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JP3636654B2 - アークチューブ - Google Patents

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Koito Manufacturing Co Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J61/00Gas-discharge or vapour-discharge lamps
    • H01J61/02Details
    • H01J61/36Seals between parts of vessels; Seals for leading-in conductors; Leading-in conductors
    • H01J61/366Seals for leading-in conductors
    • H01J61/368Pinched seals or analogous seals

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  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車両用前照灯の光源として用いられるアークチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アークチューブは高輝度照射が可能なことから、近年では車両用前照灯等の光源としても多く用いられるようになってきている。
【0003】
車両用前照灯等に用いられるアークチューブは、一般に、図12に示すように、放電空間102を形成する発光管部104aの両側に各々ピンチシール部104bが形成されてなる石英ガラス製のアークチューブ本体104と、タングステン電極108およびリード線110がモリブデン箔112を介して連結固定されてなる1対の電極アッシー106とからなり、各電極アッシー106は各ピンチシール部104bにおいてアークチューブ本体104にピンチシールされている。そしてこのピンチシールにより、モリブデン箔112はアークチューブ本体104に埋設された状態で該アークチューブ本体104と接合されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアークチューブにおいては、モリブデン箔112とアークチューブ本体104との接合力が十分でなく、このためアークチューブの使用中に、モリブデン箔112とアークチューブ本体104との接合面においてモリブデン箔112が剥離しやすいものとなっている。そしてこのような剥離が生じると、接合面の端縁からアークチューブ本体104にクラックが生じ、これが成長して最終的には放電空間102と外部空間との間にリークが発生するに至ってしまう。このため従来のアークチューブは比較的寿命が短いものとなっているという問題がある。
【0005】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車両用前照灯の光源として用いられるアークチューブにおいて、モリブデン箔の剥離に起因するリーク発生を効果的に抑制して長寿命化を図ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、ピンチシールによりモリブデン箔とアークチューブ本体との接合面に沿って生じる残留応力が両部材の接合力に大きく影響することに着目し、その大きさに工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0007】
すなわち、本願発明に係るアークチューブは、
車両用前照灯の光源として用いられるアークチューブであって、
石英ガラス製のアークチューブ本体と、このアークチューブ本体の内部に挿入された状態で、ピンチシールにより該アークチューブ本体と接合されたモリブデン箔と、を備えてなるアークチューブにおいて、
上記アークチューブ本体と上記モリブデン箔との接合が、該接合面に沿って上記アークチューブ本体に常温で10N/m以上の圧縮応力が残留するように行われており、
上記アークチューブにおけるピンチシール部の幅Aと厚さBとの比A/Bが、
1.8≦A/B≦2.8
に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0008】
上記「モリブデン箔」は、モリブデンを主成分とするものであれば、純粋なモリブデンで構成された箔であってもよいし、その他の成分が添加された箔であってもよい。
