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JP3590457B2 - 水性エマルジョンの製造法 - Google Patents

水性エマルジョンの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性エマルジョンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エマルジョン型水性塗料の技術的進歩は非常にめざましいものがある。エマルジョン型水性塗料は主成分としてバインダーと顔料からなっており、さらに塗料の塗膜性能の向上を目的とする各種の添加剤を含んでいる。塗料の重要な特性である塗膜性能を決定するのはバインダーであり、用途別に要求される多様な特性を実現されるため、水性エマルジョンの改良、高機能化が続けられてきた。このような多種多様な要求特性に対し、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル系単量体からなる重合体(以下アクリル系重合体と略記する)を分散質とする水性エマルジョンは、皮膜柔軟性、各種官能基導入による高機能化および耐候性等の点で広い応用範囲があるため、塗料用バインダーとして主流となってきている。
【0003】
しかし、アクリル系重合体は、燃えやすいため、難燃性が要求される塗料のバインダーとしては、それ単独では使用することが困難である。そこで、難燃性塗料のバインダーとして、各種の難燃化技術が応用されており、例えば、りん酸エステル、含ハロゲン燐酸エステル、ハロゲン化合物等の添加型難燃剤やハロゲンを含有する単量体の共重合等の反応性難燃剤が一般的に併用されている。難燃性の低いアクリル系重合体にこのような難燃剤を導入する場合、目標の難燃性のレベルには相当量の難燃剤の添加が必要となることから、塗膜性能への悪影響、コスト問題、難燃剤がハロゲン化物の場合における環境問題などがある。一方、水性エマルジョンの分散質が酢酸ビニル系単量体からなる重合体の場合には、アクリル系重合体に比べて、比較的難燃性が高くなるが、耐水性、耐候性、Tgの調整、各種官能基導入による高機能化等が劣るという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消し、耐水性および塗膜の柔軟性等の各種の塗膜性能に優れ、しかも難燃性の良好な塗料用バインダーとして好適な水性エマルジョンならびに該水性エマルジョンを用いた難燃性塗料を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明を見出し、本発明を完成させるに至った。
乳化剤およびポリビニルアルコールからなる分散剤の存在下で、酢酸ビニルを含む単量体を乳化重合してビニルエステル系重合体(A)を製造し、しかる後にメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびスチレン系単量体のうちの少なくとも一種の単量体を、連鎖移動剤の存在下で、乳化剤からなる分散剤を連続的または間欠的に添加して乳化重合することにより重合体(B)を製造し、重合体(A)は主として分散質の中心部に存在し、重合体(B)は主として分散質の周辺部に存在し、重合体(A)と重合体(B)との重量比率が9:1〜1:9であり、かつ乳化剤とポリビニルアルコールとの重量比率が5:5〜9:1である水性エマルジョンの製造法。本発明の方法によって製造される水性エマルジョンは難燃性塗料として有用である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において水性エマルジョンは、上述の如き分散質および分散剤からなる。ここで、分散質は、ビニルエステル系重合体(A)ならびにメタクリル酸エステル単位、アクリル酸エステル単位およびスチレン系単量体単位のうちの少なくとも一種からなる重合体(B)から構成される1個の分散質の集合体である。
【0007】
ビニルエステル系重合体(A)としては、様々なものが挙げられるが、一般には酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,ピバリン酸ビニル,炭素数8〜10の3級カルボン酸のビニルエステル(例えばシェル化学社製,商品名:Veova10),ステアリン酸ビニル、さらにはギ酸ビニル,バレリン酸ビニル,カプリン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,安息香酸ビニル等のビニルエステル単位を主体とする(共)重合体である。中でも酢酸ビニルを主体とする(共)重合体が、難燃性能の点から好ましい。これらのビニルエステル単位に30重量%以下のエチレン,塩化ビニルなどの共重合可能な単量体単位や少量のカルボキシル基あるいはアミド基等の官能基を持つ単量体単位を共重合したものも含まれる。
