JP3643227B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタシリンダとバキュームブースタとを備えた車両用のブレーキ装置に関するものであり、特に、バキュームブースタの能力低下をマスタシリンダとは別の液圧源により補償可能なブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−30385号公報には上記ブレーキ装置の一従来例が記載されている。これは、(a) ブレーキ操作部材と、(b) 入力された力により液圧を発生させるマスタシリンダと、(c) ブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに入力するバキュームブースタと、(d) マスタシリンダと液通路により接続され、その液通路から供給された液圧により作動するブレーキシリンダを有し、車輪の回転を抑制するブレーキと、(e) ブレーキ操作時に、マスタシリンダとは別の液圧源により、ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より高い液圧に増圧する増圧装置とを含むブレーキ装置である。ここに、バキュームブースタは、エンジン吸気管等、負圧源に接続された負圧室とその負圧室と大気とに選択的に連通させられる変圧室との差圧によってブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに入力するように構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および発明の効果】
ブレーキ操作部材が操作されれば、バキュームブースタの作動によって負圧室の負圧が消費される(大気圧に近づく)一方、その消費分の負圧が負圧源により補償されるが、ブレーキ操作が素早く行なわれた場合には、負圧源による補償が消費に追いつくことができず、その結果、負圧室の負圧が低下する(大気圧に近づく)。負圧室の負圧が低下すると、バキュームブースタの実際の助勢限界点も低下する。
【0004】
このような急ブレーキ操作時特性をバキュームブースタが有するにもかかわらず、上記従来技術においては、ブレーキ操作速度を考慮して増圧装置が制御されるようにはなっていない。そのため、その従来技術には、増圧装置によるブレーキシリンダの増圧時に、ブレーキ操作力と車体減速度との関係がブレーキ操作速度に応じて変化してしまい、十分には良好なブレーキ操作フィーリングが得られないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであり、その課題は、ブレーキ操作フィーリングがブレーキ操作速度の影響を受けずに済むブレーキ装置を提供することにある。
【0006】
この課題は下記態様によって解決される。なお、以下の説明において、本発明の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明示するためである。
【0007】
(1) ブレーキ操作部材と、
入力された力により液圧を発生させるマスタシリンダと、
前記ブレーキ操作部材の操作力を助勢して前記マスタシリンダに入力するバキュームブースタと、
前記マスタシリンダと液通路により接続され、その液通路から供給された液圧により作動するブレーキシリンダを有し、車輪の回転を抑制するブレーキと、
ブレーキ操作時に、前記マスタシリンダとは別の液圧源により、前記ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より高い液圧に増圧する増圧装置と
を含むブレーキ装置において、
前記増圧装置に、
前記マスタシリンダの液圧またはそのマスタシリンダの液圧と1対1に対応する物理量である、マスタシリンダ圧関連量が、前記バキュームブースタの実際の助勢限界点に対応するマスタシリンダ圧関連量である増圧開始基準値に達した後に、前記ブレーキシリンダの液圧を、車体減速度が前記ブレーキ操作部材の操作力の増加に対して前記バキュームブースタの助勢限界前と同じ勾配で増加するように増圧させる手段と、
前記増圧開始基準値を、前記ブレーキ操作部材の操作速度が大きい場合に小さい場合より小さい値にする増圧開始基準値決定手段を備えた増圧開始時期制御手段を含み、前記ブレーキシリンダの増圧時に、前記ブレーキ操作部材の操作力と車体減速度との関係がブレーキ操作部材の操作速度に応じて変化することを抑制する関係変化抑制装置と
を設けたことを特徴とするブレーキ装置〔請求項1〕。
この装置によれば、操作力と車体減速度との関係がブレーキ操作速度に応じて変化することが抑制されるため、ブレーキ操作フィーリングがブレーキ操作速度の影響を受けることを抑制し得る。
この装置においては、増圧開始基準値がブレーキ操作速度が大きい場合に小さい場合より小さい値に決定される。増圧開始がより早期に行なわれるのであり、ブレーキ操作部材の操作速度が大きく、負圧室の負圧が低下し、バキュームブースタの助勢限界点が低下すれば、それに応じた早い時期に増圧が開始される。したがって、この装置によれば、急ブレーキ操作時にバキュームブースタが助勢限界に到達したにもかかわらず増圧が開始されないために前記関係が変化してブレーキ操作フィーリングが悪化するという事態の発生を回避できる。
(2) さらに、前記マスタシリンダ液圧関連量と前記ブレーキ操作部材の操作速度またはその操作速度と1対1に対応する物理量である操作速度関連量とを検出するために使用されるそれらに共通のセンサを含む(1) 項に記載のブレーキ装置。
(3) 前記増圧装置が、(a) 前記操作速度に関連する量を検出する操作速度関連量センサと、(b) 前記マスタシリンダの液圧に関連する量を検出するマスタシリンダ液圧関連量センサと、(c) 前記マスタシリンダ液圧関連量の検出値に基づき、前記マスタシリンダ液圧が増圧開始基準値に到達した場合に、前記増圧装置に前記ブレーキシリンダの増圧を開始させる増圧開始手段とを含む (1) 項または (2) 項に記載のブレーキ装置。
前項に記載のブレーキ装置においては、マスタシリンダ液圧またはそれの関連量と操作速度またはそれの関連量とを検出することが必要であり、それら2種類の物理量は互いに異なる2種類のセンサを用いて検出することが可能である。この場合に、それら2種類の物理量が共通のセンサにより検出されるようにすれば、センサ数の節減によって装置コストの低減化が可能となる。
「操作速度関連量」は、ブレーキ操作部材の操作速度そのものとしたり、その操作速度と1対1に対応する物理量、例えば、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストロークまたは操作位置の時間的変化速度,マスタシリンダ液圧の時間的変化速度等とすることができる。したがって、「操作速度関連量センサ」は、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストロークまたは操作位置を検出する操作力センサ,操作ストロークセンサまたは操作位置センサを含み、その検出値の時間的変化速度を操作速度関連量とする形式としたり、マスタシリンダ液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサを含み、その検出値の時間的変化速度を操作速度関連量とする形式とすることができる。
また「マスタシリンダ液圧関連量」は、マスタシリンダ液圧そのものとしたり、そのマスタシリンダ液圧と1対1に対応する物理量、例えば、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストロークまたは操作位置,車体減速度等とすることができる。したがって、「マスタシリンダ液圧関連量センサ」は、マスタシリンダ液圧センサとしたり、操作力センサ,操作ストロークセンサまたは操作位置センサとしたり、車体減速度センサとすることができる。車体減速度センサは、車体減速度そのものを検出する形式としたり、検出した車速の時間微分値を車体減速度とする形式とすることができる。
