JP3670439B2 - X線装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線装置に関し、特に、X線診断における透視および撮影時のX線条件を適正に制御する露出制御に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
診断を目的とするX線装置(X線透視撮影装置)においては、X線自動露出制御方法は古くから工夫、改良が行われている。しかしながら、被検体透過時の造影剤や骨等の影響で適正なX線条件設定が難しく、特に多用されている消化器診断においては、その改良の要求が強い。
【0003】
このX線透視撮影装置は、X線イメージインテンシファイア(以下、X線I.I.と記す)とテレビカメラとから構成されるX線検出系が用いられる。X線I.I.は、X線像を光学像に変換し、テレビカメラは光学像を検出してビデオ信号に変換する。通常、X線I.I.の出力面とテレビカメラの入力面との間には、光量を調節するための光学絞りが配置される。
【0004】
従来のX線透視撮影装置におけるX線自動露出装置は、X線I.I.の出力光を一部採光して光電子増倍管等で検出し、該検出信号に従いX線透視および撮影制御を行っていた。例えば、X線透視制御においては、光電子増倍管の検出信号の単位時間あたりの積分値が一定値となるように、X線管の管電流や管電圧あるいは光学絞りの絞り量等をフィードバック制御することで、X線透視像の明るさを常に適正値に保っていた。また、X線撮影制御においては、光電子増倍管の検出信号の積分値が一定値になった時点でX線を遮断することで、適正な明るさのX線撮影像を得ていた(フォトタイマ)。
【0005】
X線自動露出制御方法の別の例としては、特開昭57−88698号公報に記載されるX線自動露出装置がある。このX線自動露出装置では、前述した光電子増倍管の代わりに複数のフォトダイオードを用いてX線I.I.の出力光を検出し、複数のフォトダイオードの内選択された幾つかのフォトダイオードの出力に基づいて、X線透視および撮影制御を行う方法であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0007】
前述する光電子増倍管を用いるX線自動露出制御装置においては、X線I.I.の出力光を一部ハーフミラー等で採光して光電子増倍管に入力するため、テレビカメラへ入力する光量が減少してしまい、光の利用効率が悪くなるという問題があった。また、通常、光電子増倍管の採光視野は、X線I.I.の中心付近に1点のみ配置されるため、様々なX線吸収量の分布を持つX線画像に対して、画像全体が適正な明るさになるように制御をすることが困難であった。例えば、人体の肺野等のように被写体厚が薄く、X線透過量の多い部分が光電子増倍管の採光視野内に配置されると、X線自動露出制御装置はX線量を抑える方向に制御を行う。この結果、臓器等の被写体厚が厚い部分に対してはX線量が不足してしまい、適正な明るさの画像が得られないという問題があった。
【0008】
一方、特開昭57−88698号公報に記載のX線自動露出装置では、前述の例の光電子増倍管の代わりに複数のフォトダイオードを配置することで、採光視野を増やすことができた。また、各フォトダイオードの信号レベルに従って診断に必要な部位を推定し、前記部位が適正な明るさになるような制御を行うことができた。しかしながら、通常ではフォトダイオードの個数は8〜12個程度であり、個数が少ないため制御が不安定になるという問題があった。この問題は、たとえば、被検体を側面方向から撮影する場合等のように、被検体を透過したX線の減衰量が大きく、また、X線の照射視野よりも被検体幅が小さい場合には、被検体を透過したX線を計測したフォトダイオードと被検を透過することなく直接フォトダイオードに入射したX線を計測したフォトダイオードとの計測値の差が大きくなる。このため、1個以上のフォトダイオードが被検体を透過したX線と直接入射するX線との境界付近に位置した場合、被検体の僅かな動きによって、該フォトダイオードに入射するX線量が大きく変動することになり、表示画面が明暗が大きく変動してしまうという問題があった。
【0009】
この問題を解決するために、フォトダイオードの個数を増加して、よりきめ細かな制御を行うという方法が考えられるが、各フォトダイオード間の感度調整を行う必要があり、回路構成や調整が複雑になるという問題があった。また、制御アルゴリズムが複雑になるという問題があった。更には、フォトダイオードとX線検出器との光に対する感度特性の差が、正確な露出制御を困難にするという問題もあった。
【0010】
以上の問題を解決する方法として、テレビカメラから出力されるビデオ信号を直接用いて被検体のX線透視撮影制御を行う方法が提案されていた。この方法では、X線I.I.の出力光の一部を採光する必要がないため、光の利用効率が高くなる。また、ビデオ信号の各画素の値に基づいてX線透視撮影制御が行えるため、前述したフォトダイオードに比べてよりきめ細かな制御を行うことができる。また、前述したフォトダイオード間の感度調整のような問題が生じない。更には、光電子増倍管やフォトダイオードを用いる必要ないため、低コストとなるという効果があった。
【0011】
しかしながら、この方法には以下に示すような問題があり、実際には実現が困難であった。
【0012】
例えば、テレビカメラのダイナミックレンジが光電子増倍管やフォトダイオードに比べて非常に小さいため、光量が増加するとハレーションが発生して正確なX線出力が検出できないという問題があった。またX線撮影制御においては、テレビカメラのフレーム読み取り時間に対してX線発生を制御する時間が短いため、フォトタイマとして使用することができないという問題があった。更には、ビデオ信号中に含まれる多量のデータを有効に利用して、診断に必要な部位の透視および撮影像を適正な明るさにする制御アルゴリズムが不明確であるという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、ビデオ信号を用いたX線透視撮影制御において、従来に比べてより適正なX線透視撮影制御を行うことが可能なX線装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、検者の診断性能を向上することが可能なX線装置を提供することにある。
【0015】
本発明のその他の目的は、X線装置の構成を簡単化することにより、低コストなX線診断装置を実現することが可能な技術を提供することにある。
【0016】
本発明のその他の目的は、X線透視を安定に行うことが可能な技術を提供することにある。
【0017】
本発明のその他の目的は、被検体の移動に伴うセンサーの過敏な反応を防止することが可能な技術を提供することにある。
【0018】
本発明のその他の目的は、グレア散乱の混入に伴う量子ノイズの増加に起因する撮影画像の画質の低下を防止することが可能な技術を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0021】
(1)X線を発生し被検体に照射するX線管と、X線の照射野を制限するX線照射野制限手段と、前記被検体のX線像を得る撮像手段とを有するX線装置において、X線透視時において撮像するX線像を参照画像とし、該参照画像の画像強度に対応するデータ数のヒストグラムと前記画像強度を変数とする重み関数とを積算して得た積算ヒストグラムの平均値を計算する重み付け平均値演算手段と、前記積算ヒストグラムの平均値が所定の値になるように、前記X線管の出力を制御する透視撮影制御手段とを具備する。
【0022】
(2)前述した(1)に記載のX線装置において、X線撮影時には、前記重み付け平均値演算手段は、X線予備撮影において撮像したX線像を参照画像とする。
【0023】
(3)前述した(2)に記載のX線装置において、前記透視撮影制御手段は、予備撮影時と本撮影時とにおいて、前記X線管の管電圧および前記X線の照射野が同一となるように制御する。
【0024】
(4)前述した(2)に記載のX線装置において、前記透視撮影制御手段は、本撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得に対して、予備撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得が小さくなるように制御する。
【0025】
(5)前述した(1)ないし(4)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記重み付け平均値演算手段は、前記重み関数として確率分布関数を用い、該確率分布関数の平均値と標準偏差値とを前記重み関数の関数パラメータとする。
【0026】
(6)前述した(1)ないし(5)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記確率分布関数として正規分布を用いる。
【0027】
(7)前述した(1)ないし(6)の内のいずれかに記載のX線装置において、X線透視時あるいは予備撮影時のX線像の画素数に対して、前記参照画像の画素数を小さくする画像縮小手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、縮小後の参照画像に基づいて、前記平均値を計算する。
【0028】
(8)前述した(1)ないし(7)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記参照画像中のハレーション領域を検出する手段と、前記X線管の制御値と前記被検体の厚さと前記撮像手段の制御値とに基づいて、前記ハレーション領域における画像強度を計算する手段と、前記参照画像のハレーション領域内の画像強度を計算によって得た画像強度に置き換える手段とからなるハレーション補正手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記置き換え後の参照画像に基づいて、平均値を計算する。
【0029】
(9)前述した(8)に記載のX線装置において、前記重み付け平均値演算手段は、前記ハレーション領域の大きさに基づいて、該ハレーション領域の被検体の厚さを決定する手段を具備する。
【0030】
(10)前述した(1)ないし(9)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記参照画像中に存在するグレア散乱成分を除去するグレア散乱成分除去手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記グレア散乱成分除去後の参照画像に基づいて、平均値を計算する。
【0031】
(11)前述した(1)ないし(10)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記被検体の透視および撮影対象部位を設定する手段と、該対象部位設定手段によって設定した対象部位に基づいて、前記重み関数を決定する手段を具備する。
【0032】
(12)前述した(1)ないし(11)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記重み関数決定手段は、前記重み関数の関数パラメータの値を設定する関数パラメータ設定手段を具備する。
【0033】
(13)前述した(1)ないし(12)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記参照画像に設けた関心領域内のX線像に対して、選択的に前記平均値を計算する領域を選択する関心領域内データ選択手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、前記平均値を計算する。
【0034】
(14)前述した(13)に記載のX線装置において、前記関心領域内データ選択手段は、前記対象部位設定手段が設定する対象部位に基づいて、前記関心領域を設定する手段を具備する。
【0035】
(15)前述した(13)もしくは(14)に記載のX線装置において、前記関心領域内データ選択手段は、前記撮像手段の撮像範囲を模擬的に示した領域を分割して生成される複数の小領域に対して、当該領域に対応する位置のオンおよびオフの状態を決定する複数個のタッチセンサと、該タッチセンサの内でオン状態の領域に対応する撮像領域を前記参照画像上の関心領域として設定する手段とを具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、前記平均値を計算する。
【0036】
前述した(1)〜(6)、(11)および(12)の手段によれば、X線透視時あるいは予備撮影時において撮像したX線像である参照画像に対して、重み付け平均値演算手段が、画像強度に対応するデータ数のヒストグラムと、画像強度を変数とする重み関数とを積算することによって、診断上重要性の低い部位である画像強度すなわち画像濃度値が極端に高い部位や極端に低い部位が参照画像中に占める割合を減少できる。すなわち、予め設定された適正な重み関数あるいは検者が設定した重み関数の積算よって得た積算ヒストグラムは、参照画像に対して診断上重要性の低い部位の影響を低減させるための補正を行い、該補正後の参照画像のヒストグラムを作成したものとほぼ等価となる。
【0037】
一方、ヒストグラムおよび重み関数の特性を示す代表的な係数としては、当該ヒストグラムおよび重み関数の平均値が一般的であり、また、その計算が容易である。
【0038】
従って、本手段では、重み付け平均値演算手段が積算ヒストグラムの平均値を計算し、透視撮影制御手段が積算ヒストグラムの平均値が所定の値になるように、X線管の出力を制御することによって、診断上重要性の低い部位の画像情報がX線透視時およびX線本撮影時における露出制御に与える影響を少なくすることができる。従って診断上重要な部位の画像濃度を適正にすることができる。また、診断上重要な部位の画像濃度を適正にするように透視および撮影条件を制御できるので、X線透視撮影画像の画質を向上できる。
【0039】
このとき、重み関数として確率分布関数の一形態である正規分布を用いることにより、関数パラメータを変更する場合等に、関数の形状を検者が直感的に判断できるという効果がある。
【0040】
また、(3)の手段に示すように、透視撮影制御手段が、予備撮影時と本撮影時におけるX線管の管電圧およびX線の照射野とが同一となるように制御を行うことによって、予備撮影と本撮影間において画像のコントラストや散乱X線量の割合を同一にすることができるので、撮影時の露出量を簡単に決定することができる。また、撮影時の露出量を適正に制御することができる。さらには、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0041】
一方、(4)の手段に示すように、透視撮影制御手段が、本撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得に対して、予備撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得が小さくなるように制御することによって、参照画像中に含まれるハレーションを抑えることができるので、参照画像に基づく撮影制御を正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0042】
前述した(7)の手段によれば、平均値の計算等の参照画像に対する演算量を少なくすることができるので、透視制御および撮影制御を高速に行うことができる。
【0043】
前述した(8)および(9)の手段によれば、重み付け平均値演算手段は、ハレーション補正手段がハレーションを補正した置き換え後の参照画像に基づいて、平均値を計算するので、透視もしくは予備撮影直後の参照画像中にハレーションが存在している場合であっても、透視制御および撮影制御を正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質をより向上できる。
【0044】
また、このとき、ハレーション補正手段が、ハレーション領域の大きさに基づいて、該ハレーション領域の被検体の厚さを決定することによって、ハレーション領域における画像強度すなわち画像濃度の計算をより正確に行うことができるので、透視制御および撮影制御をより正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質をより一層向上できる。
【0045】
前述した(10)の手段によれば、重み付け平均値演算手段が、グレア散乱成分除去後の参照画像に基づいて、平均値を計算することにより、ハレーション等により大量に発生するグレア散乱成分を除去することができるので、撮像手段へ入射するX線量を参照画像出力に正確に反映することができる。従って、透視制御および撮影制御をより正確に行うことができる。また、X線撮影画像の画質をより一層向上できる。
【0046】
前述した(13)の手段によれば、重み付け平均値演算手段が、関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、平均値を計算することにより、検者の関心の高い部位の画像強度すなわち画像濃度をとりわけ適正な値になるように制御することができるので、X線撮影画像の画質をより一層向上できる。
【0047】
前述した(14)および(15)の手段によれば、対象部位設定手段が設定する対象部位に基づいて、前記関心領域を被検体の対象部位に合わせて簡易的に設定できる。また、関心領域を変更したい場合は、撮像手段の撮像範囲を模擬的に示した領域を分割して生成される複数の小領域に対して、当該領域に対応する位置のオンおよびオフの状態を決定する複数個のタッチセンサを用いて、該タッチセンサの内でオン状態の領域に対応する撮像領域を前記参照画像上の関心領域として設定することが可能であり、関心領域の指示を視覚的に確認しながらできるので、透視および撮影対象部位毎にそれぞれの関心領域を容易に設定することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0050】
図1は、本発明の一実施の形態に係るX線装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るX線装置(X線透視撮影装置)は、X線管1、X線フィルタ2、X線コリメータ(X線照射野制限手段)3、寝台天板5、X線グリッド6、X線イメージインテンシファイア(以下、X線I.I.と記す)7、光学レンズ系8、テレビカメラ9、モニタ10、遠隔操作卓11、操作卓12、X線制御器100、X線フィルタ制御器101、X線コリメータ制御器102、透視撮影位置制御器103、I.I.モード制御器104、光学絞り制御器105、テレビカメラ制御器106、アンプ107、A/D変換器108、画像処理装置109、透視撮影条件演算装置110、透視撮影条件記憶メモリ111等より構成される。また、図1中において、4は被検体、13は本実施の形態のX線透視撮影装置のX線透視撮影時におけるX線照射野を示す。
【0051】
本実施の形態においては、X線検出器(撮像手段)は周知のX線I.I.7、光学レンズ系8およびテレビカメラ9から構成される周知のX線検出器である。撮影系は周知のX線管1、X線フィルタ2、X線コリメータ3、X線グリッド6およびX線検出器からなる周知の撮影系である。被検体4は寝台天板5上に位置し、撮影体位を様々に変化できる。そして、被検体4の撮りたい部位を前記X線検出器の視野の中心付近に設定する。
【0052】
