として表面硬化処理が施される場合の割れを防止することもできる。この効果を確実に得るにはTeは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.05%を超えると熱間加工性の著しい低下をきたす。したがって、Teの含有量を0〜0.05%とした。
【0038】
Nb:0〜0.1%
Nbは添加しなくてもよい。添加すれば、結晶粒を微細にして靱性を高める作用がある。この効果を確実に得るにはNbは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.1%を超えると粗大なNb炭窒化物が未固溶で残留し、却って靱性が低下する。したがって、Nbの含有量を0〜0.1%とした。
【0039】
Cu:0〜1.5%
Cuは添加しなくてもよい。添加すれば、硬さの向上に効果があり、しかも靱性劣化が殆ど生じない。更に、鋼中で低融点の硫化物を形成して被削性を改善する作用も有する。こうした効果を確実に得るにはCuは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が1.5%を超えると熱間加工性の著しい低下を招く。したがって、Cuの含有量を0〜1.5%とした。
【0040】
Se:0〜0.5%
Seは添加しなくてもよい。添加すれば、被削性を一段と高める作用を有する。この効果を確実に得るにはSeは0.05%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.5%を超えると靱性と熱間加工性の著しい低下を招く。したがって、Seの含有量を0〜0.5%とした。
【0041】
本発明においては、O(酸素)の含有量は特に規定しなくてもよい。しかし、良好な靱性を確保するためにその含有量は0.015%以下とすることが好ましい。
【0042】
なお、従来の快削鋼には所謂「脱酸調整鋼」として実用化されているものがある。この「脱酸調整鋼」はSiやAlの含有量を規制して十分な脱酸を実施せず、Caなどの元素を添加してSi、Al、Caなどの複合酸化物を形成させ、且つ、これらの複合酸化物の組成比を適正に制御することで酸化物の融点を低下させ、被削性を改善するものである。
【0043】
これに対して、本発明に係る機械構造用鋼材及び機械構造部品においては、被削性改善のために上記の低融点酸化物を利用する必要はない。前記各元素の含有量及び次に詳しく述べる前記(2)式と(3)式で表されるfn2とfn3の値を適正な範囲に制御し、更に、次項(B)で述べる組織中に占めるフェライトの割合を適正な範囲に制御することで、Hv硬さ160〜350という高硬度であっても、十分な被削性が確保できるのである。したがって、たとえ本発明に係る機械構造用鋼材及び機械構造部品における酸化物が、前記した「脱酸調整鋼」の場合の組成比にあったとしても、被削性の改善はその酸化物に基づくものではない。
【0044】
fn1:100以下
各元素の含有量を既に述べた範囲に制御しても、前記(1)式で表されるfn1の値が100を超えると、JIS S 2202に規定の3号シャルピー衝撃試験片を用いた衝撃試験で、40J以上の室温吸収エネルギー(UERT)が得られず、高硬度機械構造部品に良好な靱性を付与できない。したがって、fn1の値を100以下とした。このfn1の下限の値は、本発明の鋼材が前記の硬さ範囲(Hv:160〜350)及び下記の被削性に関するfn2、fn3の規定も満たす必要があることから決定される。なお、機械構造部品が寒冷地で使用される場合には、JIS S 2202に規定の3号シャルピー衝撃試験片を用いた−50℃における衝撃試験で20J以上の吸収エネルギー(UE−50)が要求されることがある。この場合には、下記(5)式で表されるfn5の値を100以下にすればよい。
【0045】
fn5=87C+7Si+10Mn+41Cr+15Mo+50V・・・(5)
なお、上記(5)式における元素記号はその元素の質量%での含有量を示す。
【0046】
fn2:0以上