(4) 前記増圧装置が、さらに、(a) 車両のエンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、(b) 前記エンジンのスロットルの開度を検出するスロットル開度センサとを含み、かつ、前記増圧開始基準値決定手段が、前記操作速度関連量の検出値のみならず、前記エンジン回転数およびスロットル開度の検出値にも基づいて決定する手段を含む(1) ないし (3) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(5) 前記バキュームブースタが、負圧源としてのエンジン吸気管に接続された負圧室とその負圧室と大気とに選択的に連通させられる変圧室との差圧により作動させられるものであり、前記増圧開始基準値決定手段が、(a) 前記エンジン回転数およびスロットル開度の検出値に基づき、前記エンジンの運転状態に応じて前記負圧室の圧力が変動する第1変動量を推定する第1圧力変動量推定手段と、(b) 前記操作速度関連量の検出値に基づき、前記操作速度に応じて前記負圧室の圧力が変動する第2変動量を推定する第2圧力変動量推定手段と、(c) 前記増圧開始基準値の初期値に対して前記第1および第2変動量の推定値の影響を考慮することにより、増圧開始基準値の今回値を決定する今回値決定手段とを含む(4) 項に記載のブレーキ装置。
(6) 前記関係変化抑制装置が、前記増圧装置が前記ブレーキシリンダの液圧を前記マスタシリンダの液圧より増圧する量を、前記操作速度が大きい場合において小さい場合におけるより増加させる増圧量制御手段を含む(1) ないし(5) 項のいずれかに記載のブレーキ装置〔請求項2〕。
この装置においては、急ブレーキ操作に起因した負圧室の負圧低下によるバキュームブースタの能力低下が、ブレーキ操作速度に応じて、すなわち、負圧の低下分に応じて補償されるため、ブレーキ操作速度が大きい場合にその補償が不足することも、ブレーキ操作速度が小さい場合にその補償が過剰になることも抑制される。
(7) 前記増圧装置が、前記液通路の途中に設けられた流通制御弁を有するとともに、前記液通路のうちその流通制御弁と前記ブレーキシリンダとの間の部分に吐出側が接続されたポンプを前記別の液圧源として有し、かつ、流通制御弁により少なくともブレーキシリンダから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止した状態でポンプによりブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より高い液圧に増圧するポンプ型増圧装置を含み、前記関係変化抑制装置が、前記操作速度が基準値より大きい場合に、前記ポンプの作動開始時期を、前記流通制御弁の作動開始時期より早めるポンプ作動開始時期制御手段を含む(1) ないし(6) 項のいずれかに記載のブレーキ装置〔請求項3〕。
この装置においては、ポンプの応答遅れが特に問題となる場合、すなわち、ブレーキ操作速度が大きい場合に、流通制御弁の作動開始に先行してポンプの作動が開始させられる。したがって、この装置によれば、ブレーキ操作速度が大きい場合に、ポンプの応答遅れがブレーキシリンダ液圧に与える影響が少なくなり、その結果、操作力と車体減速度との関係がブレーキ操作速度に応じて変化することが抑制される。
(8)前記流通制御弁が、(a) 前記ブレーキシリンダの液圧の高さから前記マスタシリンダの液圧の高さを引き算した差圧が大きくなろうとすれば、相互に離間することにより、ブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを許容し、一方、前記差圧が小さければ、相互に密着することにより、前記流れを阻止する弁子および弁座と、(b) 磁気力によりそれら弁子と弁座とを相互に接近する向きに付勢するとともにその磁気力を連続的に変化させることにより、それら弁子と弁座とが相互に離間し始めるときの前記差圧を連続的に制御する連続的差圧制御装置とを有する圧力制御弁を含み、かつ、前記ポンプが、前記液通路のうちその圧力制御弁と前記ブレーキシリンダとの間の部分に吐出側が接続されている(7) 項に記載のブレーキ装置。
(9)前記流通制御弁が、開位置と閉位置との2位置に電磁的に切り換わる2位置弁を含む(7) 項または (8)項に記載のブレーキ装置。
(10)前記増圧装置が、前記2位置弁を、常には開位置にあり、前記増圧の開始に伴って開位置から閉位置に切り換わり、増圧中は閉位置に維持され、増圧の終了に伴って閉位置から開位置に切り換わるように制御する2位置弁制御手段を含む(9)項に記載のブレーキ装置。
(11)前記増圧装置が、前記ポンプの吐出量を制御することにより、前記ブレーキシリンダの液圧のマスタシリンダの液圧からの増圧量を可変に制御するポンプ吐出量制御手段を含む(10)項に記載のブレーキ装置。
(12)前記増圧装置が、さらに、前記ポンプを駆動するモータを含み、前記ポンプ吐出量制御手段が、そのモータをデューティ制御することにより、前記ポンプの吐出量を制御するモータデューティ制御手段を含む(11)項に記載のブレーキ装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1には、本発明の第1実施形態であるブレーキ装置が示されている。このブレーキ装置はブレーキペダル10をブレーキ操作部材として備えており、そのブレーキペダル10はバキュームブースタ12(以下、単に「ブースタ」という)を介してマスタシリンダ14に連結されている。
【0010】
ブースタ12は、よく知られた構造であるため、簡単に説明する。ブースタ12は、中空のハウジング20を備えており、そのハウジング20内の空間はダイヤフラム付きのパワーピストン22により、マスタシリンダ14の側の負圧室24とブレーキペダル10の側の変圧室26とに仕切られている。負圧室24は、負圧源としてのエンジン吸気管28に接続されている。変圧室26は、図示しない弁機構により、負圧室24と大気とに選択的に連通させられる。
【0011】
マスタシリンダ14も、よく知られた構造であるため、簡単に説明する。マスタシリンダ14は、タンデム型であり、ハウジングに2つの加圧ピストンが互いに直列にかつ各々摺動可能に嵌合され、それにより、ハウジング内に各加圧ピストンの前方において2つの加圧室が互いに独立して形成されている。マスタシリンダ14は、ブレーキペダル10の踏力であるブレーキ操作力に応じてそれら加圧室にそれぞれ等しい高さの液圧を機械的に発生させる。
【0012】
このブレーキ装置は前後2系統式であり、マスタシリンダ14の一方の加圧室には、左右前輪のそれぞれのブレーキ50を作動させるブレーキシリンダ60が接続されている。ブレーキ50はディスク式またはドラム式とすることができる。また、図示しないが、他方の加圧室には、左右後輪のそれぞれのブレーキを作動させるブレーキシリンダが接続されている。前輪ブレーキ系統と後輪ブレーキ系統とは構成が共通するため、以下、前輪ブレーキ系統のみを図1に基づいて代表的に説明し、後輪ブレーキ系統の説明を省略する。
【0013】
マスタシリンダ14は主通路64により左前輪FLのブレーキシリンダ60と右前輪FRのブレーキシリンダ60とに接続されている。主通路64は、マスタシリンダ14から延び出た後に二股状に分岐させられており、1本の基幹通路66と2本の分岐通路68とが互いに接続されて構成されている。基幹通路66の途中には圧力制御弁70が設けられている。各分岐通路68の先端にはブレーキシリンダ60が接続されている。主通路64のうち圧力制御弁70とブレーキシリンダ60との間の部分にはポンプ通路72が接続され、その途中にポンプ74が設けられている。
【0014】
図2には、圧力制御弁70が拡大して示されている。圧力制御弁70は、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ60との差圧を電磁的に制御する形式である。圧力制御弁70は、図示しないハウジングと、主通路64におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間における作動液の流通状態を制御する弁子80およびそれが着座すべき弁座82と、それら弁子80および弁座82の相対移動を制御する磁気力を発生させるソレノイド84とを有している。
