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JP3536569B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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Publication number
JP3536569B2
JP3536569B2 JP02058797A JP2058797A JP3536569B2 JP 3536569 B2 JP3536569 B2 JP 3536569B2 JP 02058797 A JP02058797 A JP 02058797A JP 2058797 A JP2058797 A JP 2058797A JP 3536569 B2 JP3536569 B2 JP 3536569B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brake
pressure
operation state
master cylinder
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP02058797A
Other languages
English (en)
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JPH10217926A (ja
Inventor
繁 坂本
健治 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP02058797A priority Critical patent/JP3536569B2/ja
Publication of JPH10217926A publication Critical patent/JPH10217926A/ja
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Publication of JP3536569B2 publication Critical patent/JP3536569B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のブレーキ
装置に関するものであり、特に、急ブレーキ操作状態に
おけるブレーキ性能を向上させる技術に関するものであ
る。
【0002】
【背景技術】車両用のブレーキ装置は一般に、(a) ブレ
ーキ操作部材と、(b) 車輪の回転を抑制するブレーキ
と、(c) ブレーキ操作部材の操作状態量(操作力,操作
ストローク等)に応じた大きさの力でブレーキを作動さ
せるブレーキ駆動装置とを含むように構成される。そし
て、このブレーキ装置の一従来例においては、よく知ら
れているように、ブレーキ操作部材がブレーキペダルと
され、ブレーキ駆動装置が、ブレーキペダルの操作力で
ある踏力を助勢するブースタと、そのブースタの出力に
応じた高さの液圧を機械的に発生させるマスタシリンダ
と、そのマスタシリンダと液通路により接続され、マス
タシリンダに発生した液圧に基づいて作動することによ
ってブレーキを作動させるブレーキシリンダとを含む構
成とされる。
【0003】この種のブレーキ装置においては、ブレー
キ操作部材の操作状態量が運転者の意思を反映するもの
として入力され、入力された操作状態量に応じた大きさ
でブレーキが作動させられる。
【0004】しかしながら、本出願人は、運転者による
ブレーキ操作部材の操作特性について研究したところ、
急ブレーキ操作状態において次のような操作特性がある
ことを実験により発見した。すなわち、一般に、運転者
はまず、ブレーキ作動力を増加させるための操作を行い
(増加段階)、次に、ブレーキ作動力を一定に保持する
ための操作を行うが(保持段階)、その保持段階におい
て、運転者はブレーキ作動力を一定に保持する意図でブ
レーキ操作部材を操作するにもかかわらず、実際にはブ
レーキ操作部材の操作状態量が保持段階当初に運転者の
意に反して時間と共に減少してしまい、やがて一定に保
たれるという操作特性があることを発見したのである。
【0005】その発見された操作特性を上記従来例であ
るブレーキ装置との関係において図11のグラフに基づ
いて具体的に説明する。
【0006】図の(a) に示すように、増加段階において
は、ブレーキペダルの踏力F(操作状態量の一例)が運
転者の意思通りに時間tと共に増加する。この踏力増加
に伴い、図の(b) に示すように、マスタシリンダ液圧P
M も増加し、図の(c) に示すように、ブレーキシリンダ
液圧PB も増加する。
【0007】これに対して、後続する保持段階において
は、図の(a) に示すように、その当初に、踏力Fが運転
者の意に反して時間tと共に低下してしまう。そのた
め、図の(b) に示すように、マスタシリンダ液圧PM
低下し、図の(c) に示すように、ブレーキシリンダ液圧
B も低下してしまう。
【0008】以上のように、急ブレーキ操作状態におけ
る運転者の操作特性として、ブレーキ操作状態量が保持
段階当初に運転者の意に反して減少してしまうという操
作特性があるのである。したがって、そのような操作特
性をブレーキ装置側で積極的に考慮し、運転者の意に反
する操作状態量の減少に基づくブレーキ装置の不適切な
作動を回避すれば、常に運転者の意思に応じた力でブレ
ーキが作動させられるようになり、その結果、車両の安
全性が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】かかる知見に基づき、本発明は、急ブレーキ
操作状態において、運転者の意思と操作状態量との不整
合に基づくブレーキ装置の不適切な作動を回避すること
により、車両の安全性を向上させることを課題としてな
されたものである。
【0010】その課題は、本発明に従い、(1)ブレーキ
操作部材と、(2)車輪の回転を抑制するブレーキと、(3)
前記ブレーキ操作部材の操作状態量に応じた大きさの力
で前記ブレーキを作動させるブレーキ駆動装置と、(4)
運転者による前記ブレーキ操作部材の急ブレーキ操作を
検出する急ブレーキ操作検出手段と、(5)その急ブレー
キ操作検出手段によって急ブレーキ操作が検出された後
に、前記ブレーキの作動力が前記操作状態量に応じて低
下することを抑制するブレーキ作動力低下抑制手段と、
(6)(a) (i) 前記操作状態量を検出する操作状態量検出
手段と、(ii) 前記急ブレーキ操作検出手段によって急
ブレーキ操作が検出されて前記ブレーキ作動力低下抑制
手段によって前記ブレーキ作動力の低下が抑制されてい
る場合に、前記操作状態量検出手段により検出された操
作状態量の減少量が設定値を超えたときに、運転者によ
る前記ブレーキ操作部材の前記作動力を低下させる操作
が運転者の意思と整合する整合低下操作が行われたと判
定する判定手段とを含む整合低下操作検出手段と、(b)
その整合低下操作検出手段によって整合低下操作が検出
された後に、前記ブレーキ作動力低下抑制手段の作動を
終了させることにより、前記作動力が前記操作状態量に
応じて低下することを許容するブレーキ作動力低下許容
手段とを含むブレーキ装置(請求項1)を提供すること
によって解決される。
【0011】このブレーキ装置においては、急ブレーキ
操作状態において、運転者の意に反して操作状態量が減
少することがあっても、ブレーキ作動力が操作状態量に
応じた値より低下することが抑制される。
【0012】したがって、本発明によれば、急ブレーキ
操作状態において、運転者の意思と操作状態量との不整
合に基づくブレーキ装置の不適切な作動が回避され、運
転者の意に反してブレーキ作動力が低下することが抑制
されるため、車両の安全性が向上するという効果が得ら
れる。
【0013】このブレーキ装置において「ブレーキ」に
は例えば、摩擦式,回生制動式等が含まれる。摩擦式に
は、流体圧を駆動源とする形式,モータを駆動源とする
形式等が含まれ、また、ディスク式,ドラム式等が含ま
れる。また「操作状態量」には、操作力や操作ストロー
クが含まれる。また「急ブレーキ操作」には例えば、ブ
レーキ操作部材の操作速度が設定値より大きい操作や、
ブレーキ操作部材の操作速度が設定値より大きく、か
つ、ブレーキ操作部材の操作力が設定値より大きい操作
が含まれる。
【0014】また、このブレーキ装置において「急ブレ
ーキ操作検出手段」は例えば、ブレーキ操作部材の操作
力または操作ストローク(操作位置)を検出するセンサ
を有し、その検出値の変化速度に基づいて急ブレーキ操
作を検出する態様としたり、ブレーキ操作部材の操作状
態量に関連するブレーキ操作状態量関連量、例えば、マ
スタシリンダ液圧,ブレーキシリンダ液圧,ブレーキ作
動力,車体減速度等を検出するセンサを有し、その検出
値の変化速度に基づいて急ブレーキ操作を検出する態様
とすることができる。
【0015】また、このブレーキ装置において「ブレー
キ作動力低下抑制手段」は、ブレーキ操作部材に設けた
