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JP3634930B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温焼成が可能な高誘電率系誘電体磁器組成物に関するもので、特に静電容量の温度特性に優れた高誘電率系セラミックコンデンサや積層型セラミックコンデンサ、更にはアキシャルコンデンサ、ディスクコンデンサ、厚膜コンデンサ等の誘電体材料として好適な誘電体磁器組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高誘電率系セラミックコンデンサや積層型セラミックコンデンサに用いられる誘電体材料としては、比誘電率が6000〜10000程度のチタン酸バリウム(BaTiO)系の誘電体磁器組成物があり、なかでも前記誘電体磁器組成物を用いたものとして電気容量の観点から積層型セラミックコンデンサに多く適用されてきた。
【0003】
積層型セラミックコンデンサは、一般に誘電体磁器組成物から成るグリーンシート上に電極を形成し、該グリーンシートを所定の電気容量となるように複数枚積層して前記電極を同時に焼成一体化し、複数の誘電体層の間に内部電極を形成して構成されている。
【0004】
しかしながら、前記チタン酸バリウム(BaTiO)系の誘電体磁器組成物は、焼成温度が1300〜1400℃程度と高く、しかも積層型セラミックコンデンサの誘電体材料として使用するためには、同時焼成する内部電極材料として高融点、高温還元性の貴金属であるパラジウム(Pd)や白金(Pt)等を使用しなければならず、安価で小型・大容量の積層型セラミックコンデンサを製造することが困難であるという欠点があった。
【0005】
そこで、従来、上記欠点を解決した非還元性誘電体磁器組成物として、本願出願人による特公平6ー78189号公報が知られている。
【0006】
この公報に開示される非還元性誘電体磁器組成物は、(1−x−y)BaTiO+BaZrO+y(Ca1−a Sr)ZrOからなる基本成分と、Y、MnO、Al、NiOからなる添加成分を含むもので、このような誘電体磁器組成物では、還元雰囲気中で1300℃〜1340℃で焼成され、比誘電率が8000以上と高く、絶縁抵抗も2.9×10MΩ以上と高く、優れた誘電特性を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ダウンサイジングの進む電子部品にあっては、より小型化、高容量化を図るために誘電体磁器組成物から成る薄板状焼結体(誘電体層)の薄板化が要求されるようになり、現在その要求厚さは10μm以下となってきている。
【0008】
しかしながら、上記特公平6ー78189号公報に開示される誘電体磁器組成物では、積層セラミックコンデンサを製造する際、誘電体層を薄くすると一対の内部電極間の絶縁耐圧が低下するという問題があった。
【0009】
また、静電容量の増大を図るための別の方法として、比誘電率が高い磁器を使用する方法があるが、従来の誘電体磁器では比誘電率の向上に限界があり、高容量化に限界があった。
【0010】
さらに、前記誘電体材料を用いて、厚さが5μm以下の薄層から成る積層型コンデンサを作製した場合、85℃で電界強度が1.2×10V/mmの直流電圧を印加した高温負荷寿命が10時間未満と短く、また焼成温度が1300℃以上と高いため、100層を越える積層体では、内部電極の縮みによる構造欠陥が発生しやすかった。この為小型で大容量のコンデンサの製造が困難であった。
【0011】
本発明は前記課題に鑑みなされたもので、その目的は、室温での比誘電率が10000以上と高く、1200℃未満の低温焼成で厚さ5μm以下の表面平滑な薄板状焼結体を得ることができ、厚さ5μm以下の誘電体層を有する積層セラミックコンデンサを作製した場合でも高温負荷寿命が40時間以上と長く、100層以上の積層体においても構造欠陥の発生しない小型・大容量の積層型セラミックコンデンサをはじめ、各種コンデンサに適用し得る誘電体磁器組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体磁器組成物は、【請求項1】金属元素として少なくともBa、Ca、TiおよびZrを含有し、これらの金属元素酸化物の組成式を
(Ba1−xCa)(Ti1−yZr)O