【0015】
この圧力制御弁70においては、ソレノイド84が励磁されない非作用状態(OFF状態)では、スプリング86の弾性力によって弁子80が弁座82から離間させられ、それにより、主通路64においてマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間における双方向の作動液の流れが許容され、その結果、ブレーキ操作が行われれば、ブレーキシリンダ60がマスタシリンダ14と等圧で変化させられる。このブレーキ操作中、弁子80には、弁座82から離間する向きに力が作用するため、ソレノイド84が励磁されない限り、マスタシリンダ液圧すなわちブレーキシリンダ液圧が高くなっても、弁子80が弁座82に着座してしまうことはない。すなわち、圧力制御弁70は常開弁なのである。
【0016】
これに対し、ソレノイド84が励磁される作用状態(ON状態)では、ソレノイド84の磁気力によりアーマチュア88が吸引され、そのアーマチュア88と一体的に移動する可動部材としての弁子80が固定部材としての弁座82に着座させられる。このとき、弁子80には、ソレノイド84の磁気力に基づく吸引力F1 と、ブレーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液圧との差に基づく力F2 とスプリング86の弾性力F3 との和とが互いに逆向きに作用する。力F2 の大きさは、ブレーキシリンダ液圧の高さからマスタシリンダ液圧の高さを引き算した差圧と、弁子80がブレーキシリンダ液圧を受ける実効受圧面積との積で表される。
【0017】
ソレノイド84が励磁される作用状態(ON状態)であって、ポンプ74の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれほど増加せず、
F2 ≦F1 −F3
なる式で表される関係が成立する領域では、弁子80が弁座82に着座し、ポンプ74からの作動液がマスタシリンダ14に逃げることが阻止され、ポンプ74の吐出圧が増加し、ブレーキシリンダ60にマスタシリンダ14より高い液圧が発生させられる。これに対し、ポンプ74の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がさらに増加し、
F2 >F1 −F3
なる式で表される関係が成立しようとする領域では、弁子80が弁座82から離間し、ポンプ74からの作動液がマスタシリンダ14に逃がされ、その結果、ポンプ74の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれ以上増加することが阻止される。このようにしてブレーキシリンダ60には、スプリング86の弾性力F3 を無視すれば、マスタシリンダ液圧に対してソレノイド吸引力F1 に基づく差圧分高い液圧が発生させられることになる。
【0018】
また、圧力制御弁70は、図3にグラフで表されているように、ソレノイド84の磁気力である吸引力F1 の大きさがソレノイド84の励磁電流Iの大きさに応じてリニアに変化するように設計されている。
【0019】
この圧力制御弁70には図1に示すように、バイパス通路92が設けられており、そのバイパス通路92の途中にバイパス弁94が逆止弁として設けられている。万が一、ブレーキペダル10の踏み込み時に圧力制御弁70内の可動部材に生ずる流体力により圧力制御弁70が閉じてしまったり、圧力制御弁70が機械的にロックして閉じたままになってしまった場合でも、マスタシリンダ14からブレーキシリンダ60へ向かう作動液の流れが確保されるようにするためである。
【0020】
各分岐通路68の途中には、ポンプ通路72との接続点よりブレーキシリンダ60の側において、常開の電磁開閉弁である保持弁100が設けられている。保持弁100は、励磁されて閉状態となり、その状態で、ポンプ74からブレーキシリンダ60へ向かう作動液の流れを阻止し、それにより、ブレーキシリンダ液圧が保持される状態を実現する。各保持弁100にはバイパス通路102が接続され、各バイパス通路102には作動液戻り用のバイパス弁104が逆止弁として設けられている。
【0021】
各分岐通路68のうち保持弁100とブレーキシリンダ60との間の部分からリザーバ通路106が延びてリザーバ108に至っている。各リザーバ通路106の途中には常閉の電磁開閉弁である減圧弁110が設けられている。減圧弁110は、励磁されて開状態となり、その状態では、ブレーキシリンダ60からリザーバ108へ向かう作動液の流れを許容し、それより、ブレーキシリンダ液圧が減圧される状態を実現する。
【0022】
リザーバ108は、ハウジングにリザーバピストン112が実質的に気密かつ摺動可能に嵌合されて構成されるとともに、その嵌合によりリザーバピストン112の前方に形成されたリザーバ室114において作動液を付勢手段としてのスプリング116によって圧力下に収容するものである。リザーバ室114は前記ポンプ通路72により前記主通路64に接続されている。
【0023】
ポンプ通路72はポンプ74により吸入通路120と吐出通路122とに仕切られており、それら通路120,122には、共に逆止弁である吸入弁124と吐出弁126とがそれぞれ設けられている。ポンプ通路72にはさらに、ダンパ室128とオリフィス129とが互いに直列にポンプ74の吐出側に設けられており、それにより、ポンプ74の脈動が軽減される。
【0024】
吸入通路120のうち吸入弁124とリザーバ108との間の部分は、補給通路130により、主通路64のうちマスタシリンダ14と圧力制御弁70との間の部分に接続されている。補給通路130の途中には、常閉の電磁開閉弁である流入制御弁132が設けられている。流入制御弁132は、ポンプ74の作動時に、そのポンプ74が作動液をリザーバ108から汲み上げることが必要であって、マスタシリンダ14から汲み上げることが適当でない場合には閉状態、マスタシリンダ14から汲み上げることが必要である場合には開状態となるように、後述のECUにより制御される。吸入通路120のうち補給通路130との接続点とリザーバ108との間の部分に逆止弁134が設けられている。この逆止弁134は、流入制御弁132の開状態で作動液がマスタシリンダ14からリザーバ108に流入することを阻止するために設けられている。よって、この逆止弁134により、マスタシリンダ14からの作動液が高圧のままでポンプ74に吸入されることが保証される。なお、前記リザーバ通路106と吸入通路120との接続点は、その逆止弁134とリザーバ108との間に設けられている。
【0025】
以上、このブレーキ装置のハードウェア構成を説明したが、次に、ソフトウェア構成を図4に基づいて説明する。ただし、同図には、ソフトウェア構成のうち前輪ブレーキ系統に関する部分のみが代表的に示されている。
【0026】
このブレーキ装置は、電子制御ユニット(以下、「ECU」と略称する)200を備えている。ECU200は、CPU,ROMおよびRAMを含むコンピュータを主体として構成されており、そのROMに記憶されている効き特性制御ルーチンおよびアンチロック制御ルーチンがCPUによりRAMを使用しつつ実行されることにより、効き特性制御とアンチロック制御とが実行される。「効き特性制御」は、ブースタ12に助勢限界があることを考慮し、ブースタ12の助勢限界の前後を問わず、車体減速度Gがブレーキ操作力FB に対して同じ勾配で増加するようにそれらブレーキ操作力FB と車体減速度Gとの関係であるブレーキの効き特性を制御することをいう。また、「アンチロック制御」は、よく知られているように、車両制動時に各輪のロック傾向が過大にならないように各輪のブレーキシリンダ液圧を制御することをいう。本実施形態においては、アンチロック制御中、ポンプ74により作動液がブレーキ回路内を還流させられる。そして、本実施形態においては、ブレーキ操作中、そのポンプ74を利用して効き特性制御が行われる。すなわち、本実施形態においては、同じポンプ74が効き特性制御とアンチロック制御とで共用されるようになっているのである。
【0027】
