JP3642274B2 - 歯車設計方法および歯車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は歯車設計方法および歯車に係り、特に、負荷時のかみあい伝達誤差を簡便な方向で求める技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯車の歯面はインボリュート歯形を成しているのが理想であるが、歯車を配設する際のミスアライメントにより一方の歯車の歯の端縁が他方の歯車の歯面に当接する片当たり(稜かみあい)が生じることがあり、大きなかみあい伝達誤差が生じてギヤノイズや振動等の原因になる。このため、歯形修整や歯すじ修整、バイアスなどにより歯面修整を行っているのが普通であるが、かみあい伝達誤差は負荷に依存することから、負荷たわみを考慮したかみあい伝達誤差を計算によって求めたり、実際に歯車を試作して種々の条件下で試験を行ったりすることにより、かみあい伝達誤差(ギヤノイズ)が小さい歯車諸元や修整歯面を設定する必要がある。負荷時のかみあい伝達誤差を計算によって求める方法としては、例えば「日本機械学会論文集」(C編)60巻575号(1994−7)の論文No.94−0049など種々の手法が提案されている。
【0003】
なお、上記かみあい伝達誤差は、互いにかみあう一対の歯車の回転誤差で、例えば駆動側歯車を一定速度で回転させた場合の被動側歯車の進み遅れ量で表される。また、本明細書では、そのかみあい伝達誤差と回転角度との関係をかみあい波形と言い、特に、1歯のみでかみあい回転させた場合のかみあい開始からかみあい終了までのかみあい波形をモーションカーブと言う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、諸元や修整歯面が異なる複数の歯車を実際に試作して試験する場合、膨大な試作費用や試験工数が必要であるとともに、総ての条件について試験することは困難で、必ずしも十分に満足できる歯車が得られない。また、負荷時のかみあい伝達誤差を計算で求める場合、一般に負荷トルクの釣り合い等の収束計算が必要で、負荷トルク等の条件を変更する毎に長時間の演算が必要であり、設計時のパラメータスタディには必ずしも適当でなかった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、負荷時のかみあい伝達誤差を簡単な計算手法で迅速に求めることができるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、歯車の所定の負荷時のかみあい伝達誤差を算出し、その負荷時のかみあい伝達誤差を考慮して歯車を設計する方法であって、(a) 歯面形状に基づいて無負荷時における1歯分のかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表すモーションカーブを計算によって求めるモーションカーブ算出工程と、(b) 前記負荷時の歯のたわみ量を計算によって求めるたわみ量算出工程と、(c) 前記モーションカーブおよび前記負荷時の歯のたわみ量に基づいて、前記負荷時のかみあい伝達誤差を計算によって求める負荷時かみあい伝達誤差算出工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の歯車設計方法において、(a) 前記モーションカーブを歯の1ピッチだけ前記回転角度方向へずらして一部が重なるように配置した重なり波形を生成する重なり波形生成工程を有し、(b) 前記負荷時かみあい伝達誤差算出工程は、前記重なり波形において、前記たわみ量に対応するかみあい伝達誤差位置までの間に存在するモーションカーブの数に応じて前記回転角度方向の領域を分割し、その領域毎にその領域内に存在するモーションカーブに基づいて負荷時のかみあい伝達誤差を求めるものであることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第2発明の歯車設計方法において、前記モーションカーブの数が1つの領域では、そのモーションカーブの形状をそのまま負荷時のかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表す負荷時かみあい波形とし、そのモーションカーブの数が複数の領域では、その複数のモーションカーブを合成して負荷時かみあい波形を求めることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの歯車設計方法に従って設計され、製造されていることを特徴とする歯車である。