【0009】
アークチューブにおいては一般に、ピンチシールによるアークチューブ本体とモリブデン箔との接合が発光管部の両側において行われるが、上記構成における「接合」は、両ピンチシール部の双方に適用されるものであってもよいし、そのいずれか一方にのみ適用されるものであってもよい。
【0010】
【発明の作用効果】
上記構成に示すように、本願発明に係るアークチューブは、石英ガラス製のアークチューブ本体の内部にモリブデン箔が挿入された状態で、ピンチシールにより両部材が接合されているが、このアークチューブ本体とモリブデン箔との接合が、該接合面に沿ってアークチューブ本体に常温で10N/m以上の圧縮応力が残留するように行われているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0011】
すなわち、モリブデン箔とアークチューブ本体との接合力を高めるためには、点灯時・消灯時いずれの場合においても両部材を微小凹凸で噛み合った状態に維持することが肝要である。
【0012】
従来のアークチューブにおいても、アークチューブ本体にはモリブデン箔との接合面に沿って常温で多少の圧縮応力(モリブデン箔には引張り応力)が残留しているが、アークチューブ本体に比してモリブデン箔の線膨張率は非常に(10倍程度)大きいため、アークチューブの点灯によりその温度が上昇するとアークチューブ本体には引張り応力(モリブデン箔には圧縮応力)が生じてしまう。このため、アークチューブの点消灯の繰り返しによりアークチューブ本体には圧縮応力と引張り応力とが交互に生じることとなり、これによりモリブデン箔とアークチューブ本体との噛合い状態が崩れてモリブデン箔が剥離しやすくなる。
【0013】
これに対し、アークチューブ本体に常温で10N/m以上の圧縮応力が残留するように接合しておけば、アークチューブの点消灯が繰り返されても、アークチューブ本体に常に圧縮応力が生じるようにすること(あるいはアークチューブ本体に圧縮応力と引張り応力とが交互に生じたとしても引張り応力を極く小さい値に抑えること)ができる。そしてこれによりモリブデン箔とアークチューブ本体との接合力を高めることができるので、モリブデン箔とアークチューブ本体との噛合い状態が崩れてモリブデン箔が剥離しやすくなるのを未然に防止することができる。
【0014】
また、アークチューブ本体に常温で10N/m以上の圧縮応力を残留させるためには、アークチューブ本体に大きな圧力をかけてピンチシールを行う必要があるが、この大きな圧力により、モリブデン箔のアークチューブ本体との接合面には粒界割れというモリブデン箔を構成する粒子と粒子との間に複数のクラックが生じることとなる。そしてこれらクラックに石英ガラスが入り込むようにしてモリブデン箔とアークチューブ本体との接合が行われることとなるので、その接合強度を十分に高めることができる。
【0015】
したがって本願発明によれば、車両用前照灯の光源として用いられるアークチューブにおいて、モリブデン箔の剥離に起因するリーク発生を効果的に抑制することができ、これによりアークチューブの長寿命化を図ることができる。
【0016】
しかも本願発明に係るアークチューブは、そのピンチシール部の幅Aと厚さBとの比A/Bが、1.8≦A/B≦2.8に設定されているので、ピンチシールの際アークチューブ本体に大きな圧力をかけることができ、これによりアークチューブ本体に大きな圧縮応力を残留させることが容易に可能となる。ここで「ピンチシール部の幅A」とは、モリブデン箔の面と平行な方向の寸法を意味し、「ピンチシール部の厚さB」とは、モリブデン箔の面と直交する方向の寸法を意味するものである。
【0017】
ところで、ピンチシールの際、アークチューブ本体にあまりにも大きな圧力をかけてしまうと、モリブデン箔の箔切れという別の不具合を生じてしまうおそれがある。そこで、ピンチシールにより生じるモリブデン箔の伸びを15%以下に設定しておくことが、箔切れの発生を効果的に抑制する上から好ましい。
【0018】
上述したように、モリブデン箔のアークチューブ本体との接合面に複数のクラック(粒界割れ)を生じさせることが接合強度を高める上で効果的であるが、その際、これらクラックの最大深さをモリブデン箔の厚さの50%以下に設定しておくことが、モリブデン箔の箔切れの発生を効果的に抑制する上から好ましい。ここで「クラックの最大深さ」とは、複数のクラックのうち最も深く形成されたクラックの深さを意味するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本願発明の一実施形態に係るアークチューブが組み込まれた放電バルブ10を示す側断面図であり、図2は、そのII部拡大図である。また、図3は、図2のIII-III 線断面図である。
