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JP3651017B2 - 球状マグネタイト粒子およびその製造方法 - Google Patents

球状マグネタイト粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、球状マグネタイト粒子およびその製造方法、特に、分散性及び色調の経時安定性に優れた球状マグネタイト粒子およびその製造方法に関する。本発明により得られる球状マグネタイト粒子は、黒色顔料、なかでも化粧品用黒色顔料として特に有用である。
【0002】
【従来技術】
黒色顔料としては、従来、カーボンブラック、マグネタイト(理想的な組成は Fe IIFeIII 24)が一般に用いられている。このうち、カーボンブラックは製造上ベンツピレンなどの発ガン物質が混入する危険があり、安全面に問題がある。このため、化粧品など、顔料粒子が直接人体に接する用途ではマグネタイトが広く用いられている。
【0003】
マグネタイトの工業的製法としては、ゲータイト(α−FeOOH)の還元による方法や水酸化第一鉄の酸化による方法が知られている。ところが、これらの方法により得られるマグネタイトは、平均粒径が 0.1μmよりも大きい。したがって、これを水系に分散させた場合には沈降速度が大きく分散液の安定性に乏しい。また、粒径が大きいため可視光が散乱して深みのある黒色が得られない。このため、化粧品、特に水系の分散液として使用するマスカラ、アイライナーなどに添加される黒色顔料としては好ましくないという問題があった。
【0004】
これらの問題点を解決するため、従来、製造されるマグネタイト粒子の小粒径化、表面特性の改善の2つの方向からの検討がなされてきた。
微小粒径のマグネタイトを得る方法としては、第一鉄イオンと第二鉄イオンとをそのモル混合比が1:1である水溶液のpHをアルカリ添加によりpH11以上に高めてマグネタイト微粒子を生成させる方法が知られている。この方法によれば粒径0.01μm以下の粒子が得られるが、粒径や形状が不均一であるため二次凝集性が強く、結局、良好な分散状態を保持するのが困難である。また、マグネタイトは空気中でFe23に変化して色が黒褐色ないし褐色に変化する傾向があるが、表面積が大きいとこうした経時変化が顕著に現れるという問題がある。
【0005】
上記方法によって得られるものよりも若干大きな、粒径0.01〜0.1μmのマグネタイト粒子を製造する方法も提案されている。例えば、特開平4-238819号公報には、第一鉄イオン含有水溶液に不活性ガスを吹き込んで水溶液中の溶存酸素濃度を減少させながらアルカリを添加して水酸化第一鉄を生成させ、この分散液を60〜100℃に加熱してマグネタイト微結晶を成長させる方法が開示されている。しかし、この方法は工程が複雑である上、生産性が悪い。また、経時的な変化に対する安定性には問題が残る。
【0006】
表面特性を改善する方法としては、粒子表面を脂肪酸で被覆する方法が知られている。例えば、特開昭54-139544 号公報、特開昭56-64348号公報、特開昭 56-128957号公報、特開昭58-14773号公報、特開昭61-53654号公報等には、種々の方法で製造したマグネタイト粒子の表面を脂肪酸等で被覆する方法が記載されている。しかしながら、脂肪酸被覆だけでは十分な効果が得られておらず、さらに種々の改良法が提案されているのが現状である。例えば、特開昭60-69011号公報には、水中に3〜35%の顔料を加えて懸濁させ、顔料に対して0.5 〜10%相当量の脂肪酸可溶性塩を滴下し、均一に混合した後、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Tiより選ばれた可溶性塩の1〜30%水溶液を滴下して、生成する金属塩を顔料表面に配向吸着させる方法が記載されている。また、特開昭63-17222号公報には、水酸化第一鉄の酸化の際に水溶性ケイ酸塩を添加してSiを含有するマグネタイト粒子を生成し、その後に脂肪酸被覆を行なう方法が記載されている。また、特開平4-144924号公報は、脂肪酸に代えてMn塩水溶液を添加してMn被覆を行ない、これを加熱焼成してMn固溶ヘマタイトとする方法を記載している。しかし、これらの方法は、複雑な共沈反応により得たマグネタイト粒子にさらに複雑な表面被覆等を行なうため工程が煩雑になる。しかも、均一な製品を得るためには慎重な反応制御が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の製造方法における上記問題点を解決した球状マグネタイト粒子とその製造方法を提供することを目的とするものであって、本発明によれば、粒子の分散性に優れ、かつ色調の経時変化に対する安定性を兼ね備えたマグネタイト粒子を複雑な工程を経ることなく容易に製造することができる。
