JP3666680B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電力変換装置に係り、特に、周囲温度や出力電流などの運転状態の変動を考慮して部品あるいはユニットの残存寿命を予測し、残存寿命が予定値以下になると使用者に交換を促す機能を備えた電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パワ−トランジスタやGTOなどの自己消弧能力を有するスイッチング回路素子や、マイクロプロセッサを応用した高機能制御装置の発達により、大電力を高速に制御できる電力変換装置が普及している。このような電力変換装置は、例えば電力系統では発電・送配電用として、また電気鉄道および産業用では電動機駆動用として、さらに情報分野では電力系統の停電(瞬時停電をふくむ)時のバックアップ用として広く用いられている。
【0003】
このような用途に用いられる電力変換装置には、故障の少ない高信頼性が要求される。しかしながら、電力変換装置の容量が大きくなり、これに伴って機能が向上するにつれて、使用する部品点数も増大するので無保守では信頼性が低下する。このため、使用部品の劣化を事前に予測し、部品あるいはユニットを計画的に点検あるいは交換して信頼性を維持する、いわゆる予防保全の重要性が高まりつつある。
【0004】
しかしながら、使用部品単体の加速寿命試験や、使用者からの返送品の特性試験のデ−タから、標準使用状態での部品あるいはユニットの期待寿命を算出し、期待寿命を超過する前に定期的に部品あるいはユニットを交換する従来の方法では、設計時に想定した標準使用状態よりも過酷な条件、例えば電力変換装置の周囲温度が高い場合や負荷電流が大きい場合には、期待寿命に達する前に部品が寿命を迎えてしまう場合もあった。
【0005】
さらに、電力変換装置が広範に使用されてくると、使用者側に専任の管理者がいないために予防保全が行き届かない場合もある。このような場合を想定して、製造者側では、サ−ビスマンによる巡回サ−ビスを強化したり、取扱説明書に部品の推奨交換周期を明示することにより使用者に注意を喚起してきたが、充分な効果が得られなかった。
【0006】
このような問題に対して、例えば特開平5−56629号公報では、周囲温度や出力電流などの運転状態を示す信号で期待寿命を補正する期待寿命設定回路、各部品の運転時間を時間積分する時間積算回路、補正後の期待寿命と運転時間の積分値を比較する回路、および部品交換毎に時間積算回路の積分値を零にリセットするリセット回路を設け、運転時間の積分値が、運転状態を示す信号で補正された期待寿命を越えた場合に、部品の交換を促す信号を電力変換装置の情報表示器に出力する部品劣化検出回路が提案されている。・
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術では、各部品あるいはユニット等の期待寿命が、定期的に検出される、当該時点での運転状態のみに基づいて即座に補正されてしまうため、以下のような問題があった。
【0008】
たとえば、基準周囲温度で使用すれば5年間の期待寿命が保証されており、基準周囲温度より10℃高い環境下の使用では期待寿命が半減(2.5年間)する部品の場合、上記した従来技術では、運転状態信号として定期的に検出される周囲温度に基づいて期待寿命が補正されるので、基準周囲温度で3年間使用されていれば、当該時点での残存寿命は2年となる。
【0009】
ところで、東京の月別平年気温は1月が5.2℃と一番低く、8月は27.1℃と一番高くなり、一年間の気温の変動は21.9℃である(国立天文台編理科年表による)。このため、電力変換装置の設置場所に空調装置が設置されていない場合には、特に夏場などに周囲温度が上昇し、例外的に基準周囲温度より10℃以上高い周囲温度が検出される場合もあり得る。
【0010】
このような場合、上記した従来技術では、それ以前の周囲温度が常に基準周囲温度以下であったとしても当該履歴は一切無視され、今回検出された周囲温度のみに基づいて、当該部品の期待寿命が直ちに補正されてしまう。すなわち、期待寿命が2.5年に半減されることになる。したがって、当該時点で使用期間(3年)が期待寿命(2.5年)を上回って残存寿命が−0.5年となり、直ちに寿命と判断されてしまう。
【0011】
しかしながら、当該判断は明らかに誤りであり、たまたま基準周囲温度より10℃高い周囲温度が検出されたとしても、それ以前には基準周囲温度で使用されていたのであれば、当該履歴も考慮して期待寿命を決定すべきである。
【0012】
また、電力変換装置の使用者が部品あるいはユニットを予備品として保管している場合、有機材料を使用したコンデンサなどでは、無通電状態での保管でも部品の劣化が進行することから、例えば電解液の封止ゴムでは、製造後10年以内に交換することを推奨している。しかしながら、上記した従来技術では、当該保管期間における期待寿命の減少が考慮されていなかった。