図1において、X線管1とX線I.I.7の入力面との距離は120cm、被検体4の厚さはt、寝台天板5の上面とX線I.I.7の入力面との間の距離(以下、エアギャップと記す)はLである。被検体4の厚さtは、被検体4の個体差あるいは体位に応じて様々に変化する。また、エアギャップLは、寝台天板5の位置の設定に従い変化する。X線I.I.7のX線入力面の直径は、30.48cmである。(x,y)座標系は、X線I.I.7の入力面上で定義した直交座標系であり、X線I.I.の中心を原点に持ち、体軸方向をy軸、該y軸に直交する方向をx軸として定める。X線グリッド6は、X線I.I.7の入力面上に固定される。テレビカメラ9は、撮像素子として高解像度CCD素子を使用する。
【0053】
次に、図1に示すX線透視撮影装置の各部の概要を説明する。
【0054】
X線制御器100は、X線透視時における透視管電圧値および透視管電流値を透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、該読み出し値に基づいて、X線管1のX線発生をリアルタイム制御する制御装置である。また、X線制御器100は、X線撮影時においては、撮影管電圧値、撮影管電流値および撮影時間を透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、該読み出し値に基づいて、X線管1のX線発生を制御する。
【0055】
X線フィルタ制御器101は、X線透視・撮影時におけるX線フィルタ2の種類および有無を、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、制御する制御装置である。X線フィルタ2は、X線管1から放射されるX線のエネルギー分布を変化する周知のX線フィルタである。
【0056】
X線コリメータ制御器102は、X線透視・撮影時におけるX線照射野13を設定するためのX線コリメータ3の位置を、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、制御する制御装置である。ただし、X線照射野13は、前述するように、X線I.I.7の入力面上におけるX線の照射野として定義する。また、X線コリメータ3は、X線照射野13をx軸およびy軸方向に変化する周知のX線コリメータである。該変化量は、それぞれx軸およびy軸に対して軸対称であり、x軸方向およびy軸方向のX線照射野の大きさは、それぞれAxおよびAyで表現する。
【0057】
透視撮影位置制御器103は、被検体4のX線透視・撮影位置を制御する制御装置である。透視・撮影位置の制御の場合には、透視撮影制御装置103は、固定された寝台天板5に対して撮影系全体を移動することにより、あるいは、固定された撮影系に対して寝台天板5を移動することにより、または、これらの両方を組み合わせることにより行う。
【0058】
I.I.モード制御器104は、X線透視・撮影時におけるX線I.I.7のI.I.モードを制御する制御装置であり、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて制御する。ただし、I.I.モードは、X線I.I.7のX線検出領域を規定するものである。X線I.I.7には、たとえば、I.I.モードとして、7、9、12インチモードが用意されており、X線I.I.7の入力面上において、およそそれぞれのインチ数(ただし、1インチを2.54cmとする)を直径とする円の内部の領域でX線を検出する。
【0059】
光学絞り制御器105は、X線透視・撮影時における光学レンズ系8の光学絞り面積を制御する制御装置であり、それぞれ透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて制御する。
【0060】
テレビカメラ制御器106は、X線透視・撮影時におけるテレビカメラ9の走査条件(以下、カメラモードと記す)を制御する装置であり、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて制御する。また、テレビカメラ制御器106は、テレビカメラ9の走査のタイミングを制御する。テレビカメラ9のX線透視時における標準走査モードは、毎秒30フレーム、走査線数1050本であるが、毎秒60フレーム、走査数525本による透視も可能である。また、テレビカメラ9のX線撮影時における標準走査線数は2100本であるが、走査線数1050本および525本による撮影も可能である。
【0061】
アンプ107は、X線透視・撮影時におけるテレビカメラ9の出力信号を増幅した後、該増幅信号をA/D変換器108に入力する増幅器であり、本実施の形態においては、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて、ゲイン(増幅率、利得)を決定する。
【0062】
A/D変換器108は、アンプ107によりゲイン調整されたテレビカメラ9の出力信号をデジタル信号に変換する周知のA/D変換器である。A/D変換器108により変換される画像の画素数はカメラモードに基づいて決まる。たとえば、テレビカメラ9の走査線数が525本の場合,A/D変換器108は画素数512ピクセル四方のデジタル画像に変換する。同様に走査線数が1050および2100本の場合には、A/D変換器108はそれぞれ1024および2048ピクセル四方のデジタル画像に変換する。ただし、A/D変換における量子化ビット数は12ビットであり、デジタル画像の画素値(画像強度)は0〜4095の範囲の数値として表現される。
【0063】
画像処理装置109は、A/D変換器108から出力されるデジタル画像に対して公知の画像処理を行い、該画像処理後のデジタル画像をモニタ10に出力する装置であり、出力されたデジタル画像はモニタ10上に表示される。
【0064】
透視撮影条件演算装置110は、A/D変換器108から出力されるデジタル画像に基づき透視時におけるX線管1の管電圧および管電流の適正値を算出した後、該結果を透視撮影条件記憶メモリ111に記録する演算装置である。また、透視撮影条件演算装置110は、撮影時における撮影時間を算出した後、該結果を透視撮影条件記憶メモリ111に記録する。
【0065】
透視撮影条件記憶メモリ111は、X線制御器100、X線フィルタ制御器101、X線コリメータ制御器102、透視撮影位置制御器103、I.I.モード制御器104、光学絞り制御器105、テレビカメラ制御器106およびアンプ107が使用する各パラメータを格納する周知のメモリである。
【0066】
次に、図1に基づいて本実施の形態のX線透視撮影装置の動作を説明する。ただし、以下の説明において、X線管1の管電圧Vないし管電流量Q(ただし、管電流量Qは、X線透視時においてはX線管1の管電流とテレビカメラ9の1フレームの読み込み時間との積として、また、X線撮影時においてはX線管1の管電流と撮影時間との積として定義したいわゆるmAs値とする)、X線フィルタ2の種類、X線照射野13を表現するAxおよびAy、エアギャップL、X線グリッド6の種類、I.I.モード、光学絞り面積Ω、カメラモード、および、アンプ107のゲインGの状態をそれぞれパラメータとして、X線透視およびX線撮影時における前記各パラメータの設定値をそれぞれX線透視条件およびX線撮影条件とする。また、検者は遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して被検体の透視・撮影対象部位(例えば、胸部・腹部等)の設定を行うことができ、このときの設定値もパラメータとしてX線透視条件およびX線撮影条件に加えるととする。これらのX線透視条件およびX線撮影条件は、透視撮影条件記憶メモリ111に記録される。
【0067】
X線透視および撮影時において、X線管1から発生されたX線はX線フィルタ2によりエネルギー分布が変化され、X線コリメータ3によりX線照射野13を制限された後に被検体4を透過する。このとき、X線は被検体4を透過する際にその一部が被検体4により散乱される。該散乱X線は、X線グリッド6により大部分遮断されるが、その一部は遮断されずにX線グリッド6を透過することになる。X線グリッド6を透過した散乱X線と被検体4を散乱されずに透過する直接X線とは同時にX線I.I.7により検出され、光学像に変換される。該光学像は光学レンズ系8において光学絞りを用いて光量を調節された後、テレビカメラ9に結像される。テレビカメラ9は前記光学像をビデオ信号(アナログ画像)に変換し、出力する。テレビカメラ9から出力されたビデオ信号は、アンプ107によって信号強度を調整された後に、A/D変換器108においてアナログ信号からデジタル信号(デジタル画像)へ変換される。該デジタル信号へ変換されたビデオ信号すなわちデジタル画像は、画像処理装置109によって所定の画像処理を行われた後に、モニタ10に出力され、表示画面上に表示される。
【0068】
このとき、X線透視時においては、A/D変換器108から出力されるデジタル画像は画像処理装置に出力されると共に、透視撮影条件演算装置110に出力される。透視撮影条件演算装置110は、入力されたデジタル画像が適正な値となるように、X線管1の透視管電圧Vおよび管電流量Q、光学絞り面積Ω、並びに、アンプ107のゲインGの値をそれぞれ後述する手順でリアルタイムに計算し、該計算結果を透視撮影条件記憶メモリ111中のそれぞれの値の格納場所に上書きする。透視条件記憶メモリ111は、透視撮影条件演算装置110から入力されるX線管1の透視管電圧Vおよび管電流量Q、光学絞り面積Ω、並びに、アンプ107のゲインGの値と、検者により遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して入力されるカメラモード、I.I.モード、X線照射野Ax,Ay、被検体部位設定、X線フィルタ種類、X線グリッド種類、並びに、エアギャップLの設定値の情報を保持する。X線制御器100、光学絞り制御器105およびアンプ107は、それぞれ該情報に従ってリアルタイムにX線管電圧およびX線管電流量、光学絞り量、並びに、アンプゲインを制御し、制御結果はビデオ信号強度に反映されて、A/D変換の後に、透視撮影条件演算装置110にフィードバックされる。以上に説明した演算と該演算結果に基づく制御(フィードバック制御)を行うことにより、X線透視時における表示画像が適正となるように制御される。
【0069】
一方、検者は、X線透視時において、被検体4の見たい部位がモニタ10の表示画面の適正な位置にくるように、遠隔操作卓11あるいは操作卓12を用いて位置(透視・撮影位置)を合わせ、位置が合った時点において、遠隔操作卓11あるいは操作卓12を用いてX線撮影開始の指示をすることにより、X線撮影の開始信号が発生する。X線撮影開始の信号が発生されると、以下に示す手順によって、X線予備撮影およびX線本撮影が行われる。
【0070】
X線予備撮影においては、撮影開始の信号が発生されると、まず、X線制御器100はX線発生を停止してX線透視を終了する。次に、X線制御器100、X線コリメータ制御器102、I.I.モード制御器104およびテレビカメラ制御器106は、X線本撮影時におけるX線管1の管電圧V’、X線照射野A’x,A’y、I.I.モードおよびカメラモードの設定値をそれぞれ透視撮影条件記憶メモリ111から読み出して、それぞれの値に設定する。ただし、X線本撮影時におけるX線管1の管電圧V’は、透視終了時の管電圧Vに基づいて決定され、該管電圧VとV’との両者の関係は、予め遠隔操作卓11を通して設定されている。また、X線本撮影時におけるX線照射野A’x,A’y、I.I.モードおよびカメラモードの設定値は、検者により遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して予め設定されている。更には、X線制御器100は、透視終了時のX線管1の管電流量Qに対して、管電流量がkQとなるように設定を行う。ただし、kは隔操作卓11を通して予め設定された値であり、通常0.1程度の値が設定される。kを比較的小さな値に設定するのは、X線予備撮影においてハレーションが発生するのを防ぐためである。前述した設定が全て完了すると同時に、X線制御器100はX線発生信号をX線管1に送り、X線予備撮影を行う。
【0071】
X線予備撮影が終了すると同時に、透視撮影条件演算装置110は、A/D変換された予備撮影画像をA/D変換器108から読み出し、X線本撮影時における管電流量Q’、光学絞り面積Ω’およびゲインG’を後述する手順で算出し、該算出結果を透視撮影条件記憶メモリ111に書き出す。続いて、X線制御器100、光学絞り制御器105およびアンプ107は、X線本撮影時における管電流量Q’、光学絞り面積Ω’およびゲインG’の値を透視撮影条件記憶メモリ111からそれぞれ読み出して設定を行う。この設定が全て完了すると、次に、X線制御器100はX線発生信号をX線管1に送り、X線本撮影を行う。X線撮影像は、A/D変換器108によりデジタル信号に変換された後に、図示しないフレームメモリに格納される。
【0072】
ただし、X線透視条件および撮影条件とX線画像出力との関係は、たとえば、同一出願による特願平8−267518号にその近似式が示されている。該文献によれば、A/D変換器108の出力画像の中心付近の平均画素値をIとしたとき、Iは次式で近似される。
【0073】
【数1】
【0074】
ただし、FCおよびFIはそれぞれカメラモード、I.I.モード毎に決まる比例係数である。また、P(V)は直接X線出力関数、μ(V)はアクリル板等で近似された被検体4のX線吸収係数関数である。P(V),μ(V)はそれぞれ2次関数で近似され、ap,bp,cpおよびam,bm,cmの値はそれぞれの関数の係数である。関数fAはX線照射野の変化に伴う散乱X線量の変化を補正する関数である。fA中のAoの値はX線照射野の標準値を表す。また、kFおよびVFは定数である。関数fLはエアギャップの変化に伴う散乱X線量の変化を補正する関数である。fL中のLoの値はエアギャップの標準値を表す。またkLおよびVLは定数である。ap,bp,cp,am,bm,cm,kF,VF,kL,VLの値は、それぞれ使用するX線透視撮影系のシステム、X線フィルタの種類およびX線I.I.の種類毎に決まる特性値である。後述するように、数1は透視撮影条件演算装置における演算に使用されるため、FC,FIの値および特性値は、たとえば、テーブルとして図示しないメモリ中に保持しておく。なお、詳細については後述する。
【0075】
次に、図2に本実施の形態の透視撮影条件演算装置の概略構成を示すブロック図を示し、以下、図2に基づいて、透視撮影条件演算手段の構成を説明する。
【0076】
図2において、300はテーブル、400は画像縮小手段、401はハレーション補正手段、402はグレア補正手段(グレア散乱成分除去手段)、403は関心領域内データ選択手段、404は重み付け平均値演算手段、405は透視撮影条件設定手段(透視撮影制御手段)を示す。
【0077】
画像縮小手段400は、A/D変換器108でデジタル画像に変換された透視画像もしくは予備撮影画像を、検者が予め設定したピクセル数(画素数)のデジタル画像に変換(縮小)する周知の縮小手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。また、本実施の形態においては、A/D変換器108から入力されたデジタル画像を、64ピクセル四方のデジタル画像に縮小する。なお、以下の説明においては、該縮小デジタル画像の内で、特に、透視・撮影条件決定に使用される場合の画像を「参照画像」と記す。このように、A/D変換後のデジタル画像ではなく、画素数の少ない参照画像を用いることにより、後に行う演算量(透視および撮影条件の決定等に要する演算量)を減少させることができるので、後に行う演算を高速化できる。また、A/D変換器108から入力される画素サイズは、カメラモードの設定によって決まり、透視時では512もしくは1024ピクセル、一方、撮影時では1024もしくは2048ピクセルとなる。従って、画像縮小手段400は、A/D変換直後の画像に対する画素加算、あるいは、間引きによって画像の縮小を行う。例えば、1024ピクセルサイズの画像を縮小する場合は、16ピクセル四方毎に画素加算を行い、その平均値をとることにより、あるいは、16ピクセル毎に間引いて画素を選択ことにより画像縮小を行うことができる。
【0078】
ハレーション補正手段401は、画素値が4095となるハレーション領域に対して、ハレーション領域の大きさに対して決定される被検体厚とそのときのX線条件とに基づいて、ハレーション領域内の各画素の画素値Iを数1を用いて計算する演算手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。ただし、ハレーション補正手段401が補正するハレーション領域とは、A/D変換前のビデオ信号出力が大きくて、A/D変換器108により量子化できるビデオ信号のダイナミックレンジを越えた場合に、X線画像中に生じる飽和領域である。本実施の形態では、A/D変換器108において、量子化ビット数12ビットで量子化を行うため、ハレーション領域内の画素値は4095に張り付いてしまう。しかしながら、ハレーション領域内部の画素値は、本来、4095より大きな値をとるはずであり、このような誤差が透視および撮影制御の精度を低下させる原因となっていた。従って、このハレーション領域内部の画素値をハレーション補正装置401が計算して補正することによって、透視および撮影制御の精度の低下を防止できるので、従来のX線透視撮影装置と比較して制御の精度を向上できる。なお、詳細については、後述する。
【0079】
グレア補正手段402は、予め設定したグレア補正用のデジタルフィルタによって、参照画像のグレア補正を行う演算手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。ただし、グレア補正とは、X線I.I.7の出力蛍光面において生じる光の散乱がX線画像中に混入したものを取り除く処理である。特に、画像中にハレーションが存在する場合はハレーション部分で発生するグレア散乱光が,参照画像中に大量に混入して透視および撮影制御の精度を低下させる原因となる。従って、本実施の形態のX線透視撮影装置では、参照画像中の該グレア散乱光を補正することによって、透視および撮影制御の精度の低下を防止できるので、従来のX線透視撮影装置と比較して制御の精度を向上できる。なお、グレア補正用のデジタルフィルタの詳細については、後述する。
【0080】
関心領域内データ選択手段403は、図示しない検者が特に観察を要すると判断した個所すなわち関心領域をグレア補正後の参照画像内に設定するための手段であり、たとえば、透視および撮影対象部位ごとに予め設定された関心領域マスクあるいは検者がX線透視画像に基づいて設定した関心領域マスクを検者の指示により選択すると共に、検者が選択したコリメータ3に応じて設定されるX線照射野マスクと関心領域マスクとの論理積をとったデータ選択マスクを生成する。関心領域内データ選択装置403により関心領域内部のデータのみを選択することにより、診断上重要になる透視および撮影対象部位あるいは検者が指示する部分を基準として、後述する透視撮影条件の設定において、前記指示部分である関心領域内部の画像出力が特に適正になるように透視および撮影制御を行うことができる。従って、従来のX線透視撮影装置と比較して制御の精度を向上できる。なお、データ選択マスクの生成手順の詳細は、後述する。
【0081】