【0021】
これらの図に示すように、この放電バルブ10は車両用前照灯に装着される光源バルブであって、前後方向に延びるアークチューブユニット12と、このアークチューブユニット12の後端部を固定支持する絶縁プラグユニット14とを備えてなっている。
アークチューブユニット12は、アークチューブ16と、このアークチューブ16を囲むシュラウドチューブ18とが一体的に形成されてなっている。
【0022】
アークチューブ16は、石英ガラス管を加工してなるアークチューブ本体20と、このアークチューブ本体20内に埋設された前後1対の電極アッシー22とからなっている。
【0023】
アークチューブ本体20は、中央に略楕円球状の発光管部20Aが形成されるとともにその前後両側にピンチシール部20Bが形成されてなっている。発光管部20Aの内部には前後方向に延びる略楕円球状の放電空間24が形成されており、この放電空間24には水銀とキセノンガスと金属ハロゲン化物とが封入されている。
【0024】
各電極アッシー22は、棒状のタングステン電極26とリード線28とがモリブデン箔30を介して各々溶接により連結固定されてなり、各ピンチシール部20Bにおいてアークチューブ本体20にピンチシールされている。その際、各タングステン電極26は、その先端部が前後両側から互いに対向するようにして放電空間24内に突出した状態で、その先端部以外の部分がピンチシール部20B内に埋設されており、各モリブデン箔30は、その全体がピンチシール部20B内に埋設されている。これら各モリブデン箔30は、モリブデンにイットリア(Y)がドープされてなる厚さ20μm程度の箔である。
図4は、図2のIV-IV 方向矢視図であり、図5および6は、図4のV-V 線断面図およびVI-VI 線断面図である。
【0025】
これらの図に示すように、前方側のピンチシール部20Bは、平面視において発光管部20Aから前方へ延びる略矩形形状を有しており、モリブデン箔30よりもある程度大きいサイズで形成されている。そして、このピンチシール部20Bと発光管部20Aとの間には、左右1対のネック部20Cが形成されている。なお、後方側のピンチシール部20Bについてもこれと同様の構成であるので、以下、前方側のピンチシール部20Bについて説明する。
【0026】
ピンチシール部20Bは、その断面形状が略横長矩形形状に設定されており、その上下両面20Baは、いずれも一般部20Ba1と段下がり平面部20Ba2とからなっている。
【0027】
一般部20Ba1は、上下各面20Baにおける左右両端部領域および後端部領域と、モリブデン箔30とタングステン電極26との接合部を含むようにして前後方向に延びるU字形領域と、モリブデン箔30とリード線28との接合部を含むようにして前後方向に延びる長円形領域とからなり、これら各領域が同一平面上に位置するようにして形成されている。一方、段下がり平面部20Ba2は、一般部20Ba1以外の全領域であって、一般部20Ba1に対して段下がりで平面状に形成されている。
【0028】
ピンチシール部20Bは、その幅Aと厚さBとの比A/Bが、1.8≦A/B≦2.8に設定されている。例えば、A=4.0〜4.4mmでB=1.8〜2.2mm(A/B=1.82〜2.44)に設定されている。ここで、幅Aは、左右方向の幅寸法であり、厚さBは、上下両面20Baの段下がり平面部20Ba2相互間の上下寸法である。
図7および8は、前方側のピンチシール部20Bを形成するピンチシール工程を示す斜視図および平断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、このピンチシール工程においては、すでに後方側のピンチシール部20Bが形成されたアークチューブ本体20を、その前端部が上を向くように配置した状態で、その発光管部20Aの上方に位置するピンチシール予定部20B´に対して1対のピンチャ2を左右両側から押し当てることにより、ピンチシール部20Bを形成するようになっている。
【0030】