【0008】
次に、重合体(B)は、アクリル酸エステル単位、メタクリル酸エステル単位およびスチレン系単量体単位のうちの少なくとも一種からなる重合体である。重合体(B)を構成するアクリル酸エステル単位としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等が挙げられ、メタクリル酸エステル単位としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等が挙げられ、スチレン系単量体単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上併用して用いられる。
【0009】
その他、エチレン、プロピレン、イソブテン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩のアクリルアミド系単量体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、N−ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能性不飽和単量体等を30重量%以下上記の単量体に併用して用いて重合体(B)を構成することもできる。
【0010】
本発明において水性エマルジョンの分散質は、重合体(A)および重合体(B)からなる1個の分散質の集合体であり、重合体(A)は主として分散質の中心部に存在し、重合体(B)は主として分散質の周辺部に存在する二層構造となっている。すなわち、重合体(A)は主として(具体的には70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上)分散質の中心部に存在し、重合体(B)は主として(具体的には70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上)分散質の周辺部に存在する構成となっている。分散質を構成する重合体(A)および重合体(B)の形状は、必ずしも球状に限らず、種々の形状となることができる。分散質における重合体(A)と重合体(B)との重量比率は9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8である。重合体(A)の重量比率が、重合体(A)と重合体(B)の合計量に対して90重量%を超えると、その水性エマルジョンを用いて得られる塗料塗膜の柔軟性のコントロールが困難であり、逆に、10重量%を下回ると、塗料塗膜の難燃性が低下する等の問題が生じる。
【0011】
本発明において、分散剤に用いられる乳化剤としては、従来公知のアニオン性、カチオン性、非イオン性あるいは両性の界面活性剤が用いられ、単独あるいは二種以上が併用される。また、上記のイオン性の異なる界面活性剤は、目的に応じて適宜選定され、必要に応じて分子内に二重結合を有する共重合性界面活性剤を用いることができる。また、分散剤に用いられるPVAとしては、従来公知のものが充当され、例えば、けん化度80〜99モル%,重合度200〜8000のPVAや主鎖,側鎖あるいは分子末端に官能基が導入された所謂変性PVAも好適である。乳化剤およびPVAからなる分散剤においては、それらの重量比率は5:5〜9:1であることが好ましい。乳化剤が分散剤の総量に対して50重量%を下回る場合には、重合安定性が低下する上、塗料塗膜の耐水性が低下する。分散剤の使用量(乳化剤とPVAの合計量)としては特に制限はないが、分散質(重合体(A)と重合体(B)の合計量)100重量部に対して0.2〜50重量部が好ましく、1〜10重量部が特に好ましい。
【0012】
本発明において水性エマルジョンの分散質の平均粒径は特に制限はないが、0.1〜2μmが好ましく、0.15〜1.5μmがより好ましい。水性エマルジョンの分散質濃度は、各種の状況により適宜選定すればよいが、40〜65重量%が好ましく、45〜55重量%がより好ましい。
【0013】
本発明において水性エマルジョンには、所望により各種の水性エマルジョンを添加することができる。かかる水性エマルジョンとしては、酢酸ビニルエマルジョン,エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン,ポリクロロプレンエマルジョン,ポリブタジエンエマルジョン,スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体エマルジョン,ブチルゴムエマルジョン,ポリアクリル酸エステルエマルジョン,ポリ塩化ビニルエマルジョン,ポリ塩化ビニリデンエマルジョン等が挙げられる。
【0014】
