JP3581164B2 - 射出成形機の製品良否判別方法及び製品良否判別装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機の製品良否判別方法及び製品良否判別装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
成形サイクルにおける各ショット毎の製品の品質に影響を与える成形データ、例えば、射出のピーク圧や射出所要時間,射出保圧切替位置,最小クッション量等の項目を検出し、これらの値が各項目に対して設定された許容範囲内にあるか否か、または、幾つかの項目の値が各々の許容範囲に同時に含まれているか否かにより製品の良否を判別するようにした射出成形機の製品良否判別方法が既に公知である。
【0003】
ところで、一日の気温の変化や射出シリンダの状態により射出シリンダ内の樹脂の可塑化状態等にはある程度の変動が生じるが、樹脂の可塑化状態のように時間の経過や環境変化によって変動する異常項目に関しては、射出のピーク圧や射出所要時間,射出保圧切替位置,最小クッション量等の適応変化によってある程度対処することができる。従って、射出のピーク圧や射出所要時間,射出保圧切替位置,最小クッション量等の成形データに樹脂の可塑化状態が最適であった時の成形データと比べて多少の差異が生じたからといって、それが著しいものでもない限り、必ずしも製品に異常が生じるとは限らない。
【0004】
しかし、従来の製品良否判別方法では、樹脂の可塑化状態のように時間の経過や環境変化によって変動する成形データに適応して変動する成形データに対しても、樹脂の可塑化状態に関する最適の条件を基準として許容範囲を設定することで製品の良否判別を行うようにしていたので、樹脂の可塑化状態等が変化したような場合、実際には良品が成形されているにも関わらず不良品として判別されることがあった。
【0005】
このような問題を解消するため、本出願人らは、複数の項目の成形データの検出値の関連を射出成形機のディスプレイ画面上のグラフにプロット表示して項目毎の値の組み合わせによって複数の良品領域を任意に設定すると共に、各成形サイクルで検出される項目の検出値の組合わせが前記領域のいずれかに属していれば当該成形サイクルで成形された製品を良品として取り扱うようにした成形情報表示装置を特願平4−335608号として既に提案している。しかし、複数の良品領域を設定しなければ良否判別を適確に行うことができないという点において一定の不都合があり、また、時間の経過や環境変化によって変動する成形データの検出値の関連を考慮して良否判別を正確に行おうとすれば、良品領域を細かく分割して設定する必要が生じ、良品領域の設定が著しく繁雑になってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、時間の経過や環境変化によって樹脂の可塑化状態等に変動が生じた場合であっても適確に製品の良否を判別することができ、しかも、これを只1組の許容範囲の設定によって簡単に実現することのできる射出成形機の製品良否判別方法及び製品良否判別装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係わる発明は、成形サイクル毎に製品の良否を自動的に判別する射出成形機の製品良否判別方法であって、成形データの値を変数として構成される関数式を複数設定しておき、該変数には組み合わせの異なる項目の成形データを設定し、複数の成形サイクルを実行して得られた前記変数に対応する成形データの値に基づいて前記各関数式から求められた演算の結果を各々表示し、判別条件として使用する成形データ項目および関数式の組合せを選択し、以後の成形サイクルでは、前記選択された判別条件から求められた演算結果が対応して設定された許容範囲内にあるときにのみ良品として判別するようにした点に特徴を有するものである。
【0008】
本願請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明の製品良否判別方法を実施する射出成形機の製品良否判別装置であって、成形サイクルにおける各ショット毎の製品の品質に影響を与える少なくとも2項目以上の成形データの値を検出する手段と、該成形データの値を変数として構成される関数式を複数設定する手段と、前記関数式から求められた演算結果を各々表示する手段と、判別条件として使用する成形データ項目および関数式の組合せを選択する手段と、前記選択された判別条件から求められた演算結果に対して製品の良否判別のための許容範囲を設定する手段とを有し、前記選択された判別条件から求められた演算結果と、設定された許容範囲に基づいて製品の良否判別を行うことを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