【0013】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、電力変換装置の部品について、周囲温度や負荷電流などの運転状態の変動を考慮して残存寿命を予測し、残存寿命が予め設定した値以下になった場合に、部品あるいはユニットの交換を促す機能を有する電力変換装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明では、直流を交流、交流を直流、交流を交流に変換する電力変換装置において、運転による装置自身およびその構成部品の劣化を加減速させる要因の物理量を検出する手段と、前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて、当該装置の実質劣化量を算定する手段と、前記算定された実質劣化量を積算して総実質劣化量を算定する手段と、装置およびその構成部品ごとに期待寿命を設定する手段と、前記総実質劣化量を期待寿命と比較する手段と、総実質劣化量が期待寿命を上回ると、当該装置およびその構成部品の寿命を使用者に通知する手段とを具備した点に特徴がある。
【0015】
【作用】
上記した構成によれば、温度、湿度、振動といった、劣化を加減速させる要因の物理量を考慮して当該装置の単位時間あたりの実質的な劣化量が算定され、当該実質劣化量の積算値が期待寿命と比較される。したがって、劣化加減速要因の物理量が一時的に高く(あるいは低く)なっても、当該一時的に検出された劣化加減速要因の物理量のみに基づいて寿命判定がなされてしまうことがなく、正確な寿命判定が可能となる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例である電力変換装置に組み込まれた部品寿命判定装置の主要部の機能を示したブロック図である。
【0017】
当該電力変換装置を構成する主要部品やユニット、例えば、コンデンサ、蓄電池、継電器、電力用半導体、ヒューズ、あるいは電力用抵抗器等(以下、これらを総称してデバイスと表現する)の周囲あるいはその表面には、温度センサ、湿度センサ、振動センサ、塵埃センサ等の環境センサ、あるいは電流計、電圧計等の運転状態センサ(いずれも図示せず)が適宜に取り付けられている。例えば、電力用半導体であれば、冷却フィンにサーミスタが取り付けられている。各センサの出力信号は劣化加減速要因検出手段1に入力される。
【0018】
劣化加減速要因検出手段1は、各デバイスの劣化を加速あるいは減速させる要因となる温度、湿度、振動、塵埃、あるいは印加電圧、負荷電流などを、各センサから入力される検出信号に基づいて定量的に検出する。保守管理情報入力手段7からは、後に詳述するように、各デバイスごとに部品番号、製造年月日、期待寿命、あるいは基準温度等の保守管理情報が入力され、当該保守管理情報は他の管理情報と共に保守管理情報記憶手段8に記憶される。
【0019】
実質劣化量算定手段2は、前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて当該装置の実質劣化量を算定するもので、後に詳述するように、実質劣化量として装置の実質的な「運転時間」を算定する実質運転時間算定手段21と、実質劣化量として劣化加減速要因の物理量の「変動回数」を算定する実質変動回数算定手段22とによって構成されている。
【0020】
実質運転時間算定手段21は、当該装置が運転中であると、前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて、単位時間あたりの実質運転時間を算定する。すなわち、基準温度(例えば、30℃)で単位時間(例えば、1時間)だけ運転した場合の運転時間を“1h”とした場合、40℃の環境下では30℃の環境下よりも単位時間あたりの劣化が早く進むため、実際の運転時間は1hであっても、実質運転時間として例えば“2.0h”を算定する。また、20℃の環境下では30℃の環境下よりも単位時間あたりの劣化が遅く進むため、実際の運転時間は1hであっても、実質運転時間として例えば“0.5h”を算定する。
【0021】
また、実質変動回数算定手段22は、前記検出された各劣化加減速要因の物理量の変動量に基づいて、当該変動の実質変動回数を算定する。すなわち、検出された温度の変動量(変動幅)が40℃であると、変動量が30℃の場合よりも劣化が早く進むため、実際の変動回数は1回であっても、実質変動回数として“2.0回”を算定する。同様に、変動量が20℃であれば、変動量が30℃の環境下よりも劣化が遅く進むため、実際の変動回数は1回であっても、実質変動回数として“0.5回”を算定する。
【0022】
