JP3635116B2 - 回折格子記録媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は回折格子記録媒体に関し、特に、真正な物品であることを証明するためのセキュリティ用回折格子シールへの利用に適した回折格子記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
クレジットカード、預金通帳、金券などの偽造を防止するための手段として、ホログラムシールが利用されている。また、ビデオテープや高級腕時計などの商品についても、海賊版が出回るのを防止するために、ホログラムシールが利用されており、この他、装飾用、販売促進用といった目的にも、ホログラムシールが利用されている。このようなホログラムシールには、三次元立体像ではなく二次元の絵柄がモチーフとして用いられることが多い。
【0003】
ホログラムシールを作成する方法としては、レーザ光を用いて干渉縞を形成させる光学的なホログラム撮影方法が一般的である。すなわち、二次元の絵柄モチーフが描かれた原稿を用意し、2つに分岐させたレーザ光の一方をこの原稿に照射し、その反射光と分岐したもう一方のレーザ光とを干渉させてその干渉縞を感光材に記録するのである。こうしてホログラム原版が作成できたら、この原版を用いて、プレスの手法によりホログラムシールを量産することができる。
【0004】
ところが、最近では、コンピュータによる画像処理技術や、電子ビームによる描画技術が進歩したため、コンピュータによって用意した画像データに基づいて電子ビームを走査し、疑似的なホログラム原版を作成する方法が実用化されている。すなわち、媒体上に微細な回折格子を記録し、この回折格子によって二次元の絵柄のモチーフを表現するのである。たとえば、特開平6−337622号公報には、二次元の絵柄を複数の画素で表現し、多数の回折格子を配してなる画素パターンを個々の画素に割り付けることにより、回折格子記録媒体を形成する新規な方法が提案されている。また、特開平7−146637号公報には、このような回折格子記録媒体を量産するための効率的な作成方法が開示されており、特開平7−146635号公報には、階調をもった絵柄を表現するための改良点が開示され、特開平8−075912号公報には、色彩をもった絵柄を表現するための改良点が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した回折格子記録媒体では、同一平面上に、異なる複数のモチーフを表現する場合、格子線の配置角度が互いに異なる複数の画素パターンを各モチーフごとに用いることになる。たとえば、モチーフAを構成する画素には、格子線配置角度が45°の画素パターンを割り付け、モチーフBを構成する画素には、格子線配置角度が90°の画素パターンを割り付ければ、所定角度から観察したときにモチーフAのみが観察され、また別な角度から観察したときにはモチーフBのみが観察されるような回折格子記録媒体を作成することが可能になる。
【0006】
ただし、モチーフAとモチーフBとが平面上で重なる場合には、何らかの工夫が必要になる。そこで従来は、1つの画素を複数の副画素に分割し、各副画素ごとに画素パターンを割り付けるという手法を採っている。たとえば、1つの画素を2行2列からなる4つの副画素に分割し、左上と右下の副画素にはモチーフAのための画素パターンを割り付け、左下と右上の副画素にはモチーフBのための画素パターンを割り付けるようにすれば、モチーフAとモチーフBとが画素単位では重複することはあっても、副画素単位では重複することはなく、各副画素には、格子線配置角度が45°の画素パターンか格子線配置角度が90°の画素パターンのいずれか一方のみが割り付けられることになり、支障は生じなくなる。
【0007】
しかしながら、このように1つの画素を複数の副画素に分割して画素パターンを割り付け、複数のモチーフを重複記録する方法を採った回折格子記録媒体には、観察時に輝度および画質が低下するという問題がある。たとえば、上述のように4つの副画素に分割した場合、観察時には、1つの画素全体から回折光は得られず、モチーフAを観察したときには左上と右下の副画素からの回折光しか得られず、モチーフBを観察したときには左下と右上の副画素からの回折光しか得られなくなる。このため、各モチーフをそれぞれ単独で記録した場合に比べて、輝度が半分になってしまい、全体的に暗い画像しか得られない。また、画素の代わりに副画素を用いるために、画質も低下することになる。
【0008】
そこで本発明は、複数のモチーフを重ねて表現しても、輝度および画質が低下することのない回折格子記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1) 本発明の第1の態様は、回折格子により複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体において、
所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子線の配置角度が近似する画素パターンを1グループとして複数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフのそれぞれについて1グループを対応づけ、
異なるグループに所属する2つの画素パターンについて、それぞれに配置されている格子線を同一の画素閉領域内に重ねて配置することにより得られる多重画素パターンを定義し、
単一のモチーフのみを構成する画素には、そのモチーフに対応づけられたグループに所属する画素パターンを割り付け、2つのモチーフを構成する画素には、各モチーフに対応づけられた2つのグループにそれぞれ所属する画素パターンについて定義された多重画素パターンを割り付けるようにしたものである。
【0016】
(2) 本発明の第2の態様は、回折格子により複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体において、
所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子線の配置角度が近似する画素パターンを1グループとして複数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフのそれぞれについて1グループを対応づけ、
異なるグループに所属する2つの画素パターンについて、それぞれに配置されている格子線を同一の画素閉領域内に重ねて配置することにより得られる多重画素パターンを定義し、
単一のモチーフのみを構成する画素については、これを分割して得られる各副画素に、そのモチーフに対応づけられたグループに所属する画素パターンを割り付け、
複数のモチーフを構成する画素については、これを分割して得られる各副画素に、各モチーフに対応づけられたグループのそれぞれに所属する画素パターンもしくはその多重画素パターンを割り付け、各グループに関連した格子線配置角度で配置された格子線が少なくとも1つの副画素に現れるように構成したものである。
【0017】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る回折格子記録媒体において、
ライン幅dLとスペース幅dSとの間に、dS≧2・dLなる関係が得られるような格子線を用いるようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る回折格子記録媒体において、
格子線のライン部分が凸部、スペース部分が凹部をなすように構成したものである。
【0018】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る回折格子記録媒体において、
所定の可視波長λに対して、dS>λなる式を満足するようなスペース幅dSをもった格子線を用いるようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る回折格子記録媒体において、
記録媒体表面に立てた法線に対して所定の観察角度θを定義し、(dS+dL)・sinθ=λなる式を満足するようなライン幅dLおよびスペース幅dSをもった格子線を用いるようにしたものである。
【0019】
【作 用】
本発明の基本概念は、向きの異なる2種類の格子線を同一の閉領域内に記録した多重回折格子を用いて、複数のモチーフを多重記録する点にある。回折格子は、媒体の表面上に立体的な凹凸構造をもった多数の溝を形成してなるものであり、溝、すなわち格子線はいずれも平行に、単一の向きに形成するのがこれまでの既成概念であった。本願発明者は、向きの異なる2種類の格子線を重ねて記録した場合にも、それぞれの格子線について回折現象を起こさせることが可能であることを見出だしたのである。