成形サイクルにおける各ショット毎の製品の品質に影響を与える項目の成形データを変数とする関係式を、その関係式自体及び関係式の変数を構成する項目を変えた種々の関係式を求めてその演算結果を表示する。この表示された演算結果から、時間の経過や環境変化等の影響が少ない成形データ項目と関数式を選択設定し、この関係式による演算結果に対して良品として検出する許容範囲を設定しておく。以後の成形サイクルではこの関数式によって求められた演算結果が許容範囲内か否かによって製品の良否判別を行う。この成形データ項目と関数式の選択は、各成形データの変動に拘らず、良品が成形される範囲で検出される各成形データの値を代入したときの演算結果が略一定の値に収束し、また、不良品成形時に検出される成形データの値を代入したときの演算結果が前記略一定の値と比べて相当に相違するものとなることが望ましい。単純な例でいえば、例えば、良品が成形される範囲では必ず各項目の成形データの積が略一定の値になるが、不良品成形時の各項目の積はこれと相違するとか、良品が成形される範囲では或る項目の成形データを他の項目の成形データで除した値が略一定の値になるが、不良品成形時の値はこれと相違するといった具合である。許容範囲は良品が成形される時の演算結果の値域であり、1組の上限値および下限値によりこの値を設定する。
【0014】
そして、演算結果が前記許容範囲内にあれば当該成形サイクルで成形された製品を良品として判別する一方、演算結果が許容範囲内になければ不良品として判別する。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明の製品良否判別方法を適用した一実施例の射出成形機の要部を示すブロック図で、符号1は射出成形機の射出シリンダ、符号2はスクリューである。スクリュー2は、駆動源の軸回転を射出軸方向の直線運動に変換するための駆動変換機5を介して射出用サーボモータM1により射出軸方向に駆動され、また、歯車機構3を介してスクリュー回転用サーボモータM2により計量回転されるようになっている。スクリュー2の基部には圧力検出器4が設けられ、スクリュー2の軸方向に作用する樹脂圧力、即ち、射出保圧工程における射出保圧圧力や計量工程におけるスクリュー背圧が検出される。射出用サーボモータM1にはスクリュー2の位置や移動速度を検出するためのパルスコーダP1が配備され、また、スクリュー回転用サーボモータM2にはスクリュー2の回転速度を検出するための速度検出器P2が配備されている。
【0016】
射出成形機の製品良否判別装置を兼ねる制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU25,プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18,サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20および射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリング処理を行うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0017】
PMC用CPU18には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラムや製品の良否判別を行うための制御プログラム等を記憶したROM13および演算データの一時記憶等に用いられるRAM14が接続され、ROM13には、更に、製品の良否判別に関する設定操作を行うために必要とされる設定画面に関連した表示データ(図10参照)等が格納されている。CNC用CPU25には、射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したROM27および演算データの一時記憶等に用いられるRAM28が接続されている。
【0018】
サーボCPU20および圧力モニタ用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いられるRAM19、および、成形データのサンプリング処理等に関する制御プログラムを格納したROM11やデータの一時記憶に用いられるRAM12が接続されている。また、サーボCPU20には、該CPU20からの指令に基いて型締め用,エジェクタ用(図示せず)および射出用,スクリュー回転用等の各軸のサーボモータを駆動するサーボアンプ15が接続され、射出用サーボモータM1に配備したパルスコーダP1およびスクリュー回転用サーボモータM2に配備したパルスコーダP2からの出力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダP1からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU20により算出されたスクリュー2の現在位置や、速度検出器P2で検出されるスクリュー2の回転速度が、RAM19の現在位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レジスタの各々に記憶されるようになっている。
【0019】
不揮発性メモリ24は射出成形作業に関する成形条件(射出保圧条件,計量条件等)と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を従来と同様にして記憶する成形データ保存用のメモリであり、更に、本実施例においては、製品の良否判別のために用いる成形データや関数式を特定するための設定データおよび各関数式毎の許容範囲等を記憶するためのファイルや(図9参照)、前記関数式による各成形サイクル毎の演算結果を記憶するためのファイル(図11参照)等が設けられている。
