JP3603967B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、鉄損を無視できない誘導電動機を駆動する場合でも高精度のトルク制御性能を得ることができる誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図14は例えば特開平1ー311884号公報に示された従来の誘導電動機の制御装置を示す構成図であり、図において、1は誘導電動機、2は誘導電動機1の1次電流Ius,Ivsを検出する電流検出器(検出手段)、3は誘導電動機1の回転周波数ωr を検出する速度検出器(検出手段)である。
【0003】
また、4は速度指令ωr*と回転周波数ωr の偏差を検出する減算器、5は減算器4により検出された偏差を増幅してトルク電流成分指令IT*を出力する増幅器、6はトルク電流成分指令IT*を励磁電流成分指令I0*で除算する除算器、7は除算器6の除算結果にRr/M(ただし、Rrは誘導電動機1の2次抵抗、Mは相互インダクタンス)を乗算し、すべり周波数ωs を出力する係数器、8〜11はトルク電流成分指令IT*と1次周波数ωを入力すると、所定の演算を行う演算器である。
【0004】
また、12は演算器8の演算結果と演算器10の演算結果を加算し、1次電流のd軸成分指令Ids* を出力する加算器、13は演算器9の演算結果と演算器11の演算結果を加算し、1次電流のq軸成分指令Iqs* を出力する加算器、14は速度検出器3により検出された回転周波数ωr と係数器7から出力されたすべり周波数ωs を加算して1次周波数ωを求め、その1次周波数ωに基づいて1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を1次電流の各相毎の1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に変換する電流指令値演算部、15は誘導電動機1の1次電流Ius,Ivsが電流指令値演算部14により変換された1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に一致するように各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* を生成する電流制御部、16は各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* に基づいて誘導電動機1を制御するPWMインバータである。
【0005】
次に動作について説明する。
まず、当該誘導電動機の制御装置の具体的動作を説明する前に、ベクトル制御の一般的な話からすると、通常、誘導電動機のベクトル制御では、誘導電動機の鉄損は微小であるとの仮定のもとに無視される場合が多いのが現実である。
しかしながら、鉄損を無視すると、厳密には2次磁束と2次電流の直交性が失われるので、同一のトルク指令に対し、力行時と回生時で発生トルクが異なってしまったり、周波数変動によって発生トルクが変化してしまう不具合が生じる。このため、トルクの直線性が損なわれ、ベクトル制御の特長である高精度のトルク制御性能が実現できないという事態が発生する。
そこで、当該誘導電動機の制御装置は、かかる不具合を解消すべく、誘導電動機の鉄損を考慮してベクトル制御を行うものである。
【0006】
ここで、発生トルクが鉄損の影響を受ける理由を説明するとともに、当該装置のベクトル制御の原理を説明する(具体的構成の説明は後述する)。
【0007】
最初に、1次周波数ωで回転する直交回転座標軸(以下ではd−q軸と呼ぶ)上における誘導電動機1の定常状態における電圧・電流方程式は、次式によって与えられる。
【0008】
ただし、Rs 誘導電動機の1次抵抗
Rr 誘導電動機の2次抵抗
Rm 鉄損抵抗
Ls 誘導電動機の1次自己インダクタンス
Lr 誘導電動機の2次自己インダクタンス
M 1次2次相互インダクタンス
Vds 1次電圧のd軸成分
Vqs 1次電圧のq軸成分
Ids 1次電流のd軸成分
Iqs 1次電流のq軸成分
Idr 2次電流のd軸成分
Iqr 2次電流のq軸成分
ω 誘導電動機の1次周波数
ωs 誘導電動機のすべり周波数
因に、式(1) 〜式(4) において、鉄損抵抗Rm の値を零とすると、鉄損を無視した場合の誘導電動機1の定常状態における電圧・電流方程式と一致する。
【0009】
また、鉄損抵抗Rm を考慮した場合、誘導電動機1の2次磁束のd軸成分Φdr及びq軸成分Φqr、並びに発生トルクτm は、次式によって与えられる。
ただし、Pm は誘導電動機の極対数である。
【0010】
ここで、式(5) および式(6) に着目すると、鉄損抵抗Rm の存在により、2次磁束のd軸成分Φdrは、1次電流のq軸成分Iqs、2次電流のq軸成分Iqrの影響を受け、2次磁束のq軸成分Φqrは、1次電流のd軸成分Ids、2次電流のd軸成分Idrの影響を受けることが分かる。
従って、式(7) より、発生トルクτm も鉄損抵抗Rm の影響を受けることが分かる。
【0011】
さて、当該装置のベクトル制御法を一言で説明すると、2次磁束ベクトルの方向をd軸あるいはq軸に一致させるように制御、即ち、2次磁束のd軸成分Φdrあるいはq軸成分Φqrが常に零となるように制御するものであるが、通常、ベクトル制御では、2次磁束ベクトルの方向をd軸に一致させるので、ここでもd軸を2次磁束ベクトルの方向として説明を続ける。
【0012】
まず、式(5) 及び式(6) を式(3) 、式(4) に代入すると次式が得られる。
そして、2次磁束ベクトルの方向をd軸に一致させるためには、q軸成分Φqrを零にする必要があるので、Φqr=0を式(8) に代入すると、式(8) は下記のように表すことができる。また、式(9) も下記のように変形できる。
従って、式(10)を考慮すると、式(7) は下記のように変形することができる。τm =−Pm ΦdrIqr ・・・(12)そして、さらに、励磁電流成分I0 とトルク電流成分IT は下記のように定義できるので、式(12)は下記のように変形することができる。
【0013】
ここで、式(13)に着目すると、励磁電流成分I0 を一定に制御すれば2次磁束のd軸成分Φdrは一定になるので、励磁電流成分I0 を一定に制御すれば、式(15)より、発生トルクτm は鉄損Rm の影響を受けずに、トルク電流成分IT に比例することが分かる。
換言すると、励磁電流成分I0 を一定にすることを条件にトルク電流成分IT を制御できれば、鉄損Rm の影響を受けずに、発生トルクτm を制御できることになる。
【0014】
因に、すべり周波数ωs についても、式(11)に式(13)及び式(14)を代入すると、式(11)は下記のように変形できるので、発生トルクτm と同様に、トルク電流成分IT を制御できれば、鉄損Rm の影響を受けずに、制御できることになる。
ωs =Rr IT /( MI0) ・・・(16)
なお、1次周波数ωは、すべり周波数ωs に、速度検出器3で検出することができる回転周波数ωr を加えたものであるので、すべり周波数ωs を制御できれば、1次周波数ωも制御可能になる。
【0015】
しかしながら、式(13)、式(14)からも明らかなように、励磁電流成分I0 及びびトルク電流成分IT は、誘導電動機1の2次側の物理量であるため、直接制御することができないので、当該装置では、直接制御可能な誘導電動機1の1次電流を制御して、間接的に励磁電流成分I0 及びトルク電流成分IT を制御するようにしている。
【0016】
因に、1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsと、励磁電流成分I0 及びトルク電流成分IT との関係は下記の通りである(式(17)、式(18)は、式(5) 、式(6) をIdsおよびIqsについて解き、さらに、Φqr=0、Idr=0[(10)式より]として、式(13)、式(14)を用いてΦdr、Iqrを消去すると求めることができる)。
従って、式(17)、式(18)の中にある励磁電流成分I0 及びトルク電流成分IT の代わりに、励磁電流成分I0 及びトルク電流成分IT の指令値I0*、IT*を式(17)、式(18)に代入すれば、1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を求めることができる。
【0017】
以上より、式(17)及び式(18)にしたがって1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を演算すれば、鉄損抵抗Rm の影響を受けずに発生トルクτm を制御できることになる。
なお、誘導電動機の相電流指令Ius* 、Ivs* 、Iws* を、1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* で表すと、下記のようになる。
【0018】
次に、当該誘導電動機の制御装置の具体的動作を説明する。
まず、減算器4が速度指令ωr*から速度検出器3により検出された誘導電動機1の回転周波数ωr を減算し、増幅器5がその減算結果を増幅してトルク電流成分指令IT*を演算する。
そして、除算器6がトルク電流成分指令IT*を励磁電流成分指令I0*で除算すると、係数器7がその除算結果に係数Rr/Mを乗算し、すべり周波数ωs を演算する。即ち、係数器7は式(16)の演算が行い、すべり周波数ωs を演算する。このようにして、すべり周波数ωs が演算されると、電流指令値演算部14は、そのすべり周波数ωs に、速度検出器3により検出された回転周波数ωr を加算して、誘導電動機1の1次周波数ωを演算する。
【0019】
そして、演算器10は、励磁電流成分指令I0*及び1次周波数ωを入力すると、式(17)の右辺第1項の演算が行う一方、演算器8は、トルク電流成分指令IT*及び1次周波数ωを入力すると、式(17)の右辺第2項の演算を行う。
そして、演算器10及び演算器8から演算結果を出力されると加算器12は、演算器10の演算結果と演算器8の演算結果力を加算して1次電流のd軸成分指令Ids* を演算する。
また、演算器11は、励磁電流成分指令I0*及び1次周波数ωを入力すると、式(18)の右辺第1項の演算が行う一方、演算器9は、トルク電流成分指令IT*及び1次周波数ωを入力すると、式(18)の右辺第2項の演算を行う。
そして、演算器11及び演算器9から演算結果を出力されると加算器13は、演算器11の演算結果と演算器9の演算結果力を加算して1次電流のq軸成分指令Iqs* を演算する。
【0020】
次に、電流指令値演算部14は、1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* と、すべり周波数ωs と、回転周波数ωr とを入力すると、式(19)〜式(21)の演算が行い、相電流指令Ius* 、Ivs* 、Iws* を演算する。
