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JP3639836B2 - インク容器およびインクタンクの製造方法 - Google Patents

インク容器およびインクタンクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク容器およびインクタンクの製造方法に関する。
従来、インクジェット用のインクカートリッジは、インクジェットヘッドと一体化され、カートリッジ内のインクがインク吐出できない段階になると、ヘッドと共に廃棄されることが多い。この状態のカートリッジ内に残存するインクの量は、改良を加えても、カートリッジ内のほぼ全体に収納されている負圧発生体であるスポンジのインク保持能力に支配され、比較的多いものとなってしまっていた。
この種のインク容器としては、下記、特許文献1を挙げることができる。即ち、インク容器内に発泡材が配置され、複数のインク射出オリフィスを備えたインクジェット記録ヘッド1体のカートリッジである。このインク容器においては、発泡材であるポリウレタンフォームのような多孔質媒体にインクを貯蔵するためにフォームの毛細管力による負圧の発生及びインクの保持(インク容器からのインク漏れ防止)を達成しているが、唯一のインク貯蔵室のほぼ全体に装填されるフォームを必要とすることからインクの充填量が制限されるとともにに装填され、ほぼ全体にフォームを必要とすることからインクの充填量が制限されるとともにフォーム中に使用されずに残るインク量が多くなり、インクの使用効率が悪いという問題があった。
この問題に対して、インクカートリッジを実質的にインクのみを保持する構成を採用したカートリッジを開示する公報がある。即ち、特開平2−522号公報には、上方に位置してインクのみを大量に保持する1次インク貯蔵部と下方に位置したインクジェット記録ヘッドとの間にわずかな多孔質部材を配置したインクジェット記録ヘッド一体型のインクカートリッジが開示されている。この発明は、多孔質部材をインク貯蔵部には内蔵せずにインク流路中にのみ配置したことによりインクの使用効率を向上出来るとしている。また、多孔質部材の側方にインクを保持可能な空間としての2次インク貯蔵部を設けることにより、温度上昇(圧力低下)で1次インク貯蔵部内の空気が膨張してによる1次インク貯蔵部からの流出インクを溜め、記録時の記録ヘッドへの負圧を実質上一定に維持出来るとしている。
しかしながら、この公報の発明は、非記録時においては、上方に位置してインクのみを大量に保持する1次インク貯蔵部からのインクにより多孔質部材はインクが充分過ぎるほど含浸せしめられているので、多孔質部材自体の負圧の発生がほとんど無くなっている。そのため、わずかな衝撃によりインクジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが漏れるという問題があり、実用に適さない。またインク容器をインク記録ヘッドに装着する交換型インクカートリッジ形式をこの構成に採用することは、多孔質部材の状態からインク漏れの状態となり実用化できないという課題があった。
これに対して、インクを袋内に封入してその袋の負圧力を一定にするためのバネ構成を付加したインクカートリッジも知られているが、高価なものとなるだけでなく、そのバネ構成の性能を維持して大量生産を達成することは困難なものであった。
いづれにしても、インクジェット用(非接触記録プリント型)インクカートリッジとして、インクジェットプリントの分野では、安価で、合理的な技術水準にあるものは提供されていない。
特開昭63−63242号公報
本発明者たちは、インクジェットプリントの技術分野に適したインク容器としては、記録時においては、記録ヘッドから吐出されるインク量に見合ったインクを良好に供給することができ、非記録時においては吐出口からのインク漏れなどの不都合がないことの両面性をそれぞれ検討した。その結果、基本構成として、負圧発生部材を収容すると共に大気との連通を得るための大気連通部を備えた第1収納室と該第1収納室に対して連通するが実質的に密閉状態で第1収納室へ供給するためのインクを直接収納するための第2収納室を持つ構成がインクジェットの特性にとって重要な前提であることに至った。
その一方で、本発明者達は、本発明の技術分野とは異なる接触記録技術を検討することによって、インクジェットプリント分野の技術的な特異性について再検討することにした。一般に、記録媒体に接触して記録を行う記録計器用ペンは、インク吸収性もあり保持性もある記録芯に対してインク供給を行なうものであるから、記録芯自体が大気にさらされていることを前提とし、記録芯に直接接触する領域にはインクで過飽和状態となっているインク含侵体を必須とする。つまり接触記録技術は、インクジェット分野の技術内容とは根本的に異なる。
調査したところ、特開昭57−16385号公報を見出した。この公報は、記録媒体に接触して記録を行う記録芯(多孔質型インク吸収性芯)を用いることを前提とする記録計器用ペンを開示するが、課題としているものは、記録芯自体からのインクあふれのみであった。
この公報は、下方の記録芯に接触する第1吸液材と上方の大気連通口側にインクをわずかに吸収しているが第1吸液材に比べてインクを含みにくい第2吸液材とを備え、記録芯を下方に突出させた中央室と、この室の両側にインクを供給する密閉型インク収容室とを必須の構成とする発明である。この構成によれば、周囲温度の上昇によって密閉型インク収容室内の空気が膨張して密閉型インク収容室内のインクが第1吸液材に至り、第1吸液材が保持しきれなくなったインクを第2吸液材が吸収することにより、記録芯からインクがあふれて落下することを防止できるとしている。さらに、この公報は、2つの密閉型インク収容室の一方が空気だけになった際に、その空気の膨張を大気連通口側に逃がすための一定幅の溝を、中央室と密閉型インク収容室との仕切り壁とは異なる側面の最下端から最上端までにわたって設けることも開示している。
本発明者達は、技術的には類似点の少ない非接触記録のインクジェットヘッドに、このタンク構成のみを適用することに着眼したところ、環境条件の変化に伴って、大気連通口からのインクあふれという新たな現象が確認された。しかも記録芯に直接接触する領域にはインクで過飽和状態となっているインク含侵体である第1吸液材は、負圧を発生することを必要としないためにインクジェット技術にとっての共通性が見られないことも確認できた。この新規な現象は、記録計器用ペンの分野では認識されてはいず、負圧を安定したものにするための技術的示唆もこの分野からは得るものがなかった。
また、上記公報の一定幅の溝は、空気と共にインクを排出促進する機能もあるため、大気連通口からのインクあふれを一層促進してしまうことも確認できた。更に、両側のインク収容室からのインク消費は、同等ではなく、先に一方のインク収容室のインクが無くなると、他方に大量のインクが残存しているにもかかわらず、インクジェット記録ができなくなってしまった。これは、インク収容室のインクが無駄になり、根本的にインクジェット技術の目的に反する結果であった。この原因は、第1吸液材内に空気が大量に入り込み、結果的にインクの供給が出来なくなったためであった。
このような背景問題を解決した画期的なインクジェット用カートリッジを本発明出願人は先に出願している。これは、負圧発生部材を収容すると共に大気との連通を得るための大気連通部を備えた第1収納室と該第1収納室に対して連通するが実質的に密閉状態で第1収納室へ供給するためのインクを直接収納するための第2収納室を持つ前提構成のカートリッジに、インクジェット用として有効に機能できる構成を与える発明である。この構成によれば、インクカートリッジの使用初期から使用終了までの間の大半を負圧が実質上ほぼ一定にできるタンク構造体であるために、高速記録にも対応可能な交換型インクカートリッジおよびインクジェットヘッドとプリンタをも提供できるものである。
他方、一般的に、インクカートリッジは、ランニングコストを低減させるためや省資源の観点から使用済み後にインクを再注入することが要望されている。
本発明者らは、上述した先に発明したインクジェット用カートリッジにおいて上記インクの再注入を検討した結果、本インクジェット用カートリッジ固有の技術による好ましいインク注入の形態を見いだすに至った。
この発明は、従来の技術的観点からは予想できなかったものであり、これを解析することで上記インクカートリッジの機能を維持しつつ、使用済み後のインクカートリッジにインクを再注入することが可能となる条件を提供できるものとして、本発明者たちによって初めて認識されたものである。
本発明の主たる目的は、上記背景技術に鑑み上記インクジェット用インクカートリッジとして新規な上記第1収納室と第2収納室をもつカートリッジ構成の特性を一層安定したものにできる再充填するための手段を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記新規インクカートリッジのインク室内のインクが負圧発生部材に供給されている段階で形成される、負圧発生部材中の気体である外気とインクとの気液界面の滑らかで安定した界面を一層安定化でき、好ましくは、その間の負圧が実質上ほぼ一定にできる交換型インクカートリッジおよびそれを用いたインクジェットヘッドを提供することにある。
本発明のさらなる他の目的は、インクの再充填後もインクカートリッジのインク室内のインクが負圧発生部材に供給されている段階で形成される負圧発生部材中の気体である外気とインクとの気液界面の滑らかで安定した界面を一層安定化でき、好ましくは、その間の負圧が実質上ほぼ一定にできるインクの再充填方法及びインクジェット用カートリッジを提供することにある。
ここで、本発明インクジェット用カートリッジに適用されている負圧発生部材のように、インク過飽和状態ではない負圧発生部材を用いることを前提とするインクジェット用カートリッジは知られているが、これに実質的に密閉状態のインク収容室を隣接させた構成は知られていない。そのため、まず、本発明充填用インクが適用されるカートリッジ構成について、その特徴の一部を以下に説明しておく。
本発明のインク容器は、インク吸収体が収納されるとともに大気連通部及びインク供給部を有した第1収納室と、連通部のみを介して前記第1収納室に連通し前記第1収納室に供給されるインクを直接収納するための前記連通部を除き密閉された空間を形成する第2収納室とを具えたインク容器であって、
前記第2収納室に対して外部からインクを供給するためにインクを備えたインク充填器によって、開口されたインク再充填口からインクを再充填した後に前記インク再充填口を封止部材で封止して構成されており、
前記第1収納室内の前記インク吸収体は、前記連通部とインク供給部とに面した領域を含んだインクを保持しているインク保持領域と、該インク保持領域と前記大気連通部との間にインクを保持していない領域とを有していることを特徴とする。
また、本発明のインクタンクの製造方法は、インク吸収体が収納されるとともに大気連通部及びインク供給部を有した第1収納室と、連通部のみを介して前記第1収納室に連通し前記第1収納室に供給されるインクを直接収納するための前記連通部を除き密閉された空間を形成する第2収納室とを具えたインクが消費されたインク容器を用意する工程と、
連通部を除き密閉された空間を形成する前記第2収納室に対して外部からインクを供給するためのインク再充填口を開口させる工程と、
インクを備えたインク充填器によって、前記インク再充填口からインクを再充填する工程と、
前記インクを再充填する工程後に前記インク再充填口を封止部材で封止して、前記第2収納室を外部に対して密閉状態にする工程と、
を有して構成されており、
前記第1収納室内の前記インク吸収体には、前記連通部とインク供給部とに面した領域を含んだインクを保持しているインク保持領域と、該インク保持領域と前記大気連通部との間にインクを保持していない領域とがあることを特徴とする。