【0020】
インターフェイス23は射出成形機の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスである。
【0021】
そして、CNC用CPU25がROM27の制御プログラムに基いて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダP1,速度検出器P2等の検出器で検出された位置のフィードバック信号および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0022】
ディスプレイ付手動データ入力装置29はCRT表示回路26を介してバス22に接続され、各種設定画面の表示やデータの入力操作等、例えば、製品の良否判別に関連する設定画面(図8参照)を表示した状態での成形データ項目の選択操作や関数式の特定操作および許容範囲を構成する上限値と下限値の入力操作等が、各種ファンクションキーやテンキーおよびカーソル移動キー等によって行われるようになっている。
【0023】
この実施例では、製品の品質に影響を与える少なくとも2項目以上の成形データとして、計量完了位置,射出のピーク圧,射出保圧切替位置,射出保圧切替圧力,射出所要時間,最小クッション量,クッション量,計量所要時間の8項目のうちから任意の2項目を選択するようになっており、また、これら2項目の成形データを変数とする良否判別のための関数式としては、乗算および除算等のものが予めROM13に記憶されており、このうちから任意の関数式を選択できるようになっている。従って、良否判別に用いる成形データの項目の組合せおよびこれに対応して良否判別のために用いる関数式は前記8項目の成形データおよびROM13に記憶された有限個の関数式のうちから選択する必要がある。
【0024】
そこで、オペレータは予め実験を行って、成形データの変動に拘らず、良品が成形される範囲で検出される各成形データの値を代入したときの演算結果が略一定の値となり、しかも、不良品成形時における成形データの値を代入したときの演算結果が前記略一定の値とは相当に相違するような2つの成形データの項目の組合わせと、これに適用できる関数式を前記8項目の成形データおよび有限個の関数式から予め選定し、また、良品が成形されると見做せる演算結果の範囲、つまり許容範囲に対応する上限値と下限値の値を予め製品毎に求めておく。
【0025】
図12は或る製品に対し射出のピーク圧(Kg/cm 2 )と最小クッション量(mm)を品質に影響を与える2項目の成形データの組合わせとして選定すると共に良否判別のための関数式として除算を選択した場合の実験例を示すグラフであり、連続成形作業開始後の400ショット分について示している。図12に示される同一ショットに対応する射出のピーク圧と最小クッション量の関係を見れば分る通り、射出のピーク圧が大きければ最小クッション量も大きくなり、また、射出のピーク圧が小さければ最小クッション量も小さくなっているので、射出のピーク圧と最小クッション量とが相互に関連して変動するものであることは明らかである。そして、射出のピーク圧と最小クッション量の各々に各ショット毎のばらつきはあるが、成形作業を続けて行くに従い全体として徐々にではあるが射出のピーク圧は増大し、また、最小クッション量も増大して行く傾向にある。
【0026】
これに対し、射出のピーク圧を最小クッション量で除した演算結果は123 (無名数) で略一定となる。図13はこの実験で成形された各ショット毎の製品の良否を判定するために、各ショット毎の製品重量を測定した結果を、上下に拡大した演算結果のグラフと共に示すものであり、ショートショットやヒケ等を始めとする比重の不足に関する実際の不良は図13におけるP,Q,R,Sのタイミング、即ち、射出のピーク圧を最小クッション量で除した演算結果が著しく変動して120よりもかなり小さくなった時に発生している。この場合、図13の結果から見て、許容範囲とする下限値は120程度に設定するのが適当である。また、この実験では過充填による離型不良やバリの発生といった問題は全く発生していないので、許容範囲とする上限値は、例えば、図13における演算結果の最大値に対して更に正の方向に一定のクリアランスを付加して125程度に設定する。
【0027】
図12に示される射出のピーク圧のグラフおよび最小クッション量のグラフを個別に観察しても図13における不良発生のタイミングP,Q,R,Sに対応するショットを見出すことはできないが、射出のピーク圧を最小クッション量で除した演算結果の変動を見れば不良発生のタイミングP,Q,R,Sを容易に知ることができる。また、図12における射出のピーク圧と最小クッション量は成形作業を続けて行くに従い全体として徐々に増大して行くため、従来のように、射出のピーク圧および最小クッション量の各々に対して良品を良品として判定する許容範囲を個別に設定したとすると、不良発生のタイミングP,Q,R,Sに対応する射出のピーク圧と最小クッション量の全てが許容範囲に包括されてしまうため、例え、各項目の良否判定の論理積を取ったとしてもP,Q,R,Sで生じた不良品を不良品として判定することはできない。これは、射出のピーク圧と最小クッション量が全体として徐々に増大してデータ全体にうねりが生じた場合であっても、このうねりに関わりなく良品の成形が可能な場合があるからであり、その結果、良品を良品として判定する許容範囲を個別に設定すると不良発生のタイミングP,Q,R,Sに対応する射出のピーク圧と最小クッション量の全てが許容範囲に包括されてしまうためであって、また、逆に、不良品を不良品として判定する許容範囲を個別に設定すれば、良品が不良品として判定されることにもなり兼ねない。