【0010】
【発明の効果】
本発明の歯車設計方法においては、無負荷時のモーションカーブを歯面形状から計算によって求めるとともに、負荷時の歯のたわみ量を計算によって求め、それ等のモーションカーブおよび負荷時の歯のたわみ量に基づいて負荷時のかみあい伝達誤差を計算によって求めるため、複雑な収束計算などが不要で負荷時のかみあい伝達誤差を短時間で算出できる。このため、歯車の諸元や修整歯面などを極め細かく変更した種々の歯車の負荷時のかみあい伝達誤差を求めることにより、ギヤノイズの少ない最適な歯車設計を短時間で行うことができるようになる一方、従来と同程度の歯車設計であれば、設計時間が大幅に短縮される。
【0011】
第2発明は、モーションカーブを1ピッチだけずらして配置した重なり波形を用いて、たわみ量に対応するかみあい伝達誤差位置までのモーションカーブの数に応じて回転角度方向の領域を分割し、その領域毎にモーションカーブに基づいて負荷時のかみあい伝達誤差を求めるもので、第3発明では更に、モーションカーブの数が1つの領域では、そのモーションカーブの形状をそのまま負荷時かみあい波形とし、モーションカーブの数が複数の領域では、その複数のモーションカーブを合成して負荷時かみあい波形を求めるようになっており、何れも第1発明の一実施態様で、第1発明と同様の効果が得られる。
【0012】
また、このような歯車設計方法に従って設計され、製造されている第4発明の歯車についても、実質的に上記歯車設計方法と同様の効果が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、軸方向において歯がねじれているはすば歯車やはすばかさ歯車、ハイポイドギヤなどの設計に好適に適用されるが、歯が歯車軸と平行な平歯車など、他の歯車の設計にも適用され得る。
【0014】
本発明方法は、マイクロコンピュータの信号処理で実行することが望ましく、前記モーションカーブ算出工程、たわみ量算出工程、および負荷時かみあい伝達誤差算出工程をそれぞれ実行するモーションカーブ算出手段、たわみ量算出手段、および負荷時かみあい伝達誤差算出手段を有する歯車設計装置により好適に実施される。
【0015】
また、本発明方法の実施に際しては、実際にかみあい回転させられる一対の歯車を想定して設計することが望ましいが、例えばインボリュート歯形を有する理想歯面の歯車とかみあい回転させる場合を想定して歯車設計を行うなど、種々の態様を採用できる。
【0016】
モーションカーブを求める際の歯面形状は、設計された歯車の歯車諸元および修整歯面によって定められるが、更に製造時の加工の平均誤差などを考慮することも可能である。また、歯車の回転軸に負荷によるミスアライメントを付加するなど、より実際のかみあい回転に近い状態でモーションカーブを求めることもできる。
【0017】
モーションカーブを歯の1ピッチ(角ピッチ)だけ回転角度方向へずらして配置した重なり波形は、ピッチ誤差が無ければ1ピッチ周期で同じ波形になるため、1ピッチ分生成するだけでも良い。製造時の加工のピッチ誤差を考慮することも可能で、その場合は例えばモーションカーブを歯車の歯数分だけ1ピッチずつずらしながら重ねて配置するとともに、ピッチ誤差に応じてかみあい伝達誤差方向へずらすようにすれば良い。
【0018】
負荷時のかみあい伝達誤差としては、第3発明のようにかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表す負荷時かみあい波形を求めることが適当であるが、かみあい伝達誤差の最大振幅や平均振幅など、かみあい伝達誤差に関する他の物理量を求めるようにしても良い。
【0019】
無負荷時のモーションカーブおよび負荷時の歯のたわみ量に基づいて負荷時のかみあい伝達誤差を計算によって求める技術思想そのものは、歯車の設計だけでなく、製造された実際の歯車の品質評価などに利用することも可能である。その場合は、実際の歯車の歯面形状を測定して無負荷時のモーションカーブを計算で求めたり、可能であれば1歯のみでかみあい回転させて無負荷時のモーションカーブを実測したりすれば良い。負荷時の歯のたわみ量については、材質や形状などから計算で求めることもできるが、実際の歯車に負荷トルクを加えて測定するようにしても良い。
