JP3668587B2 - 医療用粘着製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリエーテルエステルアミド型医療用粘着剤、及びそれを用いた皮膚や粘膜のような生体膜に貼付する医療用テープや絆創膏等の外用貼付剤に関する。より詳細には、本発明は、新規なポリエーテルエステルアミド型医療用粘着剤、支持体とかかる医療用粘着剤を粘着剤として含有する粘着剤層とからなる貼付剤であって、かかる粘着剤層に薬物等を含有せしめた経皮吸収性粘着製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、重篤な狭心症の発作を緩和または予防する目的で、優れた薬効を示す硝酸イソソルビド(ISDN)、ニトログリセリンといった硝酸エステルが用いられてきた。一般に薬物の経口投与においては、胃、腸内のpH値、内容物の有無などの条件により薬物の消化管吸収性が左右される。従って一定量の薬物の長期間にわたる除放性ならびに除放された薬物の吸収量を制御することが困難である。特にISDNは経口投与における分解性が高いため血中濃度の維持ができず、夜間の発作の抑制、阻止は不可能である。
このような問題を解決するために薬剤を粘着剤中に含有させ、粘着剤を皮膚上に貼付することで薬剤を体内に持続的に投与する(経皮吸収)方法が知られている。この様な経皮吸収性粘着製剤は、例えば特開昭57−116011号公報、特開昭59−199628号公報、特開昭61−100520号公報、特開昭58−134020号公報などに開示されている。しかしながら、上記特許公報に開示された粘着製剤は、貼付した状態を維持し難いこと、および/または粘着力が強すぎて剥離時に剥がし難いという問題があった。これらのことは、貼付時の薬剤の放出維持に悪影響を与えるのみならず、剥離時の角質層剥離に伴う刺激による赤変、痛みを惹起してしまい、解決が望まれてきた。
【0003】
上述の問題点は用いる粘着成分の特性に起因するわけであり、その改良こそが上記問題の解決につながると考えられる。
医療用テープとして従来用いられてきた粘着剤は、大まかにはゴム系粘着剤とアクリル系粘着剤に分類される。
ゴム系粘着剤の一般的なものとしては、天然ゴムや合成ゴム(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体)を主成分としてこれに適量のロジン、ロジンエステル、あるいは合成炭化水素樹脂からなる粘着付与剤、および軟化剤、安定剤を添加したものである。かかる粘着剤は配合許容範囲が広いため特性コントロールが容易である反面、その配合比によっては粘着力の低下、もしくは内部凝集力不足によって、使用時や剥離時に、被着体である皮膚表面ヘの粘着剤の糊残りを生じる。更に粘着付与剤、安定剤など、雑多な化学成分の混合物である場合には、これら化学成分による刺激が強く、かぶれや皮膚炎の原因になることが多いという問題点を有する。
ゴム系粘着剤の粘着力不足、糊残り、あるいは皮膚刺激を防ぐ手段として、粘着剤として機能するのに必要な部分構造を共有結合により一体化することが検討されている。その代表例であるアクリル系粘着剤としては、2−エチルへキシル基、ブチル基等の、炭素数4〜18の長鎖アルキル基の(メタ)アクリレートと、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、高極性モノマー(アクリル酸、ビニルピロリドン)等の成分を、共重合等により組み合わせたものが知られている。このようなアクリル系粘着剤は高極性成分や架橋成分と共重合されることで、内部凝集力の不足に伴う粘着剤分離または皮膚への糊残り現象は起こり難く、良好な粘着性、薬物除放性を示す。このような粘着剤の改良を行ったISDN粘着製剤として、特公平6−329539号公報、特開平6−345639号公報、特開平6−345640号公報、特開平7−17851号公報、特開平7−42228号公報、特公平4−74329号公報等が知られている。
【0004】
しかしながら、これらはポリマー自体の物性および/または架橋が強固なため、室温における弾性損失率が高く、粘着剤が皮膚の動きに追従できず、これが貼付時に皮膚に対する刺激となり、しばしばかぶれや皮膚炎の原因となる。
一方、無機のフィラーとして無水珪酸等を添加し粘着性を落とすことによる皮膚刺激性の改善が特開平8−245380号公報に開示されているが、単に粘着剤中に無機粒子を分散させているのみで、貼付時に無機物が再配向、凝集して粘着力の経時変化が起こる可能性があり、本質的な解決には至っていない。
これに対し、特開平3−220120号公報には、アクリル酸エステル系ポリマーおよび該ポリマーと相溶する液体成分とを含むアクリル系ゲル状粘着剤が提案されている。このゲル状粘着剤は、多量の液体成分を含有できるため、従来の非架橋粘着剤に比べて粘着力と剥離容易性をコントロールでき、角質層剥離も少ないとされている。実際、このものをISDN含有粘着製剤の粘着成分に用いることで、貼付時、剥離時の皮膚刺激を軽減できるという報告が特開平3−223212号公報に開示されている。
しかしながら、液体含有ゲル層を形成するために、かかる粘着剤では、アクリル酸エステル系ポリマー中に含まれるアクリル酸単位を、Al3+やチタンなどの多価金属アルコラートや三官能イソシアネートなどの低分子架橋剤を用いて化学反応により架橋する必要がある。こうした高分子化学架橋反応では、通常、未反応の試薬が痕跡量系に残存するため、この有害な未反応試薬が経皮的に体内に吸収される危険性がある。
