JP3639754B2 - 油圧装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧ポンプは一定速モータで駆動される。この油圧ポンプによって発生されたポンプ吐出圧力を、負荷側に必要な駆動圧力に対応させてリリーフ弁などで逃がすポンプ制御方式がある。また、油圧ポンプの吐出圧力を所定圧力にするためのコンパレータ弁を設け、ポンプ斜板を揺動させてポンプ吐出量を制御するポンプ制御方式もある。
【0003】
しかし、前者のポンプ制御方式では、リリーフ弁で逃す圧力がそのままエネルギ損失となる上に、油圧ポンプとリリーフ弁間や油圧ポンプと一定速モータと間の伝達効率に起因するエネルギ損失が発生していた。
【0004】
また、後者のポンプ制御方式においても、油圧ポンプと一定速モータとの間の伝達効率に起因するエネルギ損失が発生していた。
【0005】
ところで、近年、地球環境保護の観点から、工場に対する省エネルギに対するニーズの高まりを受け、油圧ポンプを駆動するモータの回転数をインバータにより可変することにより省エネルギを可能にしたインバータ油圧ポンプシステムが提案されている。
【0006】
図13に、上記インバータ油圧ポンプシステムの一例を示す。このシステムは、インバータ101とモータ102を有するインバータ−モータ系を備え、インバータ101によって可変速駆動されるモータ102が油圧ポンプ103を駆動するシステムである。この油圧ポンプ103が吐出する作動油の圧力(または吐出量)は、電気信号に変換されて、油圧制御部105に入力される。この油圧制御部105は、速度制御部106に速度指令信号を出力し、速度制御部106,波形制御部107,速度検出部108でもって、上記作動油の圧力(または吐出量)が所定値となるように電子制御が行われる。
【0007】
次に、上記インバータ油圧ポンプシステムを、具体的に、油圧のアクチュエータとして多用されている旋盤のクランプに適用した場合について、その動作を説明する。旋盤では、クランプは開口(ワークが固定されていない状態)もしくは、閉口(ワークが固定し保持されている状態)し、クランプが静止した状態になっている場合が大半(稼動時間の約9割)である。以下この状態をクランプの保持状態と略称する。
【0008】
ここで、圧力制御部105として、ギアポンプなどの固定吐出容量のものを用いた場合には、油圧ポンプ103で駆動されるアクチュエータ(クランプ)が保持状態になると、圧力を所定値に保持するために必要な油圧ポンプ103の吐出量は、アクチュエータのリーク量のみを補償すればよくなるため減少し、これに対応すべくモータ102は減速制御される。
【0009】
一般に、油圧ポンプには回転に伴って生じる吐出量変動があり、モータには回転に伴って生じるトルクリプルが有る。したがって、モータで油圧ポンプを駆動する場合、油圧ポンプの吐出量変動とモータのトルクリプルに起因して、吐出圧力には脈動が生じている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、油圧ポンプ103は、稼働時間の大半を占める保持状態において、低速運転状態になるので、吐出圧力の脈動の周波数が低くなり、モータのイナーシャや配管の弾性等による脈動の減衰効果が小さくなり、吐出圧力脈動の影響が大きくなるという問題があった。
【0011】
そこで、この発明の目的は、可変速駆動される固定容量ポンプの低速回転域において、油圧ポンプの吐出圧力の脈動を低減できる油圧装置を提供することにある。さらには、吐出圧力の脈動を低減するために生ずる不要な損失を低減し、効率を極大化できる油圧装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
ここで、回転角変化dθにおける油圧ポンプの総吐出量の変化をdqとすると、
τ・dθ=p・dq …(1)
の関係が成り立つ。ここで、pは吐出圧力、τは油に対する仕事に利用されるトルクである。ここで、軸受けなどの摩擦などの損失を無視できるとすると、(1)式から、
τM=(p/ω)・dq/dt + Jdω/dt …(2)