【0008】
【課題解決のための手段】
本発明者らは、第一鉄イオンと第二鉄イオンとの混合液にアルカリを添加してマグネタイトを生成させる方法において、マグネタイト生成時のpH、温度条件、濃度、反応時間を特定することにより粒径0.01〜0.05μmのマグネタイトを生成させることが可能であり、かかる粒径の粒子が懸濁している液中に脂肪酸またはその塩を添加すると、形状の比較的整った、分散性に優れた粒子が得られ、しかもかかる粒子は経時変化に対して優れた分散安定性を示すことを見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は以下の構成からなる球状マグネタイト粒子とその製造方法に関する。
(1)平均粒径0.01〜0.05μmであって、マグネタイト粒子表面が脂肪酸またはその塩によって被覆されており、さらにその表面にケイ酸被覆を有することを特徴とする球状マグネタイト粒子。
(2)第一鉄イオンと第二鉄イオンの含有比が1:1 . 2〜1:2である第一鉄イオンと第二鉄イオンの混合水溶液に、アルカリ添加後のpHが5〜12になる量のアルカリを添加してマグネタイト微粒子を生成させ、生成したマグネタイト微粒子が懸濁している液中に脂肪酸または脂肪酸塩を添加し撹拌することによりマグネタイト微粒子の表面に脂肪酸またはその塩による被覆を形成し、さらに、可溶性ケイ酸塩を添加して脂肪酸またはその塩による被覆の表面にケイ酸被膜を形成することによって上記(1)の球状マグネタイト粒子を製造することを特徴とする方法。
(3)第一鉄イオンと第二鉄イオンの混合水溶液にアルカリを添加してpH5〜12に調整してマグネタイト微粒子を生成させ、平均粒径0.01〜0.05μmのマグネタイト微粒子が液中に懸濁した状態で、脂肪酸または脂肪酸塩を添加してマグネタイト微粒子の表面に脂肪酸またはその塩による被覆を形成させ、さらに可溶性ケイ酸塩をFeに対してSi換算で0.2〜0.5原子%添加して上記被膜の表面にケイ酸被膜を形成させる上記(2)の製造方法。
【0010】
以下、本発明の各構成要件について、その詳細を説明する。
本発明の方法は第一鉄イオンと第二鉄イオンの混合水溶液を用いる。第一鉄イオンを生じさせる化合物の例としては、塩化第一鉄のようなハロゲン化物、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、過塩素酸第一鉄等が挙げられる。また、第二鉄イオンを生じさせる化合物としてはこれらに対応する第二鉄塩が挙げられる。工業的製造においては価格の安い塩化第一鉄や硫酸第一鉄、塩化第二鉄や硫酸第二鉄が好ましい。
【0011】
第一鉄イオン含有の水溶液中の濃度は特に限定されないが、0.5〜1.5mol/リットル程度の濃度が好ましい。0.5mol/リットル未満では生産効率が悪く、1.5mol/リットルを超えても生産性が向上する割合はわずかで経済性がむしろ低下する。
第二鉄イオン含有化合物の種類およびその液中濃度についても同様である。一般には第一鉄塩に対応した第二鉄塩を用いることが好ましい。
マグネタイトの理想的な組成は Fe IIFeIII 24であるため、水溶液中の第一鉄イオンと第二鉄イオンとの含有比は原則的には1:2となるが、実際の組成には幅があるため、1:1.2〜1:2の範囲であれば良い。
【0012】
本発明においては、第一鉄イオンと第二鉄イオンの混合水溶液にアルカリを添加してマグネタイト微粒子を生成させる。一般に第一鉄イオンにアルカリを添加すると水酸化物の沈殿が生じるが、第一鉄塩と第二鉄塩の混合水溶液にアルカリを添加するとマグネタイトの沈殿が生じることが知られている。用いるアルカリとしては水酸化アルカリが好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。アンモニアのようなアルカリ性物質も用いることができる。なお、第一鉄イオンと第二鉄イオンとの混合液に水酸化ナトリウムを添加した場合の反応は以下の式にしたがうものと考えられる。
【化1】
FeCl2 +2FeCl3 +8NaOH→Fe34+8NaCl+4H2