【0020】
ただし、このような多重回折格子によって、実用可能な回折現象を起こさせるためには、特定の条件設定が必要になる。本願発明者の行った実験によれば、ライン幅dLとスペース幅dSとの間に、dS≧2・dLなる関係が得られるような格子線を用いれば、多重回折格子として機能する媒体が得られることが確認できた。しかも媒体上において、格子線のライン部分が凸部、スペース部分が凹部をなすように構成すると、実用上、より明るい多重回折格子が得られる。なお、人間を観察者とする多重回折格子の場合には、所定の可視波長λに対して、dS>λなる式を満足させるスペース幅dSが必要になる。これは、凹部を構成するスペース幅dSが可視波長λよりも大きいという条件を示すものであり、凹部に可視波長λの光を導入するために必要な条件となる。また、回折格子記録媒体を偽造防止用シールとして用いる場合、特定の観察角度が定まるのが一般的である。たとえば、クレジットカードのための偽造防止用シールとして用いるのであれば、クレジットカードの表面に立てた法線に対して30°程度手前に傾斜した角度を、一応の観察角度と定めるのが一般的である。本願発明者は、用途に応じた所定の観察角度θを定義し、所定の可視波長λに対して、(dS+dL)・sinθ=λなる式を満足するようなライン幅dLおよびスペース幅dSをもった格子線を用いるようにすると、その用途に最適な回折格子記録媒体を形成できることを確認した。(dS+dL)・sinθ=λなる式は、回折格子のピッチが(dS+dL)である場合のブラッグの式において、回折次数n=1とすることにより得られる式であり、最も明るい一次回折光を所定の観察角度において得るために必要な条件になる。
【0021】
このような多重回折格子を用いれば、互いに重なり合う複数のモチーフを同一平面上に表現する場合にも、従来のように副画素を用いる必要はなくなる。たとえば、モチーフAを格子線配置角度が45°の画素パターンによって表現し、モチーフBを格子線配置角度が90°の画素パターンによって表現する場合、モチーフAのみを構成する画素には、45°の画素パターンを割り付け、モチーフBのみを構成する画素には、90°の画素パターンを割り付ければよい。そして、モチーフA,Bの双方を構成する画素には、45°の向きに配置された格子線と90°の向きに配置された格子線とを重ねて記録した多重画素パターンを割り付けるようにすればよい。1つの画素を副画素に分割する必要はなくなるため、従来のように輝度や画質が低下するという問題は生じなくなる。
【0022】
多重画素パターンは、コンピュータを用いた演算により容易に発生させることができる。また、多重画素パターンを電子線で描画する場合には、格子線によって四辺を囲まれた四角形領域を描画するようにすれば、効率的な作業を行うことができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を図示するいくつかの実施例に基づいて説明する。
【0024】
§1. 従来の回折格子記録媒体
はじめに、前述した特開平6−337622号公報などに開示されている従来の回折格子記録媒体の構成を簡単に説明しておく。まず、図1(a) に示すようなモチーフ(英文字の「A」を示す)を回折格子記録媒体上に表現する従来の方法について説明する。はじめに、図1(a) に示すモチーフに対応する画像データとして、図1(b) に示すようなモチーフ画素情報を用意する。ここに示す例では、7行7列に画素が配列されており、各画素は「0」または「1」のいずれかの画素値をもっており、いわゆる二値画像を示す情報となる。このような情報は、いわゆる「ラスター画像データ」と呼ばれている一般的な画像データであり、通常の作画装置によって作成することができる。あるいは、紙面上に描かれたデザイン画をスキャナ装置によって取り込むことにより、このようなモチーフ画素情報を用意してもかまわない。
【0025】
続いて、図2に示すように、ライン幅dLをもったラインLと、スペース幅dSをもったスペースSとを、閉領域V内に交互に配置してなる画素パターンを定義する。ラインLは、媒体上では格子線となる部分であり、幅dLの格子線が、互いに間隔dSだけ隔てて多数形成されることになる。このような回折格子のピッチpはp=dL+dSとなり、ラインL(格子線)は、いずれも同一の角度θをもって配置されている。ここで、閉領域Vは1つの画素を構成する領域であり、実際には非常に微小な要素になる。別言すれば、図1(a) ,(b) に示した7×7の配列における1つ1つの画素に相当した大きさのものになる。この例では、閉領域Vとして、縦×横が50μm×45μmの大きさの長方形を用いているが、たとえば50μm×50μmの大きさの正方形のものを用いてもよい。また、この閉領域V内に配置されるラインLの幅dLおよびスペースSの幅dSも光の波長に準じた微小な寸法をもったものであり、この例では、ライン幅dL=0.6μm、スペース幅dS=0.6μm、ピッチp=1.2μmである。
【0026】
要するに、ラインLは回折格子としての機能を果たすライン幅dLおよびピッチpで配置されている必要がある。ラインLの配置角度θは、所定の基準軸に対して設定された角度である。本明細書では、図示するような方向にX軸およびY軸をとったXY座標系を定義し、X軸を基準軸としてラインLの配置角度θを表わすことにする。もちろん、このような画素パターンは、コンピュータ内に画像データとして用意されることになる。 次に、図1(b) に示すようなモチーフ画素情報における各画素値に基づいて、図2に示すような画素パターンを所定の画素に対応づけ、各画素位置に、対応する画素パターンを配置する処理を行う。具体的には、図1(b) に示すモチーフ画素情報において、画素値が「1」である画素のそれぞれに図2の画素パターンを対応づける。画素値が「0」である画素には、画素パターンは対応づけられない。こうして対応づけられた画素位置に、それぞれ画素パターンを割り付けてゆく。いわば、図1(b) に示す配列を壁にたとえれば、この壁の中の「1」と描かれた各領域に、図2に示すようなタイルを1枚ずつ貼る作業を行うことになる。この結果、図3に示すような画像パターンが得られる。この画像パターンが最終的に回折格子記録媒体に記録されるパターンである。図1(a) に示すモチーフがそのまま表現されているが、1つ1つの画素は回折格子で構成されており、回折格子としての視覚的な効果が得られることになる。
【0027】
以上、画素単位で回折格子パターンを割り付ける基本的な例を説明したが、続いて、複数のモチーフを表現するための従来の手法を説明する。回折格子から得られる回折光は方向性を有するため、観察方向によっては観察できたりできなかったりする。したがって、たとえば、図4に示すように、格子線の配置角度が異なった画素パターンP1(格子線配置角度45°)とP2(格子線配置角度90°)とを同一媒体上に割り付ければ、ある観察角度からは画素パターンP1のみが観察され、別な観察角度からは画素パターンP2のみが観察されることになる。そこで、モチーフAを画素パターンP1によって表現し、モチーフBを画素パターンP2によって表現すれば、異なる2つのモチーフを同一平面上に表現することができ、しかも、ある観察角度からはモチーフAのみが観察され、別な観察角度からはモチーフBのみが観察されるような記録媒体を形成することが可能になる。これが、同一媒体上に異なる複数のモチーフを表現するための基本手法である。
【0028】
ところが、互いに画素が重なり合うような2つのモチーフを、同一媒体上に表現する場合には、何らかの工夫が必要になる。たとえば、図5(a) ,(b) に示すような2つのモチーフA,Bに対して、上述の基本手法をそのまま適用して作業を進めてみる。ここでは、モチーフAについては図4に示すパターンP1を対応させ、モチーフBについては図4に示すパターンP2を対応させるものとしよう。すると、モチーフAについては図6(a) に示すような対応関係情報R1が作成され、モチーフBについては図6(b) に示すような対応関係情報R2が作成される。ところが、この2つの対応関係情報R1,R2に基づいて、実際に画素パターンを割り付ける作業を行おうとすると、図6に実線で囲った画素について画素パターンの衝突が生じる。たとえば、2行4列目の画素について見ると、対応関係情報R1によれば画素パターンP1を割り付ける旨が示されているのに対し、対応関係情報R2によれば画素パターンP2を割り付ける旨が示されている。このため、実際にはどちらの画素パターンを割り付ければよいか判断できなくなる。