ECU200の入力側には、マスタシリンダ液圧センサ202と車輪速センサ204とが接続されている。マスタシリンダ液圧センサ202は、マスタシリンダ14またはそれと等圧の作動液を収容する部分に設けられ、マスタシリンダ液圧の高さを規定するマスタシリンダ液圧信号を出力する。車輪速センサ204は、各輪毎に設けられ、各輪の車輪速を規定する車輪速信号を出力する。
【0028】
一方、ECU200の出力側には、前記ポンプ74を駆動するポンプモータ210が接続され、そのポンプモータ210の駆動回路にモータ駆動信号が出力される。ECU200の出力側にはさらに、前記圧力制御弁70のソレノイド84,保持弁100,減圧弁110および流入制御弁132の各ソレノイド212も接続されている。圧力制御弁70のソレノイド84には、そのソレノイド84の磁気力をリニアに制御するための電流制御信号が出力され、一方、保持弁100,減圧弁110および流入制御弁132の各ソレノイド212にはそれぞれ、ソレノイド212をON/OFF駆動するためのON/OFF駆動信号が出力される。
【0029】
図5には、効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。以下、本ルーチンを説明するが、まず、概略的に説明する。
【0030】
図6には、ブレーキ操作力FB とブレーキシリンダ液圧PB (車体減速度Gに相当する)との関係が複数、各グラフで表されている。図において▲1▼で示す実線グラフは、効き特性制御を実行させない状態で、ブレーキペダル10が通常の速度で操作された場合の関係を示すものである。この場合には、グラフの勾配すなわちブレーキ操作フィーリングが図においてAで示す助勢限界点(死点)を超えた後に低下する。これに対して、▲2▼で示す実線グラフは、効き特性制御を実行させた状態で、ブレーキペダル10が通常の速度で操作された場合の関係を示すものである。この場合には、グラフの勾配すなわちブレーキ操作フィーリングが図において助勢限界点(死点ともいう)Aを超えた後にも低下せず、助勢限界の前後で安定したブレーキ操作フィーリングが実現される。また、▲3▼で示す破線グラフは、効き特性制御を実行させない状態で、ブレーキペダル10が素早く操作された場合の関係を示すものである。この場合には、助勢限界点BがAより低下する。また、▲4▼で示す破線グラフは、マスタシリンダ液圧PM が助勢限界点Aに相当する通常値P1 (固定値)に到達したときからブレーキシリンダ60の増圧を開始する形式の効き特性制御を実行させた状態で、ブレーキペダル10が素早く操作された場合の関係を示すものである。この場合には、ブレーキシリンダ60の増圧が実際の助勢限界点Bへの到達時期より遅い時期Cに開始される。そのため、この場合には、実際の助勢限界点Bへの到達の前後でグラフが不連続となり、実際の助勢限界点Bを堺にしてブレーキ操作フィーリングが互いに異なってしまう。
【0031】
この問題を解決するために、本実施形態においては、ブレーキペダル10の操作速度が大きい場合にも、ブースタ12が実際に助勢限界点に到達した時期から確実に増圧が開始されることを目的として、操作速度が大きい場合には、小さい場合におけるより早期に増圧開始が行なわれるように、増圧開始基準値PTHが変更される。通常ブレーキ操作時には通常値P1 と等しいが、急ブレーキ操作時にはその通常値P1 より小さく、かつ、操作速度に応じて変化するように変更されるのである。そして、本実施形態においては、増圧開始基準値PTHが、操作速度VB に基づき、
PTH=P1 −αVB
なる式を用いて決定される。この式において「α」は実験的に設定された定数である。また、この式において「−αVB 」の項は、ブースタ12の助勢限界点が操作速度VB に応じて通常値P1 から変動する量を表している。
【0032】
図7には、それら操作速度VB と増圧開始基準値PTHとの関係の一例がグラフで示されている。本実施形態においては、増圧開始基準値PTHが操作速度VB に対してリニアに、かつ、勾配αを有して変化するように設計されている。しかし、そのように設計することは不可欠なことではなく、曲線的な関係としたり、階段的な関係とすることができる。
【0033】
次に、この効き特性制御ルーチンの内容を図5に基づいて具体的に説明する。本ルーチンは、運転者により車両のイグニションスイッチがON状態に操作された後、繰り返し実行される。各回の実行時にはまず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする)において、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出される。具体的には、まず、マスタシリンダ液圧センサ202からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、その取り込まれた信号に基づいて現在のマスタシリンダ液圧PM が演算される。
【0034】
次に、S2において、現在の操作速度VB が演算される。具体的には、マスタシリンダ液圧PM の今回演算値PM (n) (現在値)から前回演算値PM (n-1) (本ルーチンの前回の実行時に検出されたマスタシリンダ液圧PM )が引き算され、その値が本ルーチンの実行周期Δtで割り算され、さらに、その値に適当な係数mが掛け算され、その値の絶対値が現在の操作速度VB とされる。すなわち、現在の操作速度VB は、
VB =|m{(PM (n) −PM (n-1) )/Δt}|
なる式で演算されるのである。
【0035】
続いて、S3において、増圧開始基準値PTHが決定される。具体的には、現在の操作速度VB に基づき、前述の、
PTH=P1 −αVB
なる式を用いて決定される。ここに「P1 」および「α」はいずれも定数である。
【0036】
その後、S4において、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高いか否かが判定される。ブースタ12が助勢限界点に到達したためにブレーキシリンダ液圧PB をマスタシリンダ液圧PM より増圧することが必要であるか否かが判定されるのである。今回はその必要があると仮定すれば、判定がYESとなり、S5において、増圧制御が行なわれる。
【0037】
図8には、その増圧制御の詳細が増圧制御ルーチンとしてフローチャートで表されている。まず、S21において、ブレーキシリンダ液圧PB をマスタシリンダ液圧PM より増圧すべき増圧量すなわち目標差圧ΔPが演算される。マスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係がROMに記憶されており、その関係に従ってマスタシリンダ液圧PM の現在値に対応する目標差圧ΔPが演算されるのである。図9には、マスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係がグラフで示されている。目標差圧ΔPは、ブースタ12の助勢限界後にもブレーキシリンダ液圧PB がブレーキ操作力FP に対して助勢限界前と同じ勾配で増加するように設計されている。
【0038】
次に、S22において、演算された目標差圧ΔPに応じ、圧力制御弁70のソレノイド84に供給すべき電流値Iが演算される。目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとの関係がROMに記憶されており、その関係に従って目標差圧ΔPに対応するソレノイド電流値Iが演算されるのである。図10には、目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとの関係の一例として、目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとを直接に対応させるのではなくソレノイド吸引力F1 を媒介として間接に対応させる関係が示されている。目標差圧ΔPとソレノイド吸引力F1 との関係と、ソレノイド吸引力F1 とソレノイド電流値Iとの関係とがそれぞれ示されているのである。
【0039】