【0020】
すなわち、上記負荷時のかみあい伝達誤差の算出方法は、無負荷時における1歯分のかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表すモーションカーブと、負荷時の歯のたわみ量とに基づいて、該負荷時のかみあい伝達誤差を計算によって求める負荷時かみあい伝達誤差算出工程を有することを特徴とする。また、好適には、前記モーションカーブを歯の1ピッチだけ前記回転角度方向へずらして一部が重なるように配置した重なり波形を生成する重なり波形生成工程を有し、前記負荷時かみあい伝達誤差算出工程は、前記重なり波形において、前記たわみ量に対応するかみあい伝達誤差位置までの間に存在するモーションカーブの数に応じて前記回転角度方向の領域を分割し、該モーションカーブの数が1つの領域では、該モーションカーブの形状をそのまま負荷時かみあい波形とし、該モーションカーブの数が複数の領域では、該複数のモーションカーブを合成して負荷時かみあい波形を求めるように構成される。
【0021】
上記モーションカーブやたわみ量は、実測または計算によって求めることができ、モーションカーブについては、総ての歯に関する複数のモーションカーブをそれぞれ求めるとともに、それ等を歯の1ピッチずつ回転角度方向へずらして重なり波形を生成することにより、より高い精度で負荷時のかみあい伝達誤差を算出することもできる。
【0022】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明方法に従ってはすば歯車やはすばかさ歯車、ハイポイドギヤなど軸方向において歯がねじれている歯車の設計を行う際の手順の一例を説明する図で、ステップS1では作業者がマイクロコンピュータ等を利用して歯車諸元の決定や歯面修整などを行って歯車を設計する。歯車諸元としては、例えば歯数や中心距離、モジュール、圧力角、ねじれ角、歯たけ、歯幅、基準ピッチ円直径、ギヤ比、材質などがあり、歯面修整は、歯形修整や歯すじ修整、バイアスなどである。ステップS2では、ステップS1で設計された歯車の歯面形状などに基づいて、同じくマイクロコンピュータ等を利用してかみあい伝達誤差特性を求め、ステップS3では、そのかみあい伝達誤差特性などに基づいてギヤノイズ等の性能評価を行い、所定の要件を満たせば合格として終了するが、不合格の場合はステップS1で歯面修整などを変更して、ステップS2以下の処理を繰り返す。かみあい伝達誤差特性は、例えば図9に示すような負荷トルクとかみあい伝達誤差とに関する特性であり、ステップS3では、例えば歯車の使用場所における負荷トルク領域のかみあい伝達誤差の大きさなどから合否を判断する。
【0023】
図2は、上記ステップS2のかみあい伝達誤差特性を求める際に好適に用いられる歯車設計装置10の基本構成を説明するブロック線図で、データバスラインで接続された中央演算処理装置12、ハードディスクやROMなどの主記憶装置14、RAMなどの補助記憶装置16を有するマイクロコンピュータで構成されている。中央演算処理装置12は、補助記憶装置16の一時記憶機能などを利用しつつ主記憶装置14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うもので、機能的に図3に示すモーションカーブ算出手段30、重なり波形生成手段32、無負荷時かみあい波形算出手段34、たわみ量算出手段36、負荷時かみあい波形算出手段38、かみあい伝達誤差特性算出手段40を備えている。
【0024】
図2の表示装置18はブラウン管や液晶パネルなどの画像表示を行うもので、設計された歯車の諸元や形状の表示、かみあい伝達誤差特性を算出する際に求められるモーションカーブ、重なり波形、無負荷時かみあい波形、負荷時かみあい波形、かみあい伝達誤差特性等の表示、或いは操作手順や選択メニュー、入力すべき内容のガイド表示などを行う。キーボード20、タブレット22、ダイヤル24は入力操作装置で、作業者によって各種の情報の入力や指令、選択などが行われる。プリンター26は、表示装置18の表示内容や設計された歯車の諸元、形状、或いはかみあい伝達誤差特性などを印刷するためのもので、ネットワークコントローラ28は、ワークステーションや工作機械などと接続されて情報伝達を行うためのものである。ネットワークコントローラ28を介して他のマイクロコンピュータにて設計・変更された歯車の各種のデータを取り込むようにしても良いが、歯車設計装置10を用いて歯車の設計・変更を含めた図1の一連の処理を総て行うこともできる。