総実質劣化量算定手段3は、前記実質運転時間算定手段21で算定された実質運転時間、あるいは前記実質変動回数算定手段22で算定された実質変動回数をそれぞれ時系列的に積算し、総実質運転時間または総実質変動回数を算出する。比較手段4は、保守管理情報として記憶されている期待寿命(運転時間または変動回数)と、算定された総実質劣化量(総実質運転時間または総実質変動回数)とをデバイスごとに比較する。表示手段5は、前記比較結果を表示出力して部品寿命を使用者に通知する。
【0023】
図2、3は、本実施例の動作を示したフローチャートであり、電力変換装置を構成する各デバイスを対象に順次繰り返し実行される処理である。ステップS1では、処理対象のデバイス(デバイス番号n)に関する保守管理情報の記憶されたメモリ領域が保守管理情報記憶手段8の中で選択される。
【0024】
図4は、各デバイスごとに記憶されている保守管理情報の一例を示した図であり、枠1で囲んだ領域は、例えば電解コンデンサのように、その寿命劣化が温度や湿度などの絶対値の高低によって影響を受けるデバイスの保守管理情報を示している。また、枠2で囲んだ領域は、例えば電力用半導体のように、その寿命劣化が温度や湿度などの所定値以上の変動回数によって影響を受けるデバイスの保守管理情報を示している。
【0025】
なお、本実施例では説明を解りやすくするために、寿命劣化を加減速させる要因として温度のみを例示するが、湿度、振動、塵埃あるいは印加電圧、負荷電流の場合も同様である。
【0026】
同図において、「デバイス番号」は、各デバイスを区別するためにデバイスごとに付される一連の番号である。「部品番号(製造番号)」は、各デバイスの製造ロット等を表す製造番号であり、同一デバイスであっても製造ロットが異なれば異なった番号が付される。「製造年月」は各デバイスが製造された年月である。「部品番号(製造番号)」および「製造年月」は、当該デバイスが交換されるたびに、使用者によって保守管理情報入力手段7から入力されて登録される。
【0027】
なお、当該製造番号等の入力は、例えば保守管理情報入力手段7としてバーコード読取装置を採用し、以下のようにして行うことができる。すなわち、部品番号がバーコード表示されたシール(シールA)を予め部品あるいはユニットに貼付しておく。なお、シールの貼付できない小形部品では、その保管用梱包材にシールを貼付しておく。また、電力変換装置の、当該部品あるいはユニットが組み込まれる位置には、デバイス番号がバーコード表示されたシール(シールB)を貼付しておく。そして、当該電力変換装置の製造時およびその部品交換時に、シールAおよびシールBのバーコードを読み取り、保守管理情報として記憶手段8に記憶させる。このようにすれば、所定のデバイス番号で管理された記憶手段8上のメモリ領域に、その部品の「部品番号(製造番号)」や「製造年月」が間違いなく短時間で入力できるようになる。
【0028】
「期待寿命(T0 にて)」は、当該デバイスを基準温度T0 (例えば、30℃)で使用した際の寿命(時間)である。「期待寿命(ΔT0 にて)」は、当該デバイスを基準温度差ΔT0 (例えば、30℃)で使用した際の寿命(温度の変動回数)である。
【0029】
「使用期限」は、製造後からの使用期限である。「部品組込年月」は、当該デバイスが装置に組み込まれた年月である。「現在温度Tin」は、当該部デバイス上あるいはその近傍に設けられた温度センサによって検出された周囲温度である。「温度極大値」は、温度変化が極大値を示した際の温度である。「温度極小値」は、温度変化が極小値を示した際の温度である。「総実質運転時間(ΣLT)」は、温度等による劣化の加減速を考慮した実質的な総運転時間である。「総変動回数(ΣM)」は、温度差等による劣化の加減速を考慮した実質的な変動回数である。
【0030】
「補正係数テーブル」には、検出された周囲温度による劣化の加減速を考慮して、実際の運転時間あるいは実際の変動回数を、それぞれ実質運転時間あるいは実質変動回数に補正する演算で用いる係数である。
【0031】
再び図2、3へ戻り、ステップS2では、当該デバイスが交換されたか否かが判断される。交換されていれば、ステップS3では、保守管理情報の「部品番号(製造番号)」および「製造年月」が使用者によって保守管理情報入力手段7から入力され、当該交換後のデバイスに応じて書き替えられる。ステップS4では、保守管理情報として登録されている「総実質運転時間ΣLT」または「総実質変動回数ΣM」がゼロにリセットされる。
【0032】
ステップS5では、当該デバイスの寿命が、「総実質運転時間ΣLT」あるいは「総実質変動回数ΣM」のいずれに基づいて判断すべきか判定される。ここで、当該デバイスがデバイス番号1の電解コンデンサであると、寿命を総実質運転時間に基づいて判定すべきと判断されてステップS6へ進む。
【0033】