保存状態や使用状態に関わらず、従来の技術水準を一掃する技術観点として、上記前提構成に対して、負圧発生部材の該大気連通部近傍領域をインクを保持していない領域とすることで、環境条件の変動に対して、インクカートリッジ内のインクが大気連通部から漏れることを防止できる利点がある。特に、シール部材が大気連通部を密閉している場合に対しては、シール部材のはがれ防止効果もある。また、使用状態にあっては、この領域は、大気がカートリッジ内に必要に応じた量が効率よく供給でき、インクジェットカートリッジ内の負圧変化を抑制する効果もある。この大気連通部近傍領域は、全くインクによる濡れがないものであると、インク自体の浸透速度をより減速させることができるので好ましいが、インクにより予め濡らした後にそのインクを除去した領域としても良い。
また、本発明は、上記前提構成に対して、上記微小連通部を形成する仕切り壁に対向する側に、インク供給用開口、或は、供給管による負圧発生体の圧縮(又は圧縮可能)領域を存在させる構成とすることで、第2収納室のインクが負圧発生体内に安定した実質的なインク供給路を確保でき、これをより安定させる構成として、インクカートリッジの下面に関して上記インク供給用開口が上記微小連通部よりも上方に位置させることを挙げることができる。尚、本発明で云う「供給管」は、インクジェット特有の挿入管はもとより、カートリッジに付設され負圧発生体を圧縮変形せしめている弁構造や連結部材をも含むものである。この配置関係の作用は、実質的なインク移動方向を一定化でき、第2収納室のインクがすべて消費でき、この消費後も、第2収納室内の空気が減圧下にあることを解消する方向に大気が仕切り壁側から、対向する開口側に移動するように介在することで、結果的に、負圧発生体内のインクを消費可能にして、残存インクを減少できることにある。
特に、上記前提構成に対して、上記微小連通部を形成する仕切り壁からこの壁に対向する側に向かって、負圧発生体の供給管によって圧縮されない領域、負圧発生体の供給管によって圧縮される領域を、この順に有することで、圧縮されない領域には前述した1方向のインク供給路が形成でき同様の効果が得られ、更に圧縮領域のインク確保能力によって一層インク残量を減少できる。
従って、本発明のより好ましい前提構成発明は、上記列挙の3構成を満足するものとすることができるが、無論上記構成の単独もしくは任意の2構成の複合は当然優れた効果が得られることが理解できよう。
一方、本発明前提構成のインクジェットカートリッジは、操作者の手指に触れることになるが、通常は不都合は発生しにくいが、強力に圧力を加えたりするとインクのみを収納する収納室は大きさにもよるが変形しやすい。従って、この外圧による課題を解決する構成として、微小連通部を構成する仕切り壁よりも間隙を大きく開ける仕切り板をインクのみの収容室に設けることは好ましいものである。又、変形の観点から、これらのカートリッジを樹脂で形成した場合には、インクのみの収容室の壁の厚さを0.8mm以上、負圧発生部材としてのスポンジ等を収納する収納室の壁の厚さを1.3mm以上とすることが好ましい。更には、壁の厚さは壁の厚さの1.2倍以上3倍以下の範囲内にあることがより好ましいものと判明した。
本発明前提構成のインクジェットプリンタとして、上記本発明のカートリッジを装着したことに応じて、自動的或は指導的にカートリッジ内からのインク排出をヘッドを介して吸引手段による吸引或は吐出によって実行することは、負圧発生体内のインク状態をプリント前に修正出来るので、カートリッジの放置状態に左右されずに、カートリッジ本来の上記機能を利用することができる。
尚、上記前提構成における微小連通部の仕切り壁までの高さは、負圧発生部材の平均孔径(好ましくは微小連通部近傍の平均孔径)より大きく(実用上は0.1mm以上)、5mm以下が適している。より安定化を期待するのであれば、3mm以下が好ましい。又、負圧発生部材の収納室の容積とインクのみの収容室の容積の比は、1:1以上1:3以下の範囲内が実用上の最適範囲として挙げることができる。
次に、上記前提構成要件において見られたインク漏れの現象は、上記カートリッジに初期充填する際や再充填を行う際において見られ、その原因は、インク収納室内においては問題のないインクが、負圧発生部材を収納する収納室内に至ると、負圧発生部材内部に一時的に保持されるものよりも、負圧発生部材とカートリッジ内壁との間を進行して大気連通口やインク供給口等の開口部或は、シールされている領域を破って漏れる傾向が大となることであった。そのため本発明は前提構成用のインク条件を検討したところ、インク表面張力が55dyn/cm(25℃)を越えると、その傾向は顕著であるが、55dyn/cm以下であると、臨界的にこの問題が見られなくなり、特に50dyn/cm以下であると、環境にも左右されずに、極めて安定した特性を示したのである。
一方、その55dyn/cm以下であると、確実に負圧発生部材中に安定した進行性を示し、負圧発生部材中に気体である空気と液体であるインクとの気液界面が形成される構成の場合に特にその界面を長期にわたって安定したものにできる効果が認められた。これは、上記微小連通部から上記第1収納室内の上記負圧発生部材対向位置まで延在する気液交換促進構造を有するカートリッジにおいては、その構成と相乗的に機能して、直線的な界面を安定した状態で形成できるので、好ましいのものであった。
逆に、前提構成用のインク表面張力が20dyn/cm(25℃)を下回ると、通常使用では、インク漏れが生じないものの、衝撃が加わるような場合においては、インク漏れ現象が見られ、20dyn/cm以上であると、このような衝撃があっても、前提構成の利点とインク特性との相乗効果によってインク漏れが防止されることが判明した。又、特に、25dyn/cm以上50dyn/cm以下では、上述した効果、即ち、環境にも左右されずに、極めて安定した特性を示した。
本発明の他の発明における効果や特徴は以下の実施例から理解できよう。
本発明は、上記の説明で理解できるように、インク再充填が第2収納室から実施され、そのインク再充填口を別部材で封止したことにより、新規なインクカートリッジの利点を維持したまま、本来なら捨てるべきところのインクカートリッジを再利用することが可能となり、ランニングコスト低減や省資源化を達成することができる。
以下本発明の実施の形態を実施例により説明する。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1乃至図6は、本発明に使用するインクカートリッジの前提構成に加えて、微小連通部8をカートリッジの底面とで形成する仕切り壁5に対向する負圧発生部材収容部の面にインク供給用の開口部を設けた構成の実施例である。
図1はインクカートリッジの一部を破断して示した模式斜視図であり、図2は図1の模式断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明に使用するインクカートリッジ本体1はインクジェット記録ヘッドと連結するための開口部2を微小連通部としての間隙部8側に変位させた位置に有し、負圧発生部材3を収容した負圧発生部材収容部4と該負圧発生部材収容部に仕切り壁5を介して隣接し、インクカートリッジ底部11で連通したインクのみを収容するインク収容部6とからなる。
この構成により、大気は上記開口部2から供給されることになるが、重要なことは、大気連通部の構成よりも、インク収容部6内のインクが連通部8を介してのみ、インクカートリッジ底部11に沿って開口部2側へ確実に供給されることである。このインク供給に伴って大気は、インク収容部6内のインクと入れ替わり補充されていく。
ここで、負圧発生部材収容部4の開口部近傍の供給管によって圧縮変形可能な領域にある負圧発生部材を、供給管によって圧縮変形せしめた状態について説明する。図3は、本発明に使用する交換型インクカートリッジにインクジェット記録ヘッドへインクを供給する供給管としてのジョイント部材7が挿入され、負圧発生部材に圧接してインクジェット記録装置が稼動可能な状態になったときの模式断面図である。尚、ジョイント部材の端部にはインクカートリッジ内のごみを排除するためにフィルターが設置されている場合もある。
インクジェット記録装置が稼動するとインクジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが吐出され交換型インクカートリッジにインク吸引力が発生する。インク9はこの吸引力によりインク収容部6から仕切り壁端部とインクカートリッジ底部11との間隙部8を通り、負圧発生部材収容部4へ、負圧発生部材3を通ってジョイント部材7内に引き込まれインクジェット記録ヘッドへ供給される。これにより間隙部8以外は密閉しているインク収容部6の内部の圧力が低下し、インク収容部6と負圧発生部材収容部4との間に圧力差を生じる。記録が継続するとその圧力差は上昇を続けるが、負圧発生部材部はジョイント部材部とジョイント開放部との間に間隙12により大気に開放されているため、空気は負圧発生部材を通って仕切り壁端部8とインクカートリッジ底部11との間隙部8からインク収容部4に入る。この時点でインク収容部6と負圧発生部材収容部4との間の圧力差が解消される。インクジェット記録中はこの動作が繰り返され、ある一定の負圧がインクカートリッジ内に得られる。また、インク収容部内のインクは、インク収容部内の壁面に付着するインク以外はほぼ全て使用できるためインク使用効率が向上する。
非記録時においては、負圧発生部材自身の毛細管力(あるいはインク−負圧発生部材界面でのメニスカス力)などが発生され、特に、インク収容部内のインクのインクが消費され始めると、負圧発生部材収容部内のインク保持状態はほぼ一定となり、インク収容部内に回収された気体が実質的に負圧状態になっているために、カートリッジ内の圧力バランスが極めて安定し、インクジェット記録ヘッドからインクが漏れることを抑制する。
よって、ジョイントするインクジェット記録ヘッドに応じた負圧発生部材の選択及び負圧発生部材収容部とインク収容部の割合設計をすれば図4に示した構成なども可能となる。
尚、図19(A)(B)の様に、本発明の交換型インクカートリッジをカラーインクジェット記録装置に対応するために各色(例えばブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色)のインクをそれぞれ個別の交換型インクカートリッジに収容して使用することができる。たとえば、図19(A)のように個別のインクカートリッジを1体化させて交換型インクカートリッジとしてもよく、あるいは、図19(B)のように使用頻度の高いブラックインク用の交換型インクカートリッジと他のカラーインク1体化交換カートリッジを分離した交換型インクカートリッジとしてもよい。これらの組み合わせはインクジェット装置に合わせて任意である。
本発明の交換型インクカートリッジにおいて、インクジェット記録ヘッドにおける負圧を制御するためには、負圧発生部材3の選定、形状、寸法はもとより、仕切り壁端部8の形状、寸法、仕切り壁端部8とインクカートリッジ底部11との間隙8の形状、寸法、負圧発生部材収容部4とインク収容部6の容積割合、ジョイント部材7の交換型インクカートリッジへの挿入量、形状、寸法、フィルター12の形状、寸法、目の荒さ及びインクの表面張力などを使用する条件に応じて最適化することはより好ましい。
使用する負圧発生部材は、それ自身、液体(インク)の自重及びわずかな振動に対してもインクを保持する能力を有するものであれば従来公知の部材が使用できる。例えば、繊維を網状に網込んだ綿状体や連通孔を有する多孔質体などが上げられる。インク保持力及び負圧発生などが調整容易なポリウレタンフォームなどのスポンジが好ましい。特に、フォームの場合には、フォーム製造時に所望の多孔密度となるように調整できるので好ましい。尚、フォームを熱圧縮処理をして更に多孔密度を調整した場合には、加熱による分解物が発生し、インク物性を変化させ記録品位に悪影響を及ぼす場合があるので洗浄などの処理が必要となる。また、各種インクジェット記録装置に対応した交換型インクカートリッジを製造するためそれに応じた多孔密度のフォームが要求されるが、熱圧縮を施していない特定のセル数(1インチ当りの空孔の数)を持つフォーム材を所望の寸法にカットし、負圧発生部材収容部に圧縮挿入し、多孔密度、毛管力を調整することが好ましい。
上記例においては、ジョイント部材7とジョイント開口部2とに間隙を設けてインクカートリッジ外部から大気を取り入れる構成がなされているが、本構成を限定するものではなくジョイント部材及びジョイント開放部の構造、形状はいかなるものであってもよい。負圧発生部材がスポンジのような多孔質部材の場合には図3(a)、(b)のようにジョイント部材の挿入に対して多孔質部材のインクカートリッジ底部からの逃げを抑制し、且つ、フィルター部と負圧発生部材との圧接面を維持、確保するためにジョイント部材7の端部はジョイント部材挿入方向に対して任意の角度(テーパー)を有することが好ましい。あまりジョイント部材の挿入量を大きく取る場合は、この先端のテーパ部が負圧発生部材に亀裂を招じさせる場合があるので、図3(c)の如く面構造とすることも良い。