【0025】
図4は、前記図3の各機能によって実行される処理内容を具体的に説明するフローチャートで、ステップR2は前記モーションカーブ算出手段30によって実行され、ステップR3は重なり波形生成手段32によって実行され、ステップR4は無負荷時かみあい波形算出手段34によって実行され、ステップR6はたわみ量算出手段36によって実行され、ステップR7およびR8は負荷時かみあい波形算出手段38によって実行され、ステップR10はかみあい伝達誤差特性算出手段40によって実行される。また、ステップR2はモーションカーブ算出工程で、ステップR3は重なり波形生成工程で、ステップR6はたわみ量算出工程で、ステップR7、R8は負荷時かみあい伝達誤差算出工程である。
【0026】
図4のステップR1では、作業者の指令に従って設計・変更された歯車の各種のデータを取り込み、ステップR2では、その歯車の歯面形状に基づいて無負荷時における1歯分のかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表すモーションカーブを計算によって求め、表示装置18に表示する。歯車の歯面形状は、圧力角やねじれ角、歯たけ、歯幅などの歯車諸元、および歯形修整、歯すじ修整、バイアスなどの歯面修整等によって定められ、使用に際して実際にかみあい回転させられる一対の歯車を想定して、予め定められた演算式に従って自動的にモーションカーブCM が求められる。このモーションカーブCM は、一般には図5に示すようにかみあいの中間部、すなわち歯面中央部が凸形状になるように回曲する逆放物線形状になる。なお、上記歯面形状に、製造時の加工の平均誤差による形状変化を付加したり、歯車の回転軸にミスアライメントを付加したりして、より実際のかみあい回転に近い状態でモーションカーブCM を求めることも可能である。
【0027】
ステップR3では、図6に示すように上記モーションカーブCM を歯の1ピッチ(角ピッチ)Pだけ回転角度方向へずらして一部が重なるように配置した重なり波形ACM を自動的に生成し、表示装置18に表示する。本実施例では、加工時の歯のピッチ誤差を無視して、同じかみあい伝達誤差位置に1ピッチPだけ回転角度をずらしてモーションカーブCM を配置することにより、重なり波形ACM を生成するようになっている。このため、1ピッチPを1周期として同じ波形が繰り返されることになり、以後の処理では任意の1ピッチP分だけ取り出して所定の演算処理を行うようにしても良い。1ピッチ(角ピッチ)Pは、歯車諸元から求められる。なお、製造時の加工のピッチ誤差を考慮することも可能で、その場合はピッチ誤差に応じてモーションカーブCM をかみあい伝達誤差方向へずらして重ねるようにすれば良い。
【0028】
ステップR4では、図6の重なり波形ACM の尾根、すなわち図6において最も上方に位置するモーションカーブCM の一部のみ、具体的には逆放物線形状の凸形回曲部分のみを切り取ることにより、図7に示すような無負荷時かみあい波形T0 を求め、表示装置18に表示する。すなわち、無負荷時のかみあい回転では、この無負荷時かみあい波形T0 に示すかみあい伝達誤差で被動側歯車が駆動側歯車に対して周期的に進み遅れするのである。
【0029】
ステップR5〜R8は負荷時かみあい波形Tn を計算して表示装置18に表示する部分で、ステップR5では、負荷トルクを設定するとともにステップR6〜R8で負荷時かみあい波形Tn を算出する毎にその負荷トルクの設定値を変更する。この負荷トルクの設定・変更は、予め設定された最大負荷トルクに対して所定の間隔或いは分割数などで自動的に設定・変更されるようにしても良いが、作業者の手動入力で任意に設定できるようになっていても良い。
【0030】