そして、最後に、電流制御部15が、1次電流Ius,Ivsがその1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に一致するように各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* を生成し、PWMインバータ16が各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* に基づいて誘導電動機1を制御する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘導電動機の制御装置は以上のように構成されているので、誘導電動機1の鉄損が無視できない場合でも、トルクの直線性が失われることなく良好なトルク制御性能が得られるが、誘導電動機1の定常状態における電圧・電流方程式(式(1) 〜式(4) 参照)からベクトル制御則を求めているため、2次磁束が時間的に変化するような場合(例えば、自動界磁弱め制御によって定出力運転を行う場合には、定出力運転領域では2次磁束の振幅が回転速度に反比例して時間的に変化する)、トルクの直線性が失われ、良好なトルク制御性能が得られなくなるなどの問題点があった。
【0022】
請求項1から請求項5の発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、2次磁束又は2次電流が時間的に変化するような場合でも、トルクの直線性を失うことなく、高精度のトルク制御性能を実現できる誘導電動機の制御装置を得ることを目的とする。
【0023】
請求項6及び請求項8の発明は、高精度のトルク制御性能の実現に加え、運転効率を向上できる誘導電動機の制御装置を得ることを目的とする。
【0024】
請求項7の発明は、高精度のトルク制御性能の実現に加え、運転効率及び速度応答性の向上を図るとともに、磁気飽和の発生を防止できる誘導電動機の制御装置を得ることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が、その誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を考慮して指令変換手段が変換した1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように誘導電動機の1次電流を制御するようにしたものである。ただし、指令変換手段が変換処理を実施する際、2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換するようにする。
【0026】
請求項2の発明に係る誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が、その誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を考慮して電流成分指令演算手段が変換した1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように誘導電動機の1次電流を制御するようにしたものである。ただし、電流成分指令演算手段が変換処理を実施する際、2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換するようにする。
【0027】
請求項3の発明に係る誘導電動機の制御装置は、電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と検出手段により検出された回転周波数に基づいてその誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算するようにしたものである。
【0028】
請求項4の発明に係る誘導電動機の制御装置は、2次磁束のd軸成分を考慮して2次磁束のd軸成分指令から変換された1次電流のd軸成分指令と、1次周波数を考慮して2次電流のq軸成分指令から変換された1次電流のq軸成分指令を、その1次周波数を考慮して誘導電動機の各相毎の1次電流指令に変換し、検出手段により検出された1次電流がその1次電流指令に一致するようにその1次電流を制御するようにしたものである。ただし、電流成分指令演算手段が変換処理を実施する際、2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換するようにする。
【0029】
請求項5の発明に係る誘導電動機の制御装置は、電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と検出手段により検出された回転周波数に基づいてその誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算するようにしたものである。
【0030】
請求項6の発明に係る誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算するようにしたものである。
【0031】
請求項7の発明に係る誘導電動機の制御装置は、演算された2次磁束のd軸成分指令が所定の最大値より大きい場合あるいは所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令を当該最大値あるいは最小値に制限し、その2次磁束のd軸成分指令にしたがって2次電流のq軸成分指令を演算するようにしたものである。
【0032】
請求項8の発明に係る誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係と、1次周波数演算回路または周波数・磁束演算手段により演算された2次磁束のd軸成分とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算するようにしたものである。
【0033】
【作用】
請求項1の発明における誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が、その誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を考慮して指令変換手段が変換した1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように誘導電動機の1次電流を制御する制御手段を設けたことにより、2次磁束が時間的に変化するような場合でも、トルクの直線性を失うことなく誘導電動機の1次電流が制御される。
【0034】
請求項2の発明における誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が、その誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を考慮して電流成分指令演算手段が変換した1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように誘導電動機の1次電流を制御する制御手段を設けたことにより、2次磁束が時間的に変化するような場合でも、トルクの直線性を失うことなく誘導電動機の1次電流が制御される。
【0035】
請求項3の発明における誘導電動機の制御装置は、電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と検出手段により検出された回転周波数に基づいてその誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算する1次周波数演算回路を設けたことにより、その1次電流のq軸成分を2次電流のq軸成分に変換することなく該1次周波数を演算することができるようになる。
【0036】
請求項4の発明における誘導電動機の制御装置は、2次磁束のd軸成分を考慮して2次磁束のd軸成分指令から変換された1次電流のd軸成分指令と、1次周波数を考慮して2次電流のq軸成分指令から変換された1次電流のq軸成分指令を、その1次周波数を考慮して誘導電動機の各相毎の1次電流指令に変換し、検出手段により検出された1次電流がその1次電流指令に一致するようにその1次電流を制御する制御手段を設けたことにより、2次磁束又は2次電流が時間的に変化するような場合でも、トルクの直線性を失うことなく誘導電動機の1次電流が制御される。
【0037】
請求項5の発明における誘導電動機の制御装置は、電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と検出手段により検出された回転周波数に基づいてその誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算する周波数・磁束演算回路を設けたことにより、その1次電流のq軸成分を2次電流のq軸成分に変換することなく該1次周波数を演算することができるようになる。
【0038】
請求項6の発明における誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算する指令発生手段を設けたことにより、誘導電動機の運転効率が最大になる2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令が得られる。
【0039】
請求項7の発明における誘導電動機の制御装置は、演算された2次磁束のd軸成分指令が所定の最大値より大きい場合あるいは所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令を当該最大値あるいは最小値に制限し、その2次磁束のd軸成分指令にしたがって2次電流のq軸成分指令を演算する指令発生手段を設けたことにより、2次磁束の振幅が大きくなり過ぎることによる磁気飽和の発生が抑えられ、また、仮にトルク不足が生じても直ちにトルク不足が解消できる範囲内で2次磁束の振幅が保たれる。
【0040】
請求項8の発明における誘導電動機の制御装置は、誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係と、1次周波数演算回路または周波数・磁束演算手段により演算された2次磁束のd軸成分とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算する指令発生手段を設けたことにより、精度よく、誘導電動機の運転効率が最大になる2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令が得られる。
【0041】
【実施例】
実施例1.