と表した時、前記x、yがそれぞれ
0.01≦x≦0.10
0.10<y<0.26
を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、酸化イットリウムをY換算で0.2〜1.0重量部、マンガン化合物をMnO換算で0.15〜0.3重量部、アルミナをAl換算で0.1〜1.0重量部、酸化ニッケルをNiO換算で0.1〜1.0重量部、更に(1−α)LiO−αSiO(0.3<α<0.7 モル比)を0.1〜1.0重量部含有してなるものである。
【0013】
【作用】
本発明の誘電体磁器組成物によれば、チタンジルコン酸バリウムカルシウムから成る複合酸化物を主成分とする誘電体磁器組成物に、Y、NiO、MnO、Alを含有させ、さらにLiOとSiOを含有させたことから、比誘電率を10000以上に維持し、かつ1200℃未満での還元雰囲気中での低温焼成を可能としながら、厚さ5μm以下の薄層から成る積層型コンデンサであっても、Y5V特性を満足することができるようになる。
【0014】
また、1200℃未満で焼成可能なため、100層以上積層したとしても、内部電極の異常粒成長がなく、凝縮もなく、内部電極の収縮による構造欠陥が発生しない。
【0015】
さらに、誘電体磁器組成物として基本的な特性である誘電損失tanδが1.0%以下、絶縁抵抗IRが1.0×10MΩ以上を満足し、85℃で電界強度が1.2×10V/mmの直流電圧を印加した高温負荷試験で40時間以上不良が発生せず、さらに焼成温度が1200℃未満と工業的にも製造し易くなり、各種セラミックコンデンサに適用可能な誘電体磁器組成物が得られる。
【0016】
特に、本願発明では、(1− α)LiO−αSiO(0.3<α<0.7モル比)を0.1〜1.0重量部含有することにより、85℃で電界強度が1.2×10V/mmの直流電圧を印加した高温負荷試験で40時間以上不良が発生しにくくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体磁器組成物は、組成式を(Ba1−xCa)(Ti1−yZr)Oと表した時、x、yがそれぞれ0.01≦x≦0.1、0.1<y<0.26で示される主成分100重量部に対して、酸化イットリウムをY換算で0.2〜1.0重量部、マンガン化合物をMnO換算で0.15〜0.3重量部、アルミナをAl換算で0.1〜1.0重量部、酸化ニッケルをNiO換算で0.1〜1.0重量部、更に(1−α)LiO−αSiOで表される混合物を0.1〜1.0重量部含有してなるものである。
【0018】
本発明において、チタンジルコン酸バリウムカルシウムから成る複合酸化物を(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)Oと表した時、xを0.01〜0.1としたのは、モル分率xが0.01未満の場合には絶縁抵抗が1×10MΩよりも小さくなり、モル分率xが0.1を越える場合には、室温における比誘電率εrが10000未満と小さくなるからである。また、yを0.1<y<0.26としたのは、モル分率yが0.1以下や0.26以上の場合、室温における比誘電率εrが10000未満と小さくなるからである。
【0019】
従って、Y5V特性を満足し、10000以上の高い比誘電率を維持し、かつ小型・大容量の積層コンデンサをはじめとする各種コンデンサを得るためには、xの値は0.01〜0.1以下、yの値は0.1を越え0.26未満に特定され、とりわけxの値は0.03〜0.08、yの値は0.18〜0.20の範囲が望ましいものである。
【0020】
また、酸化イットリウム(Y)は、誘電体磁器組成物の比誘電率と絶縁抵抗を調整するものであり、その含有量が上記した主成分100重量部に対して、酸化イットリウムをY換算で0.2〜1.0重量部含有せしめたのは、0.2重量部未満では比誘電率が9000未満と小さくなり実用範囲外となる。
【0021】
また1.0重量部を越えると、室温における比誘電率εが9000未満と小さくなり、絶縁抵抗IRが大きく低下してしまい実用範囲外となるため、0.2〜1.0重量部に特定され、より望ましくは0.3〜0.6重量部となる。
【0022】
更に、マンガン化合物は、主成分100重量部に対して、MnO換算で0.15〜0.3重量部含有するもので、例えば誘電体磁器組成物の誘電損失tanδを改善し、絶縁抵抗を改善するものである。
