JP3602245B2 - バーナタイルの亀裂発生防止方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種雰囲気炉、例えば加熱炉、均熱炉、焼鈍炉、焼成炉等におけるバーナタイルの亀裂発生防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重油やプロパン、天然ガス等を燃料として燃焼させた燃焼ガスを加熱源とする各種の雰囲気炉には、これら燃料を燃焼させるためのバーナが炉壁や天井に設置される。バーナから供給される燃料を安定的に燃焼させるために、高温に耐える材料である耐火物製のバーナタイルが用いられ、バーナはこのバーナタイルに挿入される。バーナタイルは、燃料の燃焼により最も高温となるので、十分な耐熱性を備えている必要がある。
【0003】
一例として、小型のセラミック部品の連続焼成炉について、詳細に説明する。図6に模式的に外観を示し、図7に一部の拡大断面図を示すように、入口1aから出口1bにかけて長い直方体状に形成された炉1内に、セラミック部品を連続的に送り、その搬送中に炉壁に設けられたバーナ2により上記部品を加熱、焼成し、上記炉1の出口1bから出る部品を次工程へ送るようになされている。
【0004】
上記バーナ2の設置に関しては、図6および図7にみられるように、必要とするバーナに対応して複数のバーナタイル3が炉壁4に配置され、これらバーナタイル3にそれぞれバーナ2が挿入される。そしてこれらバーナタイル3間には耐火煉瓦、不定形耐火物、耐火断熱煉瓦等の耐火物あるいはセラミックファイバー等が設置されており、バーナタイル背面側には断熱効果を目的として通常断熱煉瓦またはセラミックファイバー、セラミックボード等が設置されている。
【0005】
勿論、焼成する部品の大きさや、形状が異なる場合、あるいは、金属の焼鈍や再加熱のための炉では、炉の構造や大きさが異なるのが一般的であるが、それぞれの炉に必要な配置と数のバーナタイルが、炉壁または天井部に設置されることは共通している。
【0006】
上記のような炉において、炉の中に挿入する物、例えば、セラミック部品や鋼塊や鋼板等を加熱処理するにあたって一時的に炉内温度を低下させるときや、装入物の種類の変更や後工程の変更時、その他炉設備の点検、修理時等に炉の運転を停止させるときには、バーナの燃焼を停止し、炉壁あるいは天井に設置されたガス吹き込み口6から冷却用ガス(一般には常温の窒素ガス)を炉内に吹き込んで炉内温度を低下させることがある。このとき、バーナ本体保護のために少量の冷却用ガスをバーナ本体にも流し込んで冷却することもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような炉において、バーナの燃焼が継続して行われる場合には、バーナタイルは燃焼ガスから受ける高温に耐えればよいのであるが、前記したように、炉内に冷却用ガスを吹き込んで炉内温度を低下させることがあり、温度変化に伴うスポーリングにも耐えなければならない。
【0008】
一例として、バーナ燃焼時バーナタイル3の各部の温度分布をみると、図8に半分の断面を模式的に示すバーナタイル3の炉内端部3aから背面3bまでの各部3c,3d,3eでの温度は、図9に示すように3c部で約1400℃、3a部および3d部では約1300℃、3e部では約1000℃、3b部では約600℃に昇温される(図9のA時点)。そしてバーナを消火し、冷却用ガスを炉内に吹き込むと、各部とも急激に600℃程度にまで降温する。
【0009】
上記の場合、バーナタイル3内に発生する応力についてみると、稼働初期の昇温直後(図9のA時点)での最大引張応力の発生は図8においてa点であり、計算による発生応力は3.1MPaとなる。ところが、冷却用ガスの吹き込み時(図9のB時点)では最大引張応力の発生は図8においてb点であり、発生応力は9.0MPaであって昇温時の3倍にも達する。
【0010】
したがって、冷却用ガス吹き込み時にバーナタイルに発生する引張応力は非常に大きい値となる。これは、高温部分が冷却されて収縮する際に局部的な引張力として働き、図8のb点付近の内面側から亀裂が発生する可能性がきわめて高いことを示している。
