JP3661555B2 - 排気ガス浄化システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス中の窒素酸化物(NOx)を吸着・脱離可能な窒素酸化物吸脱着材に係り、更に詳細には、自動車(ガソリン、ディーゼル)、ボイラーなどの内燃機関から排出される排気ガス、特に酸素過剰排気ガス中のNOxを吸脱着し得る窒素酸化物吸脱着材を用いた排気ガス浄化システムであって、該排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及びNOxを浄化する排気ガス浄化システムに関するものであり、特に酸素過剰領域でのNOx浄化に着目したものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油資源の枯渇問題、地球温暖化問題から、低燃費自動車の要求が高まっており、ガソリン自動車に対しては希薄燃焼自動車の開発が注目されている。希薄燃焼自動車においては、希薄燃焼走行時、排気ガス雰囲気が理論空燃状態に比べ酸素過剰雰囲気(リーン)となるが、リーン域で通常の三元触媒を適用させた場合、過剰な酸素の影響からNOx浄化作用が不十分となるという問題があった。このため酸素が過剰となってもNOxを浄化できる触媒の開発が望まれていた。
【0003】
これに対し、従来からリーン域のNOxを浄化する触媒は種々提案されており、例えば、▲1▼白金とランタンを多孔質担体に担持した触媒を使用し、リーン域でNOxをトラップし、ストイキ(理論空燃比)〜リッチ(燃料過剰)時にNOxを放出させて浄化する方法(特開平5−168860号公報)や、▲2▼銅をイオン交換したゼオライト触媒を使用し、常にリーンでNOxを浄化する方法(特開平7−124479号公報)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法では、リーンでトラップしたNOxを浄化するために排気ガスをストイキ〜リッチにしなくてはならず、燃費の向上代が少なくなってしまう。また、▲2▼の方法では、リーン域でのNOx転化率が低く、燃費の向上代は大きくても、排気ガス中のNOxの浄化が不十分であるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対象とするガスの空燃比の変動に関係なく、NOxを吸脱着し得る窒素酸化物吸脱着材を用いたリーン域でのNOx浄化性能に優れる排気ガス浄化システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定元素を用い周囲水分を適切に調整することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の排気ガス浄化システムは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、及び/又は表面に水酸基が形成される担体を含有し、水分の量が多いときには、対象ガスに含まれる窒素酸化物を吸着し、少ないときには、窒素酸化物を吸着しないか又は吸着した窒素酸化物を脱離する窒素酸化物吸脱着材を備えた排気ガス浄化システムであって、
上記窒素酸化物吸脱着材と白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属を混合して成る排気ガス浄化触媒を、排気ガス流路に設置し、その上流側に、排気ガス中の水分濃度を変化させ得る水分濃度変動手段を設置し、
上記排気ガス中の水分濃度を0〜20容量%の範囲で変動させて、該排気ガス中の窒素酸化物を吸着・脱着・浄化することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の排気ガス浄化システムの好適形態は、上記水分濃度変動手段と上記排気ガス浄化触媒との間に水素供給手段を配置し、該水分濃度変動手段によって排気ガス中の水分濃度を低減した際、該水素供給手段から上記排気ガス浄化触媒に水素を供給することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の排気ガス浄化システムの他の好適形態は、上記水素供給手段が炭化水素類の水蒸気改質を行う水蒸気改質材と水素吸蔵材を有し、上記水分濃度が増大した際、該水蒸気改質材によって生成される水素を該水素吸蔵材に吸蔵させ、上記水分濃度が低減した際、吸蔵させた水素を該水素吸蔵材から放出させて、上記排気ガス浄化触媒に供給することを特徴とする。
【0013】