重み付け平均値演算手段404は、重み関数として導入した変数を画素値とする正規分布(平均値Mと標準偏差σによって一意に決定される)と、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムとから、該選択データの重み付け平均値(積算ヒストグラムの平均値)M’を計算(演算)する演算手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。重み付け平均値演算手段404は、操作卓11から入力される撮影部位に応じて設定されている、あるいは、検者が入力した平均値Mおよび標準偏差σの値を用いて、選択データに対して、下記の数2に示す計算式で計算する。ただし、重み関数のパラメータである平均値Mおよび標準偏差σは、一般的に、撮影対象部位毎に適正値が異なるので、撮影対象部位毎に適正値を予め設定しておく。また、この数2は、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムと正規分布とを積算して得たヒストグラム(積算ヒストグラム)の重み付け平均値を計算している。
【0082】
【数2】
【0083】
ただし、Wは重み関数、kは1〜nの自然数(nは選択データの画素数)、I(k)は各画素の画素値を示す。
【0084】
なお、重み付け平均値演算手段404による重み付け平均値M’の算出手順の詳細は、後述する。
【0085】
透視撮影条件設定手段405は、操作卓11から入力される撮影部位に応じて設定されているあるいは検者が入力した重み関数の平均値Mと、重み付け平均値演算手段404が計算した重み付け平均値M’とから、透視撮影条件を計算し、該計算結果を透視撮影条件記憶メモリ111に出力し格納する手段であり、本実施の形態においては、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。なお、透視撮影条件設定手段405による透視撮影条件の設定手順の詳細については、後述する。
【0086】
次に、図3に本発明の透視撮影条件演算装置の動作を説明するための動作フローを示し、以下、図3に基づいて、透視撮影条件演算手段110の動作を説明する。
【0087】
本フローの開始は、A/D変換器108からの透視画像の入力である。まず、画像縮小手段400が、入力された透視画像(デジタル情報に変換された透視画像)を、検者が予め設定した画素数の参照画像に縮小する(ステップ410)。次に、画像縮小手段400は、この参照画像をハレーション補正手段401に出力する。
【0088】
次に、ハレーション補正手段401が、画像縮小手段400から入力された参照画像に対して、まず、ハレーション補正処理として、参照画像内で画素値が4095となるハレーション領域の大きさに対して決定された被検体厚と、このときのX線条件とに基づいて、当該ハレーション領域内の各画素の画素値Iを数1によって計算する。次に、ハレーション補正手段411は、ハレーション領域内の画素値を計算によって求められた画素値に置き換えた後に、該置き換え後の画像をハレーション補正後の参照画像としてグレア補正手段402に出力する(ステップ411)。
【0089】
次に、グレア補正手段402が、後述するデジタルフィルタによって、ハレーション補正後の参照画像中に含まれるX線I.I.7の出力蛍光面に生じる光の散乱(グレア散乱光)の補正を行い、該グレア補正後の参照画像を関心領域内データ選択手段403に出力する(ステップ412)。
【0090】
次に、関心領域内データ選択手段403が、まず、透視撮影対象部位ごとに予め設定されている関心領域マスクあるいは検者が透視画像に基づいて設定した関心領域マスクと、検者が指示したコリメータ3に応じて設定されるX線照射野マスクとの論理積をとったデータ選択マスクを生成する。次に、関心領域内データ選択手段403は、参照画像からデータ選択マスク領域内のデータのみを選択した参照画像(以下、選択参照画像と記す)を作成し、該選択参照画像を重み付け平均値演算手段404に出力する(ステップ413)。
【0091】
次に、重み付け平均値演算手段404が、重み関数として導入した変数を画素値とする正規分布と、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムとから、該選択データの重み付け平均値M’を計算し、該重み付け平均値M’を透視撮影条件記憶メモリ111に格納する(ステップ415)。
【0092】
透視時においては、以上に示すステップ410〜415を新規透視画像の取り込みごとに実行することによって、重み付け平均値M’が重み関数の平均値Mに集束するように、すなわち、取り込み画像が最適となるように制御係数である透視管電圧Vをフィードバック制御する。
【0093】
一方、撮影時においては、前述のフィードバック制御により重み付け平均値M’を平均値Mに集束させることができないが、重み付け平均値M’と平均値Mとの差を所定値ε以下となるように、ステップ414と415とを計算機上で繰り返す。なお、詳細な動作については、後述する。
【0094】
次に、図4にX線透視およびX線撮影時におけるパラメータの設定例を説明するための図を示し、以下、図4に基づいて、各パラメータについて説明する。なお、透視および撮影時のパラメータ値の違いを明確にするために、撮影時のパラメータにはプライム記号を付ける。
【0095】
各パラメータの設定は、パラメータ毎に手動あるいは自動に設定される。ただし、図4に示すパラメータの内で、カメラモード、I.I.モード、X線照射野13、被検体部位設定、X線フィルタ2の種類、X線グリッド6の種類、および、エアギャップは、それぞれ検者が遠隔操作卓11あるいは操作卓12から手動設定する。X線フィルタ2の種類は、たとえば、透視および撮影時の管電圧に応じて、X線フィルタ2の種類を選択することによって自動設定することもできる。また、管電圧と使用するフィルタ2の種類との関係は、検者が予め設定することができる。
【0096】
手動設定されるパラメータの内、カメラモード、I.I.モードおよびX線照射野13は、透視時設定201と撮影時設定202とでは異なる値が設定がされ、その他のパラメータは、透視時および撮影時において共通の値(透視撮影時共通設定203)が設定される。また、図4に示すパラメータの内で、管電圧V、管電流量Q、光学絞り面積ΩおよびゲインGの各値は、前述するように、透視および撮影時においてそれぞれ自動設定される。ただし、204は透視自動制御による設定値であり、205は撮影自動制御による設定値を示す。また、撮影管電圧Vは、検者が遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して手動で設定することもできることは言うまでもない。
【0097】
次に、図5に本実施の形態のハレーション補正手段の動作を説明するための図を示し、以下、図5に基づいて、ハレーション補正手段によるハレーション補正処理手順を説明する。ただし、図5において、図5(A)はハレーション領域の画素値の計算手順を説明するための図であり、図5(B)はハレーション領域の大きさから被検体厚tを決定する手順を説明するための図である。
【0098】
まず、図5(A)に基づいて、参照画像中500に生じたハレーション領域における画素値の計算手順について説明する。
【0099】
参照画像500中にハレーション領域501が存在した場合、該ハレーション領域501は、画素値が4095である画素として検出される。
【0100】
従って、ハレーション補正手段401は、以下に示す計算手順によって、当該ハレーション領域内の画素値を計算することができる。
【0101】
まず、参照画像500上のx方向の各位置において、y方向のハレーションの大きさHyを測定する。このとき、Hyの大きさに従い各位置xにおけるハレーション領域の被検体厚tを決定する。同様にして、参照画像500上のy方向の各位置において、x方向のハレーションの大きさHxを測定し、ハレーション領域の被検体厚tを決定する。このとき、ハレーション領域501内部の各画素に対して、x方向およびy方向に決定された被検体厚tが存在するが、各画素における被検体厚をx方向およびy方向の被検体厚の平均値として決定する。
【0102】
次に、図5(B)に基づいて、ハレーションの大きさHx,Hyから被検体厚tを決定する方法を説明する。ただし、図5(B)中において、横軸はHxまたはHyの大きさ(ピクセル数,画素数))を示し、縦軸は被検体厚tを示す。
【0103】
ハレーション領域内部の被検体厚tは、HxおよびHyの大きさに従って決定される。この両者の関係は、予め設定された直線502あるいは単純な曲線503,504等により近似される。ただし、HxおよびHyがある程度大きくてピクセル数Tを越えた場合には、ハレーション領域内部の被検体厚は0である。また、HxおよびHyが小さい場合は、被検体厚tは縮小画像500中の被検体の平均被検体厚toに近づく。
【0104】
このように、被検体厚tは、縮小画像500中の被検体の平均被検体厚toに対して相対的に決定される。平均被検体厚toは、X線透視時においては、透視画像出力の平均値Iおよび透視条件から数1を用いて逆算することができる。同様に、X線予備撮影像に対してハレーション補正を行う場合は、透視終了時において計測された被検体の平均被検体厚toを用いればよい。なお、平均被検体厚toは、透視・撮影条件設定装置において計算され、ハレーション補正装置401に情報が供給される。ただし、透視開始時においては、平均被検体厚toは0に設定される。
【0105】
最後に、各画素に対して決定された被検体厚toおよびその時のX線条件に基づき、各画素値Iを数1を用いて計算して、縮小画像500中の画素値とし、ハレーション補正が完了する。
【0106】
次に、図6に本実施の形態のグレア散乱を補正するためのグレア補正フィルタの作成手順を説明するための図を示し、以下、図6に基づいて、グレア補正フィルタの作成手順を説明する。ただし、図6において、図6(A),図6(C)はグレア散乱の点広がり関数を測定するために用いられるファントムの正面像を説明するための図であり、図6(B),図6(D)は撮影画像の画素値と該画素値の分布位置との関係を示すプロフィールの図である。また、図6(A)に示すファントムは、たとえば、鉛板600の中央に半径r1の穴を開けたものであり、図6(C)に示すファントムは、鉛板600の穴の中心に半径r2の円盤状の鉛板602を配置したものである。
【0107】
前述するように、グレア補正とは、X線I.I.7の出力蛍光面において生じる光の散乱がX線画像中に混入したものを取り除く処理である。特に、画像中にハレーションが存在する場合は、ハレーション部分で発生するグレア散乱光が参照画像中に大量に混入して、X線透視制御およびX線撮影制御の精度を低下させる原因となる。
【0108】
グレア散乱の点広がり関数hは、一般的に、指数関数で近似され、下記に示す数3で表される。
【0109】
【数3】
【0110】
従って、参照画像をグレア散乱前の画像に戻すためのグレア補正フィルタの周波数特性1/Hは、下記の数4で示される。
【0111】
【数4】
【0112】
このように、グレア補正手段402では、数4で示されるデジタルフィルタによりグレア補正を行う。但し、数3および数4中に含まれるa,bは、点広がり関数を特徴づけるパラメータであり、予め測定しておく必要がある。
【0113】
次に、グレア散乱の点広がり関数のパラメータa,bの値の測定法を説明する。
【0114】
グレア散乱の点広がり関数の測定においては、ファントムはX線グリッドの直前に配置され、被検体4および寝台天板5は配置しないものとする。このとき、図6(A),(C)のファントムに対してそれぞれX線撮影を行い、撮影画像の画素値と該画素値の分布位置との関係を示すプロフィールを表示すると図6(B),(D)のようになる。ただし、プロフィールは、鉛板600の中央を通過する直線601上のプロフィールである。
【0115】
図6(B),(D)において、鉛板600の穴の中心位置における画素値をそれぞれI1,I2とすると、点広がり関数のパラメータaは、I1,I2およびパラメータbを用いて、下記の数5で表される。
【0116】
【数5】
【0117】
従って、数5を数4に代入することで、数4のパラメータをbのみにすることができる。このとき、bを変数として、図6(C)に示されるファントムの撮影像に対してグレア補正を行い、補正後の画像のプロフィールにおけるI2の値が0となるようにbを決定することができる。また、決定されたbの値と数5とを用いてaの値も求めることができるので、グレア補正フィルタの周波数特性を決定することができる。
【0118】
次に、図7に本実施の形態の関心領域内データ選択手段の動作を説明するための図を示し、以下、図7に基づいて、関心領域内データ選択手段403における処理動作を説明する。
【0119】
一般的に、関心領域は被検体4の撮影対象部位毎に異なるため、検者は予め操作卓11より被検体4の撮影対象部位を設定する。このとき、関心領域の内部のデータのみを選択するために用いられる関心領域マスク705は、該撮影対象部位毎に予め設定されており、撮影対象部位の設定値に応じて選択される。なお、関心領域マスク705で設定される関心領域は、X線透視時においては、後述する手段で任意に変えることもできる。
【0120】
次に、選択された関心領域マスク705は、X線照射野の内部のデータのみを選択するために用いられるX線照射野マスク703に対して、論理積演算手段704による論理積がとられる。従って、論理積手段704から出力されるマスク(選択マスク)では、関心領域内部であり、かつ、X線照射野内部である領域が選択される。また、X線照射野マスク703は、操作卓11で設定された透視時および撮影時におけるX線照射野に応じて作成される。
【0121】
最後に、データ選択処理手段701が、参照画像700に対して、論理積手段704で決定された領域の内部のデータのみを選択するデータ選択処理を行い、選択されたデータ702のみが、関心領域内データ選択装置403から出力される。ただし、前述したデータ選択処理手段701および論理積手段704は、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。
【0122】
次に、図8に本実施の形態の重み付け平均値演算手段の計算を説明するための図を示し、以下、図8に基づいて、重み付け平均値演算手段404の動作を説明する。ただし、図8において、図8(A)は本実施の形態における重み関数を示す図であり、図8(B)は重み付け平均値演算装置404における処理手順を説明するための図である。
【0123】
関心領域内データ選択装置403で選択されたデータは、まず、図8(A)に示す重み関数が各ピクセル値に応じて積算され、次に、重み関数を積算した後の全データの平均値が計算される。図8(A)に示すように、重み関数はデータのピクセル値すなわち画素値を変数とする正規分布で示される。該正規分布は平均値Mおよび標準偏差σによって一意に決定される。従って、平均値Mおよび標準偏差σの値は、重み関数を表現するパラメータとして検者が設定できるようになっている。また、本実施の形態においては、重み関数を関心領域内データ選択装置403により選択されたデータ702のヒストグラムに対して積算することによって、選択データ内におけるピクセル値が極端に高い部位や極端に低い部位等のような、診断上、重要性の低い部位の画像情報がX線透視時における露出制御に与える影響を少なくすることができる。
【0124】
次に、図8(B)に基づいて、重み付け平均値演算装置404における処理の手順を説明する。
【0125】
前述するように、重み関数のパラメータM,σの値は、撮影対象部位毎に適正値が異なるので、撮影対象部位毎に適正値が予め設定されている。検者は、操作卓11より被検体4の撮影対象部位を設定し、該設定値に応じて適正なM,σの値801が選択される。なお、このとき、M,σの値は、X線透視時においては、後述する手段によって、任意に変えることもできる。該選択されたM,σの値801を用いて、関心領域内データ選択装置403により選択されたデータ702に対して、数5で示される重み付け平均演算800が行われ、重み付け平均値M’が計算される。
【0126】
本実施の形態においては、重み関数として正規分布とすることにより、検者が直感的に重み関数を操作することができるという効果がある。ただし、重み関数としては正規分布に限定されることはなく、たとえば、自由度3以上のχ2(カイ2乗)分布、ポアソン分布あるいはt分布等でもよい。
【0127】
次に、図9に関心領域マスクおよび重み関数のパラメータM,σの値をX線透視時において任意に変化するパラメータ設定手段の動作を説明するための図を示し、以下、図9に基づいて、パラメータ設定手段の動作を説明する。ただし、図9において、図9(A)はパラメータ設定手段の外観を説明するための図であり、図9(B)は関心領域の設定手順を説明するための図であり、図9(C)は関心領域の設定後を説明するための図である。
【0128】
一般的に、関心領域および重み関数のパラメータ値は、被検体4の個体差によって適正値が異なるので、X線透視時において修正を加えることによって、適正なX線透視制御を行うことができる。本実施の形態においては、該関心領域およびM,σの設定は、コントローラ900を用いて行う。該コントローラ900は、リモート操作が可能であり、また、操作卓12および遠隔操作卓11上に配置することもできる。
【0129】
図9(A)に示すように、関心領域の設定は、関心領域設定ボタン901およびリセットボタン902を用いて設定される。関心領域設定ボタン901は、多数のボタンから構成されるが、その外枠は円形となっている。ただし、この円形は、X線I.I.により検出される領域に対応している。この多数のボタンは、それぞれが独立にオン,オフ可能であり、該ボタンを押すことにより、順次、オンとオフとを繰り返す。また、各ボタンはオンの状態の時にのみ、ボタン自体が光る構造あるいはボタンの色が変化する構成となっている。たとえば、この関心領域設定ボタン901は、周知のタッチセンサを用いる。
【0130】
次に、図9(B)に基づいて、関心領域の設定手順を説明すると、まず、検者が操作卓11から撮影対象部位を設定すると、図9(B)に示すように、撮影対象部位に対して設定された関心領域に対応するボタン907のみが自動的にオンの状態になり光る(図9(B)に斜線で示すボタン)。次に、X線透視時において、検者が関心領域を変化する場合は、たとえば、検者が関心領域設定ボタン901を押し下げるあるいは接触することによって、関心領域設定ボタン901を自由にオン,オフさせることで、図9(C)に示すように、関心領域を設定するできる。ただし、関心領域がX線照射野外に設定されることを防止するために、本実施の形態においては、X線照射野外に対応するボタンは、常にオフの状態のまま固定されるようになっている。また、設定した関心領域が小さすぎる場合にはX線透視制御が不安定になるので、関心領域の最小面積を予め設定しておき、設定された関心領域の面積が、この最小面積より小さくなる場合には、関心領域設定ボタン901がオンの状態のまま固定されるようになっている。
【0131】
前述するように、関心領域が変更された場合、設定された関心領域の外枠は、一定時間だけモニタ10上に表示される。なお、このようにして新たに設定された関心領域は、リセットボタン902を押すことにより、図9(B)に示す初期状態に戻すことができる。また、前述した手順によって決定した関心領域を撮影対象部位に対して新たに設定し直すことも可能である。
【0132】