り、ブレーキ駆動装置に設けたり、ブレーキに設けるこ
とができる。ブレーキ駆動装置が、マスタシリンダとブ
レーキシリンダとが液通路により互いに接続された液圧
式である場合には、マスタシリンダに設けたり、ブレー
キシリンダに設けたり、液通路に設けることができ、ま
た、ブレーキ駆動装置がブレーキ操作部材とマスタシリ
ンダとの間にブースタを有する場合には、そのブースタ
に設けることができる。
【0016】また、「ブレーキ作動力低下抑制手段」
は、ブレーキ作動力の、操作状態量に対応する値からの
増加量が固定値である態様としたり、可変値である態様
とすることができる。可変値である態様の一形態は、ブ
レーキ操作状態量の減少にもかかわらずブレーキ作動力
を保持する形態である。
【0017】このブレーキ装置の一実施態様は、前記ブ
レーキ駆動装置が、(a) 前記操作状態量に応じた高さの
液圧を発生させるマスタシリンダと、(b) そのマスタシ
リンダと液通路により接続され、マスタシリンダ液圧に
基づいて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと
を含み、前記ブレーキ作動力低下抑制手段が、(a) 前記
液通路の途中に設けられ、マスタシリンダからブレーキ
シリンダに向かう作動液の流れは許容し、その逆向きの
流れは阻止するチェック弁と、(b) そのチェック弁に並
列に設けられたバイパス通路と、(c) そのバイパス通路
の途中に設けられた電磁開閉弁と、(d) その電磁開閉弁
と前記急ブレーキ操作検出手段とに接続され、急ブレー
キ操作の検出後に、電磁開閉弁を閉じさせることによっ
てブレーキシリンダからマスタシリンダに向かう作動液
の流れを阻止し、それによってブレーキシリンダ液圧を
保持し、それによってブレーキ作動力の低下を完全に抑
制する制御手段とを含む態様である
【0018】上記ブレーキ装置の別の実施態様は、前記
ブレーキ駆動装置が、(a) 前記操作状態量に応じた高さ
の液圧を発生させるマスタシリンダと、(b) そのマスタ
シリンダと液通路により接続され、マスタシリンダ液圧
に基づいて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダ
とを含み、前記ブレーキ作動力低下抑制手段が、(a)前
記液通路の途中に設けられた絞り(オリフィス等)と、
(b) その絞りに並列に設けられ、マスタシリンダとブレ
ーキシリンダとの間の作動液の流れを前記絞りにおける
より小さい抵抗で許容するバイパス通路と、(c) そのバ
イパス通路の途中に設けられた電磁開閉弁と、(d) その
電磁開閉弁と前記急ブレーキ操作検出手段とに接続さ
れ、急ブレーキ操作の検出後に、電磁開閉弁を閉じさせ
ることによってブレーキシリンダからマスタシリンダに
向かう作動液の流れを大きな抵抗で許容し、それによっ
てブレーキシリンダ液圧が低下する速度を低減し、それ
によってブレーキ作動力の低下を部分的に抑制する制御
手段とを含む態様である。
【0019】
【0020】
【0021】また、このブレーキ装置においては、急ブ
レーキ操作の検出後、ブレーキ操作部材が運転者の意思
通りにブレーキ作動力を低下させる状態に操作されれ
ば、ブレーキ作動力が操作状態量に応じて低下すること
が許容される。
【0022】したがって、本発明によれば、一回のブレ
ーキ操作において急ブレーキ操作状態から非急ブレーキ
操作状態に移行する場合に、急ブレーキ操作状態におい
て運転者の意思に正確に対応するブレーキ作動力が得ら
れるのみならず、後続する非急ブレーキ操作状態におい
ても運転者の意思に正確に対応したブレーキ作動力が得
られ、使い勝手のよいブレーキ装置が提供されるという
効果が得られる。
【0023】このブレーキ装置の一実施態様は、前記整
合低下操作検出手段が、(a) 前記操作状態量を検出する
操作状態量検出手段と、(b) 前記急ブレーキ操作検出手
段によって急ブレーキ操作が検出された後に、前記操作
状態量検出手段により検出された操作状態量の減少量が
設定値を超えたときに前記整合低下操作が行われたと判
定する判定手段とを含む態様である。本実施態様におい
て「設定値」は例えば、急ブレーキ操作状態のうちの保
持段階における操作状態量の全減少量として実験的に取
得された値より大きい値を採用し得る。
【0024】上記ブレーキ装置の別の実施態様は、前記
ブレーキ操作部材が、非操作位置と操作位置とに変位可
能に設けられ、前記整合低下操作検出手段が、(a) 前記
ブレーキ操作部材が操作位置にあるときには第1信号、
非操作位置にあるときには第2信号を出力するブレーキ
スイッチと、(b) そのブレーキスイッチの出力信号が第
1信号から第2信号に変化したときに前記整合低下操作
が行われたと判定する判定手段とを含む態様である。本
実施態様は、ブレーキ操作部材が操作位置から非操作位
置に操作されたときには、運転者がブレーキ作動力を低
下させる意思を有することが明らかであると考え得るこ
とに基づくものである。
【0025】ところで、本出願人は先に、次のようなブ
レーキ装置を開発した。それは、前記ブレーキ駆動装置
が、(a) 前記操作状態量に応じた高さの液圧を発生させ
るマスタシリンダと、(b) そのマスタシリンダと液通路
により接続され、その液通路から供給される液圧に基づ
いて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
(c) 前記操作状態量を検出する操作状態量検出手段と、
(d) 前記液通路の途中にその操作状態量検出手段と接続
された状態で設けられ、前記ブレーキ操作部材の操作中
の少なくとも一時期に、前記マスタシリンダ液圧より高
い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させるとともに、
そのマスタシリンダ液圧に対するブレーキシリンダ液圧
の増圧量を前記操作状態量検出手段により検出された操
作状態量に応じて決定する液圧制御装置とを含むブレー
キ装置である。
【0026】この開発したブレーキ装置においては、液
圧制御装置がブレーキシリンダの増圧量を操作状態量に
応じて決定するため、急ブレーキ操作状態のうちの保持
段階において操作状態量が運転者の意に反して減少する
と、ブレーキシリンダの増圧量も運転者の意に反して減
少してしまう。
【0027】かかる事情を背景として、本発明のさらに
別の課題は、上記開発したブレーキ装置において、急ブ
レーキ操作状態において、運転者の意思と操作状態量と
の不整合に基づくブレーキ装置の不適切な作動を回避す
ることにより、車両の安全性を向上させることにある。
【0028】その課題は、本発明に従い、(a) 前記マス
タシリンダと、(b) 前記ブレーキシリンダと、(c) 前記
操作状態量検出手段と、(d) 前記液圧制御装置とを含
み、前記ブレーキ作動力低下抑制手段が、その液圧制御
装置に設けられ、前記急ブレーキ操作検出手段によって
急ブレーキ操作が検出された後であって、少なくとも前
記操作状態量が減少しようとした後に、前記増圧量を、
前記操作状態量に応じた値より増加させる増圧量増加手
段を含むブレーキ装置(請求項)を提供することによ
って解決される。また、本発明に従い、(1)ブレーキ操
作部材と、(2)そのブレーキ操作部材の操作状態量に応
じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、(3)そ
のマスタシリンダと液通路により接続され、その液通路
から供給される液圧に基づいて前記ブレーキを作動させ
るブレーキシリンダと、(4)前記操作状態量を検出する
操作状態量検出手段と、(5)前記液通路の途中にその操
作状態量検出手段と接続された状態で設けられ、前記ブ
レーキ操作部材の操作中の少なくとも一時期に、前記マ
スタシリンダ液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダ
に発生させるとともに、そのマスタシリンダ液圧に対す
るブレーキシリンダ液圧の増圧量を前記操作状態量検出
手段により検出された操作状態量に応じて決定する液圧
制御装置と、(6)その液圧制御装置に設けられ、前記操
作状態量検出手段によって運転者による前記ブレーキ操
作部材の急ブレーキ操作が検出された後であって、少な
くとも前記操作状態量が減少しようとした後に、前記増
圧量を、前記操作状態量に応じた値より増加させる増圧
量増加手段を含むブレーキ作動力低下抑制手段とを含む
ブレーキ装置(請求項3)を提供することによっても解
決される。さらに、(a) 運転者による前記ブレーキ操作
部材の、前記作動力を低下させる操作が運転者の意思と
整合する整合低下操作であることを検出する整合低下操
作検出手段と、(b) その整合低下操作検出手段によって
整合低下操作が検出された後に、前記ブレーキ作動力低
下抑制手段の作動を終了させることにより、前記作動力
が前記操作状態量に応じて低下することを許容するブレ
ーキ作動力低下許容手段とを含むブレーキ装置(請求項
4)とすることによって解決される。
【0029】このブレーキ装置においては、急ブレーキ