本発明の難燃性塗料は、上記水性エマルジョンをバインダーとして、各種無機質や顔料を配合することにより調製される。無機質や顔料としては、特に制限はなく、各種の天然顔料、合成無機顔料および合成有機顔料を使用することができる。具体的には、着色顔料(チタン白、鉄黄、群青、カドミウムイエロー、ベンガラ、クロムイエロー、カーボンブラック、シアニン系顔料、アゾ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、キノリン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料など)、体質顔料(硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、アルミナ、パーライト、硅砂など)、特殊顔料(錆止め顔料、発光顔料、示温顔料など)、繊維状またはリン片状の特殊無機顔料(アスベスト、ロックウール、マイカなど)などが挙げられ、これら顔料は単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0015】
顔料や無機質の配合量としては特に制限はないが、水性エマルジョンの固形物100重量部に対して40〜400重量部が好ましく、60〜300重量部がより好ましい。顔料の添加量が40重量部未満では塗膜の難燃性の低下やふくれが発生する問題があり、一方、400重量部を越えると塗膜の造膜性が低下したり、柔軟性や弾性を失うことがある。
【0016】
本発明の難燃性塗料には、各種の難燃剤を配合することができる。例えば、難燃剤としてはトリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のりん酸エステル、トリス(β−クロルエチル)ホスフェート、トリス(ジクロルプロピル)ホスフェート、トリス(2、3−ジブロムプロピル)ホスフェート、トリス(ブロムクロルプロピル)ホスフェート等の含ハロゲンりん酸エステル、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、臭素化ポリフェニル等のハロゲン化合物が挙げられ、難燃助剤として三酸化アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、トリフェニルスチレン等が挙げられる。
【0017】
本発明の難燃性塗料には、本発明の目的を損なわない範囲で、所望により通常の水性エマルジョン型塗料を調製する際に用いられる各種の添加成分、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、PVA、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの増粘剤、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩などの縮合リン酸塩、アニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性などの界面活性剤、スチレン−無水マレイン酸半エステル塩共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸半エステル塩共重合体などの分散剤、さらには、消泡剤、防ばい剤、防腐剤、造膜助剤、老化防止剤、凍結防止剤などを添加することができる。
【0018】
本発明の塗料は、ロール、コテ、刷毛、スプレーガンなどを用いて、一般的な方法で塗工される。そして、布、紙、木材、合板、コンクリート、モルタル、ALC板、フレキシブル板、金属板などからなる壁面、床面、天井面などの様々な面に対して好適に使用することができる。この際、下地との密着性、防水性、耐候性、美観などの改良を目的として、下地処理剤、上塗り剤などを使用することもできる。
【0019】
本発明の水性エマルジョンを製造するにあたっては、様々な手法が考えられるが、なかでも効率よく、しかも高品質の水性エマルジョンが製造できる方法は、乳化剤およびPVAからなる分散剤の存在下で、酢酸ビニルを含む単量体を乳化重合してビニルエステル系重合体(A)を製造する第一段階と、しかる後にメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびスチレン系単量体のうちの少なくとも一種の単量体を連鎖移動剤の存在下で、乳化剤からなる分散剤を連続的または間欠的に添加して乳化重合することにより重合体(B)を製造する第二段階とからなる二段重合法が好ましい。
【0020】