【0029】
そこで従来は、副画素という概念を導入することによって、この問題を解決している。たとえば、図5(a) ,(b) に示す7行7列の画素配列によって所定のモチーフが表現されている場合、個々の画素を2行2列の副画素に分割し、左上および右下の副画素によってモチーフAを表現し、左下および右上の副画素によってモチーフBを表現すれば、画素単位では両モチーフが重なっても、副画素単位では両モチーフが重なることはなくなる。図7(a) ,(b) は、このような副画素への画素パターン配置を示すものである。ここで、実線で囲まれた個々の矩形は画素であり、この画素を破線で示すように4分割して得られる小さな矩形が副画素である。図7(a) は、モチーフAを表現するために、モチーフAにおいて画素値が「1」である画素(図5(a) に黒で現されている画素)については、その画素内の左上および右下の副画素に格子線配置角度45°の画素パターンP1を割り付けた状態を示し、図7(b) は、モチーフBを表現するために、モチーフBにおいて画素値が「1」である画素(図5(b) に黒で現されている画素)については、その画素内の左下および右上の副画素に格子線配置角度90°の画素パターンP2を割り付けた状態を示す。図7(a) において画素パターンが割り付けられた副画素と、図7(b) において画素パターンが割り付けられた副画素とは、決して同じ位置にくることはないので、両者を重ねることにより、図8に示すような回折格子記録媒体を得ることができる。
【0030】
この図8に示す回折格子記録媒体内には、モチーフAとモチーフBとが重複して表現されていることになる。しかも、モチーフAを表現する副画素と、モチーフBを表現する副画素とでは、格子線の形成角度が異なるため、ある1つの方向から観察するとモチーフAが認識でき(図7(a) のようなパターンが認識できる)、別な方向から観察するとモチーフBが認識できる(図7(b) のようなパターンが認識できる)ようになっている。このような手法を用いれば、画素が重複する複数のモチーフについて、同一平面上に重複して表現することが可能になる。
【0031】
しかしながら、このような副画素を用いる手法には、輝度や画質が低下するという問題があることは既に述べたとおりである。たとえば、図3に示すように通常の画素によって表現されたモチーフAと、図7(a) に示すように副画素によって表現されたモチーフAとを比較してみれば、後者において回折光が得られる面積は前者の半分になっており、全体的に輝度が半分に低下してしまうことがわかる。更に、個々の画素の大きさを比較すれば、前者の画素に対し後者の画素は、大きさが1/4となり回折格子開口面が小さく輝度が更に低下することになる。個々の画素の大きさを小さくすることなしに、複数のモチーフを重複記録する手法として、特願平5−148681号明細書の図28の説明には、画素を間引く方法も開示されているが、画素を間引けば画質の劣化は避けられない。本発明は、従来のこのような問題を解決するための新規な手法を提供するものである。以下、本発明の手法を詳述する。
【0032】
§2. 本発明に係る回折格子記録媒体
ここでは、図5(a) ,(b) に示すような2つのモチーフA,Bを記録する場合を例にとりながら本発明に係る手法を説明する。本発明に係る手法では、図9に示すように、3種類の画素パターンを用意する。画素パターンP1,P2は、上述の§1で説明した従来の手法で用いた画素パターンと全く同じである。画素パターンP1(格子線配置角度45°)はモチーフAを表現するためのパターンであり、画素パターンP2(格子線配置角度90°)はモチーフBを表現するためのパターンである。本発明では、更に、多重画素パターンP12を用意する。この多重画素パターンP12は、画素パターンP1,P2を重ね合わせたパターンであり、画素パターンP1内に存在する配置角度45°の格子線と、画素パターンP2内に存在する配置角度90°の格子線との双方を配置したパターンである。このように、向きの異なる2種類の格子線を有する回折格子を、多重回折格子と呼ぶことにする。
【0033】
通常の照明環境下では、画素パターンP1が形成された回折格子記録媒体は、図9の下段に示す観察方向D1から観察した場合に明るく見え、画素パターンP2が形成された回折格子記録媒体は、図9の下段に示す観察方向D2から観察した場合に明るく見える。ところが、多重画素パターンP12は、その両方の性質を兼ねそなえており、観察方向D1,D2のいずれの方向から観察しても明るく見える。そこで、モチーフAのみを構成する画素については画素パターンP1を割り付け、モチーフBのみを構成する画素については画素パターンP2を割り付け、モチーフAとモチーフBとの双方を構成する画素については多重画素パターンP12を割り付けるようにすれば、副画素を用いることなしに、両パターンを表現することが可能である。
【0034】
具体的には、図5(a) ,(b) に示すようなモチーフA,Bの両方を表現するには、図10に示すような対応関係情報を用意し、この対応関係情報に基づいて、図9に示す3種類の画素パターンP1,P2,P12を割り付ければよい。図11は、このような割り付けを行って得られた回折格子記録媒体を示すものである。この回折格子記録媒体では、図5(a) に示すモチーフAにおいて黒く示された画素位置には、必ず角度45°の格子線が配置されており、図9に示す観察方向D1から観察すれば、モチーフAが観察されることになる。一方、図5(b) に示すモチーフBにおいて黒く示された画素位置には、必ず角度90°の格子線が配置されており、図9に示す観察方向D2から観察すれば、モチーフBが観察されることになる。
【0035】
このような多重回折格子を画素として用いる方法によれば、従来の副画素を用いる方法のような輝度や画質の低下という問題は解消される。たとえば、図3に示すように通常の画素によって表現されたモチーフAと、図11に示すように多重画素パターンを含む画素によって表現されたモチーフAとを比較すると、所定の観察角度において回折光が得られる面積は両者とも同じであり、また画素の形状は両者とも完全な矩形になる。したがって、理論的には、輝度や画質は両者全く同じになり、副画素を用いる方法のような問題は生じなくなる。ただ、実際には、前者に比べて後者の輝度は若干低下する。これは、図9に示す多重画素パターンP12を実際の記録媒体上に形成する場合、物理的な凹凸構造を形成する必要があるため、画素パターンP1,P2の双方を兼ねる理想的な多重回折格子を形成することが物理的に困難であるためである。この多重回折格子の物理的な構造については後に詳述するが、実際の多重回折格子においては、多重画素パターンP12を観察方向D1から観察したときに得られる輝度は、画素パターンP1を同じ観察方向D1から観察したときに得られる輝度よりも若干低下し、また、多重画素パターンP12を観察方向D2から観察したときに得られる輝度は、画素パターンP2を同じ観察方向D2から観察したときに得られる輝度よりも若干低下する。しかし従来のような副画素を用いる方法に比べれば、本発明に係る多重パターンを用いる方法の方が、十分な輝度が得られる。
【0036】
§3. 多重回折格子としての条件
本発明の基本概念は、向きの異なる2種類の格子線を同一の閉領域内に記録した多重回折格子を用いて、複数のモチーフを多重記録する点にある。しかし、このような多重回折格子によって、実用可能な回折現象を起こさせるためには、特定の条件設定が必要になる。本願発明者は、図12(a) に示すような格子線配置角度が0°の回折格子と、図12(b) に示すような格子線配置角度が90°の回折格子とを多重記録し、図13に示すような格子を試作してみたところ、どのような観察方向から観察しても、回折光は全く観察できなかった。図12(a) に示す回折格子も図12(b) に示す回折格子も、従来ごく一般的に用いられてきた標準的な回折格子である。すなわち、いずれの回折格子も、ラインLの幅dLとスペースSの幅dSとが等しく、dL:dS=1:1なる条件をもった回折格子である。
【0037】