また特開昭60−147487号公報では、生体親和性の高いゼラチンを主成分に、可塑剤、ゲル化阻害剤を配合した粘着剤が提案されているが、この粘着剤は常温から体温付近(20〜37℃)にかけての粘着特性の変化が激しく、特に体温付近の高温多湿下の肌への糊残りや曳糸性の点で問題がある。またゲル化阻害剤などの添加物の刺激によるかぶれ、皮膚炎の問題も無視できない。
【0005】
一方、化学的に粘着ポリマーを架橋すること無しに、分子オーダーでの物理的相互作用(例えばVan−Del−Waals力等)を利用した擬似架橋を行うことも検討され、例えば、特公平8−2785号公報では、アルキルアクリレートへのスチレンマクロモノマーのグラフト共重合により、側鎖のポリスチレンがドメインを形成し橋架け状態となった擬似架橋体が、十分な内部凝集力と柔軟性を併せ持ち、また皮膚刺激の少ない粘着剤として提案されている。
しかしながら、この粘着剤の場合には、確かに従来のものと比べると凝集力は向上してなおかつ皮膚刺激が少ないと思われるが、それでも完全にこれらの問題点を解決しているとは思えず、実際糊残りに対する記述はない。すなわち特に効率的な擬似架橋体形成という意味で改善の余地が残っていると考えられる。
また、医療用セグメント化ポリウレタンに三官能性のポリオール及びポリプロピレングリコール等のポリエーテルを導入し、更にポリエチレンオキシド鎖をグラフトすることで、架橋ポリウレタンを凝集部位としたゲル粘着剤が報告されているが(敷波、森田、蔦、谷口、高分子論文集、Vol.49,No.1,pp.19-27(Jan.,1992))、これも痕跡量の原料イソシアネート、芳香族ジアミンの皮膚為害性、発ガン性等の問題を解決していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記事情に鑑みて、皮膚の動きの激しい部位に貼付した場合も十分な粘着性を有する新規な医療用粘着剤を用いた経皮吸収性粘着製剤を提供することにある。
また本発明の目的は、皮膚の動きの激しい部位に貼付した場合も十分な粘着性を有し、安定剤を添加しない場合でも相分離等を起こさず、従って粘着性能、貼付製剤としての機能を経時的な変化もなく安定に維持できるという安定性を示す、新規な医療用粘着剤組成物を用いた経皮吸収性粘着製剤を提供することにある。
また更に本発明の目的は、皮膚の動きの激しい部位に貼付した場合も十分な粘着性を有し、安定剤を添加しない場合でも相分離などを起こさず、従って粘着性能、貼付製剤としての機能を経時的な変化もなく安定に維持できるという安定性を示し、かつ糊残りや皮膚刺激の少ない、新規な医療用粘着剤組成物を用いた経皮吸収性粘着製剤を提供することにある。
更に本発明の目的は、粘着性、安定性に優れ、糊残りや皮膚刺激が少なく、安全性に優れ、かつ他の粘着付与成分の添加無しに機能しうる、工業的に廉価な新規な医療用粘着剤組成物を用いた経皮吸収性粘着製剤を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、かかる従来技術に鑑みて鋭意検討の結果、芳香族ジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、長鎖アルキルグラフトグリセロエーテルおよび末端アミノ化ポリエチレングリコールという特定の5種類の繰り返し単位から実質的になり、かつこれら繰り返し単位のうちポリオキシアルキレングリコール、末端アミノ化ポリエチレングリコール及びアルキルグラフトグリセロエーテルの含有量が特定の範囲内にあるポリエーテルエステルアミド共重合体からなる粘着剤が十分な粘着力を有し、また適度な内部凝集力と柔軟性を有しており、更に皮膚刺激性が少ないことを見出した。
【0008】
本粘着剤ではポリエステル主鎖の剛直性ならびにポリアミドの水素結合部位が擬似架橋ドメインとして機能し、同時にポリオキシアルキレングリコール鎖が有する親水性と柔軟性が粘着剤のバルクの皮膚追従性を維持しつつ、長鎖アルキルグラフト基による粘着性が十分に発揮される。
【0009】
さらにポリオキシアルキレングリコール単位数、疎水性メチレン鎖の構造および鎖長、芳香族ジカルボン酸の種類、更にこれらの共重合組成の制御したかかる粘着剤に、吸収促進剤としてのオイル状成分、および薬剤であるISDNを配合して成る粘着性組成物が、皮膚上へ貼付した際に適度な粘着力を示し、皮膚刺激や糊残りの少ないこと、及びかかる組成物が、一定量の薬物を長時間にわたり持続的に放出できることから、前記の問題点が解決できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、支持体と薬物を含有する粘着剤層とからなる経皮吸収性粘着製剤であって、該粘着剤層の粘着剤が、ポリエーテル、ポリエステル、およびポリアミド骨格として
下記式(1)〜(5)