第一段階では、実質的にビニルエステル系モノマーの重合を完結するのが望ましいが、70%程度の重合転化率で第二段階の重合に移行しても差し支えない。また第一段階,第二段階とも、必ずしも同一の重合反応器で重合する必要はなく、予め別にビニルエステル系重合体の水性エマルジョンを調製し、これを、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびスチレン系単量体のうち少なくとも一種の乳化(共)重合を行う前に、重合系に添加するいわゆるシード重合の手法で製造することもできる。なお、この乳化重合における開始剤としては、特に制限はないが、例えば過酸化水素,クメンヒドロパーオキシド,t−ブチルヒドロパーオキシド,過硫酸塩(カリウム,ナトリウムあるいはアンモニウム塩),過酢酸t−ブチル,過安息香酸t−ブチル等の酸化性物質が単独あるいはロンガリットやl(エル)−アスコルビン酸等の還元性物質などとのレドックス開始剤系で好ましく用いられる。
【0021】
本発明の二段重合法では、乳化剤からなる分散剤(必要に応じてPVAを併用)の存在下で、第一段階および第二段階の乳化重合を行うことが必要である。なお、ここで使用する乳化剤およびPVAは、本発明の水性エマルジョンの欄において説明したものが使用される。分散剤の使用量(乳化剤とPVAの合計量)は、特に制限はないが、第一段階の重合体(A)と第二段階の共重合体(B)の合計量に対して0.2〜50重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。この分散剤は、第一段階と第二段階に分けて用いられる。第一段階と第二段階に用いられる分散剤の比率は、特に制限されるものではないが、通常、10:90〜99:1の割合で分割される。第一段階の分散剤の割合が10重量%より少ない場合、あるいは、第二段階の分散剤の割合が1重量%より少ない場合には、第一段階および第二段階での重合安定性が低下するため好ましくない。また、第一段階における分散剤の添加方法は、初期仕込み時に全量を加えてもよく、また一部を重合系に連続的あるいは間欠的に加えてもよい。また、第二段階における分散剤の添加方法は、重合系に連続的あるいは間欠的に添加する方法が好ましい。第二段階の初期に分散剤を一括で添加する場合には、重合安定性が低下したり、本発明の目的である二層構造エマルジョンを得ることが難しくなる。
【0022】
本発明の水性エマルジョンの製造方法において、第二段階のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびスチレン系単量体のうちの少なくとも一種の単量体の乳化重合は、連鎖移動剤の存在下で行うことが必要である。連鎖移動剤としては、連鎖移動が起こるものであれば特に制限はないが、連鎖移動の効率の点でメルカプト基を有する化合物が好ましい。メルカプト基を有する化合物としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の効率にもよるが、通常、第二段階において用いられる単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。連鎖移動剤が0.001重量部より少ない場合には重合安定性が低下し、5重量部を越える場合には第二段階で生成する重合体(B)の分子量が低下し、塗膜強度等に影響を及ぼすため好ましくない。連鎖移動剤の重合系への添加方法は特に制限はなく、第二段階の初期に一括して添加する方法や、連続的あるいは間欠的に逐次添加する方法等が選択できる。
【0023】
本発明の二段重合法の第一段階で用いるビニルエステル系モノマーは、ビニルエステル系重合体(A)の原料となるものであり、その種類については、このビニルエステル系重合体(A)の種類に対応したものとすればよい。また、第二段階で用いるメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびスチレン系単量体についても、重合体(B)の原料となるものであり、その種類や使用割合については、重合体(B)の種類や組成に対応したものとすればよい。さらに、第一段階で製造すべきビニルエステル系重合体(A)と第二段階で製造すべき重合体(B)の重量比率についても、本発明の水性エマルジョンにおける重合体(A)と重合体(B)との重量比率に対応するように選定すればよい。
【0024】
本発明において水性エマルジョンは、難燃性塗料用のバインダーとして好適に用いることができるが、その他、ポリエチレン、ポリプロピレン等の疎水性被着体用接着剤、粘着剤、難燃性を要求されない一般の塗料用バインダー、不織布等の繊維バインダー、モルタル混和剤等にも使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、実施例および比較例中、「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を示すものとする。