このように、ごく標準的な「dL:dS=1:1」なる条件をもった2種類の回折格子を重ね合わせて得られた格子では回折現象が全く見られなかったが、本願発明者は、「dL:dS」なる比率を1:1から変えることにより、回折現象が生じることを見出だした。たとえば、「dL:dS=1:2」なる条件をもった2種類の回折格子を重ね合わせて得られた格子では、回折現象が生じる。すなわち、図14(a) に示すような格子線配置角度が0°の回折格子と、図14(b) に示すような格子線配置角度が90°の回折格子とを多重記録し、図15に示すような格子を試作してみたところ、縦方向(図14(a) に示す回折格子についての回折光が観察できる方向)および横方向(図14(b) に示す回折格子についての回折光が観察できる方向)のいずれから観察したときにも回折光が観察できた。ただ、この多重回折格子について観察された回折光の明るさは、もとの回折格子(図14(a) ,(b) に示す回折格子)について観察された回折光よりもやや暗くなる。
【0038】
多重回折格子を形成するための「dL:dS」なる比率に関する臨界条件を見出だすため、この比率を種々変えて実験を行ったところ、「dL:dS=1:2」なる条件が、発明者が認識する範囲内において、回折光を得るための臨界条件であることが確認できた。すなわち、ライン幅dLとスペース幅dSとの間に、
dS≧2・dL (基本条件)
なる関係が得られるような格子線をもった2種類の回折格子を重ね合わせれば、多重回折格子が得られることになる。もちろん、光の回折現象であるから、格子線のピッチp(p=dL+dS)が光の波長に近い長さを有する必要があることは言うまでもない。「dL:dS=1:2」なる条件が多重回折格子を形成するための臨界条件になる理由についての理論的な解析は、現段階ではなされていないが、この比率が1:2以上であり、ピッチpが回折を起こすピッチでありさえすれば、多重回折格子を形成することができると、本願発明者は考えている。極端な例を示せば、たとえ「dL:dS=1:無限大」であっても、ピッチpが回折を起こすピッチでありさえすれば、多重回折格子を形成することができると予想できる。もっとも、「1:無限大」という比率を実現するためには、ライン幅dL=0にする必要があり、現実的にはこのような多重回折格子を形成することは不可能である。ただ、実際の媒体上に形成されたラインLは、光の遮蔽物として機能すれば足り、ライン幅dLが0に限りなく近付いたとしても、ラインLが光を遮蔽する機能をもっていれば、本発明に係る多重回折格子を形成することは可能である。
【0039】
また、図15に示す多重回折格子のもとになった2種類の回折格子(図14(a) ,(b) に示す回折格子)は、互いにライン幅dLが等しく、また互いにスペース幅dSが等しい回折格子であるが、必ずしもこれらが等しい2種類の回折格子を用いる必要はない。それぞれの回折格子において、dS≧2・dL(基本条件)なる関係が得られていれば、互いに異なるライン幅dL,スペース幅dSをもった2種類の回折格子を重ね合わせても、多重回折格子を得ることは可能である。
【0040】
ところで、図15に示す多重回折格子は、白黒のパターンとして示されているが、実際に媒体上に形成される多重回折格子は、微細な凹凸構造をもった構造体になる。たとえば、図15に示す白黒のパターンにおいて、黒い部分(すなわち、ラインLの部分)を凸部、白い部分(ラインLによって四辺を囲まれた四角形のスペースSSの部分)を凹部とするような多重回折格子記録媒体80の側断面図を図16に示す。ここで、スペースSSの部分は窪み85を形成し、この窪み85に光が入射して回折現象が起こることになり、ラインLの部分はこの入射光に対する遮蔽壁86として機能することになる(前述したように、遮蔽壁86としての機能をもっていれば、理論的には厚みが0でもかまわない)。もっとも、この図16に示す凹凸構造とは逆に、図15に示す白黒のパターンにおいて、黒い部分を凹部、白い部分を凸部とするような回折格子記録媒体を作成しても、多重回折格子として機能する。しかしながら、実用上は、図16に示すように、
黒い部分(ライン部分)を凸部、
白い部分(スペース部分)を凹部とする (実用条件1)
のが好ましい。なぜなら、dS≧2・dLなる基本条件により、白い部分の幅dSの方が黒い部分の幅dLよりも2倍以上長くなるので、白い部分を凹部として窪み85を形成した方が、よりたくさんの光を窪み85内に取り込むことができ、よりたくさんの回折光を得ることができるようになるためである。
【0041】
また、図16に示す構造において、所定の波長λの光について回折現象を起こさせるためには、窪み85の幅、すなわち、スペース幅dSを波長λよりも大きくとる必要がある。スペース幅dSよりも波長が大きい光は、窪み85内に入り込むことができず回折されないためである。ただ、紫外域や赤外域の回折光は、人間が観察する回折格子記録媒体としては無用のものである。したがって、実用的な回折格子記録媒体としての条件としては、更に、
可視波長λについて dS>λ (実用条件2)
という条件が必要になる。
【0042】
ところで、回折格子記録媒体を偽造防止用シールとして用いる場合、特定の観察角度が定まるのが一般的である。通常は、図16に示すように、媒体80の表面に立てた法線に対して±45°の範囲内から観察するのが一般的である。たとえば、クレジットカードのための偽造防止用シールとして用いるのであれば、クレジットカードの表面に立てた法線に対して30°程度手前に傾斜した角度を、一応の観察角度と定めるのが一般的である。この観察角度は、クレジットカードを手にしたときの最も自然な観察角度とされている。
【0043】
このように、特定の観察角度を定めることができれば、回折格子記録媒体としてのより好ましい条件設定が可能である。たとえば、多重回折格子記録媒体80の上面に、垂直上方から光が入射し、この光が所定の観察角度θの方向に回折するための条件は、ブラッグの式
p・sinθ=nλ
により与えられる。ここで、pは回折格子のピッチであり、本発明の場合p=(dS+dL)である。また、θは上述したように観察角度(媒体表面に立てた法線とのなす角)であり、λは観察される光の波長、nは得られる回折光の次数(n=1,2,3,…)である。実用上は、最も明るい1次回折光を利用するのが好ましく、n=1とすることになる。したがって、上記ブラックの式より、実用的な多重回折格子記録媒体の条件式としては、
(dS+dL)・sinθ=λ (実用条件3)
なる式が得られる。
【0044】
結局、多重回折格子記録媒体を得るための基本条件と、これを実用化するために必要な実用条件をまとめると次のようになる。
<基本条件> dS≧2・dL
<実用条件1> ライン部分を凸部、スペース部分を凹部とする
<実用条件2> 可視波長λについて dS>λ
<実用条件3> (dS+dL)・sinθ=λ
本発明の具体的な実施例としては、
dL=0.4μm, dS=0.8μm (ピッチp=1.2μm)
θ=30° (sinθ=1/2)
λ=0.6μm (可視波長)
なる設定を行っている。この設定では、dS=2・dLであり基本条件を満足しており、また、dS>λであり実用条件2をも満足している。更に、(dS+dL)・sinθ=(0.4μm+0.8μm)・1/2=0.6μm=λとなり、実用条件3をも満足している。よって、上述の設定によれば、上記すべての条件を満足した実用的な多重回折格子記録媒体を作成することが可能である。
【0045】
§4. 多重回折格子パターンの描画方法
続いて、本発明に係る多重回折格子パターンを媒体上に形成する方法を説明する。図16に示すように、本発明に係る多重回折格子記録媒体80は、表面に凹凸構造をもった媒体である。このような媒体を作成する場合、まず、凹凸構造が逆転した原版を作成し、この原版を用いたプレス加工により媒体を大量生産するのが一般的である。原版を作成するには、原版構成層上にレジスト層を形成し、このレジスト層を図15に示すようなパターンにパターニングした後、原版構成層の露出部をエッチングすることになる。ただ、一般に回折格子のパターンは、ライン幅dL,スペース幅dSともにサブミクロンオーダの微細パターンであるため、レジスト層に対する露光をフォトマスクを用いて行うことは困難である。そのため、通常は電子ビームを用いてレジスト層を直接露光する方法が採られている。
【0046】
本発明に係る多重回折格子の原版を作成する場合も、従来の一般的な回折格子原版を作成する場合と同様に、電子ビームを用いてレジスト層の露光を行っている。従来は、図14(a) あるいは(b) に示すような画像データに基づいて電子ビームを走査し、レジスト層上に図示するような白黒パターンを形成していた。すなわち、ラインLに相当する黒い領域にビームを照射して露光部とするのである。したがって、本発明では、図15に示すような画像データに基づいて電子ビームを走査し、レジスト層上に白黒パターンを形成すればよい。