更にまた、本発明の排気ガス浄化システムの更に他の好適形態は、上記排気ガス浄化触媒の下流側に、窒素酸化物を浄化するNOx浄化手段を配置して成ることを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明において、窒素酸化物吸脱着材が対象ガス中のNOxを吸着・脱離するメカニズムは、現時点では以下の通りであると推察される。
即ち、本発明で用いる窒素酸化物吸脱着材を対象ガス、代表的には酸素過剰排気ガス中におくと、水蒸気濃度が高い場合のように周囲水分が多い場合には、図5(A)に示したように、本吸脱着材の一例であるバリウム上又はその近傍(特に、添加し得る担体であるアルミナ上)に水酸基(−OH)が形成される。そして、このOH基とガス中のNOx、主としてNO2(貴金属触媒(図では白金)が存在すると酸化によりNO2量が増大する)とが、図5(B)に示したように、水素結合のような相互作用を生じ、当該NOxは硝酸基(−NO3)のような形式で本吸脱着材に吸着される。
一方、水蒸気濃度が低下すると、形成されたOH基がバリウム上などから脱離し、これと同時にNOxも本吸脱着材から脱離する。
【0015】
上述したメカニズムにつき、本発明者らは赤外分光法によって裏付けを得ており、当該IRスペクトルを図6に示す。
同図において、3750cm−1の吸収は単独で存在するOH基を示し、3590cm−1の吸収はNO2と相互作用して存在するOH基を示し、経過時間(例えば、10秒後)は水蒸気を供給してからの時間を示している。また、測定条件は、分解能:8cm−1、スキャン回数:16回、反応ガス:NO(1.7%)、O2(1.7%)、N2(バランス)である。
このスペクトルから明らかなように、水蒸気の供給後、単独のOH基による上向きの吸収(3750cm−1)が減少する一方で、相互作用したOH基による下向きの吸収(3590cm−1)は増加しており、周囲水分の増大により、NOxがNO3基のような形式で本吸脱着材に吸着されたことが確認された。
【0016】
なお、参考のため、白金/アルミナにバリウム又はセシウムを担持した触媒に、水分を供給又は停止した場合のNOx濃度変化を図7に示す。
【0017】
以上のようなメカニズムを利用した本発明においては、NOxの吸脱着を空燃比を変動させることなく制御可能であり、周囲水分量によりNOxの吸脱着を適切に制御すれば、常にリーン域の運転を行っても排気ガスの効率的な浄化が可能であり、燃費向上という希薄燃焼走行の利点を損なうことなく、リーンバーン排気ガスの有効な浄化、特にいわゆるリーンNOxの優れた浄化を実現できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明で用いるNOx吸脱着材について詳細に説明する。
上述の如く、本発明で用いるNOx吸脱着材は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類元素及びこれらの任意の混合物、及び/又は表面に水酸基が形成される担体を含有する。
ここで、かかる金属や元素の具体例としては、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、セシウム(Cs)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びカルシウム(Ca)をなどを挙げることができる。また、かかる担体としては、その表面に水酸基(−OH)を有すれば十分であるが、多孔質担体、例えば、γ−アルミナやベーマイトを挙げることができる。
【0019】
上記金属や元素は、通常、酸化物や炭酸塩として用いられるが、水溶性の炭酸塩であることが好ましく、炭酸塩が水溶性であれば、上述の如く表面に形成される水酸基の量が増大し、NOxトラップ作用がさらに促進されることとなる。
【0020】
また、本発明で用いるNOx吸脱着材においては、上記金属や元素以外にも各種材料を添加することが可能であり、例えば、アルミナなどの高比表面積を有する多孔質基材を添加して、上記表面水酸基の形成を更に促進することができる。
【0021】
本発明で用いるNOx吸脱着材が、対象ガス中の周囲水分量、代表的には水蒸気量が多いときにNOxを吸着し、少ないときにNOxを吸着しないか又は吸着したNOxを脱離すること、具体的には、水蒸気量が多いときには上記脱離可能な表面水酸基によりNOxを吸着し、少ないときには該水酸基が形成されないか又は該水酸基を脱離して、NOxを吸着しないか又は吸着したNOxを該水酸基とともに脱着すること、については、上記[作用]の項で記載した通りである。