【0023】
一方、アルミナ化合物は、例えば誘電体磁器組成物の焼結性を向上させるために含有させるものであり、主成分100重量部に対して、アルミナをAl換算で0.1〜1.0重量部含有せしめたのは、酸化アルミニウム(Al)に換算して0.1重量部未満では比誘電率が10000以下と低下し、1.0重量部を越えると、誘電損失tanδが1.0%を越えて、比誘電率が9000以下となってしまう。含有量は0.1〜1.0重量部に特定され、より望ましくは0.2〜0.4重量部が望ましい。
【0024】
また、酸化ニッケル(NiO)は、誘電体磁器組成物の絶縁抵抗を調整するものであり、その含有量を主成分100重量部に対してNiO換算で0.1〜1.0重量部含有せしめたのは、0.1重量部未満では、絶縁抵抗が実用以下となり、1.00重量部を越えると比誘電率が9000以下となってしまう。含有量は0.1〜1.0重量部に限定され、より望ましくは、0.2〜0.6重量部が望ましい。
【0025】
また、LiOとSiOを含有せしめたのは、誘電体磁器組成物の焼成温度を低下させ、信頼性(高温負荷試験)を向上させるためであり、(1− α)LiO−αSiOで表されるものを0.1〜1.0重量部含有せしめたのは、0.1重量部未満では1300℃以上にならないと焼結せず、信頼性も低下する。
【0026】
1.0重量部より多いと比誘電率が9000以下となってしまう。含有量は0.1〜1.0重量部に限定され、特に0.2〜0.5重量部が望ましい。
【0027】
LiOとSiOの混合比を決めるαは、0.3以下の時は、比誘電率が9000以下となり、0.7以上の時は絶縁抵抗が小さくなる傾向にある。特に0.4〜0.6が望ましい。
【0028】
本発明の誘電体磁器組成物は、金属元素酸化物の組成式を(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)Oと表した時、x、yがそれぞれ0.03≦x≦0.08、0.18≦y≦0.20を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、酸化イットリウムをY換算で0.3〜0.6重量部、マンガン化合物をMnO換算で0.15〜0.3重量部、アルミナをAl換算で0.2〜0.4重量部、酸化ニッケルをNiO換算で0.2〜0.6重量部、更に(1− α)LiO−αSiOで表されるものを0.2〜0.5重量部含有してなり、0.4≦α≦0.6を満足することが望ましい。
【0029】
本発明の誘電体磁器組成物からなる磁器は、通常、結晶相として、Y、Al、Niが固溶した(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)O相が主結晶相となり、この主結晶相の粒界にMnO相および(1− α)LiO−αSiOで表されるガラスが存在する。尚、Y、Al、Niが固溶した(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)O相が主結晶相で、これらの結晶相の粒界に、Y相、Al相、NiO相、MnO相が存在することもある。また、LiO、SiOは、主結晶相中に固溶することもある。
【0030】
また、主結晶の平均結晶粒径は、2〜4μmであることが、信頼性(薄層化)という観点から望ましい。
【0031】
本発明の誘電体磁器組成物は、不純物としてSrO等が混入する場合があり、また、粉砕ボールからAlやZrO等が混入する場合もある。
【0032】
本発明の誘電体磁器組成物は、モル分率xが0.01〜0.1、モル分率yが0.1を越え0.26未満で平均粒径が1μm以下である(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)O粉末を用い、この(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)O粉末100重量部に対して、イットリア(Y)、マンガン化合物(MnCO)、ニッケル化合物(NiO)、アルミナ(Al)及びSiO、LiOの各粉末を所定量添加し、それらの混合粉末を、例えばZrOボールを用いたボールミルにて湿式混合粉砕する。
【0033】