機械構造用鋼材の場合には、被削性のなかでも特にドリル加工性(ドリル穿孔性)を高めることが重要である。すなわち、機械構造部品にはドリル加工によって油穴で代表されるように、最大直径に対して深さが大きい所謂「深穴」があけられる。この「深穴」を加工する場合のドリル材質としては、耐摩耗性に優れた超硬合金を使用することが困難なため、Coを含有し靱性と耐摩耗性に優れた高速度鋼(ハイス)が専ら使用されている。このため、ドリル加工性としてのドリル寿命については、ドリル材質の改良による向上は大きくは望めず、被加工材である機械構造用鋼材に依存するところが大きい。
【0047】
機械構造用鋼材のドリル加工性としては、「ドリル寿命」としての穿孔個数と「切り屑処理性」の2つを高める必要があり、このうち「ドリル寿命」は被加工鋼材の硬さと化学組成に依存する。すなわち、被加工鋼材の硬さが高くなると「ドリル寿命」は低下するものの、それは被加工鋼材の化学組成に大きく依存し、前記(2)式で表されるfn2の値が0以上の場合、機械構造部品に通常のCoを含有するハイスドリルを用いて所謂「深穴」((穴深さ)/(穴直径)が5以上の穴)を加工すると、「ドリル寿命」として150以上の大きな穿孔個数が得られる。したがって、fn2の値を0以上とした。このfn2の上限の値は、本発明の鋼材が前記の硬さ範囲(Hv:160〜350)で、靱性に関するfn1及び下記の被削性に関するfn3の規定も満たす必要があることから決定される。
【0048】
fn3:3.0以上
次項(B)で述べる組織中に占めるフェライトの面積割合を適正に制御することに加えて、前記(3)式で表されるfn3(「切り屑切断指数」)の値を3.0以上にした場合に初めて切り屑処理性が改善され、深穴加工において、切り屑の排出が容易となる(図1参照)。このため、ドリル寿命を安定して高めることができるし、切り屑の後処理が不要になるので作業工程を自動化することができる。なお、「切り屑切断指数」であるfn3の値が3.0未満の場合には切り屑切断性が著しく低下するので、図1に示すように長く伸びた切り屑が発生する。このため、切り屑の後処理が必要となって、作業工程の自動化は困難である。更に、ドリル寿命も低下してしまう。したがって、fn3の値を3,0以上とした。
【0049】
合金元素の含有量とフェライトの面積割合で規定される「切り屑切断指数」fn3は、硬さ、靱性及びドリル寿命と関連を有する。つまり、硬さが高くなると切り屑切断性は良好になるが、靱性とドリル寿命は低下する。一方、硬さが低すぎると、靱性は高くなるものの、延性が向上するため切り屑処理性が劣化する。したがって、このfn3の上限の値は、本発明の鋼材が前記の硬さ範囲(Hv:160〜350)で、靱性に関するfn1、被削性に関するfn2及びフェライトの割合の各規定も満たす必要があることから決定される。なお、実質的には8.0程度が上限の値となる。
【0050】
(B)鋼材の組織
上記の化学組成を有する機械構造用鋼材の被削性、なかでもドリル穿孔時の「切り屑処理性」を高めるためには、組織に占めるフェライトの割合を面積割合で10〜80%とする必要がある。フェライトは軟質相であるため、ドリル加工(ドリル穿孔)の際に優先的に変形し、切り屑切断の起点となって「切り屑処理性」が高まるのである。しかし、フェライトの割合が10%未満では、上記の効果が得られず切り屑処理性が低下する。更に、「切り屑処理性」としての「切り屑切断指数」fn3の値が3.0を下回ってしまう場合もある。一方、フェライトの割合が80%を超えると、次項(C)で述べるHv硬さで160以上の高硬度が確保し難くなるし、軟質の組織が過剰となって却って「切り屑処理性」が低下してしまう。したがって、組織に占めるフェライトの割合を10〜80%とした。
【0051】
ここで、既に述べたように組織の割合(つまり、面積割合)は顕微鏡観察したときの組織割合のことを指す。
【0052】
組織におけるフェライト以外の残りの部分は、パーライトである。なお、所定の組織は非調質処理、つまり最終の熱間加工後に冷却したままで得られる。この「非調質処理」の場合には、熱処理を行う必要がないためコスト面で有利であるし、工程が簡素化できるために納期の面でも有利である。
【0053】
(C)Hv硬さ