また、大気の取入れ口とするためにジョイント部材の外壁に大気導入用の凹凸を設けることも考えられるが、図5のように開口部2の形状も溝(図5(a))などの所望の形状即ち、図5(b)が長方形、図5(c)が3角形といったように選定することが可能である。開口部2の形状は、好ましくは、ジョイント部材と開口部を密閉しない程度の間隙を開けるか、開口部の下部(インクカートリッジ底部側)では、ジョイント部材外周に近接し、開口部上部で開口しているような形状である。
このように本発明に使用する交換型インクカートリッジはジョイント開口部と大気を取り入れる部分とを兼ねることが可能となっており、より単純な構成とできる。また、ジョイント部材7の交換型インクカートリッジへの挿入量は、上記ジョイント部材形状、負圧発生部材、インクカートリッジの形状などを考慮して挿入時にインク洩れなどを起こさず、記録時には途中でインク切れなどを起こさないように負圧発生部材の圧縮領域を設定することは好ましい。
以上の実施例に対して、ジョイント開口部とは別に大気との連通孔を負圧発生部材収容部側に設けることは、本発明のインクを保持していない負圧発生部材領域を大気連通部近傍に設ける構成を採用するためにも有効であり、後述するインクジェット記録装置内での環境変化に対する信頼性向上に好適な手段となる。
仕切り壁端部とインクカートリッジ底部との間隙8の形状、寸法についても任意であるが、あまりにも狭いとインクとのメニスカス力が強くなり、ジョイント開口部からのインク洩れは抑制できるが、負圧発生部材収容部へのインク供給に力を要し、使用時にインク切れを発生する可能性がある。また、あまりにも広いと逆の現象が発生する可能性があるため、微小連通部の仕切り壁までの高さは、負圧発生部材の平均孔径(好ましくは微小連通部近傍の平均孔径)より大きく(実用上は0.1mm以上)、5mm以下が適している。より安定化を期待するのであれば、3mm以下が好ましい。図7は、間隙8の形状の例を示している。図7(a)は、先の実施例で使用され、本発明にとって最も安定した構成形状であり、一定高さで、カートリッジ全幅にわたって設けられたものである。図7(b)(c)は、カートリッジ全幅の一部のみで連通部を形成し、かつ蛇行したものである。この構成は、カートリッジ全体の容積が大きい場合に有効ではあるが通常プリンタでは低い使用のものである。図7(d)は、トンネル状の連通部を複数有するもので、インクがカートリッジ内面側に移動しやすく、気体−インク交換用の気体導入を集中化できる。図7(e)(f)は、図7(a)の構成に加えて、インク収納室側の仕切り壁に上下方向にわたって凹部を形成したものである。そのため、仕切り壁下端に至った気体は相対的にその凹部で効果的にインク収納室内に導入され、気体の回収効率を向上できる。
尚、この間隙8もまた、ジョイント開口部の位置を考慮して決定することがより好ましい条件となる。図10(a)及び(b)によって説明すると、(a)は、ジョイント開口部下端より仕切り壁端部の方が低い位置にあり、負圧発生部材中に保持されたインクはジョイント開口部下端より下であるためインク洩れに対して抑制効果があり好ましい。一方、(b)は、ジョイント開口部下端より仕切り壁端部の方が高い位置にあり、負圧発生部材中に保持されたインクはジョイント開口部下端より上であるためインク洩れに対して抑制効果が少なく好ましくない。したがって、仕切り壁端部の位置をジョイント開口部下端と同じか、低い位置として間隙8の寸法を設計することは本発明の効果をより安定化できる利点がある。交換インクカートリッジの形状、寸法にもよるが、最大範囲で0.1mm以上20mm以下の高さの範囲内から間隙8の高さを選定することで実用化でき、より好ましくは0.5から5mm程度である。また、仕切り壁端部の形状は、上述のジョイント開口部との位置を考慮していればいかなる形状をしていてもよいが、例示すれば、説明を省くが図8(a)〜(h)に示したとおりである。
さらに、仕切り壁5の端部と負圧発生部材3との境界部も種々の構造関係が考えられる。これを表示したものが、図9である。図9(a)から図9(d)は、仕切り壁端部により負圧発生部材が圧縮されておらず、負圧発生部材の密度を局部的に高めることがないので、インクの流通及び空気の流通が比較的速やかとなり、高速記録やカラー記録の場合に好ましい。一方、図9(e)、(f)は、仕切り壁端部により負圧発生部材3が圧縮されおり、部材の密度が高くなるためインクの流通及び空気の流通に抵抗を生じるものの、わずかな環境変動に対してはインク洩れなどの障害を抑制できる。よって、これらの選択は、インクジェット記録装置の種類や使用する環境条件を考慮して設計すればよい。
負圧発生部材収容部4とインク収容部6の容積割合は、インクジェット記録装置の種類や使用される環境条件などを考慮して決定する必要がある。また、使用する負圧発生部材との関連も重要となる。インクの使用効率を向上するためには、インク収容部の容積を増やすことが好ましく、その際には、負圧発生力の高い(スポンジでいえば圧縮率の高い)負圧発生部材を使用することが有効となる。したがって、インク収容部の容積割合を増加するに伴って負圧発生部材の負圧発生力を増加させることを注意すれば、負圧発生部材の収納室の容積とインクのみの収容室の容積の比は、1:1以上1:3以下の範囲内が実用上の最適範囲として挙げることができる。
フィルター11の形状、寸法、目の荒さは、インクジェット記録装置の種類によって任意に設定できるが、インクカートリッジからのごみの混入を防止し記録ヘッドのノズルを詰まらせないためにもオリフィスの径よりも小さい目の荒さにすることが好ましい。
本発明に使用する交換型インクカートリッジへの初期インク充填量は、インクカートリッジ内容積を限度として任意であるが、交換型インクカートリッジ開封直後の負圧を維持するためにインク収容部へは容積限度迄充填してもよいが、負圧発生部材部へのインク充填量は負圧発生部材のインク保持力の限界以下で設定することが好ましい。尚、ここでインク保持力とは、負圧発生部材にインクを含浸させた際の部材単独でインクを保持できる能力をさすものである。
密閉系のインク収容部を持つインクカートリッジにおいては、インクジェット記録装置内に装填された状態での外部環境変化(温度上昇、或は気圧低下)に対しては、インク収容部の空気膨張により(インクの膨張もある)インク収容部に残存しているインクをインクカートリッジ外へ押し出し、インク漏れ発生の可能性がある。しかしながら、本発明に使用する交換型インクカートリッジにおいては、最悪想定される環境状態に応じた密閉系インク収容部の空気膨張体積(僅かではあるがインク膨張分も含む)を予想し、それにともなうインク収容部からのインク移動量分を負圧発生部材収容部にあらかじめ持たせることが好ましい。この際、ジョイント開口部以外に大気連通孔を負圧発生部材収容部側に設けることは図10(c)(d)に示すように、インク収容室内の空気の膨張によってインク室内から負圧発生部材内に移動したインクを大気連通側へ案内することができるので、非常に有効である。尚、大気連通孔の設置位置は、負圧発生部材収容部側のジョイント開口部より上部ならば特に指定はないが、環境変化時の負圧発生部材中のインクの流れをジョイント開口部から離すために、ジョイント開口部から遠い位置にあるのが好ましい。また、大気連通孔の数及び形状、大きさなどはインクの蒸発を考慮して任意に設定することができる。
インクカートリッジ単独の物流時においては、ジョイント開口部及び又は、大気連通孔をシール材などで密閉してインクの蒸発やインクカートリッジ内の空気膨張に備えることが好ましい。シール材としては、包装分野においてバリヤー材と称される単体層のバリヤー及び数層のプラスチックフィルムの複合化及びこれらと紙、布などの補強材またアルミニウム箔などを複合化した複合化バリヤー材を使用することが好ましい。インクカートリッジ本体材質と同様な材質をバリヤー材の接着層とし、熱などで溶着することによって密閉性を上げることがより好ましい。
また、インクカートリッジからのインクの蒸発或は外部大気からの空気の流入を抑制するためには、インクカートリッジを挿入後は包材内の空気を脱気してから密閉する包装形態をとれば効果的である。包材としては、気体透過度及び液体透過度を考慮し、上記シール材同様バリヤー材から選択することが好ましい。
上述のような包装形態を選択することによってインクカートリッジ単独の物流は、インク洩れなどもなく非常に信頼性の高いものとなる。
インクカートリッジ本体材料は従来成形品に用いられるいかなる材料であってもよいが、インクジェット用インクへの影響がないような材料或は影響がないように処理された部材から選択する必要がある。また、インクカートリッジの生産性を考慮することも必要となる。例えば、図1,図11に示すインクカートリッジ本体をインクカートリッジ底部11部分とその上部部分とに分割して樹脂材料にてそれぞれを一体成形し、負圧発生部材を挿入後、インクカートリッジ底部11部分とその上部部分を溶着してインクカートリッジ本体を製造することができる。樹脂材料に透明或は半透明なものを選択すればインク収容部のインクはインクカートリッジ外部から視認することができるのでインクカートリッジの取り替え時期を目視にて判断することができる。また、上記シール材などの溶着を容易にするために図のような凸部を設けることが好ましい。更に、インクカートリッジ本体外面にシボなどの加工を施すこともデザイン上好ましい。
インクの初期充填には加圧法及び減圧法いずれもが使用できる。尚、インクの充填にタンク本体のいずれかにインク充填口21を設けることは他のインクカートリッジ開口部を汚すことがないので好ましい。インク充填後のインク充填口21は、プラスチック或は金属材料にて栓22することが好ましい。
交換型インクカートリッジの構成は及び形状は本発明の範囲から逸脱することなく各種の変形を行うことができる。
以上の説明のように、本発明に使用する交換型インクカートリッジは、単独の物流時にも高い信頼性を維持し、簡易な構造でインクの残量検知可能なインク使用効率の高い交換型インクカートリッジとなる。
また、記録時及び非記録時においても適度の負圧を使用初期から使用終了までの間維持して高速記録に対応し、インクジェット記録装置の使用環境条件においてもインク漏れの無い交換型インクカートリッジとなる。
更に、交換型インクカートリッジの取り扱い性が良好で、インクジェット記録装置への脱着時においてもインク漏れなどがなく、インクジェット記録装置への装着誤動作のない交換型インクカートリッジとなる。
上述した、本発明に使用する充填用インクが充填されるか或は、充填されているインクジェット用カートリッジは、上述した構成による各構成の利点があるものである。本発明は、これらの利点を、一層確実にして、効果を発揮できる条件の許容範囲を広げたり、新たなインク漏れの現象(上記カートリッジに初期充填する際や再充填を行う際において見られ、インク収納室内においては問題のないインクが、負圧発生部材を収納する収納室内に至ると、負圧発生部材内部に一時的に保持されるものよりも、負圧発生部材とカートリッジ内壁との間を進行して大気連通口やインク供給口等の開口部或は、シールされている領域を破って漏れる傾向が大となることが原因と考えられるものや、衝撃によるもの)を防止するために、上記インクジェット用カートリッジに初期充填されるか或は再充填される充填インク及び充填されているインクは、表面張力が20dyn/cm以上55dyn/cm以下であることが好ましい。これによって、上記説明した構成に対して、この新たなインク漏れの現象を解決するばかりでなく、上記構成自体の作用を気液界面の滑らかさを向上でき、全体的に変動する度合いを最小化することができる等の作用によって、一層安定化できるものである。