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、Aは炭素数6〜12の2価の芳香族基、Dは炭素数2〜15の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレン構造の数平均分子量が200〜20,000となるような単位繰り返し数、lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が200〜20,000となるような単位繰り返し数、R’は炭素数4〜12のアルキル基である。)で示される繰り返し単位から実質的になり、かつ該式(1)〜(5)で表される繰り返し単位の合計量に基づく該式(3)及び(5)で表される繰り返し単位の合計含有量が重量比で20〜90重量%で、該式(1)〜(4)で表される繰り返し単位の合計量に基づく該式(4)で表される繰り返し単位の含有量が重量比で70〜5重量%であるポリエーテルエステルアミド共重合体より構成されているポリエーテルエステルアミド型医療用粘着剤からなり、該薬物が硝酸イソソルビドであって、該粘着剤層に吸収促進剤が含有せしめられていることを特徴とする経皮吸収性粘着製剤。
以下本発明について詳述する。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記式(1)において、Aは炭素数6〜12の2価の芳香族基を示し、具体的にはp−フェニレン、m−フェニレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、4,4’−ビフェニレン、2,2’−ビフェニレン基等を例示することができる。Aとしてはこれらのうちp−フェニレン基、2,6−ナフチレン基が好ましい。
上記式(2)において、Dは炭素数2〜15の二価の炭化水素基であり、炭素数2〜15の鎖状アルキレン基若しくはシクロアルキレン基を挙げることができる。具体的にはエチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン基などの炭素数2〜15の鎖状アルキレン基、若しくは1,4−シクロヘキサンジメチレン基などの炭素数8〜12のシクロアルキレン基を例示することができる。これらのうちテトラメチレン基及び/又はヘキサメチレン基が好ましく、なかでもテトラメチレン基が好ましい。
上記式(3)において、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、具体的には、エチレン、プロピレン、テトラメチレン基等を例示することができる。Rとしてはこれらのうち、エチレン及び/又はテトラメチレン基が好ましく、なかでも特にテトラメチレン基が好ましい。Rは単独の構造でもよいし、二種以上の構造から構成されていてもよい(例えばエチレン/プロピレンブロック)。
【0014】
Kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレン構造の数平均分子量が、200〜20,000となるような単位繰り返し数を示す。ポリオキシアルキレン構造の数平均分子量は、好ましくは400〜6,000、より好ましくは800〜3,000、特に好ましくは900〜2,000である。例えば、Rがテトラメチレンの場合、kがおよそ6〜277、Rがエチレンの場合、kがおよそ9〜455の範囲の数であれば数平均分子量で400〜6,000に相当する。更に例えばRがエチレンの場合、kが18〜228の範囲の数であれば数平均分子量で800〜3,000に相当し、kが20〜152の範囲の数であれば数平均分子量で900〜2,000に相当する。
一方、lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が200〜20,000となるような単位繰り返し数を表すが、上記式(5)におけるポリオキシエチレン構造の繰り返し単位数lとしてはやはりポリオキシエチレン構造の数平均分子量が400〜6,000となる値として9〜455が好ましく、なかでも数平均分子量が400〜3,000となる値として9〜152が好ましい。
上記式(3)、(5)で表されるポリオキシアルキレン構造の合計含有量は、上記式(1)〜(5)で表される繰り返し単位の合計量に対し、重量比で20〜90重量(wt)%である。
【0015】
本発明の医療用粘着剤中のポリエーテルエステルアミド共重合体におけるソフトセグメントであるポリオキシアルキレン成分(即ちポリオキシアルキレングリコール及び末端アミノ化ポリオキシエチレンの合計量)の含有量がポリエーテルエステルアミド共重合体に対し、重量比で10wt%未満ではポリエーテルエステルアミドの剛直性が高すぎ、粘着剤が皮膚の動きに追従できにくい傾向にあり、更に本粘着剤に薬物を含有させる場合に会っては、例えば薬物であるISDNの溶解性も低下する。また90wt%を超えると柔軟性が高すぎるため、内部凝集力の低下を招き物理的強度も十分ではない。かかるポリオキシアルキレン成分の含有量は、好ましくは20〜85wt%、より好ましくは40〜80wt%である。
上記式(3)と(5)で表されるポリオキシアルキレン構造における、式(3)で表される繰り返し単位の式(5)で表される繰り返し単位に対する重量分率としては、式(3)で表される繰り返し単位の含有量が重量比で1〜99wt%であるのが好ましい。上記式(3)の分率は、用いる薬剤処方や使用部位等の使用条件により任意の組成で組み込むことができる。(3)の分率が高くなると粘着剤は架橋点が増加して凝集力が向上するが、柔軟性が低下する。また粘着剤の極性が高くなり、ステロイド剤等の脂用性薬剤の溶解性が低下する。上記式(3)で表される繰り返し単位の上記式(5)で表される繰り返し単位に対する重量分率としては、好ましくは10〜90wt%、より好ましくは50〜80wt%である。