なお、このNOx吸脱着材の機能上、対象ガスはNOxを含んでいれば十分であり、必ずしも排気ガスでなくてもよいのは言うまでもない。
【0022】
上述の如く、本発明においては、NOxの吸脱着に際し、空燃比を変動させる必要はないが、周囲水分量を変動させる必要があり、この場合、水分濃度の変化代は大きい程よいと言える。
但し、20容量%を超す水分濃度では、後述するように触媒成分を併用する場合にその触媒成分の活性が低下してしまうことがある。従って、水分濃度の好適な変動範囲としては、0〜20容量%となる。
また、水分濃度の「多い」・「少ない」については、用いる金属種や元素種などに応じて適宜選定できるが、代表的には、水分濃度10〜20容量%の場合には「多い」、0から10容量%未満の場合には「少ない」とすることができる。
【0023】
次に、本発明の排気ガス浄化システムについて詳細に説明する。
上述の如く、本発明の排気ガス浄化システムは、上述のNOx吸脱着材を用いた排気ガス浄化システムであり、かかるNOx吸脱着材を含有する排気ガス浄化触媒と、排気ガス中の水分濃度を変化させ得る水分濃度変動手段を有し、排気ガス流路において、この水分濃度変動手段を上記排気ガス浄化触媒の上流側に配置して成る。
【0024】
ここで、設置する排気ガス浄化触媒は、上記NOx吸脱着材以外に、貴金属触媒成分として、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)及びこれらの混合物を含有する。
また、本発明において、この排気ガス浄化触媒は、一体構造型担体に担持して用いるのが好ましい。かかる一体構造型担体としては、耐熱性材料から成るモノリス担体が好ましく、例えば、コーディライトなどのセラミック製や、フェライト系ステンレスなどの金属製のものが用いられる。
更に、この触媒は少なくともその一部を多孔質基材に担持して用いることが好ましく、なかでもアルミナ、セリアに担持することが好ましい。また、耐熱性を向上させる目的で、従来から三元触媒で適用されているように、セリウム、ランタン等の希土類化合物やジルコニウムなどの添加物を更に加えてもよい。
【0025】
なお、この排気ガス浄化システムの浄化対象である排気ガスとしては、自動車エンジンなどの内燃機関から排出される、NOxを含む排気ガスであれば十分であり、空燃比の大小や変動は原則として不問である。
但し、CO、HC及びH2の還元成分を完全に酸化するのに必要な量よりも過剰量の酸素を含む排気ガス(いわゆるリーンバーン排気ガス)の浄化に特に有用であり、NOx浄化に際し、空燃比をストイキ〜リッチに変動させることが不要であるところから、この排気ガス浄化システムを搭載した自動車などでは、常時リーンバーン走行を行ってもその排気ガスが効率良く浄化される。
従って、本発明の排気ガス浄化システムを用いれば、リーンバーン走行が本来的に目的とする燃費向上効果を十分に享有することができる。
【0026】
上述した水分濃度変動手段としては、排気ガス中の水分濃度を変動させることができれば特に限定されるものではないが、水分をトラップする装置又は水分を噴射する装置及びこれらの組合せを例示できる。
例えば、かかる水噴射装置を用いる場合、水を噴射し水分を相対的に増大してNOxをトラップさせ、水の噴射を中止し水分を相対的に低減してNOxをNOxを放出させればよく、この逆に、水トラップ装置の場合、水をトラップし水分を相対的に低減してNOxを放出させ、トラップを解除し水分を相対的に増大してNOxをトラップさせればよい。
なお、排気ガス中の水分濃度の変動は、上述したように、触媒成分との活性との関係より0〜20重量%の範囲内で行う。
【0027】
また、水分濃度を増減させるタイミングは、当該排気ガス浄化触媒がNOxをどれだけトラップできる容量があるか、また、エンジンアウトのNOx濃度がどれだけあるのかなどに依存する。
一例としては、以下のフローに従って排気ガス中の水分濃度を増減させることができる。
【0028】
図1及び図3は、水噴射装置を使用して排気ガス中の水分濃度を増加させるフロー及び装置概略図であり、図2及び図4は、水トラップ装置を使用して排気ガス中の水分濃度を減少させるフローと装置概略図である。
また、図1及び図2中の「Ncap」は触媒のNOxトラップ容量であり、触媒の種類によって決まる量である。また、「Ncalc」は触媒がどれだけNOxをトラップしたかを表す計算値であり、触媒の前後(上流下流)に設置したNOxセンサー、流入空気量により計算される値である。
