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JP3613806B2 - フェニルビシクロヘキサン誘導体 - Google Patents

フェニルビシクロヘキサン誘導体 Download PDF

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JP3613806B2
JP3613806B2 JP07498494A JP7498494A JP3613806B2 JP 3613806 B2 JP3613806 B2 JP 3613806B2 JP 07498494 A JP07498494 A JP 07498494A JP 7498494 A JP7498494 A JP 7498494A JP 3613806 B2 JP3613806 B2 JP 3613806B2
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真治 小川
貞夫 竹原
晴義 高津
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電気光学的表示材料として有用な新規なフェニルビシクロヘキサン誘導体である新規液晶化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知られているが、このうち現在最もよく用いられているのはTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。これらのうち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画質の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラー化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶表示方式の主流になると考えられている。
【0003】
このアクティブマトリックス表示方式に用いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、種々の特性が要求されているが、特に(1)液晶相の温度範囲が広いこと、(2)比抵抗が高く、電圧の保持率に優れること、(3)しきい値電圧(Vth)が低いこと、(4)適当な屈折率異方性(Δn)を有することの4点は重要である。
【0004】
液晶表示においてしきい値電圧を低くするためには、液晶材料の誘電率異方性(Δε)を大きくする必要がある。通常、液晶組成物のΔεを大きくするためにはシアノ基を有する化合物を用いることが多いが、このシアノ基を有する化合物は、液晶組成物の高い比抵抗値や電圧保持率を得ることを困難にさせる傾向を有する。従って、前述のような目的にはシアノ系の化合物ではなく、フッ素系の液晶材料が用いる必要がある。
【0005】
また、液晶表示においては、セルの着色を防止するために、そのセル厚(d)とΔnの積(Δn・d)を特定の値に設定する必要がある。(Δn・d)としては不連続ないくつかの値が可能であるが、アクティブマトリックス駆動においては通常、その最小値0.5(ファーストミニマム)が用いられることが多い。セル厚(d)はあまり薄くすることができないので、液晶材料のΔnはある程度小さいことが必要である。
【0006】
また、液晶組成物の温度範囲を特に高温域に拡大するためには、3環性あるいは4環性の液晶化合物が用いられる。しかしながら、上記のようなフッ素系の液晶化合物においては、3環性化合物ではそのTN−I(ネマチック相上限温度)が充分高いものは少なく、従って、4環性の化合物を必要とすることが多い。
【0007】
これまで知られているフッ素系4環性液晶化合物の例を以下に示す。
【0008】
【化2】
Figure 0003613806
【0009】
(式中、R’はアルキル基を、Xは水素原子又はフッ素原子を表わす。また、式中には特に示していないが、ベンゼン環は更にフッ素置換されている場合がある。)
これらの中で、一般式(IIA)及び(IIB)の化合物はΔnが大きく、また相溶性もよくない。一般式(IIC)及び(IID)の化合物はΔnがやや大きいうえに、その添加により組成物のVthを大きく上昇させてしまう。また、一般式(IIE)の化合物はそのターシクロヘキシル骨格の製造が困難であるといった問題点があった。
【0010】
従って、TN−Iの高いフッ素系4環性液晶化合物であって、Δnがある程度小さく、他の液晶化合物との相溶性がよく、且つそれを添加しても組成物のVthをさほど上昇させない化合物が求められていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0012】
【化3】
Figure 0003613806
【0013】
(式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基を表わすが、好ましくは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表わす。Y及びYはそれぞれ独立的に、水素原子又はフッ素原子を表わすが、少なくとも一方はフッ素原子を表わすことが好ましい。Zはフッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表わすが、好ましくはフッ素原子を表わす。また、シクロヘキサン環はトランス配置である。)
で表わされるフェニルビシクロヘキサン誘導体を提供する。
【0014】
本発明の一般式(I)の化合物の中でも、Y、Y及びZのうちの少なくとも1個がフッ素原子を表わす化合物が好ましく、Y、Y及びZのうちの少なくとも2個がフッ素原子を表わす化合物が特に好ましい。
【0015】
更に具体的には、Zがフッ素原子を表わすことが好ましく、▲1▼Y及びZが共にフッ素原子を表わし、Yが水素原子を表わす化合物あるいは▲2▼Y、Y及びZがすべてフッ素原子を表わす化合物が好ましい。
【0016】
また、上記のような化合物においてはRが炭素原子数1〜7の直鎖状のアルキル基を表わすことが好ましい。
本発明の一般式(I)で表わされるネマチック液晶化合物の最大の特徴は、TN−Iが高いフッ素系4環性化合物であり、それを添加することにより、組成物の液晶相上限温度を高温域に大きく上昇させるにもかかわらず、そのVthをあまり上昇させない点にあり、特にアクティブマトリックス駆動用液晶材料として適している。