【0028】
しかし、前述のように射出のピーク圧を最小クッション量で除した演算結果に基いて判定を行えば、射出のピーク圧や最小クッション量等の個々の成形データによる良否判別やその論理積を用いた良否判別のような間違いを犯すことなく、射出のピーク圧や最小クッション量の緩やかな増大や減少といったデータ全体のうねりとは関わりなく、適確な良否判別を行うことができるようになる。
【0029】
また、図14は射出のピーク圧(Kg/cm 2 )と計量所要時間(sec.)を品質に影響を与える2項目の成形データの組合わせとして選定すると共に良否判別のための関数式として乗算を選択した場合の結果を前記の連続成形作業から纏めたものである。図14に示される同一ショットに対応する射出のピーク圧と計量所要時間の関係を見れば分る通り、射出のピーク圧が大きければ計量所要時間が短くなる一方、射出のピーク圧が小さければ計量所要時間が長くなっているので、射出のピーク圧と計量所要時間とが相互に関連して変動するものであることは明らかである。そして、射出のピーク圧と計量所要時間の各々に各ショット毎のばらつきはあるが、成形作業を続けて行くに従い全体として徐々にではあるが射出のピーク圧は増大し、また、計量所要時間は減少して行く傾向にある。これに対し、射出のピーク圧に計量所要時間を乗じた演算結果は3250 (無名数) で略一定である。したがって、射出のピーク圧の増大や計量所要時間の減少といったデータ全体のうねりとは関わりなく、適確に良否判別を行うことができる。
【0030】
以上、除算および乗算に関する2つの例について説明したが、データ全体のうねりとは関わりなく適確に良否判別を行うことができるような関数式が他にあれば、それらの関数式をf3,f4,・・・等として予めROM14に格納しておく。
【0031】
図2は良否判別に用いる成形データの項目の組合せおよびこれに対応して良否判別のために用いる関数式を前記8項目の成形データおよび予めROM14に格納された関数式から選定して射出成形機の制御装置10に設定するための処理の概略を示すフローチャート、また、図3〜図7は選定された成形データおよび関数式に基いて行われる良否判別処理の概略を示すフローチャートである。
【0032】
そこで、オペレータは、まず、ディスプレイ付手動データ入力装置29のファンクションキーを操作し、PMC用CPU18に製品の良否判別に関連する設定モードの処理を開始させることとなる。ファンクションキーの操作を検出して設定モードの処理を開始したPMC用CPU18は、まず、図9に示されるようなデータ記憶ファイルに対応した枠組みを有する設定用対話画面Sをディスプレイ付手動データ入力装置29の設定用対話画面表示領域に表示すると共に、図10の(a)に示されるような成形データ項目記憶テーブルおよび図10の(b)に示されるような演算方法記憶テーブルを参照して選択可能な成形データの項目名称および選択可能な関数式の内容の一覧を各テーブルのアドレス値Xk,Ykに対応させて各々ディスプレイ付手動データ入力装置29の一覧表示領域BおよびCに表示し、設定用対話画面Sの枠組みにおける1列1行スポットの位置にカーソルを表示した後(ステップa1,図8参照)、オペレータによる数値入力操作(ステップa2)またはカーソル移動キーの操作(ステップa3)もしくは終了キーの操作(ステップa4)を待つ待機状態に入る。
【0033】
設定用対話画面Sは、良否判別のための判別条件として用いる2つの成形データの組合わせを第1および第2の成形データ項目として選択したり、また、第1および第2の成形データ項目の組合わせに対して適用する関数式を演算方法として選択したり、更には、これらの組合わせに対して行われる関数式の演算結果に対する許容範囲を上限値および下限値として入力することにより良否判別のための条件を設定するために用る画面である。
【0034】
そこで、オペレータはカーソル移動キーを操作し、予め行われた実験の結果に基いて、良否判別のための判別条件として用いる2つの成形データ項目の組合わせと、これに適用する関数式を選択して、許容範囲の上限値と下限値を数値入力し、良否判別のための判別条件を1組ずつ設定してゆくこととなる。
【0035】
