JP3606147B2 - 塩素の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素の製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、塩化水素を含むガス中の塩化水素を、酸素を含むガスを用いて酸化する塩素の製造方法であって、触媒充填層の過度のホットスポットを抑制し、触媒充填層を有効に活用することによって、触媒の安定した活性が維持され、かつ塩素を安定して高収率で得ることができ、よって触媒コスト、設備コスト、運転コスト、運転の安定性及び容易性の観点から極めて有利な塩素の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塩素は塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として有用であり、塩化水素の酸化によって得られることもよく知られている。たとえば、塩化水素を触媒を用いて分子状酸素で接触酸化し、塩素を製造する方法としては、従来からDeacon触媒と呼ばれる銅系の触媒が従来優れた活性を有するとされ、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加した触媒が多数提案されている。また、Deacon触媒以外にも、酸化クロム又はこの化合物を触媒として用いる方法、酸化ルテニウム又はこの化合物を触媒として用いる方法も提案されている。
【0003】
しかしながら、塩化水素の酸化反応は59kJ/mol−塩素の発熱反応であり、触媒充填層での過度のホットスポットを抑制することは、触媒の熱劣化を低減し、運転の安定性及び容易性を確保する観点からも重要である。また、過度のホットスポットは、最悪の場合には暴走反応を引き起こすこともあり、塩化水素及び/又は塩素による装置材料の高温ガス腐食を起こす問題もある。
【0004】
雑誌「触媒」(Vol.33 No.1(1991))には、酸化クロムを触媒とした純塩化水素と純酸素の反応では、固定床反応形式ではホットスポットの除去が困難であり、実装置では流動床反応器の採用が必要であることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、塩化水素を含むガス中の塩化水素を、酸素を含むガスを用いて酸化する塩素の製造方法であって、触媒充填層の過度のホットスポットを抑制し、触媒充填層を有効に活用することによって、触媒の安定した活性が維持され、かつ塩素を安定して高収率で得ることができ、よって触媒コスト、設備コスト、運転コスト、運転の安定性及び容易性の観点から極めて有利な塩素の製造方法を提供する点に存するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、触媒の存在下、塩化水素を含むガス中の塩化水素を、酸素を含むガスを用いて酸化する塩素の製造方法であって、少なくとも二の直列に配列された触媒充填層からなる反応域を有し、かつ該反応域のうちの少なくとも一の反応域の温度制御を熱交換方式によって行う塩素の製造方法に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる塩化水素を含むガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応、脱塩化水素反応又は塩素化反応、焼却炉の燃焼等において発生した塩化水素を含むいかなるものを使用することができる。塩化水素を含むガスとしては、通常、該ガス中の塩化水素の濃度は通常10体積%以上、好ましくは50体積%以上、更に好ましくは80体積%以上のものが用いられる。該濃度が10体積%よりも低い場合には、生成した塩素の分離、及び/又は未反応酸素をリサイクルする場合に、リサイクルが煩雑になることがある。塩化水素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、オルトジクロロベンゼン、モノクロロベンゼン等の塩素化芳香族炭化水素、及びトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、及び塩化ビニル、1,2−ジクロロエタン、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化アリル等の塩素化脂肪族炭化水素、及びメタン、アセチレン、エチレン、プロピレン等の脂肪族炭化水素、及び窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ホスゲン、水素、硫化カルボニル、硫化水素等の無機ガスがあげられる。塩化水素と酸素との反応において、塩素化芳香族炭化水素及び塩素化脂肪族炭化水素は、二酸化炭素と水と塩素に酸化され、芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素は、二酸化炭素と水に酸化され、一酸化炭素は二酸化炭素に酸化され、ホスゲンは、二酸化炭素と塩素に酸化される。