【0011】
実際の各種雰囲気炉におけるバーナタイルでも、図8のb点付近から亀裂が発生し、この亀裂が成長して割れ、脱落に至り、損傷することが非常に多い。このようなバーナタイルの割れが生じると、炉内の装入物を汚染したり、またはバーナ燃焼が不安定になり、操業を続けられなくなるという問題がある。
【0012】
このように、バーナタイルは、昇温時には高温に曝されているのに、冷却用ガス吹き込みにより急激に炉内側から冷却されることになり、このときの温度変化によってバーナタイルに亀裂が生じ、割れ、脱落損傷が生じる。
【0013】
一般に、急激な温度変化を与えないために、昇温、冷却速度を制御して、ゆっくりした温度変化にすれば、バーナタイルに発生する応力を低減することが可能であると思われる。しかしながら、炉内冷却の目的やその性格上冷却速度をゆるめることができない炉がある。したがって、亀裂発生防止のために、バーナタイルの材質特性や形状の改善が行われているが、十分な効果を上げるには至っていない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷却用ガスの吹き込みにより炉内温度を下げるようにしても、バーナタイルの内部に発生する引張応力を軽減してバーナタイルに亀裂が発生しないようにすることを課題とするもので、その解決手段として、炉内に冷却ガスを吹き込んで炉内を冷却するとき、バーナタイルの背面を冷却するようにしたことにある。この冷却については、バーナタイル背面の温度が50〜300℃になるように冷却するのがよく、冷却はバーナタイルの背面の全域または一部であってよく、また、連続、断続のいずれであってもよい。
【0015】
したがって、冷却用ガスの吹き込みにより炉内温度を下げるとき、炉内温度の低下に合わせてバーナタイルの背面側の温度も低下し、バーナタイルの表裏における温度をその温度勾配が平行的に降下することによって亀裂の発生が防がれる。
【0016】
バーナタイル背面を冷却するにあたっては、炉内が冷却されるのとほぼ同時にバーナタイル背面の冷却を行うことが必要である。これによって、炉内温度の低下とともにバーナタイル背面の温度も低下するので、バーナタイル内部の温度が平行的に降下し、引張応力の増加を防止することができる。
【0017】
炉内が冷却されるときのバーナタイル背面の冷却温度は、50〜300℃がよい。先にも示したように、図8の3b部の温度は、昇温後(図9のA時点)で約600℃であるので、液体窒素等であまり急激にバーナタイル背面を冷却することは、バーナタイル内部の温度分布を不均等にしてしまい、別の亀裂を誘因することもあるので、バーナタイル背面の温度は50℃未満にならないように調整するのがよい。一方、バーナタイル背面温度が300℃を越える場合には、冷却不足の状態で、亀裂発生の抑制効果が劣るので300℃以下に保つように冷却するのがよい。
【0018】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
図1〜図5は、バーナタイル3背面を冷却するための具体的手段を例示するもので、便宜上バーナタイル3はその半分を断面として示しており、このバーナタイル3は、定形耐火物、不定形耐火物等のセラミックスで形成されている。図1(A)、(B)に示す実施の形態は、バーナタイル3の背面側に、多数の孔7a,7a…を有する耐火煉瓦、キャスタブルやプラスチック等の不定形耐火物、および耐火断熱煉瓦等の耐火物7とバーナタイル3の背面3bとの間にガス通路となる間隙8をおいて設置され、これを覆う炉1の鉄皮9にも上記孔7a,7a…と合致する孔9a,9a…が穿設されており、これらのバーナタイル3および耐火物7の外周部(炉壁)は耐火煉瓦、キャスタブルやプラスチック等の不定形耐火物、および耐火断熱煉瓦等の耐火物あるいはセラミックファイバ10で囲まれている。
【0019】
したがって冷却時には、前記耐火物7の孔7a,7aに向けバーナタイル背面冷却用のガスを吹き込み、バーナタイル背面3bに接触させて冷却する。この場合、ガスを断続的に吹き込み、冷却(断続冷却)するか、あるいは連続的にガスを吹き込むようにして冷却(連続冷却)するようにしてもよい。