次に、重み関数のパラメータM,σ設定の手順は、平均値設定ボタン(関数パラメータ設定手段)904および標準偏差設定ボタン(関数パラメータ設定手段)906を用いてそれぞれ設定する。設定されたM,σの値は、それぞれ平均値表示板903および標準偏差値表示板905上に常に表示される。まず、操作卓11によって撮影対象部位が設定されると、撮影対象部位に対して設定されるM,σの値がはじめに設定され、それぞれ平均値表示板903および標準偏差値表示板905上に表示される。次に、X線透視時においてMを変える場合は、平均値設定ボタン904(a),(b)を押すことにより、それぞれMの値をそれぞれ増やす、あるいは、Mの値を減らすことができる。なお、Mの値は予め設定された設定範囲内のみで変化することができる。同様に、X線透視時においてσを変える場合は、標準偏差設定ボタン906(a),(b)を押すことによりσの値をそれぞれ増やす、あるいは、減らすことができる。なお、σの値は予め設定された設定範囲内のみで変化することができる。また、前述する手順によって新たに設定したM,σの値は、リセットボタン907を押すことにより初期状態に戻すことができる。また、前述した手順で決定したM,σの値を、撮影対象部位に対して新たに設定し直すことも可能である。
【0133】
次に、図10に本実施の形態の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図を示し、以下、図10に基づいて、透視撮影条件設定手段の動作を説明する。ただし、図10において、図10(A)はX線透視時の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図であり、図10(B)はX線撮影時の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図である。
【0134】
まず、図10(A)に基づいて、X線透視時における透視条件の設定手順を説明する。
【0135】
X線透視時においては、X線管1の透視管電圧V、管電流量Q、光学絞り面積Ωおよびアンプ107のゲインGのそれぞれの値を決定する必要がある。ただし、通常、透視管電流量Qの値は透視管電圧Vに基づいて決定されるので、透視管電流量は管電圧Vの関数としてQ(V)で表される。また、光学絞り面積Ωは、透視時においては一定に保たれる。更には、アンプ107のゲインGは、カメラモードにより決定される。従って、透視時において制御されるパラメータとしては透視管電圧Vのみを考慮すればよい。すなわち、重み付け平均値M’がMになるように、画像出力をM/M’倍する透視管電圧Vを設定すればよい。このため、数1を用いて画像出力IをM/M’倍する透視管電圧Vを求めることによって、透視画像を適正に制御できる。
【0136】
次に、透視管電圧Vの計算手順を説明すると、まず、数1において、左辺の画像出力IにM’を代入することにより、平均被検体厚toを逆算する(ステップ1000)。ただし、平均被検体厚toの逆算は、たとえば、2分法等の数値計算手段を用いることにより演算する。
【0137】
次に、透視撮影条件設定手段405は、平均被検体厚to、透視管電圧Vおよび透視管電流量Q(V)を数1に代入して、透視管電圧Vを変化させ、左辺の画像出力IがMとなるようなVを決定する(ステップ1001)。なお、この平均被検体厚toは、ハレーション補正手段401における処理においてもデータを共有することができる。
【0138】
ステップ1000,1001で求めた透視管電圧Vおよび透視管電流量Q(V)の値は、透視・撮影条件記憶メモリ111に記録(格納)され、直ちにX線管1の出力に反映される。前述する手順によって、X線透視時におけるフィードバック制御が行われる。一般的に、前述した手順によって新たに得た参照画像に対して重み付け平均値M’を計算すると、直ちにMとはならないが、これは重み付け演算に起因するものである。しかしながら、本実施の形態におけるX線透視時においては、重み付け平均値M’は、フィードバック制御により数回でMに収束する。
【0139】
次に、図10(B)に基づいて、X線撮影時における撮影条件の設定手順を説明する。
【0140】
X線本撮影時においては、X線管1の管電流量Q’、光学絞り面積Ω’およびゲインG’のそれぞれの値を決定する必要がある。ただし、撮影時における光学絞り面積Ω’は、通常、一定値に保たれる。更には、アンプ107のゲインG’は、カメラモードにより決定される。従って、撮影時において制御されるパラメータとしては撮影管電流量Q’のみを考慮すればよい。すなわち、予備撮影における重み付け平均値M’がMになるように、画像出力IをM/M’倍する撮影管電流量Q’を設定すればよい。しかしながら、前述したX線透視時と同様に、こうして設定された撮影管電流量Q’を用いてX線本撮影を行った場合であっても、X線撮影像の重み付け平均値は直ちにMとはならない。これは、重み付け演算に起因するものである。また、X線撮影時においては、透視時の場合のようにフィードバック制御を行いながらM’をMに近づけていくことができないので、正確な撮影管電流量Q’を計算するために、以下に示す処理を行う。
【0141】
まず、X線予備撮影時においては、関心領域内データ選択装置403から出力されるデータは、図示しないメモリに一度保存される。次に、該メモリに保存されたデータに対して、重み付け平均値演算装置404が重み付け平均M’を計算する。次に、透視撮影条件設定手段405は、MとM’との差の絶対値を計算し、この差がεより小さいか否かを判定する(ステップ1002)。該ステップ1102において、MとM’との差の絶対値差がεより小さい場合には、撮影管電流量Q’が適正値に設定されているものとして、このときの重み付け平均値M’を透視・撮影条件記憶メモリ111に記録(格納)する。一方、MとM’との差の絶対値がεより大きい場合には、透視撮影条件設定手段405は、撮影管電流量Q’が適正値に設定されていないとして、撮影管電流量Q’をM/M’倍したものを新たにQ’として、重み付け平均値演算手段404に出力する。また、透視条件設定手段405は、図示しないメモリに格納されたデータ(関心領域内データ選択手段403から出力されたデータ)を全てM/M’倍した後、該M/M’倍したデータを図示しないメモリに上書きすることによって、メモリ内のデータを更新する。
【0142】
一方、透視撮影条件設定手段405によってデータを更新された重み付け平均値演算手段404は、再び、更新されたデータに基づいて、重み付け平均値M’を計算し、透視撮影条件設定手段405に出力する。透視撮影条件設定手段405でも、再び、MとM’との差の絶対値を計算し、この差がεより小さいか否かを判定する(ステップ1002)。
【0143】
透視撮影条件設定手段405は、以上に説明した手順を、MとM’との差の絶対値が所定値εよりも小さくなるまで繰り返すことによって、M’を逐次的にMに近づけていき、適正な撮影管電流量Q’、すなわち、適正な撮影条件を計算する。
【0144】
このように、本実施の形態の透視撮影条件設定手段405は、本撮影を行う前に適正な撮影管電流量を設定することができるので、テレビカメラ9のフレーム読み取り時間に関係なくX線照射時間を制御できる。
【0145】
ただし、所定値εは、予め設定した値をテーブル300に格納しておく、あるいは、透視撮影前に操作卓12もしくは遠隔操作卓11から検者が設定してもよい任意の値である。また、所定値εは、撮影画像の精度を決定する係数となっており、所定値εが小さい場合には精度が高くなる一方、演算時間が増加し、所定値εが大きい場合には精度が低くなる一方、演算時間を減少させることができる。従って、所定値εの適正値としては、5≦ε≦25の範囲であり、たとえば、10,15等が適している。
【0146】
また、本実施の形態の透視撮影条件設定手段110は、予備撮影時と本撮影時とにおける管電圧およびX線照射野を同一にしているので、予備撮影と本撮影間において画像のコントラストや散乱X線量の割合を同一にすることができる。したがって、撮影時の露出量を簡単に決定することができる。また、撮影時の露出量を精度よく算出することができるので、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0147】
一方、本実施の形態の透視撮影条件設定手段110は、本撮影時における撮影管電流量Q’に対して、予備撮影時における撮影管電流量Q’が小さくなるように設定することも可能であり、この場合には、参照画像中に含まれるハレーションを抑えることができるので、参照画像に基づく撮影制御を正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0148】
次に、図11に本実施の形態のテーブルのデータ構成を説明するための図を示し、以下、図11に基づいて、テーブル300のデータ構成を説明する。
【0149】
図11から明らかなように、テーブル300は、FCの各テレビモードに対する値301、FIの各I.I.モードに対する値302、および、各特性値の値303から構成される。但し、特性値は、グリッドの種類およびフィルタの種類によって異なるので、使用される全てのグリッドおよびフィルタの組み合わせに対して、テーブルが用意される。このテーブルは、たとえば、グリッドとフィルタとの組み合わせ毎に用意しておく。
【0150】
以上説明したように、本発明の実施の形態のX線透視撮影装置では、X線透視時あるいは予備撮影時において撮像したX線像であるデジタル画像に対して、重み付け平均値演算手段404が、重み関数として導入した変数を画素値とする正規分布と、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムとから、数2に示す計算式によって、選択データの重み付け平均値M’を計算し、透視撮影条件設定手段405が重み付け平均値M’と重み関数の平均値Mとが等しくなる透視管電圧Vもしくは撮影管電流量Q’計算し、透視撮影条件記憶メモリ111に格納することによって、X線制御器100が該格納値に基づいて、X線管1の出力を調整するので、診断上重要性の低い部位の画像情報がX線透視時における露出制御に与える影響を少なくすることができる。従って診断上重要な部位の画像濃度を適正にすることができる。また、診断上重要な部位の画像濃度を適正にするように透視および撮影条件を制御できるので、X線透視撮影画像の画質を向上できる。従って、検者の診断性能を向上することができる。また、検者の診断効率を向上できる。さらには、本実施の形態においては、重み関数として確率分布関数の一形態である正規分布を用いているので、関数パラメータを変更する場合等に、関数の形状を検者が直感的に判断できるという効果もある。
【0151】
また、数2から明らかなように、重み付け平均値M’は、関心領域内データ選択手段403から入力されたヒストグラムと重み関数との積算値、すなわち、重み付け処理がされているので、本実施の形態のX線装置は、診断上重要性の高い撮影部位における画像出力が適正な値になるように、透視撮影制御を行うことができる。
【0152】
更には、本実施の形態のX線透視撮影装置は、従来とは異なり、グレア補正手段402がグレア散乱の影響を除去した参照画像に基づいて、透視撮影制御を行うので、常に適正なX線量となるように、X線透視条件およびX線撮影条件を制御することができる。
【0153】
例えば、マーゲン側面等の透視画像中にハレーションが生じると、該ハレーション部分で発生したグレア散乱が大量に透視画像中に混入し、出力信号中の40パーセント近くに及ぶことがあった。このため、トータルの出力信号が一定値になるようにX線透視制御を行っていた従来のX線透視撮影装置では、適正なX線量の60パーセント程度のX線量が出力された状態で制御が収束し、このため画質が低下してしまうという問題があった。これに対して,本実施の形態のX線透視撮影装置では、グレア補正手段402がグレア成分を除去した参照画像に基づいて、X線透視制御を行うので、X線量がほぼ適正値となるように制御を行うことができる。従って、従来に比べてX線量で約40パーセント程度の改善ができる。
【0154】
更には、本実施の形態のX線装置では、グレア補正手段402によってグレア散乱の補正を行う前に、ハレーション補正手段401によって、参照画像中のハレーション領域内の画素値を適正な画素値に変換するので、ダイナミックレンジが小さいテレビカメラ9で撮像した場合であっても、透視および撮影制御に使用できる。
【0155】
また、本実施の形態のX線透視撮影装置では、テレビカメラ9で撮像したX線画像に基づいて、制御を行うことができるので、X線装置の構成を簡単化することができる。従って。低コストなX線診断装置を提供することができる。
【0156】
また、テレビカメラ9で撮像したX線画像に基づいて、制御を行う構成となっているので、被検体の移動に伴うセンサーの過敏な反応を防止することができる。さらには、透視画像を安定に撮影できる。
【0157】
なお、本実施の形態のX線透視撮影装置においては、画像縮小手段400、ハレーション補正手段401、グレア補正手段402、関心領域内データ選択手段403、重み付け平均値演算手段404および透視撮影手段405は、周知の情報処理装置上で動作するプログラムで実現したが、これに限定されることはなく、たとえば、これらの手段の内の1手段あるいはそれ以上の手段を専用の演算回路すなわちハードウエアを用いて構成してもよいことは言うまでもない。
【0158】
また、本実施の形態においては、撮影時の管電流量Q’を採用するか否かを平均値Mと重み付け平均値M’との差の絶対値が、所定の値ε以下か否かによって判定していたが、これに限定されることはなく、MとM’との比(M/M’)で近似してもよいことは言うまでもない。
【0159】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0160】
例えば,本実施の形態では、X線撮影を行う際に、予備撮影を行う方式を示したが、X線透視中に計算される平均被検体厚の情報から、適正なX線撮影条件を求めることもできる。平均被検体厚の情報から、適正なX線撮影条件を求める方法としては、たとえば、特願平8−267518号に記載の方法がある。また、たとえば、本実施の形態においては、X線検出器としてX線I.I.7、光学レンズ系8およびテレビカメラ9からなる系を用いたが、これに限定されることはなく、たとえば、X線2次元平面センサ等を用いた場合であっても、同等の効果が得られることは言うまでもない。該X線2次元平面センサの例としては、たとえば、「Large Area,Flat-Panel,Amorphous Silicon Imagers;L.E.Antonuk,et al.SPIE,Vol.2432,Physics of Medical Imaging,pp.216-227」に記載の例等がある。また、本発明は一般的なX線透視装置、X線撮影装置、立体X線撮影装置等にも適用できることは言うまでもない。
【0161】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0162】
(1)ビデオ信号を用いたX線透視撮影制御において、従来に比べてより適正なX線透視撮影制御を行うことができる。
【0163】
(2)ビデオ信号を用いたX線透視撮影制御において、診断性能を向上することができる。
【0164】
(3)X線装置の構成を簡単化することができるので、低コストなX線診断装置を提供することができる。
【0165】
(4)X線透視を安定に行うことができる。
【0166】
(5)被検体の移動に伴うセンサーの過敏な反応を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るX線装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の透視撮影条件演算装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の透視撮影条件演算装置の動作を説明するための動作フローである。
【図4】X線透視およびX線撮影時におけるパラメータの設定例を説明するための図である。
【図5】本実施の形態のハレーション補正手段の動作を説明するための図である。
【図6】本実施の形態のグレア散乱を補正するためのグレア補正フィルタの作成手順を説明するための図である。
【図7】本実施の形態の関心領域内データ選択手段の動作を説明するための図である。
【図8】本実施の形態の重み付け平均値演算手段の計算を説明するための図である。
【図9】関心領域マスクおよび重み関数のパラメータM,σの値をX線透視時において任意に変化するパラメータ設定手段の動作を説明するための図である。
【図10】本実施の形態の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図である。
【図11】本実施の形態のテーブルのデータ構成を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線フィルタ、3…X線コリメータ、4…被検体、5…寝台天板、6…X線グリッド、7…X線イメージインテンシファイア、8…光学レンズ系、9…テレビカメラ、10…モニタ、11…遠隔操作卓、12…操作卓、100…X線制御器、101…X線フィルタ制御器、102…X線コリメータ制御器、103…透視撮影位置制御器、104…I.I.モード制御器、105…光学絞り制御器、106…テレビカメラ制御器、107…アンプ、108…A/D変換器、109…画像処理装置、110…透視撮影条件演算装置、111…透視撮影条件記憶メモリ、300…テーブル、400…画像縮小手段、401…ハレーション補正手段、402…グレア補正手段、403…関心領域内データ選択手段、404…重み付け平均値演算手段、405…透視撮影条件設定手段、700…参照画像、701…データ選択処理手段、702…選択されたデータ702、703…X線照射野マスク、704…論理積手段、705…関心領域マスク、900…コントローラ、901…関心領域設定ボタン、902…リセットボタン、903…平均値表示板、904…平均値設定ボタン、905…標準偏差値表示板、906…標準偏差設定ボタン、907…関心領域に対応するボタン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線装置に関し、特に、X線診断における透視および撮影時のX線条件を適正に制御する露出制御に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
診断を目的とするX線装置(X線透視撮影装置)においては、X線自動露出制御方法は古くから工夫、改良が行われている。しかしながら、被検体透過時の造影剤や骨等の影響で適正なX線条件設定が難しく、特に多用されている消化器診断においては、その改良の要求が強い。
【0003】
このX線透視撮影装置は、X線イメージインテンシファイア(以下、X線I.I.と記す)とテレビカメラとから構成されるX線検出系が用いられる。X線I.I.は、X線像を光学像に変換し、テレビカメラは光学像を検出してビデオ信号に変換する。通常、X線I.I.の出力面とテレビカメラの入力面との間には、光量を調節するための光学絞りが配置される。
【0004】
従来のX線透視撮影装置におけるX線自動露出装置は、X線I.I.の出力光を一部採光して光電子増倍管等で検出し、該検出信号に従いX線透視および撮影制御を行っていた。例えば、X線透視制御においては、光電子増倍管の検出信号の単位時間あたりの積分値が一定値となるように、X線管の管電流や管電圧あるいは光学絞りの絞り量等をフィードバック制御することで、X線透視像の明るさを常に適正値に保っていた。また、X線撮影制御においては、光電子増倍管の検出信号の積分値が一定値になった時点でX線を遮断することで、適正な明るさのX線撮影像を得ていた(フォトタイマ)。