硬さがHv硬さで160未満の機械構造部品は、使用時に変形したり、大きな摩耗を生じたり、疲労破壊を起こしたりするので、たとえ靱性や被削性に優れていても利用し難い。一方、硬さがHv硬さで350を超えると、所望の良好な靱性と被削性を確保することが困難となる。特に、「非調質処理」の場合には靱性が確保できなくなると同時に、組織に占めるフェライトの割合を10〜80%として被削性を確保することが極めて困難になる。したがって、Hv硬さを160〜350とした。
【0054】
介在物形態を制御して被削性を改善する従来型の快削鋼は所謂「脱酸調整鋼」として実用化されている。この「脱酸調整鋼」の場合には、セミキルド型の鋼を基本の組成として、SiO2、MnO、Al2O3、CaO、TiO2など酸化物の組成比を適正に制御することで初めて被削性を高めることが可能となる。これに対して、本発明に係る機械構造用鋼材の場合には、酸化物を初めとする介在物の組成範囲には関係なく、つまり、介在物の組成範囲がいかなるものであろうと、既に述べた(A)項の化学組成規定と(B)項の組織規定を満たせば、(C)項の硬さ範囲(Hv:160〜350)で、良好な靱性と被削性が得られるものである。
【0055】
本発明に係る機械構造部品は、既に述べた本発明に係る機械構造用鋼材を熱間鍛造などの熱間加工で所定の形状に粗加工し、次いで、所望形状に切削加工して製造される。
【0056】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
表1〜4に示す化学組成の鋼を150kgの真空溶解炉又は70トン転炉を用いて溶製した。70トン転炉を用いて溶製したのは鋼B8で、転炉で溶製後連続鋳造した。他の鋼はすべて150kg真空溶解炉で溶製したものである。なお、表1〜4には、それぞれ(1)式、(2)式及び(5)式で表されるfn1、fn2及びfn5の値も併せて示した。なお、O(酸素)の含有量は、鋼B11が0.0195%と0.015%を上回っていたが、他の鋼はすべて0.015%以下であった。
【0058】
表1、表2における鋼A1、A2、A5〜A7、A10、B1、B2、B6〜B8、B10〜B12、B14〜B16及びB18は化学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼である。一方、表3、表4における鋼C1〜C4、C7〜C11、C13、C14、D1〜D3、D7、D8及びE1〜E3は本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。比較例の鋼のうち、鋼C1〜C4、C7〜C11、C13、C14、D1〜D3、D7及びD8は各元素のいずれかの含有量が本発明で規定する範囲から外れる鋼である。このうち、鋼C2〜C4、C7〜C10、C13、C14、D1〜D3及びD8は、更に、fn1とfn2の少なくとも一方が本発明で規定する条件から外れた鋼である。鋼E1〜E3はそれぞれ従来型のPb−S−Ca快削鋼、Pb−S快削鋼、S快削鋼に相当する鋼である。
【0059】
鋼B1、B2、B6〜B8、B10〜B12、B14〜B16及びB18、C2、C7、D1及びD2は、Crの硫化物を優先的に生成させるために、先ずSiで脱酸した後Crを添加し、次にAlを添加し、最後にMnを添加してfn4の値が5.0以上になるようにした。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
次いで、これらの鋼の鋼塊を1250℃に加熱してから1000℃以上で仕上げる熱間加工(熱間鍛造)を行い、直径60mmの丸棒を作製した。なお、熱間鍛造後は空冷して非調質鋼材の製造プロセスを模擬した。
【0064】
こうして得られた丸棒の表面から15mmの位置(丸棒の半径の1/2の位置、以下、R/2部位置という)から、熱間鍛造方向に平行にJIS Z 2201に規定の14A号引張試験片(平行部の直径:8mm)とJIS S 2202に規定の3号シャルピー衝撃試験片(2mmUノッチシャルピー試験片)を採取し、室温での引張特性と靱性(吸収エネルギー)及び−50℃での靱性(吸収エネルギー)を調査した。
【0065】