操作の検出後であって、少なくとも操作状態量が減少し
ようとした後に、ブレーキシリンダの増圧量が操作状態
量に応じた値より増加させられる。
【0030】したがって、本発明によれば、上記開発し
たブレーキ装置において、急ブレーキ操作状態におい
て、ブレーキシリンダ液圧が運転者の意に反して低下す
ることが抑制されるため、車両の安全性が向上するとい
う効果が得られる。
【0031】このブレーキ装置において「液圧制御装
置」は例えば、当該ブレーキ装置がブレーキ操作部材と
マスタシリンダとの間にブレーキ操作部材の操作力を助
勢するブースタを有するものである場合に、そのブース
タが助勢限界を超えている状態で作動する態様とした
り、ブースタの有無を問わず、また、ブースタの助勢限
界への到達の有無を問わず、急ブレーキ操作の検出後に
作動する態様とすることができる。すなわち、前記「ブ
レーキ操作中の少なくとも一時期」には例えば、ブース
タが助勢限界を超えている状態における時期や、急ブレ
ーキ操作の検出後の時期を選ぶことができるのである。
【0032】また、このブレーキ装置において「増圧量
増加手段」は例えば、急ブレーキ操作の検出後に直ちに
増圧量を増加させる態様としたり、急ブレーキ操作の検
出後であって、操作状態量またはブレーキシリンダ液圧
が低下しようとした後に直ちに増圧量を増加させる態様
とすることができる。
【0033】このブレーキ装置の一実施態様は、前記増
圧量増加手段が、前記増圧量の増加を、前記操作状態量
が減少しようとした後に行うとともに、その増加量を、
ブレーキシリンダ液圧が操作状態量が減少しようとした
ときの高さに保持されるように決定する増加量決定手段
を含む態様(請求項)である。
【0034】上記ブレーキ装置の別の実施態様は、前記
液圧制御装置が、(a) 前記液通路の途中に設けられ、前
記マスタシリンダとブレーキシリンダとの間の作動液の
双方向の流れを許容する状態と、ブレーキシリンダから
マスタシリンダに向かう作動液の流れを阻止する状態と
を含む複数の状態に切り換わる制御弁と、(b) 前記液通
路のうちその制御弁と前記ブレーキシリンダとの間に吐
出側が接続され、吸入側から作動液を汲み上げて吐出側
に吐出するポンプとを含み、それら制御弁とポンプとの
共同によって前記ブレーキシリンダの増圧を行う態様
(請求項)である。本実施態様によれば、ブレーキ操
作状態において、マスタシリンダの下流側に接続された
ポンプにより、マスタシリンダ液圧より高い液圧をブレ
ーキシリンダに発生させる形式のブレーキ装置が提供さ
れる。
【0035】ここに「制御弁」は、マスタシリンダとブ
レーキシリンダとの差圧に基づいて複数の作動液流通状
態に切り換わる機械式としたり、制御手段により制御さ
れるソレノイドの磁気力に基づいて複数の作動液流通状
態に切り換わる電磁式とすることができる。機械式の場
合には、マスタシリンダとブレーキシリンダとの差圧の
高さを機械的に制御する形式としたり、制御手段により
制御されるソレノイドの磁気力に基づいて電磁的に制御
する形式とすることができる。
【0036】上記実施態様の一形態は、前記液圧制御装
置が、前記ポンプの吸入側が前記液通路のうち前記マス
タシリンダと前記制御弁との間の部分に接続された形態
(請求項)である。本形態によれば、ポンプは大気圧
の作動液ではなく、マスタシリンダにより加圧された作
動液を汲み上げて加圧すればよくなるため、ポンプの作
動応答性が向上するとともにポンプの負担が軽減され
る。
【0037】以上説明したすべてのブレーキ装置(実施
態様や形態を含む)は、さらに、車両制動時に車輪のロ
ック傾向が過大となることを防止するアンチロック制御
装置を含む形態とすることができる。本形態によれば、
急ブレーキ操作状態において、前記ブレーキ作動力低下
抑制手段の作動にもかかわらずブレーキ作動力が車輪と
路面との摩擦係数や車輪の接地荷重との関係において過
大にならずに済み、車両の安全性が一層向上する。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】図1には、本発明の一実施形態であるブレ
ーキ装置が示されている。このブレーキ装置は、概略的
に説明すれば、4輪車両に搭載されるものであって、ブ
レーキ操作力を助勢するブースタを備えている。
【0040】このブレーキ装置は、さらに、アンチロッ
ク制御装置と効き特性制御装置とを備えている。アンチ
ロック制御装置は、車両制動時に各輪のロック傾向が過
大となることを防止する装置である。このアンチロック
制御装置は、ポンプを有し、そのポンプにより作動液を
ブレーキ回路内において還流させる。これに対して、効
き特性制御装置は、ブースタに助勢限界があることを考
慮し、車両制動時に車体減速度がブレーキ操作力に対し
て理想的な勾配で(例えば、ブースタの助勢限界の前後
を問わず、ほぼ同じ勾配で)増加するようにそれらブレ
ーキ操作力と車体減速度との関係であるブレーキの効き
特性を制御する装置である。この効き特性制御装置は、
上記ポンプを利用して作動する。すなわち、ポンプがア
ンチロック制御装置と効き特性制御装置とに共用されて
いるのである。
【0041】図において符号10がブレーキ操作部材と
してのブレーキペダルである。ブレーキペダル10はブ
ースタとしてのバキュームブースタ12を介してマスタ
シリンダ14に連携させられている。
【0042】バキュームブースタ(以下、単に「ブース
タ」という)12は、よく知られているように、負圧と
大気圧との差に基づくパワーピストンの作動力に基づい
てブレーキペダル10の踏力を助勢するものである。ブ
ースタ12においては、内部に空間を有するハウジング
にパワーピストンが気密かつ移動可能に配設されること
により、ハウジングの内部空間がマスタシリンダ14側
の負圧室12aとブレーキペダル10側の変圧室12b
とに仕切られている。
【0043】マスタシリンダ14は、よく知られている
ように、ハウジングに2個のピストンが互いに直列に摺
動可能に嵌合されたタンデム式であり、ブースタ12の
出力に基づいてそれら2個のピストンが作動することに
より、各ピストンの前方に形成された各加圧室にそれぞ
れ等しい高さの液圧を発生させる。一方の加圧室に、左
前輪FLのブレーキを作動させるブレーキシリンダと右
後輪RRのブレーキを作動させるブレーキシリンダが接
続され、他方の加圧室に、右前輪FRのブレーキを作動
させるブレーキシリンダと左後輪RLのブレーキを作動
させるブレーキシリンダが接続されている。ブレーキ
は、液圧に基づく作動力によって摩擦材を車輪と共に回
転する回転体の摩擦面に押し付けることにより、車輪の
回転を抑制する形式(ディスク式,ドラム式等)とされ
ている。
【0044】すなわち、このブレーキ装置は互いに独立
した2つのブレーキ系統が互いにダイヤゴナルに形成さ
れたダイヤゴナル2系統式なのである。それら2つのブ
レーキ系統は構成が互いに共通するため、一方のブレー
キ系統のみを代表的に文章および図によって説明し、他
方のブレーキ系統の説明を省略する。
【0045】マスタシリンダ14は主通路18により左
前輪FLのブレーキシリンダ20と右後輪RRのブレー
キシリンダ20とにそれぞれ接続されている。主通路1
8は、マスタシリンダ14から延び出た後に二股状に分
岐させられており、1本の基幹通路24と2本の分岐通
路26とが互いに接続されて構成されている。各分岐通
路26の先端にブレーキシリンダ20が接続されてい
る。
【0046】基幹通路24の途中には制御弁としての圧
力制御弁30が設けられている。圧力制御弁30は、主
通路18におけるブレーキシリンダ20側の液圧をマス
タシリンダ14側の液圧に対して相対的に制御するもの
であり、具体的には、ポンプ40から作動液が吐出され
ている状態では、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリン
ダ液圧より高いがその差圧が目標差圧以下であれば、ポ
ンプ40からマスタシリンダ14へ向かう作動液の流れ
を阻止し、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧
より高くかつその差圧が目標差圧より大きくなろうとす
れば、ポンプ40からマスタシリンダ14へ向かう作動
液の流れを許容することにより、ブレーキシリンダ液圧
をマスタシリンダ液圧より高くかつその差圧が目標差圧
となるように制御するものである。
【0047】この圧力制御弁30は、本実施形態におい
ては、ブレーキシリンダ20とマスタシリンダ14との
差圧の高さを電磁的に制御する形式とされている。この
圧力制御弁30は具体的には、図2に示すように、図示
しないハウジングと、主通路18におけるマスタシリン
ダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を
制御する弁子70およびそれが着座すべき弁座72と、
それら弁子70および弁座72の相対移動を制御する磁
気力を発生させるソレノイド74とを有している。
【0048】この圧力制御弁30においては、ソレノイ