図11は、本発明に使用するカートリッジとしてのインクタンク製造方法を示すもので、後述する仕切り板61と仕切り壁5を介して2つの収納室用凹部をなす壁部とを備えたカートリッジ本体(断面斜線:左斜め下向)に対して、負圧発生部材としての吸収体3を開口部2側の凹部内に挿入した後、蓋部材としての底部材11で一体化処理した構成を示している。この図11ではさらに、インクタンク1に記録ヘッドHDを装着した状態を示す一部破断概略図である。インクタンクは、仕切り壁5によって2つの部屋に区切られた容器に対してインクタンクの底部を構成する平板の底部材11で蓋をすることで構成される。このように蓋をするという簡単な構成で容器の仕切り壁5の先端との同じ微少連通路8を形成できる。尚、大気連通部10は、上記開口部2が設けられた面と同一面で、上方部位に位置している。
一方、ヘッドは、供給管としてのジョイント部7がインクタンクの開口部に挿入されてとりつけられ、ジョイント部7は図中上方部分が下方部より前方に出た斜め構造をしている。そして、さらにジョイント内部のインク流路は上方に向って開いたホーン構造をしている。このような構造とすることで、吸収体からのインクを良好にヘッド側に導入することができる。
インクジェット記録装置は、ノズル73の吐出口71からインクの吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段としての発熱素子72を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッドHDを有する記録装置で、上記インク供給性の安定化効果によって、一層、特にカラー記録にとって、記録高密度化、高精細化が達成できる。
以上説明したように、本発明に使用する交換型インクカートリッジは、単独の物流時にも高い信頼性を維持し、簡易な構造でインクの残量検知可能なインク使用効率の高い交換型インクカートリッジとなる。
また、記録時及び非記録時においても適度の負圧を使用初期から使用終了までの間維持して高速記録に対応し、インクジェット記録装置の使用環境条件においてもインク漏れのない交換型インクカートリッジとなる。
更に、交換型インクカートリッジの取り扱い性が良好で、インクジェット記録装置への着脱時においてもインク漏れなどがなく、インクジェット記録装置への装着誤差動作のない交換型インクカートリッジとなる。
補足して、インクカートリッジの製造方法について説明する。上述した吸収体を内蔵した負圧発生部材収納室と微小連通部としての連通部8を有するが、気体と液体の交換によって初めてインクを放出する意味での実質的な密閉構造のインク収納室とが一体成形化されると、蓋部材11のインク収納室側の開口21からインクが充填される。これにより、インク収納室内にインクが充填されると、負圧発生部材4自体にも微小連通部からインクが与えられかなりの範囲にインクが与えられる。
ここで、大気連通部近傍の負圧発生部材は、インクが与えられず、インクを保持しない領域として存在させる。この後、開口21は、ボール22でシールされ開口部2と大気連通部10は、同一のシール部材S(異なっていても良い)でシールされる。
この状態の使用前インクジェット用カートリッジを示したものが、図12に示されている。この図でインク収納室6内には、インクが充填されているものとする。
図12は、この密閉状態のインクジェット用カートリッジ1を示すと共に、これを使用するプリンタの概略図を示している。このインクジェット用カートリッジ1には、大気連通部10の近傍に位置する負圧発生体領域3Aが、インクを保持していない領域としてカートリッジ上方角部に設けられている。該領域3Aの下方に位置する負圧発生体領域3Bは、インク供給管(不図示)の挿入により圧縮変形される圧縮可能領域である。これらの領域3A,3B以外の負圧発生体は、他の外的影響がなく充填されたインクを保持する。無論、領域3Bは、大気連通部10の下方で同一面に設けられているインク供給管装着用の開口部2に対向する領域である。また、開口部2は、微小連通部8よりも上方に位置しており、本発明の上述した特徴構成の夫々をすべて有している。
図12のカートリッジ1は、前述したシール部材Sを除去することで、使用可能になるが、上記領域3Aがインクを保持していないために、シール除去時の振動や圧力変化があってもインクを漏らすことがない。
本実施例は、インクカートリッジの保存状態や使用状態に関わらず、従来の技術水準を一掃する技術観点として、負圧発生部材の該大気連通部近傍領域をインクを保持していない領域とすることで、環境条件の変動に対して、インクカートリッジ内のインクが大気連通部から漏れることを防止できる。特に、シール部材が大気連通部を密閉している場合に対しては、シール部材のはがれ防止効果もある。また、使用状態にあっては、この領域は、大気がカートリッジ内に必要に応じた量が効率よく供給でき、インクジェットカートリッジ内の負圧変化を抑制する効果もある。この大気連通部近傍領域は、全くインクによる濡れがないものであると、インク自体の浸透速度をより減速させることができるので好ましいが、インクにより予め濡らした後にそのインクを除去した領域としても良い。
また、本実施例は、上記微小連通部を形成する仕切り壁に対向する側に、インク供給用開口或は、供給管による負圧発生体の圧縮(又は圧縮可能)領域を存在させる構成とすることで、第2収納室のインクが負圧発生体内に安定した実質的なインク供給路を確保でき、これをより安定させる構成として、インクカートリッジの下面に関して上記インク供給用開口が上記微小連通部よりも上方に位置させることを挙げることができる。この配置関係の作用は、実質的なインク移動方向を一定化でき、第2収納室のインクがすべて消費でき、この消費後は、第2収納室内の空気が対向する開口側に移動するように介在することで、結果的に、負圧発生体内のインクを消費可能にして、残存インクを減少できることにある。
特に、上記微小連通部を形成する仕切り壁からこの壁に対向する側に向かって、負圧発生体の供給管によって圧縮されない領域、負圧発生体の供給管によって圧縮される領域を、この順に有することで、圧縮されない領域には前述した1方向のインク供給路が形成でき同様の効果が得られ、更に圧縮領域のインク確保能力によって一層インク残量を減少できる。
本実施例のインクジェットプリンタは、上記カートリッジ1を装着したことに応じて、自動的或は手動的にカートリッジ内からのインク排出をヘッドを介して吸引手段による吸引或は吐出によって実行するヘッド回復手段HRを有している。これにより負圧発生体内のインク状態をプリント前に修正できるので、カートリッジの放置状態に左右されずに、カートリッジ本来の上記機能を利用することができる。
図12で、走査型のキャリッジCRに保持されたインクジェットヘッドHBに対して装着されるタンク1は、先に説明した図12のカートリッジ1のシールテープを除いたものである。キャリッジ上に装着されたタンク1はヘッドのインク供給管が上記開口部2を通って、負圧発生部材3の圧縮可能領域3Bを圧縮変形させる。本例では、負圧発生部材3を微小連通部8側へ変形させる。この時、タンクの着脱検知手段(機械的又は電気的な公知の検知手段によって代用されるので不図示とした)によって装着信号LPがプリンタ制御手段CCに入力される。これに応じて、記録開始前にヘッド回復手段HRが作動してタンク1内のインクを排出して、タンク内インクの状態を改善する。
図13(A)は、図12のインクジェットカートリッジのインク収納室の内面を変更し、その容量分だけ上方に凸の空間形状22としたものである。この内面20は、微小連通口8から遠ざかる程上昇している曲面となっている。内面20の構造は、インクの表面張力による微小残滴も負圧発生部材3側へ供給すると共に、上方に突出した部分21が操作者にとっての挟持部になり、操作時に生じるタンクの変形を防止する。図13(B)は、同等の容量タンクを、インク収納室が大で負圧発生部3収納室側を小にするための仕切り壁51の斜め配置を示す。
図13(C)は、先の製造方法で示した、仕切り壁5に対して間隙8を形成する蓋部材11を、カートリッジ本体の側板101,100の間に挿入して固定する例である。SEは蓋部材11の端部を示している。この図13(C)の場合、接着固定にバラツキが生じると、間隙8の距離SPは一定化しない。そのため、図13(D)のように、仕切り壁の端部SEに接するスペーサ110を両側に位置させることも好ましい。スペーサ110は、蓋部材11に設けることが良い。さらに、間隙8の距離SP内に位置する凸部30を蓋部材に設けることで、インク収納部内への空気の回収性を高めるようにしても良い。
図14(A),(B)は、それぞれ本発明に使用するインクカートリッジの実施例のプリント或いはインク供給状態の可能な状態傾斜範囲を示すもので、図中の40は水平面を示している。本発明にとってより好ましい状態は、微小連通部が下方側に位置していることで、理想的には水平面40に対してカートリッジ下面で平行となることが良い。しかし、実用上は、本例の如く、2室構成の場合、(A),(B)の図の如き角度θは夫々0≦θ≦15度の範囲まで使用上の不都合がない。走査型キャリッジ上に載置して移動させる場合は0≦θ≦5度の範囲が好ましい。
上述した本発明の実施例の負圧発生部材は、複数の部材構成でも良いが、互いの間の界面(部材間界面)が生じると大気の移動がそこに生じるため不都合が生じ易い場合があるので、より好ましくは、負圧発生部材は単一の多孔質体であることが良い。
又、インク収容室は、相対的に負圧発生部材収納室よりもインクを多量に含むものであれば、実質的にインクを収納する室として含めることもできる。
ここで、先の実施例でも開示されているインク収納室内の仕切り板61について説明すると共に、ユーザーが手で握ったときの荷重や、物流中の環境条件でカートリッジの外壁面が変形して、インクジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが漏れたり、カートリッジの一部に設けられているカートリッジ内の圧力を大気と同じにする大気連通口からインクが漏れるといった問題を解決できる実施例について説明する。
以下の例は、上記各種のインクタンクタンク形態における技術課題を解消するためになされたもので、ハンドリング時や搬送中の外力、そして温度や気圧等環境変化によるインク漏れが発生することはなく、しかもインク使用効率の高いインクジェット記録用インクカートリッジである。
図15(A)は、側壁面を省いて示した本発明に使用するインクカートリッジの一実施例の斜視断面図、図5(B)は同実施例の横断面図、図16は同実施例のインク供給動作の説明図、図17は同実施例の側壁に荷重が掛かったときの側壁の歪みを説明する断面図である。
図15(A),(B)に示すように、インクカートリッジ本体1は、インクジェット記録ヘッドと連結するための開口部2および開口部2より上方に設けた大気を取り入れる大気連通部10を有し記録用のインクを吸収保持する負圧発生部材3を収容した負圧発生部材収容部4と、負圧発生部材収容部4にリブ5を介して隣接しインクを収容するインク収容部6とからなっている。なおインク収容部6と負圧発生部材収容部4とはリブ5と底面の間に設けた隙間部8で連通し、インク収容部6には仕切り板61が前記隙間8以上の隙間を下部に残して両側に側壁を連結している。
図16(a)は、インクジェット記録ヘッドへインクを供給するジョイント部材7を実施例のインクカートリッジ本体1の開口部2に挿入して負圧発生部材3に圧接し、インクジェット記録装置が稼動可能になった状態を示す模式断面図である。なおジョイント部材7の端部開口部にはインクカートリッジ内のゴミを排除するためにフィルターが設置されていることもある。
インクジェット記録装置が稼動するとインクジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが吐出され、インクタンクにインク吸引力が発生する。インク9はこの吸引力によりインク収容部6からリブ5の端部とインクカートリッジ底部11との隙間部8を通り負圧発生部材収容部4へ、そして負圧発生部材3を通ってジョイント部材7内に引き込まれインクジェット記録ヘッドへ供給される。これにより隙間部8以外は密閉しているインク収容部6の内部の圧力が低下し、インク収容部6と負圧発生部材収容部4との間に圧力差を生ずる。記録が継続すると、その圧力差は上昇を続けるが、負圧発生部材収容部4は大気連通孔10により大気に開放されているため、図16(b)に示すように空気は負圧発生部材3を通ってリブ5とインクカートリッジ底部11との隙間部8からインク収容部6に入る。この時点で、インク収容部6と負圧発生部材収容部4との間の圧力差が解消される。インクジェット記録中はこの動作が繰り返され、ある一定の負圧がインクカートリッジ内に得られる。また、インク収容部6内のインクは、インク収容部6内の壁面に付着するインク以外は、ほぼ全て使用できるためインク使用効率が向上する(図16(c))。