【0008】
酸素を含むガスとしては、酸素又は空気が使用される。酸素は、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。
【0009】
塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、理論量以上供給することが好ましく、塩化水素1モルに対し酸素0.25〜2モルが更に好ましい。酸素の量が過小であると、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方酸素の量が過多であると生成した塩素と未反応酸素の分離が困難になる場合がある。
【0010】
本発明においては、少なくとも二の直列に配列された触媒充填層からなる反応域に、酸素を含むガスを分割して導入することが好ましい。酸素を含むガスを分割して導入する方法としては、塩化水素を含むガスの全量と、酸素を含むガスの一部分を第1反応域に導入し、その反応物と残りの酸素を含むガスを第2反応域以降の反応域に導入する方法があげられる。ここで、第1反応域は原料ガスの流れについての最も上流側の反応域を意味し、第2反応域は第1反応域の下流側の反応域を意味する。第1反応域に導入される酸素を含むガスの分割量は、全体量の5〜90%、好ましくは10〜80%、更に好ましくは30〜60%である。該分割量が少なすぎる場合は、第2反応域以降の反応域の温度制御が困難になることがある。
【0011】
本発明においては、反応域のうちの少なくとも一の反応域の温度制御を熱交換方式によって行う必要がある。このことにより、反応域の過度のホットスポットを抑制し、反応域を有効に活用することによって、触媒の安定した活性が維持され、かつ塩素を安定して高収率で得ることができるために、触媒コスト、設備コスト、運転コスト、運転の安定性及び容易性を確保しうる。
【0012】
少なくとも二の直列に配列された触媒充填層からなる反応域は、反応管内に少なくとも二種の触媒を充填すること、及び/又は反応域の温度を少なくとも二の方式で温度制御させることによって形成される。ここで、触媒充填層からなる反応域は、固定床反応器を形成するものであり、流動層反応器及び移動層反応器を形成するものではない。少なくとも二種の触媒を充填する方法としては、反応管内の触媒充填層を管軸方向に少なくとも二の区分に分割して、活性、組成及び/又は粒径の異なる触媒を充填する方法、又は触媒を不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物で少なくとも二の方式で希釈する方法、又は触媒と触媒を不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物で希釈したものを充填する方法をあげることができる。触媒を不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物で希釈した場合は、充填された触媒と不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物の全体が、触媒充填層からなる反応域を意味する。通常、連続する反応域は直接に接している状態にあるが、反応域の間に不活性物質を充填してもよい。ただし、不活性物質のみからなる充填層は、触媒充填層とは見なさない。触媒充填層からなる反応域の温度を少なくとも二の方式で温度制御させる方法としては、少なくとも二の独立した方式での温度制御を行う方法をあげることができる。この場合、少なくとも一の方式の温度制御は、熱交換方式で行う必要がある。
【0013】
本発明の熱交換方式とは、触媒が充填された反応管の外側にジャケット部を有し、反応で生成した反応熱をジャケット内の熱媒体によって除去する方式を意味する。熱交換方式では、反応管内の触媒充填層からなる反応域の温度が、ジャケット内の熱媒体によって制御される。工業的には、直列に配列された触媒充填層からなる反応域を有する反応管を並列に配列し、外側にジャケット部を有する多管式熱交換器型の固定床多管式反応器を用いることもできる。熱交換方式以外の方法としては、電気炉方式があげられるが、反応域の温度制御が難しいといった問題がある。
【0014】
本発明においては、反応域のうちの少なくとも二の反応域の温度制御を熱交換方式によって行うことが好ましい。この方法としては、少なくとも二の独立したジャケット部に独立に熱媒体を循環させて該反応域の温度制御を行う方法、及び/又は仕切り板によってジャケット部を少なくとも二に分割して、仕切られた部分に独立して熱媒体を循環させて該反応域の温度制御を行う方法をあげることができる。仕切り板は、反応管に溶接などにより直接固定されていてもよいが、仕切り板や反応管に熱的な歪みが生じることを防ぐために、実質的に独立して熱媒体を循環できる範囲内において、仕切り板と反応管との間に適当な間隔を設けることができる。ジャッケト内の熱媒体の流れは、下方から上方に流れるようにするのが好ましい。