ド74が励磁されない非作用状態(OFF状態)では、
スプリング76の弾性力によって弁子70が弁座72か
ら離間させられ、それにより、主通路18においてマス
タシリンダ側とブレーキシリンダ側との間での双方向の
作動液の流れが許容され、その結果、ブレーキ操作が行
われれば、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧
と等圧で変化させられる。このブレーキ操作中、弁子7
0には、弁座72から離間する向きに力が作用するた
め、ソレノイド74が励磁されない限り、マスタシリン
ダ液圧すなわちブレーキシリンダ液圧が高くなっても、
弁子70が弁座72に着座してしまうことはない。すな
わち、圧力制御弁30は常開弁なのである。
【0049】これに対し、ソレノイド74が励磁される
作用状態(ON状態)では、ソレノイド74の磁気力に
よりアーマチュア78が吸引され、そのアーマチュア7
8と一体的に移動する可動部材としての弁子70が固定
部材としての弁座72に着座させられる。このとき、弁
子70には、ソレノイド74の磁気力に基づく吸引力F
1 と、ブレーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液圧との
差に基づく力F2 とスプリング76の弾性力F3 との和
とが互いに逆向きに作用する。力F2 の大きさは、ブレ
ーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液圧との差と、弁子
70がブレーキシリンダ液圧を受ける実効受圧面積との
積で表される。
【0050】ソレノイド74が励磁される作用状態(O
N状態)であって、ポンプ40の吐出圧すなわちブレー
キシリンダ液圧がそれほど増加せず、 F2 ≦F1 −F3 なる式で表される関係が成立する領域では、弁子70が
弁座72に着座し、ポンプ40からの作動液がマスタシ
リンダ14に逃げることが阻止され、ポンプ40の吐出
圧が増加し、ブレーキシリンダ20にマスタシリンダ液
圧より高い液圧が発生させられる。これに対し、ポンプ
40の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がさらに増
加し、 F2 >F1 −F3 なる式で表される関係が成立しようとする領域では、弁
子70が弁座72から離間し、ポンプ40からの作動液
がマスタシリンダ14に逃がされ、その結果、ポンプ4
0の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれ以上増
加することが阻止される。このようにしてブレーキシリ
ンダ20には、スプリング76の弾性力F 3 を無視すれ
ば、マスタシリンダ液圧に対してソレノイド吸引力F1
に基づく差圧分高い液圧が発生させられることになる。
【0051】また、この圧力制御弁30は、図3にグラ
フで表されているように、ソレノイド吸引力F1 の大き
さがソレノイド74の励磁電流Iの大きさに応じてリニ
アに変化するように設計されている。
【0052】図1に示すように、圧力制御弁30にはバ
イパス通路82が設けられており、そのバイパス通路8
2の途中にチェック弁84が設けられている。万が一、
ブレーキペダル10の踏み込み時に圧力制御弁30内の
可動部材に生ずる流体力によって圧力制御弁30が閉じ
ることがあっても、マスタシリンダ14からブレーキシ
リンダ20へ向かう作動液の流れが確保されるようにす
るためである。圧力制御弁30にはさらに、それに並列
にリリーフ弁86も設けられている。ポンプ40による
吐出圧が過大となることを防止するためである。
【0053】前記各分岐通路26の途中には常開の電磁
開閉弁である増圧弁90が設けられ、開状態でマスタシ
リンダ14からブレーキシリンダ20へ向かう作動液の
流れを許容する増圧状態を実現する。各増圧弁90には
バイパス通路92が接続され、各バイパス通路92には
作動液戻り用のチェック弁94が設けられている。各分
岐通路26のうち増圧弁90とブレーキシリンダ20と
の間の部分からリザーバ通路96が延びてリザーバ98
に至っている。各リザーバ通路96の途中には常閉の電
磁開閉弁である減圧弁100が設けられ、開状態でブレ
ーキシリンダ20からリザーバ98へ向かう作動液の流
れを許容する減圧状態を実現する。リザーバ98は、ハ
ウジングにリザーバピストン104が実質的に気密かつ
摺動可能に嵌合されて構成されるとともに、その嵌合に
よって形成されたリザーバ室106において作動液を付
勢手段としてのスプリング108によって圧力下に収容
するものである。
【0054】リザーバ98は吸入通路110によって前
記ポンプ40の吸入側に接続され、ポンプ40の吐出側
は吐出通路114によって主通路18のうち圧力制御弁
30と増圧弁90との間の部分に接続されている。吸入
通路110にはチェック弁である吸入弁116、吐出通
路114にはチェック弁である吐出弁118がそれぞれ
設けられている。吐出通路114にはさらに、絞りとし
てのオリフィス120と固定ダンパ122とがそれぞれ
設けられており、それらにより、ポンプ40の脈動が軽
減される。
【0055】ところで、効き特性制御の実行中には、ポ
ンプ40がリザーバ98から作動液を汲み上げ、その作
動液を各ブレーキシリンダ20に吐出することによって
各ブレーキシリンダ20が増圧されるが、アンチロック
制御が実行されていない場合には、リザーバ98に汲み
上げるべき作動液が存在しないのが普通であり、効き特
性制御の実行を確保するためには、アンチロック制御の
実行の有無を問わず、リザーバ98に作動液を補給する
ことが必要となる。そのため、本実施形態においては、
基幹通路24のうちマスタシリンダ14と圧力制御弁3
0との間の部分から延びてリザーバ98に至る補給通路
130が設けられている。しかし、この補給通路130
により常時マスタシリンダ14とリザーバ98とを互い
に連通させたのでは、ブレーキペダル10が踏み込み操
作されても、リザーバ98においてリザーバピストン1
04がボトミングした後でないとマスタシリンダ14が
昇圧することができず、ブレーキの効き遅れが生じる。
また、アンチロック制御中、ポンプ40は作動液をリザ
ーバ98からではなくマスタシリンダ14から汲み上げ
てしまい、リザーバ98による減圧機能が阻害される。
【0056】そこで、本実施形態においては、補給通路
130の途中に流入制御弁140が設けられている。流
入制御弁140は、マスタシリンダ14からリザーバ9
8への作動液の補給が必要であるときには開状態とな
り、マスタシリンダ14からリザーバ98への作動液の
流れを許容し、一方、マスタシリンダ14からリザーバ
98への作動液の補給が必要ではないときには閉状態と
なり、マスタシリンダ14からリザーバ98への作動液
の流れを阻止し、マスタシリンダ14による昇圧を可能
とする。本実施形態においては、流入制御弁140が常
閉の電磁開閉弁とされている。また、本実施形態におい
ては、マスタシリンダ14から作動液を導入することが
必要である場合であるか否かの判定が、アンチロック制
御中、リザーバ98においてポンプ40により汲み上げ
るべき作動液が存在しないか否かの判定とされ、また、
その作動液の存否判定が、増圧弁90が増圧状態にある
時間の積算値と、減圧弁100が減圧状態にある時間の
積算値とがそれぞれ演算されるとともに、それら増圧時
間と減圧時間とに基づいてリザーバ98における作動液
の残量が推定されることにより、行われる。
【0057】ブレーキ操作中、主通路18のうち圧力制
御弁30より上流側の部分内の作動液を利用してポンプ
40による作動液の加圧を行う際、その上流側部分内の
高圧の作動液をリザーバ98により低圧にしてポンプ4
0により汲み上げるより、リザーバ98により低圧にし
ないで汲み上げる方が、ポンプ40の作動応答性が向上
するとともに、ポンプ40の負担軽減によってポンプ4
0の低能力化が容易となる。
【0058】そこで、本実施形態においては、吸入通路
110のうち補給通路130との接続点とリザーバ通路
96との接続点との間の部分に、補給通路130からリ
ザーバ98に向かう作動液の流れを阻止し、その逆向き
の流れを許容するチェック弁142が設けられている。
【0059】図4には、ブレーキ装置の電気的構成が示
されている。ブレーキ装置は、CPU,ROMおよびR
AMを含むコンピュータを主体とするECU(電子制御
ユニット)150を備えている。ROMに効き特性制御
ルーチン(図5にフローチャートで表されている),流
入制御弁制御ルーチン(図6にフローチャートで表され
ている),急ブレーキ判定ルーチン(図7にフローチャ
ートで表されている)およびアンチロック制御ルーチン
(図示しない)を始めとする各種ルーチンが記憶されて
おり、それらルーチンがCPUによりRAMを使用しつ
つ実行されることにより、効き特性制御とアンチロック
制御とがそれぞれ実行される。
【0060】ECU150の入力側には、ブレーキスイ
ッチ162,ブースタ負圧スイッチ164,マスタシリ