ステップS6では、前記劣化加減速要因検出手段1によって検出された印加電圧値あるいは負荷電流値等に基づいて、当該電力変換装置が運転中であるか否かが判定される。ここで、運転中と判定されると、ステップS7では、当該デバイスに関する温度データTinが実質劣化量算定手段2の実質運転時間算定手段21に取り込まれる。
【0034】
ステップS8では、当該温度データTinに応答した補正値Lが、保守管理情報のデータテーブルから読み取られる。すなわち、温度データTinが30℃であれば補正値L=1.0が読み取られ、40℃であれば補正値L=2.0が読み取られる。ステップS9では、補正値Lと測定周期Δtとの積が演算され、実質運転時間(補正値L×測定周期Δt)が算出される。すなわち、各デバイスごとに当該処理の実行される周期が1時間であれば、周期Δtに“1”(h)が代入される。さらに、総実質劣化量算定手段3により、総実質運転時間ΣLTに前記実質運転時間(補正値L×測定周期Δt)が加算され、加算結果が再び総実質運転時間ΣLTとして、保守管理情報記憶手段8内の当該欄に記憶される。
【0035】
ステップS10では、前記総実質運転時間ΣLTと期待寿命(本実施例では、10万時間)とが比較手段4において比較され、総実質運転時間ΣLTが期待寿命を上回っていると、ステップS30では、当該デバイスの交換を促す旨のメッセージが表示手段5の表示画面上に表示される。また、総実質運転時間ΣLTが期待寿命を下回っており、余寿命があると判定されると、ステップS31では、さらに実使用年月(=現在年月−製造年月)と使用期限とが比較され、実使用年月が使用期限を越えていると、前記と同様に当該処理はステップS30へ進み、当該部品の交換を促す旨のメッセージが表示される。
【0036】
一方、当該デバイスがデバイス番号100の電力用半導体であり、前記ステップS5において、寿命を実質変動回数に基づいて判定すべきと判断されると、当該処理は図3のステップS11へ進む。ステップS11では、前記と同様に、当該電力変換装置が運転中であるか否かが判定される。運転中と判定されると、ステップS12では、当該デバイスに関する温度データTinが実質劣化量算定手段2の実質変動回数算定手段22に取り込まれる。
【0037】
図5は、実質変動回数算定手段22の構成の一例を示した図であり、極大値検出手段221と、極小値検出手段222と、偏差検出手段223とによって構成されている。
【0038】
ステップS13では、極大値検出手段221により、当該温度データTinが極大値を示しているか否かが判断される。極大値であると判定されると、ステップS14では、保守管理情報の「極大値」の欄に当該温度データTinが記憶される。ステップS15では、保守管理情報に登録されている「極大値」と「極小値」との偏差(温度差)ΔTが偏差検出手段223によって求められる。
【0039】
ステップS16では、当該偏差ΔTに応答した補正値Mがデータテーブルから読み取られる。すなわち、偏差ΔTが30℃であれば補正値1.0が読み取られ、40℃であれば補正値2.0が読み取られる。ステップS17では、総実質変動回数ΣMに補正値Mが加算され、加算結果が再び総実質変動回数ΣMとして保守管理情報の当該欄に記憶される。
【0040】
ステップS18では、極小値検出手段222により、当該温度データTinが極小値を示しているか否かが判断される。極小値であると判定されると、ステップS19では、保守管理情報の「極小値」の欄に当該温度データTinが記憶される。ステップS20では、前記と同様に極大値と極小値との偏差ΔTが求められる。ステップS21では、当該温度偏差ΔTに応答した補正値Mが前記と同様にデータテーブルから読み取られる。ステップS22では、総実質変動回数ΣMに補正値Mが加算され、加算結果が再び総実質変動回数ΣMとして保守管理情報の当該欄に記憶される。
【0041】
ステップS23では、前記総実質変動回数ΣMと期待寿命(本実施例では、12万回)とが比較手段4において比較され、総実質変動回数ΣMが期待寿命を上回っていると、ステップS30において、前記と同様に当該デバイスの交換を促す旨のメッセージが表示手段5の表示画面上に表示される。また、総実質変動回数ΣMが期待寿命を下回っており、余寿命があると判定されると、ステップS31において、さらに実使用年月(=現在年月−製造年月)と使用期限とが比較され、実使用年月が使用期限を越えていると、前記と同様に当該処理はステップS30へ進み、当該部品の交換を促す旨のメッセージが表示される。
【0042】
本実施例によれば、電力変換装置の各デバイスを劣化させる「装置の運転時間」あるいは「運転環境(温度、湿度、印加電圧など)の変動回数」等の劣化量を、それぞれ「運転中の運転環境」や「各変動の変動量」の大小によって加減速すると共に、これらを時系列的に積算して実質的な劣化量を算定し、当該実質劣化量に基づいて寿命が判定される。したがって、運転環境が一時的に大きく変動しても、当該変動によって寿命が大きく変動することがなく、正確な寿命判定が可能となる。