【0015】
本発明においては、全反応域の温度制御を熱交換方式によって行う方法が、反応熱が良好に除去され、運転の安定性及び容易性が確保されるために好ましい。
【0016】
熱媒体としては、溶融塩、スチーム、有機化合物又は溶融金属をあげることができるが、熱安定性や取り扱いの容易さ等の点から溶融塩又はスチームが好ましく、より良好な熱安定性の点から溶融塩が更に好ましい。溶融金属は、コストが高く、取り扱いが難しいといった問題がある。溶融塩の組成としては、硝酸カリウム50重量%と亜硝酸ナトリウム50重量%の混合物、硝酸カリウム53重量%と亜硝酸ナトリウム40重量%と硝酸ナトリウム7重量%の混合物などをあげることができる。有機化合物としては、ダウサムA(ジフェニルオキサイドとジフェニルの混合物)をあげることができる。
【0017】
反応域の数は多くするほど、該反応域を有効に利用することができるが、工業的には通常2〜20反応域、好ましくは2〜8反応域、更に好ましくは2〜4反応域で実施される。該反応域が多すぎる場合は、充填する触媒の種類が多くなる、及び/又は温度制御のための機器が多くなるといったことがあり、経済的に不利になることがある。
【0018】
本発明においては、少なくとも二の直列に配列された触媒充填層からなる反応域の、第1反応域の割合を70体積%以下とすることが好ましく、30体積%以下が更に好ましい。また、第1反応域の割合を70体積%以下、好ましくは30体積%以下とし、かつ第2反応域の温度を第1反応域よりも通常は5℃以上、好ましくは10℃以上高くする、及び/又は第2反応域の活性が第1反応域よりも通常は1.1倍以上、好ましくは1.5倍以上高くなるように、触媒又は触媒と不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物を充填することが更に好ましい。ここで、反応域の活性(mol−HCl/ml−反応域・min)とは、単位触媒重量及び時間当りの塩化水素反応活性( mol−HCl/g−触媒・min)と触媒充填量(g)の積を、反応域の体積(ml)で除した計算値を意味する。単位触媒重量及び時間当りの塩化水素反応活性は、触媒の体積と標準状態(0℃、0.1MPa)における塩化水素の供給速度との比が4400〜4800h−1で、塩化水素1モルに対し酸素0.5モルを供給し、反応圧力0.1MPa、反応温度280℃で反応させ、この時に生成した塩素量から計算された値である。第1反応域では、反応物質である塩化水素と酸素の濃度が高いために反応速度が大きく、該第1反応域の入口側にホットスポットが生じる。一方、該第1反応域の出口側はジャケット内の熱媒体の温度に近い温度となる。第1反応域の割合が70体積%より大きい場合には、該反応域において、ジャケット内の熱媒体の温度に近い温度の触媒充填層部分が多くなり、触媒を有効に活用することができない。
【0019】
本発明の酸化反応の触媒としては、塩化水素を酸化して塩素を製造する触媒として知られる公知の触媒を用いることができる。該触媒の一例として、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加した触媒、酸化クロムを主成分とする触媒、酸化ルテニウムを含有する触媒などをあげることができる。中でも酸化ルテニウムを含有する触媒が好ましく、酸化ルテニウム及び酸化チタンを含む触媒が更に好ましい。酸化ルテニウムを含む触媒は、たとえば特開平10−182104号公報、ヨーロッパ特許第936184号公報に記載されている。酸化ルテニウム及び酸化チタンを含む触媒は、たとえば、特開平10−194705号公報、特開平10−338502号公報に記載されている。触媒中の酸化ルテニウムの含有量は、0.1〜20重量%が好ましい。酸化ルテニウムの量が過小であると触媒の活性が低く塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方、酸化ルテニウムの量が過多であると触媒価格が高くなる場合がある。
【0020】
触媒の形状は、球形粒状、円柱形ペレット状、押し出し形状、リング形状、ハニカム状あるいは成型後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状等で用いられる。この際、触媒直径としては10mm以下が好ましい。触媒直径が10mmを越えると、活性が低下する場合がある。触媒直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒充填層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.1mm以上のものが用いられる。なお、ここでいう触媒直径とは、球形粒状では球の直径、円柱形ペレット状では断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