直径60mmの丸棒から20mm長さの硬さ試験片を切り出し、断面にてR/2部位置のHv硬さ測定も行った。なお、6ヶ所測定した平均の値をHv硬さとした。
【0066】
更に、丸棒のR/2部位置を中心にして、熱間鍛造方向に平行に採取した試験片のL断面を鏡面研磨した被検面をナイタルで腐食して倍率が400倍の光学顕微鏡で観察してR/2部位置の組織観察を行い、フェライトの割合(面積率)測定と組織の判定を行った。
【0067】
ドリル穿孔試験及び旋削試験による被削性の調査も行った。
ドリル穿孔試験は、直径60mmの丸棒の直径方向に深さ50mmの穴をあけ、刃先磨損により穿孔不能となった時の直前の穴の数をドリル寿命とした。穿孔は、ドリル直径が6.0mm、全長が225mmで先端角が118度のCoを6%含有するハイスドリルを使用し、エマルジョン(水溶性潤滑剤)で潤滑しながら、回転速度980rpm、送り量0.15mm/rev.の条件で行った。
【0068】
旋削試験は、超硬合金のチップにチップブレーカーを施したものをベースに、Ti(C、N)−アルミナ−TiNのコーテイングを施したものを用いて、無潤滑、切削速度160m/分、送り量0.25mm/rev.、切り込み3mmの条件で行った。なお、30分切削した後のチップの逃げ面の摩耗量で被削性を評価した。
なお、鋼C10及び鋼C11は熱間鍛造で割れを生じたので、これらの鋼に対しては上記のR/2部位置の組織観察を行い、フェライトの割合(面積率)測定と組織の判定だけを行った。
【0069】
表5〜8に、上記の各種試験結果を示す。この表5〜8の熱処理欄における「−」は非調質処理であることを示す。又、組織欄における「F」はフェライト、「P」はパーライト、「B」はベイナイト、「M」はマルテンサイトを示す。「α」が組織におけるフェライトの面積割合を指すことは既に述べたとおりである。
【0070】
なお、鋼C10及び鋼C11の各々の組織は、相が「B+M」と「F+M」であり、フェライト割合(α)が0%と21%であった。したがって、前記条件で直径60mmの丸棒を作製した際のfn3の値は、鋼C10の場合が3.2、鋼C11の場合が4.9であった。
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
表5、表6に示したように、鋼の化学組成が本発明で規定する範囲内にあり、更に、fn3の値及び組織に占めるフェライトの割合も本発明の条件を満足する本発明例の試験番号1、2、5〜7、10〜12、16〜18、20〜22及び24〜26の場合、Hv硬さが188〜325の高強度であるにも拘わらず、ドリル寿命、靱性に優れ、「切り屑処理性」も良好であった。上記の各試験番号の場合には、旋削摩耗量も200μm未満と良好で、fn5の値が100を上回る鋼B14を供試鋼とした試験番号24を除いて、UE−50も20J以上で低温での靱性にも優れていた。
【0075】
一方、表7、表8に示した比較例のうち試験番号28の場合、供試鋼である鋼B18の化学組成は本発明で規定する範囲内にあるが(表1参照)、fn3の値が本発明で規定する条件から外れるため「切り屑処理性」は劣るものであった。
【0076】
試験番号29〜32、35〜37、39〜43、47及び48の場合は、供試鋼における各元素のいずれかの含有量、fn1〜fn3の値、組織に占めるフェライトの割合の少なくとも1つが本発明の条件から外れるため、Hv硬さで138と硬さが低かったり、ドリル寿命が短かかったり、靱性、「切り屑処理性」や旋削摩耗性に劣っていた。
【0077】
従来型のPb−S−Ca快削鋼、Pb−S快削鋼、S快削鋼に相当する鋼E1〜E3をそれぞれ供試鋼とする試験番号49〜51の場合は、靱性が低いものであった。更に、試験番号51の場合は鋼E3のfn2の値が本発明で規定する条件から外れるためドリル寿命も短いものであった。試験番号50と51の場合は、旋削摩耗量も200μmを超えた。
【0078】
なお、鋼C10及び鋼C11が熱間鍛造で割れを生じたため、組織観察によるフェライトの割合測定と組織の判定だけを行い、他の試験は実施しなかったことは既に述べたとおりである。
【0079】
(実施例2)