【0016】
上記式(4)において、R’は炭素数が4〜12のアルキル基である。かかるアルキル基としては、直鎖または分岐鎖の炭素数4〜12のアルキル基を挙げることができ、例えばn−ブチル、n−オクチル、2−エチルへキシル基等が挙げられるが、なかでも2−エチルへキシル基が好ましい。
また式(1)〜(5)で表される繰り返し単位の合計量に基づく上記式(4)で表される繰り返し単位(アルキルグラフトグリセロールエーテル)の含有量は、重量比で70〜5wt%である。
本発明の医療用粘着剤組成物中のポリエーテルエステルアミド共重合体における粘着付与部位であるアルキルグラフトグリセロールエーテルの含有量が、該ポリエーテルエステルアミドに対し重量比で5wt%未満では粘着性が低く、皮膚上への貼付に際して粘着剤として機能できず、また70wt%を超えると粘着性の著しい増大並びに凝集力の低下による糊残りを招き、本発明の目的とする機能発現に関して十分ではない。かかるアルキルグラフトグリセロールエーテルの含有量は、好ましくは60〜10wt%、より好ましくは50〜20wt%である。
【0017】
すなわち、本発明の医療用粘着剤組成物中のポリエーテルエステルアミド共重合体を構成する上記式(1)〜(5)で表される繰り返し単位のA、D、R、k、l、R’の好ましい組み合わせとしては、Aがp−フェニレン基又は2,6−ナフチレン基で、Dがテトラメチレン基又はヘキサメチレン基で、Rがエチレン基及び/又はテトラメチレン基、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が200〜20,000で、lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が200〜20,000となるような単位繰り返し数、R’が2−エチルヘキシル基であるものを挙げることができ、この場合に、式(3)及び(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計量が式(1)〜(5)で表される繰り返し単位の合計量に基づいて重量比で20〜85wt%で、式(4)で表される繰り返し単位の含有量が重量比で60〜10wt%であるものを好ましいものとしてあげることができ、なかでも更に、式(3)で表される構成単位の式(5)に対する重量分率が1〜99wt%であるものをより好ましいものとして挙げることができる。
なかでもAがp−フェニレン基又は2,6−ナフチレン基で、Dがテトラメチレン基及び/又はヘキサメチレン基で、Rがエチレン基及び/又はテトラメチレン基、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が400〜6,000(より好ましくは900〜2,000)で、 lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が400〜6,000で、R’が2−エチルヘキシル基である場合を好ましいものとして挙げることができ、更にこの場合に、式(3)及び式(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計量が式(1)〜(5)で表される繰り返し単位の合計量に基づいて重量比で20〜85wt%で、式(4)で示される繰り返し単位の含有量が重量比で60〜10wt%で、更に式(3)で表される繰り返し単位の式(5)で表される繰り返し単位に対する重量分率が1〜99wt%(より好ましくは10〜90wt%)であるものをより好ましいものとして挙げることができる。
【0018】
特に好ましいものとして、Aが2,6−ナフチレン基で、Dがテトラメチレン基で、Rがテトラメチレン基、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が400〜6,000(より好ましくは900〜2000)で、 lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が400〜6,000で、R’が2−エチルヘキシル基である場合を挙げることができ、更にこの場合に、式(3)及び式(5)で表される繰り返し単位の含有量の合計量が式(1)〜(5)で表される繰り返し単位の合計量に基づいて重量比で20〜85wt%(より好ましくは40〜80wt%)で、式(4)で表される繰り返し単位の含有量が重量比で60〜10wt%(より好ましくは50〜20wt%)で、更に式(3)で表される構成単位の式(5)に対する重量分率が1〜99wt%(より好ましくは50〜80wt%)であるものをより好ましいものとして挙げることができる。
このような本発明の医療用粘着剤中のポリエーテルエステルアミド共重合体は、具体的には、
(i)上記式(1)及び(2)で表される繰り返し単位からなる下記式(6)
【0019】
【化6】
【0020】
(式中、A、Dの定義は上記式(1)及び(2)における定義に同じ。)
で表されるポリエステル成分をハードセグメントとし、
(ii)上記式(1)及び(5)で表される繰り返し単位からなる下記式(7)
【0021】
【化7】
【0022】
(式中、A、lの定義は上記式(1)及び(5)における定義に同じ。)
で示されるポリアミドのアミド結合を水素結合の架橋点(補助的なハードセグメント)とし、