実施例1
(1)第一段階
攪拌機,窒素導入管,各種薬剤注入ポンプが具備されたオートクレーブに、平均重合度550,けん化度88モル%の部分けん化PVA(PVA−1)2部をイオン交換水65部で加熱溶解した後、非イオン性乳化剤(ノニポール200、三洋化成製)1部を添加した。それに酢酸ビニル45部を添加し、窒素置換後、エチレンを30kg/cmまで加圧し、60℃まで昇温した。1%過酸化水素水溶液とロンガリット水溶液を連続的に添加し重合を開始した。2時間後、残存酢酸ビニル濃度が3%に低下した時点で第一段階(エチレン−酢酸ビニル共重合エマルジョン)を終了した。
(2)第二段階
次いで、メチルメタクリレート(MMA)/2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)=10/90(重量比)の混合モノマー50部にn−ドデシルメルカプタンを0.1部を添加し、それを2時間かけて連続的に添加した。この間、1%過酸化水素水溶液とロンガリット水溶液を連続的に添加した。
なお、重合中に、非イオン性乳化剤(ノニポール200、三洋化成製)の10%水溶液20部を2時間かけて添加した。
得られた水性エマルジョンの固形分濃度は52.5%、粘度は1100mPa・s(ミリパスカル秒)であった。
【0026】
(3)難燃性塗料性能
次に上記水性エマルジョンを用いて、以下の条件により塗料を作成し試験を行った。結果を表1に示す。
〔塗料配合〕
水性エマルジョンに炭酸カルシウム(ホワイトンP−30、東洋ファインケミカル製)を固形分比率で40/60に混合し、水を加えて固形分濃度65%の塗料を作成した。
〔塗膜の作成〕クラフト紙に塗布量500g/mで上記塗料を刷毛塗りし、20℃,65%RH下で3日間乾燥させて塗膜を得た。
〔試験方法〕
・塗膜状態:塗膜表面の状態を目視観察すると共に、手で折曲げた状態を観察した。評価は3段階で行った。
A:折曲げてもヒビ、剥離等がなく良好
B:折曲げると塗膜にひびが入る
C:折曲げると、塗膜が剥離する
・塗膜耐水性:塗膜を20℃水に24時間浸漬後、表面を指で擦った時の状態を観察した。評価は3段階で行った。
A:再乳化なし良好
B:わずかに再乳化する
C:再乳化し塗膜が崩壊する
・塗膜難燃性:アルコールランプの炎から1cmの所に塗膜表面を近づけた場合の、塗膜状態を観察した。評価は3段階で行った。
A:1分以上着火せず、着火しても炎が消えやすい
B:1分以上着火しないが、着火すると激しく燃える
C:1分未満に着火し、激しく燃える
【0027】
実施例2
(1)第一段階
実施例1で用いたオートクレーブに、実施例1と同じ(PVA−1)0.5部をイオン交換水75部に溶解し、それにアニオン性乳化剤(サンデットBL、三洋化成製)0.1部と非イオン性乳化剤(ノニポール400、三洋化成性)2部を添加した。酢酸ビニルを8部とVeoVaー10(シェル製)2.8を添加し、窒素置換後、60℃,30kg/cmのエチレン加圧下、過硫酸カリウムとロンガリット水溶液を添加し、重合を開始した。次いで、酢酸ビニルを32部とVeoVaー10を11.2部を混合したものを3時間かけて連続添加し、重合系のモノマー濃度が1%になるまで重合した。
(2)第二段階
次いで、スチレン(St)4部、n−ブチルアクリレート(BA)35部、アクリル酸(AA)1部の混合モノマーにt−ドデシルメルカプタン0.1部を添加したものを2時間かけて連続添加し、重合した。なお、アニオン性乳化剤(サンデットBL)0.2部と非イオン性乳化剤(ノニポール400)を10部のイオン交換水に溶解したものを重合中に添加した。得られた水性エマルジョンの固形分濃度は52.0%、粘度は450mPa・sであった。
得られた水性エマルジョンを用いて、実施例1と同様に塗料を作成し、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0028】
実施例3
実施例2の第一段階において、(PVA−1)を用いない以外は、実施例2と同様にして水性エマルジョンを得た。得られた水性エマルジョンの固形分濃度は51.6%、粘度は250mPa・sであった。
得られた水性エマルジョンを用いて、実施例1と同様に塗料を作成し、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0029】
比較例1
実施例1の第一段階において、(PVA−1)4部を用いた以外は、実施例1と同様にして、水性エマルジョンを得た。得られた水性エマルジョンの固形分濃度は52.7%、粘度は4800mPa・sであった。得られた水性エマルジョンを用いて、実施例1と同様に塗料を作成し、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0030】
比較例2