水酸化アルカリの量は、全鉄イオンに対して1.3当量以下とする。1.3当量以上では、針状ゲータイトが生じる。水酸化アルカリは、好ましくは、1.0当量以上とする。1.0当量を下回るとマグネタイトの生成効率が悪い。
【0013】
本発明においてはアルカリを添加後のpHを5〜12とすることが必要であり、好ましくはpH5〜11、より好ましくは7〜9とする。アルカリ添加後のpHを上記範囲に保ち、後述のように加熱・撹拌することにより、平均粒径0.01〜0.05μmの球状のマグネタイト粒子が得られる。pH5よりも酸性側ではマグネタイトが生じない。また、pHが12以上であると、生じるマグネタイトが板状となり二次凝集が生じやすい。さらにまた、後述の通り、脂肪酸を添加した際にマグネタイト表面に鉄イオンが存在していることが必要であるため、アルカリは過剰でないことが好ましい。これらの理由からpHの上限はおよそ12、好ましくは11、より好ましくは9である。反応を円滑にし溶液pHが均一になるように、水酸化アルカリは、通常、水溶液として添加する。この際の濃度としては、好ましくは1〜4mol/リットル、より好ましくは1.5〜2.5mol/リットル、最も好ましくは2〜2.1mol/リットル程度である。
アルカリを添加した後、液を加熱・撹拌して反応を進行させる。液温を80〜 100℃の範囲とすることが好ましい。液温が低いと酸化速度が低く、生成するマグネタイトの粒径が大きくなる。但し、液温を 100℃以上としても酸化速度は大差なく、経済的観点から 100℃以下がよい。
【0014】
マグネタイト粒子が生成・成長して平均粒径0.01〜0.05μm程度の微粒子が液中に懸濁してきたらこれに脂肪酸または脂肪酸塩を添加する。平均粒径が上記範囲に達したか否かの確認は種々の方法によることができるが、上述した反応条件下ではおよそ1時間以内でこの値に達する。反応条件を調整することにより、反応時間を短縮・延長することも可能である。
脂肪酸または脂肪酸塩の脂肪酸部分としては、炭素数12〜22個の脂肪酸が好ましい。安定性の面からは飽和脂肪酸がより好ましいが、不飽和脂肪酸を用いることもできる。このような脂肪酸の例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸やオレイン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。脂肪酸塩に含有される金属イオンとしては、Na、Caを挙げることができる。本発明の効果を損なわない限りで鉄塩を用いてもよい。溶解性と入手のし易さの点でナトリウム塩が好ましい。
【0015】
脂肪酸の添加量は、マグネタイト粒子の表面に単分子膜を形成するに必要な量以上とすることが好ましい。本発明により得られるマグネタイトのBET値は20〜100m2/g程度であり、マグネタイト1g当り4.3×10-4モル程度以上であればよい。かかる量を下回るとL値(黒色度)が低下し本発明の効果が発揮されない。また、必要以上に脂肪酸を添加しても効果に変わりはなく却って製品の品質に悪影響を及ぼすおそれがあることから、単分子膜形成に必要な量の2倍以下とすることが好ましい。
【0016】
脂肪酸の添加は、脂肪酸を懸濁させた水溶液または上記脂肪酸塩を溶解させた水溶液をマグネタイトの生成・懸濁している液中に添加して行なう。好ましい濃度は0.025〜0.15mol/リットル程度である。0.025mol/リットル未満では生産効率が悪い。また、0.15mol/リットルを上回ると、脂肪酸や脂肪酸塩の溶解が不可能になる。脂肪酸添加の後、懸濁液を引き続き、または50〜100℃の温度範囲で0.5 〜3時間加熱撹拌して反応を進行させる。かかる処理によって、脂肪酸は、マグネタイト粒子の表面近傍に存在する鉄イオンと反応して鉄塩となり、疎水基を外側に向けて粒子表面に吸着する。粒子表面の脂肪酸またはその塩の存在により空気との接触が断たれ酸化による色調の変化が防止される。また、マグネタイト粒子の二次凝集が防止される。
【0017】
上記の脂肪酸による処理の後に、可溶性ケイ酸塩を添加し、脂肪酸またはその塩で被覆された粒子表面にケイ酸被膜を形成することにより、脂肪酸処理による疎水性を緩和し、かつツヤ消しによるマット感のある黒色顔料を得ることができる。具体的には、0.025〜0.15mol/リットル程度の濃度のケイ酸塩を添加した後、50〜120℃で0.5〜1時間程度、撹拌を続ける。温度が低いと反応の進行が遅い。一方、温度が120℃を超えるとケイ酸塩のゲル化が問題となる。かかる処理により、経時安定性が一層改善される。