ンダ液圧センサ166および車輪速センサ168が接続
されている。
【0061】ブレーキスイッチ162は、ブレーキペダ
ル10が踏み込まれていなければOFF状態のブレーキ
操作信号(第1信号)を出力し、踏み込まれていればO
N状態のブレーキ操作信号(第2信号)を出力し、それ
により、ブレーキ操作の有無を表す情報をECU150
に供給する。
【0062】ブースタ負圧スイッチ164は、ブースタ
12の変圧室12bの圧力が大気圧より低い状態ではO
FF状態のブースタ負圧信号(第1信号)を出力し、大
気圧以上である状態ではON状態のブースタ負圧信号
(第2信号)を出力する。
【0063】マスタシリンダ液圧センサ166は、マス
タシリンダ液圧を検出し、マスタシリンダ液圧の高さを
規定するマスタシリンダ液圧信号であってマスタシリン
ダ液圧が連続的に変化するのに応じて連続的に変化する
ものを出力する。
【0064】車輪速センサ168は、各輪毎に設けら
れ、各輪の車輪速を規定する車輪速信号を出力する。
【0065】一方、ECU150の出力側には、前記ポ
ンプ40を駆動するポンプモータ170が接続され、そ
のポンプモータ170にモータ駆動信号が出力される。
ECU150の出力側にはさらに、前記圧力制御弁30
のソレノイド74,流入制御弁140,増圧弁90およ
び減圧弁100の各ソレノイド174も接続されてい
る。圧力制御弁30のソレノイド74には、ソレノイド
74の磁気力をリニアに制御するための電流制御信号が
出力され、一方、流入制御弁140,増圧弁90および
減圧弁100の各ソレノイド174にはそれぞれ、ソレ
ノイド174をON/OFF駆動するためのON/OF
F駆動信号が出力される。
【0066】ここで、ECU150による効き特性制御
を詳細に説明するが、まず、概略的に説明する。
【0067】ブースタ12は、ブレーキペダル10の踏
力Fがある値まで増加すると、変圧室12bの圧力が大
気圧まで上昇し切ってしまい、助勢限界に達する。助勢
限界後は、ブースタ12は踏力Fを倍力することができ
ないから、何ら対策を講じないと、図8にグラフで表さ
れているように、ブレーキの効き、すなわち、同じ踏力
Fに対応するブレーキシリンダ液圧PB の高さが助勢限
界がないと仮定した場合におけるブレーキシリンダ液圧
B の高さより低下する。かかる事実に着目して効き特
性制御が行われるのであり、具体的には、図9にグラフ
で表されているように、ブースタ12が助勢限界に達し
た後には、ポンプ40を作動させてマスタシリンダ液圧
M より差圧ΔP(ブレーキシリンダ液圧PB のマスタ
シリンダ液圧PM に対する増圧量)だけ高い液圧をブレ
ーキシリンダ20に発生させ、それにより、ブースタ1
2の助勢限界の前後を問わず、ブレーキの効きを安定さ
せる。ここに、差圧ΔPとマスタシリンダ液圧PM との
関係は例えば、図10にグラフで表されるものとされ
る。
【0068】ところで、前述のように、本出願人は、運
転者によるブレーキ操作部材の操作特性に関して研究を
行った結果、急ブレーキ操作状態においては一般に、図
11に示すように、運転者はまず、ブレーキペダル10
の踏力Fを増加させるためにブレーキペダル10の踏み
込み位置を非操作位置から操作位置に向かって移動させ
る操作を行い(増加段階)、次に、踏力Fを一定に保持
するためにブレーキペダル10の踏み込み位置を一定に
保持する操作を行うが(保持段階)、その保持段階にお
いて、運転者は踏力Fを一定に保持する意図でブレーキ
ペダル10を操作するにもかかわらず、実際には踏力F
が保持段階当初に運転者の意に反して時間tと共に低下
してしまい、やがて一定に保たれるという操作特性があ
ることを発見した。
【0069】さらに、その発見に基づき、そのような操
作特性をブレーキ装置側で積極的に考慮し、運転者の意
に反する踏力Fの低下に基づくブレーキ装置の不適切な
作動を回避すれば、常に運転者の意思に応じた力でブレ
ーキが作動させられるようになり、その結果、車両の安
全性が向上することに気が付いた。
【0070】かかる知見に基づき、本実施形態において
は、効き特性制御装置が、図12に示すように、(a) ブ
レーキ操作部材の操作状態量を検出するブレーキ操作状
態量検出手段180と、(b) ブースタ12が助勢限界に
到達したことを検出する助勢限界検出手段181と、
(c) 助勢限界の検出後、検出された操作状態量に応じ
て、ブレーキシリンダ20とマスタシリンダ14との暫
定的な目標差圧ΔPを決定する暫定目標差圧決定手段1
82とを含むものとされている。さらに、(d) 運転者に
よるブレーキ操作部材の急ブレーキ操作を検出する急ブ
レーキ操作検出手段184と、(e) 急ブレーキ操作の検
出後であって、検出された操作状態量が減少しようとし
た後に、暫定目標差圧ΔPの増加量INCを、検出され
た操作状態量の減少量に基づき、図13にグラフで表す
ように、ブレーキシリンダ液圧PB が操作状態量が減少
しようとしたときの高さPB2に保持されるように決定す
る増加量決定手段186とを含むものとされている。さ
らにまた、(f) 暫定目標差圧ΔPを増加させることが必
要でなくなった差圧増加不要を検出する増加不要検出手
段188と、(g) 最終目標差圧ΔPを決定する最終目標
差圧決定手段192であって、差圧増加不要の検出前
には、各々決定された暫定目標差圧ΔPと増加量INC
との和を最終目標差圧ΔPに決定し、差圧増加不要の
検出後には、決定された暫定目標差圧ΔPをそのまま最
終目標差圧ΔPに決定する最終目標差圧決定手段192
と、(h) 決定された最終目標差圧ΔPが実現されるよう
に圧力制御弁30を制御する制御手段194とを含むも
のとされている。
【0071】そして、本実施形態においては、ブレーキ
操作状態量検出手段180が、マスタシリンダ液圧セン
サ166を主体とするものとされている。
【0072】また、助勢限界検出手段181が、ブース
タ12の変圧室12bの圧力が大気圧に上昇し、ブース
タ負圧スイッチ164がOFF状態からON状態に変化
したときに、ブースタ12が助勢限界に到達したと判定
するものとされている。
【0073】また、暫定目標差圧決定手段182が、検
出されたマスタシリンダ液圧PM の、ブースタ12が助
勢限界に到達したときの高さである助勢限界値PM0から
の増分IPM に応じて暫定目標差圧ΔPを決定するもの
とされている。
【0074】また、急ブレーキ操作検出手段184が、
マスタシリンダ液圧センサ166により検出されたマス
タシリンダ液圧PM の時間的変化率(dPM /dt)が
正の設定値X以上となったときに急ブレーキ操作を検出
するものとされている。マスタシリンダ液圧センサ16
6が、ブレーキ操作状態量検出手段180と急ブレーキ
操作検出手段184とに共用されているのである。
【0075】また、増加量決定手段186が、検出され
たマスタシリンダ液圧PM のそれが低下しようとしたと
きの高さであるピーク値を取得し、その後、図14にグ
ラフで概念的に示すように(ただし、図においてPM2
B2は、マスタシリンダ液圧PM がピーク値を示した時
期t0 におけるマスタシリンダPM とブレーキシリンダ
液圧PB とをそれぞれ表し、PM1,PB1は、時期t0
後の任意の時期tにおけるマスタシリンダPM とブレー
キシリンダ液圧PB とをそれぞれ表している)、マスタ
シリンダ液圧PM の現在値PM1の、そのピーク値PM2
らの低下量ΔP M を取得し、暫定目標差圧ΔPを増加さ
せない状況において、その取得された低下量ΔPM によ
って生じさせられるべきブレーキシリンダ液圧PB の低
下量ΔP B (=PB2−PB1)を取得し、その取得された
低下量ΔPB を暫定目標差圧ΔPの増加量INCに決定
するものとされている。したがって、暫定目標差圧ΔP
を増加させないと、図のグラフ上においてマスタシリン
ダ液圧PM とブレーキシリンダ液圧PB との対応点が点
Aから点Bに移動する状況において、暫定目標差圧ΔP
を増加量INC(=ΔPB )だけ増加させると、その対
応点が点Aから点Cに水平に移動し(図においてΔP1
は、暫定目標差圧ΔPと増加量INCとの和である最終
目標差圧ΔPを表す)、結局、ブレーキシリンダ液圧P
B が一定に保持されることになる。
【0076】また、差圧増加不要検出手段188が、急
ブレーキ操作の検出後、低下量ΔP M が正の設定値Y以
上となったときに、暫定目標差圧ΔPの増加が不要であ
ると判定するものとされている。また、設定値Yは、急
ブレーキ操作状態のうちの保持段階における踏力Fの全
低下量として実験的に取得された値より大きい値とされ
ている。なお、増加不要検出手段188は例えば、急ブ
レーキ操作の検出後、ブレーキスイッチ162のブレー
キ操作信号がONからOFFに変化したときに、暫定目
標差圧ΔPの増加が不要であると判定するものとするこ
ともできる。
【0077】以上概略的に説明した効き特性制御の内容
を図5〜図7のルーチンに基づいて具体的に説明する。
【0078】図5の効き特性制御ルーチンは、運転者に