を得る。ここで、ωは、モータの回転角速度、Jは、モータ,シャフトおよび油圧ポンプの慣性モーメントである。
【0013】
固定ポンプ( 固定容量ポンプ )の回転に伴う吐出量の脈動を正弦波に近似し、慣性モーメントによる影響を無視できるとすると、(2)式に基づき、吐出圧力pに脈動が無い場合の各所量の波形を求めると、図14に示すようになる。図14から分かるように、圧力pの脈動を無くするためには、インバータで制御されるモータのトルクを吐出量の脈動に合わすように制御すればよいことがわかる。
【0014】
一般に、インバータで制御されるモータは、一定トルクにする電流指令制御下においても発生するトルクリプルがある。その要因としては大別して、次の(1),(2)がある。
(1) モータの電磁構造に起因するもの。例えば、磁束分布や起磁力分布に生ずる空間高調波によって起こるトルクリプル。
(2) インバータ出力波形との不整合に起因するもの。例えば、120度通電波形に含まれる高調波電流によって起こるトルクリプル。
【0015】
この発明は、従来、油圧ポンプモータにおいて検討がなされていなかった油圧ポンプの吐出量変動やインバータで制御されるモータのトルクリプルに伴い生じる圧力脈動を低減するものであり、更には、前記インバータで制御されるモータのトルクリプルに着目して、圧力脈動低減のために発生する不要な損失(モータおよびインバータの損失)を低減し、システム効率を極大化するものである。
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、固定吐出容量ポンプと、この固定吐出容量ポンプを駆動する可変速モータと、この可変速モータを駆動するインバータを有する油圧装置において、
上記可変速モータのトルクリプルおよび上記固定吐出容量ポンプの吐出量変動に起因して生じる吐出圧力脈動を打ち消すように、上記インバータを制御する制御部を備え、
上記制御部は、
上記固定吐出容量ポンプの吐出圧力を所定値に保持する平均トルクに対応した第1の指令信号を出力する速度制御部と、
上記可変速モータの回転位置を表す位置検出信号と、上記速度制御部からの上記第1の指令信号とに基づいて、上記固定吐出容量ポンプの総吐出量の時間変化 [ m 3 / 秒 ] が正弦波状に増大するのに伴って、上記可変速モータの回転速度 [rad/ 秒 ] を下降させるとともに上記可変速モータのトルク [ Nm ] を上昇させるように、上記インバータ出力を制御する一方、上記固定吐出容量ポンプの総吐出量の時間変化 [ m 3 / 秒 ] が正弦波状に減少するに伴って、上記可変速モータの回転速度 [rad/ 秒 ] を上昇させるとともに上記可変速モータのトルク [ Nm ] を減少させるように、上記インバータ出力を制御するような正弦波状で、かつ、上記固定吐出容量ポンプの吐出圧力脈動を打ち消すための上記可変速モータのトルク波形に対応する第2の指令信号を出力する圧力脈動補償部と、
上記第1の指令信号と上記第2の指令信号との和が入力され、上記可変速モータからの検出信号が、上記和が表す信号に追従するように、上記インバータを制御する波形制御部とを有することを特徴としている。
【0017】
この請求項1の発明では、インバータ制御部でインバータを制御して、可変速モータを駆動し、この可変速モータと固定ポンプとによって生じる脈動を打ち消すことができる。したがって、圧力脈動低減のために発生する不要な損失(モータおよびインバータの損失)を低減し、システム効率を極大化できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0019】
〔第1の参考例〕
図1に、この発明の油圧装置の第1参考例の構成を示す。この第1参考例は、固定容量ポンプ( 固定ポンプという。 )1と、この定容量ポンプ1を駆動する可変速モータとしての4極ブラシレスDCモータ2と、このブラシレスDCモータ2を駆動するインバータ3を備える。このポンプ1は、制御弁5を経由してアクチュエータ6に接続されている。そして、この制御弁5とポンプ1との間の油圧回路の圧力を表す圧力信号が、インバータ3に入力されるようになっている。また、可変速モータ2の回転位置を表す回転位置信号がインバータ3に入力されるようになっている。このインバータ3は、上記圧力信号と回転位置信号とに基づいて、可変速モータとしてのブラシレスDCモ−タ2を制御するようになっている。