水可溶性ケイ酸塩の例としては、ナトリウム、カリウムのケイ酸塩が挙げられる。添加量は、Feに対してSi換算で0.2〜0.5原子%である。0.2原子%未満である場合には疎水性緩和効果が見られない。一方、0.5原子%を超える場合には、生産性が低下するとともに黒色度も低下する。
【0018】
本発明により得られたマグネタイト微粒子は、上記処理を経た後に濾別・水洗し、40〜130℃で24〜48時間乾燥させて粉末粒子として得ることができる。あるいは、デカンテーションによって水洗しスラリーとした後、必要に応じて含水率を調整して用いてもよい。
【0019】
本発明によって製造されるマグネタイトは、乾燥粉末としてのL値が4〜12程度である。また、粒径が可視光の波長よりも小さいため、透明感がある。このため、黒色顔料、特に深みのある黒色を与える化粧品用黒色顔料として有用である。また、粒径が小さいため、静電複写機用の磁性トナーに用いることができる。その他にも、塗料、インキ、合成樹脂の着色剤等、顔料として各種の分野に使用できる。
なお、これらの用途に使用する場合には、当該技術分野において既知の成分を添加して組成物として使用される。例えば、化粧用顔料として用いる場合には、パラベン等の防腐剤を0.01〜0.3%添加し、水中分散のスラリーまたはスラリー中の水を非水系溶媒に置換して用いられる。かかる非水系溶媒の例としては、イソパラフィン等の炭化水素油やオクタメチルシクロテトラシロキサンやメチルシクロペンタンシロキサン等のシリコーン油が挙げられる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。粒子の平均粒子径、色調の測定およびTEM(透過型電子顕微鏡)写真の撮影は以下の方法および条件によった。なお、実施例1〜2および実施例4は、液中で生成したマグネタイト粒子の表面に脂肪酸塩を添加して被膜を形成する段階までの実施例である。
(1)平均粒子径:BET法により求めた。
(2)色調の測定:マグネタイトの色調は粉末、分散液、分散液塗布紙のL値、a値、b値をカラーコンピューター(スガ試験機社製:MS-7-IS-2B)を用いて測定し評価した。
(i)粉末:45℃以下で48時間以上、マグネタイト粒子を乾燥し、乳鉢にて粉砕した。この粉末約5gをペレット用セルに入れ、カラーコンピュータによりL値、a値、b値を測定した。測定は静置状態とタップ充填した状態とで2回行ない、その算術平均値を測定値とした。
(ii)分散液:マグネタイト粒子、イオン交換水および分散剤をサンプル瓶に入れ、スパーテルで撹拌しながら超音波に約20分間かけた。マグネタイト固形分は10%とした。また、分散剤を後から添加した場合と比較する目的で、分散剤(C1733COONa)を3%含有する分散液1と分散剤を含有しない分散液2の2種類の試料を調製した。分散液の総量は各50gとした。この分散液をペレット用セルに20ml入れ、カラーコンピュータ−によりL値、a値、b値を測定した。
(iii) 分散液塗布紙:(ii)の分散液1を0.1ml、20μm厚さで、白紙(上質紙)に塗布した。これを24〜48時間乾燥し、カラーコンピューターによりL値、a値、b値を測定した。測定時には白紙を分散液塗布紙の上に重ね、光の透過を防いだ。2点で測定を行ない、その算術平均値を測定値とした。
(3)TEM写真撮影条件(i) 試料作成方法:極微量のマグネタイト粒子と極微量のアマニ油を乳鉢に入れ、乳棒で一定方向のみに10分間以上撹拌し、マグネタイト粒子を分散させた。この操作により、乳棒先端分に付着したマグネタイトは一次粒子の状態まで分散される。これをコロジオン膜添付メッシュに取り、トルエンで洗浄してアマニ油を除去し、TEM観察試料とした。
(ii)TEM撮影条件:加速電圧200kVで撮影(日立H-800 透過型電子顕微鏡)。
【0021】
実施例1
Fe2+1.0mol/リットルを含む塩化第一鉄水溶液1リットルをFe3+2.0mol/リットルを含む塩化第二鉄水溶液1リットルに加えた混合溶液を2mol/リットルのNaOH水溶液4リットルに加え、pH10.43、温度90℃において約1時間撹拌を続けマグネタイト粒子を生成した。
次いで、上記マグネタイトを含む懸濁液に0.1mol/リットルのオレイン酸ナトリウム水溶液2リットルを加え、温度90℃で撹拌した。生成した粒子を常法により水洗し濾別し、45℃で118時間乾燥して黒色の粉末(含水率0.62%)を得た。得られた粉末のBET値は59.1m2 /gであり、これより計算された平均粒子径は19.5nmであった。