【0005】
X線自動露出制御方法の別の例としては、特開昭57−88698号公報に記載されるX線自動露出装置がある。このX線自動露出装置では、前述した光電子増倍管の代わりに複数のフォトダイオードを用いてX線I.I.の出力光を検出し、複数のフォトダイオードの内選択された幾つかのフォトダイオードの出力に基づいて、X線透視および撮影制御を行う方法であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0007】
前述する光電子増倍管を用いるX線自動露出制御装置においては、X線I.I.の出力光を一部ハーフミラー等で採光して光電子増倍管に入力するため、テレビカメラへ入力する光量が減少してしまい、光の利用効率が悪くなるという問題があった。また、通常、光電子増倍管の採光視野は、X線I.I.の中心付近に1点のみ配置されるため、様々なX線吸収量の分布を持つX線画像に対して、画像全体が適正な明るさになるように制御をすることが困難であった。例えば、人体の肺野等のように被写体厚が薄く、X線透過量の多い部分が光電子増倍管の採光視野内に配置されると、X線自動露出制御装置はX線量を抑える方向に制御を行う。この結果、臓器等の被写体厚が厚い部分に対してはX線量が不足してしまい、適正な明るさの画像が得られないという問題があった。
【0008】
一方、特開昭57−88698号公報に記載のX線自動露出装置では、前述の例の光電子増倍管の代わりに複数のフォトダイオードを配置することで、採光視野を増やすことができた。また、各フォトダイオードの信号レベルに従って診断に必要な部位を推定し、前記部位が適正な明るさになるような制御を行うことができた。しかしながら、通常ではフォトダイオードの個数は8〜12個程度であり、個数が少ないため制御が不安定になるという問題があった。この問題は、たとえば、被検体を側面方向から撮影する場合等のように、被検体を透過したX線の減衰量が大きく、また、X線の照射視野よりも被検体幅が小さい場合には、被検体を透過したX線を計測したフォトダイオードと被検を透過することなく直接フォトダイオードに入射したX線を計測したフォトダイオードとの計測値の差が大きくなる。このため、1個以上のフォトダイオードが被検体を透過したX線と直接入射するX線との境界付近に位置した場合、被検体の僅かな動きによって、該フォトダイオードに入射するX線量が大きく変動することになり、表示画面が明暗が大きく変動してしまうという問題があった。
【0009】
この問題を解決するために、フォトダイオードの個数を増加して、よりきめ細かな制御を行うという方法が考えられるが、各フォトダイオード間の感度調整を行う必要があり、回路構成や調整が複雑になるという問題があった。また、制御アルゴリズムが複雑になるという問題があった。更には、フォトダイオードとX線検出器との光に対する感度特性の差が、正確な露出制御を困難にするという問題もあった。
【0010】
以上の問題を解決する方法として、テレビカメラから出力されるビデオ信号を直接用いて被検体のX線透視撮影制御を行う方法が提案されていた。この方法では、X線I.I.の出力光の一部を採光する必要がないため、光の利用効率が高くなる。また、ビデオ信号の各画素の値に基づいてX線透視撮影制御が行えるため、前述したフォトダイオードに比べてよりきめ細かな制御を行うことができる。また、前述したフォトダイオード間の感度調整のような問題が生じない。更には、光電子増倍管やフォトダイオードを用いる必要ないため、低コストとなるという効果があった。
【0011】
しかしながら、この方法には以下に示すような問題があり、実際には実現が困難であった。
【0012】
例えば、テレビカメラのダイナミックレンジが光電子増倍管やフォトダイオードに比べて非常に小さいため、光量が増加するとハレーションが発生して正確なX線出力が検出できないという問題があった。またX線撮影制御においては、テレビカメラのフレーム読み取り時間に対してX線発生を制御する時間が短いため、フォトタイマとして使用することができないという問題があった。更には、ビデオ信号中に含まれる多量のデータを有効に利用して、診断に必要な部位の透視および撮影像を適正な明るさにする制御アルゴリズムが不明確であるという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、ビデオ信号を用いたX線透視撮影制御において、従来に比べてより適正なX線透視撮影制御を行うことが可能なX線装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、検者の診断性能を向上することが可能なX線装置を提供することにある。
【0015】
本発明のその他の目的は、X線装置の構成を簡単化することにより、低コストなX線診断装置を実現することが可能な技術を提供することにある。
【0016】
本発明のその他の目的は、X線透視を安定に行うことが可能な技術を提供することにある。
【0017】
本発明のその他の目的は、被検体の移動に伴うセンサーの過敏な反応を防止することが可能な技術を提供することにある。
【0018】
本発明のその他の目的は、グレア散乱の混入に伴う量子ノイズの増加に起因する撮影画像の画質の低下を防止することが可能な技術を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0021】
(1)X線を発生し被検体に照射するX線管と、X線の照射野を制限するX線照射野制限手段と、前記被検体のX線像を得る撮像手段とを有するX線装置において、X線透視時において撮像するX線像を参照画像とし、該参照画像の画像強度に対応するデータ数のヒストグラムと前記画像強度を変数とする重み関数とを積算して得た積算ヒストグラムの平均値を計算する重み付け平均値演算手段と、前記積算ヒストグラムの平均値が所定の値になるように、前記X線管の出力を制御する透視撮影制御手段とを具備する。
【0022】
(2)前述した(1)に記載のX線装置において、X線撮影時には、前記重み付け平均値演算手段は、X線予備撮影において撮像したX線像を参照画像とする。
【0023】
(3)前述した(2)に記載のX線装置において、前記透視撮影制御手段は、予備撮影時と本撮影時とにおいて、前記X線管の管電圧および前記X線の照射野が同一となるように制御する。
【0024】
(4)前述した(2)に記載のX線装置において、前記透視撮影制御手段は、本撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得に対して、予備撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得が小さくなるように制御する。
【0025】
(5)前述した(1)ないし(4)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記重み付け平均値演算手段は、前記重み関数として確率分布関数を用い、該確率分布関数の平均値と標準偏差値とを前記重み関数の関数パラメータとする。
【0026】
(6)前述した(1)ないし(5)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記確率分布関数として正規分布を用いる。
【0027】
(7)前述した(1)ないし(6)の内のいずれかに記載のX線装置において、X線透視時あるいは予備撮影時のX線像の画素数に対して、前記参照画像の画素数を小さくする画像縮小手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、縮小後の参照画像に基づいて、前記平均値を計算する。
【0028】
(8)前述した(1)ないし(7)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記参照画像中のハレーション領域を検出する手段と、前記X線管の制御値と前記被検体の厚さと前記撮像手段の制御値とに基づいて、前記ハレーション領域における画像強度を計算する手段と、前記参照画像のハレーション領域内の画像強度を計算によって得た画像強度に置き換える手段とからなるハレーション補正手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記置き換え後の参照画像に基づいて、平均値を計算する。
【0029】
(9)前述した(8)に記載のX線装置において、前記重み付け平均値演算手段は、前記ハレーション領域の大きさに基づいて、該ハレーション領域の被検体の厚さを決定する手段を具備する。
【0030】
(10)前述した(1)ないし(9)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記参照画像中に存在するグレア散乱成分を除去するグレア散乱成分除去手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記グレア散乱成分除去後の参照画像に基づいて、平均値を計算する。
【0031】
(11)前述した(1)ないし(10)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記被検体の透視および撮影対象部位を設定する手段と、該対象部位設定手段によって設定した対象部位に基づいて、前記重み関数を決定する手段を具備する。
【0032】
(12)前述した(1)ないし(11)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記重み関数決定手段は、前記重み関数の関数パラメータの値を設定する関数パラメータ設定手段を具備する。
【0033】
(13)前述した(1)ないし(12)の内のいずれかに記載のX線装置において、前記参照画像に設けた関心領域内のX線像に対して、選択的に前記平均値を計算する領域を選択する関心領域内データ選択手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、前記平均値を計算する。
【0034】
(14)前述した(13)に記載のX線装置において、前記関心領域内データ選択手段は、前記対象部位設定手段が設定する対象部位に基づいて、前記関心領域を設定する手段を具備する。
【0035】
(15)前述した(13)もしくは(14)に記載のX線装置において、前記関心領域内データ選択手段は、前記撮像手段の撮像範囲を模擬的に示した領域を分割して生成される複数の小領域に対して、当該領域に対応する位置のオンおよびオフの状態を決定する複数個のタッチセンサと、該タッチセンサの内でオン状態の領域に対応する撮像領域を前記参照画像上の関心領域として設定する手段とを具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、前記平均値を計算する。
【0036】
前述した(1)〜(6)、(11)および(12)の手段によれば、X線透視時あるいは予備撮影時において撮像したX線像である参照画像に対して、重み付け平均値演算手段が、画像強度に対応するデータ数のヒストグラムと、画像強度を変数とする重み関数とを積算することによって、診断上重要性の低い部位である画像強度すなわち画像濃度値が極端に高い部位や極端に低い部位が参照画像中に占める割合を減少できる。すなわち、予め設定された適正な重み関数あるいは検者が設定した重み関数の積算よって得た積算ヒストグラムは、参照画像に対して診断上重要性の低い部位の影響を低減させるための補正を行い、該補正後の参照画像のヒストグラムを作成したものとほぼ等価となる。
【0037】
一方、ヒストグラムおよび重み関数の特性を示す代表的な係数としては、当該ヒストグラムおよび重み関数の平均値が一般的であり、また、その計算が容易である。
【0038】
従って、本手段では、重み付け平均値演算手段が積算ヒストグラムの平均値を計算し、透視撮影制御手段が積算ヒストグラムの平均値が所定の値になるように、X線管の出力を制御することによって、診断上重要性の低い部位の画像情報がX線透視時およびX線本撮影時における露出制御に与える影響を少なくすることができる。従って診断上重要な部位の画像濃度を適正にすることができる。また、診断上重要な部位の画像濃度を適正にするように透視および撮影条件を制御できるので、X線透視撮影画像の画質を向上できる。
【0039】
このとき、重み関数として確率分布関数の一形態である正規分布を用いることにより、関数パラメータを変更する場合等に、関数の形状を検者が直感的に判断できるという効果がある。
【0040】
また、(3)の手段に示すように、透視撮影制御手段が、予備撮影時と本撮影時におけるX線管の管電圧およびX線の照射野とが同一となるように制御を行うことによって、予備撮影と本撮影間において画像のコントラストや散乱X線量の割合を同一にすることができるので、撮影時の露出量を簡単に決定することができる。また、撮影時の露出量を適正に制御することができる。さらには、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0041】
一方、(4)の手段に示すように、透視撮影制御手段が、本撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得に対して、予備撮影時における前記X線管の出力および前記撮像手段の利得が小さくなるように制御することによって、参照画像中に含まれるハレーションを抑えることができるので、参照画像に基づく撮影制御を正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0042】
前述した(7)の手段によれば、平均値の計算等の参照画像に対する演算量を少なくすることができるので、透視制御および撮影制御を高速に行うことができる。
【0043】
前述した(8)および(9)の手段によれば、重み付け平均値演算手段は、ハレーション補正手段がハレーションを補正した置き換え後の参照画像に基づいて、平均値を計算するので、透視もしくは予備撮影直後の参照画像中にハレーションが存在している場合であっても、透視制御および撮影制御を正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質をより向上できる。
【0044】
また、このとき、ハレーション補正手段が、ハレーション領域の大きさに基づいて、該ハレーション領域の被検体の厚さを決定することによって、ハレーション領域における画像強度すなわち画像濃度の計算をより正確に行うことができるので、透視制御および撮影制御をより正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質をより一層向上できる。
【0045】
前述した(10)の手段によれば、重み付け平均値演算手段が、グレア散乱成分除去後の参照画像に基づいて、平均値を計算することにより、ハレーション等により大量に発生するグレア散乱成分を除去することができるので、撮像手段へ入射するX線量を参照画像出力に正確に反映することができる。従って、透視制御および撮影制御をより正確に行うことができる。また、X線撮影画像の画質をより一層向上できる。
【0046】
前述した(13)の手段によれば、重み付け平均値演算手段が、関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、平均値を計算することにより、検者の関心の高い部位の画像強度すなわち画像濃度をとりわけ適正な値になるように制御することができるので、X線撮影画像の画質をより一層向上できる。
【0047】
前述した(14)および(15)の手段によれば、対象部位設定手段が設定する対象部位に基づいて、前記関心領域を被検体の対象部位に合わせて簡易的に設定できる。また、関心領域を変更したい場合は、撮像手段の撮像範囲を模擬的に示した領域を分割して生成される複数の小領域に対して、当該領域に対応する位置のオンおよびオフの状態を決定する複数個のタッチセンサを用いて、該タッチセンサの内でオン状態の領域に対応する撮像領域を前記参照画像上の関心領域として設定することが可能であり、関心領域の指示を視覚的に確認しながらできるので、透視および撮影対象部位毎にそれぞれの関心領域を容易に設定することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0050】
図1は、本発明の一実施の形態に係るX線装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るX線装置(X線透視撮影装置)は、X線管1、X線フィルタ2、X線コリメータ(X線照射野制限手段)3、寝台天板5、X線グリッド6、X線イメージインテンシファイア(以下、X線I.I.と記す)7、光学レンズ系8、テレビカメラ9、モニタ10、遠隔操作卓11、操作卓12、X線制御器100、X線フィルタ制御器101、X線コリメータ制御器102、透視撮影位置制御器103、I.I.モード制御器104、光学絞り制御器105、テレビカメラ制御器106、アンプ107、A/D変換器108、画像処理装置109、透視撮影条件演算装置110、透視撮影条件記憶メモリ111等より構成される。また、図1中において、4は被検体、13は本実施の形態のX線透視撮影装置のX線透視撮影時におけるX線照射野を示す。
【0051】
本実施の形態においては、X線検出器(撮像手段)は周知のX線I.I.7、光学レンズ系8およびテレビカメラ9から構成される周知のX線検出器である。撮影系は周知のX線管1、X線フィルタ2、X線コリメータ3、X線グリッド6およびX線検出器からなる周知の撮影系である。被検体4は寝台天板5上に位置し、撮影体位を様々に変化できる。そして、被検体4の撮りたい部位を前記X線検出器の視野の中心付近に設定する。
【0052】
図1において、X線管1とX線I.I.7の入力面との距離は120cm、被検体4の厚さはt、寝台天板5の上面とX線I.I.7の入力面との間の距離(以下、エアギャップと記す)はLである。被検体4の厚さtは、被検体4の個体差あるいは体位に応じて様々に変化する。また、エアギャップLは、寝台天板5の位置の設定に従い変化する。X線I.I.7のX線入力面の直径は、30.48cmである。(x,y)座標系は、X線I.I.7の入力面上で定義した直交座標系であり、X線I.I.の中心を原点に持ち、体軸方向をy軸、該y軸に直交する方向をx軸として定める。X線グリッド6は、X線I.I.7の入力面上に固定される。テレビカメラ9は、撮像素子として高解像度CCD素子を使用する。
【0053】
次に、図1に示すX線透視撮影装置の各部の概要を説明する。
【0054】
X線制御器100は、X線透視時における透視管電圧値および透視管電流値を透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、該読み出し値に基づいて、X線管1のX線発生をリアルタイム制御する制御装置である。また、X線制御器100は、X線撮影時においては、撮影管電圧値、撮影管電流値および撮影時間を透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、該読み出し値に基づいて、X線管1のX線発生を制御する。
【0055】