続いて、S23において、圧力制御弁70のソレノイド84に、演算された電流値Iで電流が供給されることにより、電流制御が行われる。その後、S24において、流入制御弁132のソレノイド212にそれをONにする信号が出され、続いて、S25において、ポンプモータ210にそれをONにする信号が出される。これにより、ポンプ74によりマスタシリンダ14から高圧の作動液が汲み上げられるとともに、その作動液が各ブレーキシリンダ60に吐出され、その結果、マスタシリンダ14よりマスタシリンダ液圧PM に応じた高さだけ高い液圧が各ブレーキシリンダ60に発生させられる。以上で増圧制御ルーチンの一回の実行が終了し、以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行も終了する。
【0040】
これに対して、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高くはない場合には、S4の判定がNOとなり、S6において、終了処理が行なわれる。
【0041】
図11には、その終了処理の詳細が終了処理ルーチンとしてフローチャートで表されている。まず、S41において、圧力制御弁70のソレノイド84がOFFにされ、次に、S42において、流入制御弁132のソレノイド212がOFFにされ、続いて、S43において、ポンプモータ210がOFFにされる。以上で終了処理ルーチンの一回の実行が終了し、以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行も終了する。
【0042】
以上、効き特性制御ルーチンを図面に基づいて説明したが、以下、アンチロック制御ルーチンを説明する。
【0043】
アンチロック制御ルーチンは、車輪速センサ204により各輪の車輪速および車体の走行速度を監視しつつ、保持弁100は開状態、減圧弁110は閉状態とする増圧状態,保持弁100も減圧弁110も閉状態とする保持状態および保持弁100は閉状態、減圧弁110は開状態とする減圧状態を選択的に実現することにより、車両制動時に各輪がロックすることを防止する。アンチロック制御ルーチンは、アンチロック制御中ポンプモータ210を作動させ、ポンプ74によりリザーバ108から作動液を汲み上げて主通路64に戻す。
【0044】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ポンプ74と圧力制御弁70と流入制御弁132とマスタシリンダ液圧センサ202とが互いに共同して「増圧装置」を構成し、ポンプ74が「別の液圧源」を構成し、マスタシリンダ液圧センサ202と、ECU200のうち図5のS2およびS3を実行する部分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手段」の一例を構成し、その一例の「増圧開始時期制御手段」が「関係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態であるブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は先の第1実施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0046】
第1実施形態においては、操作速度VB がマスタシリンダ液圧PM の検出値を実質的に時間に関して微分することによって取得されるようになっているが、本実施形態においては、ブレーキペダル10の操作ストロークSB の検出値を実質的に時間に関して微分することによって取得される。
【0047】
そのため、本実施形態においては、図12に示すように、操作ストロークSB を検出する操作ストロークセンサ220が追加されている。操作ストロークセンサ220は、ブレーキペダル10の回動に応じて直線運動する部材のストロークを操作ストロークSB として検出する形式としたり、ブレーキペダル10の回動に応じて回転する部材の回転位置を操作ストロークSB として検出する形式とすることができる。
【0048】
図13には、本実施形態におけるECU200のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通するステップについては簡単に説明する。
【0049】
まず、S101において、前記S1におけると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出される。次に、S102において、現在の操作ストロークSB が検出される。具体的には、操作ストロークセンサ220から操作ストローク信号が取り込まれ、その取り込まれた信号に基づいて現在の操作ストロークSB が演算される。続いて、S103において、現在の操作速度VB が演算される。具体的には、操作ストロークSB の今回演算値SB (n) から前回演算値SB (n-1) が引き算され、その値が本ルーチンの実行周期Δtで割り算され、さらに、その値に適当な係数nが掛け算され、その値の絶対値が現在の操作速度VB とされる。すなわち、現在の操作速度VB は、
VB =|n{(SB (n) −SB (n-1) )/Δt}|
なる式で演算されるのである。
【0050】
続いて、S104において、前記S3におけると同様に、増圧開始基準値PTHが決定される。その後、S105において、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高いか否かが判定される。今回は高いと仮定すれば、判定がYESとなり、S106において、増圧制御が行なわれる。これに対して、今回は、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高くはないと仮定すれば、S105の判定がNOとなり、S107において、終了処理が行なわれる。以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0051】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、操作ストロークセンサ220と、ECU200のうち図13のS102〜S104を実行する部分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手段」の一例を構成し、その一例の「増圧開始時期制御手段」が「関係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0052】
次に、本発明の第3実施形態であるブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は最先の第1実施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0053】
第1実施形態においては、通常値P1 が固定値とされている。操作速度VB が同じであれば、ブースタ12の助勢限界点も同じになると仮定されているからである。しかし、操作速度VB が同じでも、エンジンの運転状態が異なればエンジンの吸気管28の負圧(以下、「エンジン負圧」という)が異なる。図16に示すように、エンジンのクランクシャフトの回転数(以下、単に「エンジン回転数」という)が増加するにつれてエンジン負圧が上昇し(負圧傾向が強くなり)、また、図17に示すように、吸気管28内に設けられたスロットルバルブの開度(以下、単に「スロットル開度」という)が増加するにつれてエンジン負圧が低下する(負圧傾向が弱くなる)。そして、エンジン負圧が異なればブースタ12の負圧室24の圧力も異なり、ひいては、ブースタ12の助勢限界点も異なる。
【0054】