【0029】
図1のフローに沿って説明する。
水噴射装置を使用する場合、定常状態では、エンジン3からの排気ガスに水噴射装置1から水が常に噴射される状態となる(ステップ1:以下単に「S1」などと略す)。NOxセンサー2によりNOx量を検知し、NcapがNcalcより小さいうちは、コントローラ5からの信号により水が噴射され、触媒4はNOxをトラップする(S2)。NcalcがNcapより大きくなると、コントローラ5からの信号により水噴射が終了し(S3)、触媒4はトラップしたNOxを徐々に放出し始める。
そして、時間(T)が10秒間より短い間は水の噴射を中断するが(S4)、10秒以上経過するとNcalcを0に戻し(S5)、再び水を噴射し、定常状態に戻る。
【0030】
図2のフローに沿って説明する。
水トラップ装置を使用する場合、定常状態では、図4のバイパス切替え弁11は水トラップ装置6エンジン8からの排気ガスが流れないようにバイパス側を閉じている(S11)。NcapがNcalcより小さいうちはバイパス側が閉じており、触媒9はNOxをトラップする。NOxセンサー7によりNOx量を検知し、NcalcがNcapより大きくなると(S12)、コントローラ10からの信号により排気ガスが水トラップ装置側を流れるようにバイパス側が開き(S13)、触媒9はトラップしたNOxを徐々に放出しはじめる。そして、時間(T)が10秒より短い間はバイパス側が開いているが(S14)、10秒以上経過するとNcalcを0に戻し(S15)、再びバイパス側を閉じ、定常状態に戻る。
【0031】
なお、本発明の排気ガス浄化システムでは、上記水分濃度変動手段と排気ガス浄化触媒との間に、水素供給手段を付加することができる。
このような水素供給手段を設置し、水分濃度変動手段により水分濃度を低減してNOxを脱離させた際に水素を供給すれば、脱離NOxはこの水素を利用して還元浄化されるので、リーン域でCOやHCが少ない場合であってもNOx浄化率を更に向上できるし、水素はクリーンな成分なのでそのまま排出されても大きな問題となることもない。
【0032】
かかる水素供給手段としては、特に限定されるものではなく、水素ボンベを例示できるが、これ以外にもHCを水蒸気改質する材料、例えば、貴金属をセリウムに担持した触媒などを用いることも可能であり、このような水蒸気改質材を用いれば、水素ボンベを搭載するスペースを省略でき、システム構成を簡易なものとすることができ、低コスト化を図ることができる。
また、水蒸気改質材と水素吸蔵合金やカーボンナノチューブなどの水素吸蔵材とを併用し、排気ガス中の水分濃度が増大した際、水蒸気改質材によって生成される水素を水素吸蔵材に吸蔵させ、水分濃度が低減した際、吸蔵させた水素を水素吸蔵材から放出させて、脱離NOxの浄化に供することもできる。
【0033】
更に、本発明の排気ガス浄化システムでは、上記排気ガス浄化触媒の下流側に、NOxを浄化するNOx浄化手段を付加することができ、これにより、NOxの浄化を更に確実なものとすることができる。
かかるNOx浄化手段としては、各種NOx還元触媒を使用できるが、リーン域でのNOx還元を考慮すると、銅(Cu)をイオン交換したゼオライト触媒を用いることが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
硝酸Pd水溶液を活性アルミナに含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナ粉末(粉末A)を得た。この粉末のPd濃度は5.0重量%であった。硝酸Rh水溶液を活性アルミナに含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Rh担持アルミナ粉末(粉末B)を得た。この粉末のRh濃度は2.0重量%であった。酢酸バリウム水溶液を粉末Aに含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Pd、Ba坦持アルミナの粉末(粉末C)を得た。この粉末のバリウム濃度は20.0重量%であった。酢酸バリウム水溶液を粉末Bに含浸し、乾燥後空気中400℃で1時間焼成して、Rh、Ba坦持アルミナの粉末(粉末D)を得た。この粉末のバリウム濃度は20.0重量%であった。
【0036】