X線フィルタ制御器101は、X線透視・撮影時におけるX線フィルタ2の種類および有無を、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、制御する制御装置である。X線フィルタ2は、X線管1から放射されるX線のエネルギー分布を変化する周知のX線フィルタである。
【0056】
X線コリメータ制御器102は、X線透視・撮影時におけるX線照射野13を設定するためのX線コリメータ3の位置を、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出し、制御する制御装置である。ただし、X線照射野13は、前述するように、X線I.I.7の入力面上におけるX線の照射野として定義する。また、X線コリメータ3は、X線照射野13をx軸およびy軸方向に変化する周知のX線コリメータである。該変化量は、それぞれx軸およびy軸に対して軸対称であり、x軸方向およびy軸方向のX線照射野の大きさは、それぞれAxおよびAyで表現する。
【0057】
透視撮影位置制御器103は、被検体4のX線透視・撮影位置を制御する制御装置である。透視・撮影位置の制御の場合には、透視撮影制御装置103は、固定された寝台天板5に対して撮影系全体を移動することにより、あるいは、固定された撮影系に対して寝台天板5を移動することにより、または、これらの両方を組み合わせることにより行う。
【0058】
I.I.モード制御器104は、X線透視・撮影時におけるX線I.I.7のI.I.モードを制御する制御装置であり、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて制御する。ただし、I.I.モードは、X線I.I.7のX線検出領域を規定するものである。X線I.I.7には、たとえば、I.I.モードとして、7、9、12インチモードが用意されており、X線I.I.7の入力面上において、およそそれぞれのインチ数(ただし、1インチを2.54cmとする)を直径とする円の内部の領域でX線を検出する。
【0059】
光学絞り制御器105は、X線透視・撮影時における光学レンズ系8の光学絞り面積を制御する制御装置であり、それぞれ透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて制御する。
【0060】
テレビカメラ制御器106は、X線透視・撮影時におけるテレビカメラ9の走査条件(以下、カメラモードと記す)を制御する装置であり、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて制御する。また、テレビカメラ制御器106は、テレビカメラ9の走査のタイミングを制御する。テレビカメラ9のX線透視時における標準走査モードは、毎秒30フレーム、走査線数1050本であるが、毎秒60フレーム、走査数525本による透視も可能である。また、テレビカメラ9のX線撮影時における標準走査線数は2100本であるが、走査線数1050本および525本による撮影も可能である。
【0061】
アンプ107は、X線透視・撮影時におけるテレビカメラ9の出力信号を増幅した後、該増幅信号をA/D変換器108に入力する増幅器であり、本実施の形態においては、透視撮影条件記憶メモリ111から読み出した値に基づいて、ゲイン(増幅率、利得)を決定する。
【0062】
A/D変換器108は、アンプ107によりゲイン調整されたテレビカメラ9の出力信号をデジタル信号に変換する周知のA/D変換器である。A/D変換器108により変換される画像の画素数はカメラモードに基づいて決まる。たとえば、テレビカメラ9の走査線数が525本の場合,A/D変換器108は画素数512ピクセル四方のデジタル画像に変換する。同様に走査線数が1050および2100本の場合には、A/D変換器108はそれぞれ1024および2048ピクセル四方のデジタル画像に変換する。ただし、A/D変換における量子化ビット数は12ビットであり、デジタル画像の画素値(画像強度)は0〜4095の範囲の数値として表現される。
【0063】
画像処理装置109は、A/D変換器108から出力されるデジタル画像に対して公知の画像処理を行い、該画像処理後のデジタル画像をモニタ10に出力する装置であり、出力されたデジタル画像はモニタ10上に表示される。
【0064】
透視撮影条件演算装置110は、A/D変換器108から出力されるデジタル画像に基づき透視時におけるX線管1の管電圧および管電流の適正値を算出した後、該結果を透視撮影条件記憶メモリ111に記録する演算装置である。また、透視撮影条件演算装置110は、撮影時における撮影時間を算出した後、該結果を透視撮影条件記憶メモリ111に記録する。
【0065】
透視撮影条件記憶メモリ111は、X線制御器100、X線フィルタ制御器101、X線コリメータ制御器102、透視撮影位置制御器103、I.I.モード制御器104、光学絞り制御器105、テレビカメラ制御器106およびアンプ107が使用する各パラメータを格納する周知のメモリである。
【0066】
次に、図1に基づいて本実施の形態のX線透視撮影装置の動作を説明する。ただし、以下の説明において、X線管1の管電圧Vないし管電流量Q(ただし、管電流量Qは、X線透視時においてはX線管1の管電流とテレビカメラ9の1フレームの読み込み時間との積として、また、X線撮影時においてはX線管1の管電流と撮影時間との積として定義したいわゆるmAs値とする)、X線フィルタ2の種類、X線照射野13を表現するAxおよびAy、エアギャップL、X線グリッド6の種類、I.I.モード、光学絞り面積Ω、カメラモード、および、アンプ107のゲインGの状態をそれぞれパラメータとして、X線透視およびX線撮影時における前記各パラメータの設定値をそれぞれX線透視条件およびX線撮影条件とする。また、検者は遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して被検体の透視・撮影対象部位(例えば、胸部・腹部等)の設定を行うことができ、このときの設定値もパラメータとしてX線透視条件およびX線撮影条件に加えるととする。これらのX線透視条件およびX線撮影条件は、透視撮影条件記憶メモリ111に記録される。
【0067】
X線透視および撮影時において、X線管1から発生されたX線はX線フィルタ2によりエネルギー分布が変化され、X線コリメータ3によりX線照射野13を制限された後に被検体4を透過する。このとき、X線は被検体4を透過する際にその一部が被検体4により散乱される。該散乱X線は、X線グリッド6により大部分遮断されるが、その一部は遮断されずにX線グリッド6を透過することになる。X線グリッド6を透過した散乱X線と被検体4を散乱されずに透過する直接X線とは同時にX線I.I.7により検出され、光学像に変換される。該光学像は光学レンズ系8において光学絞りを用いて光量を調節された後、テレビカメラ9に結像される。テレビカメラ9は前記光学像をビデオ信号(アナログ画像)に変換し、出力する。テレビカメラ9から出力されたビデオ信号は、アンプ107によって信号強度を調整された後に、A/D変換器108においてアナログ信号からデジタル信号(デジタル画像)へ変換される。該デジタル信号へ変換されたビデオ信号すなわちデジタル画像は、画像処理装置109によって所定の画像処理を行われた後に、モニタ10に出力され、表示画面上に表示される。
【0068】
このとき、X線透視時においては、A/D変換器108から出力されるデジタル画像は画像処理装置に出力されると共に、透視撮影条件演算装置110に出力される。透視撮影条件演算装置110は、入力されたデジタル画像が適正な値となるように、X線管1の透視管電圧Vおよび管電流量Q、光学絞り面積Ω、並びに、アンプ107のゲインGの値をそれぞれ後述する手順でリアルタイムに計算し、該計算結果を透視撮影条件記憶メモリ111中のそれぞれの値の格納場所に上書きする。透視条件記憶メモリ111は、透視撮影条件演算装置110から入力されるX線管1の透視管電圧Vおよび管電流量Q、光学絞り面積Ω、並びに、アンプ107のゲインGの値と、検者により遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して入力されるカメラモード、I.I.モード、X線照射野Ax,Ay、被検体部位設定、X線フィルタ種類、X線グリッド種類、並びに、エアギャップLの設定値の情報を保持する。X線制御器100、光学絞り制御器105およびアンプ107は、それぞれ該情報に従ってリアルタイムにX線管電圧およびX線管電流量、光学絞り量、並びに、アンプゲインを制御し、制御結果はビデオ信号強度に反映されて、A/D変換の後に、透視撮影条件演算装置110にフィードバックされる。以上に説明した演算と該演算結果に基づく制御(フィードバック制御)を行うことにより、X線透視時における表示画像が適正となるように制御される。
【0069】
一方、検者は、X線透視時において、被検体4の見たい部位がモニタ10の表示画面の適正な位置にくるように、遠隔操作卓11あるいは操作卓12を用いて位置(透視・撮影位置)を合わせ、位置が合った時点において、遠隔操作卓11あるいは操作卓12を用いてX線撮影開始の指示をすることにより、X線撮影の開始信号が発生する。X線撮影開始の信号が発生されると、以下に示す手順によって、X線予備撮影およびX線本撮影が行われる。
【0070】
X線予備撮影においては、撮影開始の信号が発生されると、まず、X線制御器100はX線発生を停止してX線透視を終了する。次に、X線制御器100、X線コリメータ制御器102、I.I.モード制御器104およびテレビカメラ制御器106は、X線本撮影時におけるX線管1の管電圧V’、X線照射野A’x,A’y、I.I.モードおよびカメラモードの設定値をそれぞれ透視撮影条件記憶メモリ111から読み出して、それぞれの値に設定する。ただし、X線本撮影時におけるX線管1の管電圧V’は、透視終了時の管電圧Vに基づいて決定され、該管電圧VとV’との両者の関係は、予め遠隔操作卓11を通して設定されている。また、X線本撮影時におけるX線照射野A’x,A’y、I.I.モードおよびカメラモードの設定値は、検者により遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して予め設定されている。更には、X線制御器100は、透視終了時のX線管1の管電流量Qに対して、管電流量がkQとなるように設定を行う。ただし、kは隔操作卓11を通して予め設定された値であり、通常0.1程度の値が設定される。kを比較的小さな値に設定するのは、X線予備撮影においてハレーションが発生するのを防ぐためである。前述した設定が全て完了すると同時に、X線制御器100はX線発生信号をX線管1に送り、X線予備撮影を行う。
【0071】
X線予備撮影が終了すると同時に、透視撮影条件演算装置110は、A/D変換された予備撮影画像をA/D変換器108から読み出し、X線本撮影時における管電流量Q’、光学絞り面積Ω’およびゲインG’を後述する手順で算出し、該算出結果を透視撮影条件記憶メモリ111に書き出す。続いて、X線制御器100、光学絞り制御器105およびアンプ107は、X線本撮影時における管電流量Q’、光学絞り面積Ω’およびゲインG’の値を透視撮影条件記憶メモリ111からそれぞれ読み出して設定を行う。この設定が全て完了すると、次に、X線制御器100はX線発生信号をX線管1に送り、X線本撮影を行う。X線撮影像は、A/D変換器108によりデジタル信号に変換された後に、図示しないフレームメモリに格納される。
【0072】
ただし、X線透視条件および撮影条件とX線画像出力との関係は、たとえば、同一出願による特願平8−267518号にその近似式が示されている。該文献によれば、A/D変換器108の出力画像の中心付近の平均画素値をIとしたとき、Iは次式で近似される。
【0073】
【数1】
【0074】
ただし、FCおよびFIはそれぞれカメラモード、I.I.モード毎に決まる比例係数である。また、P(V)は直接X線出力関数、μ(V)はアクリル板等で近似された被検体4のX線吸収係数関数である。P(V),μ(V)はそれぞれ2次関数で近似され、ap,bp,cpおよびam,bm,cmの値はそれぞれの関数の係数である。関数fAはX線照射野の変化に伴う散乱X線量の変化を補正する関数である。fA中のAoの値はX線照射野の標準値を表す。また、kFおよびVFは定数である。関数fLはエアギャップの変化に伴う散乱X線量の変化を補正する関数である。fL中のLoの値はエアギャップの標準値を表す。またkLおよびVLは定数である。ap,bp,cp,am,bm,cm,kF,VF,kL,VLの値は、それぞれ使用するX線透視撮影系のシステム、X線フィルタの種類およびX線I.I.の種類毎に決まる特性値である。後述するように、数1は透視撮影条件演算装置における演算に使用されるため、FC,FIの値および特性値は、たとえば、テーブルとして図示しないメモリ中に保持しておく。なお、詳細については後述する。
【0075】
次に、図2に本実施の形態の透視撮影条件演算装置の概略構成を示すブロック図を示し、以下、図2に基づいて、透視撮影条件演算手段の構成を説明する。
【0076】
図2において、300はテーブル、400は画像縮小手段、401はハレーション補正手段、402はグレア補正手段(グレア散乱成分除去手段)、403は関心領域内データ選択手段、404は重み付け平均値演算手段、405は透視撮影条件設定手段(透視撮影制御手段)を示す。
【0077】
画像縮小手段400は、A/D変換器108でデジタル画像に変換された透視画像もしくは予備撮影画像を、検者が予め設定したピクセル数(画素数)のデジタル画像に変換(縮小)する周知の縮小手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。また、本実施の形態においては、A/D変換器108から入力されたデジタル画像を、64ピクセル四方のデジタル画像に縮小する。なお、以下の説明においては、該縮小デジタル画像の内で、特に、透視・撮影条件決定に使用される場合の画像を「参照画像」と記す。このように、A/D変換後のデジタル画像ではなく、画素数の少ない参照画像を用いることにより、後に行う演算量(透視および撮影条件の決定等に要する演算量)を減少させることができるので、後に行う演算を高速化できる。また、A/D変換器108から入力される画素サイズは、カメラモードの設定によって決まり、透視時では512もしくは1024ピクセル、一方、撮影時では1024もしくは2048ピクセルとなる。従って、画像縮小手段400は、A/D変換直後の画像に対する画素加算、あるいは、間引きによって画像の縮小を行う。例えば、1024ピクセルサイズの画像を縮小する場合は、16ピクセル四方毎に画素加算を行い、その平均値をとることにより、あるいは、16ピクセル毎に間引いて画素を選択ことにより画像縮小を行うことができる。
【0078】
ハレーション補正手段401は、画素値が4095となるハレーション領域に対して、ハレーション領域の大きさに対して決定される被検体厚とそのときのX線条件とに基づいて、ハレーション領域内の各画素の画素値Iを数1を用いて計算する演算手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。ただし、ハレーション補正手段401が補正するハレーション領域とは、A/D変換前のビデオ信号出力が大きくて、A/D変換器108により量子化できるビデオ信号のダイナミックレンジを越えた場合に、X線画像中に生じる飽和領域である。本実施の形態では、A/D変換器108において、量子化ビット数12ビットで量子化を行うため、ハレーション領域内の画素値は4095に張り付いてしまう。しかしながら、ハレーション領域内部の画素値は、本来、4095より大きな値をとるはずであり、このような誤差が透視および撮影制御の精度を低下させる原因となっていた。従って、このハレーション領域内部の画素値をハレーション補正装置401が計算して補正することによって、透視および撮影制御の精度の低下を防止できるので、従来のX線透視撮影装置と比較して制御の精度を向上できる。なお、詳細については、後述する。
【0079】
グレア補正手段402は、予め設定したグレア補正用のデジタルフィルタによって、参照画像のグレア補正を行う演算手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。ただし、グレア補正とは、X線I.I.7の出力蛍光面において生じる光の散乱がX線画像中に混入したものを取り除く処理である。特に、画像中にハレーションが存在する場合はハレーション部分で発生するグレア散乱光が,参照画像中に大量に混入して透視および撮影制御の精度を低下させる原因となる。従って、本実施の形態のX線透視撮影装置では、参照画像中の該グレア散乱光を補正することによって、透視および撮影制御の精度の低下を防止できるので、従来のX線透視撮影装置と比較して制御の精度を向上できる。なお、グレア補正用のデジタルフィルタの詳細については、後述する。
【0080】
関心領域内データ選択手段403は、図示しない検者が特に観察を要すると判断した個所すなわち関心領域をグレア補正後の参照画像内に設定するための手段であり、たとえば、透視および撮影対象部位ごとに予め設定された関心領域マスクあるいは検者がX線透視画像に基づいて設定した関心領域マスクを検者の指示により選択すると共に、検者が選択したコリメータ3に応じて設定されるX線照射野マスクと関心領域マスクとの論理積をとったデータ選択マスクを生成する。関心領域内データ選択装置403により関心領域内部のデータのみを選択することにより、診断上重要になる透視および撮影対象部位あるいは検者が指示する部分を基準として、後述する透視撮影条件の設定において、前記指示部分である関心領域内部の画像出力が特に適正になるように透視および撮影制御を行うことができる。従って、従来のX線透視撮影装置と比較して制御の精度を向上できる。なお、データ選択マスクの生成手順の詳細は、後述する。
【0081】
重み付け平均値演算手段404は、重み関数として導入した変数を画素値とする正規分布(平均値Mと標準偏差σによって一意に決定される)と、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムとから、該選択データの重み付け平均値(積算ヒストグラムの平均値)M’を計算(演算)する演算手段であり、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。重み付け平均値演算手段404は、操作卓11から入力される撮影部位に応じて設定されている、あるいは、検者が入力した平均値Mおよび標準偏差σの値を用いて、選択データに対して、下記の数2に示す計算式で計算する。ただし、重み関数のパラメータである平均値Mおよび標準偏差σは、一般的に、撮影対象部位毎に適正値が異なるので、撮影対象部位毎に適正値を予め設定しておく。また、この数2は、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムと正規分布とを積算して得たヒストグラム(積算ヒストグラム)の重み付け平均値を計算している。
【0082】
【数2】
【0083】
ただし、Wは重み関数、kは1〜nの自然数(nは選択データの画素数)、I(k)は各画素の画素値を示す。
【0084】
なお、重み付け平均値演算手段404による重み付け平均値M’の算出手順の詳細は、後述する。
【0085】