【0020】
図1(C)は図1(A)の変形例を示すもので、前記耐火物7の背面側に仕切り7bにより2室7c,7dに区画され、鉄皮9には各室7c,7dに連通する孔9b,9cが穿設されているとともに、耐火物7には各室7c,7dと前記間隙8とを連通する孔7a,7aが穿設されたものである。したがって一方の孔9bから冷却用ガスを吹き込めば、そのガスは室7c、孔7a、間隙8、孔7a、室7d、孔9cと流れ、その間にバーナタイル3の背面が冷却される。
【0021】
図2は冷却用媒体として液体を用いる場合の一実施形態を示すもので、バーナタイル3の背面側にその背面3bが臨む冷却ボックス11が設けられ、その流入口11aから冷却用液体を冷却用ボックス11内に流入させ、バーナタイル3の背面3b側を冷却した冷却用液体を流出口11bから排出させるようにしてバーナタイル3の背面側を冷却するようになされたものである。
【0022】
図3(A)、(B)はバーナタイル3の背面3bにそって冷却用媒体を通す蛇行状に屈曲された冷却管12が配置され、その背後に断熱煉瓦13が配置されたもので、上記冷却管12の一端12aから冷却用流体を供給し、他端12bから排出させる間にバーナタイル3の背面側を冷却するようになされたものである。この場合、冷却管12に冷却用流体を連続的に流せば連続冷却となり、断続的に流せば断続冷却となる。
【0023】
図4はバーナタイル3の背面側に配置される断熱煉瓦13の上下部と、バーナタイル3の背面3bとの間に流体通路15,16,17が設けられ、鉄皮9側にも上記通路15,17に連通する孔18,19が形成されていて、上部の通路15から冷却用流体を供給し、バーナタイル3の背面3bの通路16を通って下部の通路17から排出させることによりバーナタイル3の背面側を冷却するようになされたものである。
【0024】
さらに図5は、バーナタイル3の背面側にセラミックファイバあるいは通気性を有する煉瓦等の通気性材料20が配置され、鉄皮9に穿設された孔21からこの通気断熱材20を通して冷却用ガスを通し、孔21より排出するようにしてバーナタイル3の背面側も共に温度低下するようにし、これによりバーナタイル3に局部的な引張応力の発生を防ぎ、亀裂の発生が防止される。
【0025】
なお、各々の実施の形態について説明したが、冷却のための構造は必ずしもこれらに限定されるものではなく、バーナタイルの背面の冷却温度を調整できるような冷却方法であればよい。また、冷却用流体についても、必ずしも例示したような構造で液体や気体を使い分ける必要はなく、それぞれ制御し易い方法であればよい。冷却用流体には、常温の空気や窒素ガス等の気体や、水や油脂等の液体を用いることができる。
【0026】
【実施例】
炉内容積960リットルの小型焼成炉を用いて本発明の効果の確認を行った。焼成炉には1個のバーナタイルが設置できるものとし、炉内の冷却は通常は閉じられている内部観察用の孔から窒素ガスを吹き込むことにより行った。バーナタイルの構造は表1に示すように、9種類を用意した。バーナタイルの背面の冷却には窒素ガスを用いた。
【0027】
【表1】
バーナタイルの先端(図8の3aの部分)の温度が1400℃になるまでバーナ燃焼させ、続いて炉内冷却用窒素ガスを一定流量で炉内へ吹き込んだ。炉内冷却用ガス吹き込みと同時に、バーナタイル背面の冷却を行った。この場合、バーナタイル背面の温度を調整するため冷却用窒素ガス流量は異なる。また、小型焼成炉は炉内の大きさが小さいため、炉内冷却の効果が大きい。昇温と冷却を3回繰り返した後、バーナタイルに発生した亀裂の状況を観察した。実験の要点と結果を表1に示す。
【0028】