以下、この発明の一実施例を図について説明する。
図1は請求項1及び請求項2の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置を示す構成図であり、図において、従来のものと同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
【0042】
21は誘導電動機1の2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をそれぞれ1次周波数ωで回転する直交回転座標軸上のd軸成分及びq軸成分として出力する指令発生回路(指令発生手段)、22は電流検出器2により検出された1次電流Ius,Ivsと1次周波数ωから誘導電動機1の1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsを演算する電流成分演算回路(1次周波数演算手段)、23は電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsに基づいてすべり周波数ωs を演算するすべり周波数演算回路(1次周波数演算手段)、24はすべり周波数演算回路23により演算されたすべり周波数ωs に速度検出器3により検出された回転周波数ωr を加算して1次周波数ωを出力する加算器(1次周波数演算手段)であり、電流成分演算回路22とすべり周波数演算回路23と加算器24から1次周波数演算手段25が構成されている。
また、26は加算器24から出力された1次周波数ωに基づいて指令発生回路21から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* を1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* に変換する電流成分指令演算回路(電流成分指令演算手段)であり、電流成分指令演算回路26と1次周波数演算手段25から指令変換手段27が構成されている。
【0043】
また、28は誘導電動機1の1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsが電流成分指令演算回路26により変換された1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* に一致するように各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* を生成する電流制御回路(制御手段)であり、電流制御回路28及びPWMインバータ16から制御手段29が構成されている。
【0044】
次に動作について説明する。
当該誘導電動機の制御装置の具体的動作を説明する前に、当該装置のベクトル制御の原理について説明する。
【0045】
まず、1次周波数ωで回転するd−q軸上の誘導電動機1の過渡状態における電圧・電流方程式は次式によって与えられる。
ただし、式(22)〜(25)において、(d/dt)は微分演算子を示す。
【0046】
一方、2次磁束のd軸成分Φdr及びq軸成分Φqrと発生トルクτm については、過渡状態においても定常状態と同様に、式(5) 〜式(7) が成立する。
そこで、式(5) 及び式(6) を、式(24)及び式(25)に代入して、1次電流のd軸成分Idsとq軸成分Iqsを消去すると次式が得られる。
【0047】
また、式(5) 及び式(6) を変形して、2次電流のd軸成分Idr及びq軸成分Iqrを求めると次式が得られる。
【0048】
ここで、上述したように、ベクトル制御では、2次磁束ベクトルの方向をd軸に一致させる必要があるので、2次磁束のq軸成分は常に零になる必要がある。従って、Φqr=0となる条件を成立させるためには、誘導電動機1のすべり周波数ωs は、式(27)より次式を満足しなければならないことが分る。
ωs =−Rr Iqr/Φdr ・・・(31)
換言すると、常に式(31)を満足するように誘導電動機1を制御できれば、2次磁束が変化するような過渡状態においても、定常状態と同様に2次磁束のq軸成分Φqrを零に保つことができるので、2次磁束ベクトルの方向をd軸に一致させることができる。
【0049】
ただし、2次電流のq軸成分Iqr及び2次磁束のd軸成分Φdrは、直接検出することが困難であるので、まず、式(29)を式(31)に代入して、Iqrを消去すると次式が得られる。
そして、式(26)において、Φqr=0とし、かつ、式(28)を代入して、Idrを消去すると次式が得られる。
【0050】
ここで、式(33)に着目すると、2次磁束のd軸成分Φdrは、1次電流のd軸成分Idsとq軸成分Iqsから求めることができるので(1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsは、1次側の物理量であるため電流検出器2によって容易に検出することができる)、2次磁束のd軸成分Φdrを式(32)に代入すれば、すべり周波数ωs を求めることができる。
因に、kの値は式(30)から明らかなように、1次周波数ωの関数であり、また、鉄損抵抗Rm の値も1次周波数ωによって変化するため、式(33)及び式(34)の演算を行う場合には、1次周波数ωが必要となるが、1次周波数ωは、誘導電動機1の回転周波数ωr にすべり周波数ωs を加算することによって求められる。
【0051】
次に、式(31)を満足させるすべり周波数ωs を得るためには、如何なる指令値を用意すればよいかを考える。
まず、上記の通り、2次磁束のq軸成分は常に零(Φqr=0)である必要があるので、Φqr=0を式(7) に代入すると、定常状態のときと同様に、過渡状態においても、式(12)が成立する。
従って、式(12)を満足する2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をトルク指令τm*から求める必要がある。
具体的には、2次磁束のd軸成分指令Φdr* は、通常一定値であることが多いので、Φdr* =A(一定)とした場合、2次電流のq軸成分指令Iqr* は、−τm*/(APm )である必要がある。
ただし、誘導電動機1の2次磁束のd軸成分Φdr及び2次電流のq軸成分Iqrは、2次側の物理量であるため直接制御できないので、ここでは、2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* から、直接制御可能な1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を求めることにする。
【0052】
そこで、まず、式(5) 及び式(6) を変形して、1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsを求めると次式が得られる。
【0053】
そして、式(35)及び式(36)に、過渡状態でも成立するIdr(式(28))を代入して、Idrを消去し、さらに、
【0054】
従って、式(38)及び式(39)の演算によって、式(12)を満足する2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* から1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を求めることができる。なお、式(38)及び式(39)におけるkは、式(30)から明らかなように1次周波数ω(ω=ωs +ωr )の関数であるので、式(31)の演算結果であるすべり周波数ωs を式(38)及び式(39)に代入すれば、式(31)を満足する指令値が得られる。
因に、式(40)において、( Lr −M) の値は、誘導電動機1の2次漏れインダクタンスの値と等しいので、時定数Tr3の値は、Tr2の値と比較して非常に小さい。従って、式(39)の演算において、Tr3=0としても制御上の違いは殆ど生じない。
以上より、1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* が求められるので、これらの指令値によって誘導電動機1を制御すれば、誘導電動機の1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsはこれらの指令値Ids* ,Iqs* にそれぞれ追従することになる。
【0055】
なお、1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsは、下記に示すように、1次電流Ius,Ivsと1次周波数ωから求めることができる。
【0056】
式(44)を式(41)及び式(42)に代入して、Iwsを消去すると次式が得られる。
従って、1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsは、1次電流Ius,Ivsと1次周波数ωから求めることができる。
【0057】
以上がこの発明における誘導電動機のベクトル制御方式であるが、2次磁束が又は2次電流が時間的に変化するような過渡状態においても式(31)及び式(12)が成立する指令値Φdr* ,Iqr* を求めて制御するので、定常状態と同様にトルクの直線性を保つことができる。従って、高精度のトルク制御性能を実現できる。
【0058】
次に、当該誘導電動機の制御装置の具体的動作を説明する。
まず、指令発生回路21は、誘導電動機1の2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をそれぞれ1次周波数ωで回転するd−q軸上のd軸成分及びq軸成分として出力する。
具体的には、図2に示すように、指令発生回路21内部のレベル設定器31に予め設定されたd軸成分指令Φdr* (振幅が一定の2次磁束)を出力するとともに、除算器32がトルク指令発生手段(図示せず)から出力されたトルク指令τm*をそのd軸成分指令Φdr* で除算したのち、係数器33がその除算結果に所定の係数値( −1/Pm)を乗算して2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算し、そのq軸成分指令Iqr* を出力する(式(12)参照)。
【0059】
次に、電流成分演算回路22は、電流検出器2により検出された1次電流Ius(U相),Ivs(V相)と1次周波数ωを入力すると、誘導電動機1の1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsを演算する。
即ち、図3に示すように、まず、V/Fコンバータ41が、アナログ信号である1次周波数ωを入力すると、周波数が1次周波数ωの振幅に比例したパルス列信号を出力し、カウンタ42が、このパルス列信号を計数して、1次周波数ωの積分値である位相θの値をデジタル信号として出力する。
【0060】
そして、このカウンタ42から出力された位相θはそれぞれROM43〜46に入力され、各ROM43〜46は、その位相θに基づいてそれぞれ、sinθ、sin( θ−2π/3) 、cosθ、cos( θ−2π/3) の値をデジタル信号として出力する。
【0061】
そして、電流検出器2から出力されたV相の1次電流Ivs(アナログ信号)と、ROM43から出力されたsinθ(デジタル信号)とを乗算型D/Aコンバータ47が入力すると、両者を乗算してIvssinθの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、電流検出器2から出力されたU相の1次電流Iusと、ROM44から出力されたsin(θ−2π/3) とを乗算型D/Aコンバータ48が入力すると、両者を乗算してIussin( θ−2π/3) の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、電流検出器2から出力されたV相の1次電流Ivsと、ROM45から出力されたcosθとを乗算型D/Aコンバータ49が入力すると、両者を乗算して、Ivscosθの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、電流検出器2から出力されたU相の1次電流Iusと、ROM46から出力されたcos(θ−2π/3) とを乗算型D/Aコンバータ50が入力すると、両者を乗算してIuscos( θ−2π/3) の値をアナログ信号として出力する。
【0062】
そして、乗算型D/Aコンバータ47及び48の出力を減算器51が入力すると、係数器52とともに、式(45)の演算を行い、1次電流のd軸成分Idsを出力する。
一方、乗算型D/Aコンバータ49及び50の出力を減算器53が入力すると、係数器54とともに、式(46)の演算を行い、1次電流のq軸成分Iqsを出力する。
【0063】
次に、すべり周波数演算回路23は、電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsに基づいてすべり周波数ωs を演算する。
即ち、図4に示すように、A/Dコンバータ61が、アナログ信号である1次周波数ωを入力すると、その1次周波数ωをデジタル信号に変換し、後段のROM62〜68のアドレス信号として出力する。