ステップR6では、歯車の材質や形状などに基づいて負荷時の歯のたわみ量Fを予め定められた演算式に従って計算により自動的に求める。歯のたわみ量Fは、基本的に歯の倒れおよび面の弾性変形から成り、ステップR5で設定された負荷トルクに基づいてそれ等の倒れおよび弾性変形量を計算で求めて加算すれば良く、本実施例ではかみあい伝達誤差と同じように歯車の中心線まわりの角度偏差で求めるようになっている。また、例えば接触点の軌跡上の各部のたわみ量の最大値や平均値を求めるようにしても良いが、接触点の軌跡上の任意の1点のたわみ量で代表することも可能で、本実施例ではモーションカーブCM の回曲点、すなわち図5において最も上方に位置する部分、に対応する歯面位置のたわみ量Fを求めるようになっている。接触点の軌跡は負荷トルクによって変動するが、例えば無負荷時における接触点の軌跡を用いても良い。
【0031】
ステップR7では、図6の重なり波形ACM において、上記たわみ量(角度偏差)Fに対応するかみあい伝達誤差位置を自動的に設定するとともに、そのかみあい伝達誤差位置までの間に存在するモーションカーブCM の数に応じて回転角度方向の領域を自動的に分割する。図8の一点鎖線Lは、たわみ量Fに対応するかみあい伝達誤差位置を表しており、図ではかみあい伝達誤差位置Lよりも上に存在するモーションカーブCM の数が1つの領域E1 と、モーションカーブCM の数が2つの領域E2 とに分けられている。モーションカーブCM の数は、たわみ量Fが大きい程、言い換えれば負荷トルクが大きい程多くなる。
【0032】
ステップR8では、上記領域E1 、E2 毎に、それ等の領域E1 、E2 内に存在するモーションカーブCM に基づいて負荷時かみあい波形Tn を自動的に求め、表示装置18に表示する。具体的には、モーションカーブCM の数が1つの領域E1 については、モーションカーブCM の形状をそのまま負荷時のかみあい波形としてかみあい伝達誤差位置Lまでシフトし、モーションカーブCM の数が2つの領域E2 については、かみあい伝達誤差位置Lよりも上の2つのモーションカーブCM の合成波形CM avを求めて、領域E1 のかみあい波形に連続するようにかみあい伝達誤差方向へシフトすることにより、負荷時かみあい波形Tn が求められる。合成波形CM avは、本実施例では複数のモーションカーブCM におけるかみあい伝達誤差の平均値の波形である。
【0033】
次のステップR9では、所定の負荷トルクに関する負荷時かみあい波形Tn の算出が総て終了したか否かを判断し、総ての負荷トルクに関する負荷時かみあい波形Tn を算出するまで、負荷トルクを変更しながらステップR5〜R8を繰り返し実行する。そして、総ての負荷トルクに関する負荷時かみあい波形Tn の算出が終了したら、ステップR10でフーリエ変換するなどして例えば図9に示すようにかみあい伝達誤差(かみあい一次成分)と負荷トルクとの関係を表すかみあい伝達誤差特性を自動的に算出し、表示装置18に表示する。図9の「○」は、本実施例に従って計算で求めたかみあい伝達誤差特性で、「×」は実際に歯車を製造して負荷時かみあい波形を測定し、その測定結果からフーリエ変換などで算出した実測値であり、比較のために図示したものであるが、歯車設計上満足できる対応関係が得られた。
【0034】
このような本実施例の歯車設計方法によれば、評価のためにかみあい伝達誤差特性を算出する際に、無負荷時のモーションカーブCM を歯面形状から計算によって自動的に求めて重なり波形ACM を生成するとともに、負荷時の歯のたわみ量Fを計算によって自動的に求め、それ等の重なり波形ACM および負荷時の歯のたわみ量Fに基づいて負荷時かみあい波形Tn を計算によって自動的に求めるため、複雑な収束計算などが不要で負荷時かみあい波形Tn 、更にはかみあい伝達誤差特性を短時間で算出できる。このため、歯車の諸元や修整歯面などを極め細かく変更した種々の歯車のかみあい伝達誤差特性を求めることにより、ギヤノイズの少ない最適な歯車設計を短時間で行うことができるようになる一方、従来と同程度の歯車設計であれば、設計時間が大幅に短縮される。
【0035】
因みに、1つの負荷トルクに対する負荷時かみあい波形Tn を求める際の計算時間、すなわちステップR5〜R8を実行する際の所要時間は、2〜3秒程度(従来は1分程度)であり、パラメータスタディや多水準計算の画期的な時間短縮を図ることができる。
【0036】