(iii)上記式(3)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量が200〜20,000のポリオキシアルキレングリコール、及び上記式(5)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量が200〜20,000の末端アミノ化ポリオキシエチレン成分をソフトセグメントとするエラストマーであって、
(iv)上記式(1)及び(4)で表される繰り返し単位からなる下記式(8)
【0023】
【化8】
【0024】
(式中、A、R’の定義は上記式(1)及び(4)における定義に同じ。)
で表されるグラフトポリエステルを粘着付与部位として有するポリエーテルエステルアミド共重合体であって、
該ポリエーテルエステルアミド共重合体における、該ポリオキシアルキレングリコール及び末端アミノ化ポリオキシエチレンの含有量が重量比で20〜90wt%で、該ポリエーテルエステルアミド共重合体における該グラフトポリエステルの含有量が重量比で70〜5wt%であるポリエーテルエステルアミド共重合体よりなることを特徴とする医療用粘着剤を含んでなる。
【0025】
本発明の医療用粘着剤中のポリエーテルエステルアミド共重合体は上記式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)で表される繰り返し単位より実質的になるが、ここで実質的になるとは、本発明の目的とするポリエーテルエステルアミド共重合体の特性に影響を与えるような他の成分を含まない趣旨であって、そのような影響を与えない範囲で式(1)〜(5)で表される繰り返し単位以外の成分を含有することを排除する意図ではない。本発明の医療用粘着剤中のポリエーテルエステルアミド共重合体は、上記のハードセグメント(ならびに架橋点であるポリアミド結合)とソフトセグメント及び粘着性付与部位として機能する上記式(1)及び(4)からなる式(8)とがランダムブロック共重合体であっても、対称ブロック共重合体であってもよい。
本発明の医療用粘着剤中のポリエーテルエステルアミド共重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位の1種または2種以上を用いてもよく、上記式(2)で表される繰り返し単位の1種又は2種以上を用いてもよく、上記式(3)で表される繰り返し単位の1種又は2種以上を用いてもよく(例えばエチレン/プロピレンブロック)、上記式(4)で表される繰り返し単位の1種又は2種以上を用いてもよい。
本発明の医療用粘着剤中におけるポリエーテルエステルアミド共重合体は、例えばポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとジメチルテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、および1,4−ブタンジオール、グリセロール−α−モノ(2−エチルヘキシル)エーテル、そして両末端がアミノ化されたポリオキシエチレン誘導体等を触媒の存在下、加熱重縮合する従来公知の製造方法により得ることができる。用いる触媒としては、例えばチタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、亜鉛等の金属化合物を用いることができる。生成するポリエーテルエステルアミド共重合体は、その目的に応じてポリオキシアルキレングリコール、末端アミノ化ポリオキシアルキレン成分の分子量、共重合組成を任意に変化させることができる。生成するポリエーテルエステルアミド共重合体の重合度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度1.2g/dl、温度35℃で測定した還元粘度で、1.0〜5.0とすることが好ましく、薬物との相溶性の点から2.0〜3.0とすることがより好ましい。
【0026】
上記共重合体には薬物を含有させることにより、薬物含有粘着剤層とすることができるが、かかる薬物にとしては、特に限定はなく、例えば、ISDNを好ましいものとして挙げられる。
【0027】
上記共重合体を薬物含有粘着剤層に用いる際、ISDNを、その飽和溶解度に近い濃度で粘着剤層に相溶させ、著しい結晶析出が起こらないようにすることで高いISDN放出性が得られる。しかしながら相溶後ISDNの微結晶析出が起こっても使用は可能である。ISDNの粘着剤中における含有量は、0.5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%が好ましい。
上記粘着剤中において、用いる吸収促進剤としてはアルキル脂肪酸エステル、イオン性、ノニオン性の脂質、界面活性剤、ロジンエステル等種々の剤が使用できるが、相溶性の面から特にオイル状のアルキル脂肪酸エステルが好ましい。この様な脂肪酸エステルとしては、例えばオクタン酸セチル、ラウリン酸へキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、乳酸ミリスチル等の一価アルコール脂肪酸エステル、およびアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、琥珀酸ジオクチル等の二塩基酸エステル、更にはジカプリン酸プロピレングリコール、トリオクタン酸グリセリル、トリ(オクタン酸/デカン酸)グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられ、薬剤の吸収促進性、相溶性の観点からミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、中鎖脂肪酸トリグリセリドが好ましい。