【0064】
そして、このA/Dコンバータ61の出力をアドレス信号としてROM62が入力すると、−k( Lr −M) の値をデジタル信号として出力する。因に、kの値は式(30)が示すように、1次周波数ωの関数となるので、ROM62には、1次周波数ωの値に対応して−k( Lr −M) の値が格納されている。
同様にして、ROM63〜68はそれぞれ、−k、MLr +k2 、M+k2 /Lr 、k( 1−M/Lr)、1/Tr1、Rr /( Lr2+k2)の値をデジタル信号として出力する。
【0065】
そして、電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids(アナログ信号)と、ROM62から出力された−k( Lr −M) とを乗算型D/Aコンバータ69が入力すると、両者を乗算して−k( Lr −M) Idsの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、後述する積分器77により演算された2次磁束のd軸成分Φdr(アナログ信号)と、ROM63から出力された−kとを乗算型D/Aコンバータ70が入力すると、両者を乗算して−kΦdrの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、電流成分演算回路22により演算された1次電流のq軸成分Iqs(アナログ信号)と、ROM64から出力されたMLr +k2 とを乗算型D/Aコンバータ71が入力すると、両者を乗算して(MLr +k2 )Iqsの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids(アナログ信号)と、ROM65から出力されたM+k2 /Lr とを乗算型D/Aコンバータ72が入力すると、両者を乗算して( M+k2 /Lr)Idsの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、電流成分演算回路22により演算された1次電流のq軸成分Iqs(アナログ信号)と、ROM66から出力されたk( 1−M/Lr)とを乗算型D/Aコンバータ73が入力すると、両者を乗算してk( 1−M/Lr)Iqsの値をアナログ信号として出力する。
【0066】
そして、乗算型D/Aコンバータ72の出力と乗算型D/Aコンバータ73の出力を加算器74が入力すると、両者を加算して、式(33)の右辺の分子の演算を行ない、減算器75がその演算結果から積分器77の出力であるΦdrを減算する。
そして、減算器75、乗算型D/Aコンバータ76及び積分器77によって、下記に示すような1次遅れ演算(式(33)と等価)が行われ、積分器77から2次磁束のd軸成分Φdrが出力される。
【0067】
一方、乗算型D/Aコンバータ69〜71からそれぞれ−k( Lr −M) Ids、−kΦdr、( MLr +k2)Iqsの値が出力されると加算器78は、これらの出力を加算する。
そして、除算器79がその加算結果を積分器77によって演算された2次磁束のd軸成分Φdrで除算したのち、乗算型D/Aコンバータ80がその除算結果にROM68から出力されたRr /( Lr2+k2)を乗算することにより式(32)の演算を行い、すべり周波数ωs を出力する。
【0068】
次に、周波数演算回路23によりすべり周波数ωs を演算されると加算器24は、そのすべり周波数ωs に、速度検出器3により検出された回転周波数ωr を加算して1次周波数ωを出力する。
【0069】
次に、電流成分演算回路26は、加算器24から出力された1次周波数ωに基づいて指令発生回路21から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* を1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* に変換する。
即ち、図5に示すように、加算器24からアナログ信号である1次周波数ωを出力されると、A/Dコンバータ81はその1次周波数ωをデジタル信号に変換する。
そして、その1次周波数ωをアドレス信号としてROM82が入力すると、M/( M2 +k2)の値をデジタル信号として出力する。因に、kの値は式(30)が示すように、1次周波数ωの関数となるので、ROM82には、1次周波数ωの値に対応してM/( M2 +k2)の値が格納されている。
同様にして、ROM83〜87はそれぞれ、MTr2/( M2 +k2)、k( Lr −M) /( M2 +k2)、k/( M2 +k2)、kTr3/( M2 +k2)、−( MLr +k2)/( M2 +k2)の値をデジタル信号として出力する。
【0070】
そして、指令発生回路21から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* を微分器88が入力すると、d軸成分指令Φdr* を微分して、その微分信号(d/dt)Φdr* を出力する。
【0071】
そして、指令発生回路21から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* (アナログ信号)と、ROM82から出力されたM/( M2 +k2)とを乗算型D/Aコンバータ89が入力すると、両者を乗算してMΦdr* /( M2 +k2)の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、微分器88から出力された微分信号(d/dt)Φdr* (アナログ信号)と、ROM83から出力されたMTr2/( M2 +k2)とを乗算型D/Aコンバータ90が入力すると、両者を乗算してMTr2(d/dt)Φdr* /( M2 +k2)の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、指令発生回路21から出力された2次電流のq軸成分指令Iqr* (アナログ信号)と、ROM84から出力されたk( Lr −M) /( M2 +k2)とを乗算型D/Aコンバータ91が入力すると、両者を乗算してk( Lr −M) Iqr* /( M2 +k2)の値をアナログ信号として出力する。
【0072】
同様にして、指令発生回路21から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* (アナログ信号)と、ROM85から出力されたk/( M2 +k2)とを乗算型D/Aコンバータ92が入力すると、両者を乗算してkΦdr* /( M2 +k2)の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、微分器88から出力された微分信号(d/dt)Φdr* (アナログ信号)と、ROM86から出力されたkTr3/( M2 +k2)とを乗算型D/Aコンバータ93が入力すると、両者を乗算してkTr3(d/dt)Φdr* /( M2 +k2)の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、指令発生回路21から出力された2次電流のq軸成分指令Iqr* (アナログ信号)と、ROM87から出力された−( MLr +k2)/( M2 +k2)とを乗算型D/Aコンバータ94が入力すると、両者を乗算して−( MLr +k2)Iqr* /( M2 +k2)の値をアナログ信号として出力する。
【0073】
そして、加算器95は、乗算型D/Aコンバータ89〜91の出力をそれぞれ加算することにより式(38)の演算を行い、1次電流のd軸成分指令Ids* を出力する。
一方、加算器96は、乗算型D/Aコンバータ92〜94の出力をそれぞれ加算することにより式(39)の演算を行い、1次電流のq軸成分指令Iqs* を出力する。
【0074】
次に、電流制御回路28は、電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsが電流成分指令演算回路26により変換された1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* に一致するように各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* を生成する。
即ち、図6に示すように、まず、1次電流のd軸成分指令Ids* とd軸成分Idsとの偏差を減算器101が求め、その偏差を増幅器102が増幅することによって1次電圧のd軸成分指令Vds* を演算して出力する。
同様にして、1次電流のq軸成分指令Iqs* とq軸成分Iqsとの偏差を減算器103が求め、その偏差を増幅器104が増幅することによって1次電圧のq軸成分指令Vqs* を演算して出力する。
【0075】
ここで、式(41)〜(44)は、電圧についても同様に成立するので、これらの式において、Ius、Ivs及びIwsをそれぞれ、Vus* 、Vvs* 及びVws* に置き換え、さらに、Ids及びIqsをそれぞれ、Vds* 及びVqs* に置き換えた後、Vus* 、Vvs* 、Vws* について解くと次式が得られる。
【0076】
そこで、アナログ信号である1次周波数ωをV/Fコンバータ105が入力すると、周波数が1次周波数ωの振幅に比例したパルス列信号を出力し、カウンタ106が、このパルス列信号を計数して、1次周波数ωの積分値である位相θの値をデジタル信号として出力する。
そして、このカウンタ106から出力された位相θはそれぞれROM107〜110に入力され、各ROM107〜110は、その位相θに基づいてそれぞれ、cosθ、cos( θ−2π/3) 、sinθ、sin( θ−2π/3) の値をデジタル信号として出力する。
【0077】
そして、増幅器102から出力された1次電圧のd軸成分指令Vds* (アナログ信号)と、ROM107から出力されたcosθとを乗算型D/Aコンバータ111が入力すると、両者を乗算してVds* cosθの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、増幅器102から出力された1次電圧のd軸成分指令Vds* (アナログ信号)と、ROM108から出力されたcos( θ−2π/3) とを乗算型D/Aコンバータ112が入力すると、両者を乗算してVds* cos( θ−2π/3) の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、増幅器104から出力された1次電圧のq軸成分指令Vqs* (アナログ信号)と、ROM109から出力されたsinθとを乗算型D/Aコンバータ113が入力すると、両者を乗算してVqs* sinθの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、増幅器104から出力された1次電圧のq軸成分指令Vqs* (アナログ信号)と、ROM110から出力されたsin( θ−2π/3) とを乗算型D/Aコンバータ114が入力すると、両者を乗算してVqs* sin( θ−2π/3) の値をアナログ信号として出力する。
【0078】
そして、減算器115が乗算型D/Aコンバータ111の出力と乗算型D/Aコンバータ113の出力の偏差を求め、係数器116がその偏差に係数(2/3)1/2を乗算することにより式(48)の演算を行い、U相の1次電圧の電圧指令Vus* を出力する。
同様にして、減算器117が乗算型D/Aコンバータ112の出力と乗算型D/Aコンバータ114の出力の偏差を求め、係数器118がその偏差に係数(2/3)1/2を乗算することにより式(49)の演算を行い、V相の1次電圧の電圧指令Vvs* を出力する。
そして、加算器119が係数器116の出力と係数器118の出力とを加算し、符号反転器120がその加算値を反転することにより式(50)の演算を行い、W相の1次電圧の電圧指令Vws* を出力する。
【0079】
最後に、PWMインバータ16は、電流制御回路28から出力された各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* に基づいて、誘導電動機1の1次電流を制御する。
これにより、1次電圧Vus,Vvs,Vwsが、電流制御回路28から出力された1次電圧の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* に追随するようになる。
その結果、誘導電動機1の1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsは、それぞれの指令値Ids* 、Iqs* に追随し、2次磁束のd軸成分Φdr及び2次電流のq軸成分Iqrもそれぞれの指令値Φdr* 、Iqr* に追随する。
【0080】
以上で明らかなように、この実施例1によれば、2次磁束が時間的に変化するような過渡状態においても、式(12)が成立する指令値Φdr* ,Iqr* を求め、式(31)が成立するように制御するので、定常状態と同様に、トルクの直線性を保つことができる。従って、高精度のトルク制御性能を実現できる。
【0081】
実施例2.