得られた粉末及びこれを表1の条件にしたがって塗布液としたものの色調を上記の測色法により測定した。結果を併せて表1に示す。また、この粉末のTEM写真を図1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003651017
【0023】
比較例1
以下のように脂肪酸処理を行なわないほかは実施例1とほぼ同様の条件でマグネタイト粒子を製造した。
Fe2+1.0mol/リットルを含む塩化第一鉄水溶液1リットルをFe3+2.0mol/リットルを含む塩化第二鉄水溶液1リットルに加えた混合溶液を8mol/リットルのNaOH水溶液4リットルに加え、pH7.76、温度90℃において約1時間撹拌を続けマグネタイト粒子を生成した。生成した粒子を常法により水洗し濾別し、40℃で48時間乾燥して黒色の粉末を得た。得られた粉末のBET値は75.5m2 /gであり、これより計算された平均粒子径は16.1nmであった。得られた粉末及びこれを表2の条件にしたがって塗布液としたものの色調を上記の通り測定した。結果を併せて表2に示す。また、この粉末のTEM写真を図2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0003651017
【0025】
実施例2
Fe2+1.2mol/リットルを含む塩化第一鉄水溶液1リットルをFe3+2.0mol/リットルを含む塩化第二鉄水溶液1リットルに加えた混合溶液を2.4mol/リットルのNaOH水溶液4リットルに加え、pH9.24、温度90℃において約1時間間撹拌を続けた。
引き続き、上記マグネタイトを含む懸濁液に0.1mol/リットルのオレイン酸ナトリウム水溶液2リットルを加え、温度29℃で撹拌した。生成した粒子を常法により水洗し濾別し、45℃で55時間乾燥して黒色の粉末(含水率0.20%)を得た。
得られた粉末のBET値は36.2m2 /gであり、これより計算された平均粒子径は31.8nmであった。得られた粉末及びこれを表3の条件にしたがって塗布液としたものの色調を上記の測色法により測定した。結果を併せて表3に示す。また、この粉末のTEM写真を図3に示す。
【0026】
【表3】
Figure 0003651017
【0027】
比較例2
以下のように脂肪酸処理を行なわないほかは実施例2とほぼ同様の条件でマグネタイト粒子を製造した。
Fe2+1.0mol/リットルを含む塩化第一鉄水溶液1リットルをFe3+2.0mol/リットルを含む塩化第二鉄水溶液1リットルに加えた混合溶液を2.1mol/リットルのNaOH水溶液4リットルに加え、pH10.38 、温度90℃において約1時間撹拌を続けマグネタイト粒子を生成した。生成した粒子を常法により水洗し濾別し、40℃で48時間乾燥して黒色の粉末を得た。得られた粉末のBET値は73.1m2 /gであり、これより計算された平均粒子径は16.6nmであった。得られた粉末及びこれを表2の条件にしたがって塗布液としたものの色調を上記の通り測定した。結果を併せて表4に示す。また、この粉末のTEM写真を図4に示す
【0028】
【表4】
Figure 0003651017
【0029】
実施例3
Fe2+1.0mol/リットルを含む塩化第一鉄水溶液1リットルをFe3+2.0mol/リットルを含む塩化第二鉄水溶液1リットルに加えた混合溶液を2mol/リットルのNaOH水溶液4リットルに加え、pH11.67、温度90℃において1時間撹拌を行なった。
引き続き、上記マグネタイトを含む懸濁液に0.1mol/リットルのオレイン酸ナトリウム水溶液2リットルを加え、温度90℃で30分撹拌した後、Si換算で0.3 mol 含むように二ケイ酸ナトリウム水和物(SiO2 :52.75 %)水溶液2リットルを加え、温度90℃で撹拌した。生成した粒子を常法により水洗し濾別し、45℃で 163時間乾燥して黒色の粉末(含水率0.70%)を得た。
得られた粉末のBET値は74.5m2 /gであり、これより計算された平均粒子径は15.5nmであった。得られた粉末及びこれを表5の条件にしたがって塗布液としたものの色調を上記の測色法により測定した。結果を併せて表5に示す。また、この粉末のTEM写真を図5に示す。
【0030】
【表5】
Figure 0003651017
【0031】
実施例4