より車両のイグニションスイッチがON状態に操作され
た後、繰り返し実行される。各回の実行時にはまず、ス
テップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップ
についても同じとする。)において、マスタシリンダ液
圧センサ166からマスタシリンダ液圧信号が取り込ま
れ、次に、S2において、ブースタ負圧スイッチ164
からブースタ負圧信号が取り込まれる。その後、S3に
おいて、RAMに設けられたフラグF1 が1であるか否
かが判定される。このフラグF1 は、ECU150のコ
ンピュータの電源投入に伴って0に初期化される。今回
はフラグF1 が0であると仮定すれば、判定がNOとな
り、S4に移行する。
【0079】このS4においては、ブースタ負圧スイッ
チ164がON状態であるか否かが判定されることによ
り、ブースタ12が助勢限界に到達したか否かが判定さ
れる。今回はON状態にはないと仮定すれば、判定がN
Oとなり、S5において、圧力制御弁30のソレノイド
74にそれをOFFする信号が出力され、それにより、
圧力制御弁30が開状態とされる。続いて、S6におい
て、流入制御弁140のソレノイド174にそれをOF
Fする信号が出力され、それにより、流入制御弁140
が閉状態とされる。その後、S7において、ポンプモー
タ170にそれをOFFする信号が出力される。続い
て、S8において、フラグF1 を0にする信号が出力さ
れる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0080】これに対して、ブースタ12が助勢限界に
到達したと仮定すれば、S4の判定がYESとなり、S
9において、後述の図7の急ブレーキ判定ルーチンによ
り現在急ブレーキ操作状態にあると判定されたか否かが
判定される。今回は急ブレーキ操作状態にはないと判定
されたと仮定すれば、判定がNOとなり、S10に移行
する。このS10においては、マスタシリンダ液圧PM
の現在値の、ブースタ12が助勢限界に到達したときの
値PM0からの増分IPM に応じて暫定目標差圧ΔPが演
算される。増分IPM と目標差圧ΔPとの関係がROM
に記憶されており、その関係に従って現在のマスタシリ
ンダ液圧PM に対応する暫定目標差圧ΔPが決定される
のである。その関係は例えば、図15にグラフで表され
ているように、増分IPM が増加するにつれて暫定目標
差圧ΔPが0からリニアに増加する関係とされる。
【0081】続いて、S11において、圧力制御弁30
のソレノイド74につき、暫定目標差圧ΔPに応じたソ
レノイド電流値Iが演算される。暫定目標差圧ΔPとソ
レノイド電流値Iとの関係がROMに記憶されており、
その関係に従って暫定目標差圧ΔPに対応するソレノイ
ド電流値Iが演算されるのである。続いて、S12にお
いて、そのソレノイド電流値Iで励磁電流がソレノイド
74に供給されることにより、圧力制御弁30が制御さ
れる。その後、S13において、流入制御弁140が制
御される。
【0082】このS13の詳細が図6に流入制御弁制御
ルーチンとしてフローチャートにより表されている。
【0083】まず、S61において、現在アンチロック
制御の実行中であるか否かが判定される。実行中ではな
いと仮定すれば判定がNOとなり、S62において、流
入制御弁140のソレノイド174にそれをONする信
号、すなわち、流入制御弁140を開かせるための信号
が出力される。これにより、作動液がマスタシリンダ1
4から補給通路130を経てポンプ40に導入可能な状
態となる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0084】これに対し、現在アンチロック制御の実行
中であると仮定すればS61の判定がYESとなり、S
63において、リザーバ98においてポンプ40により
汲み上げるべき作動液として存在する作動液の量の推定
演算、すなわち,リザーバ残量の推定演算が行われる。
続いて、S64において、推定されたリザーバ残量が0
であるか否か、すなわち、リザーバ98においてポンプ
40により汲み上げるべき作動液が存在しないか否かが
判定される。今回はリザーバ残量が0ではないと仮定す
れば、判定がNOとなり、S65において、流入制御弁
140のソレノイド174にそれをOFFする信号、す
なわち、流入制御弁140を閉じさせるための信号が出
力される。一方、今回はリザーバ残量が0であると仮定
すれば、S64の判定がYESとなり、S62におい
て、流入制御弁140にそれを開かせるための信号が出
力される。いずれの場合も、以上で本ルーチンの一回の
実行が終了し、図5のS14に移行する。
【0085】このS14においては、ポンプモータ17
0にそれをONする信号が出力され、これにより、ポン
プ40によりリザーバ98から作動液が汲み上げられ、
作動液が各ブレーキシリンダ20に吐出される。これに
より、各ブレーキシリンダ20がマスタシリンダ液圧P
M より暫定目標差圧ΔPだけ高い液圧が発生させられ
る。すなわち、今回のように、現在急ブレーキ操作状態
にない場合には、暫定目標差圧ΔPがそのまま最終目標
差圧ΔPとされて、その最終目標差圧ΔPが実現される
ように圧力制御弁30が制御されるのである。以上で本
ルーチンの一回の実行が終了する。
【0086】これに対して、図7の急ブレーキ判定ルー
チンにより現在急ブレーキ操作状態にあると判定された
と仮定すれば、S9の判定がYESとなり、S15にお
いて、マスタシリンダ液圧センサ166のマスタシリン
ダ液圧信号の時間的変化に基づいてマスタシリンダ液圧
M が低下しようとしたか否かが判定される。すなわ
ち、急ブレーキ操作状態において増加段階から保持段階
に移行しようとしているか否かが判定されるのである。
急ブレーキ操作状態においてマスタシリンダ液圧PM
低下しようとしていない場合には、判定がNOとなり、
S10以下に移行するが、低下しようとした場合には、
判定がYESとなり、S16以下に移行する。
【0087】S16においては、マスタシリンダ液圧P
M の、それが低下しようとしたときの値であるピーク値
がRAMに格納され、次に、S17において、前記フラ
グF 1 が1とされる。その後、S18においては、前記
S10におけると同様にして暫定目標差圧ΔPが演算さ
れ、続いて、S19において、マスタシリンダ液圧P M
の現在値のそのピーク値からの低下量ΔPM が演算さ
れ、その後、S20において、演算された低下量ΔPM
に対応する低下量ΔPB が、マスタシリンダ液圧PM
ブレーキシリンダ液圧PB との対応関係を表す直線の勾
配を用いることにより、暫定目標差圧ΔPの増加量IN
Cとして演算される。続いて、S21において、S18
において演算された暫定目標差圧ΔPと、S20におい
て演算された増加量INCとの和が最終目標差圧ΔPと
して演算される。その後、S22において、図7の急ブ
レーキ判定ルーチンにより現在非急ブレーキ操作状態に
あると判定されたか否かが判定される。今回は、依然と
して急ブレーキ操作状態にあると判定されたと仮定すれ
ば、判定がNOとなり、S23がスキップされてS11
以下に移行する。
【0088】したがって、その後、本ルーチンが実行さ
れれば、S3の判定がYESとなり、S4,S9,S1
5〜S17がスキップされ、S18〜S21において、
マスタシリンダ液圧PM の現在値の、助勢限界値PM0
らのIPM に応じた暫定目標差圧ΔPと、マスタシリン
ダ液圧PM の現在値の、そのピーク値からの低下量ΔP
M に応じた増加量INCとの和が最終目標差圧ΔPとさ
れる。
【0089】やがて、ブレーキペダル10の踏力Fが運
転者の意思通りに低下させられれば、図7の急ブレーキ
判定ルーチンにより急ブレーキ操作状態から非急ブレー
キ操作状態に移行したと判定され、その結果、図5のS
22の判定がYESとなり、S23においてフラグF1
が0とされる。したがって、その後、本ルーチンが実行
されれば、S3の判定がNOとなり、S4以下に移行す
る。
【0090】図7の急ブレーキ判定ルーチンも繰り返し
実行される。まず、S101において、マスタシリンダ
液圧センサ166からマスタシリンダ液圧信号が取り込
まれる。次に、S102において、マスタシリンダ液圧
信号に基づき、マスタシリンダ液圧PM の今回値の前回
値からの変化量が演算され、それが、本ルーチンの実行
周期で割り算されることにより、マスタシリンダ液圧P
M の変化速度が演算される。さらに、その変化速度が設
定値X以上であるか否かが判定される。急ブレーキ操作
が行われたか否かが判定されるのである。今回は変化速
度が設定値X以上ではないと仮定すれば、判定がNOと
なり、S103において、RAMに設けられたフラグF
2 が1であるか否かが判定される。このフラグF2 もコ
ンピュータの電源投入に伴って0にリセットされるフラ
グであり、今回は0であると仮定すれば、判定がNOと
なり、S104において、現在急ブレーキ操作状態には
ないと判定される。続いて、S105において、フラグ
2 を0にリセットするための信号が出力され、以上で