粉末Cを522g、粉末Dを135g、活性アルミナ粉末を243g、水900gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリ液を得た。粉砕時間を2.5時間とした。このスラリ液の平均粒径は3.5μmであった。このスラリ液をコーディライト質モノリス担体(1.7L、400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量300g/Lの排気ガス浄化触媒を得た。
【0037】
得られた触媒を図3に示した水噴射装置付排気ガス浄化システムに配置し、水を噴射しない時に排気ガス中の水分濃度が11%、水を噴射した時に排気ガス中の水分濃度が15%になるようにして評価を行なった。
【0038】
(実施例2)
実施例1で得た触媒を図4に示した水トラップ装置付システムに配置し、水をトラップしない時は排気ガス中の水分濃度が11%、水をトラップした時は排気ガス中の水分濃度が9%になるようにして評価を行なった。
【0039】
(実施例3)
粉末C、Dの酢酸バリウムを炭酸セシウムとした以外は実施例1と同様の操作を繰り返して触媒を得、図3の水噴射装置付システムに配置し、水を噴射しない時に排気ガス中の水分濃度が11%、水を噴射した時に排気ガス中の水分濃度が15%になるようにして評価を行なった。
【0040】
(実施例4)
実施例3で得た触媒を図4の水トラップ装置付システムに配置し、水をトラップしない時は排気ガス中の水分濃度が11%、水をトラップした時は排気ガス中の水分濃度が9%になるようにして評価を行なった。
【0041】
(実施例5)
粉末Aの硝酸PdをジニトロジアミンPtとした以外は実施例1と同様の操作を繰り返して触媒を得た。得られた触媒を図3の水噴射装置付システムに配置し、水を噴射しない時に排気ガス中の水分濃度が11%、水を噴射した時に排気ガス中の水分濃度が15%になるようにして評価を行なった。
【0042】
(実施例6)
実施例5で得た触媒を図4の水トラップ装置付システムに配置し、水をトラップしない時は排気ガス中の水分濃度が11%、水をトラップした時は排気ガス中の水分濃度が9%になるようにして評価を行なった。
【0043】
(実施例7)
実施例1で得た触媒を図3の水噴射装置付システムに配置し、その後段にCuをイオン交換したゼオライト触媒を配置し、水を噴射しない時に排気ガス中の水分濃度が11%、水を噴射した時に排気ガス中の水分濃度が15%になるようにして評価を行なった。
【0044】
(実施例8)
実施例1で得た触媒を図4の水トラップ装置付システムに配置し、その後段にCuをイオン交換したゼオライト触媒を配置し、水をトラップしない時は排気ガス中の水分濃度が11%、水をトラップした時は排気ガス中の水分濃度が9%になるようにして評価を行なった。
【0045】
(実施例9)
実施例1で得た触媒を水噴射装置、水トラップ装置の両方が付いたシステムに配置し、水を噴射した時の排気ガス中の水分濃度が15%、水をトラップした時の排気ガス中の水分濃度が9%になるようにして評価を行なった。
【0046】
(比較例1)
実施例1で得た触媒につき、水分濃度を相対的に減少させる代りに空燃費をリッチにすることによって、触媒中のNOxを放出、浄化させる評価を行なった。
【0047】
(比較例2)
実施例1で得た触媒を図3の水噴射装置付システムに配置し、水を噴射しない時の排気ガス中の水分濃度を11%、水を噴射した時の排気ガス中の水分濃度を21%として評価を行なった。
【0048】
[性能評価]
(耐久方法)
排気量4400ccのエンジンの排気系に各例の触媒を装着し、触媒入口温度を650℃とし、50時間運転した。
(評価方法)
排気量2000ccのエンジンの排気系に各例の排気ガス浄化システムを装着して、10−15モードを走行した。排気ガス成分の浄化率や燃費を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
[考察]
実施例1と比較例1との比較から、排気ガス中の水分濃度を増減させてNOxのトラップ放出を行なう方法と、空燃費のリッチ・リーンをを切り替えてNOxのトラップ放出を行なう方法とでは、排気ガス中の汚染物質濃度は殆ど変わらないが、燃費に大きな差があることがわかる。これは、空燃費を常にリーンにして走っているために燃費が良くなったものである。