表1から明らかなように、バーナタイル背面を冷却していない従来法の比較例2では、大きな亀裂発生とともに部分的に亀裂に起因する崩落が認められた。これに対して本発明例ではすべてバーナタイルに亀裂が認められなかった。比較例1は本発明のバーナタイル背面を冷却したものであり、亀裂は微少である。しかし、バーナタイル背面が十分に冷却されていないために、本発明例1〜7と比べると、幾分亀裂を発生しやすい結果となった。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、炉内温度を低下させるために冷却用ガスを炉内に吹き込むとき、バーナタイルの背面側を冷却するようにしたことにより、炉内温度の低下に合わせてバーナタイルの温度を表裏平行的に下げ、局部的な内部応力の発生を抑制して亀裂の発生を防止することができ、バーナタイルの耐用寿命を大幅に延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)は本発明の一実施形態を示す一部の断面図および断熱煉瓦の正面図、(C)は(A)の変形例の断面図。
【図2】同、他の実施形態を示す図1(A)相当図。
【図3】(A)、(B)は同他の実施形態を示す図1(A)、(B)相当図。
【図4】同、さらに他の実施形態を示す図1(A)相当図。
【図5】同、さらに他の実施形態を示す図1(A)相当図。
【図6】炉の一例を模式的に示す斜視図。
【図7】図6の一部拡大断面図。
【図8】バーナタイルの半分を模式的に示す断面図。
【図9】バーナタイルの各部の昇温、降温状況を示すグラフ。
【符号の説明】
1 炉
2 バーナ
3 バーナタイル
3b バーナタイルの背面
4 炉壁
6 ガス吹込み口
7 断熱煉瓦
7a 孔
8 間隙
9 鉄皮
10 セラミックファイバ(断熱材)
11 冷却ボックス
12 冷却管
13 断熱煉瓦
15,16,17 流体通路
20 通気断熱材
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種雰囲気炉、例えば加熱炉、均熱炉、焼鈍炉、焼成炉等におけるバーナタイルの亀裂発生防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重油やプロパン、天然ガス等を燃料として燃焼させた燃焼ガスを加熱源とする各種の雰囲気炉には、これら燃料を燃焼させるためのバーナが炉壁や天井に設置される。バーナから供給される燃料を安定的に燃焼させるために、高温に耐える材料である耐火物製のバーナタイルが用いられ、バーナはこのバーナタイルに挿入される。バーナタイルは、燃料の燃焼により最も高温となるので、十分な耐熱性を備えている必要がある。
【0003】
一例として、小型のセラミック部品の連続焼成炉について、詳細に説明する。図6に模式的に外観を示し、図7に一部の拡大断面図を示すように、入口1aから出口1bにかけて長い直方体状に形成された炉1内に、セラミック部品を連続的に送り、その搬送中に炉壁に設けられたバーナ2により上記部品を加熱、焼成し、上記炉1の出口1bから出る部品を次工程へ送るようになされている。
【0004】
上記バーナ2の設置に関しては、図6および図7にみられるように、必要とするバーナに対応して複数のバーナタイル3が炉壁4に配置され、これらバーナタイル3にそれぞれバーナ2が挿入される。そしてこれらバーナタイル3間には耐火煉瓦、不定形耐火物、耐火断熱煉瓦等の耐火物あるいはセラミックファイバー等が設置されており、バーナタイル背面側には断熱効果を目的として通常断熱煉瓦またはセラミックファイバー、セラミックボード等が設置されている。
【0005】
勿論、焼成する部品の大きさや、形状が異なる場合、あるいは、金属の焼鈍や再加熱のための炉では、炉の構造や大きさが異なるのが一般的であるが、それぞれの炉に必要な配置と数のバーナタイルが、炉壁または天井部に設置されることは共通している。
【0006】
上記のような炉において、炉の中に挿入する物、例えば、セラミック部品や鋼塊や鋼板等を加熱処理するにあたって一時的に炉内温度を低下させるときや、装入物の種類の変更や後工程の変更時、その他炉設備の点検、修理時等に炉の運転を停止させるときには、バーナの燃焼を停止し、炉壁あるいは天井に設置されたガス吹き込み口6から冷却用ガス(一般には常温の窒素ガス)を炉内に吹き込んで炉内温度を低下させることがある。このとき、バーナ本体保護のために少量の冷却用ガスをバーナ本体にも流し込んで冷却することもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような炉において、バーナの燃焼が継続して行われる場合には、バーナタイルは燃焼ガスから受ける高温に耐えればよいのであるが、前記したように、炉内に冷却用ガスを吹き込んで炉内温度を低下させることがあり、温度変化に伴うスポーリングにも耐えなければならない。