両ピンチャ2は、平面視において点対称構造となっている。そして各ピンチャ2は、ピンチシール部20Bの上下各面20Baを形成するための正面部2aと、ピンチシール部20Bの両側面を形成するための側面部2bと、ピンチシールの際に相手側ピンチャに当接するストッパ部2cと、相手側ピンチャのストッパ部2cを受けるストッパ受け部2dとが形成されてなっている。各ピンチャ2の正面部2aには、ピンチシール部20Bの上下各面20Baにおける一般部20Ba1および段下がり平面部20Ba2に対応する一般部2a1および段上がり平面部2a2が形成されている。そして両ピンチャ2のストッパ部2cとストッパ受け部2dとの当接によりピンチシール時の成形空間が形成されるが、このとき両ピンチャ2の正面部2aの段上がり平面部2a2相互間の間隔D(B)によってピンチシール部20Bの厚さBが決定される。
【0031】
ところで、ピンチシール部20Bの上下各面20Baに、その一般部20Ba1としてU字形領域および長円形領域が設定されているのは、モリブデン箔30とタングステン電極26およびリード線28との各接合部において石英ガラスの肉厚が薄くなり割れが発生するのを未然に防止するためである。なお、これらU字形領域および長円形領域を一般部20Ba1として設定しておくことにより、電極アッシー22(特にタングステン電極26の先端部)の向きが前後方向軸線に対して左右方向に大きくずれないようにすることができる。
【0032】
ピンチシール予定部20B´は、アークチューブ本体20における一般の管状中空部に比して小径の中実構造となっており、その内部に電極アッシー22が位置決めされた状態で埋設されている。このピンチシール予定部20B´は、図9に示すように、ピンチシール工程の前工程であるシュリンクシール工程において、電極アッシー22が挿入されたアークチューブ本体20を左右両側から1対のバーナ4で所定時間加熱して該アークチューブ本体20を所定長にわたって熱収縮させることにより形成されるようになっている。このシュリンクシール工程におけるアークチューブ本体20の加熱温度は、2000〜2100℃程度に設定されている。加熱温度をこのような範囲の値に設定したのは、以下の理由によるものである。
【0033】
すなわち、図10に示すように、ピンチシールされたモリブデン箔30とアークチューブ本体20との接合面は、モリブデン箔30の凹凸状の表面にアークチューブ本体20を構成する石英ガラスが流れ込み、モリブデン箔30とアークチューブ本体20とが噛み合った状態(インターロック状態)となっている。この噛み合いを確実なものとするためには、石英ガラスの流れ込みを十分に行わせることが肝要であり、そのためにはアークチューブ本体20の加熱温度を高めに設定して石英ガラスの粘度を下げることが好ましい。
【0034】
一方、モリブデン箔30はシュリンクシール工程の熱で再結晶粒が成長するが、この再結晶粒が粗大化すると、モリブデン箔30とアークチューブ本体20との噛み合いが粗くなるため、アークチューブ16の点消灯に伴う熱応力が接合面の一部に集中的に生じやすくなり、モリブデン箔30の剥離が発生しやすくなる。したがって、アークチューブ本体20の加熱温度を低めに設定してモリブデン箔30の再結晶粒の成長を抑え、その大きさを1粒当たり50μm程度以下とすることにより、熱応力を接合面に広く分散させて小さくすることが好ましい。
【0035】
このような観点から、アークチューブ本体20の加熱温度を2000〜2100℃程度に設定すれば、再結晶粒を微細な状態(50μm程度以下)に維持しつつ、石英ガラスの流れ込み性を十分に確保することが可能となる。
【0036】
図10に示すように、ピンチシールされたモリブデン箔30とアークチューブ本体20との接合面の両側には、ピンチシールの際にピンチシール予定部20B´にかかる圧力により、該接合面に沿った応力が残留する。すなわち、モリブデン箔30には引張り応力が残留し、アークチューブ本体20には圧縮応力が残留する。
【0037】
本実施形態においては、ピンチシール予定部20B´にある程度大きな圧力をかけてピンチシールを行うことにより、アークチューブ本体20に常温(25℃)で10N/m以上の圧縮応力(例えば2×10N/m程度の圧縮応力)を残留させるようになっている。この残留圧縮応力の大きさは、両ピンチャ2のストッパ部2cとストッパ受け部2dとが当接したときの正面部2aの段上がり平面部2a2相互間の間隔D(B)により規定される。この間隔D(B)は、上述したようにピンチシール部20Bの厚さBに等しく、D(B)=1.8〜2.2mmの範囲内に設定されているが、この範囲内ではピンチシールにより生じるモリブデン箔30の伸びを15%以下に抑えることができる。
【0038】