【0047】
しかしながら、現在市販されている電子ビーム描画装置では、四角形の図形データの集合として描画対象を指定する方式を採るのが一般的である。別言すれば、一般的な電子ビーム描画装置は、与えられた4つの頂点座標値に基いて、この4つの頂点を結ぶ四角形内の領域に電子ビームを走査する機能しかもっていない。このような電子ビーム描画装置を用いて、図14(a) あるいは(b) に示すような通常の回折格子パターンを描画することは容易である。すなわち、1本1本のラインLは、幅dLをもった非常に細長い四角形であるため、その4つの頂点座標値を電子ビーム描画装置に与えれば、これを描画することができる。ところが、図15に示すような本発明に係る多重回折格子パターンを描画するためには、少し工夫が必要である。一般的な電子ビーム描画装置によって描画させるためには、この多重回折格子パターンをいくつかの四角形に分けてやる必要がある。
【0048】
1つの方法としては、この図15に示すパターンを、図14(a) のパターンと図14(b) のパターンとに分ける方法が考えられる。すなわち、図14(a) に示すパターンを描画した後に、図14(b) に示すパターンを重ねて描画すれば、図15に示すパターンが得られることになる。しかしながら、この方法では、図17(a) にハッチングを施して示したように、2本のラインLの交差領域CCにおいて、二重描画が行われることになり好ましくない。すなわち、この交差領域CCに対応するレジスト層には、電子ビームが2回照射されることになり、通常のラインLの部分に比べて露光量が2倍になるのである。このため、レジスト層を現像したときに、通常のラインLの部分と、交差領域CCの部分とに差が生じてしまうことになる。このような差を生じさせないために、図17(b) に示すように、交差部分において一方のラインLを分断し、それぞれ重なり合うことのない多数の四角形を定義し、各四角形ごとに露光する方法を採ることもできる。しかしながら、このような方法では、隣接する四角形間距離が非常に小さくなるため、レジスト層に対する露光/現像というプロセスを行う上で支障が生じやすい。
【0049】
そこで本実施例では、次のような方法により、電子ビーム描画を行っている。すなわち、図15に示す多重回折格子パターンの白黒を反転させ、図18に示すようなネガパターンを形成するのである。このネガパターンでは、ラインLの部分が白、四角形のスペースSSの部分が黒で現されている。そして、電子ビームによって、この黒で現されている四角形のスペースSSの領域を描画させるのである。スペースSSの部分はいずれも四角形であり、電子ビーム描画装置には、この四角形の4つの頂点座標値を与えるだけで容易に描画を行うことができる。
【0050】
なお、このような白黒反転処理は、パターンが二値ラスター画像データとして表現されている場合には、「1」と「0」とを入れ換えるだけの処理ですむ。しかしながら、データ量を削減するためには、パターンはベクトルデータとして表現するのが好ましい。この場合は次のような処理を行えばよい。まず、図14(a) ,(b) に示すパターンを、格子線間のスペース領域(図の白い領域)の輪郭線を四角形で表現した二次元図形データ(ベクトルデータ)としてそれぞれ用意する。そしてこれら2つの二次元図形データ間で論理演算を行い、各四角形の交差領域を新たな四角形(図15の白い領域もしくは図18の黒い領域)で表現した二次元図形データを得るようにすればよい。
【0051】
ところで、図17に示すパターンの代わりに、図18に示すネガパターンを用いる場合には、レジスト層として、電子ビームによる露光部分が現像によって残るネガ型レジストを用いる必要がある。以下、このようなネガ型レジストを用いて原版を作成するプロセスを、図19〜図23の側断面図を参照しながら、各段階ごとに順を追って説明する。
【0052】
まず、図19に示すように、基板1の上に原版構成層2を形成し、その上にネガ型のレジスト層3を形成する。この実施例では、基板1としてガラス基板を用い、原版構成層2として金属層(たとえば、銅)を用いている。続いて、図18に示すようなネガパターンに基いて電子ビームを走査し、図に黒で示されている四角形のスペースSSの領域のみを露光する。これにより、図20に示すように、レジスト層3上には露光部3aと非露光部3bとが形成されることになる。露光部3aは図18における黒い領域に相当する部分であり、非露光部3bは図18における白い領域に相当する部分である。続いて、レジストに対する現像を行うと、ネガ型のレジストであるため、非露光部3bが溶出して除去され、図21に示すように、露光部3aのみが残ることになる。そこで、この残存した露光部3aをマスクとして用い、原版構成層2に対するエッチングを行う。すると、図22に示すように、原版構成層2の露出部がエッチング除去され、四角形のスペースSSに相当する領域にだけ、残存層2aおよび露光部3aが残ることになる。回折格子記録媒体をプレスの手法により大量生産する場合は、この図22に示す構造体をそのまま原版60として用いることができる。もちろん、このあと、レジスト(露光部3a)を剥離除去して、図23に示す構造体を原版60として用いてもよい。このような原版60は、四角形のスペースSSの部分が凸状をなす原版である。したがって、この原版を用いてプレス工程を行えば、図16に示すような多重回折格子記録媒体が作成できる。
【0053】
ところで、§2において既に述べたように、本発明では、図9に示すような種々の画素パターンを所定の画素位置に割り付けることにより、モチーフを表現することになる。図9では、説明の便宜上、各画素パターンP1,P2,P12を、所定の画素領域内に所定角度でラインLを引いて示しているが、実際には、これらのラインLあるいはスペースSはいずれも四角形になる。図24は、図9に示す3種類の画素パターンP1,P2,P12が、四角形のラインLおよびスペースSによって構成されている点を強調して示した図である。この例では、前述した基本条件を満足させるために、ライン幅dLとスペース幅dSとの比dL:dS=1:2に設定している。具体的な寸法値としては、この実施例では、dL=0.4μm,dS=0.8μmであり、1画素の大きさは45μm×50μmあるいは50μm×50μm程度であるから、1つの画素領域にはより多数のラインLおよびスペースSが形成されていることになる。
【0054】
前述したように、電子ビーム描画装置に与える描画指示としては、四角形の4頂点座標値を用いるのが一般的である。しかも、一般的に用いられている電子ビーム描画装置では、図のようにXY二次元座標系を定義した場合に、二辺がX軸に平行になるような平行四辺形あるいは二辺がY軸に平行になるような平行四辺形を描画させると、非常に効率良い描画作業を行うことが可能になり、描画時間も短縮されるという性質がある。そこで、本実施例では、スペースS,SSを構成する部分を、上述したいずれかの平行四辺形で表現し、その4頂点の座標値を電子ビーム描画装置に与えるようにして、効率的な描画を可能にしている。
【0055】
たとえば、画素パターンP1では、図の平行四辺形ABCDの4頂点座標値を電子ビーム描画装置に与え、図に斜線ハッチングを施して示したスペースSの領域を描画するようにしている。厳密に言えば、図にドットによるハッチングを施して示した領域Tも、本来描画すべき領域であるが、二辺がX軸に平行な平行四辺形ABCDが、電子ビーム描画装置に与えられる描画領域となるようにするため、領域Tは描画領域からは除外した。このように、輪郭近傍の一部の領域については、描画対象から除外し、二辺がX軸に平行な平行四辺形によってのみ、画素パターンP1の描画領域を定義するようにしたため、非常に効率的な描画が可能になる。
【0056】
また、画素パターンP2では、図の平行四辺形ABCD(実際は長方形)の4頂点座標値を電子ビーム描画装置に与え、図に斜線ハッチングを施して示したスペースSの領域を描画するようにしている。このように、格子線配置角度が90°あるいは0°の場合は、スペースSの領域がすべて長方形になるため、描画対象から除外する領域を設ける必要はない。
【0057】
一方、多重パターンP12では、図の平行四辺形ABCDの4頂点座標値を電子ビーム描画装置に与え、図に斜線ハッチングを施して示した四角形のスペースSSの領域を描画するようにしている。この場合、図に斜線ハッチングを施して示した四角形のスペースSSは、二辺がY軸に平行な平行四辺形になるため、やはり効率的な描画が可能になる。なお、輪郭近傍の変則的な形をしたスペースTT(図にドットによるハッチングを施して示す)も、本来描画すべき領域であるが、描画効率を低下させる要因になるため描画対象からは除外した。