【0020】
上記ブラシレスDCモータ2は、図2に示すように、円筒形の回転子21の表面に永久磁石22を貼り付けた表面磁石構造になっており、この回転子21を回転させる回転磁界を起こす固定子23を備えている。
【0021】
このブラシレスDCモータ2は、図3(A)に示す120°通電波形にて駆動されたときに、図3(B)に示す瞬時トルク波形を示す。図3(B)を参照すれば分かるように、このブラシレスDCモータ2は、インバータ3の転流回数に対応して、1回転に12回のトルクリプルが発生していることが分かる。
【0022】
ここで、ブラシレスDCモータ2の最大トルク制御条件は、モータ逆起電圧とモータ電流との基本波位相の関係で定まり、通常はこれをほぼ満足する様に制御が行われている。上記表面磁石構造のブラシレスDCモータ2では、例えば、定格回転数50[rps]、巻線インダクタンス3[mH]の仕様のモータとした場合に、指令電流の大きさと共に変化する(最大トルク条件を満たす)電流位相は、0〜10[A](0〜定格トルク)においては、回転数=10(rps)において、機械角で0〜5°だけ変化する。また、モータトルクリプルτδMは、上記機械角の12倍周期なので、モータトルクリプルτδMの位相は、指令電流の変化に伴って、0〜60°だけ変化する。モータ電流位相の変化に伴い転流によるトルクリプルτδMの位相も同じだけ変化する。
【0023】
この第1参考例では、定容量ポンプ1の圧力を一定に制御する圧力一定制御時において、上記ポンプ1のトルクの脈動トルクτδRの位相が、上記モータトルクリプルτδMの位相変化幅(0〜60°)の内の中心の位相に一致するように、モータ2とポンプ1との間の回転位相を設定して連結した。これにより、指令電流が変化しても、ポンプ1の脈動トルクτδRとモータ2のトルクリプルτδMとの位相差(すなわち理想状態(同相状態)からの位相ずれ)を、±30°以下にできる。
【0024】
これにより、位相ずれが最大になったときでも、モータ2のトルクリプルτδMの86%(cos30°=0.86)を、圧力一定制御のために活用できる。
【0025】
なお、上記指令電流の変化によって発生する位相差は、小さいことが望ましいが、位相差を(±90°)未満に設定できれば、cosθ>0となるので、少なからずの効果を得ることができる。
【0026】
なお、モータ2の回転子21に装着された磁石22の機械的位置と固定子23の各相巻線との相対位置によって、モータ2の逆起電圧位相が定まるので、モータ電流との基本波位相関係を加味し、ポンプ1の形式によって定まる所望の脈動トルクτδRのピーク位置とモータトルクリプルτδMとが一致するように、ポンプ1とモータ2を組み付ければよい。
【0027】
ここで、さらに、図4および図5を参照して、モータの脈動分による損失増加、およびこの第1参考例による効果について説明する。図4に、この参考例が備えるモータ-インバータ系の等価モデル(等価回路)を示す。図4において、Rは、モータ2の巻線抵抗であり、Itはトルク分電流である。ここで、このItを、
ItA=It+ΔIt・sin(θ)
のように脈動させた場合、電流Itを一定に制御した場合に比べて、上記巻線抵抗Rでの損失増加分ΔWRlossは、次式で表される。
【0028】
したがって、この比較例のごとく脈動トルクに対応させてトルク分電流を変動させると巻線抵抗での損失が増加することが分かる。
【0029】
これに対し、この第1参考例では、インバータ−モータ系におけるモータ2自体が持っているトルクリプルを、圧力一定制御のために活用しているので、図5(B)に示すように、トルク分電流の脈動振幅を低減することができ、効率を向上させることができる。尚、図5(A)および図5(B)の破線は、従来例におけるトルク分電流の脈動振幅を示している。
【0030】
〔第2参考例〕