透視撮影条件設定手段405は、操作卓11から入力される撮影部位に応じて設定されているあるいは検者が入力した重み関数の平均値Mと、重み付け平均値演算手段404が計算した重み付け平均値M’とから、透視撮影条件を計算し、該計算結果を透視撮影条件記憶メモリ111に出力し格納する手段であり、本実施の形態においては、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。なお、透視撮影条件設定手段405による透視撮影条件の設定手順の詳細については、後述する。
【0086】
次に、図3に本発明の透視撮影条件演算装置の動作を説明するための動作フローを示し、以下、図3に基づいて、透視撮影条件演算手段110の動作を説明する。
【0087】
本フローの開始は、A/D変換器108からの透視画像の入力である。まず、画像縮小手段400が、入力された透視画像(デジタル情報に変換された透視画像)を、検者が予め設定した画素数の参照画像に縮小する(ステップ410)。次に、画像縮小手段400は、この参照画像をハレーション補正手段401に出力する。
【0088】
次に、ハレーション補正手段401が、画像縮小手段400から入力された参照画像に対して、まず、ハレーション補正処理として、参照画像内で画素値が4095となるハレーション領域の大きさに対して決定された被検体厚と、このときのX線条件とに基づいて、当該ハレーション領域内の各画素の画素値Iを数1によって計算する。次に、ハレーション補正手段411は、ハレーション領域内の画素値を計算によって求められた画素値に置き換えた後に、該置き換え後の画像をハレーション補正後の参照画像としてグレア補正手段402に出力する(ステップ411)。
【0089】
次に、グレア補正手段402が、後述するデジタルフィルタによって、ハレーション補正後の参照画像中に含まれるX線I.I.7の出力蛍光面に生じる光の散乱(グレア散乱光)の補正を行い、該グレア補正後の参照画像を関心領域内データ選択手段403に出力する(ステップ412)。
【0090】
次に、関心領域内データ選択手段403が、まず、透視撮影対象部位ごとに予め設定されている関心領域マスクあるいは検者が透視画像に基づいて設定した関心領域マスクと、検者が指示したコリメータ3に応じて設定されるX線照射野マスクとの論理積をとったデータ選択マスクを生成する。次に、関心領域内データ選択手段403は、参照画像からデータ選択マスク領域内のデータのみを選択した参照画像(以下、選択参照画像と記す)を作成し、該選択参照画像を重み付け平均値演算手段404に出力する(ステップ413)。
【0091】
次に、重み付け平均値演算手段404が、重み関数として導入した変数を画素値とする正規分布と、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムとから、該選択データの重み付け平均値M’を計算し、該重み付け平均値M’を透視撮影条件記憶メモリ111に格納する(ステップ415)。
【0092】
透視時においては、以上に示すステップ410〜415を新規透視画像の取り込みごとに実行することによって、重み付け平均値M’が重み関数の平均値Mに集束するように、すなわち、取り込み画像が最適となるように制御係数である透視管電圧Vをフィードバック制御する。
【0093】
一方、撮影時においては、前述のフィードバック制御により重み付け平均値M’を平均値Mに集束させることができないが、重み付け平均値M’と平均値Mとの差を所定値ε以下となるように、ステップ414と415とを計算機上で繰り返す。なお、詳細な動作については、後述する。
【0094】
次に、図4にX線透視およびX線撮影時におけるパラメータの設定例を説明するための図を示し、以下、図4に基づいて、各パラメータについて説明する。なお、透視および撮影時のパラメータ値の違いを明確にするために、撮影時のパラメータにはプライム記号を付ける。
【0095】
各パラメータの設定は、パラメータ毎に手動あるいは自動に設定される。ただし、図4に示すパラメータの内で、カメラモード、I.I.モード、X線照射野13、被検体部位設定、X線フィルタ2の種類、X線グリッド6の種類、および、エアギャップは、それぞれ検者が遠隔操作卓11あるいは操作卓12から手動設定する。X線フィルタ2の種類は、たとえば、透視および撮影時の管電圧に応じて、X線フィルタ2の種類を選択することによって自動設定することもできる。また、管電圧と使用するフィルタ2の種類との関係は、検者が予め設定することができる。
【0096】
手動設定されるパラメータの内、カメラモード、I.I.モードおよびX線照射野13は、透視時設定201と撮影時設定202とでは異なる値が設定がされ、その他のパラメータは、透視時および撮影時において共通の値(透視撮影時共通設定203)が設定される。また、図4に示すパラメータの内で、管電圧V、管電流量Q、光学絞り面積ΩおよびゲインGの各値は、前述するように、透視および撮影時においてそれぞれ自動設定される。ただし、204は透視自動制御による設定値であり、205は撮影自動制御による設定値を示す。また、撮影管電圧Vは、検者が遠隔操作卓11あるいは操作卓12を通して手動で設定することもできることは言うまでもない。
【0097】
次に、図5に本実施の形態のハレーション補正手段の動作を説明するための図を示し、以下、図5に基づいて、ハレーション補正手段によるハレーション補正処理手順を説明する。ただし、図5において、図5(A)はハレーション領域の画素値の計算手順を説明するための図であり、図5(B)はハレーション領域の大きさから被検体厚tを決定する手順を説明するための図である。
【0098】
まず、図5(A)に基づいて、参照画像中500に生じたハレーション領域における画素値の計算手順について説明する。
【0099】
参照画像500中にハレーション領域501が存在した場合、該ハレーション領域501は、画素値が4095である画素として検出される。
【0100】
従って、ハレーション補正手段401は、以下に示す計算手順によって、当該ハレーション領域内の画素値を計算することができる。
【0101】
まず、参照画像500上のx方向の各位置において、y方向のハレーションの大きさHyを測定する。このとき、Hyの大きさに従い各位置xにおけるハレーション領域の被検体厚tを決定する。同様にして、参照画像500上のy方向の各位置において、x方向のハレーションの大きさHxを測定し、ハレーション領域の被検体厚tを決定する。このとき、ハレーション領域501内部の各画素に対して、x方向およびy方向に決定された被検体厚tが存在するが、各画素における被検体厚をx方向およびy方向の被検体厚の平均値として決定する。
【0102】
次に、図5(B)に基づいて、ハレーションの大きさHx,Hyから被検体厚tを決定する方法を説明する。ただし、図5(B)中において、横軸はHxまたはHyの大きさ(ピクセル数,画素数))を示し、縦軸は被検体厚tを示す。
【0103】
ハレーション領域内部の被検体厚tは、HxおよびHyの大きさに従って決定される。この両者の関係は、予め設定された直線502あるいは単純な曲線503,504等により近似される。ただし、HxおよびHyがある程度大きくてピクセル数Tを越えた場合には、ハレーション領域内部の被検体厚は0である。また、HxおよびHyが小さい場合は、被検体厚tは縮小画像500中の被検体の平均被検体厚toに近づく。
【0104】
このように、被検体厚tは、縮小画像500中の被検体の平均被検体厚toに対して相対的に決定される。平均被検体厚toは、X線透視時においては、透視画像出力の平均値Iおよび透視条件から数1を用いて逆算することができる。同様に、X線予備撮影像に対してハレーション補正を行う場合は、透視終了時において計測された被検体の平均被検体厚toを用いればよい。なお、平均被検体厚toは、透視・撮影条件設定装置において計算され、ハレーション補正装置401に情報が供給される。ただし、透視開始時においては、平均被検体厚toは0に設定される。
【0105】
最後に、各画素に対して決定された被検体厚toおよびその時のX線条件に基づき、各画素値Iを数1を用いて計算して、縮小画像500中の画素値とし、ハレーション補正が完了する。
【0106】
次に、図6に本実施の形態のグレア散乱を補正するためのグレア補正フィルタの作成手順を説明するための図を示し、以下、図6に基づいて、グレア補正フィルタの作成手順を説明する。ただし、図6において、図6(A),図6(C)はグレア散乱の点広がり関数を測定するために用いられるファントムの正面像を説明するための図であり、図6(B),図6(D)は撮影画像の画素値と該画素値の分布位置との関係を示すプロフィールの図である。また、図6(A)に示すファントムは、たとえば、鉛板600の中央に半径r1の穴を開けたものであり、図6(C)に示すファントムは、鉛板600の穴の中心に半径r2の円盤状の鉛板602を配置したものである。
【0107】
前述するように、グレア補正とは、X線I.I.7の出力蛍光面において生じる光の散乱がX線画像中に混入したものを取り除く処理である。特に、画像中にハレーションが存在する場合は、ハレーション部分で発生するグレア散乱光が参照画像中に大量に混入して、X線透視制御およびX線撮影制御の精度を低下させる原因となる。
【0108】
グレア散乱の点広がり関数hは、一般的に、指数関数で近似され、下記に示す数3で表される。
【0109】
【数3】
【0110】
従って、参照画像をグレア散乱前の画像に戻すためのグレア補正フィルタの周波数特性1/Hは、下記の数4で示される。
【0111】
【数4】
【0112】
このように、グレア補正手段402では、数4で示されるデジタルフィルタによりグレア補正を行う。但し、数3および数4中に含まれるa,bは、点広がり関数を特徴づけるパラメータであり、予め測定しておく必要がある。
【0113】
次に、グレア散乱の点広がり関数のパラメータa,bの値の測定法を説明する。
【0114】
グレア散乱の点広がり関数の測定においては、ファントムはX線グリッドの直前に配置され、被検体4および寝台天板5は配置しないものとする。このとき、図6(A),(C)のファントムに対してそれぞれX線撮影を行い、撮影画像の画素値と該画素値の分布位置との関係を示すプロフィールを表示すると図6(B),(D)のようになる。ただし、プロフィールは、鉛板600の中央を通過する直線601上のプロフィールである。
【0115】
図6(B),(D)において、鉛板600の穴の中心位置における画素値をそれぞれI1,I2とすると、点広がり関数のパラメータaは、I1,I2およびパラメータbを用いて、下記の数5で表される。
【0116】
【数5】
【0117】
従って、数5を数4に代入することで、数4のパラメータをbのみにすることができる。このとき、bを変数として、図6(C)に示されるファントムの撮影像に対してグレア補正を行い、補正後の画像のプロフィールにおけるI2の値が0となるようにbを決定することができる。また、決定されたbの値と数5とを用いてaの値も求めることができるので、グレア補正フィルタの周波数特性を決定することができる。
【0118】
次に、図7に本実施の形態の関心領域内データ選択手段の動作を説明するための図を示し、以下、図7に基づいて、関心領域内データ選択手段403における処理動作を説明する。
【0119】
一般的に、関心領域は被検体4の撮影対象部位毎に異なるため、検者は予め操作卓11より被検体4の撮影対象部位を設定する。このとき、関心領域の内部のデータのみを選択するために用いられる関心領域マスク705は、該撮影対象部位毎に予め設定されており、撮影対象部位の設定値に応じて選択される。なお、関心領域マスク705で設定される関心領域は、X線透視時においては、後述する手段で任意に変えることもできる。
【0120】
次に、選択された関心領域マスク705は、X線照射野の内部のデータのみを選択するために用いられるX線照射野マスク703に対して、論理積演算手段704による論理積がとられる。従って、論理積手段704から出力されるマスク(選択マスク)では、関心領域内部であり、かつ、X線照射野内部である領域が選択される。また、X線照射野マスク703は、操作卓11で設定された透視時および撮影時におけるX線照射野に応じて作成される。
【0121】
最後に、データ選択処理手段701が、参照画像700に対して、論理積手段704で決定された領域の内部のデータのみを選択するデータ選択処理を行い、選択されたデータ702のみが、関心領域内データ選択装置403から出力される。ただし、前述したデータ選択処理手段701および論理積手段704は、たとえば、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現する。
【0122】
次に、図8に本実施の形態の重み付け平均値演算手段の計算を説明するための図を示し、以下、図8に基づいて、重み付け平均値演算手段404の動作を説明する。ただし、図8において、図8(A)は本実施の形態における重み関数を示す図であり、図8(B)は重み付け平均値演算装置404における処理手順を説明するための図である。
【0123】
関心領域内データ選択装置403で選択されたデータは、まず、図8(A)に示す重み関数が各ピクセル値に応じて積算され、次に、重み関数を積算した後の全データの平均値が計算される。図8(A)に示すように、重み関数はデータのピクセル値すなわち画素値を変数とする正規分布で示される。該正規分布は平均値Mおよび標準偏差σによって一意に決定される。従って、平均値Mおよび標準偏差σの値は、重み関数を表現するパラメータとして検者が設定できるようになっている。また、本実施の形態においては、重み関数を関心領域内データ選択装置403により選択されたデータ702のヒストグラムに対して積算することによって、選択データ内におけるピクセル値が極端に高い部位や極端に低い部位等のような、診断上、重要性の低い部位の画像情報がX線透視時における露出制御に与える影響を少なくすることができる。
【0124】
次に、図8(B)に基づいて、重み付け平均値演算装置404における処理の手順を説明する。
【0125】
前述するように、重み関数のパラメータM,σの値は、撮影対象部位毎に適正値が異なるので、撮影対象部位毎に適正値が予め設定されている。検者は、操作卓11より被検体4の撮影対象部位を設定し、該設定値に応じて適正なM,σの値801が選択される。なお、このとき、M,σの値は、X線透視時においては、後述する手段によって、任意に変えることもできる。該選択されたM,σの値801を用いて、関心領域内データ選択装置403により選択されたデータ702に対して、数5で示される重み付け平均演算800が行われ、重み付け平均値M’が計算される。
【0126】
本実施の形態においては、重み関数として正規分布とすることにより、検者が直感的に重み関数を操作することができるという効果がある。ただし、重み関数としては正規分布に限定されることはなく、たとえば、自由度3以上のχ2(カイ2乗)分布、ポアソン分布あるいはt分布等でもよい。
【0127】
次に、図9に関心領域マスクおよび重み関数のパラメータM,σの値をX線透視時において任意に変化するパラメータ設定手段の動作を説明するための図を示し、以下、図9に基づいて、パラメータ設定手段の動作を説明する。ただし、図9において、図9(A)はパラメータ設定手段の外観を説明するための図であり、図9(B)は関心領域の設定手順を説明するための図であり、図9(C)は関心領域の設定後を説明するための図である。
【0128】
一般的に、関心領域および重み関数のパラメータ値は、被検体4の個体差によって適正値が異なるので、X線透視時において修正を加えることによって、適正なX線透視制御を行うことができる。本実施の形態においては、該関心領域およびM,σの設定は、コントローラ900を用いて行う。該コントローラ900は、リモート操作が可能であり、また、操作卓12および遠隔操作卓11上に配置することもできる。
【0129】
図9(A)に示すように、関心領域の設定は、関心領域設定ボタン901およびリセットボタン902を用いて設定される。関心領域設定ボタン901は、多数のボタンから構成されるが、その外枠は円形となっている。ただし、この円形は、X線I.I.により検出される領域に対応している。この多数のボタンは、それぞれが独立にオン,オフ可能であり、該ボタンを押すことにより、順次、オンとオフとを繰り返す。また、各ボタンはオンの状態の時にのみ、ボタン自体が光る構造あるいはボタンの色が変化する構成となっている。たとえば、この関心領域設定ボタン901は、周知のタッチセンサを用いる。
【0130】
次に、図9(B)に基づいて、関心領域の設定手順を説明すると、まず、検者が操作卓11から撮影対象部位を設定すると、図9(B)に示すように、撮影対象部位に対して設定された関心領域に対応するボタン907のみが自動的にオンの状態になり光る(図9(B)に斜線で示すボタン)。次に、X線透視時において、検者が関心領域を変化する場合は、たとえば、検者が関心領域設定ボタン901を押し下げるあるいは接触することによって、関心領域設定ボタン901を自由にオン,オフさせることで、図9(C)に示すように、関心領域を設定するできる。ただし、関心領域がX線照射野外に設定されることを防止するために、本実施の形態においては、X線照射野外に対応するボタンは、常にオフの状態のまま固定されるようになっている。また、設定した関心領域が小さすぎる場合にはX線透視制御が不安定になるので、関心領域の最小面積を予め設定しておき、設定された関心領域の面積が、この最小面積より小さくなる場合には、関心領域設定ボタン901がオンの状態のまま固定されるようになっている。
【0131】
前述するように、関心領域が変更された場合、設定された関心領域の外枠は、一定時間だけモニタ10上に表示される。なお、このようにして新たに設定された関心領域は、リセットボタン902を押すことにより、図9(B)に示す初期状態に戻すことができる。また、前述した手順によって決定した関心領域を撮影対象部位に対して新たに設定し直すことも可能である。
【0132】
次に、重み関数のパラメータM,σ設定の手順は、平均値設定ボタン(関数パラメータ設定手段)904および標準偏差設定ボタン(関数パラメータ設定手段)906を用いてそれぞれ設定する。設定されたM,σの値は、それぞれ平均値表示板903および標準偏差値表示板905上に常に表示される。まず、操作卓11によって撮影対象部位が設定されると、撮影対象部位に対して設定されるM,σの値がはじめに設定され、それぞれ平均値表示板903および標準偏差値表示板905上に表示される。次に、X線透視時においてMを変える場合は、平均値設定ボタン904(a),(b)を押すことにより、それぞれMの値をそれぞれ増やす、あるいは、Mの値を減らすことができる。なお、Mの値は予め設定された設定範囲内のみで変化することができる。同様に、X線透視時においてσを変える場合は、標準偏差設定ボタン906(a),(b)を押すことによりσの値をそれぞれ増やす、あるいは、減らすことができる。なお、σの値は予め設定された設定範囲内のみで変化することができる。また、前述する手順によって新たに設定したM,σの値は、リセットボタン907を押すことにより初期状態に戻すことができる。また、前述した手順で決定したM,σの値を、撮影対象部位に対して新たに設定し直すことも可能である。
【0133】
次に、図10に本実施の形態の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図を示し、以下、図10に基づいて、透視撮影条件設定手段の動作を説明する。ただし、図10において、図10(A)はX線透視時の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図であり、図10(B)はX線撮影時の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図である。