次いで、前記混合粉砕物に有機系粘結剤と媒体から成るバインダーを添加して攪拌してセラミック泥漿を調製した後、得られたセラミック泥漿を脱泡し、該泥漿を用いてドクターブレード法により台板上に所定厚さの誘電体層の成形膜を作製した。この工程を繰り返し誘電体層の成形膜を塗り重ね、積層成形体を作製し、該積層体を還元雰囲気中で1100〜1300℃の範囲の各温度で1〜3時間焼成した後、大気中において800〜900℃で0.5〜3時間再酸化処理することにより得られる。
【0034】
【実施例】
先ず、出発原料としてチタン酸バリウム(BaTiO)とカルシア(CaO)、ジルコニア(ZrO)により、モル分率xが0〜0.11、モル分率yが0.1〜0.26未満で平均粒径が1μm以下である(Ba1−x Ca)(Ti1−y Zr)Oからなる主成分を作製する。この主成分100重量部に対して、イットリア(Y)、マンガン化合物(MnCO)、ニッケル化合物(NiO)、アルミナ(Al)及びSiO、LiOの各粉末を、表1,2に示す量(重量部)だけ秤量し、それらの粉末をZrOボールを用いたボールミルにて20時間湿式混合粉砕した。
【0035】
【表1】
Figure 0003634930
【0036】
【表2】
Figure 0003634930
【0037】
次いで、混合粉砕物に有機系粘結剤と媒体から成るバインダーを添加し攪拌してセラミック泥漿を調製した後、得られたセラミック泥漿を脱泡し、該泥漿を用いてドクターブレード法により台板上に厚さ約10μmの成形膜を作製した。乾燥後繰り返し成形膜を100回塗り重ね厚さ1mmの積層体を作製し、該積層体を直径20mmの円板状に打ち抜き、還元雰囲気中で表3、4で示す温度で2時間焼成した後、大気中800℃で1時間再酸化処理した。
【0038】
その後、円板状焼結体の両端面にInーGaを塗布し、評価用試料とした。
【0039】
かくして得られた評価用試料を用い、先ず、基準温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧1.0Vrmsの測定条件で、評価用試料の比誘電率εr及び誘電損失tanδを測定し、更に、直流電圧50Vを1分間印加した時の絶縁抵抗IRを測定した。
【0040】
測定結果から、比誘電率εが10000未満では、例えば積層型セラミックコンデンサでは小型化ができないため、10000以上を良とし、更に、誘電損失tanδは、1.0%以上になると、例えばコンデンサのチップ化が困難となる等のため、1.0%未満を良と評価した。一方、絶縁抵抗IRは、1.0×10MΩ未満では、積層型セラミックコンデンサとして絶縁抵抗の規格を満足せず、絶縁不良となるため、1.0×10MΩ以上を良と評価した。
【0041】
更に、アルキメデス法で密度を測定し、該密度が5.7g/cm以下ではこれら高誘電率系の誘電体磁器組成物は焼成不十分であることを示しており、1200℃未満の低温焼成で実用的な焼結体が得られないことから、密度は5.7g/cm以上を良と評価した。以上の結果を、表3,4に示す。尚、試料No.22、25、26は参考試料を示す。
【0042】
【表3】
Figure 0003634930
【0043】
【表4】
Figure 0003634930
【0044】
表3,4から明らかなように、試料番号1、20、21、36、58では絶縁抵抗が規格外となり、試料番号45は焼成温度が1310℃となっている。また、試料番号1、9、21、35、36、58は、誘電損失が1.00%以上と大きい。さらに、試料8、9、13、14、20、27、28、35、44、45、54、55は比誘電率が10000より小さくなり積層セラミックコンデンサの小型化ができない。
【0045】
それに対して、本願発明の試料番号のものは、比誘電率が10000以上と高く、焼成温度は1200℃以下と低く、誘電損失も1.00%以下、密度は5.7g/cm以上、更に絶縁抵抗も1.0×10MΩといずれの要求特性をも満足するものになっている。
【0046】
次に、表1,2に示す組成で上記と同様にして調製したセラミック泥漿を用いて成形した厚さ7μmの各成形膜上に、Ni粉末から成る内部電極用ペーストを用いて電極を所定形状にスクリーン印刷した後、成形膜を塗り重ね、印刷→成形膜をそれぞれ20回繰り返した。こうして得られた積層体を、所定寸法に切断してグリーンチップを作製した。
【0047】
得られたグリーンチップを大気中、400℃の温度で2時間保持してバインダーを完全に分解して脱バインダーした後、それぞれ各組成に対応した表3,4に示す焼成温度で還元雰囲気中2時間保持して焼成した後、Air雰囲気中で800℃1時間酸化処理を行った。