オペレータによるカーソル移動キーの操作を検出したPMC用CPU18は(ステップa3)、操作されたカーソル移動キーの種別、例えば上移動キー,下移動キー,左移動キー,右移動キーの種別に応じてカーソル指定位置記憶レジスタx,yの値を更新し、レジスタx,yの現在値に対応する設定用対話画面Sのx列y行スポットにカーソルを表示して、データの設定対象となっている項目をオペレータに示す(ステップa5)。例えば、カーソル右移動キーを1回操作すればレジスタxの値がインクリメントされて設定用対話画面Sにおける右隣のマス目にカーソルが移動し、また、カーソル左移動キーを1回操作すればレジスタxの値がディクリメントされて設定用対話画面Sにおける左隣のマス目にカーソルが移動する。レジスタxの取り得る値は1≦x≦5の整数である。また、カーソル下移動キーを1回操作すればレジスタyの値がインクリメントされて設定用対話画面Sにおける下隣のマス目にカーソルが移動すると共に判別条件設定数Nの値がインクリメントされ、また、カーソル上移動キーを1回操作すればレジスタyの値がディクリメントされて設定用対話画面Sにおける上隣のマス目にカーソルが移動する。
【0036】
そこで、オペレータが設定用対話画面Sの1列1行の位置にカーソルを移動させ、良否判別のための判別条件となる第1の成形データ項目(図8では項目aと表示)に対応する項目番号を一覧表示領域Bを参照してテンキーで入力すると、PMC用CPU18はステップa2の判別処理でこの操作を検出し、テンキー入力された値をレジスタkに一時記憶する(ステップa6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの値は1であるから(ステップa7が真)、PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイルの1列1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa11)、成形データ項目記憶テーブルのアドレスXk=kから成形データ項目kに対応する表示データを読込んで設定用対話画面Sの1列1行の位置に表示してオペレータに知らせる(ステップa12)。図8の例では一覧表示領域Bにおける項目番号2のピーク圧が最初の判別条件、即ち、判別条件1における第1の成形データ項目として選択された場合を示している。
【0037】
また、設定用対話画面Sの3列1行の位置にカーソルを移動させ、良否判別のための判別条件となる第2の成形データ項目(図8では項目bと表示)に対応する項目番号を一覧表示領域Bを参照してテンキー入力すると、PMC用CPU18はステップa2の判別処理で前記と同様にしてこの操作を検出し、テンキー入力された値をレジスタkに更新記憶する(ステップa6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの値は3であるから(ステップa9が真)、PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイルの3列1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa15)、成形データ項目記憶テーブルのアドレスXk=kから成形データ項目kに対応する表示データを読込んで設定用対話画面Sの3列1行の位置に表示してオペレータに知らせる(ステップa16)。図8の例では一覧表示領域Bにおける項目番号8の計量所要時間が判別条件1における第2の成形データ項目として選択された場合を示している。
【0038】
そして、設定用対話画面Sの2列1行の位置にカーソルを移動させ、第1の成形データ項目と第2の成形データ項目の組合わせに対して適用すべき関数式に対応する項目番号を一覧表示領域Cを参照してテンキーで入力すると、PMC用CPU18はステップa2の判別処理で前記と同様にしてこの操作を検出し、テンキー入力された値をレジスタkに一時記憶する(ステップa6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの値は2であるから(ステップa8が真)、PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイルの2列1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa13)、演算方法記憶テーブルのアドレスYk=kから演算方法kに対応する表示データを読込んで設定用対話画面Sの2列1行の位置に表示してオペレータに知らせる(ステップa14)。図8の例では一覧表示領域Cにおける項目番号1の乗算が判別条件1における関数式として選択された場合を示している。
【0039】
更に、設定用対話画面Sの4列1行の位置にカーソルを移動させ、判別条件1に対する上限値の値をテンキーで入力すると、PMC用CPU18はステップa2の判別処理で前記と同様にしてこの操作を検出し、テンキー入力された値をレジスタkに一時記憶する(ステップa6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの値は4であるから(ステップa10が真)、PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイルの4列1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa17)、テンキー入力された上限値の値kを設定用対話画面Sの4列1行の位置に表示してオペレータに知らせる(ステップa18)。