図7は請求項3の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置を示す構成図であり、図において、131は電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsと1次周波数ωに基づいて誘導電動機1の2次磁束のd軸成分Φdrを演算する2次磁束演算回路(1次周波数演算回路)、132は指令発生回路21から出力された2次電流のq軸成分指令Iqr* を2次磁束演算回路131により演算された2次磁束のd軸成分Φdrで除算する除算器(1次周波数演算回路)、133は除算器132の除算結果に係数値−Rr を乗算し、すべり周波数ωs を出力する係数器(1次周波数演算回路)である。
なお、2次磁束演算回路131、除算器132、係数器133及び加算器24から1次周波数演算回路が構成されており、また、当該1次周波数演算回路と電流成分演算回路22から1次周波数演算手段25が構成されている。
【0082】
次に動作について説明する。
1次周波数演算手段25の1次周波数演算回路以外は、上記実施例1と同様であるため1次周波数演算手段25の1次周波数演算回路についてのみ説明する。
まず、2次磁束演算回路131は、周波数演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsを入力すると、1次周波数ωに基づいて2次磁束のd軸成分Φdrを演算する。
因に、2次磁束演算回路131の具体的構成は、図9に示すすべり周波数演算回路23aのすべり周波数ωs を演算する部分(ROM62〜64、ROM68、乗算型D/Aコンバータ69〜71、加算器78、除算器79及び乗算型D/Aコンバータ80)を除いた構成と同様であるので、詳細説明を省略する。
【0083】
そして、2次磁束演算回路131から2次磁束のd軸成分Φdrを出力されると除算器132が、その2次磁束のd軸成分Φdrで指令発生回路21から出力された2次電流のq軸成分指令Iqr* を除算し、係数器133がその除算結果に係数値−Rr を乗算することにより式(31)の演算を行い、すべり周波数ωs を出力する。
そして、加算器24がそのすべり周波数ωs に、速度検出器3により検出された回転周波数ωr を加算して1次周波数ωを演算する。
【0084】
以上より、上記実施例1と同様に、1次周波数ωを演算することができるが、この実施例2によれば、上記実施例1のように、1次電流のq軸成分Iqsを2次電流のq軸成分Iqrに変換することなく、指令発生回路21から出力された2次電流のq軸成分指令Iqr* を入力するだけで1次周波数ωを演算することができるので、回路構成が簡単になる(この実施例2の場合、すべり周波数演算回路23のすべり周波数ωs を演算する部分が不要になる)とともに、演算を高速に行うことができるようになる。
【0085】
実施例3.
図8は請求項4の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置を示す構成図であり、図において、21aは誘導電動機1の2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をそれぞれ1次周波数ωで回転するd−q軸上のd軸成分及びq軸成分として出力する指令発生回路(指令発生手段)、141は外部から出力された速度指令ωr*と速度検出器3により検出された回転周波数ωr の偏差を演算する減算器、142は減算器141の出力を増幅し、トルク指令に比例した信号を出力する増幅器、143は増幅器142の出力を反転し、2次電流のq軸成分指令Iqr* を出力する符号反転器、144は速度検出器3により検出された回転周波数ωr に基づいて2次磁束のd軸成分指令Φdr* を演算する関数発生器である。
【0086】
23aは電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsと一次周波数ωに基づいて、すべり周波数ωs 及び2次磁束のd軸成分Φdrを演算するすべり周波数演算回路である。なお、電流成分演算回路22、すべり周波数演算回路23a及び加算器24から周波数・磁束演算手段25aが構成されている。
【0087】
145は1次周波数ωに基づいて2次電流のq軸成分指令Iqr* を1次電流のq軸成分指令Iqs* に変換するq軸電流成分指令演算回路、146は関数発生器144から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* とすべり周波数演算回路23aから出力された2次磁束のd軸成分Φdrの偏差を演算する減算器、147は減算器146の出力を増幅し、1次電流のd軸成分指令Ids* を出力する増幅器である。なお、q軸電流成分指令演算回路145、減算器146及び増幅器147から電流成分指令演算手段148が構成されている。
【0088】
150は電流成分指令演算手段148により演算された1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を1次周波数ωに基づいて誘導電動機1の各相毎の1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に変換する1次電流指令演算回路、151は各相毎の1次電流指令Ius,Ivs,Iwsが、その1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に一致するように各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* を生成する電流制御回路である。
【0089】
また、152はU相の1次電流指令Ius* と1次電流Iusの偏差を演算する減算器、153は減算器152の出力を増幅し、U相の1次電圧の電圧指令Vus* を出力する増幅器、154はV相の1次電流指令Ivs* と1次電流Ivsの偏差を演算する減算器、155は減算器154の出力を増幅し、V相の1次電圧の電圧指令Vvs* を出力する増幅器、156は1次電流Iusと1次電流Ivsを加算する加算器、157は加算器156の出力を反転し、1次電流Iwsを演算する反転器、158はW相の1次電流指令Iws* と1次電流Iwsの偏差を演算する減算器、159は減算器158の出力を増幅し、W相の1次電圧の電圧指令Vws* を出力する増幅器である。
なお、1次電流指令演算回路150、電流制御回路151及びPWMインバータ16から制御手段160が構成されている。
【0090】
次に動作について説明する。
まず、指令発生回路21aは、上記実施例1における指令発生回路21と同様に、誘導電動機1の2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をそれぞれ1次周波数ωで回転するd−q軸上のd軸成分及びq軸成分として出力するが、内部構成が相違している。
【0091】
即ち、指令発生回路21aの場合、まず、減算器141が外部から出力された速度指令ωr*と速度検出器3により検出された回転周波数ωr の偏差を演算したのち、増幅器142がその減算器141の出力を増幅して、トルク指令に比例した信号を出力し、符号反転器143が増幅器142の出力を反転し、2次電流のq軸成分指令Iqr* を出力する。
また、2次磁束のd軸成分指令Φdr* は、関数発生器144が下記に示すように、速度検出器3により検出された回転周波数ωr に基づいて2次磁束のd軸成分指令Φdr* を演算して出力する。
ここで、ωr0の値としては、通常誘導電動機1の定格速度の値が設定される。これにより、回転周波数ωr の絶対値がωr0より大きくなると、式(52)に従ってΦdr* の値がωr の絶対値に反比例して変化するので、定出力運転が行われる。
【0092】
次に、周波数・磁束演算手段25aは、上記実施例1における1次周波数演算手段25と同様に、1次周波数ωを演算して出力するが、2次磁束のd軸成分Φdrについても出力する点が相違している。
具体的には、すべり周波数演算回路23(図4)とすべり周波数演算回路23a(図9)の構成においてのみ相違しており、さらに具体的には、すべり周波数演算回路23の積分器77は2次磁束のd軸成分指令Φdr* を外部には出力しないが、すべり周波数演算回路23aの積分器77は2次磁束のd軸成分指令Φdr* を外部に出力する点が相違している(その他は同一)。
【0093】
次に、電流成分指令演算手段148のq軸電流成分指令演算回路145は、1次周波数ωに基づいて2次電流のq軸成分指令Iqr* を1次電流のq軸成分指令Iqs* に変換するが、上記実施例1における電流成分指令演算回路26の1次電流のq軸成分指令Iqs* を演算する部分と同じであるので、詳細説明は省略する(図5参照)。
一方、1次電流のd軸成分指令Ids* については、減算器146が関数発生器144から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* とすべり周波数演算回路23aから出力された2次磁束のd軸成分Φdrとの偏差を演算し、増幅器147が減算器146の出力を増幅することにより、1次電流のd軸成分指令Ids* を演算し出力している。
【0094】
次に、1次電流指令演算回路150は、電流成分指令演算手段148により演算された1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* を1次周波数ωに基づいて誘導電動機1の各相毎の1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に変換するが、1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* と、各相毎の1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* の間には、下記の関係がある。
【0095】
具体的には、図10に示すように、V/Fコンバータ161が、アナログ信号である1次周波数ωを入力すると、周波数が1次周波数ωの振幅に比例したパルス列信号を出力し、カウンタ162が、このパルス列信号を計数して、1次周波数ωの積分値である位相θをデジタル信号として出力する。
【0096】
そして、このカウンタ162から出力された位相θはそれぞれROM163〜166に入力され、各ROM163〜166は、その位相θに基づいてそれぞれ、cosθ、cos( θ−2π/3) 、sinθ、sin( θ−2π/3) の値をデジタル信号として出力する。
【0097】
そして、増幅器147から出力された1次電流のd軸成分指令Ids* (アナログ信号)と、ROM163から出力されたcosθ(デジタル信号)とを乗算型D/Aコンバータ167が入力すると、両者を乗算してIds* cosθの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、増幅器147から出力された1次電流のd軸成分指令Ids* と、ROM164から出力されたcos( θ−2π/3) とを乗算型D/Aコンバータ168が入力すると、両者を乗算してIds* cos( θ−2π/3) の値をアナログ信号として出力する。
同様にして、q軸電流成分指令演算回路145から出力された1次電流のq軸成分指令Iqs* と、ROM165から出力されたsinθとを乗算型D/Aコンバータ169が入力すると、両者を乗算してIqs* sinθの値をアナログ信号として出力する。
同様にして、q軸電流成分指令演算回路145から出力された1次電流のq軸成分指令Iqs* と、ROM166から出力されたsin( θ−2π/3) とを乗算型D/Aコンバータ170が入力すると、両者を乗算してIqs* sin(θ−−2π/3) の値をアナログ信号として出力する。
【0098】
そして、乗算型D/Aコンバータ167及び169の出力を減算器171が入力すると、係数器172とともに、式(53)の演算を行い、U相の1次電流指令Ius* を出力する。
また、乗算型D/Aコンバータ168及び170の出力を減算器173が入力すると、係数器174とともに、式(54)の演算を行い、V相の1次電流指令Ivs* を出力する。
さらに、係数器172及び174の出力を加算器175が入力すると、符号反転器176とともに、式(55)の演算の行い、W相の1次電流指令Iws* を出力する。
【0099】
次に、電流制御回路151は、各相の1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* を入力すると、各相毎の1次電流Ius,Ivs,Iwsが、その1次電流指令Ius* ,Ivs* ,Iws* に一致するように各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* を生成する。
【0100】
即ち、減算器152が、U相の1次電流指令Ius* と1次電流Iusの偏差を演算し、増幅器153がその偏差を増幅することにより、U相の1次電圧の電圧指令Vus* を演算して出力する。
同様にして、減算器154が、V相の1次電流指令Ivs* と1次電流Ivsの偏差を演算し、増幅器155がその偏差を増幅することにより、V相の1次電圧の電圧指令Vvs* を演算して出力する。
同様にして、減算器158が、W相の1次電流指令Iws* と1次電流Iws(1次電流Iwsは、加算器156及び符号反転器157によって求められる(式(44)参照)の偏差を演算し、増幅器159がその偏差を増幅することにより、W相の1次電圧の電圧指令Vws* を演算して出力する。
【0101】
最後に、PWMインバータ16は、電流制御回路151から出力された各相毎の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* に基づいて、誘導電動機1の1次電流を制御する。
これにより、1次電圧Vus,Vvs,Vwsが、電流制御回路151から出力された1次電圧の電圧指令Vus* ,Vvs* ,Vws* に追随するようになる。
その結果、誘導電動機1の1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsは、それぞれの指令値Ids* 、Iqs* に追随し、2次磁束のd軸成分Φdr及び2次電流のq軸成分Iqrもそれぞれの指令値Φdr* 、Iqr* に追随する。
【0102】
以上で明らかなように、この実施例3によれば、2次磁束又は2次電流が時間的に変化するような過渡状態においても、上記実施例1と同様に、式(12)が成立する指令値Φdr* ,Iqr* を求め、式(31)が成立するように制御するので、定常状態と同様に、トルクの直線性を保つことができる。従って、高精度のトルク制御性能を実現できる。
【0103】
実施例4.