【0058】
なお、図24では、スペースT,TTの領域が強調して描かれているが、実際には、これらの領域は輪郭近傍のほんの一部の領域であるため、描画対象から除外しても、実用上は何ら支障は生じない。
【0059】
§5. 本発明に係る回折格子記録媒体の作成装置
続いて、上述した回折格子記録媒体を効率良く作成するための装置の一例を示しておく。図25は、本発明に係る回折格子記録媒体の作成装置の一実施例を示すブロック図である。ここで、モチーフ画像データ入力装置10は、図5に示すようなモチーフについての画像データを、ワークステーション20に入力するための装置である。たとえば、紙面上に描かれたモチーフの絵柄に基づいてモチーフ画像データを入力するのであれば、このモチーフ画像データ入力装置10としてはスキャナ装置を用いればよい。あるいは、コンピュータを用いたグラフィックソフトウエアで描いた絵柄に基づいてモチーフ画像データを入力するのであれば、たとえば、フロッピディスクドライブ装置をこのモチーフ画像データ入力装置10として用いればよい。
【0060】
ワークステーション20は、入力したモチーフの各画素に、所定の画素パターンを割り付ける処理を行ったり、あるいは2つの画素パターンを重ね合わせて多重画素パターンを作成する処理を行ったりするためのプログラムを搭載したコンピュータであり、キーボードやマウスなどの入力機器およびディスプレイやプリンタなどの出力機器が接続されている。また、記憶装置30は、このワークステーション20に接続されたフロッピディスクドライブ装置やハードディスクドライブ装置などの外部記憶装置である。この記憶装置30内には、面付指示データ、割付指示データ、画素パターンデータ、多重画素パターンデータが保存される。これらの各データの内容については後述する。
【0061】
一方、フォーマット変換装置40は、ワークステーション20から与えられる面付指示データ、割付指示データ、画素パターンデータ、多重画素パターンデータを、電子ビーム描画装置50が要求するフォーマットに適合した描画データに変換する機能をもった装置である。フォーマット変換されたデータは、描画データとして電子ビーム描画装置50に与えられる。§4で述べたように、この描画データは、描画領域を構成する四角形の4頂点の座標値の集合である。こうして、電子ビーム描画装置50によってレジスト層上への描画が行われ、回折格子記録原版60が作成される。プレス装置70は、この回折格子記録原版70を用いて、フィルム上に回折格子パターンをプレスする装置であり、このプレス加工により、回折格子記録媒体80が大量生産されることになる。
【0062】
この装置では、回折格子パターンを形成する種々の画像データが、階層構造をもったデータとして取り扱われる。まず、モチーフ画像データ入力装置10から入力されたモチーフは、ワークステーション20内において、必要に応じて複数の領域に分割される。たとえば、図26に示すように、モチーフが描かれた領域が4つの領域A1〜A4に分割されたものとしよう。このとき、各領域をどの位置に面付けすればよいかを示す面付指示データが作成される。この例では、各領域の左下隅の位置を面付指示データとして用いている。すなわち、領域A1〜A4は左下隅が、それぞれ点Q1〜Q4の位置にくるように面付けされることになる。また、この実施例では、本来のモチーフが表示された領域A1〜A4の他に、位置合わせなどの工程に必要な位置情報U(いわゆるトンボ)を表示したアクセサリ領域A0を定義している。アクセサリ領域A0には、この他、製造番号などを記述することができ、要するに後の工程に必要な工程管理情報を記録しておくことができる。
【0063】
こうして領域分割を行った後、各領域ごとに、割付指示データを作成する処理が行われる。たとえば、領域A1内に、図5に示すような2つのモチーフA,Bを割り付ける場合、図10に示すような対応関係情報が割付指示データとして用意されることになる。また、記憶装置30内には、図9に示すような画素パターンP1,P2および多重画素パターンP12が用意される。ここで、画素パターンP1,P2については、予め記憶装置30内に用意しておくと便利であるが、多重画素パターンP12については、必要に応じて演算により発生させることができる。
【0064】
ここで、割付指示データと画素パターンデータとの関係を考えてみる。画素パターンデータは、図9に示すように、1つの画素を構成するパターンを示すデータであり、割付指示データは、図10に示す対応関係情報のように、各画素位置にどの画素パターンを割り付けるかを指示するデータである。したがって、画素パターンデータを割付指示データの下位階層のデータと考えれば、最終的に回折格子記録媒体上に形成される描画データは、下の階層の画素パターンデータと上の階層の割付指示データとによって表現されることになる。更に、図26に示すような領域分割を行ったことを考えると、最終的に回折格子記録媒体上に形成される描画データは、図27に示すように、上位階層の面付指示データ、中位階層の各割付指示データ、下位階層の各画素パターンデータ、によって表現されることがわかる。
【0065】
このように、階層構造をもった表現を行えば、全領域に実際の格子線のパターンデータを展開した場合に比べ、データ量をかなり低減させることができる。たとえば、1画素には多数の格子線が形成されるため、この1画素についてのデータはかなりの量になるが、階層構造をもった表現を行えば、下位階層のデータとして、画素パターンデータを画素パターンの数だけ用意すれば足りる。
【0066】
こうしてワークステーション20において、上位階層の面付指示データ、中位階層の割付指示データ、下位階層の画素パターンデータ、の3種類の階層データが作成され、記憶装置30内にそれぞれ独立して保存される。しかも、フォーマット変換装置40に対しても、これらの各階層データは、階層構造をもったまま別個に与えられ、フォーマット変換装置40が出力する描画データも、階層構造をもったままのデータとなる。現在普及している電子ビーム描画装置50は、通常、このような階層構造をもった描画データに基づく描画処理を行うことができる。したがって、電子ビーム描画装置50にデータを受け渡すまで、画像データを階層構造をもったデータとして取り扱うことができ、効率良いデータ処理が可能になる。
【0067】
§6. 1つのモチーフについて複数の画素パターンを用いる実施例
これまで述べた実施例は、1つのモチーフについて1つの画素パターンを用いる例であった。すなわち、図5(a) に示すモチーフAについては図9に示す画素パターンP1を用い、図5(b) に示すモチーフBについては図9に示す画素パターンP2を用い、両パターンが重なった部分の画素にだけ図9に示す画素パターンP12を用いていた。しかしながら、1つのモチーフについて複数の画素パターンを用いることも可能である。たとえば、図28に示す例では、モチーフAについて3種類の画素パターンP1,P2,P3を用い、モチーフBについて3種類の画素パターンP4,P5,P6を用いている。この図28に示す6種類の画素パターンP1〜P6は、いずれも格子線の配置角度が少しずつ異なっている。ただ、これら6種類の画素パターンは、互いに格子線の配置角度が近似する2つのグループに分類することが可能である。すなわち、第1のグループは、格子線配置角度が45°付近に設定された画素パターンP1〜P3であり、これらはモチーフAについて用いられる。一方、第2のグループは、格子線配置角度が90°付近に設定された画素パターンP4〜P6であり、これらはモチーフBについて用いられる。
【0068】
45°と90°のように、格子線配置角度が極端に異なる画素パターンは、所定の方向から観察したときに同時に観察されることはない。ところが、±5°程度の角度差しかもたない互いに格子線配置角度が近似した画素パターン(たとえば、図28に示す画素パターンP1〜P3)は、所定の方向から観察したときにも同時に観察されうる。ただ、互いに明るさが若干異なることになる。特開平7−146635号公報には、このような性質を利用して、階調をもったモチーフを表現する手法が開示されている。たとえば、モチーフAを構成する画素の画素値として、前述の例では、「0」または「1」の二値しか定義していなかったが、0〜255で表わされる8ビットの画素値を定義しておき、画素値0〜100の画素については画素パターンP1を割り当て、画素値101〜200の画素については画素パターンP2を割り当て、画素値201〜255の画素については画素パターンP3を割り当てるようにすれば、階調をもったモチーフを表現することが可能になる。モチーフBについても同様に、画素値に応じて3種類の画素パターンP4〜P6のうちのいずれかを割り当てればよい。