0.15%C−1.0%Si−0.025%S−0.5%Cr−0.01%Al−0.005%N−0.02%Pを基本の化学組成とし、Mn含有量を変化させた各種の鋼を150kgの真空溶解炉を用いて溶製した。
【0080】
次いで、これらの鋼の鋼塊を1250℃に加熱してから1000℃以上で仕上げる熱間鍛造を行い、直径60mmの丸棒を作製した。なお、熱間鍛造後は空冷して非調質鋼材の製造プロセスを模擬した。
【0081】
こうして得られた直径60mmの丸棒を前記実施例1と同じ穿孔条件で、その直径方向に深さ50mmの穴をあけるドリル穿孔試験を行った。
【0082】
図2に、ドリル寿命としての穿孔個数に及ぼすMn含有量の影響を整理して示す。
図2から、Mn含有量が低いほどドリル穿孔個数が多く被削性が良好なことが明らかである。
【0083】
(実施例3)
0.43%C−0.6%Mn−0.04%S−0.5%Cr−0.01%Al−0.005%N−0.02%Pを基本の化学組成とし、Si含有量を変化させた各種の鋼を150kgの真空溶解炉を用いて溶製した。
【0084】
次いで、これらの鋼の鋼塊を1250℃に加熱してから1000℃以上で仕上げる熱間鍛造を行い、直径60mmの丸棒を作製した。なお、熱間鍛造後は空冷して非調質鋼材の製造プロセスを模擬した。
【0085】
こうして得られた直径60mmの丸棒を前記実施例1と同じ穿孔条件で、その直径方向に深さ50mmの穴をあけるドリル穿孔試験を行った。更に、前記実施例1と同じ条件で旋削試験も行った。
【0086】
図3及び図4に、それぞれドリル寿命としての穿孔個数及び旋削摩耗量に及ぼすSi含有量の影響を整理して示す。
図3、図4から、Si含有量が0.50%以上になるとドリル穿孔個数は150を超え、旋削摩耗量も200μm以下となるが、Siの含有量が2.5%を超えるとこれらの特性は急速に劣化してしまうことが明らかである。
【発明の効果】
【0087】
本発明の機械構造用鋼材は被削性、硬さと靱性に優れているので機械構造部品の素材として利用することができる。この被削性と靱性に優れた機械構造用鋼材は比較的容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】「切り屑処理性」としての「切り屑切断指数」fn3の値と切り屑の切断状況の間の関係を示す図である。
【図2】Mn含有量とドリル穿孔個数(ドリル寿命)との関係を示す図である。
【図3】Si含有量とドリル穿孔個数(ドリル寿命)との関係を示す図である。
【図4】Si含有量と旋削摩耗量との関係を示す図である。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.05〜0.55%、Si:0.87〜2.5%、Mn:0.01〜2.00%、S:0.005〜0.080%、Cr:0〜2.0%、P:0.035%以下、V:0〜0.50%、N:0.0100%以下、Al:0.04%以下、Mo:0〜1.5%、Bi:0〜0.10%、Ca:0〜0.05%、Pb:0〜0.12%、Zr:0〜0.04%未満、Te:0〜0.05%、Nb:0〜0.1%、Cu:0〜1.5%、Se:0〜0.5%を含有し、下記(1)式で表されるfn1の値が100以下、下記(2)式で表されるfn2の値が0以上、下記(3)式で表されるfn3の値が3.0以上を満たし、残部がFe及び不純物からなる化学組成で、面積割合で組織に占めるフェライト相の割合が10〜80%、Hv硬さが160〜350であることを特徴とする、被削性と靱性に優れた熱間加工ままで用いる非調質機械構造用鋼材。
fn1=100C+11Si+18Mn+32Cr+45Mo+6V・・・(1)
fn2=−23C+Si(5−2Si)−4Mn+104S−3Cr−9V+10・・・(2)
fn3=3.2C+0.8Mn+5.2S+0.5Cr−120N+2.6Pb+4.1Bi−0.001α2 +0.13α・・・(3)
ここで、各式における元素記号はその元素の質量%での含有量を示し、αは組織におけるフェライト相の%での面積割合を示す。 - 請求項1に記載の機械構造用鋼材を素材とし、切削による加工を受けたことを特徴とする機械構造部品。
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