【0048】
その後、Cuから成る外部取り出し電極を焼き付け、評価用のチップコンデンサを作製した。
【0049】
尚、前記評価用チップコンデンサの誘電体層一層の厚さは、いずれも5μmであり、型式2125型、有効積層数20層であった。
【0050】
かくして得られた評価用チップコンデンサを用い、先ず、基準温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧1.0Vrmsの測定条件で、評価用チップコンデンサの静電容量及び誘電損失を測定し、基準温度25℃の静電容量に対する−30℃から+85℃までの温度における静電容量の温度変化率TCCを測定した。
【0051】
さらに、85℃で電界強度が1.2×10V/mmの直流電圧の印加状態を保つ高温負荷試験を行った。この高温負荷試験は、300個の評価用チップコンデンサについて行い、最初にショートとしたチップコンデンサの、電圧印加開始からショートに至るまでの時間を測定することにより行った。
【0052】
高温負荷試験は、40時間未満に不良が発生した場合、積層型セラミックコンデンサの規格を満足しなくなることから、40時間以上不良が発生しないことを良とした。
【0053】
【表5】
Figure 0003634930
【0054】
【表6】
Figure 0003634930
【0055】
表5,6から明らかなように、試料番号1では温度特性TCCが規格外となり、試料9、13も規格を満足しない。規格に適合しても例えば、試料番号8、14、20、27、28、35、44、54、55は、いずれも静電容量が350nF未満と小さく、積層型セラミックコンデンサの小型化が実現できない。
【0056】
また、試料番号1、9、14、21、35、36、58は、誘電損失が7.5%以上となって実用範囲外となっている。
【0057】
それに対して、本願発明の試料番号のチップコンデンサは、いずれも静電容量が350nF以上と高く、焼成温度も1200℃以下と低く、かつ誘電損失も7.5%以下と小さく、温度特性もY5V特性を満足する。
【0058】
また、 また、(1− α)LiO−αSiOを含有しない試料No.45では、高温負荷試験において40時間未満に不良が発生することが判る。そして、この試料No.45では、誘電体層の薄層化に伴う導電性ペーストの収縮で、内部電極にデラミネーションが発生し、信頼性が悪くなることが判る。尚、高温負荷試験において40時間未満に不良が発生する試料No.1、20、21、36、58については、絶縁抵抗の低下による不良である。
【0059】
【発明の効果】
本発明の誘電体磁器組成物は、チタンジルコン酸バリウムカルシウムから成る複合酸化物を主成分とし、該主成分に酸化イットリウム、アルミナ、酸化ニッケル、マンガン化合物、さらにLiOとSiOを含有させたことから、比誘電率が10000以上、還元雰囲気中で1200℃未満の低温焼成が可能で、厚さ5μm以下の薄板表面が平滑で緻密な薄板状焼結体を得ることができるとともに、積層セラミックコンデンサを製造した際、誘電体層の厚みを5μm以下とした場合でも高温負荷寿命が長く、EIA規格のY5V特性を満足し、安価な内部電極材料を用いた小型・大容量の積層型セラミックコンデンサをはじめ、各種コンデンサに適用できる誘電体磁器組成物を得ることができる。

Claims (1)

  1. 金属元素として少なくともBa、Ca、TiおよびZrを含有し、これらの金属元素酸化物の組成式を
    (Ba1−xCa)(Ti1−yZr)O
    と表した時、前記x、yがそれぞれ
    0.01≦x≦0.10
    0.10<y<0.26
    を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、酸化イットリウムをY換算で0.2〜1.0重量部、マンガン化合物をMnO換算で0.15〜0.3重量部、アルミナをAl換算で0.1〜1.0重量部、酸化ニッケルをNiO換算で0.1〜1.0重量部、更に(1−α)LiO−αSiO(0.3<α<0.7 モル比)を0.1〜1.0重量部含有してなることを特徴とする誘電体磁器組成物。
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