【0021】
本発明においては、第1反応域の熱伝導度が最も高くなるように、触媒又は触媒と不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物を充填することが好ましく、第1反応域から最終反応域に向かって、ガスの流れ方向に、反応域の熱伝導度が順次低くなるように充填することが更に好ましい。ここで、最終反応域はガスの流れについての最も下流側の反応域を意味する。反応域の熱伝導度は、反応域に充填された充填物の熱伝導度を意味する。原料の入口側の反応域では、反応物質である塩化水素と酸素の濃度が高いために反応速度が大きく、酸化反応による発熱が大きい。したがって、入口側の反応域に触媒の熱伝導度が比較的高い触媒を充填することにより、触媒充填層の過度なホットスポットを抑制することができる。
【0022】
本発明においては、第1反応域から最終反応域に向かって、ガスの流れ方向に、反応域の活性が順次高くなるように触媒又は触媒と不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物を充填することにより、連続する反応域の温度差を小さくすることができ、したがって、運転を安定して容易に行うことができるために好ましい。
【0023】
本発明においては、最終反応域の活性を、その直前の反応域の活性よりも高くなるように、触媒又は触媒と不活性物質及び/又は担体のみで成型した充填物を充填し、かつ最終反応域のホットスポットを、その直前の反応域のホットスポットよりも低くする方法が好ましい。最終反応域の活性がその直前の活性よりも低く、かつ最終反応域のホットスポットがその直前の反応域のホットスポットよりも高い場合は、塩化水素を酸素で酸化して塩素と水に変換する反応が平衡反応であるために、塩化水素の転化率が化学平衡組成に支配されて低くなる場合がある。
【0024】
触媒の使用量(体積)は、標準状態(0℃、0.1MPa)における塩化水素の供給速度との比(GHSV)で表すと、通常10〜20000h−1で行われる。原料を反応域に流す方向は、上向きでも下向きでもよい。反応圧力は、通常0.1〜5MPaで行われる。反応温度は、好ましくは200〜500℃、更に好ましくは200〜380℃である。反応温度が低すぎる場合は、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方反応温度が高すぎる場合は、触媒成分が揮発する場合がある。
【0025】
本発明においては、最終反応域の出口のガス温度を200〜350℃とする方法が好ましく、200〜320℃とする方法が更に好ましい。最終反応域の出口のガス温度が350℃よりも高い場合は、塩化水素を酸素で酸化して塩素と水に変換する反応が平衡反応であるために、塩化水素の転化率が化学平衡組成に支配されて低くなる場合がある。
【0026】
本発明においては、空塔基準のガス線速度を0.2〜10m/sとすることが好ましく、0.2〜5m/sが更に好ましい。ガス線速度が低すぎる場合は、工業用反応装置で塩化水素の満足いく処理量を得るためには、過剰数の反応管が必要とされるので不利益である場合があり、ガス線速度が高すぎる場合は、触媒充填層の圧力損失が大きくなる場合がある。なお、本発明の空塔基準のガス線速度とは、標準状態(0℃、0.1MPa)における塩化水素を含むガスと酸素を含むガスの供給速度の合計と反応管の断面積の比を意味する。
【0027】
反応管の内径は、通常10〜50mm、好ましくは10〜40mm、更に好ましくは10〜30mmである。反応管の内径が小さすぎる場合は、工業用反応装置で塩化水素の満足いく処理量を得るためには、過剰数の反応管が必要とされるので不利益である場合があり、反応管の内径が大きすぎる場合は、触媒充填層に過度のホットスポットを生じさせる場合がある。
【0028】
反応管の内径(D)と触媒直径(d)の比率(D/d)は、通常5/1〜100/1、好ましくは5/1〜50/1、更に好ましくは5/1〜20/1である。比率が小さすぎる場合は、触媒充填層に過度のホットスポットを生じさせる場合があり、比率が大きすぎる場合は、触媒充填層の圧力損失が大きくなる場合がある。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