また、実施例1と比較例2との比較から、水を噴射して排気ガス中の水分濃度を高くしすぎると、触媒活性が低下してしまうため、水分濃度の変化代は大きいほど良いが、20%を超すと触媒活性を落とすだけであることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、特定元素を用い周囲水分を適切に調整することとしたため、対象とするガスの空燃比の変動に関係なく、NOxを吸脱着し得る窒素酸化物吸脱着材を用いたリーン域でのNOx浄化性能に優れる排気ガス浄化システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】水噴射装置を使用して排気ガス中の水分濃度を増加させる制御を示すフローチャートである。
【図2】水トラップ装置を使用して排気ガス中の水分濃度を減少させる制御を示すフローチャートである。
【図3】水噴射装置付きの排気ガス浄化システムの一例を示すシステム構成図である。
【図4】水トラップ装置付きの排気ガス浄化システムの一例を示すシステム構成図である。
【図5】NOx吸脱着材が対象ガス中のNOxを吸着・脱離するメカニズムを示す概念図である。
【図6】周囲水分の増減により表面OH基が増減することを示すIRチャートである。
【図7】Pt/アルミナ−Ba又はCs触媒に水分を供給又は停止した場合のNOx濃度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 水噴射装置
2、7 NOxセンサー
3、8 エンジン
4、9 触媒
5、10 コントローラ
6 水トラップ装置
11 バイパス切替え弁
Claims (8)
- アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の元素、及び/又は表面に水酸基が形成される担体を含有し、水分の量が多いときには、対象ガスに含まれる窒素酸化物を吸着し、少ないときには、窒素酸化物を吸着しないか又は吸着した窒素酸化物を脱離する窒素酸化物吸脱着材を備えた排気ガス浄化システムであって、
上記窒素酸化物吸脱着材と白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属を混合して成る排気ガス浄化触媒を、排気ガス流路に設置し、その上流側に、排気ガス中の水分濃度を変化させ得る水分濃度変動手段を設置し、
上記排気ガス中の水分濃度を0〜20容量%の範囲で変動させて、該排気ガス中の窒素酸化物を吸着・脱着・浄化することを特徴とする排気ガス浄化システム。 - 上記水分濃度変動手段と上記排気ガス浄化触媒との間に水素供給手段を配置し、該水分濃度変動手段によって排気ガス中の水分濃度を低減した際、該水素供給手段から上記排気ガス浄化触媒に水素を供給することを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化システム。
- 上記水素供給手段が炭化水素類の水蒸気改質を行う水蒸気改質材と水素吸蔵材を有し、上記水分濃度が増大した際、該水蒸気改質材によって生成される水素を該水素吸蔵材に吸蔵させ、上記水分濃度が低減した際、吸蔵させた水素を該水素吸蔵材から放出させて、上記排気ガス浄化触媒に供給することを特徴とする請求項2記載の排気ガス浄化システム。
- 上記水分濃度変動手段が、水分をトラップする装置及び/又は水分を噴射する装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
- 上記排気ガスが、これに含まれる一酸化炭素、炭化水素類及び水素の還元成分を完全に酸化するのに必要な量よりも過剰量の酸素を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
- 上記排気ガス浄化触媒の下流側に、窒素酸化物を浄化するNOx浄化手段を配置して成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
- 上記NOx浄化手段が、銅をイオン交換したゼオライト触媒であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
- 周囲水分により上記元素及び/又は上記担体の表面に脱離可能な水酸基が形成され、周囲水分量が多いときには、形成された水酸基により窒素酸化物を吸着し、少ないときには、脱離可能な水酸基が形成されないか又は該水酸基を上記元素表面から脱離して、窒素酸化物を吸着しないか又は吸着した窒素酸化物を該水酸基とともに脱着する、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
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