上記実施例3では、すべり周波数演算回路23aがすべり周波数ωs を演算するものについて示したが、上記実施例2と同様に、2次磁束演算回路131と除算器132と係数器133とによってすべり周波数ωs を演算するようにしてもよい(図7参照)。
これにより、上記実施例3のように、1次電流のq軸成分Iqsを2次電流のq軸成分Iqrに変換することなく、指令発生回路21aから出力された2次電流のq軸成分指令Iqr* を入力するだけで1次周波数ωを演算することができるので、回路構成が簡単になる(この実施例4の場合、すべり周波数演算回路23aのすべり周波数ωs 演算する部分が不要になる)とともに、演算を高速に行うことができるようになる。
因に、この実施例4は請求項5の発明に対応している。
【0104】
実施例5.
上記実施例1では、指令発生回路21が、式(12)を満足する2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をトルク指令τm*から求めるものについて示したが、図11に示すように、誘導電動機1の2次磁束のd軸成分Φdrに対する2次電流のq軸成分Iqrの比の関係を表す1次周波数ωの関数f(ω)と、その2次磁束のd軸成分Φdrと2次電流のq軸成分Iqrの積がトルク指令τm*に比例する関係とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算するようにしてもよい。
これにより、高精度のトルク制御性能の実現に加え、運転効率を向上させることができる。
【0105】
図11は請求項6の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置の指令発生回路(指令発生手段)部分を示す構成図であり、図において、181はトルク指令τm*に係数1/Pm を乗算する係数器、182は係数器181の乗算結果の絶対値を演算する絶対値回路、183はアナログ信号である1次周波数ωをデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、184は1次周波数ωを入力するとf(ω)の値を出力するROM、185は絶対値回路182の出力とROM184の出力を乗算してf(ω)|τm*|/Pm の値をアナログ信号として出力する乗算型D/Aコンバータ、186は乗算型D/Aコンバータ185の出力の平方根を演算し、2次磁束のd軸成分指令Φdr* を出力する平方根演算器、187は係数器181の乗算結果を反転する符号反転器、188は符号反転器187の出力を2次磁束のd軸成分指令Φdr* で除算し、2次電流のq軸成分指令Iqr* を出力する除算器である。
【0106】
次に動作について説明する。
指令発生回路21b以外は、上記実施例1と同様であるため指令発生回路21bについてのみ説明するが、その説明をする前に、運転効率を向上させるための原理について説明する。
【0107】
上述したように、式(12)を満足する2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* をトルク指令τm*から求め、これらの指令値Φdr* ,Iqr* によって式(31)が成立するように、誘導電動機1を制御すれば、2次磁束が変化する過渡状態においても、誘導電動機1の発生トルクτm はトルク指令τm*に追従することになる。
しかしながら、式(12)を満足するΦdr* とIqr* の組み合わせは無数に存在し、また、当該装置の損失は、後述するように2次磁束のd軸成分Φdr及び2次電流のq軸成分Iqrに影響されるので、これらの組み合わせによって、当該装置の運転効率が決定される。
そこで、如何なる指令値Φdr* ,Iqr* を選択すれば、当該装置の運転効率が最大になるかを考える。
【0108】
まず、式(22)〜式(25)に示す電圧・電流方程式の微分項は、一定トルクで誘導電動機1を加減速運転する場合零になるので、当該微分項を無視するとともに、2次磁束のq軸成分を零(Φqr=0)にする条件(式(12)を満足させるために必要な条件(詳細は実施例1参照))を考慮すると、式(26)より次式が得られる。
Idr=0 ・・・(56)
そこで、式(56)を、式(22)及び式(23)に代入し、微分項を無視すると、1次電圧のd軸成分Vds及びq軸成分Vqsは、下記のように表すことができる。
【0109】
一方、1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsは、式(35)、式(36)によって示されるが、式(35)及び式(36)に、Φqr=0、Idr=0を代入すると、式(35)及び式(36)は下記のように表すことができる。
【0110】
ここで、誘導電動機1に入力される有効電力Pinは、次式で与えられる。
Pin=Vds・Ids+Vqs・Iqs ・・・(61)
そして、式(61)に、式(57)〜式(60)を代入すると式(61)は、下記のように表すことができる。
【0111】
一方、誘導電動機1の機械的出力Pout は、次式で与えられる。
Pout =ωrm・τm ・・・(63)
ただし、ωrmは誘導電動機1の機械的な回転周波数であり、電気的な回転周波数ωr とは、次の関係がある。
ωrm=ωr /Pm =( ω−ωs)/Pm ・・・(64)
また、式(64)に、式(31)を代入してωs を消去すると、次式が得られる。
ωrm=( ω+Rr Iqr/Φdr) /Pm ・・・(65)
従って、式(63)に、式(12)及び式(65)を代入して、τm およびωrmを消去すると、式(63)は下記のように表すことができる。
Pout =−ωIqrΦdr−Rr Iqr2 ・・・(66)
【0112】
次に、誘導電動機1で発生する損失Plossは、次式によって与えられるが、損失Plossが最小になれば、運転効率は最大になる。換言すると、損失Plossが最小となるΦdrとIqrの組み合わせを求めれば、運転効率を最大にすることができる。
Ploss=Pin−Pout ・・・(67)
そして、式(67)に、式(62)及び式(66)を代入すると、式(67)は下記のように表すことができる。
【0113】
よって、ここでは損失Plossが最小となるΦdrとIqrの組み合わせを求めることにする。
まず、ΦdrとIqrの組み合わせが変化しても、式(12)は常に成立するので、発生トルクが一定の場合、2次磁束のd軸成分Φdrと2次電流のq軸成分Iqrの間には、下記の関係が成立する。
Φdr・Iqr=A ( A=一定) ・・・(69)
そこで、式(68)に、式(69)を代入してΦdrを消去すると、式(68)は下記のように表すことができる。
【0114】
ここで、式(70)に着目すると、損失Plossは、式(70)の右辺をIqr2 で微分し、その微分値が零となる条件を具備するとき最小となる。
従って、この条件と式(69)から、求めるΦdrとIqrの関係は次式によって与えられる。
よって、ΦdrとIqrの振幅比が式(71)を満足するように、指令値Φdr* ,Iqr* を設定すれば、運転効率が最大になる。
【0115】
次に、指令発生回路21bの具体的動作を説明する。
まず、外部からトルク指令τm*を係数器181が入力すると、そのトルク指令τm*に係数値1/Pm を乗算し、絶対値回路182がその乗算結果の絶対値|τm*|/Pm の値を演算する。
一方、加算器24からアナログ信号である1次周波数ωをA/Dコンバータ183が入力するとデジタル信号に変換し、ROM184がA/Dコンバータ183の出力をアドレス信号として入力する。これにより、ROM184は、アドレス信号である1次周波数ωに基づいて、関数f(ω) の値をデジタル信号として出力する。
即ち、ROM184には、1次周波数ωの値に対応して式(71)の値が格納されている。
【0116】
そして、絶対値回路182の出力|τm*|/Pm (アナログ信号)と、ROM184の出力f(ω)の値(デジタル信号)とを乗算型D/Aコンバータ185が入力すると、両者を乗算してf(ω) |τm*|/Pm の値をアナログ信号として出力する。
そして、乗算型D/Aコンバータ185の出力を平方根演算器186が入力すると、f(ω) |τm*|/Pm の平方根を演算することによって2次磁束のd軸成分指令Φdr* を演算する。
即ち、2次磁束のd軸成分指令Φdr* は、式(12)及び式(72)より、下記のように表すことができるので、乗算型D/Aコンバータ185の出力f(ω) |τm*|/Pm の平方根を演算すれば、2次磁束のd軸成分指令Φdr* を演算することができる。
Φdr* =(f(ω) |τm*|/Pm )1/2 ・・・(73)
【0117】
また、係数器181の出力τm*/Pm を符号反転器187が入力すると、係数器181の出力を反転して−τm*/Pm の値を出力し、その−τm*/Pm の値を除算器188が入力すると、−τm*/Pm の値を平方根演算器186から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* で除算することによって2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算する。
即ち、2次電流のq軸成分指令Iqr* は、式(12)より、下記のように表すことができるので、符号反転器187の出力−τm*/Pm を2次磁束のd軸成分指令Φdr* で除算すれば、2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算することができる。
Iqr* =−τm*/( Pm Φdr*) ・・・(74)
【0118】
以上のように、この実施例5によれば、損失Plossが最小になる条件を満足、即ち、式(71)を満足するように、指令発生回路21bが指令値Φdr* ,Iqr* を演算するので、誘導電動機1の運転効率を最大にすることができる。
【0119】
実施例6.