反応器には、溶融塩(硝酸カリウム/亜硝酸ナトリウム=1/1重量比)を熱媒体とするジャケットを備えた内径18mm及び長さ1mの反応管(外径5mmの温度測定用鞘管)からなる固定床反応器を用いた。反応管の上部側に、直径1.5mmのα−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒80.2g(60.0ml)を充填し、第1反応域とした。なお、この触媒は、塩化水素の酸化反応に約260h使用したものを再使用した。第1反応域の下部側に、直径1〜2mmのアナターゼ結晶形TiO2担持6.6重量%酸化ルテニウム球形粒状触媒35.9g(35.6ml)と、直径2mmのα−Al2O3球(ニッカト(株)製、SSA995)37.6g(17.8ml)を十分に混合して充填し、第2反応域とした。触媒充填長は、第1反応域/第2反応域=0.280m/0.235mであった。触媒充填体積は、第1反応域/第2反応域=66ml/55mlで、第1反応域の割合は54体積%と計算される。なお、直径1.5mmのα−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒は、次の方法により調製した。すなわち、市販のα−Al2O3粉末(住友化学(株)製、AES−12)と塩化ルテニウムと純水及びアルミナゾル(日産化学(株)製、アルミナゾル200)をよく混合した。混合したものに室温で乾燥空気を吹きかけ、適当な粘度になるまで乾燥させた。この混合物を直径1.5mmに押し出し成型した。次いで、空気中、60℃で4時間乾燥した。得られた固体を室温から350℃まで1時間で昇温し、同温度で3時間焼成し、直径1.5mmのα−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒を得た。直径1〜2mmのアナターゼ結晶形TiO2担持6.6重量%酸化ルテニウム球形粒状触媒は、特開平10−338502号公報に記載された方法に準拠して調製された。
また、本実施例で用いたα−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒の単位触媒重量及び時間当りの塩化水素反応活性は1.3×10−4mol−HCl/g−触媒・minであり、以下の方法で測定した。内径14mmのパイレックスガラス製反応管(外径4mmの温度測定用鞘管)に触媒を4.0g(3.3ml)充填し、温度280℃の溶融塩バス中に入れ、塩化水素0.26l/min(標準状態)、酸素0.13l/min(標準状態)を上部から下部へダウンフローで流通させ、1.5h後に出口ガスをよう化カリウム水溶液にサンプリングして、生成した塩素と未反応の塩化水素と生成水を吸収させ、よう素滴定法及び中和滴定法によって、それぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水素量を測定した。アナターゼ結晶形TiO2担持6.6重量%酸化ルテニウム球形粒状触媒の単位触媒重量及び時間当りの塩化水素反応活性は4.8×10−4mol−HCl/g−触媒・minであり、触媒の使用量を1.9g(2.0ml)、塩化水素0.16l/min(標準状態)、酸素0.08l/min(標準状態)とした以外は、α−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒に準拠にて行った。第1反応域の活性は1.6×10−4mol−HCl/ml−反応域・min、第2反応域の活性は3.1×10−4mol−HCl/ml−反応域・minと計算される。
塩化水素を含むガス6.1l/min(標準状態、塩化水素:99体積%以上)、酸素3.05l/min(標準状態、酸素:99体積%以上)をNi製反応管の上部から下部へダウンフローで流通させ、ジャケット内の溶融塩の温度を326℃として反応を行った。空塔基準のガス線速度は、0.65m/sと計算される。第1反応域の反応温度は入口332℃、出口335℃、ホットスポット347℃であった。第2反応域の反応温度は入口335℃、出口338℃、ホットスポット344℃であった。第2反応域の出口ガスをよう化カリウム水溶液にサンプリングして、生成した塩素と未反応の塩化水素と生成水を吸収させ、よう素滴定法及び中和滴定法によって、それぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水素量を測定した。塩化水素の塩素への転化率は30.6%であった。
【0030】
実施例2
反応器には、電気炉を備えた内径26mm及び長さ2.0mのNi製反応管(外径6mmの温度測定用鞘管)1本と、溶融塩(硝酸カリウム/亜硝酸ナトリウム=1/1重量比)を熱媒体とするジャケットを備えた内径18mm及び長さ2.5mの反応管(外径6mmの温度測定用鞘管)2本からなる合計3本の反応管が直列に連結された固定床反応器を用いた。内径26mmの反応管には、直径1.5mmのα−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒69g(60ml)と直径2mmのα−Al2O3球132g(60ml)を十分に混合して充填し、第1反応域とした。内径18mmの反応管の1本目には、直径1〜2mmのアナターゼ結晶形TiO2担持6.6重量%酸化ルテニウム球形粒状触媒300g(300ml)と直径2mmのα−Al2O3球340g(150ml)を十分に混合して充填し、第2反応域とした。