【0043】
さらに、本実施例によればデバイスの使用期限が参照され、実使用による劣化が進んでいなくても、経時的に劣化していると推測される場合には、当該部品に関しても寿命と判定されるので、より確実な寿命判定が可能になる。
【0044】
なお、上記した実施例では、補正係数L(またはM)をデータテーブルを参照して求めるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されず、以下のような補正式(1),(2) を保守管理情報として予め登録しておき、当該補正式を用いて算出するようにしても良い。
【0045】
補正係数L=2(T in −T 0 )/10 …(1)
但し、T0 :期待寿命の基準となる基準温度
補正係数M=2(ΔT in −ΔT 0 )/10 …(2)
但し、ΔT0 :期待寿命の基準となる基準温度偏差
また、上記した実施例では、総実質運転時間ΣLTを、補正値Lと測定周期Δtとの積に基づいて、演算により算出するものとして説明したが、電気回路で行うこともできる。
【0046】
この場合、例えば前記実質運転時間算定手段21には、運転中であれば10mVの直流電圧、停止中であれば0Vの直流電圧が、それぞれ入力されるようにする。実質運転時間算定手段21は、劣化加減速要因検出手段1によって検出された温度信号を受け取り、温度信号が大きい(温度が高い)場合には、温度が低い場合よりも、当該直流電圧をより増幅して出力する。すなわち、温度Tinが20℃であれば0.5倍に増幅して5mVを出力し、30℃(基準温度)であればそのまま出力し、40℃であれば2.0倍に増幅して20mVを出力する。積分手段4は、出力電圧を適宜の積分回路で時間積分して総実質運転時間を得る。
【0047】
【発明の効果】
上記したように本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1) 電力変換装置のデバイスのうち、寿命を「装置の運転時間」に基づいて判断すべきデバイスに関しては、劣化量となる「運転時間」を「運転中の運転環境」の大小によって加減速すると共に、時系列的に積算して実質的な劣化量を算定し、当該実質劣化量に基づいて寿命が判定されるようにしたので、運転環境が一時的に大きく変動しても、当該変動によって寿命が大きく変動することがなく、正確な寿命判定が可能となる。
(2) 電力変換装置のデバイスのうち、寿命を「運転環境(温度、湿度、印加電圧など)の変動回数」に基づいて判断すべきデバイスに関しては、劣化量となる「変動回数」を「各変動の変動量」の大小によって加減速すると共に、時系列的に積算して実質的な劣化量を算定し、当該実質劣化量に基づいて寿命が判定されるようにしたので、運転環境が一時的に大きく変動しても、当該変動によって寿命が大きく変動することがなく、正確な寿命判定が可能となる。
(3) デバイスの使用期限が参照され、実使用による劣化が進んでいなくても、経時的に劣化していると推測される場合には、当該部品に関しても寿命と判定されるので、より確実な寿命判定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である電力変換装置に組み込まれた部品寿命判定回路の主要部の機能を示したブロック図である。
【図2】 図1の動作を示したフローチャート(その1)である。
【図3】 図1の動作を示したフローチャート(その2)である。
【図4】 保守管理情報の一例を示した図である。
【図5】 実質変動回数算定手段の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1…劣化加減速要因検出手段、2…実質劣化量算定手段、3…総実質劣化量算定手段、4…比較手段、5…表示手段、7…保守管理情報入力手段、8…保守管理情報記憶手段、21…実質運転時間算定手段、22…実質変動回数算定手段
Claims (12)
- 直流を交流、交流を直流、交流を交流に変換する電力変換装置において、
運転による装置自身およびその構成部品の劣化を加減速させる要因の物理量を検出する手段と、
前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて、当該装置の実質劣化量を算定する手段と、
前記算定された実質劣化量を積算して総実質劣化量を算定する手段と、
少なくとも装置およびその構成部品ごとの期待寿命が記憶された保守管理情報記憶手段と、
前記総実質劣化量を期待寿命と比較する手段と、
総実質劣化量が期待寿命を上回ると、当該装置およびその構成部品の寿命を使用者に通知する手段とを具備し、
前記各構成部品の特徴を表す第1の保守管理情報、および当該各構成部品の取り付け箇所を表す第2の保守管理情報を読み取り、両者を相互に関連付けて前記保守管理情報記憶手段に記憶する保守管理情報入力手段をさらに具備し、