上記粘着剤中における吸収促進剤の含有量は、少なくなるとISDNの高い放出性が得られず、多すぎると粘着剤層の凝集力が低下する。吸収促進剤の含有量は、上記粘着剤中、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
【0028】
本発明の経皮吸収性粘着製剤における粘着剤層は、上記ポリエーテルエステルアミド型粘着剤及び吸収促進剤、薬剤を酢酸エチル等のエステル系、またはエーテル系、ハロゲン系等の有機溶剤中にて溶解したのち、基板または離型材の片面に塗布し、その後、乾燥処理により溶媒を除去して、貼付剤用粘着剤層とすることができる。または、ホットメルト塗工を行う場合は、溶媒を用いることなく、単に上記成分を混合、加熱溶融することで得た溶融物を基板または離型材の片面に塗布してもよい。これらの混合操作は、大気中、窒素雰囲気下または減圧下、加圧下で、ディゾルバー、ホモミキサー等で行われる。出来上がりの粘着剤層の厚みは、例えば粘着剤に薬物を含有させる場合には、用いる薬剤にもよるが、薬剤がISDNの場合、20μm〜100μm、好ましくは30μm〜80μm程度が好適である。
本発明の経皮吸収性粘着製剤は、上記のようにして得られた本発明のポリエーテルエステルアミド型粘着剤及び吸収促進剤、薬物からなる粘着剤層と本発明の支持体とを直接・間接に積層して得るか、あるいはまた、かかる支持体上に直接粘着剤組成物を例えばクウォーター等を用いて塗布するか、支持体上に粘着剤層を転着するなど従来公知の方法により得ることができる。
本発明に用いられる支持体としては、上記粘着剤層が形成でき、自己保持性があって、皮膚表面に貼付して薬剤を経皮吸収により透過させるための粘着製剤および皮膚面の保護などに用いる粘着製剤とすることができる基材、離型材であれば特に制限はなく、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステルなどのポリマーフィルム、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリウレタン、ポリアミド等からなる織物・編物・不織布、紙、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリウレタン、ポリアミド等からなる多孔性膜、表面にシリコーン、フッ素などの剥離剤をコーティングしたポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリアミド等のフィルム又はこれらの1種又は2種以上の組み合わせからなる積層体などが使用できる。これらの支持体の厚みは、貼付剤の種類にもよるが基材の場合、通常50μm〜300μm、好ましくは、70μm〜200μmに設定され、離型材の場合、3μm 〜100μm 、好ましくは5μm 〜50μmに設定される。
【0029】
薬物であるISDNを含有させる方法としては、粘着剤中に、溶融法、または溶媒法により薬物をあらかじめ混合して薬物含有粘着剤層とするか、あるいは含浸、転着、スプレー等の方法で薬物を含有しないか又は薬物を十分には含有しない粘着剤層に薬物を経皮吸収に十分な量含有させる等、含有させようとする薬物の物性等に応じて従来公知の方法を採用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の医療用粘着剤等において、ポリエーテルエステルアミド共重合体は、ハードセグメントに相当する疎水性の剛直で結晶性の高い部位である芳香族ポリエステル成分、分子間水素結合により擬似架橋可能なアミド結合、及びソフトセグメントに相当するポリマー主鎖中に固定された柔軟なポリオキシアルキレングリコール鎖及び末端アミノ化ポリオキシエチレン鎖、粘着性付与部位に相当する長鎖アルキル基グラフトポリエステルを有しており、その結果これら各セグメントとは熱力学的にのみならず、分子レベルで相分離した構造になっていると推察される。
すなわちかかるポリマーは、主鎖中に結晶領域と非晶領域がセグメント的に相分離して存在しており、主鎖間の相互作用が小さい非晶領域は高い柔軟性と粘着性、薬剤溶解性を、また結晶領域(ポリエステルハード骨格)および水素結合形成により架橋点となるアミド結合は、ドメイン形成による擬似架橋構造をそれぞれ発現することができると考えられる。そして、これら機能分担部位を組み合わせて用いることでソフトセグメントの柔軟性やHLB(親水/疎水バランス)を任意に制御することが可能となり、しかもこれら機能分担部位を共有結合により一体化したかかるポリマーは、粘着剤の透湿性、吸水性、薬物および吸収促進剤との親和性を改善されている。この結果、かかるポリマーとオイル状粘着剤、薬物ISDNを混合した粘着剤組成物は、具体的に後記実施例に示されるような、適度な内部凝集力と柔軟性、良好な薬剤保持/放出性、皮膚への適度な粘着力を有し、皮膚に貼付した際に優れた皮膚追従性と低刺激性を示す医療用粘着製剤を工業的にも廉価なコストで提供することができる。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は重量部および重量%を意味する。また、実施例中の「粘着力」および「糊残り」は以下の方法で測定した。