Fe2+1.0mol/リットルを含む塩化第一鉄水溶液1リットルをFe3+2.0mol/リットルを含む塩化第二鉄水溶液1リットルに加えた混合溶液を2mol/リットルのNaOH水溶液4リットルに加え、pH8.68、温度90℃において約1時間撹拌を続けマグネタイト粒子を生成した。
次いで、上記マグネタイトを含む懸濁液に0.1mol/リットルのステアリン酸ナトリウム水溶液2リットルを加え、温度90℃で撹拌した。生成した粒子を常法により水洗し濾別し、45℃で79時間乾燥して黒色の粉末(含水率0.24%)を得た。
得られた粉末のBET値は39.5m2 /gであり、これより計算された平均粒子径は29.2nmであった。得られた粉末及びこれを表6の条件にしたがって塗布液としたものの色調を上記の測色法により測定した。結果を併せて表6に示す。
【0032】
【表6】
Figure 0003651017
【0033】
上記各実施例・比較例で得られた粒子のTEM写真に示されるように、比較例の粒子は微細粒子が不規則に凝集して形成されたものであることがわかる。すなわち、各二次粒子を構成する一次粒子が容易に識別でき、各一次粒子の大きさや形状も極めて不均一である。これに対し、本発明の粒子は、球形性が高く、大きさも均一な一次粒子である。
【0034】
試験例(経時変化測定試験)
実施例および比較例で得られたマグネタイト、イオン交換水および分散剤をサンプル瓶に入れ、スパーテルで撹拌しながら超音波に約20分間かけ、マグネタイトを固形分濃度で10%、分散剤(C1733COONa)を3%含有する水分散液を調製した。分散液の総量は50gとした。この分散液をペレット用セルに20ml入れ、約150時間に亘って、L値、a値及びb値の変化を測定した。図6に示す結果より、本発明のマグネタイト粒子を用いた分散液は長期に亘って良好な安定性を示すことがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明のマグネタイト粒子は、粒径が0.01μm〜0.05μmと従来のマグネタイト粒子よりも小さいため、分散性が良く、なおかつ可視光の波長以下であるため、黒色に深みがある、また、本発明のマグネタイト粒子は、脂肪酸被覆されているため、酸化などの経時的変化を受けにくく、色調の経時変化がない。このため、黒色顔料として特に有用である。また、本発明のマグネタイトは、比較的簡単に製造することができ、従来のような煩雑な工程を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネタイト粒子の粒子構造を示すTEM写真。
【図2】脂肪酸被覆処理を施さないマグネタイト粒子の粒子構造を示すTEM写真。
【図3】本発明のマグネタイト粒子の粒子構造を示すTEM写真。
【図4】脂肪酸被覆処理を施さないマグネタイト粒子の粒子構造を示すTEM写真。
【図5】本発明のマグネタイト粒子の粒子構造を示すTEM写真。
【図6】本発明および比較例のマグネタイト粒子の分散液についてL値の経時変化を示すグラフ。

Claims (3)

  1. 平均粒径0.01〜0.05μmであって、マグネタイト粒子表面が脂肪酸またはその塩によって被覆されており、さらにその表面にケイ酸被覆を有することを特徴とする球状マグネタイト粒子。
  2. 第一鉄イオンと第二鉄イオンの含有比が1:1 . 2〜1:2である第一鉄イオンと第二鉄イオンの混合水溶液に、アルカリ添加後のpHが5〜12になる量のアルカリを添加してマグネタイト微粒子を生成させ、生成したマグネタイト微粒子が懸濁している液中に脂肪酸または脂肪酸塩を添加し撹拌することによりマグネタイト微粒子の表面に脂肪酸またはその塩による被覆を形成し、さらに、可溶性ケイ酸塩を添加して脂肪酸またはその塩による被覆の表面にケイ酸被膜を形成することによって請求項1の球状マグネタイト粒子を製造することを特徴とする方法。
  3. 第一鉄イオンと第二鉄イオンの混合水溶液にアルカリを添加してpH5〜12に調整してマグネタイト微粒子を生成させ、平均粒径0.01〜0.05μmのマグネタイト微粒子が液中に懸濁した状態で、脂肪酸または脂肪酸塩を添加してマグネタイト微粒子の表面に脂肪酸またはその塩による被覆を形成させ、さらに可溶性ケイ酸塩をFeに対してSi換算で0.2〜0.5原子%添加して上記被膜の表面にケイ酸被膜を形成させる請求項2の製造方法。
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