【0017】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、例えば、以下の製造工程A〜Dのいずれかに従って製造することができる。
(製造工程A)
【0018】
【化4】
Figure 0003613806
【0019】
(式中、R、Y、Y及びZは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
一般式(IIa)で表わされるウィッティヒ反応剤を、一般式(IIIa)で表わされるシクロヘキシルシクロヘキサノン誘導体と反応させることにより、一般式(IVa)で表わされるアルキリデンビシクロヘキサン誘導体を得ることができる。これを水素添加することにより、本発明の一般式(I)の化合物を得ることができる。
(製造工程B)
【0020】
【化5】
Figure 0003613806
【0021】
(式中、R、Y、Y及びZは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
一般式(IIb)で表わされるウィッティヒ反応剤と、一般式(IIIb)で表わされるビシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体を上記製造工程Aと同様に反応させることにより、一般式(IVb)で表わされるエテニルビシクロヘキサン誘導体を得ることができる。これを同様に水素添加することにより、本発明の一般式(I)の化合物を得ることができる。
(製造工程C)
【0022】
【化6】
Figure 0003613806
【0023】
(式中、R、Y、Y及びZは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
一般式(IIIc)で表わされるウィッティヒ反応剤と、一般式(IIc)で表わされるシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体を上記製造工程Aと同様に反応させることにより、一般式(IVb)のエテニルビシクロヘキサン誘導体を得て、これを同様に水素添加することにより、本発明の一般式(I)の化合物を得ることができる。
(製造工程D)
【0024】
【化7】
Figure 0003613806
【0025】
(式中、R、Y、Y及びZは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
一般式(IIId)で表わされるウィッティヒ反応剤と、一般式(IId)で表わされるシクロヘキサノン誘導体を反応させることにより、一般式(IVc)で表わされるアルキリデンシクロヘキサン誘導体を得ることができる。これを水素添加することにより、本発明の一般式(I)の化合物を得ることができる。
【0026】
上記各製造工程中、製造工程(A)及び(D)ではシクロヘキサンがシス配置の異性体が副成するため、製造工程(B)及び(C)が好ましく、製造工程(B)がより好ましい。
【0027】
斯くして製造される一般式(I)で表わされる化合物の代表的なものの例を第1表に掲げる。
【0028】
【表1】
Figure 0003613806
【0029】
(表中、Cは結晶相を、SBはスメクチックB相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)
第1表から、本発明の一般式(I)で表わされる化合物はTN−Iが高く、従って通常の母体液晶に添加することにより、その転移温度を大きく上昇させることが可能である。しかも、後述するように、添加によって組成物のしきい値電圧を上昇させることは極めて少ない。
【0030】
従って、本発明の一般式(I)の化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、特にTN型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材料として、好適に使用することができる。しかも、一般式(I)の化合物は、その分子内にシアノ基やエステル結合などの強い極性基を有さないため、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易である。そのため、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として特に適している。
【0031】
本発明はこの一般式(I)で表わされる化合物の少なくとも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物をも提供する。
本発明の液晶組成物において、一般式(I)の化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物において、ベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0032】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0033】
本発明の一般式(I)の化合物の効果は、後述の実施例にも示したが、以下の例からも明らかである。
ネマチック液晶材料として特にアクティブマトリックス用として好適な母体液晶(M)
【0034】
【化8】
Figure 0003613806
【0035】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)は116.7℃以下でネマチック相を示し、Δεは4.7であり、これを用いて作製したセル厚8μmのTNセルのしきい値電圧(Vth)は2.49Vである。また、そのΔnは0.090であった。
【0036】
この母体液晶(M)80重量%及び第1表中の(No.1)の化合物20重量%からなる液晶組成物(M−1)を調製したところ、そのTN−Iは148.5℃と大幅に上昇した。また、Δεは4.8とやや大きくなった。同様にしてセルを作製し、そのVthを測定したところ、2.66Vとその上昇はわずかであった。また、そのΔnは0.090と変わらなかった。更に、この組成物の比抵抗は1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高かった。
【0037】
これに対して、(No.1)の化合物に代えて、この化合物の類似構造を有する式(R−1)
【0038】
【化9】
Figure 0003613806
【0039】
の化合物を用いて、同じ母体液晶(M)80重量%及び式(R−1)の化合物20重量%からなる液晶組成物(MR−1)を調製した。(MR−1)のTN−Iは149.4℃と(M−1)とほぼ同程度であった。しかしながら、そのΔεは5.2と(M−1)より大きくなったにもかかわらず、同様にしてセルを作製して測定したVthは、2.70Vと(M−1)より高くなった。更に、Δnは0.105と大きくなった。