(1)粘着力
ベークライト板に幅12mm、長さ50mmに切断したサンプルを貼付し、荷重850gのローラーを1往復させた後、37℃の恒温装置に30分静置させた後、300mm/min.の速度で180度方向に剥離し、そのときの剥離力を粘着力とした。
(2)糊残り
上記(1)の方法で粘着力を測定したのと同様の試料を用い、拇指テストにより粘着剤の触感を評価、指を離した後に粘着剤が指上に残留するかについて目視にて判定した。
【0032】
[参考例1]
Glycerol α-Mono(2-ethylhexyl) Ether の製造例
α−モノ(2−エチルヘキシル)グリシジルエーテル(エピオールEH、日本油脂製)93.15g(0.5mol)を、0℃に冷却したトリフルオロ酢酸200gに撹袢下滴下した。この溶液を0〜5℃に4時間保ち、ついで10wt%炭酸ナトリウム1lを冷却、かき混ぜながら少しずつ加えて中和した。油状成分を300mlのエーテルで抽出、100mlの脱イオン水で三回洗浄、無水硫酸ナトリウムにより一夜乾燥した。エーテル留去後、粗エステルを水酸化ナトリウム40g、水100ml、メタノール100mlの混合液に加え、室温で12時間撹袢した。加水分解生成物をクロロホルム抽出、乾燥後減圧で蒸留精製し(5mmHg、111℃〜113℃)無色粘性液体を得た。ガスクロマトグラフィーの分析結果により、液体は純度99.5%であった。またIR(赤外)スペクトル、及び1H−NMRより目的物であることを確認した。
【0033】
[製造例1、2]
ポリエーテルエステルアミド共重合体の製造例およびこれを用いた粘着剤作成と粘着力測定
100ml三口丸底フラスコ内にて2,6−ナフタレンジカルボキシリックアシッド(表1中の略称:QA) 15.10g(70.00mmol)、ポリテトラメチレングリコール#850(平均分子量850)(表1中の略称:PTMG850) 22.37g(26.31mmol)、1,4−ブタンジオール(表1中の略称:ブタンジオール) 1.49g(16.58mmol)、グリセロ−α−モノ(2−エチルヘキシル)エーテル(1)(表1中の略称:ジオール) 4.76g(23.31mmol)、および両末端をアミノ化したポリオキシエチレン誘導体(イオネットYB100、数平均分子量1000、三洋化成製) 3.80g(3.80mmol)、テトラブトキシチタン 0.001g(10ppmトルエン溶液として1ml)を混合し、十分に窒素置換した。これを常圧下、215〜230℃で5時間反応し、留出するメタノールを除去、エステル交換反応を行った。その後235℃で2時間かけ、余剰のジオールを留去し、更に76cmHgで2時間、0.3〜0.1mmHgで20時間反応して無色半透明のエラストマーを得た(製造例1)。ポリマーの重合度は、クロロホルム溶媒でGPC測定した数平均分子量(ポリスチレン換算)で21,000であった。また、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度1.2g/dl、温度35℃で測定した還元粘度は、1.8であった。
同様にして表1記載の原料組成でエラストマーを得た(製造例2)。
このようにして重合して得られた製造例1〜2のポリマーに関して、数平均分子量(Mn)及び粘着力(g)を測定した結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
なお、表1中の注記1)〜3)の意味は下記のとおりである。
1)ポリマーの構造式は下記式(9)に示した。
PTMG=poly(tetramethyleneglycol)、PEGA=poly(ethyleneglycol) aminated 、PBN=poly(butylenenaphtalate)に対応。添付数字はポリアルキレングリコールの数平均分子量の分布平均値を表す。また( )内の数字は重量組成比(wt%)を表す。
【0036】
【化9】
【0037】
(式中、添え字k,lは上記式(3)、(5)の定義に同じ。またa,b,c,dはそれぞれ1以上の値の整数である。)
2)QA=2,6-naphtalenedicarboxylic acid、PTMG、末端アミノ化PEGの添え字の意味は1)に同じ。
3)粘着ポリマー単独での対ベークライト板への粘着力
[実施例1、2]
参考例1及び2で得られたポリエーテルエステルアミド共重合体 6.16gとISDN 1.20g、及びミリスチン酸イソプロピル(IPM) 2.64gを混合し(ISDNおよびIPMは、粘着剤層中それぞれ12wt%、26.4wt%となるようにした)、濃度約34wt%のクロロホルムドープを調製した。シリコーンコートした離型フィルム上に同ドープ溶液をフィルムアプリケーター(Yasuda Seiki製)で速度1200rpmの条件でキャストし、60℃で30分間乾燥した。乾燥後、PETフィルム(3.5μm)及びパッキング材としてサージカルテープ(3M製、Micropore)を貼り経皮吸収粘着製剤を得た(実施例1、2)。得られた粘着製剤の粘着層の厚みは約50μmであった。