そこで、本実施形態においては、通常値P1 が固定値ではなく、エンジン負圧に応じた可変値とされている。さらに、本実施形態においては、通常値P1 が、ブレーキ操作時であるという条件下でエンジンが通常示す運転状態でブレーキペダル10が通常の速度で操作された場合にブースタ12が助勢限界に至るときのマスタシリンダ液圧PM に設定されている。その上で、エンジンの運転状態が通常のものとは異なることに起因して実際の助勢限界点がその通常値P1 から変動する量が第1変動量として取得される。さらに、ブレーキペダル10の操作速度VB が通常のものとは異なることに起因して実際の助勢限界点がその通常値P1 から変動する量が第2変動量として取得され、そして、それら通常値P1 と第1および第2変動量とから総合的に実際の助勢限界点が推定されて増圧開始基準値PTHが決定される。また、本実施形態においては、エンジンの運転状態がスロットル開度とエンジン回転数とに基づいて検出される。
【0055】
そのため、本実施形態においては、図14に示すように、スロットル開度TS を検出するスロットル開度センサ240と、エンジン回転数RS を検出するエンジン回転数センサ242とが第1実施形態に対して追加されている。
【0056】
図15には、本実施形態におけるECU200のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通するステップについては簡単に説明する。
【0057】
まず、S161において、前記S1におけると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出される。次に、S162において、前記S2におけると同様に、現在の操作速度VB が演算される。続いて、S163において、現在のスロットル開度TS が検出される。スロットル開度センサ240からのスロットル開度信号に基づき、現在のスロットル開度TS が演算されるのである。その後、S164において、現在のエンジン回転数RS が検出される。エンジン回転数センサ242からのエンジン回転数信号に基づき、現在のエンジン回転数RS が演算されるのである。続いて、S165において、増圧開始基準値PTHが決定される。具体的には、通常値P1 とスロットル開度TS とエンジン回転数RS と操作速度VB とに基づき、
PTH=P1 −β1 TS +β2 RS −αVB
なる式を用いて演算される。この式において「−β1 TS +β2 RS 」の項は上記第1変動量を表し、また、「−αVB 」の項は上記第2変動量を表している。また、「β1 」は、図17のグラフの勾配、「β2 」は、図16のグラフの勾配を表している。
【0058】
その後、S166において、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高いか否かが判定される。今回は高いと仮定すれば、判定がYESとなり、S167において、増圧制御が行なわれる。これに対して、今回は、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高くはないと仮定すれば、S166の判定がNOとなり、S168において、終了処理が行なわれる。以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0059】
なお付言すれば、本実施形態においては、エンジンの運転状態がスロットル開度TS とエンジン回転数RS との双方によって検出されるようになっているが、いずれかのみによって検出することが可能である。
【0060】
さらに付言すれば、本実施形態においては、スロットル開度センサ240とエンジン回転数センサ242とはそもそも、エンジン制御またはトランスミッション制御に設けられたものであり、よって、それらセンサ240,242はポンプ74による効き特性制御に流用されているのである。
【0061】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧センサ202とスロットル開度センサ240とエンジン回転数センサ242と、ECU200のうち図15のS162〜S165を実行する部分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手段」の一例を構成し、その一例の「増圧開始時期制御手段」が「関係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0062】
次に、本発明の第4実施形態であるブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は最先の第1実施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0063】
第1実施形態においては、急ブレーキ操作時には、通常ブレーキ操作時におけるより早い時期にポンプ74によるブレーキシリンダ60の増圧開始が行なわれるようになっている。
【0064】
一方、この種のブレーキ装置においては、ポンプ74がブレーキシリンダ液圧PB をマスタシリンダ液圧PM より増圧する機能を有することに着目すれば、ポンプ74をブースタとみなすことができ、そのような状況下では、ブースタ12のサーボ比RB とポンプ74のサーボ比RP との積により、ブレーキ操作力FB とブレーキシリンダ液圧PB との関係、すなわち、ブレーキ装置全体のサーボ比RTOT を表すことができる。
【0065】
急ブレーキ操作時には、ポンプ74による増圧開始時期を早めるのみならず、ポンプサーボ比RP を大きくすることが望ましい。急ブレーキ操作時には、通常ブレーキ操作時におけるより、実際のブースタサーボ比RB が低下してしまい、それをポンプサーボ比RP によって補償することが望ましいからである。そのため、ポンプサーボ比RP を、急ブレーキ操作時であるか通常ブレーキ操作時であるかを問わず、従来のブレーキ装置におけるより大きく設定することが考えられる。しかし、このようにしたのでは、通常ブレーキ操作時に全体サーボ比RTOT が過剰となってブレーキシリンダ液圧PB が過剰となってしまう。
【0066】
この問題は、一連の急ブレーキ操作においては、次のような問題として把握することができる。
急ブレーキ操作といっても、その操作中、操作速度VB が常に高いわけではなく、図20の(b) に示すように、最大値を超えた後には低下して通常値に至るのが一般的である。そのため、急ブレーキ操作においては、操作速度VB が高い急操作域では、全体サーボ比RTOT が適正となり、同図の(a) に破線グラフ▲2▼で示すように、ブレーキシリンダ液圧PB が図において細線グラフ▲3▼で示す設計値に十分に近い高さとなる。これに対して、後続する通常操作域では、ブースタ12の負圧室24の負圧がエンジン負圧によって回復し、それによってブースタサーボ比RB も回復するため、全体サーボ比RTOT が過剰となり、破線グラフ▲2▼で示すように、ブレーキシリンダ液圧PB が細線グラフ▲3▼で示す設計値に対して過剰となってしまう。なお、同図の(a) のグラフは、ブレーキ操作力FB の時間的変化勾配が一定と仮定されて作成されているため、そのグラフは結局、ブレーキ操作力FB とブレーキシリンダ液圧PB (車体減速度Gに相当する)との関係をも表している。
【0067】
そこで、本実施形態においては、ポンプサーボ比RP が操作速度VB が大きい場合には大きく、小さい場合には小さくなるように変化する可変値とされている。本実施形態においては、図19に示すように、操作速度VB が基準値VTHより小さい通常操作域では、基準値RP0と等しくなるように決定される。ここに、基準値RP0は、従来のブレーキ装置におけると同じ値とされている。これに対して、操作速度VB が基準値VTHを超えた急操作域では、基準値RP0に対して勾配γで増加するように決定される。すなわち、
RP =RP0+γ(VB −VTH)
なる式を用いて決定されるのである。ただし、このようにブレーキ操作状態を基準値VTHを基準にして2つの領域に明確に分割することは不可欠なことではなく、連続した関数によりポンプサーボ比RP を決定することは可能である。
【0068】
図18には、本実施形態におけるECU200のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通するステップについては簡単に説明する。
【0069】