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機を備えたガラス製容器に、(PVA−1)2部と非イオン性乳化剤(ノニポール200、三洋化成製)3部をイオン交換水90部に完全溶解させた。窒素置換後、メチルメタクリレート(MMA)/2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)=10/90(重量比)の混合モノマー10部とn−ドデシルメルカプタン0.02部を添加し、70℃に昇温し、1%過硫酸カリウム5部を添加して重合を開始した。その後、メチルメタクリレート(MMA)/2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)=10/90(重量比)の混合モノマー90部にn−ドデシルメルカプタンを0.18部を添加したものを、2時間かけて連続的に添加した。得られた水性エマルジョンは、固形分濃度52.2%、粘度430mPa.sであった。
得られた水性エマルジョンを用いて、実施例1と同様に塗料を作成し、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
比較例3
攪拌機,窒素導入管,各種薬剤注入ポンプが具備されたオートクレーブに、(PVA−1)2部をイオン交換水65部で加熱溶解した後、非イオン性乳化剤(ノニポール200、三洋化成製)1部を添加した。それに酢酸ビニル4.5部、メタクリル酸メチル0.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル4.5部、n−ドデシルメルカプタン0.01部を添加し、窒素置換後、エチレンを30kg/cmまで加圧し、60℃まで昇温した。1%過酸化水素水溶液とロンガリット水溶液を連続的に添加し重合を開始した。重合開始後、酢酸ビニル40.5部、メタクリル酸メチル4.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル40.5部、n−ドデシルメルカプタン0.09部を2時間かけて連続的に添加した。また、重合中、非イオン性乳化剤(ノニポール200、三洋化成製)20%水溶液10部を2時間かけて添加した。
得られた水性エマルジョンは、固形分濃度52.3%、粘度850mPa.sであった。
得られた水性エマルジョンを用いて、実施例1と同様に塗料を作成し、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0032】
比較例4
攪拌機,窒素導入管,各種薬剤注入ポンプが具備されたオートクレーブに、(PVA−1)2部をイオン交換水65部で加熱溶解した後、非イオン性乳化剤(ノニポール200、三洋化成製)3部を添加した。それに酢酸ビニル90部を添加し、窒素置換後、エチレンを30kg/cmまで加圧し、60℃まで昇温した。1%過酸化水素水溶液とロンガリット水溶液を連続的に添加し重合を開始した。重合開始3時間後、残存酢酸ビニル濃度が0.9%となり重合を終了した。
得られた水性エマルジョンは、固形分濃度52.5%、粘度1000mPa.sであった。
得られた水性エマルジョンを用いて、実施例1と同様に塗料を作成し、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003590457
【0034】
【発明の効果】
本発明の方法によって得られる水性エマルジョンは、難燃性塗料用のバインダーをはじめとして、疎水性被着体用接着剤、粘着剤、難燃性を要求されない一般の塗料用バインダー、繊維バインダー、モルタル混和剤等の各種の用途に供される。特に難燃性塗料用バインダーとして用いた場合には、塗膜の難燃性および耐水性が飛躍的に向上したものが得られる。

Claims (2)

  1. 乳化剤およびポリビニルアルコールからなる分散剤の存在下で、酢酸ビニルを含む単量体を乳化重合してビニルエステル系重合体(A)を製造し、しかる後にメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびスチレン系単量体のうちの少なくとも一種の単量体を、連鎖移動剤の存在下で、乳化剤からなる分散剤を連続的または間欠的に添加して乳化重合することにより重合体(B)を製造し、重合体(A)は主として分散質の中心部に存在し、重合体(B)は主として分散質の周辺部に存在し、重合体(A)と重合体(B)との重量比率が9:1〜1:9であり、かつ乳化剤とポリビニルアルコールとの重量比率が5:5〜9:1である水性エマルジョンの製造法。
  2. 難燃性塗料用である請求項1記載の水エマルジョンの製造法。
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