得られた粘着製剤を12mm×50mmに切断し、粘着力を測定したところ、粘着力は表2に記載したように良好であり、かつ糊残りは見られなかった。また拇指テストによる触感評価でも、皮膚への適度な粘着性を示し、剥離後の糊残りも見られなかった。
【0038】
得られた粘着製剤のISDN放出性を、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)膜を用いたISDN膜透過性より評価した。直径10mmの円形に打ち抜いた後、離型紙を剥がし、レセプター溶液(リン酸バッファー、pH=7.2、リン酸バッファーの混合比は、水1.0lg、NaCl8.0g、Na2HPO4、1.146g、KCl0.3g、NaH2PO40.2gとした)に一日間漬けて膨潤させたEVA膜に貼りつけた。これを拡散セルのフランジ間に挟着し、ドナー槽の開口部をEVA膜で完全に閉じた。レセプター槽にはレセプター液を満たし(20ml)、温度37℃の恒温槽中で撹袢した。撹袢開始後1,2,5時間後にサンプル口からレセプター液200μlを採取し、採取したレセプター液中のISDN量をHPLC(Shodex、昭和電工製、溶離液:CH3CN/H2O(1/2v/v)により測定した。結果を表2に示す。
【0039】
同様に、上記実施例の粘着剤の代りに、比較のためにアクリル酸2−エチルヘキシル 90wt%、アクリル酸 3wt%、メチルメタクリル酸 7wt%からなるアクリル系共重合ポリマーを粘着剤として用いた粘着製剤を得て(比較例1)、その糊残り、粘着力、ISDN放出性を測定し、結果を表2に記載した。この結果から、代表的なアクリル系粘着剤(比較例)と比較しても、本発明の経皮吸収性粘着製剤は、適度な粘着力を有し、かつ皮膚表面を損傷しない程度の剥離容易性、長時間にわたるISDNの安定した高い放出性を有する優れた貼付剤としての特徴を有していることが判る。
【0040】
【表2】
【0041】
1)アアクリル酸2−エチルヘキシル 90wt%、アクリル酸 3wt%、メチルメタクリル酸 7wt%のコポリマー
2)拇指テストによる触感、目視評価による
3)対ベークライト板への粘着力
Claims (6)
- 支持体と薬物を含有する粘着剤層とからなる経皮吸収性粘着製剤であって、該粘着剤層の粘着剤が、
ポリエーテル、ポリエステル、およびポリアミド骨格として下記式(1)〜(5)
- 該ポリエーテルエステルアミド共重合体が、
(i)上記式(1)及び(2)からなる下記式(6)
で表されるポリエステル成分をハードセグメントとし、
(ii)上記式(1)及び(5)で表される繰り返し単位からなる下記式(7)
で表されるポリアミドのアミド結合を水素結合の架橋点とし、
(iii)上記式(3)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量が200〜20,000のポリオキシアルキレングリコール、上記式(5)で表される繰り返し単位からなる数平均分子量が200〜20,000の末端アミノ化ポリオキシエチレンをソフトセグメントとするエラストマーであって、
(iv)上記式(1)と(4)からなる下記式(8)
で表されるグラフトポリエステルを粘着付与部位として有するポリエーテルエステルアミド共重合体であって、
該ポリエーテルエステルアミド共重合体における該ポリオキシアルキレングリコールおよび末端アミノ化ポリオキシエチレンの合計含有量が重量比で20〜90重量%で、該ポリエーテルエステルアミド共重合体における該グラフトポリエステルの含有量が重量比で70〜5重量%であるポリエーテルエステルアミド共重合体よりなる、請求項1記載の経皮吸収性粘着製剤。 - Aがp−フェニレン基又は2,6−ナフチレン基で、Dがテトラメチレン基及び/又はヘキサメチレン基で、Rがエチレン基及び/又はテトラメチレン基、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が400〜6,000で、lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が400〜6,000となるような単位繰り返し数で、R’が2−エチルへキシル基である請求項1又は2記載の経皮吸収性粘着製剤。
- Aが2,6−ナフチレン基で、Dがテトラメチレン基で、Rがテトラメチレン基、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が400〜6,000で、lは(CH2CH2O)で示されるポリオキシエチレン構造の数平均分子量が400〜6,000となるような単位繰り返し数で、R’が2−エチルへキシル基である請求項1又は2記載の経皮吸収性粘着製剤。
- 該式(3)及び(5)の含有量の合計が重量比で20〜85重量%で、該式(4)の含有量が重量比で60〜10重量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の経皮吸収性粘着製剤。
- 該式(3)と(5)で表されるポリオキシアルキレン構造における、該式(3)で表される繰り返し単位の該式(5)で表される繰り返し単位に対する含有量が重量比で1〜99重量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の経皮吸収性粘着製剤。
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