また上記ピンチシールの際、ピンチシール予定部20B´には大きな圧力がかかるので、このようにして形成されたピンチシール部20Bにおいては、図11に示すように、モリブデン箔30のアークチューブ本体20Bとの接合面に複数のクラック(粒界割れ)Cが生じる。ただし本実施形態においては、クラックCの最大深さdmax がモリブデン箔30の厚さtの50%以下となるように設定されている。
【0039】
ところで上述したように、ピンチシール部20Bは、その幅Aと厚さBとの比A/Bが1.8≦A/B≦2.8に設定されているが、これは次のような理由によるものである。
【0040】
すなわち、A/Bが1に近い値になると、ピンチシール部20Bの断面形状が正方形に近づくため、ピンチシールの際、ピンチシール部20Bには周囲4方向から略均等にピンチャ2の圧力が作用する。このため石英ガラスはピンチャ2に沿って上下方向に流れることとなり、したがって再結晶化しつつあるモリブデン箔30は上下に分かれるように破断しやすくなる。
【0041】
これに対し、A/Bが大きい値になると、ピンチシール部20Bの断面形状が偏平な矩形状になるため、ピンチシールの際、ピンチシール部20Bに作用する幅方向の圧力は厚さ方向の圧力に比して小さいものとなる。このため石英ガラスはピンチャ2に沿って幅方向に流れることとなり、したがってモリブデン箔30が上下に分かれるように破断してしまうことはなくなる。しかしながら、ピンチシール部20Bの断面形状があまりにも偏平になりすぎると、ピンチシール部20Bからピンチャ2が外れる際にアークチューブ本体20Bが折れやすくなる。また、このときアークチューブ本体20Bが折れなかったとしても、その後におけるアークチューブ本体20Bの強度に問題が生じてしまう。
【0042】
そこで、次のような実験を行った結果に基づき、ピンチシール部20Bの幅Aと厚さBとの比A/Bの値として適当な範囲を、1.8≦A/B≦2.8に設定したものである。
表1は、この実験の結果を示す表である。
【0043】
【表1】
Figure 0003636654
【0044】
この実験は、A/Bの値と箔切れ(ピンチシール時におけるモリブデン箔30の破断)およびガラス折れ(ピンチシール時におけるアークチューブ本体20Bの折れ)の発生との関係を調べるために行ったものである。実験は、A/Bを、A/B=1.0、1.5、1.8、2.0、2.5、2.8、3.0、4.0の各値に設定してピンチシールを行った。供試サンプル数はA/Bの各値につき10個である。
【0045】
実験の結果、表1からも明らかなように、「箔切れ」に関しては、A/B=1.0では10個中7個に箔切れが発生し、A/B=1.5では10個中3個に箔切れが発生したが、A/B=1.8以上の各値では箔切れが全く発生しなかった。一方、「ガラス折れ」に関しては、A/B=4.0では10個中8個にガラス折れが発生し、A/B=3.0では10個中3個にガラス折れが発生したが、A/B=2.8以下の各値ではガラス折れが全く発生しなかった。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態に係るアークチューブ16は、石英ガラス製のアークチューブ本体20の内部にモリブデン箔30が挿入された状態で、ピンチシールにより両部材20、30が接合されているが、この接合はアークチューブ本体20に常温で10N/m以上の圧縮応力を残留させるように行われているので、アークチューブ16の点消灯の繰り返しにより接合面に応力変動が生じても、アークチューブ本体20に常に圧縮応力が生じるようにすること(あるいはアークチューブ本体20に圧縮応力と引張り応力とが交互に生じたとしても引張り応力を極く小さい値に抑えること)ができる。
【0047】
そしてこれにより、アークチューブ16の点灯時・消灯時いずれの場合においても、モリブデン箔30とアークチューブ本体20とを微小凹凸で噛み合った状態に維持することができ、これにより両部材の接合力を高め、モリブデン箔30が剥離しやすくなるのを未然に防止することができる。
【0048】
また、このようにアークチューブ本体20に常温で10N/m以上の大きな圧縮応力を残留させるべく、アークチューブ本体20にある程度大きな圧力をかけてピンチシールを行うようになっているので、この大きな圧力によりモリブデン箔30のアークチューブ本体20との接合面には複数のクラックCが生じ、これらクラックCに石英ガラスが入り込むようにしてモリブデン箔30とアークチューブ本体20との接合が行われるので、その接合強度を十分に高めることができる。
【0049】
したがって本実施形態によれば、モリブデン箔30の剥離に起因するリーク発生を効果的に抑制することができ、これによりアークチューブ16の長寿命化を図ることができる。
【0050】