次に、図6に、この発明の油圧装置の第2参考例が備える4極の埋め込み磁石構造のブラシレスDCモータ31を示す。このモータ31は、回転子32に埋め込まれて装着された永久磁石33と、回転磁界を発生させる固定子34とで構成されている。なお、この第2参考例では、ポンプとインバータは、前述の第1参考例と同じものを用いた。
【0031】
この構造のブラシレスDCモータ31は、磁石トルクとリラクタンストルクとを活用することによって、最大トルクを得ることができる。この磁石トルクとは、回転子32に装着された磁石33と巻線電流とで得られるトルクであり、上記リラクタンストルクとは、回転子32の鉄心部分と巻線電流で得られるトルクである。
【0032】
このブラシレスDCモータ31では、電磁設計により定まる磁石トルクとリラクタンストルクの配分によっては、0〜定格トルクまで変化させたときに、モータ逆起電力とモータ電流の基本波位相が、最大で、0〜20°程度(機械角)まで変化する場合がある。このため、一定圧力制御される油圧ポンプに必要な脈動トルクτδRと、モータ31のトルクリプルτδMの位相差をあるトルク範囲内では所定の範囲内(±60°未満)に収めることが可能だが、すべてのトルク範囲に対応することはできない。
【0033】
したがって、上記ブラシレスDCモータ31を採用した第2参考例では、ポンプから一定圧力の流体を吐出させている圧力一定制御において、ポンプの脈動トルクτδRの脈動周波数と、上記モータ31の固有のトルクリプルτδMの周波数とを非整数倍の関係に設定した。このような周波数設定によって、脈動トルクτδRの位相とトルクリプルτδMの位相とが、少なくとも逆相関係になることを排除できる。これにより、従来に比べて不要な脈動を低減でき、損失を低減できる。
【0034】
〔第3参考例〕
次に、この発明の油圧装置の第3参考例を説明する。この第3参考例では、図7に示すトロコイド形式の油圧ポンプ51と、図9に示すスイッチトリラクタンスモータ52を備えている。
【0035】
上記トロコイド式の油圧ポンプ51は、図7に示すように、インナーロータ53が6歯を有し、アウターロータ55が7歯を有する構造になっている。したがって、この油圧ポンプ51は、1回転について、ポンプ容積が6回変化する。このため、吐出圧力を一定に制御するためには、ポンプ回転数の6倍の周波数の脈動トルクτδRで、ポンプ51を駆動することが必要となる。
【0036】
また、図9に示すスイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)52は、固定子57が12個の突極子58を有し、回転子59が8個の突極子60を有している。したがって、このSRモータ52は、1回転当たり24回の転流が必要になり、トルク指令電流を一定にした場合に、回転数の24(4×6)倍の周波数のトルクリプルを発生する。
【0037】
この第3参考例では、上記油圧ポンプ51の脈動トルクτδRとモータトルクリプルτδMとの位相差を所定の範囲に納めることが困難な場合の別の手段として、SRモータ52のトルクリプルτδMの周波数を脈動トルクτδRの4倍以上に設定している。
【0038】
この第3参考例では、SRモータ52のトルクリプルτδMが、回転数に与える影響を低減し、SRモータ52のトルクリプルを補償するための不要なトルク分電流を重畳することを不要とし、従来に比べて、損失を低減できる。
【0039】
図8を参照して、この参考例による効果を詳細に説明する。図8は、トロコイド形式の油圧ポンプ−モータ系における速度−トルクの伝達特性を示している。ここで、保持状態で、回転数10[rps]でポンプを駆動している定常状態を一例に取ると、前述の圧力一定制御に必要な脈動トルクτδRの周波数は60[Hz]となる。これに対して、モータトルクリプルτδMの周波数が回転数の4倍未満(例えば2倍)では、図8のトルク−速度伝達特性がフラットな特性にある。このため、慣性モーメントのはずみ車効果による減衰は無く、モータ52のトルクリプルτδMによる回転変動が、油圧ポンプ51の圧力脈動に与える影響が大きく、この成分を打ち消すような電流を重畳する必要がある。
【0040】