また、歯車の諸元設計の段階でかみあい性能(かみあい伝達誤差特性)を考慮することができるため、歯車諸元まで変更しながら低騒音歯車を設計することが容易になる。
【0037】
また、本実施例の負荷時かみあい波形Tn やかみあい伝達誤差特性の算出に際しては、設計歯車のデータを取り込む代わりに、実際の歯車製品の形状データなどを測定して入力することにより、実際にかみあい回転させることなく負荷時かみあい波形Tn やかみあい伝達誤差特性を計算によって容易且つ迅速に求めることが可能で、ギヤノイズ等の品質評価を容易に行うことができる。
【0038】
逆に、低騒音の歯車の形状データなどを測定して入力し、負荷時かみあい波形Tn やかみあい伝達誤差特性を求めることにより、低騒音歯車の特性を容易に導き出すことができ、歯車設計や品質評価などに利用することもできる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に従って歯車の設計を行う際の全体の流れを説明するフローチャートである。
【図2】図1のステップS2でかみあい伝達誤差特性を求める際に好適に用いられる歯車設計装置の構成を説明するブロック線図である。
【図3】図2の装置が備えている機能を説明するブロック線図である。
【図4】図2の装置を用いてかみあい伝達誤差特性を求める際の信号処理の流れを具体的に説明するフローチャートである。
【図5】図4のステップR2で算出されるモーションカーブの一例を示す図である。
【図6】図4のステップR3で生成される重なり波形の一例を示す図である。
【図7】図4のステップR4で算出される無負荷時かみあい波形の一例を示す図である。
【図8】図4のステップR5〜R8で負荷時かみあい波形を求める際の信号処理の内容を具体的に説明する図である。
【図9】図4のフローチャートに従って計算で求めたかみあい伝達誤差特性を、実測値と比較して示す図である。
【符号の説明】
10:歯車設計装置 30:モーションカーブ算出手段 32:重なり波形生成手段 36:たわみ量算出手段 38:無負荷時かみあい波形算出手段 CM :モーションカーブ ACM :重なり波形 L:たわみ量 Tn :負荷時かみあい波形
ステップR2:モーションカーブ算出工程
ステップR3:重なり波形生成工程
ステップR6:たわみ量算出工程
ステップR7、R8:負荷時かみあい伝達誤差算出工程
Claims (4)
- 歯車の所定の負荷時のかみあい伝達誤差を算出し、該負荷時のかみあい伝達誤差を考慮して歯車を設計する方法であって、
歯面形状に基づいて無負荷時における1歯分のかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表すモーションカーブを計算によって求めるモーションカーブ算出工程と、
前記負荷時の歯のたわみ量を計算によって求めるたわみ量算出工程と、
前記モーションカーブおよび前記負荷時の歯のたわみ量に基づいて、前記負荷時のかみあい伝達誤差を計算によって求める負荷時かみあい伝達誤差算出工程と、
を有することを特徴とする歯車設計方法。 - 前記モーションカーブを歯の1ピッチだけ前記回転角度方向へずらして一部が重なるように配置した重なり波形を生成する重なり波形生成工程を有し、
前記負荷時かみあい伝達誤差算出工程は、前記重なり波形において、前記たわみ量に対応するかみあい伝達誤差位置までの間に存在するモーションカーブの数に応じて前記回転角度方向の領域を分割し、該領域毎に該領域内に存在するモーションカーブに基づいて負荷時のかみあい伝達誤差を求めるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の歯車設計方法。 - 前記モーションカーブの数が1つの領域では、該モーションカーブの形状をそのまま負荷時のかみあい伝達誤差と回転角度との関係を表す負荷時かみあい波形とし、該モーションカーブの数が複数の領域では、該複数のモーションカーブを合成して負荷時かみあい波形を求める
ことを特徴とする請求項2に記載の歯車設計方法。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載の歯車設計方法に従って設計され、製造されていることを特徴とする歯車。
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