本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0091】これに対して、マスタシリンダ液圧PM
変化速度が設定値X以上になったと仮定すれば、S10
2の判定がYESとなり、S106において、現在急ブ
レーキ操作状態にあると判定される。続いて、S107
において、フラグF2 が1にセットされる。以上で本ル
ーチンの一回の実行が終了する。
【0092】その後、本ルーチンが実行されれば、S1
02の判定がNOとなっても、フラグF2 が1であるか
ら、S103の判定がYESとなり、低下量ΔPM が設
定値Y以上とならずにS108の判定がNOである限
り、S104およびS105がスキップされる。マスタ
シリンダ液圧PM の変化速度が設定値X以上でなくなっ
ても、低下量ΔPM が設定値Y以上とならない限り、急
ブレーキ操作状態であるとの判定が維持されるのであ
る。
【0093】その後、低下量ΔPM が設定値Y以上とな
ったと仮定すれば、S108の判定がYESとなり、S
104およびS105が実行され、急ブレーキ操作状態
から非急ブレーキ操作状態に移行したと判定される。
【0094】前記アンチロック制御ルーチンは、車輪速
センサ168により各輪の車輪速および車体の走行速度
を監視しつつ、増圧弁90は開状態、減圧弁100は閉
状態とする増圧状態,増圧弁90も減圧弁100も閉状
態とする保持状態および増圧弁90は閉状態、減圧弁1
00は開状態とする減圧状態を選択的に実現することに
より、車両制動時に各輪がロックすることを防止する。
さらに、アンチロック制御ルーチンは、アンチロック制
御中ポンプモータ170を作動させ、ポンプ40により
リザーバ98から作動液を汲み上げて主通路18に戻
す。
【0095】このアンチロック制御ルーチンは、効き特
性制御ルーチンの実行の有無を問わず実行される。した
がって、効き特性制御の実行中であって、目標差圧ΔP
の増加によって各輪のロック傾向が過大となれば、アン
チロック制御ルーチンが実行され、その結果、各輪のブ
レーキの作動力が過大にならずに済む。
【0096】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、マスタシリンダ液圧センサ166とEC
U150のうち図5のS1を実行する部分とが互いに共
同して、ブレーキ操作状態量検出手段180を構成し、
ブースタ負圧スイッチ164とECU150のうち図の
S2およびS4を実行する部分とが互いに共同して助勢
限界検出手段181を構成し、マスタシリンダ液圧セン
サ166と、ECU150のうち図のS1,S10およ
びS18を実行する部分とが互いに共同して暫定目標差
圧決定手段182を構成しているのである。また、マス
タシリンダ液圧センサ166と、ECU150のうち図
7のS101,S102およびS106を実行する部分
とが互いに共同して急ブレーキ操作検出手段184を構
成し、マスタシリンダ液圧センサ166と、ECU15
0のうち図5のS1,S9,S15,S16,S19お
よびS20を実行する部分とが互いに共同して増加量決
定手段186を構成しているのである。また、マスタシ
リンダ液圧センサ166と、ECU150のうち図のS
22ならびに図7のS101,S108及びS104を
実行する部分とが互いに共同して差圧増加不要検出手段
188を構成し、ECU150のうち図のS21を実行
する部分が最終目標差圧決定手段192を構成し、EC
U150のうち図のS5〜S7およびS11〜S14を
実行する部分が制御手段194を構成しているのであ
る。
【0097】また、本実施形態においては、増加量決定
手段186が「増加量決定手段」の一例を構成すると
ともに「ブレーキ作動力低下抑制手段」の一例を構成
し、また、差圧増加不要検出手段188が「整合低下
操作検出手段」の一例を構成し、最終目標差圧決定手段
192のうち、差圧増加不要検出手段188による差圧
増加不要の検出後に、暫定目標差圧決定手段182によ
り決定された暫定目標差圧をそのまま最終目標差圧に決
定する部分が「ブレーキ作動力低下許容手段」の一例
を構成しているのである。
【0098】なお付言すれば、図6の流入制御弁制御ル
ーチンにつき、リザーバ98における作動液の残量を直
接センサにより検出する改良を加えることができる。残
量は例えば、リザーバ98におけるリザーバピストン1
04に永久磁石を一体的に移動可能に設け、それに近接
してセンサとしてのリードスイッチを設けることにより
検出することができる。
【0099】図16には、別の実施形態であるブレーキ
装置が示されている。このブレーキ装置においては、マ
スタシリンダ300とブレーキシリンダ302とが液通
路304により互いに接続されている。液通路304の
途中に、マスタシリンダ300からブレーキシリンダ3
04に向かう作動液の流れは許容し、その逆向きの流れ
は阻止するチェック弁310が設けられ、そのチェック
弁310に並列にバイパス通路312が設けられてい
る。そのバイパス通路312の途中に電磁開閉弁314
が設けられている。
【0100】その電磁開閉弁314は制御手段316に
よって制御される。制御手段316は、急ブレーキ操作
検出手段317に接続されており、急ブレーキ操作の検
出後に、電磁開閉弁314を閉じさせることによってブ
レーキシリンダ302からマスタシリンダ300に向か
う作動液の流れを阻止し、それによってブレーキシリン
ダ液圧を保持し、それによってブレーキ作動力の低下を
完全に抑制する。また、制御手段316は、ブレーキ操
作状態量の減少量が設定値以上となれば、電磁開閉弁3
14を開かせ、それによってブレーキ操作状態量に応じ
てブレーキシリンダ液圧が低下することを許容する。
【0101】すなわち、本実施形態においては、それら
チェック弁310とバイパス通路312と電磁開閉弁3
14と制御手段316のうち電磁開閉弁314を閉じさ
せる部分とが互いに共同してブレーキシリンダ液圧保持
装置318を構成し、そのブレーキシリンダ液圧保持装
置318が本発明における「ブレーキ作動力低下抑制手
段」の一例を構成しているのである。また、制御手段3
16のうち、ブレーキ操作状態量の減少量に基づいて電
磁開閉弁314を開かせる部分が、ブレーキシリンダ液
圧低下許容装置を構成し、そのブレーキシリンダ液圧低
下許容装置がブレーキ作動力低下許容手段」の一例を
構成しているのである。
【0102】図17には、さらに別の実施形態であるブ
レーキ装置が示されている。このブレーキ装置において
も、図16の実施形態と同様に、マスタシリンダ300
とブレーキシリンダ302とが液通路304により互い
に接続されている。ただし、チェック弁310に代え
て、マスタシリンダ300とブレーキシリンダ302と
の間の作動液の流れを大きな抵抗で許容する絞り(オリ
フィス等)320が設けられ、その絞り320に並列
に、マスタシリンダ300とブレーキシリンダ304と
の間の作動液の流れを絞り320におけるより小さい抵
抗で許容するバイパス通路322が設けられている。そ
のバイパス通路322の途中に電磁開閉弁324が設け
られている。
【0103】その電磁開閉弁324は前記制御手段31
6と同様な制御手段326によって制御される。制御手
段326は、急ブレーキ操作検出手段317に接続され
ており、急ブレーキ操作の検出後に、電磁開閉弁324
を閉じさせることによってブレーキシリンダ302から
マスタシリンダ300に向かう作動液の流れを大きな抵
抗で許容し、それによってブレーキシリンダ液圧が低下
する速度を低減し、それによってブレーキ作動力の低下
を部分的に抑制する。また、制御手段326は、ブレー
キ操作状態量の減少量が設定値以上となれば、電磁開閉
弁324を開かせ、それによってブレーキ操作状態量に
応じてブレーキシリンダ液圧が低下することを許容す
る。
【0104】すなわち、本実施形態においては、それら
絞り320とバイパス通路322と電磁開閉弁324と
制御手段326のうち電磁開閉弁324を閉じさせる部
分とが互いに共同してブレーキシリンダ液圧低下速度低
減装置328を構成し、そのブレーキシリンダ液圧低下
速度低減装置328が本発明における「ブレーキ作動力
低下抑制手段」の一例を構成しているのである。また、
制御手段326のうち、ブレーキ操作状態量の減少量に
基づいて電磁開閉弁324を開かせる部分が、ブレーキ
シリンダ液圧低下許容装置を構成し、そのブレーキシリ
ンダ液圧低下許容装置がブレーキ作動力低下許容手
段」の一例を構成しているのである。
【0105】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、それらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
ができるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置を示す
系統図である。
【図2】図1における圧力制御弁30の構造および作動
を説明するための正面断面図である。