非記録時は、負圧発生部材3自身の毛細管力(あるいはインク−負圧発生部材界面でのメニスカス力)などが発揮され、インクジェット記録ヘッドからインクが漏れることを抑制する。
上記の機能から、ジョイントするインクジェット記録ヘッドに応じた負圧発生部材3の選択および負圧発生部材収容部4とインク収容部6の容積割合により、他の実施例として図18の断面図に示すように、インク収容部6に複数の仕切板61を備えた構成とすることもできる。
以下、側壁の強度向上対策として効果がある構成について説明する。
インクカートリッジにおいて、ハンドリンク時の外力や、物流中の環境変化に耐え、そしてインクの使用効率を高めた構造を採ることが重要である。
実施例では、負圧発生部材収容部4およびインク収容部6の各側壁12a,12b,12cの外力に対する変位量を同等にするように構成してある。
例えば、カートリッジ材質は通常プラスチックモールドであるが、図15(B)および図17に示すように、負圧発生部材収容部4の側壁面12aの厚さをインク収容部6の側壁面12b,12cの厚さよりも厚くするとともに、インク収容部6の容積を等分割するような位置に、下部に隙間を残して両側壁内面間に前記仕切板(リブ)61を配設し、単位面積当たり同等な荷重に対する壁面の変形量Δt6を小さくし、しかも61の両側の側壁面12b,12cの変化が同等となるようにする。また、負圧発生部材収容部4の変形量Δt4ともほぼ同等にすることによって壁面に変形によるインクの漏れを防止する目的が達成される。
図15(B),図17に示す実施例のインクカートリッジにおいて、材質はポリプロピレン(PP)、外径寸法は長さ48m/m×高さ35m×厚さ11m/mの場合、長さ48m/mのほぼ中央で、負圧発生部材収容部4の側壁面12aの熱さを1.5mm、インク収容部6の側壁面12b,12cの熱さを1mm、インク収容部6のリブ61を各壁面より約10mmの位置に配設することにより、ハンドリング時の荷重(約2Kg)に対して、2倍以上のマージンを確保した構造を得ることができた。また、同時に、物流中の気圧変化や、温度変化に対しても、十分な強度を得ることが可能となった。
上記本発明に使用するインクカートリッジの実施例では、タンクのサイズの関係からインク収容部6のリブ61は、1カ所であるが、1カ所に限定するものでなく、インクカートリッジのサイズに合わせ、図18に示すようにリブ61を2カ所に設ける等、リブの本数,位置,壁面の厚さを変えることによって対応することができる。
図20は、負圧発生部材収容部4の壁面厚さと、インク収容部6の壁面厚さを決定するために調査した各壁面の厚さと、ハンドリング及び物流環境でのインク漏れの関係を示すデータである。
各壁面とも厚さを増せば、インクもれに対し強度は増すが、目的である小型化と高いインク使用効率を満足するためには、少しでも壁を薄くして、その分だけ内容積を増やす必要があり、図20に示すデータから、負圧発生部材収容部4の側壁面厚さ1.5mm、インク収容部6の側壁厚さ1.0mmを採用した。
インクカートリッジの大きさにより、上記寸法は図20を参照して決定でき、負圧発生部材収容部4の外壁肉厚をインク収容部6の外壁肉圧の1.2倍ないし3倍の範囲内で構成することが好ましい。
図33は、交換インクタンクと記録ヘッドとを十分に結合させた上で交換インクタンクを付勢することで、キャリッジと記録ヘッドと位置決めを簡単な構成で確実に行うとともに、記録ヘッドと交換インクタンクとを本体外で簡単に結合した上でキャリッジに装着するようにしたので交換操作を容易にすることかできるものを挙げた。また、キャリッジ(記録装置置本体)と記録ヘッドとの電気的接続も同時に行うように構成したので、記録ヘッド・交換インクタンクの交換時の操作性も良好であるが、電気的接続を別途コネクタ接続方式などにして、記録ヘッドの位置決めと交換インクタンクとの結合をより確実なものとするための構成自由度を高くするのも良い。
ここで、図33におけるインクジェット記録装置における記録ヘッドの配置及び動作を説明する。図33で、記録媒体Pをプランテンローラ5000を用いて水平方向に案内し、紙押さえ板5002でキャリッジ移動方向にわたってプランテン5000に対して押圧する。キャリッジHCは、キャリッジ移動ピンをそのらせん溝5004にはめ込んで、それ自身が回転することで駆動源として動作するリードスクリュー5005とリードスクリューに平行に配置されたスライダ5003とに支持係合されてプランテンローラ5000上に案内された記録媒体Pの記録面に沿って前後に往復動する。リードスクリュー5005は駆動伝達ギアを介して駆動モータの正逆回転に連動して回転駆動制御される。
画像記録信号は、記録ヘッドを搭載するキャリッジの移動にタイミングを計って記録ヘッドに送られ、所定の位置でインク滴を吐出させて記録を行う。
本発明に使用するインクタンク及びインクは、特に、図33に示すように、縦置き印字姿勢において特に有効である。縦置き印字姿勢では記録ヘッド2010の下面に記録媒体Pを対向させて記録走査を行うように構成されており、プラテンローラ5000に巻きつけずに記録媒体Pをほぼ同一平面内に給紙・印字・排紙を行うことが可能であるのではがきやOHP用紙などの厚手の剛性の高い記録媒体にも印字することができる。縦置き印字姿勢では記録媒体Pに対向する記録ヘッド2010の吐出部よりも交換インクタンク2001の方が上部に配置されるので、その分のインクの水頭圧を支えたうえで吐出部におけるインク内圧を若干の正圧、好ましくは若干の負圧に維持して吐出部のインクのメニスカスを安定化することが必要となる。
尚、図33の記録装置は下述する各実施例において適用できるものである。
図21は、本発明に使用する他の実施例のインクジェット用インクカートリッジ本体の縦断面図、図22は同横断面図、図23はリブの表面を示す断面図である。
インクジェット用インクカートリッジ本体1001には、インク収容部1006と負圧発生部材収容部1004との隔壁であるリブ1005の一部に大気導入溝1031と負圧発生部材調整室1032とが形成してある。
大気導入溝1031は、リブ1005の中間部分からリブ1005の端部、即ちインクカートリッジ底部1011との間隙部1008まで、負圧発生部材収容部1004側に形成されている。そしてリブ1005の大気導入溝1031の近辺に接する負圧発生部材1003との間に、えぐられたような形状の負圧発生部材調整室1032が形成されている。
負圧発生部材1003は負圧発生部材収容部1004の内面に当接されることから、例えば負圧発生部材1003が不均一に挿入されていたとしても図21及び図22に示すように、負圧発生部材1003の当接(圧縮)力が部分的に緩和されることになる。このため、ヘッドからインクを消費し始めると、負圧発生部材1003に含浸されているインクが消費され負圧発生部材調整室1032まで達する。その後もインクが消費し続けると負圧発生部材調整室1032により負圧発生部材1003の当接力が緩和されている部分から大気がインクメニスカスを破りやすくなっており、速やかに大気導入溝1031に大気が導入され負圧のコントロールが容易になる。
本実施例は、特に負圧発生部材1003として弾性のある多孔質体を使用することが望ましい。
非記録時は、負圧発生部材1003自身の毛細管力(あるいはインク−負圧発生部材海面でのメニスカス力)などが発揮され、インクジェット記録ヘッドからインクが漏れることを抑制する。
比較例として負圧発生部材調整室がないインクカートリッジの一例を図29〜図31に示す。
図示の比較例のインクカートリッジの構成であっても前記の動作原理に基づき、理想的な状態であれば何ら問題なく動作する。説明するまでもなく大気導入溝がない場合よりも安定した動作をする。
しかしながら、工業的により安定した動作を実現するために、あるいは負圧発生部材として連通孔を有する樹脂多孔質体を使用する場合にはより安定した制御が必要となる。
図32の拡大断面図に示すように、負圧発生部材1003がリブ1005に当接して大気導入溝1031に食い込む状態となる。これにより当接部Aでは負圧発生部材1003の圧接力(圧縮力)が緩和されず、大気がその部分のインクメニスカスを破って大気導入溝1031に入りずらくなる。このことによりインクが消費され続けても気液交換が行われず、大気導入溝1031の効果が発揮できず、インク吸収部1006のインクが使われることなく動作不能となる懸念がある。
比較例と異なり、実施例は前記説明の通り、優れた効果を発揮する構成となっている。
図24は他の実施例に備えたリブ1005の異なる断面形状2種類を示す縦断面図であり、図25はリブの断面形状を示す拡大横断面図である。
図示のように大気導入溝1031と負圧発生部材調整室1032の形状が、前記実施例と異なっている。
即ち、負圧発生部材1003に当接するリブ1005の段差部分を、より圧接・圧縮緩和の効果が発揮できるように面取りR付けが実施してある。
この面取りR付けが施された負圧発生部材収納部1004側のリブ1005の近傍において空気が負圧発生部材1003に含浸されているインク中に取り込まれる。そして取り込まれた空気はインク収容部1006へ移動する。この空気の移動に伴ってインク収容部1006のインクは負圧発生部材収容部1004へ供給される。そして空気が負圧発生部材1003に含浸されているインクに取り込まれる領域が気液交換領域となる。
上述した気液交換をよりスムーズに行うためには気液交換領域上側より気液交換領域下側において負圧発生部材収容部1004に対する負圧発生部材1003の当接力を緩和することが好ましい。これは当接力が緩和される負圧発生部材1003の毛細管内を空気がよりスムーズに気相からインク相へ移動できるからである。
例えば図26〜図28に示すようなリブ1005の中央部(大気導入溝の端部)に部分的な負圧発生部材調整室1032を形成する構成によって効果発揮することも可能である。
なお、実施例の負圧発生部材調整室1032と同等の機能を持たせるために、負圧発生部材1003の形状を変えて対応することも可能であり、上記要件を満たしていればいかなる形状,寸法であってもよい。
以上説明してきたように、本発明では、インク供給時にインク収容部中のインクと大気とが、安定かつ、すみやかに気液交換されることが可能となり、その結果、インク供給部における内圧を安定して制御することが可能となり、記録ヘッドにおける吐出安定性の良い、しかも、高速印字が可能となった。
また、外部環境の変化に対する、インクタンク内の圧力変化に対しても、インク漏れが発生することのない、インクタンクを提供することが可能となった。
他の本実施例のインクタンク2001は、内面を2つのインク室(a,b)に仕切るとともに底部で連通させ、インク供給部のインク室aに毛細管力を調整したインク吸収体2002をほぼ隙間なく詰め込むとともに大気連通部2003を設けた吸収体併用区分インク室方式である。
図34は圧縮吸収体のバッファ吸収体としての機能を説明するもので、図10の状態から大気圧の減圧ないしは気温の上昇などによるインク室b2006内の空気の膨張などでインク室b2006のインクがインク室a2004の方へ流出した様子を示している。本実施例ではインク室a2004に流出したインクは圧縮吸収体2003で保持されるようにしている。圧縮吸収体のインク吸収量とインク室との関係については、前述の減圧ないしは温度変化時のインクの漏れを防止するという観点から、インク室b2006からの最悪条件下でのインク流出量と、インク室b2006からのインク供給時にインク室a2004に保持させるインク量とを考慮してインク室a2004の最大インク吸収量を決め、少なくともその分の圧縮吸収体を収納するだけの容積をインク室aに持たせれば良い。