【0008】
一例として、バーナ燃焼時バーナタイル3の各部の温度分布をみると、図8に半分の断面を模式的に示すバーナタイル3の炉内端部3aから背面3bまでの各部3c,3d,3eでの温度は、図9に示すように3c部で約1400℃、3a部および3d部では約1300℃、3e部では約1000℃、3b部では約600℃に昇温される(図9のA時点)。そしてバーナを消火し、冷却用ガスを炉内に吹き込むと、各部とも急激に600℃程度にまで降温する。
【0009】
上記の場合、バーナタイル3内に発生する応力についてみると、稼働初期の昇温直後(図9のA時点)での最大引張応力の発生は図8においてa点であり、計算による発生応力は3.1MPaとなる。ところが、冷却用ガスの吹き込み時(図9のB時点)では最大引張応力の発生は図8においてb点であり、発生応力は9.0MPaであって昇温時の3倍にも達する。
【0010】
したがって、冷却用ガス吹き込み時にバーナタイルに発生する引張応力は非常に大きい値となる。これは、高温部分が冷却されて収縮する際に局部的な引張力として働き、図8のb点付近の内面側から亀裂が発生する可能性がきわめて高いことを示している。
【0011】
実際の各種雰囲気炉におけるバーナタイルでも、図8のb点付近から亀裂が発生し、この亀裂が成長して割れ、脱落に至り、損傷することが非常に多い。このようなバーナタイルの割れが生じると、炉内の装入物を汚染したり、またはバーナ燃焼が不安定になり、操業を続けられなくなるという問題がある。
【0012】
このように、バーナタイルは、昇温時には高温に曝されているのに、冷却用ガス吹き込みにより急激に炉内側から冷却されることになり、このときの温度変化によってバーナタイルに亀裂が生じ、割れ、脱落損傷が生じる。
【0013】
一般に、急激な温度変化を与えないために、昇温、冷却速度を制御して、ゆっくりした温度変化にすれば、バーナタイルに発生する応力を低減することが可能であると思われる。しかしながら、炉内冷却の目的やその性格上冷却速度をゆるめることができない炉がある。したがって、亀裂発生防止のために、バーナタイルの材質特性や形状の改善が行われているが、十分な効果を上げるには至っていない。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷却用ガスの吹き込みにより炉内温度を下げるようにしても、バーナタイルの内部に発生する引張応力を軽減してバーナタイルに亀裂が発生しないようにすることを課題とするもので、その解決手段として、炉内に冷却ガスを吹き込んで炉内を冷却するとき、バーナタイルの背面を冷却するようにしたことにある。この冷却については、バーナタイル背面の温度が50〜300℃になるように冷却するのがよく、冷却はバーナタイルの背面の全域または一部であってよく、また、連続、断続のいずれであってもよい。
【0015】
したがって、冷却用ガスの吹き込みにより炉内温度を下げるとき、炉内温度の低下に合わせてバーナタイルの背面側の温度も低下し、バーナタイルの表裏における温度をその温度勾配が平行的に降下することによって亀裂の発生が防がれる。
【0016】
バーナタイル背面を冷却するにあたっては、炉内が冷却されるのとほぼ同時にバーナタイル背面の冷却を行うことが必要である。これによって、炉内温度の低下とともにバーナタイル背面の温度も低下するので、バーナタイル内部の温度が平行的に降下し、引張応力の増加を防止することができる。
【0017】
炉内が冷却されるときのバーナタイル背面の冷却温度は、50〜300℃がよい。先にも示したように、図8の3b部の温度は、昇温後(図9のA時点)で約600℃であるので、液体窒素等であまり急激にバーナタイル背面を冷却することは、バーナタイル内部の温度分布を不均等にしてしまい、別の亀裂を誘因することもあるので、バーナタイル背面の温度は50℃未満にならないように調整するのがよい。一方、バーナタイル背面温度が300℃を越える場合には、冷却不足の状態で、亀裂発生の抑制効果が劣るので300℃以下に保つように冷却するのがよい。