【図3】図2の圧力制御弁におけるソレノイド励磁電流
Iとソレノイド吸引力F1 との関係を示すグラフであ
る。
【図4】上記ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック
図である。
【図5】図4におけるROMに記憶されているブレーキ
効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図5におけるS13の詳細を流入制御弁制御ル
ーチンとして示すフローチャートである。
【図7】上記ROMに記憶されている急ブレーキ判定ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図8】バキュームブースタを備えた一般的なブレーキ
装置におけるブレーキ操作力Fとブレーキシリンダ液圧
B との関係を示すグラフである。
【図9】前記実施形態であるブレーキ装置におけるブレ
ーキ効き特性制御を説明するためのグラフである。
【図10】上記ブレーキ効き特性制御におけるマスタシ
リンダ液圧PM とマスタシリンダとブレーキシリンダと
の差圧ΔPとの関係を示すグラフである。
【図11】急ブレーキ操作状態においてブレーキペダル
の踏力Fとマスタシリンダ液圧P M とブレーキシリンダ
液圧PB とがそれぞれ時間的に変化する様子を示すグラ
フである。
【図12】前記実施形態であるブレーキ装置を示す機能
ブロック図である。
【図13】上記ブレーキ効き特性制御の特徴を説明する
ためのグラフである。
【図14】図12における増加量決定手段186の作動
原理を説明するためのグラフである。
【図15】図5におけるS10およびS18におけるマ
スタシリンダ液圧PM の現在値の助勢限界値PM0からの
増分IPM と上記差圧ΔPの目標値との関係を示すグラ
フである。
【図16】本発明の別の実施形態であるブレーキ装置を
示す系統図である。
【図17】本発明のさらに別の実施形態であるブレーキ
装置を示す系統図である。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル 12 ブースタ 14,300 マスタシリンダ 20,302 ブレーキシリンダ 30 圧力制御弁 40 ポンプ 150 ECU 162 ブレーキスイッチ 164 ブースタ負圧スイッチ 166 マスタシリンダ液圧センサ 184,317 急ブレーキ操作検出手段 182 暫定目標差圧決定手段 186 増加量決定手段 188 差圧増加不要検出手段 192 最終目標差圧決定手段 318 ブレーキシリンダ液圧保持装置 328 ブレーキシリンダ液圧低下速度低減装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキ操作部材と、車輪の回転を抑制す
    るブレーキと、前記ブレーキ操作部材の操作状態量に応
    じた大きさの力で前記ブレーキを作動させるブレーキ駆
    動装置とを含むブレーキ装置において、 運転者による前記ブレーキ操作部材の急ブレーキ操作を
    検出する急ブレーキ操作検出手段と、 その急ブレーキ操作検出手段によって急ブレーキ操作が
    検出された後に、前記ブレーキの作動力が前記操作状態
    量に応じて低下することを抑制するブレーキ作動力低下
    抑制手段と、(a) (i) 前記操作状態量を検出する操作状態量検出手段
    と、(ii) 前記急ブレーキ操作検出手段によって急ブレ
    ーキ操作が検出されて前記ブレーキ作動力低下抑制手段
    によって前記ブレーキ作動力の低下が抑制されている場
    合に、前記操作状態量検出手段により検出された操作状
    態量の減少量が設定値を超えたときに、運転者による前
    記ブレーキ操作部材の前記作動力を低下させる操作が運
    転者の意思と整合する整合低下操作が行われたと判定す
    る判定手段とを含む整合低下操作検出手段と、(b) その
    整合低下操作検出手段によって整合低下操作が検出され
    た後に、前記ブレーキ作動力低下抑制手段の作動を終了
    させることにより、前記作動力が前記操作状態量に応じ
    て低下することを許容する ブレーキ作動力低下許容手段
    とを含むことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記ブレーキ駆動装置が、(a) 前記操作状
    態量に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダ
    と、(b) そのマスタシリンダと液通路により接続され、
    その液通路から供給される液圧に基づいて前記ブレーキ
    を作動させるブレーキシリンダと、(c) 前記操作状態量
    を検出する操作状態量検出手段と、(d) 前記液通路の途
    中にその操作状態量検出手段と接続された状態で設けら
    れ、前記ブレーキ操作部材の操作中の少なくとも一時期
    に、前記マスタシリンダ液圧より高い液圧を前記ブレー
    キシリンダに発生させるとともに、そのマスタシリンダ
    液圧に対するブレーキシリンダ液圧の増圧量を前記操作
    状態量検出手段により検出された操作状態量に応じて決
    定する液圧制御装置とを含み、前記ブレーキ作動力低下
    抑制手段が、その液圧制御装置に設けられ、前記急ブレ
    ーキ操作検出手段によって急ブレーキ操作が検出された
    後であって、少なくとも前記操作状態量が減少しようと
    した後に、前記増圧量を、前記操作状態量に応じた値よ
    り増加させる増圧量増加手段を含む請求項に記載のブ
    レーキ装置。
  3. 【請求項3】ブレーキ操作部材と、 そのブレーキ操作部材の操作状態量に応じた高さの液圧
    を発生させるマスタシリンダと、 そのマスタシリンダと液通路により接続され、その液通
    路から供給される液圧に基づいて前記ブレーキを作動さ
    せるブレーキシリンダと、 前記操作状態量を検出する操作状態量検出手段と、 前記液通路の途中にその操作状態量検出手段と接続され
    た状態で設けられ、前記ブレーキ操作部材の操作中の少
    なくとも一時期に、前記マスタシリンダ液圧より高い液
    圧を前記ブレーキシリンダに発生させるとともに、その
    マスタシリンダ液圧に対するブレーキシリンダ液圧の増
    圧量を前記操作状態量検出手段により検出された操作状
    態量に応じて決定する液圧制御装置と、 その液圧制御装置に設けられ、前記操作状態量検出手段
    によって運転者による前記ブレーキ操作部材の急ブレー
    キ操作が検出された後であって、少なくとも前記操作状
    態量が減少しようとした後に、前記増圧量を、前記操作
    状態量に応じた値より増加させる増圧量増加手段を含む
    ブレーキ作動力低下抑制手段とを含むことを特徴とする
    ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】さらに、(a) 運転者による前記ブレーキ操
    作部材の、前記作動力を低下させる操作が運転者の意思
    と整合する整合低下操作であることを検出する整合低下
    操作検出手段と、(b) その整合低下操作検出手段によっ
    て整合低下操作が検出された後に、前記ブレーキ作動力
    低下抑制手段の作動を終了させることにより、前記作動
    力が前記操作状態量に応じて低下することを許容するブ
    レーキ作動力低下許容手段とを含む請求項に記載のブ
    レーキ装置。
  5. 【請求項5】前記増圧量増加手段が、前記増圧量の増加
    を、前記操作状態量が減少しようとした後に行うととも
    に、その増加量を、前記ブレーキシリンダ液圧が前記操
    作状態量が減少しようとしたときの高さに保持されるよ
    うに決定する増加量決定手段を含む請求項2〜4のいず
    れか1つに記載のブレーキ装置。
  6. 【請求項6】前記液圧制御装置が、(a) 前記液通路の途
    中に設けられ、前記マスタシリンダとブレーキシリンダ
    との間の作動液の双方向の流れを許容する状態と、ブレ
    ーキシリンダからマスタシリンダに向かう作動液の流れ
    を阻止する状態とを含む複数の状態に切り換わる制御弁
    と、(b) 前記液通路のうちその制御弁と前記ブレーキシ
    リンダとの間に吐出側が接続され、吸入側から作動液を
    汲み上げて吐出側に吐出するポンプとを含み、それら制
    御弁とポンプとの共同によって前記ブレーキシリンダの
    増圧を行うものである請求項2〜5のいずれか1つに記
    載のブレーキ装置。
  7. 【請求項7】前記液圧制御装置が、前記ポンプの吸入側
    が前記液通路のうち前記マスタシリンダと前記制御弁と
    の間の部分に接続されたものである請求項に記載のブ
    レーキ装置。
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