逆に、大気圧が上昇すると、インク室b2006の上部のインク水頭圧分だけ元々減圧されている空気と上昇した大気圧との差が大きくなり過ぎるのでインクないしは大気をインク室b2006に引き込んで所定の圧力差に戻ろうとするが、そうした場合には、インク室b2006からのインク供給時と同様に、インク室壁2005下端部近傍の圧縮インク吸収体2003のメニスカスが破断して主に空気がインク室b2006に導入されて圧力平衡となるので、インク供給部のインク内圧はほとんど変化せず、記録特性に対する影響はほとんどない。上記の例で大気圧が元に戻った場合はインク室b2006に導入された空気の分だけインク室b2006からインク室a2004にインクが流出するので、前記例と同様にインク室a2004のインク量が一時的に増加して気液界面が上昇するので、使用初期と同様にインク内圧の安定期より一時的にやや正側の内圧になるが記録ヘッドの吐出特性への影響は小さく実使用上の問題はない。上記の問題は、例えば高地の減圧下で使用されていた記録装置を標準大気圧の低地に移動して使用する場合などに生ずるが、その場合でもインク室b2006への空気導入が生ずるだけで、また、再び高地へ移動して使用する際にややインク供給部のインク内圧が若干上昇するだけであり、さらに、標準大気圧よりも著しく高い状態での使用はあまり考えられないので、上述のごとく実使用上大きな問題とはならない。
また、インクタンク使用初期から交換直前まで、インク室a2004の圧縮インク吸収体2003によってインク室a2004内のインクは確実に保持されており、また、インク室b2006は閉塞されているので開口部(大気連通部及びインク供給部)からのインクの漏出はなく、取り扱い性に優れる。
次に、本発明に使用するインクカートリッジの吸収体併用区分インク室方式における圧縮インク吸収体及びインク室構成の必要条件について詳細に説明する。
まずインク室の構成としては、圧縮インク吸収体2003のインク吸収容量とインク室の容積との関係については、前述の減圧時ないしは温度変化時のインクの漏出を防止するという観点から、インク室b2006からの最悪条件下でのインク漏出量とインク室b2006からのインク供給時にインク室a2004に保持させるインク量とを考慮してインク室a2004の最大インク吸収容量を決めて、圧縮インク吸収体2003のインク吸収率を考慮して少なくともその分の圧縮インク吸収体2003を収納するだけの容積をインク室a2004に持たせれば良い。
次にインク室壁2005下端部に形成されるインク室間の連通部の大きさは、上部が閉塞されているインク室b2006内のインクが連通部でメニスカスを形成できない程度の大きさ以上であることが第1条件であり、さらにインク供給部からの最大インク供給速度(記録装置本体での吸引時やベタ印字時のインク供給速度)に応じて、インクの粘度などの特性を考慮して円滑な気液交換がなされるだけの開口を持たせれば良い。ただし、前述のごとくインク室b2006の残余インクのインク上面がインク室壁2005下端部よりも下がった場合は、インク供給部のインク内圧がその分一時的に正方向に変化するので、その際の記録ヘッドのインク吐出特性への影響が少なくなるように設定すれば良い。
インクタンクの動作説明で述べたように、本吸収体併用区分インク室方式では、インク室壁近傍の圧縮インク吸収体2003でインク供給部のインク内圧を保持しているので、インク室b2006からのインク供給時に所望の内圧を維持するためには、インク室壁2005下端部近傍の圧縮インク吸収体2003の毛細管力の調整が必要である。すなわち、インク室壁2005下端部近傍の圧縮インク吸収体2003の毛細管力は記録時に必要なインク内圧を発生できるように圧縮率ないしは初期ポアサイズを設定すれば良い。例えば、インク供給部で必要とされるインク内圧がマイナスh(mmaq)、インク室壁2005下端部近傍の圧縮インク吸収体2003はインクhmm引き上げられる毛細管力を有していれば良く、圧縮インク吸収体2003の構成を簡略化して考えれば、インクの密度をρ、インクの表面張力をγ、インク吸収体とインクの接触角をθ、重力加速度をgとすれば、圧縮インク吸収体2003の細孔部半径P1は、
P1=2γcosθ/ρgh
であれば良い。
インク室b2006からインクを供給している間、インク室a2004内でのインクの気液界面がインク供給部で、インク供給部の上端よりも低くなると記録ヘッド側へ大気が供給されるので、インク供給部近傍の気液界面は少なくともインク供給部上端よりも高い位置に維持されていなければならない。すなわち、インク供給部上部の圧縮インク吸収体2003は、インク供給部で必要とされるインク内圧に相当するhmmに加えてインクタンク下面からインク供給部上端よりも高い気液界面設定位置(imm)の高さ、すなわち、(h+i)mmの高さまでインクを引き上げる毛細管力を持たせれば良い。上記と同様に圧縮インク吸収体の構成を簡略化して考えられは、インク供給部上部の圧縮インク吸収体の細孔部半径P2は、
P2=2γcosθ/ρg(h+i)
であれば良い。上式でインク供給部直上の気液界面の高さ(imm)はインク供給部上端よりも高い位置であれば良く、インク室a2004の更に内側の圧縮インク吸収体2003ではインク室壁に向かって徐々に低く気液界面が設定されるように、インクの引き上げ力(毛細管力)を徐々に小さく(同一の吸収体であれば、細孔部半径P3を徐々に大きく)するか(図35)、インク室壁2005近傍のみで圧縮インク吸収体2003の毛細管力を小さくして(図36)、インク室壁2005下端部の毛細管力(同一の吸収体であればP1)につなげれば良い。
インク室b2006からの安定したインク供給がなされている場合の圧縮インク吸収体2003内の気液界面より下側になる部分の圧縮インク吸収体2003の毛細管力は、インクタンクに衝撃や傾斜、あるいは急激な温度変化など特別な外力が作用しなければどのように毛細管力が調整されていても良いが、そうした外力やインク室b2006のインクがすべて消費された後もインク室a2004の残余インクを供給するためには、インク室壁2005下端部の毛細管力(細孔部半径P1)よりもインク供給部に向かって徐々に毛細管力を大きく(細孔部半径P4)なるように設定し、インク供給部の毛細管力を最も大きく(細孔部半径P5)すれば良い(図37)。すなわち、毛細管力の調整は、少なくとも
(インク室壁下端部)<(インク供給部直上部)
であれば良く、更に好ましくは、
(インク室壁下端部)<(インク室中間下部)<(インク室中間上部)
<(インク供給部直上部)<(インク供給部)
であれば良い。
また、同一の圧縮インク吸収体2003を用いて簡略化して考えると細孔部半径は少なくとも、
P1>P2
であれば良く、更に好ましくは、
P1>(P3,P4)>(P2,P5)
であれば良い。P3とP4、P2とP5の関係は圧縮率の分布設定に応じてP3>P4、ないしはP2>P5としても、また、P3=P4、P2=P5としても良い。
図35〜図37に、上述の関係を同一の圧縮インク吸収体2003で圧縮率の調整により実現するための例として、本実施例で好ましい圧縮率分布を示す。A351,A361,A371は気液界面を示し、矢印A352,A362,A372は圧縮インク吸収体の圧縮率が小さい方から大きい方へ変化している様子を示す。
比較例3として、インク供給部側の圧縮インク吸収体2003の毛細管力をインク室壁近傍よりも強くしない場合には、インク室a2004からインクをある程度消費させた状態では、インク室壁2005下端部近傍に気液界面A381が形成され、インク室a2004とインク室b2006との連通部が気相側に位置する。この場合、インク室b2006のインクを供給できず、大気連通部2013から導入された大気A382が直接インク供給部から記録ヘッドへ供給されてしまい、その時点でインクタンクは使用不能となる。
次に本発明者らは上述した各実施例のインクタンクに対して好ましく用いられるインクに求められる物性について検討した。
好ましいインクとは負圧発生部材中における界面A351がインクタンクの振動に対しても安定であり、また環境変化に対して気液界面が安定な挙動を示しことが望ましい。
以下に上述した本発明に使用するインクタンクに好ましく用いられるインクについて説明する。
インクの基本構成としては、少なくとも水と着色剤と水溶性有機溶剤とからなる。
水溶性有機溶剤としては水との相溶性が高く低揮発性、低粘度のもので人体に対する安全性の高いものが望ましいが極少量で用いるのであればこの限りではない。以下具体的に例示する。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、プチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコール類、その他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルスルフォキサイド、シクロヘキサノール等が用いられる、該水溶性有機溶剤の含有量について、特に制限はないが1〜80重量%が好ましい範囲である。本発明に用いられる着色剤としては染料,顔料いずれでも良い。染料としては水溶性の酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料等が好ましく用いられる。該染料の含有量について特に制限はないがインク全量に対して0.1重量%〜20重量%の範囲が好ましい。
更に表面張力調製剤として界面活性剤を含むことが望ましい。該界面活性剤としては脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等の非イオン性界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型両性界面活性剤等が用いられる。
より好ましくは、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物が用いられる。
更に、前記エチレンオキサイド付加物の付加モル数は4〜20の範囲が特に好ましい。
界面活性剤の添加量に特に制限はないが、0.01〜10重量%の範囲が好ましい。表面張力をコントロールする手段としては前記した水溶性有機溶媒でも行えることはいうまでもない。
その他必要に応じて、粘度調整剤、PH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を配合しても構わない。
インクの粘度として1〜20cpが好ましく用いられる。インクの表面張力は20dyne/cm〜55dyne/cmでなければならず、より好ましくは25dyne/cm〜50dyne/cmである。インクの表面張力がこの範囲にある場合には、ヘッドオリフィス部のメニスカスが破れ非印字時にヘッドオリフィス部からインクがあふれるといった現象は生じない。
また、インクのインクカートリッジへの充填量は、インクカートリッジ内容積を限度として任意であるが、インクカートリッジ開封直後の負圧を維持するためにインク収容部への容積限度まで充填してもよいが、負圧発生部材へのインク充填量は負圧発生部材のインク保持力の限界以下で設定することが好ましい。尚、本発明でいうインク保持力とは、負圧発生部材にインクを含浸させた際の部材単位でインクを保持できる能力をさすものである。
次に本実施例の試料及び比較用試料を説明する。
水と水溶性有機溶剤の混合物に染料を攪拌しながら混合し、4時間攪拌した後界面活性剤を所定量加えフィルターに漉過し塵を取り除いた。
その後、図11に示されるインクカートリッジにそれぞれのインクを充填し図12に示した装置を用いて記録を行った。
以下に各インクの処方及び物性、記録結果を示す。
Figure 0003639836
Figure 0003639836
次に代表的な水溶性有機溶剤の20〜30℃の表面張力を示す。
エタノール(22dyne/cm),イソプロパノール(22dyne/cm),シクロヘキサノール(34dyne/cm),グリセリン(63dyne/cm),ジエチレングリコール(49dyne/cm),ジエチレングリコールモノメチルエーテル(35dyne/cm),トリエチレングリコール(35dyne/cm),2−ピロリドン(47dyne/cm),N−メチルピロリドン(41dyne/cm)
これらの溶剤と水を混合して所望の表面張力を得る。
次に界面活性剤を用いてインクの表面張力をコントロールする方法を説明する。