このため、損失の増加を招くが、SRモータ52のトルクリプルτδMの周波数を、回転次数の4倍以上(例えば4倍)に選ぶと、図8のトルク−速度の伝達特性の減衰域(カットオフ周波数150Hz以上)に、SRモータ52のトルクリプルτδMの周波数が高まる。これにより、SRモータ52のトルクリプルτδMによる速度脈動が減衰する。これにより、速度脈動によるポンプの総吐出量の変動が減少し、ひいては、圧力脈動も低減できる。同時に、トルクリプルτδMのリプル周波数が、240[Hz]になり、従来の一定速の油圧ポンプ機器にもあった圧力脈動周波数(180〜360Hz)程度にまで高周波化される。このため、この第3参考例によれば、モータトルクリプルτδMによる速度変動を補償しなくても、従来機に比べて圧力脈動性能での遜色はなくなる。
【0041】
この結果、積極的にモータトルクリプルに伴う回転速度変動を低減させるべく、電流に脈動指令を重畳させる構成が不要となり、ひいては、効率の向上を達成できる。
【0042】
ここで、さらに、図10を参照して、この第3参考例の効果について説明する。図10において左側の3つの特性は、上から下に順に、比較例における平均圧力に対応するトルク分電流,圧力脈動に対応するトルク分電流,モータトルクリプル補償分に対応するトルク分電流特性を示し、右側の3つの特性が、この第3参考例における特性を示している。図10の左側の最下に示すように、比較例では、モータのトルクリプルを補償する分の電流を必要としたが、この第3参考例では、モータトルクリプルに伴う圧力脈動への影響を低減したので、図10の右側の最下に示すように、モータのトルクリプルを補償するための脈動電流を零にできる。
【0043】
尚、上記参考例では、インバータ出力波形との不整合に起因するトルクリプルについて説明したが、モータの電磁構造に起因するトルクリプルについても同様な説明を展開できる。
【0044】
〔実施の形態〕
次に、図11に、この発明の実施形態を示す。この実施形態は、図13に示した従来構成に比べて、図11に示す圧力脈動補償部73を備えている点だけが異なっている。したがって、この実施形態では、圧力脈動補償部73の動作について重点的に説明する。
【0045】
この圧力脈動補償部73には、速度制御部71からの出力信号と、モータの回転位置を表す位置検出信号とが入力される。上記速度制御部71からの出力信号は、圧力を所定値に保持する平均トルクに対応した第1の電流指令信号である。そして、この圧力脈動補償部73は、上記位置検出信号と第1電流指令信号とに基づいて、第2電流指令信号を出力し、この第2電流指令信号と第1電流指令信号の和が、波形制御部72に入力される。図12(A)に、上記第1電流指令信号の一例を示し、図12(C)に、上記第1電流指令信号と第2電流指令信号の和の一例を示す。
【0046】
この波形制御部72は、モータからの電流検出信号が表す電流が、上記第1,第2の電流指令信号の和が表す電流に追従するように、インバータを制御する。
【0047】
この実施形態によれば、圧力脈動補償部73が、図12(B)に示すような圧力脈動を打ち消すためのトルク波形に対応する第2の電流指令信号を出力するから、図12(D)に示すように、従来あった吐出圧力脈動(図12(B))は無くなる、もしくは、大幅に低減できる。
【0048】
なお、上記第1の電流指令信号に替えて、検出圧力の平均値(リプルを除去したもの)を、上記圧力脈動補償部73に入力し、この検出圧力の平均値から、補償すべきトルク波形の振幅(すなわち、第2の電流指令信号の振幅)を決定してもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明は、インバータ制御部でインバータを制御して、可変速モータを駆動し、この可変速モータと固定ポンプとによって生じる脈動を打ち消すことができる。したがって、圧力脈動低減のために発生する不要な損失(モータおよびインバータの損失)を低減し、システム効率を極大化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の油圧装置の第1参考例の構成を示す図である。