内径18mmの反応管の2本目には、直径1〜2mmのアナターゼ結晶形TiO2担持6.6重量%酸化ルテニウム球形粒状触媒297g(294ml)を充填し、第3反応域とした。触媒充填長は、第1反応域/第2反応域/第3反応域=0.21m/1.98m/1.37mであった。触媒充填体積は、第1反応域/第2反応域/第3反応域=103ml/447ml/309mlで、第1反応域の割合は12体積%と計算される。なお、α−Al2O3担持6.6重量%酸化ルテニウム押し出し触媒は、実施例1に準拠して調製し、触媒の使用量を4.0g(3.5ml)とした以外は実施例1に準拠して測定された単位触媒重量及び時間当りの塩化水素反応活性は2.5×10−4mol−HCl/g−触媒・minであった。第1反応域の活性は1.7×10−4mol−HCl/ml−反応域・min、第2反応域の活性は3.2×10−4mol−HCl/ml−反応域・min、第3反応域の活性は4.6×10−4mol−HCl/ml−反応域・minと計算される。
塩化水素を含むガス6l/min(標準状態、塩化水素:99体積%以上)、酸素1.13l/min(標準状態、酸素:99体積%以上)、及び塩素を分離後に得られた未反応酸素を主成分とするガス2.15l/min(標準状態、酸素:86.0体積%、塩素:8.9体積%(計算値)、窒素:2.3体積%、アルゴン:2.7体積%、二酸化炭素:0.1体積%)をNi製反応管の上部から下部へダウンフローで流通させ、反応器の入口圧力を1.19kg/cm2−G(0.22MPa相当)とし、電気炉の温度を342℃、ジャケット内の溶融塩の温度を345℃及び332℃として反応を行った。空塔基準のガス線速度は、内径26mmの反応管で0.31m/s、内径18mmの反応管で0.68m/sと計算される。第1反応域の反応温度は入口322℃、出口343℃、ホットスポット344℃であった。第2反応域の反応温度は入口336℃、出口348℃、ホットスポット362℃であった。第3反応域の反応温度は入口325℃、出口338℃、ホットスポット350℃であった。
反応で得られたガスを冷却し、続いて吸収塔内にフィ−ドした。吸収塔には、純水用タンクと純水フィ−ド用ポンプ、20重量%塩酸フィ−ド用ポンプ及び塔内塩酸の循環用ポンプを設置した。純水は、純水フィ−ド用ポンプを用いて0.15kg/h(29℃)で純水用タンクへフィ−ドし、吸収塔へのフィ−ド前に、純水タンク内で吸収塔の塔頂部から得られたガスと接触させた後、タンク内から吸収塔の塔底部へオーバーフローでフィ−ドした。20重量%塩酸0.355kg/h(29℃)は、20重量%塩酸フィ−ド用ポンプを用いて吸収塔の上部からフィ−ドし、ガスと向流式に接触させた。塩化水素と水を主成分とする塔内の塩酸の溶液(塩化水素24.7重量%、塩素:0.39重量%)は、循環ポンプで吸収塔の上部に循環させ、ガスと向流式に接触させた。また、該溶液は、循環ポンプ出口から0.736kg/hの流量で抜き出した。塔頂部からは、温度は28℃の常圧のガスが得られた。
吸収塔の塔頂部から得られたガスを硫酸乾燥塔に流通させた。硫酸乾燥塔には、硫酸フィード用ポンプを設置した。硫酸乾燥塔には、硫酸フィード用ポンプを用いて98重量%硫酸 0.145kg/hをフィードし、塔内の硫酸はオーバーフローで0.172kg/hで抜き出された。得られた乾燥ガス(水:0.05mg/l以下)をミストセパレータでミストを分離後、圧縮機にフィードし、9.25kg/cm2−G(1.01MPa相当)に昇圧し、続いて−20℃に冷却して、塩素を主成分とする液体と未反応酸素を主成分とするガスに分離した。得られた塩素の組成は、塩素:98.6体積%(計算値)、酸素:1.1体積%、窒素:0.17体積%、アルゴン:0.07体積%、二酸化炭素:0.09体積%であった。未反応酸素を主成分とするガスを反応へリサイクルした。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、塩化水素を含むガス中の塩化水素を、酸素を含むガスを用いて酸化する塩素の製造方法であって、触媒充填層の過度のホットスポットを抑制し、触媒充填層を有効に活用することによって、触媒の安定した活性が維持され、かつ塩素を安定して高収率で得ることができ、よって触媒コスト、設備コスト、運転コスト、運転の安定性及び容易性の観点から極めて有利な塩素の製造方法を提供することができた。
Claims (2)
- 触媒の存在下、塩化水素を含むガス中の塩化水素を、酸素を含むガスを用いて酸化する塩素の製造方法であって、少なくとも二の直列に配列された触媒充填層からなる反応域を有し、かつ該反応域のうちの少なくとも一の反応域の温度制御を熱交換方式によって行う塩素の製造方法。
- 少なくとも二の直列に配列された触媒充填層からなる反応域の最も上流側の反応域である第1反応域の割合が70体積%以下である請求項1記載の塩素の製造方法。
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