【0134】
まず、図10(A)に基づいて、X線透視時における透視条件の設定手順を説明する。
【0135】
X線透視時においては、X線管1の透視管電圧V、管電流量Q、光学絞り面積Ωおよびアンプ107のゲインGのそれぞれの値を決定する必要がある。ただし、通常、透視管電流量Qの値は透視管電圧Vに基づいて決定されるので、透視管電流量は管電圧Vの関数としてQ(V)で表される。また、光学絞り面積Ωは、透視時においては一定に保たれる。更には、アンプ107のゲインGは、カメラモードにより決定される。従って、透視時において制御されるパラメータとしては透視管電圧Vのみを考慮すればよい。すなわち、重み付け平均値M’がMになるように、画像出力をM/M’倍する透視管電圧Vを設定すればよい。このため、数1を用いて画像出力IをM/M’倍する透視管電圧Vを求めることによって、透視画像を適正に制御できる。
【0136】
次に、透視管電圧Vの計算手順を説明すると、まず、数1において、左辺の画像出力IにM’を代入することにより、平均被検体厚toを逆算する(ステップ1000)。ただし、平均被検体厚toの逆算は、たとえば、2分法等の数値計算手段を用いることにより演算する。
【0137】
次に、透視撮影条件設定手段405は、平均被検体厚to、透視管電圧Vおよび透視管電流量Q(V)を数1に代入して、透視管電圧Vを変化させ、左辺の画像出力IがMとなるようなVを決定する(ステップ1001)。なお、この平均被検体厚toは、ハレーション補正手段401における処理においてもデータを共有することができる。
【0138】
ステップ1000,1001で求めた透視管電圧Vおよび透視管電流量Q(V)の値は、透視・撮影条件記憶メモリ111に記録(格納)され、直ちにX線管1の出力に反映される。前述する手順によって、X線透視時におけるフィードバック制御が行われる。一般的に、前述した手順によって新たに得た参照画像に対して重み付け平均値M’を計算すると、直ちにMとはならないが、これは重み付け演算に起因するものである。しかしながら、本実施の形態におけるX線透視時においては、重み付け平均値M’は、フィードバック制御により数回でMに収束する。
【0139】
次に、図10(B)に基づいて、X線撮影時における撮影条件の設定手順を説明する。
【0140】
X線本撮影時においては、X線管1の管電流量Q’、光学絞り面積Ω’およびゲインG’のそれぞれの値を決定する必要がある。ただし、撮影時における光学絞り面積Ω’は、通常、一定値に保たれる。更には、アンプ107のゲインG’は、カメラモードにより決定される。従って、撮影時において制御されるパラメータとしては撮影管電流量Q’のみを考慮すればよい。すなわち、予備撮影における重み付け平均値M’がMになるように、画像出力IをM/M’倍する撮影管電流量Q’を設定すればよい。しかしながら、前述したX線透視時と同様に、こうして設定された撮影管電流量Q’を用いてX線本撮影を行った場合であっても、X線撮影像の重み付け平均値は直ちにMとはならない。これは、重み付け演算に起因するものである。また、X線撮影時においては、透視時の場合のようにフィードバック制御を行いながらM’をMに近づけていくことができないので、正確な撮影管電流量Q’を計算するために、以下に示す処理を行う。
【0141】
まず、X線予備撮影時においては、関心領域内データ選択装置403から出力されるデータは、図示しないメモリに一度保存される。次に、該メモリに保存されたデータに対して、重み付け平均値演算装置404が重み付け平均M’を計算する。次に、透視撮影条件設定手段405は、MとM’との差の絶対値を計算し、この差がεより小さいか否かを判定する(ステップ1002)。該ステップ1102において、MとM’との差の絶対値差がεより小さい場合には、撮影管電流量Q’が適正値に設定されているものとして、このときの重み付け平均値M’を透視・撮影条件記憶メモリ111に記録(格納)する。一方、MとM’との差の絶対値がεより大きい場合には、透視撮影条件設定手段405は、撮影管電流量Q’が適正値に設定されていないとして、撮影管電流量Q’をM/M’倍したものを新たにQ’として、重み付け平均値演算手段404に出力する。また、透視条件設定手段405は、図示しないメモリに格納されたデータ(関心領域内データ選択手段403から出力されたデータ)を全てM/M’倍した後、該M/M’倍したデータを図示しないメモリに上書きすることによって、メモリ内のデータを更新する。
【0142】
一方、透視撮影条件設定手段405によってデータを更新された重み付け平均値演算手段404は、再び、更新されたデータに基づいて、重み付け平均値M’を計算し、透視撮影条件設定手段405に出力する。透視撮影条件設定手段405でも、再び、MとM’との差の絶対値を計算し、この差がεより小さいか否かを判定する(ステップ1002)。
【0143】
透視撮影条件設定手段405は、以上に説明した手順を、MとM’との差の絶対値が所定値εよりも小さくなるまで繰り返すことによって、M’を逐次的にMに近づけていき、適正な撮影管電流量Q’、すなわち、適正な撮影条件を計算する。
【0144】
このように、本実施の形態の透視撮影条件設定手段405は、本撮影を行う前に適正な撮影管電流量を設定することができるので、テレビカメラ9のフレーム読み取り時間に関係なくX線照射時間を制御できる。
【0145】
ただし、所定値εは、予め設定した値をテーブル300に格納しておく、あるいは、透視撮影前に操作卓12もしくは遠隔操作卓11から検者が設定してもよい任意の値である。また、所定値εは、撮影画像の精度を決定する係数となっており、所定値εが小さい場合には精度が高くなる一方、演算時間が増加し、所定値εが大きい場合には精度が低くなる一方、演算時間を減少させることができる。従って、所定値εの適正値としては、5≦ε≦25の範囲であり、たとえば、10,15等が適している。
【0146】
また、本実施の形態の透視撮影条件設定手段110は、予備撮影時と本撮影時とにおける管電圧およびX線照射野を同一にしているので、予備撮影と本撮影間において画像のコントラストや散乱X線量の割合を同一にすることができる。したがって、撮影時の露出量を簡単に決定することができる。また、撮影時の露出量を精度よく算出することができるので、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0147】
一方、本実施の形態の透視撮影条件設定手段110は、本撮影時における撮影管電流量Q’に対して、予備撮影時における撮影管電流量Q’が小さくなるように設定することも可能であり、この場合には、参照画像中に含まれるハレーションを抑えることができるので、参照画像に基づく撮影制御を正確に行うことができる。従って、X線撮影画像の画質を向上できる。
【0148】
次に、図11に本実施の形態のテーブルのデータ構成を説明するための図を示し、以下、図11に基づいて、テーブル300のデータ構成を説明する。
【0149】
図11から明らかなように、テーブル300は、FCの各テレビモードに対する値301、FIの各I.I.モードに対する値302、および、各特性値の値303から構成される。但し、特性値は、グリッドの種類およびフィルタの種類によって異なるので、使用される全てのグリッドおよびフィルタの組み合わせに対して、テーブルが用意される。このテーブルは、たとえば、グリッドとフィルタとの組み合わせ毎に用意しておく。
【0150】
以上説明したように、本発明の実施の形態のX線透視撮影装置では、X線透視時あるいは予備撮影時において撮像したX線像であるデジタル画像に対して、重み付け平均値演算手段404が、重み関数として導入した変数を画素値とする正規分布と、関心領域内データ選択手段403から入力される選択データの画素値のヒストグラムとから、数2に示す計算式によって、選択データの重み付け平均値M’を計算し、透視撮影条件設定手段405が重み付け平均値M’と重み関数の平均値Mとが等しくなる透視管電圧Vもしくは撮影管電流量Q’計算し、透視撮影条件記憶メモリ111に格納することによって、X線制御器100が該格納値に基づいて、X線管1の出力を調整するので、診断上重要性の低い部位の画像情報がX線透視時における露出制御に与える影響を少なくすることができる。従って診断上重要な部位の画像濃度を適正にすることができる。また、診断上重要な部位の画像濃度を適正にするように透視および撮影条件を制御できるので、X線透視撮影画像の画質を向上できる。従って、検者の診断性能を向上することができる。また、検者の診断効率を向上できる。さらには、本実施の形態においては、重み関数として確率分布関数の一形態である正規分布を用いているので、関数パラメータを変更する場合等に、関数の形状を検者が直感的に判断できるという効果もある。
【0151】
また、数2から明らかなように、重み付け平均値M’は、関心領域内データ選択手段403から入力されたヒストグラムと重み関数との積算値、すなわち、重み付け処理がされているので、本実施の形態のX線装置は、診断上重要性の高い撮影部位における画像出力が適正な値になるように、透視撮影制御を行うことができる。
【0152】
更には、本実施の形態のX線透視撮影装置は、従来とは異なり、グレア補正手段402がグレア散乱の影響を除去した参照画像に基づいて、透視撮影制御を行うので、常に適正なX線量となるように、X線透視条件およびX線撮影条件を制御することができる。
【0153】
例えば、マーゲン側面等の透視画像中にハレーションが生じると、該ハレーション部分で発生したグレア散乱が大量に透視画像中に混入し、出力信号中の40パーセント近くに及ぶことがあった。このため、トータルの出力信号が一定値になるようにX線透視制御を行っていた従来のX線透視撮影装置では、適正なX線量の60パーセント程度のX線量が出力された状態で制御が収束し、このため画質が低下してしまうという問題があった。これに対して,本実施の形態のX線透視撮影装置では、グレア補正手段402がグレア成分を除去した参照画像に基づいて、X線透視制御を行うので、X線量がほぼ適正値となるように制御を行うことができる。従って、従来に比べてX線量で約40パーセント程度の改善ができる。
【0154】
更には、本実施の形態のX線装置では、グレア補正手段402によってグレア散乱の補正を行う前に、ハレーション補正手段401によって、参照画像中のハレーション領域内の画素値を適正な画素値に変換するので、ダイナミックレンジが小さいテレビカメラ9で撮像した場合であっても、透視および撮影制御に使用できる。
【0155】
また、本実施の形態のX線透視撮影装置では、テレビカメラ9で撮像したX線画像に基づいて、制御を行うことができるので、X線装置の構成を簡単化することができる。従って。低コストなX線診断装置を提供することができる。
【0156】
また、テレビカメラ9で撮像したX線画像に基づいて、制御を行う構成となっているので、被検体の移動に伴うセンサーの過敏な反応を防止することができる。さらには、透視画像を安定に撮影できる。
【0157】
なお、本実施の形態のX線透視撮影装置においては、画像縮小手段400、ハレーション補正手段401、グレア補正手段402、関心領域内データ選択手段403、重み付け平均値演算手段404および透視撮影手段405は、周知の情報処理装置上で動作するプログラムで実現したが、これに限定されることはなく、たとえば、これらの手段の内の1手段あるいはそれ以上の手段を専用の演算回路すなわちハードウエアを用いて構成してもよいことは言うまでもない。
【0158】
また、本実施の形態においては、撮影時の管電流量Q’を採用するか否かを平均値Mと重み付け平均値M’との差の絶対値が、所定の値ε以下か否かによって判定していたが、これに限定されることはなく、MとM’との比(M/M’)で近似してもよいことは言うまでもない。
【0159】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0160】
例えば,本実施の形態では、X線撮影を行う際に、予備撮影を行う方式を示したが、X線透視中に計算される平均被検体厚の情報から、適正なX線撮影条件を求めることもできる。平均被検体厚の情報から、適正なX線撮影条件を求める方法としては、たとえば、特願平8−267518号に記載の方法がある。また、たとえば、本実施の形態においては、X線検出器としてX線I.I.7、光学レンズ系8およびテレビカメラ9からなる系を用いたが、これに限定されることはなく、たとえば、X線2次元平面センサ等を用いた場合であっても、同等の効果が得られることは言うまでもない。該X線2次元平面センサの例としては、たとえば、「Large Area,Flat-Panel,Amorphous Silicon Imagers;L.E.Antonuk,et al.SPIE,Vol.2432,Physics of Medical Imaging,pp.216-227」に記載の例等がある。また、本発明は一般的なX線透視装置、X線撮影装置、立体X線撮影装置等にも適用できることは言うまでもない。
【0161】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0162】
(1)ビデオ信号を用いたX線透視撮影制御において、従来に比べてより適正なX線透視撮影制御を行うことができる。
【0163】
(2)ビデオ信号を用いたX線透視撮影制御において、診断性能を向上することができる。
【0164】
(3)X線装置の構成を簡単化することができるので、低コストなX線診断装置を提供することができる。
【0165】
(4)X線透視を安定に行うことができる。
【0166】
(5)被検体の移動に伴うセンサーの過敏な反応を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るX線装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の透視撮影条件演算装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の透視撮影条件演算装置の動作を説明するための動作フローである。
【図4】X線透視およびX線撮影時におけるパラメータの設定例を説明するための図である。
【図5】本実施の形態のハレーション補正手段の動作を説明するための図である。
【図6】本実施の形態のグレア散乱を補正するためのグレア補正フィルタの作成手順を説明するための図である。
【図7】本実施の形態の関心領域内データ選択手段の動作を説明するための図である。
【図8】本実施の形態の重み付け平均値演算手段の計算を説明するための図である。
【図9】関心領域マスクおよび重み関数のパラメータM,σの値をX線透視時において任意に変化するパラメータ設定手段の動作を説明するための図である。
【図10】本実施の形態の透視撮影条件設定手段の動作を説明するための図である。
【図11】本実施の形態のテーブルのデータ構成を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線フィルタ、3…X線コリメータ、4…被検体、5…寝台天板、6…X線グリッド、7…X線イメージインテンシファイア、8…光学レンズ系、9…テレビカメラ、10…モニタ、11…遠隔操作卓、12…操作卓、100…X線制御器、101…X線フィルタ制御器、102…X線コリメータ制御器、103…透視撮影位置制御器、104…I.I.モード制御器、105…光学絞り制御器、106…テレビカメラ制御器、107…アンプ、108…A/D変換器、109…画像処理装置、110…透視撮影条件演算装置、111…透視撮影条件記憶メモリ、300…テーブル、400…画像縮小手段、401…ハレーション補正手段、402…グレア補正手段、403…関心領域内データ選択手段、404…重み付け平均値演算手段、405…透視撮影条件設定手段、700…参照画像、701…データ選択処理手段、702…選択されたデータ702、703…X線照射野マスク、704…論理積手段、705…関心領域マスク、900…コントローラ、901…関心領域設定ボタン、902…リセットボタン、903…平均値表示板、904…平均値設定ボタン、905…標準偏差値表示板、906…標準偏差設定ボタン、907…関心領域に対応するボタン。
Claims (7)
- X線を発生し被検体に照射するX線管と、X線の照射野を制限するX線照射野制限手段と、前記被検体のX線像を得る撮像手段とを有するX線装置において、X線透視時において撮像するX線像を参照画像とし、該参照画像の画像強度に対応するデータ数のヒストグラムと前記画像強度を変数とする重み関数とを積算して得た積算ヒストグラムの平均値を計算する重み付け平均値演算手段と、前記積算ヒストグラムの平均値が前記重み関数の平均値になるように、前記X線管の出力を制御する透視撮影制御手段とを具備することを特徴とするX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、前記重み付け平均値演算手段は、前記重み関数として確率分布関数を用い、該確率分布関数の平均値と標準偏差値とを前記重み関数の関数パラメータとすることを特徴とするX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、X線透視時あるいは予備撮影時のX線像の画素数に対して、前記参照画像の画素数を小さくする画像縮小手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、縮小後の参照画像に基づいて、前記平均値を計算することを特徴するX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、前記被検体の透視および撮影対象部位を設定する手段と、該対象部位設定手段によって設定した対象部位に基づいて、前記重み関数を決定する手段を具備することを特徴とするX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、前記重み関数決定手段は、前記重み関数の関数パラメータの値を設定する関数パラメータ設定手段を具備することを特徴とするX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、前記参照画像に設けた関心領域内のX線像に対して、選択的に前記平均値を計算する領域を選択する関心領域内データ選択手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、前記平均値を計算することを特徴とするX線装置。
- 請求項1に記載のX線装置において、前記参照画像に設けた関心領域内のX線像に対して、選択的に前記平均値を計算する領域を選択する関心領域内データ選択手段を具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて前記平均値を計算し、前記関心領域内データ選択手段は、前記撮像手段の撮像範囲を模擬的に示した領域を分割して生成される複数の小領域に対して、当該領域に対応する位置のオンおよびオフの状態を決定する複数個のタッチセンサと、該タッチセンサの内でオン状態の領域に対応する撮像領域を前記参照画像上の関心領域として設定する手段とを具備し、前記重み付け平均値演算手段は、前記関心領域内データ選択手段によって設定した領域に基づいて、前記平均値を計算することを特徴とするX線装置。
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