まず、S201において、前記S1におけると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出される。次に、S202において、前記S2におけると同様に、現在の操作速度VB が演算される。続いて、S203において、前記S3におけると同様に、増圧開始基準値PTHが決定される。その後、S204において、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高いか否かが判定される。今回は高いと仮定すれば、判定がYESとなり、S205において、演算された操作速度VB が基準値VTHより大きいか否かが判定される。今回は大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、S206において、ポンプサーボ比RP が上記の式を用いて、基準値RP0より大きい値に決定される。これに対して、今回は演算された操作速度VB が基準値VTHより大きくはないと仮定すれば、S205の判定がNOとなり、S207において、ポンプサーボ比RP が基準値RP0と等しい値に決定される。いずれの場合にも、その後、S208において、増圧制御が行なわれる。これに対して、今回は、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高くはないと仮定すれば、S204の判定がNOとなり、S209において、終了処理が行なわれる。以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧センサ202と、ECU200のうち図18のS202およびS203を実行する部分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手段」の一例を構成し、マスタシリンダ液圧センサ202と、ECU200の図18のS202,S205〜S207を実行する部分とが互いに共同して「増圧量制御手段」の一例を構成し、それら一例の「増圧開始時期制御手段」と一例の「増圧量制御手段」とがそれぞれ「関係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0071】
次に、本発明の第5実施形態であるブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は最先の第1実施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0072】
ポンプ74による増圧が必要であると判定されてそのポンプ74に駆動信号が供給されてからポンプ74が定常回転に至るまでに時間が必要であるが、このようなポンプ74の応答遅れはブレーキシリンダ液圧PB の応答遅れとして現れる。また、ポンプ74による目標増圧量は、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧PM に応じてリニアで増加するため、マスタシリンダ液圧PM の時間的変化勾配が大きいほど、目標増圧量の時間的変化勾配が大きくなる。マスタシリンダ液圧PM の時間的変化勾配は、急ブレーキ操作時において通常ブレーキ操作時におけるより大きい。また、目標増圧量の時間的変化勾配が大きいほど、ポンプ74の応答遅れを少なくすることが望ましい。
【0073】
図23の(a) には、ポンプ74の応答遅れがブレーキシリンダ液圧PB に及ぼす影響が、急ブレーキ操作時と通常ブレーキ操作時とについてそれぞれ示されている。実線グラフ▲1▼は、急ブレーキ操作時に、ポンプ74の応答遅れがないと仮定した場合のブレーキシリンダ液圧PB の時間的変化を示す。これに対して、破線グラフ▲2▼は、急ブレーキ操作時に、ポンプ74の応答遅れがある場合のブレーキシリンダ液圧PB の時間的変化を示す。また、実線グラフ▲3▼は、通常ブレーキ操作時に、ポンプ74の応答遅れがある場合のブレーキシリンダ液圧PB の時間的変化を示す。それらグラフから明らかなように、ブレーキシリンダ液圧PB は、通常ブレーキ操作時には、ポンプ74の応答遅れの影響を急ブレーキ操作時ほどには受けない。
【0074】
なお、グラフ▲1▼〜▲3▼は、ブレーキ操作力FB の時間的変化勾配が一定と仮定されて作成されているが、グラフ▲1▼および▲2▼とグラフ▲3▼とでは、その時間的変化勾配が異なるため、グラフの傾きも▲1▼および▲2▼と▲3▼とで異なっている。また、グラフ▲1▼および▲3▼はいずれも、ブレーキシリンダ液圧PB (車体減速度Gに相当する)がブレーキ操作力FB に応じてリニアで増加する関係をも表している。
【0075】
それらの事情を背景として、本実施形態においては、圧力制御弁70と流入制御弁132とについては、同図の(c) に実線グラフ▲4▼および▲4▼’で示すように、操作速度VB の大小を問わず、マスタシリンダ液圧PM が基準値P0 に到達したときに駆動信号の供給が開始される。これに対して、ポンプ74については、同図の(b) に示すように、急ブレーキ操作時には、実線グラフ▲5▼で示すように、圧力制御弁70および流入制御弁132への駆動信号供給開始に先行して駆動信号供給が開始され、一方、通常ブレーキ操作時には、破線グラフ▲5▼’で示すように、圧力制御弁70および流入制御弁132への駆動信号供給開始とほぼ同期して駆動信号供給が開始される。
【0076】
なお、同図の(a) のグラフには、急ブレーキ操作に起因したブースタ12の負圧室24の負圧低下の影響が考慮されてはいない。実際には、急ブレーキ操作時には、その負圧室24の負圧低下の影響とポンプ74の応答遅れの影響との双方により、全体サーボ比RTOT が低下してブレーキシリンダ液圧PB が低下することになるが、ここでは、説明を簡単にするために、ポンプ74の応答遅れの影響のみを考慮することとする。
【0077】
上記の作動を実現するために、圧力制御弁70と流入制御弁132とについては、マスタシリンダ液圧PM が基準値P0 に到達したときに、駆動信号の供給が開始される。これに対して、ポンプモータ210については、マスタシリンダ液圧PM がポンプモータ開始液圧PPMに到達したときに、駆動信号の供給が開始される。ここに、ポンプモータ開始液圧PPMは、急ブレーキ操作時において通常ブレーキ操作時におけるより低くなるように決定され、急ブレーキ操作時において通常ブレーキ操作時におけるより容易にポンプ74の作動開始が行なわれるようになっている。また、ポンプモータ開始液圧PPMは、本実施形態においては、図22に示すように、操作速度VB が基準値VTH以下の通常操作域では、基準値P0 と等しくなるように決定される。一方、基準値VTHより大きい急操作域では、基準値P0 に対してリニアに、かつ、勾配kを有して減少するように決定される。すなわち、
PPM=P0 −k(VB −VTH)
なる式を用いて決定されるのである。
【0078】
なお付言すれば、基準値P0 は、前記通常値P1 と等しい値としたり、前記増圧開始基準値PTHと等しい値とすることができる。急ブレーキ操作に起因した負圧室24の負圧低下を考慮したり、エンジンの運転状態の変化に起因したエンジン負圧の低下を考慮して決定することができるのである。
【0079】
図21には、本実施形態におけるECU200のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通するステップについては簡単に説明する。
【0080】
まず、S301において、前記S1におけると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出される。次に、S302において、前記S2におけると同様に、現在の操作速度VB が演算される。続いて、S303において、演算された操作速度VB が基準値VTHより大きいか否かが判定される。今回は大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、S304において、ポンプモータ開始液圧PPMが、上記の式を用いて基準値P0 より低い高さに決定される。これに対して、今回は、演算された操作速度VB が基準値VTHより大きくはないと仮定すれば、S303の判定がNOとなり、S305において、ポンプモータ開始液圧PPMが基準値P0 と等しい高さに決定される。