【0018】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
図1〜図5は、バーナタイル3背面を冷却するための具体的手段を例示するもので、便宜上バーナタイル3はその半分を断面として示しており、このバーナタイル3は、定形耐火物、不定形耐火物等のセラミックスで形成されている。図1(A)、(B)に示す実施の形態は、バーナタイル3の背面側に、多数の孔7a,7a…を有する耐火煉瓦、キャスタブルやプラスチック等の不定形耐火物、および耐火断熱煉瓦等の耐火物7とバーナタイル3の背面3bとの間にガス通路となる間隙8をおいて設置され、これを覆う炉1の鉄皮9にも上記孔7a,7a…と合致する孔9a,9a…が穿設されており、これらのバーナタイル3および耐火物7の外周部(炉壁)は耐火煉瓦、キャスタブルやプラスチック等の不定形耐火物、および耐火断熱煉瓦等の耐火物あるいはセラミックファイバ10で囲まれている。
【0019】
したがって冷却時には、前記耐火物7の孔7a,7aに向けバーナタイル背面冷却用のガスを吹き込み、バーナタイル背面3bに接触させて冷却する。この場合、ガスを断続的に吹き込み、冷却(断続冷却)するか、あるいは連続的にガスを吹き込むようにして冷却(連続冷却)するようにしてもよい。
【0020】
図1(C)は図1(A)の変形例を示すもので、前記耐火物7の背面側に仕切り7bにより2室7c,7dに区画され、鉄皮9には各室7c,7dに連通する孔9b,9cが穿設されているとともに、耐火物7には各室7c,7dと前記間隙8とを連通する孔7a,7aが穿設されたものである。したがって一方の孔9bから冷却用ガスを吹き込めば、そのガスは室7c、孔7a、間隙8、孔7a、室7d、孔9cと流れ、その間にバーナタイル3の背面が冷却される。
【0021】
図2は冷却用媒体として液体を用いる場合の一実施形態を示すもので、バーナタイル3の背面側にその背面3bが臨む冷却ボックス11が設けられ、その流入口11aから冷却用液体を冷却用ボックス11内に流入させ、バーナタイル3の背面3b側を冷却した冷却用液体を流出口11bから排出させるようにしてバーナタイル3の背面側を冷却するようになされたものである。
【0022】
図3(A)、(B)はバーナタイル3の背面3bにそって冷却用媒体を通す蛇行状に屈曲された冷却管12が配置され、その背後に断熱煉瓦13が配置されたもので、上記冷却管12の一端12aから冷却用流体を供給し、他端12bから排出させる間にバーナタイル3の背面側を冷却するようになされたものである。この場合、冷却管12に冷却用流体を連続的に流せば連続冷却となり、断続的に流せば断続冷却となる。
【0023】
図4はバーナタイル3の背面側に配置される断熱煉瓦13の上下部と、バーナタイル3の背面3bとの間に流体通路15,16,17が設けられ、鉄皮9側にも上記通路15,17に連通する孔18,19が形成されていて、上部の通路15から冷却用流体を供給し、バーナタイル3の背面3bの通路16を通って下部の通路17から排出させることによりバーナタイル3の背面側を冷却するようになされたものである。
【0024】
さらに図5は、バーナタイル3の背面側にセラミックファイバあるいは通気性を有する煉瓦等の通気性材料20が配置され、鉄皮9に穿設された孔21からこの通気断熱材20を通して冷却用ガスを通し、孔21より排出するようにしてバーナタイル3の背面側も共に温度低下するようにし、これによりバーナタイル3に局部的な引張応力の発生を防ぎ、亀裂の発生が防止される。
【0025】
なお、各々の実施の形態について説明したが、冷却のための構造は必ずしもこれらに限定されるものではなく、バーナタイルの背面の冷却温度を調整できるような冷却方法であればよい。また、冷却用流体についても、必ずしも例示したような構造で液体や気体を使い分ける必要はなく、それぞれ制御し易い方法であればよい。冷却用流体には、常温の空気や窒素ガス等の気体や、水や油脂等の液体を用いることができる。
【0026】
【実施例】