上記実施例5では、図1における指令発生回路21を図11の指令発生回路21bに置き換えたものについて示したが、図7における指令発生回路21及び図8における指令発生回路21aを図11の指令発生回路21bに置き換えてもよく、上記実施例5と同様の効果を奏する。
【0120】
実施例7.
上記実施例5では、損失Plossが最小になる条件を満足(式(71)を満足)する2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算するものについて示したが、さらに、その演算された2次磁束のd軸成分指令Φdr* が所定の最大値より大きい場合あるいは所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* を当該最大値あるいは最小値に制限し、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* にしたがって2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算するようにしてもよい。
これにより、高精度のトルク制御性能の実現に加え、運転効率及び速度応答性の向上を図ることができるとともに、磁気飽和の発生を防止することができる。
【0121】
図12は請求項7の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置の指令発生回路(指令発生手段)部分を示す構成図であり、図において、189は速度指令ωr*と速度検出器3から出力された回転周波数ωr の偏差を演算する減算器、190は減算器189の出力を増幅し、トルク指令τm*を演算する増幅器、191は平方根演算器186により演算された2次磁束のd軸成分指令Φdr* が所定の最大値より大きい場合には、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* を当該最大値に制限し、所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* を当該最小値に制限する制限回路である。
【0122】
次に動作について説明する。
平方根演算器186の出力側に制限回路191を設けた点以外は、ほぼ実施例5と同様であるので、主に制限回路191について説明する。
まず、上記実施例5のように、制限回路143がない場合には、2次磁束のd軸成分指令Φdr* は式(71)を満足する限り、大きな値を取ることができるので、2次磁束の振幅を大きくすることができるが、2次磁束の振幅はある程度以上大きくなると、磁気飽和が発生してしまうので、高精度のトルク制御性能が得られなくなってしまう不具合がある。
また、2次磁束のd軸成分Φdrは、式(33)から明らかなように、1次電流のd軸成分Idsに対して1次遅れの特性をもって応答するので、2次磁束のd軸成分Φdrが小さくなり過ぎると、急速にトルクを増大させる必要が生じた場合、1次電流のd軸成分Idsを急変させても、2次磁束のd軸成分Φdrの応答が遅いため、指令どおりのトルクを得るまでに要する時間が長くなる不具合もある。
【0123】
そこで、この実施例7では、上記のような不具合を解消するために、平方根演算器186により演算された2次磁束のd軸成分指令Φdr* が所定の最大値より大きい場合には、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* を当該最大値に制限し、所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令Φdr* を当該最小値に制限する制限回路191を設けることによって、2次磁束のd軸成分Φdrの振幅の大きさを制限している。
【0124】
実施例8.
上記実施例5では、損失Plossが最小になる条件を満足(式(71)を満足)する2次磁束のd軸成分指令Φdr* 及び2次電流のq軸成分指令Iqr* を演算するものについて示したが、上記条件の他に、1次周波数演算回路25または周波数・磁束演算手段25aにより演算された2次磁束のd軸成分Φdrを用いて演算するという条件を付加するようにしてもよい。
これにより、誘導電動機1の運転効率を更に向上させることができる。
【0125】
図13は請求項8の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置の指令発生回路(指令発生手段)部分を示す構成図であり、図において、192はトルク指令τm*が正のとき−1の極性信号を出力し、負のとき1の極性信号を出力する極性判別回路、193は2次磁束のd軸成分ΦdrとROM184の出力を乗算して、Φdrf(ω)の値をアナログ信号として出力する乗算型D/Aコンバータ、195は係数器181の出力を乗算型D/Aコンバータ193の出力で除算し、2次磁束のd軸成分指令Φdr* を出力する除算器、194は乗算型D/Aコンバータ193の出力と極性判別回路192の出力を乗算して2次電流のq軸成分指令Iqr* を出力する乗算器である。
【0126】
次に動作について説明する。
まず、外部からトルク指令τm*を係数器181が入力すると、そのトルク指令τm*に係数値1/Pm を乗算する。
また、外部からトルク指令τm*を極性判別回路192が入力すると、そのトルク指令τm*の極性を判別し、そのトルク指令τm*が正であれば−1の極性信号を出力し、負であれば1の極性信号を出力する。
【0127】
一方、1次周波数演算回路25等から2次磁束のd軸成分Φdr(アナログ信号)と、ROM184の出力f(ω)の値(デジタル信号)とを乗算型D/Aコンバータ193が入力すると、両者を乗算してΦdrf(ω) の値をアナログ信号として出力する。ただし、式(72)よりΦdrf(ω) は|Iqr|と等しい。
そして、係数器181の出力τm*/Pm を除算器195が入力すると、τm*/Pm の値を乗算型D/Aコンバータ193の出力|Iqr|で除算することによって2次磁束のd軸成分指令Φdr* を演算する。
即ち、2次磁束のd軸成分指令Φdr* は、式(12)より、下記のように表すことができるので、係数器181の出力τm*/Pm を|Iqr|で除算すれば、2次磁束のd軸成分指令Φdr* を演算することができる。
Φdr* =−τm*/(Pm Iqr) ・・・(75)
【0128】
一方、乗算型D/Aコンバータ193の出力|Iqr|を乗算器194が入力すると、極性判別回路192から出力された極性信号を乗算して、2次電流のq軸成分指令Iqr* を出力する。
なお、極性信号の極性は、トルク指令τm*の極性と異なるので、トルク指令τm*の極性と異なる2次電流のq軸成分指令Iqr* が出力される。
【0129】
以上のように、この実施例8によれば、損失Plossが最小になる条件の他に、1次周波数演算回路25または周波数・磁束演算手段25aにより演算された2次磁束のd軸成分Φdrを用いて演算するという条件を付加しているので、上記実施例5よりも更に誘導電動機1の運転効率を向上させることができる。
即ち、上記実施例5では、2次磁束のd軸成分指令Φdr* に基づいて2次電流のq軸成分指令Iqr* を求めているが、必ずしも2次磁束のd軸成分指令Φdr* が2次磁束のd軸成分Φdrに一致するとは限らないからである。
【0130】
実施例9.
上記実施例1〜4では、すべり周波数演算回路23,23aまたは2次磁束演算回路131が、電流成分演算回路22により演算された1次電流のd軸成分Ids及びq軸成分Iqsに基づいて、すべり周波数ωs 又は2次磁束のd軸成分Φdrを演算するものについて示したが、電流成分指令演算回路26又は電流成分指令演算手段148により変換された1次電流のd軸成分指令Ids* 及びq軸成分指令Iqs* に基づいて演算するようにしてもよく、同様の効果が得られる。
【0131】
実施例10.
上記実施例2では、1次周波数演算手段25が2次磁束演算回路131により演算された2次磁束のd軸成分Φdrに基づいてすべり周波数ωs を演算するものについて示したが、指令発生回路21から出力された2次磁束のd軸成分指令Φdr* に基づいて演算するようにしてもよく、同様の効果が得られる。
なお、この場合、2次磁束演算回路131は不要となる。
【0132】
実施例11.