例えば、ソルビタンモノラウリン酸エステルでは水に対して1%の添加で28dyne/cmが得られ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルでは水に対して1%の添加で35dyne/cmが得られる。またアセチレノールEH(アセチレングリコールのEO付加物)では1%以上の添加で28dyne/cmが得られる。更に低表面張力が必要な場合にはフッソ系界面活性剤例えばサーフロンS−145(旭ガラス社製 パーフロロアルキルEO付加物)では水に対して0.1%で17dyne/cmが得られる。但しその他の添加物により多少表面張力は変化するので適宜調整する。
更に上述説明したように最大漏出インク量を考慮してインクバッファの設計を行えば良いと考えられるが、このインクバッファの効果はその容量だけでなくインクの界面における表面張力に大きく左右されることが鋭意検討の結果得られた。
インクジェット記録装置用のインクの中には、界面活性剤を添加したものが提案されている。この種のインクはコピー紙やボンド紙といった普通紙に対しても非常に定着が速く、カラー記録では異なる色のインク記録領域が隣接した場合にでも不当な色の混じり合い(境界にじみ又はブリード)がなく、均一な着色(色ムラが少ない)という特徴をもっている。その一組成例を以下に示す。
Figure 0003639836
この種のインクを用いた場合は図34に示すように大気圧の減圧ないしは気温の上昇などによるインク室b2006内の空気の膨張などでインク室b2006のインクがインク室a2004の方へ押し出された時にはインク室a2004の吸収体2003にインクが吸収されてインクカートリッジ外に漏れ出すということはなかった。
前述したように、インク室b2006からインクが供給されている時のインク室a2004にあるインクの気液界面は、記録ヘッドの吐出部からの水頭圧とインク室b2006内の減圧とその圧縮インク吸収体の毛細管力とが釣りあった高さで維持されている。この時のインク室a2004の気液界面の平均インク高さを仮にHとすると、大気圧の減圧ないしは気温の上昇などによるインク室b2006からのインクの流出があった場合にはインク室a2004の気液界面のインクの高さはさらにh分高く吸収保持できなければならない。
本実施例における一例を示すと、インク室内の全高さ3cmとし、インク室a2004およびb2006の体積を6ccとした。インク室b2006の初期は、6ccすべてインクで満たされている状態にし、インク室a2004には圧縮吸収体2003(ポリウレタンフォーム)を内包させ、初期には4ccのインクを充填させた(インク総量10cc)。吸収体の空隙率は95%以上であり、吸収体の空隙すべてにインクが充填されるとするとインク室a2004には6cc近くのインクが充填可能である。先ずこのインクタンクにおいてはインク室a2004インクからの消費されはじめ、暫くしてインク室b2006のインクが消費されるようになり、インク室a2004の気液界面は記録ヘッドの吐出部からの水頭圧とインク室b2006の減圧とその圧縮インク吸収体の毛細管力とが釣りあった高さで維持される。この時の気液界面の高さは平均的に約1.5cmであったため、ほぼ吸収体の空隙すべてにインクが充填されているとすればインク室a2004のインク量は約3ccとなっていると考えられる。ここで大気圧の最大減圧条件0.7気圧とした場合、インク室b2006の体積の約30%である1.8ccが流出してくる場合があるため、インク室a2004では約3cc+1.8cc(インク液面高さ約2.4cm)吸収保持できなければならない。また、最大減圧条件を0.5気圧とした場合は、インク室b2006の体積の約50%である3ccが流出してくる場合があるためインク室a2004では約3cc+3cc(インク液面高さ約3cm)吸収保持できなければならない。即ち、インク室a2004は吸収体自身の容積とインク室aに元々あるインク量とインク室b2006から流出してくるインク量が最低でも充填可能であることが必要である。したがって、インク室b2006からのインク流出量の見積もりによってインク室a2004の内容積は大きく変化する。
多孔質吸収体のインク保持高さHは、一般に毛細管力の式で表されると考えられ、インクの表面張力をγ,インクとインク吸収体との接触管をθ,インクの密度をρ,重量加速度をg,インク吸収体の平均気孔半径をrとすれば、
H=2γcosθ/ρgr
となる。
これより、インク保持高さHを高くしてより多くのインクが吸収保持できるようにするためには、インクの表面張力を大きくするか、またはインクとインク吸収体の接触角θを小さく(cos θを大きく)すれば良いと考えられる。
インクとインク吸収体との接触角θを小さくするのは、インクが吸収体に非常に漏れ易くするということであり、一般に浸透剤として界面活性剤が使用される。
実施組成aのインクの場合は、界面活性剤が添加されているために表面張力は約30dyn/cmと小さいが、吸収体とインクの漏れ性が良くなり浸透性が非常に良くなったと考えられる。これにより表面張力よりもインクの漏れ性の方を良くする効果があるといえる。
浸透剤としてはエアロゾルOT型、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウムなどのアニオン系の界面活性剤や下記一般式〔1〕で表される高級アルコールのエチレンエキサイド付加物、下記一般式〔2〕で表されるアルキルフェネールのエチレンオキサイド付加物、下記一般式〔3〕で表されるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、下記一般式〔4〕で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などの非イオン性界面活性剤が優れている。
但し、上記アニオン系の界面活性剤は起泡力が大きくて取扱いが不便であるこや境界にじみ(ブリード)や色の均一性やフェザリングなどの画像特性がアニオン系界面活性剤よりも非イオン性界面活性剤の方がより良好であったため、本実施例においては下記一般式に示したような非イオン性界面活性剤を用いた。
ここでnは一般式〔1〕,〔2〕においては6〜14が好ましい、またRは炭素数が5〜26のものが好ましい。一般式〔3〕,〔4〕においてはm+nは6〜14であることが望ましい。
Figure 0003639836
Figure 0003639836
Figure 0003639836
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これまであげたエチレンオキサイド型非イオン界面活性剤の中でもアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物がインク吸収体への吸収性、記録媒体上での画像特性、記録ヘッドからの吐出特性などにおいて非常にバランスが良好であり、好ましい。さらにこの化合物は付加するエチレンエオキサイドの数m+nによって親水性および浸透性がコントロールされる。m+nが6より小さい場合には、浸透性は良好であるが、水溶性が乏しくなりインクへの溶解性が良くない。又、逆にエチレンエオキサイドの付加数が多すぎると親水性が大きくなりすぎて浸透力は小さくなる。m+nが14より大きくなった場合は浸透性は低下し、添加量が多くなるだけで効果的とは言えず、むしろ吐出特性に弊害をもたらす。このようにこの化合物はエチレンオキサイドの付加数が6〜14の間にあることが好ましい。
これらの非イオン性界面活性剤の添加量は0.1〜20重量%であることが好ましい。0.1%以下では画像特性および浸透性が十分ではなく、20%以上ではもはやそれ以上の効果がでず、かえってコスト,インクとして信頼性などに対して不利になってしまうためである。
又、これらの非イオン性界面活性剤はひとつないしは複数組み合わせても良いものとする。
この他、インク成分には一般的に記録剤としての染料、目詰まり防止を目的とした多価アルコール等の低揮発性有機溶剤や、発泡安定性・記録媒体上での定着性を目的としたアルコール類等の有機溶剤が必要に応じて添加される。
実施例のインクを形成する水溶性有機溶媒としては、例えば、ポリエチレングルコール,ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコール,プロピレングリコール,プチレングリコール,トリエチレングリコール,1・2・6−ヘキサントリオール,ヘキシレングリコール,ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールメチルエーテル,ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;メチルアルコール,エチルアルコール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,n−プチルアルコール,sec−プチルアルコール,tert−プチルアルコール,イソプチルアルコール,ベンジンアルコール,シクロヘキサノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン,ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン,2−ピロリトン、1・3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素環状化合物等をあげることができる。これらの水溶性有機溶剤は画像特性や吐出信頼性を悪化させない量で含有することができる。好ましくは多価アルコール類や多価アルコール類のアルキルエーテル類であり、その含有量は、1〜30重量%であることが望ましい。
この時、本実施例で使用されるインク中の純粋の量については50〜90%の間にあることが好ましい。
本実施例に使用する染料は直接染料,酸性染料,塩基性染料,反応性染料,分散染料,建染料等があげられる。これらの染料の含有量は液媒体成分の種類、インクに要求される特性、記録ヘッドの吐出量などに依存して決定されるが、一般的にはインクの全重量に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲とされる。
この他のチオジグリコールや尿素(またはその誘導体)をインク中に添加することにより吐出特性や目づまり(固着)防止効果が飛躍的に向上することがわかった。これらの添加により染料のインク中への溶解性が良化するためと考える。チオジグリコールや尿素(またはその誘導体)の含有量は好ましくは1〜30重量%であり、必要に応じて添加することができる。
本実施例のインクの主成分はこれまでの通りであるが、その他にポリビニルアルコール,セルロース類,水溶性樹脂等の粘度調整剤;ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,緩衝液などのpH調整剤、防カビ剤などを本発明の目的を妨げない範囲において必要に応じて添加することができる。
又、インクを帯電させるタイプのインクジェット記録装置に使用されるインクを調合するためには、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム等の無機塩などの比抵抗調整剤が添加される。
本発明は、特にインクジェット記録装置の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液的を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド記録装置において優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長、収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第431324号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、前述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成としてもよい。
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成とすることもできる。
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
また、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置とすることもできる。