【0040】
次に、同じ母体液晶(M)80重量%及び第1表中の(No.3)の化合物20重量%からなる液晶組成物(M−3)を調製した。(M−3)のTN−Iは141.5℃と母体液晶(M)よりも大幅に上昇した。Δεは5.5と大きくなり、同様にしてセルを作製して測定したVthは、2.47Vと母体液晶(M)よりも低下した。また、Δnは0.090と母体液晶(M)と変わらなかった。更に、この組成物の比抵抗も1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高かった。
【0041】
以上のことから、本発明の一般式(I)の化合物は、液晶組成物のネマチック相上限温度を高温域に大きく上昇させると同時に、従来から知られている4環性の液晶化合物と比較してもそのVthの上昇を低く抑えることが可能であり、Δnも上昇させないことが明らかである。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。NMRにおけるCDClは溶媒を表わし、sは1重線、dは2重線、tは3重線、mは多重線を表わし、Jはカップリング定数を表わす。MSにおけるMは親ピークを表わす。また、組成物における「%」は「重量%」を表わす。
(参考例1) 臭化(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムの合成
【0044】
【化10】
Figure 0003613806
【0045】
トリフェニルホスフィン153.4gのトルエン50ml溶液に、1−ブロモメチル−トランス−4−プロピルシクロヘキサン107.0gを加え、8時間加熱還流させた。減圧下にトルエンを溜去し、テトラヒドロフラン(THF)300mlを加え、更に5時間加熱還流させた。室温まで放冷し、析出した結晶を濾別し、減圧下に乾燥させて、臭化(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムの結晶145.1gを得た。濾液を濃縮して得られた残渣は、トリフェニルホスフィン及び1−ブロモメチル−トランス−4−プロピルシクロヘキサンを含み、これをトルエン25mlに溶解し、同様の操作を繰り返すことにより、更に48.0gの目的物を得た。
(参考例2) 臭化(トランス−4−エチルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムの合成
参考例1において、1−ブロモメチル−トランス−4−プロピルシクロヘキサンに代えて、1−ブロモメチル−トランス−4−エチルシクロヘキサン100gを用いた以外は参考例1と同様にして、臭化(トランス−4−エチルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムの結晶135.1gを得た。
(実施例1) トランス−4−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサン(第1表中のNo.1の化合物)の合成
【0046】
【化11】
Figure 0003613806
【0047】
参考例1で得られた臭化(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウム16.4gをトルエン16ml及びTHF49mlに溶解し、−20℃に冷却した。t−ブトキシカリウム4.08gを30分間で2回にわけて加え、更に0℃で1時間攪拌してウィッティヒ反応剤を調製した。これにトランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサン−4−カルバルデヒド6.73gのトルエン15ml溶液を30分で滴下した。室温まで昇温し、更に1時間攪拌した。水80mlを加え、稀塩酸で中和した後、反応生成物をトルエン100mlで2回抽出した。有機層を併せ、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。減圧下にトルエンを溜去し、ヘキサン150mlを加え、析出したトリフェニルホスフィンオキシドの結晶を濾別した。濾液を再度濃縮し、トランス−4−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]−トランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサンの結晶7.85gを得た。この全量を酢酸エチル40mlに溶解し、5%パラジウム炭素390mgを加え、水素圧4Kg/cmで4時間室温で攪拌した。触媒を珪藻土濾過し、濾液を濃縮して得られた粗結晶を、ヘキサン/エタノール混合溶媒(3/1)から再結晶させて、トランス−4−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサンの結晶5.90gを得た。この化合物の融点は131℃であり、等方性液体(I)相からの冷却時、253℃でネマチック(N)相に、150℃でスメクチックB(SB)相にそれぞれ転移した。
【0048】
(実施例2) トランス−4−[2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサン(第1表中のNo.2の化合物)の合成
実施例1において、臭化(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムに代えて、参考例2で得られた臭化(トランス−4−エチルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムを用いた以外は実施例1と同様にして、トランス−4−[2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサンを得た。その相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0049】
比較例1) トランス−4−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシクロヘキサン(第1表中のNo.3の化合物)の合成