前記期待寿命は、第1の保守管理情報の一部として記憶されたことを特徴とする電力変換装置。 - 前記第1の保守管理情報は、当該構成部品自身およびその梱包部材の少なくとも一方に付されたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記第2の保守管理情報は、当該構成部品の取り付け位置近傍に付されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 前記第1および第2の保守管理情報は、バーコード表示されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電力変換装置。
- 前記保守管理情報記憶手段には、当該構成部品の製造時期および使用期限を表す情報が記憶され、使用期限が経過すると、その寿命が使用者に通知されるようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電力変換装置。
- 直流を交流、交流を直流、交流を交流に変換する電力変換装置において、
運転による装置自身およびその構成部品の劣化を加減速させる要因の物理量を検出する手段と、
前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて、当該装置の実質劣化量を算定する手段と、
前記算定された実質劣化量を積算して総実質劣化量を算定する手段と、
少なくとも装置およびその構成部品ごとの期待寿命が記憶された保守管理情報記憶手段と、
前記総実質劣化量を期待寿命と比較する手段と、
総実質劣化量が期待寿命を上回ると、当該装置およびその構成部品の寿命を使用者に通知する手段とを具備し、
前記保守管理情報記憶手段には、当該構成部品の製造時期および使用期限を表す情報が記憶され、使用期限が経過すると、その寿命が使用者に通知されるようにしたことを特徴とする電力変換装置。 - 前記寿命を通知する手段は、寿命と判断された装置自身またはその構成部品名を表示することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電力変換装置。
- 直流を交流、交流を直流、交流を交流に変換する電力変換装置において、
運転による装置自身およびその構成部品の劣化を加減速させる要因の物理量を検出する手段と、
前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて、当該装置の実質劣化量を算定する手段と、
前記算定された実質劣化量を積算して総実質劣化量を算定する手段と、
少なくとも装置およびその構成部品ごとの期待寿命が記憶された保守管理情報記憶手段と、
前記総実質劣化量を期待寿命と比較する手段と、
総実質劣化量が期待寿命を上回ると、当該装置およびその構成部品の寿命を使用者に通知する手段とを具備し、
前記寿命を通知する手段は、寿命と判断された装置自身またはその構成部品名を表示することを特徴とする電力変換装置。 - 前記実質劣化量を算定する手段は、前記検出された劣化加減速要因の物理量の変動量に基づいて実質変動回数を算定し、前記総実質劣化量を算定する手段は、前記算定された実質変動回数を積算することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電力変換装置。
- 直流を交流、交流を直流、交流を交流に変換する電力変換装置において、
運転による装置自身およびその構成部品の劣化を加減速させる要因の物理量を検出する手段と、
前記検出された劣化加減速要因の物理量に基づいて、当該装置の実質劣化量を算定する手段と、
前記算定された実質劣化量を積算して総実質劣化量を算定する手段と、
少なくとも装置およびその構成部品ごとの期待寿命が記憶された保守管理情報記憶手段と、
前記総実質劣化量を期待寿命と比較する手段と、
総実質劣化量が期待寿命を上回ると、当該装置およびその構成部品の寿命を使用者に通知する手段とを具備し、
前記実質劣化量を算定する手段は、前記検出された劣化加減速要因の物理量の変動量に基づいて実質変動回数を算定し、前記総実質劣化量を算定する手段は、前記算定された実質変動回数を積算することを特徴とする電力変換装置。 - 前記実質変動回数を算定する手段は、検出された変動量が大きいほど実質変動回数を多く算定することを特徴とする請求項9または10に記載の電力変換装置。
- 前記劣化加減速要因の物理量の変動量は、劣化加減速要因の物理量の極大値および極小値の少なくとも一方が検出されるごとに、両者の差に基づいて算出されることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の電力変換装置。
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