【0081】
いずれの場合にも、その後、S306において、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定されたポンプモータ開始液圧PPMより高いか否かが判定される。今回は高いと仮定すれば、判定がYESとなり、S307において、ポンプモータ210がONにされ、続いて、S308において、検出されたマスタシリンダ液圧PM が基準値P0 より高いか否かが判定される。今回は高くはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S309において、新たなマスタシリンダ液圧PM が検出され、再び、S308が実行される。それらS308およびS309の実行が繰り返されるうちに、最新のマスタシリンダ液圧PM が基準値P0 より高くなれば、S308の判定がYESとなり、S310において、圧力制御弁310がONにされ、続いて、S311において、流入制御弁132がONにされる。
【0082】
これに対して、今回は、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定されたポンプモータ開始液圧PPMより高くはないと仮定すれば、S306の判定がNOとなり、S312において、終了処理が行なわれる。以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0083】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧センサ202と、ECU200のうち図21のS302〜S307を実行する部分とが互いに共同して「ポンプ作動開始時期制御手段」の一例を構成し、その一例の「ポンプ作動開始時期制御手段」が「関係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した形態で実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるブレーキ装置を示す系統図である。
【図2】図1における圧力制御弁を拡大して示す断面図である。
【図3】図2の圧力制御弁におけるソレノイド電流値Iとソレノイド吸引力F1 との関係を示すグラフである。
【図4】上記ブレーキ装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図5】図4のECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】その効き特性制御ルーチンの内容を説明するためのグラフである。
【図7】その効き特性制御ルーチンにおける操作速度VB と増圧開始基準値PTHとの関係を示すグラフである。
【図8】図5におけるS5の詳細を増圧制御ルーチンとして示すフローチャートである。
【図9】その増圧制御ルーチンにおけるマスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係を示すグラフである。
【図10】その増圧制御ルーチンにおける目標差圧ΔPとソレノイド吸引力F1 とソレノイド電流値Iとの関係を示すグラフである。
【図11】図5におけるS6の詳細を終了処理ルーチンとして示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態であるブレーキ装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図13】図12のECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態であるブレーキ装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図15】図14のECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図16】その効き特性制御ルーチンの内容を説明するためのグラフである。
【図17】その効き特性制御ルーチンの内容を説明するためのグラフである。
【図18】本発明の第4実施形態であるブレーキ装置のECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図19】その効き特性制御ルーチンにおける操作速度VB とポンプサーボ比RP との関係を示すグラフである。
【図20】その効き特性制御ルーチンの内容を説明するためのグラフである。
【図21】本発明の第5実施形態であるブレーキ装置のECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図22】その効き特性制御ルーチンにおける操作速度VB とポンプモータ開始液圧PPMとの関係を示すグラフである。
【図23】その効き特性制御ルーチンの内容を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル
12 バキュームブースタ
14 マスタシリンダ
50 ブレーキ
60 ブレーキシリンダ
70 圧力制御弁
74 ポンプ
132 流入制御弁
200 電子制御ユニット(ECU)
202 マスタシリンダ液圧センサ
220 操作ストロークセンサ
Claims (3)
- ブレーキ操作部材と、
入力された力により液圧を発生させるマスタシリンダと、
前記ブレーキ操作部材の操作力を助勢して前記マスタシリンダに入力するバキュームブースタと、
前記マスタシリンダと液通路により接続され、その液通路から供給された液圧により作動するブレーキシリンダを有し、車輪の回転を抑制するブレーキと、
ブレーキ操作時に、前記マスタシリンダとは別の液圧源により、前記ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より高い液圧に増圧する増圧装置と
を含むブレーキ装置において、
前記増圧装置に、
前記マスタシリンダの液圧またはそのマスタシリンダの液圧と1対1に対応する物理量である、マスタシリンダ圧関連量が、前記バキュームブースタの実際の助勢限界点に対応するマスタシリンダ圧関連量である増圧開始基準値に達した後に、前記ブレーキシリンダの液圧を、車体減速度が前記ブレーキ操作部材の操作力の増加に対して前記バキュームブースタの助勢限界前と同じ勾配で増加するように増圧させる手段と、
前記増圧開始基準値を、前記ブレーキ操作部材の操作速度が大きい場合に小さい場合より小さい値にする増圧開始基準値決定手段を備えた増圧開始時期制御手段を含み、前記ブレーキシリンダの増圧時に、前記ブレーキ操作部材の操作力と車体減速度との関係がブレーキ操作部材の操作速度に応じて変化することを抑制する関係変化抑制装置と
を設けたことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記関係変化抑制装置が、前記増圧装置が前記ブレーキシリンダの液圧を前記マスタシリンダの液圧より増圧する量を、前記操作速度が大きい場合において小さい場合におけるより増加させる増圧量制御手段を含む請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記増圧装置が、前記液通路の途中に設けられた流通制御弁を有するとともに、前記液通路のうちその流通制御弁と前記ブレーキシリンダとの間の部分に吐出側が接続されたポンプを前記別の液圧源として有し、かつ、流通制御弁により少なくともブレーキシリンダから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止した状態でポンプによりブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より高い液圧に増圧するポンプ型増圧装置を含み、前記関係変化抑制装置が、前記操作速度が基準値より大きい場合に、前記ポンプの作動開始時期を、前記流通制御弁の作動開始時期より早めるポンプ作動開始時期制御手段を含む請求項1または2に記載のブレーキ装置。
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