以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、前述のようなワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらに送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであってもよい。
上述した本発明に使用するインクジェット用カートリッジは、上述した構成により各構成の利点があるものである。
本発明は、これらの利点を維持し、インクカートリッジのランニングコスト低減や省資源化を達成するためにインク再充填が第2収納室から実施され、そのインク再充填口を封止部材で封止したことを特徴とするインク再充填インクジェットカートリッジである。以下により詳細に説明する。
図38には本発明に使用するインクカートリッジの一実施形態を示しており、第2収納室内のインクが消費された状態を表している。第2収納室内のインクが消費されたインクカートリッジの第2収納室の一部に従来公知の手段によりインク再充填口21を開口させてある。インクの充填を第2収納室にインク再充填口を開口させることなく第1収納室から実施することも不可能ではないが、本発明に使用するインクカートリッジにおいてはその構成上微少連通部にインクのメニスカスが形成された場合には第2収納室は密閉構造となるためその後に第2収納室に空間が存在していてもそれ以上インクを再注入することはできずに第1収納室の開口部からインクが漏れ出てしまう。よって、本発明は第2収納室に再インク充填口21を設置することが重要となる。尚、インク再充填の時期は、いかなる時期であってもよいが、インク再充填後のインクカートリッジの機能を考慮すれば、第2収納室にインクが残存している間に実施することが好ましい。これは、本発明に使用するインクカートリッジの構成によるものである。また、インク再充填の効率及び第2収納室に残存するインクの漏れをも考慮すれば、第2収納室のインクが消費され尽くされる直前がより好ましい。
図39にインク再充填口を開口した状態の断面図を示す。インク再充填口の設置部は第2収納部であればいかなる位置であってもよいが、インク注入の容易性、再使用時のインク再充填口からのインク漏れを考慮すると図39の31aや31bのようにインクカートリッジの上部にあることが好ましい。またその形状や個数についても特に制限はない。インク9の再充填した状態をインク再充填口を図39の31aに一つ開口した場合を例にとって図40に示す。インクの再充填は、任意の手段により実施できる(例えば注射器のようなものにインクをくみ取り、インク再充填口よりインクを注入する)。その後、第2収納室に開口されたインク再充填口を図41及び図42に示すように封止部材41にて実質上、第2収納室を密閉構造となるように封止する。これによって、本発明のインク再充填は終了するのであるが、本発明にとっての特徴のいま一つは、そのインクカートリッジの再使用時に現れる。即ち、上述したように本発明に使用するインクカートリッジは、使用中に第2収納室はある負圧状態(減圧状態)を維持しており、封止したインク再充填口の別部材をより強固にインクカートリッジに引き付け開口させないように作用していることである。
なお、上記インク再充填口の封止部材は、従来公知のもの例えば、金属,プラスチックや弾性を有するゴムのようなもので栓をすることができる。図44に示すようにインクカートリッジ一体の栓を設けておけばユーザーのインク再充填の手間を省略でき好ましい。また、上述した作用をより発現させるためには粘着性を有する高分子部材(例えば従来公知の接着剤,粘着剤,シーリング剤など)であることが好ましい。
更に、より上述した作用を発現させ、インクカートリッジの再々利用を可能とさせるために図43aに示すように封止部材を粘着剤を有するシート状部材(例えば粘着テープ,シールテープなど)とすることがより好ましい。
更にまた、より上述した作用を発現させ、インクカートリッジの再々利用を可能とさせ、第2収納室の密閉性を補強するために上記インク再充填口の封止を図43bに示すようにインク再充填口の存在する面以外の面にもその封止が及ぶように実施することが好ましい。尚、その封止は、図示した形態にとどまらず、いかなる形態であっても本発明を逸脱するものではないことは言うまでもない。
上述したようにインク再充填口の開口は、従来公知の手段により実施できるが、より簡易な手段を例示しておく、図45に第2収納室のインクが消費されたインクカートリッジと再充填用のインク9を詰めたインク注入ノズルを持ち蛇腹構造体のインク再充填用容器48及びインク再充填口を形成するための治具49を示した。インク再充填口は、図46に示すように第2収納室に形成する。治具(ピン状,ドリル刃状等)を用いて図47a,bのように形成する。図47aは、インク注入ノズル外径より大きな開口を形成した場合の例示であり、図47bは、インク注入ノズル外径と同等かそれより僅かに小さい開口を2箇所に形成した場合の例示である。いずれの場合もインクを再充填する場合にインクを好ましく第2収納室に充填するものである。
本発明に使用する実施例のインク容器の一部を破断して示した模式斜視図である。 図1の模式断面図である。 (a)、(b)、(c)各々は、本発明に使用するインクカートリッジと供給管の結合例の説明図である。 本発明に使用するインクカートリッジのより好ましい条件を説明するための比較例の説明図である。 (a)、(b)、(c)各々は、インク供給部の説明図である。 (a)、(b)、(c)各々は、インク供給部と微小連通部との位置関係を説明する説明図である。 (a)〜(f)各々は、微小連通部の構成説明図である。 (a)〜(h)各々は、仕切り壁の微小連通部側端部の形状説明図である。 (a)〜(f)各々は、仕切り壁近傍の吸収体端部状態の説明図である。 (a)〜(d)各々は、環境変化に対する吸収体内部の状態説明図である。 本発明に使用するインクカートリッジの製造方法とインクジェットヘッドを説明するための概略図である。 本発明に使用するインクジェットカートリッジとそれを用いたインクジェットプリンタの概略説明図である。 (A)〜(D)は、本発明に使用するインクカートリッジの要部変形例を説明する図である。 (A)、(B)は、本発明に使用するインクカートリッジの使用状態の傾斜可能範囲を説明するための断面図である。 (A)、(B)は、本発明に使用するインクカートリッジの最適実施例の形状説明図である。 (a)〜(c)は、各々本発明に使用するインクカートリッジの記録状態における変化を順に示す説明図である。 本発明に使用するインクカートリッジの外壁に対する圧力状態を説明する概念図である。 本発明に使用するインクカートリッジの変形例の断面図である。 (A)、(B)は、本発明に使用するインクカートリッジのカラータンク構成を示す斜視図である。 本発明に使用するインクカートリッジの壁面厚さと外圧変形に伴うインク漏れとの相関関係を示すグラフである。 更に本発明に使用するインクカートリッジのその他の実施例の縦断面図である。 図21のインクカートリッジ本体の縦断面図である。 図21のリブ表面を示すインクカートリッジ本体の断面図である。 他のリブ表面を示すインクカートリッジ本体の断面図である。 他のリブの断面形状を示す拡大横断面図である。 他の実施例の交換型インクカートリッジ本体の縦断面図である。 他の実施例の交換型インクカートリッジ本体の横断面図である。 他のリブ表面を示すインクカートリッジ本体の断面図である。 比較例のインクカートリッジ本体の縦断面図である。 比較例のインクカートリッジ本体の横断面図である。 比較例のリブ表面を示すインクカートリッジ本体の断面図である。 比較例のリブの断面形状を示す拡大横断面図である。 縦置き印字姿勢の説明図である。 インク室aの圧縮インク吸収体の漏洩インクバッファ機能の説明図である。 他の圧縮インク吸収体の圧縮率分布の例。 図35の圧縮インク吸収体の圧縮率分布の異なる例。 図35の圧縮インク吸収体の圧縮分布の異なる例。 本発明に使用するインクカートリッジの使用後の模式断面図である。 本発明に使用するインクカートリッジの第2収納室の開口例を説明するための断面図である。 本発明インクカートリッジのインク再充填を説明するための断面図である。 本発明インクカートリッジのインク再充填後の開封部封止を説明するための断面図である。 図41の模式斜視図である。 (a),(b)は、本発明のインク再充填後の開封部封止を説明するための模式断面図である。 (a),(b)は、本発明のインク再充填後の開封部封止を説明するための模式断面図である。 本発明のインク再充填方法を説明するための模式断面図である。 本発明のインク再充填口の開口を説明するための模式断面図である。 (a),(b)は、本発明のインク再充填口を説明するための模式断面図である。
符号の説明
2 インク供給口
3,1003 負圧発生部材
4,1004 第1収納室(負圧発生部材収容部)
10a 大気連通孔
21 インク再充填口
22 栓
1005 リブ
1006 第2収納室(インク収容部)
1008 隙間部
1013 大気連通部

Claims (8)

  1. インク吸収体が収納されるとともに大気連通部及びインク供給部を有した第1収納室と、連通部のみを介して前記第1収納室に連通し前記第1収納室に供給されるインクを直接収納するための前記連通部を除き密閉された空間を形成する第2収納室とを具えたインク容器であって、
    前記第2収納室に対して外部からインクを供給するためにインクを備えたインク充填器によって、開口されたインク再充填口からインクを再充填した後に前記インク再充填口を封止部材で封止して構成されており、
    前記第1収納室内の前記インク吸収体は、前記連通部とインク供給部とに面した領域を含んだインクを保持しているインク保持領域と、該インク保持領域と前記大気連通部との間にインクを保持していない領域とを有していることを特徴とするインク容器。
  2. 前記開口されたインク再充填口は、前記第2収納室に新たに開口が形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
  3. 前記開口されたインク再充填口は、あらかじめ存在している開口に対して取り付けられている取外し可能な封止部材を取り外すことで形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のインク容器。
  4. 前記封止部材は、金属、プラスチック、弾性を有するゴム、シート体のいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載のインク容器。
  5. インク吸収体が収納されるとともに大気連通部及びインク供給部を有した第1収納室と、連通部のみを介して前記第1収納室に連通し前記第1収納室に供給されるインクを直接収納するための前記連通部を除き密閉された空間を形成する第2収納室とを具えたインクが消費されたインク容器を用意する工程と、
    連通部を除き密閉された空間を形成する前記第2収納室に対して外部からインクを供給するためのインク再充填口を開口させる工程と、
    ンクを備えたインク充填器によって、前記インク再充填口からインクを再充填する工程と、
    前記インクを再充填する工程後に前記インク再充填口を封止部材で封止して、前記第2収納室を外部に対して密閉状態にする工程と、
    を有して構成されており、
    前記第1収納室内の前記インク吸収体には、前記連通部とインク供給部とに面した領域を含んだインクを保持しているインク保持領域と、該インク保持領域と前記大気連通部との間にインクを保持していない領域とがあることを特徴とするインクタンクの製造方法。
  6. 前記インク再充填口を開口させる工程は、前記第2収納室に新たに開口を形成する工程であることを特徴とする請求項5に記載のインクタンクの製造方法。
  7. 前記インク再充填口を開口させる工程は、あらかじめ存在している前記インク再充填口に対して取り付けられている取外し可能な封止部材を取り外す工程であることを特徴とする請求項5に記載のインクタンクの製造方法。
  8. 前記封止部材は、金属、プラスチック、弾性を有するゴム、シート体のいずれかであることを特徴とする請求項5または請求項7のいずれかに記載のインクタンクの製造方法。
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