炉内容積960リットルの小型焼成炉を用いて本発明の効果の確認を行った。焼成炉には1個のバーナタイルが設置できるものとし、炉内の冷却は通常は閉じられている内部観察用の孔から窒素ガスを吹き込むことにより行った。バーナタイルの構造は表1に示すように、9種類を用意した。バーナタイルの背面の冷却には窒素ガスを用いた。
【0027】
【表1】
バーナタイルの先端(図8の3aの部分)の温度が1400℃になるまでバーナ燃焼させ、続いて炉内冷却用窒素ガスを一定流量で炉内へ吹き込んだ。炉内冷却用ガス吹き込みと同時に、バーナタイル背面の冷却を行った。この場合、バーナタイル背面の温度を調整するため冷却用窒素ガス流量は異なる。また、小型焼成炉は炉内の大きさが小さいため、炉内冷却の効果が大きい。昇温と冷却を3回繰り返した後、バーナタイルに発生した亀裂の状況を観察した。実験の要点と結果を表1に示す。
【0028】
表1から明らかなように、バーナタイル背面を冷却していない従来法の比較例2では、大きな亀裂発生とともに部分的に亀裂に起因する崩落が認められた。これに対して本発明例ではすべてバーナタイルに亀裂が認められなかった。比較例1は本発明のバーナタイル背面を冷却したものであり、亀裂は微少である。しかし、バーナタイル背面が十分に冷却されていないために、本発明例1〜7と比べると、幾分亀裂を発生しやすい結果となった。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、炉内温度を低下させるために冷却用ガスを炉内に吹き込むとき、バーナタイルの背面側を冷却するようにしたことにより、炉内温度の低下に合わせてバーナタイルの温度を表裏平行的に下げ、局部的な内部応力の発生を抑制して亀裂の発生を防止することができ、バーナタイルの耐用寿命を大幅に延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)は本発明の一実施形態を示す一部の断面図および断熱煉瓦の正面図、(C)は(A)の変形例の断面図。
【図2】同、他の実施形態を示す図1(A)相当図。
【図3】(A)、(B)は同他の実施形態を示す図1(A)、(B)相当図。
【図4】同、さらに他の実施形態を示す図1(A)相当図。
【図5】同、さらに他の実施形態を示す図1(A)相当図。
【図6】炉の一例を模式的に示す斜視図。
【図7】図6の一部拡大断面図。
【図8】バーナタイルの半分を模式的に示す断面図。
【図9】バーナタイルの各部の昇温、降温状況を示すグラフ。
【符号の説明】
1 炉
2 バーナ
3 バーナタイル
3b バーナタイルの背面
4 炉壁
6 ガス吹込み口
7 断熱煉瓦
7a 孔
8 間隙
9 鉄皮
10 セラミックファイバ(断熱材)
11 冷却ボックス
12 冷却管
13 断熱煉瓦
15,16,17 流体通路
20 通気断熱材
Claims (3)
- 炉内に冷却用ガスを吹き込んで炉内を冷却するとき、バーナタイルの背面を冷却することを特徴とするバーナタイルの亀裂発生防止方法。
- バーナタイルの背面温度を50〜300℃に冷却することを特徴とする請求項1記載のバーナタイルの亀裂発生防止方法。
- バーナタイルの冷却を連続的または断続的に行うことを特徴とする請求項1または2記載のバーナタイルの亀裂発生防止方法。
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JP04455696A JP3602245B2 (ja) | 1996-03-01 | 1996-03-01 | バーナタイルの亀裂発生防止方法 |
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JPH09236391A JPH09236391A (ja) | 1997-09-09 |
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- 1996-03-01 JP JP04455696A patent/JP3602245B2/ja not_active Expired - Fee Related
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