【0069】
このように、モチーフAについては画素パターンP1〜P3のいずれかを割り当て、モチーフBについては画素パターンP4〜P6のいずれかを割り当てるようにする方法に本発明を適用するのであれば、両モチーフの双方を構成する画素については、それぞれの画素パターンを重ね合わせた多重画素パターンを割り当てるようにすればよい。たとえば、モチーフAの画素としては画素パターンP1を、モチーフBの画素としては画素パターンP5を、それぞれ重ねて割り当てる必要がある画素位置には、画素パターンP1とP5とを重ねて得られる多重画素パターンを割り当てればよい。
【0070】
図28に示す例の場合、モチーフAのための画素パターンP1〜P3と、モチーフBのための画素パターンP4〜P6との組み合わせによって得られる多重画素パターンは、P14(P1とP4の組み合わせの意味),P15,P16,P24,P25,P26,P34,P35,P36の9通りあることになる。したがって、この9通りの多重画素パターンを用意しておけば、本発明を適用することが可能になる。もっとも、この9通りの多重画素パターンは、もとの画素パターンP1〜P6の画像データに基いて演算により随時発生させることができるので、予めすべての多重画素パターンを用意しておく必要はなく、必要に応じてその都度演算によって発生させればよい。
【0071】
§7. 3つ以上のモチーフを記録する実施例
これまで述べた実施例は、モチーフAとモチーフBという2つのモチーフを重ねて記録する例であった。ここでは、3つ以上のモチーフを重ねて記録する実施例を述べる。いま、図29に示すように、モチーフAについては画素パターンP1(格子線配置角度0°)を用い、モチーフBについては画素パターンP2(格子線配置角度45°)を用い、モチーフCについては画素パターンP3(格子線配置角度90°)を用い、3種類のモチーフA,B,Cを回折格子記録媒体上に記録する場合を考える。格子線配置角度が、0°,45°,90°のように極端に異なる画素パターンは、所定方向から観察した場合に同時に観察されることはないので、観察方向に応じて、それぞれモチーフA,B,Cが別個に観察されることになる。
【0072】
本発明の基本原理は、複数のモチーフを構成する画素については、多重回折格子を割り付けるという点にある。そこで、このような3つのモチーフを記録する場合には、図29の下段に示すように、二重回折格子P12,P23,P13と、三重回折格子P123と、を用意しておき、モチーフA,Bの双方を構成する画素には二重回折格子P12を割り付け、モチーフB,Cの双方を構成する画素には二重回折格子P23を割り付け、モチーフA,Cの双方を構成する画素には二重回折格子P13を割り付け、更に、3つのモチーフA,B,Cのすべてを構成する画素には三重回折格子P123を割り付けるようにすればよい。
【0073】
これを具体的なモチーフについて見てみよう。いま、図30(a) ,(b) ,(c) に示すような3種類のモチーフA,B,Cを1枚の回折格子記録媒体上に重ねて記録することを考える。この場合、図30(d) に示すような対応関係情報が得られる。この対応関係情報の各画素内には、その画素が構成するモチーフ名がアルファベットで示されている。ここで、単一のアルファベット「A」,「B」,「C」が記された画素には、図29に示す画素パターンP1,P2,P3をそれぞれ割り付ければよい。また、2つのアルファベット「AB」,「BC」,「CA」が記された画素には、図29に示す二重画素パターンP12,P23,P13をそれぞれ割り付ければよい。更に、3つのアルファベット「ABC」が記された画素(図では実線で囲ってある)には、図29に示す三重画素パターンP123を割り付ければよい。
【0074】
このように、二重,三重,四重,…といった多重回折格子を用いれば、理論的には、複数のモチーフをいくつでも重ねて記録することが可能である。しかしながら、このような方法により3つ以上のモチーフを重ねて記録する手法は、実用上適用できない。なぜなら、多重画素パターンP12,P23,P13のような二重回折格子は、§3で述べた条件を満足させることにより実現可能であるが、多重画素パターンP123のような三重回折格子あるいは四重以上の回折格子を実現することは非常に困難である。実際のところ、三重回折格子P123を試作してみたが、実用上十分な回折光はいずれの観察方向からも得ることはできなかった。もちろん、特定の条件設定を行えば、実用的な三重回折格子P123を作成できる可能性は否定できないが、現時点では、そのような条件は見出だされていない。
【0075】
そこで、本願発明者は、二重回折格子と副画素とを併用することにより、3つ以上のモチーフを重ねて記録する新規な方法を考え出した。まず、図30に示すモチーフを構成する各画素をそれぞれ4分割し、2行2列に配列された副画素を定義する。そして、図30(d) に示す対応関係情報の各画素内に記されたアルファベットに基いて、図31に示すように、各副画素内に画素パターンP1,P2,P3あるいは多重パターンP12,P23,P13を割り付けるのである。たとえば、単一のアルファベット「A」が記された画素については、これを4分割した各副画素のいずれにも、画素パターンP1を割り付ければよい。同様に、単一のアルファベット「B」が記された画素については、これを4分割した各副画素のいずれにも、画素パターンP2を割り付け,単一のアルファベット「C」が記された画素については、これを4分割した各副画素のいずれにも、画素パターンP3を割り付ければよい。
【0076】
また、2つのアルファベット「AB」が記された画素については、これを4分割した各副画素のうちの、たとえば左上と右下の副画素に画素パターンP1を割り付け、左下と右上の副画素に画素パターンP2を割り付ける。あるいは、4分割した各画素のいずれにも多重画素パターンP12を割り付ける。輝度を向上させる上では、後者の割り付けを行うのが好ましい。2つのアルファベット「BC」が記された画素および「CA」が記された画素についての割り付けも全く同様である。
【0077】
更に、3つのアルファベット「ABC」が記された画素については、これを4分割した各副画素のうちの、たとえば左上と右下の副画素に多重画素パターンP13を割り付け、左下と右上の副画素に多重画素パターンP12を割り付けるのである。あるいは、多重画素パターンP12とP13とを組み合わせて割り付けてもよいし、多重画素パターンP13とP23とを組み合わせて割り付けてもよい。もちろん副画素のどの位置にどの多重画素パターンを割り付けてもかまわない。このような割り付けを行えば、3つのアルファベット「ABC」が記された画素内には、画素の全領域ではないにせよ、必ず配置角度が0°の格子線と、配置角度が45°の格子線と、配置角度が90°の格子線との3つの格子線が存在することになり、画素パターンP1,P2,P3の3つを兼ねることができる。
【0078】
4つのモチーフを重ねて記録する場合にも、同様の手法が利用できる。すなわち、4つのモチーフA,B,C,Dのうち、2つまたは3つのモチーフが重なった画素については、図31に示すような割り付けを行えばよいし、4つのモチーフのすべてが重なった画素については、たとえば、図32に示すように、4分割した各副画素に、多重パターンP12(モチーフAについての画素パターンとモチーフBについての画素パターンとを重ねることによって得られるパターン)と、多重パターンP34(モチーフCについての画素パターンとモチーフDについての画素パターンとを重ねることによって得られるパターン)とを割り付けるようにすればよい。
【0079】
要するに、1つの画素を複数の副画素に分割し、その画素が構成するモチーフに対応づけられた画素パターンの格子線配置角度で配置された格子線が少なくとも1つの副画素に現れるように、各副画素に画素パターンあるいは多重画素パターンを割り付けるようにすれば、3つ以上のモチーフを重ねて記録することが可能になる。もちろん、この手法は、§6で述べたように、1つのモチーフについて複数の画素パターンを用いる実施例にも適用可能である。
【0080】
以上、本発明を図示するいくつかの実施例に基いて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