実施例1において、トランス−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンに代えて、トランス−4’−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシクロヘキサン−4−オンを用いた以外は同様にして、トランス−4−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシクロヘキサンを得た。その相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0050】
比較例2) トランス−4−[2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシクロヘキサン(第1表中のNo.4の化合物)の合成
比較例1において、臭化(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムに代えて、参考例2で得られた臭化(トランス−4−エチルシクロヘキシルメチル)トリフェニルホスホニウムを用いた以外は比較例1と同様にして、トランス−4−[2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)エチル]−トランス−4’−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシクロヘキサンを得た。その相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0051】
(実施例) 液晶組成物の調製(1)
特にアクティブマトリックス用として好適なフッ素系の母体液晶(M)
【0052】
【化12】
Figure 0003613806
【0053】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)を調製したところ、116.7℃以下でネマチック(N)相を示した。その物性値及びこれを用いて作製したセル厚8μmのTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0054】
誘電率異方性(Δε) 4.7
屈折率異方性(Δn) 0.090
しきい値電圧(Vth) 2.49V
この母体液晶(M)80%及び実施例1で得られた(No.1)の化合物20%からなる液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)のN相の上限温度(TN−I)及びその物性値は以下の通りであった。
【0055】
N相の上限温度(TN−I) 148.5℃
誘電率異方性(Δε) 4.8
屈折率異方性(Δn) 0.090
しきい値電圧(Vth) 2.66V
このように、母体液晶(M)に比べてTN−Iは大幅に上昇したにもかかわらず、そのVthの上昇はわずか0.17Vとわずかであった。また、そのΔnは0.090と変わらなかった。更に、この組成物の比抵抗は1012Ωcm以上と大きく、このセルの電圧保持率は非常に高かった。
【0056】
従って、一般式(I)の化合物は、アクティブマトリックス用液晶材料として、液晶相の上限温度が高く且つしきい値電圧が低い液晶組成物の調製に極めて有用であることが明らかである。
比較例3) 液晶組成物の調製(2)母体液晶(M)80%及び実施例3で得られた(No.3)の化合物20%からなる液晶組成物(M−3)を調製した。この(M−3)のTN-I及びその物性値は以下の通りであった。
【0057】
N相の上限温度(TN−I) 141.2℃
誘電率異方性(Δε) 5.5
屈折率異方性(Δn) 0.090
しきい値電圧(Vth) 2.47V
このように、(M−3)のTN−Iは母体液晶(M)に比べて大幅に上昇したにもかかわらず、そのVthは母体液晶(M)よりも低くなった。また、Δnは変わらなかった。更にこの組成物の比抵抗も1012Ωcm以上と大きく、セルの電圧保持率は非常に高かった。
【0058】
(比較例) 母体液晶(M)80%及び(No.1)の化合物の類似構造を有する式(R−1)
【0059】
【化13】
Figure 0003613806
【0060】
の化合物20%からなる液晶組成物(MR−1)を調製した。この(MR−1)のTN−I及びその物性値は以下の通りであった。
N相の上限温度(TN−I) 149.4℃
誘電率異方性(Δε) 5.1
屈折率異方性(Δn) 0.105
しきい値電圧(Vth) 2.70V
このように、(MR−1)のTN−Iは(M−1)よりわずかに高くなったが、そのVthは(M−1)よりも高くなった。更に、そのΔnは0.105とかなり大きくなってしまった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、実施例に示したように工業的にも極めて容易に製造でき、熱、光、水等に対し、化学的に安定であり、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶との相溶性にも優れている。しかも、母体液晶に少量添加することにより、それを用いた液晶セルのしきい値電圧(Vth)をあまり上昇させずに、ネマチック相の上限温度を高温域に大きく上昇させることができる。また、分子内に強い極性基が存在せず、容易に大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることができる。従って、液晶相の温度範囲が広く、且つ低電圧駆動が要求される各種液晶表示素子、特にアクティブマトリックス駆動用の液晶材料として有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003613806
    (式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、Y1は水素原子又はフッ素原子を表わし、Y 2 は水素原子を表わし、Zはフッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる化合物。
  2. 一般式(I)において、Zがフッ素原子を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
  3. 一般式(I)において、Y1及びZが共にフッ素原子を表わすことを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
  4. 一般式(I)において、Rが炭素原子数1〜7の直鎖状のアルキル基を表わすことを特徴とする請求項1〜3何れかの項に記載の化合物。
  5. 請求項1〜4記載の一般式(I)で表わされる化合物を含有する液晶組成物。
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