本実施形態においては、アークチューブ16におけるピンチシール部の幅Aと厚さBとの比A/Bが1.8≦A/B≦2.8に設定されているので、ピンチシールの際、箔切れやガラス折れを生じさせることなくアークチューブ本体20に大きな圧力をかけることができ、これによりアークチューブ本体20に大きな圧縮応力を残留させることが容易に可能となる。
【0051】
また本実施形態においては、ピンチシールにより生じるモリブデン箔30の伸びが15%以下に設定されているので、ピンチシールの際、アークチューブ本体20に過大な圧力がかかってモリブデン箔30に箔切れが生じてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0052】
さらに本実施形態においては、ピンチシールによりモリブデン箔30のアークチューブ本体20との接合面に形成される複数のクラックCの最大深さdmax がモリブデン箔30の厚さtの50%以下に設定されているので、これらクラックCに石英ガラスを入り込ませてモリブデン箔30とアークチューブ本体20との接合強度を高めるようにした上で、モリブデン箔30に箔切れが生じてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0053】
本実施形態においては、車両用前照灯に装着される放電バルブ10のアークチューブ16について説明したが、これ以外の用途に用いられるアークチューブにおいても、本実施形態と同様の構成を採用することにより本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態に係るアークチューブが組み込まれた放電バルブを示す側断面図
【図2】図1のII部拡大図
【図3】図2のIII-III 線断面図
【図4】図2のIV方向矢視図
【図5】図4のV-V 線断面図
【図6】図4のVI-VI 線断面図
【図7】上記アークチューブにおける前方側のピンチシール部を形成するピンチシール工程を示す斜視図
【図8】上記ピンチシール工程を示す平断面図
【図9】上記ピンチシール工程の前工程であるシュリンクシール工程を示す平断面図
【図10】上記アークチューブにおけるモリブデン箔とアークチューブ本体との接合面の様子を示す断面拡大図
【図11】上記アークチューブにおけるモリブデン箔とアークチューブ本体との接合状態を示す断面拡大図
【図12】従来例を示す、図3と同様の図
【符号の説明】
2 ピンチャ
2a 正面部
2a1 一般部
2a2 段上がり平面部
2b 側面部
2c ストッパ部
2d ストッパ受け部
4 バーナ
10 放電バルブ
12 アークチューブユニット
14 絶縁プラグユニット
16 アークチューブ
18 シュラウドチューブ
20 アークチューブ本体
20A 発光管部
20B ピンチシール部
20Ba 上面、下面
20Ba1 一般部
20Ba2 段下がり平面部
20B´ ピンチシール予定部
20C ネック部
22 電極アッシー
24 放電空間
26 タングステン電極
28 リード線
30 モリブデン箔
A ピンチシール部の幅
B ピンチシール部の厚さ
C クラック(粒界割れ)
D(B) ピンチャの段上がり平面部相互間の間隔
dmax クラックの最大深さ
t モリブデン箔の厚さ

Claims (3)

  1. 車両用前照灯の光源として用いられるアークチューブであって、
    石英ガラス製のアークチューブ本体と、このアークチューブ本体の内部に挿入された状態で、ピンチシールにより該アークチューブ本体と接合されたモリブデン箔と、を備えてなるアークチューブにおいて、
    上記アークチューブ本体と上記モリブデン箔との接合が、該接合面に沿って上記アークチューブ本体に常温で10N/m以上の圧縮応力が残留するように行われており、
    上記アークチューブにおけるピンチシール部の幅Aと厚さBとの比A/Bが、
    1.8≦A/B≦2.8
    に設定されている、ことを特徴とするアークチューブ。
  2. 上記ピンチシールにより生じる上記モリブデン箔の伸びが15%以下に設定されている、ことを特徴とする請求項1記載のアークチューブ。
  3. 上記モリブデン箔における上記アークチューブ本体との接合面に複数のクラックが形成されており、これらクラックの最大深さが上記モリブデン箔の厚さの50%以下に設定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載のアークチューブ。
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