【0081】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る回折格子記録媒体によれば、多重回折格子により複数のモチーフを表現するようにしたため、複数のモチーフを重ねて表現しても、輝度および画質が低下することのない回折格子記録媒体が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回折格子記録媒体のモチーフとして用いられているパターンおよび画素情報の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る回折格子記録媒体に用いられる画素パターンの一例を示す図である。
【図3】図1に示すモチーフと図2に示す画素パターンとを用いて作成された回折格子記録媒体を示す図である。
【図4】図5に示す2つのモチーフについてそれぞれ用いられる画素パターンの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る回折格子記録媒体に重複して記録される2つのモチーフの例を示す図である。
【図6】図5に示す2つのモチーフと、図4に示す2つの画素パターンとの対応関係を定義する対応関係情報を示す図である。
【図7】図5に示す2つのモチーフを、それぞれ副画素によって表現した状態を示す図である。
【図8】図7に示す2つのモチーフを重ねて配置することにより作成される回折格子記録媒体を示す図である。
【図9】図5に示す2つのモチーフについてそれぞれ用いられる画素パターンP1,P2、およびこれを重ねることにより得られる多重画素パターンP12の一例を示す図である。
【図10】図5に示す2つのモチーフと、図9に示す3つのパターンとの対応関係を定義する対応関係情報を示す図である。
【図11】図10に示す対応関係情報に基いて、各パターンを割り付けることによって作成される回折格子記録媒体を示す図である。
【図12】ライン幅dLとスペース幅dSとの比率が1:1である2種類の回折格子パターンを示す図である。
【図13】図12に示す2種類の回折格子パターンを重ねることにより得られる多重回折格子パターンを示す図である。
【図14】ライン幅dLとスペース幅dSとの比率が1:2である2種類の回折格子パターンを示す図である。
【図15】図14に示す2種類の回折格子パターンを重ねることにより得られる多重回折格子パターンを示す図である。
【図16】図15に示す多重回折格子パターンをもった回折格子記録媒体の構造を示す側断面図である。
【図17】図15に示す多重回折格子パターンの描画方法の一例を示す図である。
【図18】図15に示す多重回折格子パターンのネガパターンを示す図である。
【図19】本発明に係る回折格子記録媒体を大量生産するために用いる原版の製造プロセスの初期段階を示す側断面図である。
【図20】図19に示す状態において、レジスト層3に対して描画を行った状態を示す側断面図である。
【図21】図20に示す状態において、レジスト層を現像した状態を示す側断面図である。
【図22】図21に示す状態において、原版構成層2に対するエッチングを行った状態を示す側断面図である。
【図23】図22に示す状態から、残存レジストを剥離除去し、原版の製造を完了した状態を示す側断面図である。
【図24】本発明に係る回折格子パターンおよび多重回折格子パターンを、電子線で描画するための手法を示す平面図である。
【図25】本発明に係る回折格子記録媒体を作成する装置構成の一例を示すブロック図である。
【図26】図25に示す装置において利用される面付指示データを説明するための図である。
【図27】図25に示す装置によって取り扱われるデータの階層構造を示す図である。
【図28】1つのモチーフについて複数の画素パターンを用いる実施例を示す図である。
【図29】3つのモチーフを重ねて記録する際に用いる画素パターンおよび多重画素パターンを示す図である。
【図30】図29に示す画素パターンおよび多重画素パターンを用いて表現される3つのモチーフと、画素の対応関係とを示す図である。
【図31】副画素を用いて、3つのモチーフを重ねて記録する実施例を示す図である。
【図32】副画素を用いて、4つのモチーフを重ねて記録する実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…基板
2…原版構成層
3…レジスト層
3a…露光部
3b…非露光部
10…モチーフ画像データ入力装置
20…ワークステーション
30…記憶装置
40…データフォーマット変換装置
50…電子ビーム描画装置
60…回折格子記録原版
70…プレス装置
80…多重回折格子記録媒体
85…窪み
86…遮蔽壁
A,B,C…モチーフ
CC…交差領域
D1,D2…観察方向
L…格子線のライン
P1〜P6…画素パターン
P12,P13,P23,P123…多重画素パターン
R1,R2…対応関係情報
S…格子線のスペース
SS…四角形のスペース
T…描画対象から除外されたスペース
TT…描画対象から除外されたスペース
U…トンボマーク(位置情報)
V…格子線を配置する閉領域
X,Y…座標軸
dL…格子線のライン幅
dS…格子線のスペース幅
p…格子線のピッチ
θ…格子線の配置角度
Claims (6)
- 回折格子により複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体において、
所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子線の配置角度が近似する画素パターンを1グループとして複数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフのそれぞれについて1グループを対応づけ、
異なるグループに所属する2つの画素パターンについて、それぞれに配置されている格子線を同一の画素閉領域内に重ねて配置することにより得られる多重画素パターンを定義し、
単一のモチーフのみを構成する画素には、そのモチーフに対応づけられたグループに所属する画素パターンを割り付け、2つのモチーフを構成する画素には、各モチーフに対応づけられた2つのグループにそれぞれ所属する画素パターンについて定義された多重画素パターンを割り付けたことを特徴とする回折格子記録媒体。 - 回折格子により複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体において、
所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子線の配置角度が近似する画素パターンを1グループとして複数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフのそれぞれについて1グループを対応づけ、
異なるグループに所属する2つの画素パターンについて、それぞれに配置されている格子線を同一の画素閉領域内に重ねて配置することにより得られる多重画素パターンを定義し、
単一のモチーフのみを構成する画素については、これを分割して得られる各副画素に、そのモチーフに対応づけられたグループに所属する画素パターンを割り付け、
複数のモチーフを構成する画素については、これを分割して得られる各副画素に、各モチーフに対応づけられたグループのそれぞれに所属する画素パターンもしくはその多重画素パターンを割り付け、各グループに関連した格子線配置角度で配置された格子線が少なくとも1つの副画素に現れるように構成したことを特徴とする回折格子記録媒体。 - 請求項1または2に記載の回折格子記録媒体において、
ライン幅dLとスペース幅dSとの間に、dS≧2・dLなる関係が得られるような格子線を用いたことを特徴とする回折格子記録媒体。 - 請求項3に記載の回折格子記録媒体において、
格子線のライン部分が凸部、スペース部分が凹部をなすように構成したことを特徴とする回折格子記録媒体。 - 請求項4に記載の回折格子記録媒体において、
所定の可視波長λに対して、dS>λなる式を満足するようなスペース幅dSをもった格子線を用いたことを特徴とする回折格子記録媒体。 - 請求項5に記載の回折格子記録媒体において、
記録媒体表面に立てた法線に対して所定の観察角度θを定義し、(dS+dL)・sinθ=λなる式を満足するようなライン幅dLおよびスペース幅dSをもった格子線を用いたことを特徴とする回折格子記録媒体。
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