【図2】 上記第1参考例の油圧装置が備えるブラシレスDCモータの構成を示す図である。
【図3】 図3(A)は、上記第1参考例の油圧装置が備えるモータを駆動する電流の波形を示す図であり、図3(B)は上記モータの脈動トルク波形を示す図である。
【図4】 インバータ−モータ系の等価回路を示す回路図である。
【図5】 図5(A)は、比較例におけるトルク分電流波形を示す図であり、図5(B)は、第1参考例におけるトルク分電流波形を示す図である。
【図6】 この発明の第2参考例が有するブラシレスDCモータの構成を示す図である。
【図7】 この発明の第3参考例が有するトロコイドポンプの構造を示す図である。
【図8】 この発明の第3参考例における速度/トルク伝達ゲインの周波数特性図である。
【図9】 この第3参考例が有するスイッチングリラクタンスモータの構成を示す図である。
【図10】 上記第3参考例の効果を説明する特性図である。
【図11】 この発明の実施形態のインバータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図12】 図12(A),(B)は上記実施形態の比較例での第1電流指令波形と吐出圧力波形を示す波形図であり、図12(C),(D)は上記実施形態での電流指令波形と吐出圧力波形を示す波形図である。
【図13】 従来の油圧装置の構成を示すブロック図である。
【図14】 ポンプ吐出圧力一定制御における吐出容積Q,回転速度N,モータトルクT,ポンプ圧力Pの波形を示す図である。
【符号の説明】
1…定容量ポンプ、2…ブラシレスDCモータ、3…インバータ、
5…制御弁、6…アクチュエータ、21…回転子、22…永久磁石、
23…固定子、31…ブラシレスDCモータ、32…回転子、
33…永久磁石、34…固定子、51…トロコイド式油圧ポンプ、
52…スイッチトリラクタンスモータ、
53…インナーロータ、55…アウターロータ、57…固定子、
59…回転子、60…突極子、72…波形制御部、73…圧力脈動補償部。
Claims (1)
- 固定吐出容量ポンプ(1,51)と、この固定吐出容量ポンプ(1,51)を駆動する可変速モータ(2,31,52)と、この可変速モータ(2,31,52)を駆動するインバータ(3)を有する油圧装置において、
上記可変速モータ(2,31,52)のトルクリプルおよび上記固定吐出容量ポンプ(1,51)の吐出量変動に起因して生じる吐出圧力脈動を打ち消すように、上記インバータを制御する制御部(71,72,73,74)を備え、
上記制御部は、
上記固定吐出容量ポンプ ( 1 , 51 ) の吐出圧力を所定値に保持する平均トルクに対応した第1の指令信号を出力する速度制御部 ( 71 ) と、
上記可変速モータの回転位置を表す位置検出信号と、上記速度制御部 ( 71 ) からの上記第1の指令信号とに基づいて、上記固定吐出容量ポンプの総吐出量の時間変化 [ m 3 / 秒 ] が正弦波状に増大するのに伴って、上記可変速モータの回転速度 [rad/ 秒 ] を下降させるとともに上記可変速モータのトルク [ Nm ] を上昇させるように、上記インバータ出力を制御する一方、上記固定吐出容量ポンプの総吐出量の時間変化 [ m 3 / 秒 ] が正弦波状に減少するに伴って、上記可変速モータの回転速度 [rad/ 秒 ] を上昇させるとともに上記可変速モータのトルク [ Nm ] を減少させるように、上記インバータ出力を制御するような正弦波状で、かつ、上記固定吐出容量ポンプの吐出圧力脈動を打ち消すための上記可変速モータのトルク波形に対応する第2の指令信号を出力する圧力脈動補償部 ( 73 ) と、
上記第1の指令信号と上記第2の指令信号との和が入力され、上記可変速モータからの検出信号が、上記和が表す信号に追従するように、上記インバータを制御する波形制御部 ( 72 ) とを有することを特徴とする油圧装置。
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Cited By (1)
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