上記実施例では、ハードウエアによって構成したものについて示したが、マイクロコンピュータを用いたソフトウエア処理によって実現してもよい。
【0133】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が、その誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を考慮して指令変換手段が変換した1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように誘導電動機の1次電流を制御し、かつ、指令変換手段が変換処理を実施する際、2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換するように構成したので、2次磁束又は2次電流が時間的に変化するような場合でもトルクの直線性を失うことなく誘導電動機の1次電流を制御でき、その結果、良好なトルク制御性能が得られる効果がある。
【0134】
請求項2の発明によれば、誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が、その誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を考慮して電流成分指令演算手段が変換した1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように誘導電動機の1次電流を制御し、かつ、電流成分指令演算手段が変換処理を実施する際、2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換するように構成したので、2次磁束又は2次電流が時間的に変化するような場合でもトルクの直線性を失うことなく誘導電動機の1次電流を制御でき、その結果、良好なトルク制御性能が得られる効果がある。
【0135】
請求項3の発明によれば、電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と検出手段により検出された回転周波数に基づいてその誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算するように構成したので、請求項1の発明の効果に加え、1次電流のq軸成分を2次電流のq軸成分に変換することなく該1次周波数を演算することができ、その結果、1次周波数演算手段の構成が簡単になる効果がある。
【0136】
請求項4の発明によれば、2次磁束のd軸成分を考慮して2次磁束のd軸成分指令から変換された1次電流のd軸成分指令と、1次周波数を考慮して2次電流のq軸成分指令から変換された1次電流のq軸成分指令を、その1次周波数を考慮して誘導電動機の各相毎の1次電流指令に変換し、検出手段により検出された1次電流がその1次電流指令に一致するようにその1次電流を制御し、かつ、電流成分指令演算手段が変換処理を実施する際、2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換するように構成したので、2次磁束又は2次電流が時間的に変化するような場合でも、トルクの直線性を失うことなく誘導電動機の1次電流を制御でき、その結果、良好なトルク制御性能が得られる効果がある。
【0137】
請求項5の発明によれば、電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と検出手段により検出された回転周波数に基づいてその誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算するように構成したので、請求項1の発明の効果に加え、1次電流のq軸成分を2次電流のq軸成分に変換することなく該1次周波数を演算することができ、その結果、周波数・磁束演算手段の構成が簡単になる効果がある。
【0138】
請求項6の発明によれば、誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算するように構成したので、請求項1の発明の効果に加え、誘導電動機の運転効率を最大にできる効果がある。
【0139】
請求項7の発明によれば、演算された2次磁束のd軸成分指令が所定の最大値より大きい場合あるいは所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令を当該最大値あるいは最小値に制限し、その2次磁束のd軸成分指令にしたがって2次電流のq軸成分指令を演算するように構成したので、請求項6の発明の効果に加え、誘導電動機の応答速度を向上させることができるとともに、磁気飽和の発生を防止できる効果がある。
【0140】
請求項8の発明によれば、誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係と、1次周波数演算回路または周波数・磁束演算手段により演算された2次磁束のd軸成分とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算するように構成したので、請求項6の発明よりも確実に、誘導電動機の運転効率を最大にできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び請求項2の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置を示す構成図である。
【図2】指令発生回路21を示す構成図である。
【図3】電流成分演算回路22を示す構成図である。
【図4】すべり周波数演算回路23を示す構成図である。
【図5】電流成分指令演算回路26を示す構成図である。
【図6】電流制御回路28を示す構成図である。
【図7】請求項3の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置を示す構成図である。
【図8】請求項4の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置を示す構成図である。
【図9】すべり周波数演算回路23aを示す構成図である。
【図10】1次電流指令演算回路150を示す構成図である。
【図11】請求項6の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置の指令発生回路部分を示す構成図である。
【図12】請求項7の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置の指令発生回路部分を示す構成図である。
【図13】請求項8の発明の一実施例による誘導電動機の制御装置の指令発生回路部分を示す構成図である。
【図14】従来の誘導電動機の制御装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 誘導電動機
2 電流検出器(検出手段)
3 速度検出器(検出手段)
21、21a、21b、21c、21d 指令発生回路(指令発生手段)
22 電流成分演算回路
24 加算器(1次周波数演算回路)
25 1次周波数演算手段
25a 周波数・磁束演算手段
26 電流成分指令演算回路(電流成分指令演算手段)
27 指令変換手段
29、160 制御手段
131 2次磁束演算回路(1次周波数演算回路)
132 除算器(1次周波数演算回路)
133 係数器(1次周波数演算回路)
148 電流成分指令演算手段
Claims (8)
- 誘導電動機の2次磁束のd軸成分指令を1次周波数で回転する直交回転座標軸上のd軸成分として出力するとともに、その誘導電動機の2次電流のq軸成分指令を1次周波数で回転する直交回転座標軸上のq軸成分として出力する指令発生手段と、上記誘導電動機の1次電流及び回転周波数を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された1次電流に基づいて上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分を演算するとともに、その1次電流のd軸成分及びq軸成分と上記回転周波数に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算し、その1次周波数を考慮して上記指令発生手段から出力された2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を上記1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換する指令変換手段と、上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が上記指令変換手段により変換されたd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように上記誘導電動機の1次電流を制御する制御手段とを備えた誘導電動機の制御装置において、上記指令変換手段は、上記2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて上記2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を上記1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
- 誘導電動機の2次磁束のd軸成分指令を1次周波数で回転する直交回転座標軸上のd軸成分として出力するとともに、その誘導電動機の2次電流のq軸成分指令を1次周波数で回転する直交回転座標軸上のq軸成分として出力する指令発生手段と、上記誘導電動機の1次電流及び回転周波数を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された1次電流に基づいて上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分を演算するとともに、その1次電流のd軸成分及びq軸成分と上記回転周波数に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算する1次周波数演算手段と、上記1次周波数演算手段により演算された1次周波数を考慮して上記指令発生手段から出力された2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を上記1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換する電流成分指令演算手段と、上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分が上記電流成分指令演算手段により変換されたd軸成分指令及びq軸成分指令に一致するように上記誘導電動機の1次電流を制御する制御手段とを備えた誘導電動機の制御装置において、上記電流成分指令演算手段は、上記2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて上記2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を上記1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
- 上記1次周波数演算手段は、上記検出手段により検出された1次電流に基づいて上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分を演算する電流成分演算回路と、上記電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と上記指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と上記検出手段により検出された回転周波数に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算する1次周波数演算回路とから構成されたことを特徴とする請求項2記載の誘導電動機の制御装置。
- 誘導電動機の2次磁束のd軸成分指令を1次周波数で回転する直交回転座標軸上のd軸成分として出力するとともに、その誘導電動機の2次電流のq軸成分指令を1次周波数で回転する直交回転座標軸上のq軸成分として出力する指令発生手段と、上記誘導電動機の1次電流及び回転周波数を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された1次電流に基づいて上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分を演算するとともに、その1次電流のd軸成分及びq軸成分と上記回転周波数に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数及び該2次磁束のd軸成分を演算する周波数・磁束演算手段と、上記周波数・磁束演算手段により演算された2次磁束のd軸成分を考慮して上記指令発生手段から出力された2次磁束のd軸成分指令を上記1次電流のd軸成分指令に変換するとともに、上記1次周波数を考慮して上記2次電流のq軸成分指令を該1次電流のq軸成分指令に変換する電流成分指令演算手段と、上記電流成分指令演算手段により演算された1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令を上記1次周波数を考慮して上記誘導電動機の各相毎の1次電流指令に変換し、上記検出手段により検出された1次電流がその1次電流指令に一致するようにその1次電流を制御する制御手段とを備えた誘導電動機の制御装置において、上記電流成分指令演算手段は、上記2次磁束のd軸成分指令を微分した微分信号に基づいて上記2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を上記1次電流のd軸成分指令及びq軸成分指令に変換することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
- 上記周波数・磁束演算手段は、上記検出手段により検出された1次電流に基づいて上記誘導電動機の1次電流のd軸成分及びq軸成分を演算する電流成分演算回路と、上記電流成分演算回路により演算された1次電流のd軸成分及びq軸成分に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のd軸成分を演算するとともに、その2次磁束のd軸成分と上記指令発生手段から出力された2次電流のq軸成分指令と上記検出手段により検出された回転周波数に基づいて上記誘導電動機の2次磁束のq軸成分が零になる1次周波数を演算する周波数・磁束演算回路とから構成されたことを特徴とする請求項4記載の誘導電動機の制御装置。
- 上記指令発生手段は、上記誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算することを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか1項記載の誘導電動機の制御装置。
- 上記指令発生手段は、上記誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令を演算するとともに、その演算された2次磁束のd軸成分指令が所定の最大値より大きい場合あるいは所定の最小値より小さい場合には、その2次磁束のd軸成分指令を当該最大値あるいは最小値に制限し、その2次磁束のd軸成分指令にしたがって2次電流のq軸成分指令を演算することを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか1項記載の誘導電動機の制御装置。
- 上記指令発生手段は、上記誘導電動機の2次磁束のd軸成分に対する2次電流のq軸成分の比の関係を表す1次周波数の関数と、その2次磁束のd軸成分と2次電流のq軸成分の積がトルク指令に比例する関係と、上記1次周波数演算回路または上記周波数・磁束演算手段により演算された2次磁束のd軸成分とに基づいて、その2次磁束のd軸成分指令及び2次電流のq軸成分指令を演算することを特徴とする請求項3から請求項5のうち何れか1項記載の誘導電動機の制御装置。
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