また、設定用対話画面Sの5列1行の位置にカーソルを移動させて下限値の値をテンキーで入力した場合は、PMC用CPU18はステップa2の判別処理で前記と同様にしてこの操作を検出し、テンキー入力された値をレジスタkに一時記憶するが(ステップa6)、この場合カーソル指定位置記憶レジスタxの値は5であるから(ステップa10が偽)、PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイルの5列1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa19)、テンキー入力された下限値の値kを設定用対話画面Sの5列1行の位置に表示してオペレータに知らせる(ステップa20)。図8の例では上限値として3300、また、下限値として3000を入力した場合を示している。
【0040】
そして、最初の判別条件、即ち、判別条件1における第1,第2の成形データ項目および演算方法となる関数式の選択操作ならびに上限値と下限値の設定入力操作を完了したオペレータは、更に、必要があればカーソル下移動キーを操作して判別条件設定数Nの値を増大させ、判別条件2,判別条件3,・・・等に対して前記と同様の設定操作を行う。また、成形データ項目や関数式の選択または数値入力に関する操作を誤った場合には、設定用対話画面S上の修正すべき項目の表示位置にカーソルを移動させて前記と同様の設定操作を重複して行い、データ記憶ファイルの内容を修正する。
【0041】
そして、必要とされる全ての設定行為を終了したなら、オペレータは、ディスプレイ付手動データ入力装置29の終了キーを操作し、PMC用CPU18による設定モードの処理を終了させる。
【0042】
設定モードの処理が終了すると、PMC用CPU18は、射出成形動作開始のためのサイクルスタート信号の入力を待つ待機状態に入る(ステップb1)。ここでいうサイクルスタート信号とは、半自動運転の場合においては射出成形機本体に設けられた操作盤の半自動運転スイッチからの操作信号、また、自動運転中においてはCNC用CPU25からの型開き完了信号である。つまり、半自動運転スイッチが操作された場合においては、PMC用CPU18がスッテップb1〜ステップb50の処理を1回実行して型開き動作が完了した時点で射出成形機の動作が停止され(半自動運転)、また、この半自動運転が行われている間に操作盤の自動運転スイッチが操作されると自動的に連続運転が開始され、CNC用CPU25からの型開き完了信号をステップb1の処理でPMC用CPU18が検出することにより、スッテップb1〜ステップb50の処理が繰り返し実行されるのである(自動運転)。
【0043】
なお、連続運転を開始するためには半自動運転の実行中に自動運転スイッチを操作することが必須の要件であり、また、半自動運転を開始するためには、マニュアル操作でスクリュー回転用サーボモータM2に指令を出力してスクリュー2に計量回転動作を行わせることにより、少なくとも、成形条件として設定された計量完了位置よりも後方にスクリュー2を後退させて、射出動作に必要とされる樹脂を射出シリンダ1内に充填しておかなければならない。
【0044】
以下、射出成形機の連続運転が既に開始されているものとして本実施例における製品の良否判別処理について説明する。
【0045】
サイクルスタート信号の入力を検知したPMC用CPU18は、まず、生産ショット数を積算記憶するショット数カウンタnの値をインクリメントし(ステップb2)、CNC用CPU25に型閉じ指令を出力して(ステップb3)、該CPU25およびサーボCPU20により従来と同様にして型締め用サーボモータを駆動制御することにより、型開き完了位置にある型締め用サーボモータに型閉じおよび型締めの工程を行わせ、CNC用CPU25からの型締め完了信号の入力を待つ待機状態に入る(ステップb4)。そして、型締め完了信号の入力が検知されると、PMC用CPU18はRAM19のスクリュー現在位置記憶レジスタからスクリュー現在位置Snを読み込み(ステップb5)、この値を計量完了位置記憶レジスタB(1)に計量完了位置として記憶すると共に、ピーク圧記憶レジスタB(2)および最小クッション量記憶レジスタB(6)の各々に0およびSnを初期設定する(ステップb6)。なお、この成形サイクルにおける射出に必要とされるスクリュー回転用サーボモータM2の計量処理は、既に、直前の成形サイクルにおけるステップb43〜ステップb45の処理によって完了しており、また、この時の計量処理に要した計量所要時間の値も直前の成形サイクルにおけるステップb42およびステップb46の処理により計量所要時間記憶レジスタB(8)に記憶されている。
【0046】
次いで、PMC用CPU18は、CNC用CPU25に射出開始指令を出力してCPU25およびサーボCPU20により従来と同様にして射出用サーボモータM1を駆動制御することによりスクリュー2の射出動作を開始させ(ステップb7)、経過時間測定タイマTをリスタートさせて射出所要時間の計時を開始する(ステップb8)。次いで、PMC用CPU18はRAM19のスクリュー現在位置記憶レジスタからスクリュー現在位置Snを読込むと共に圧力モニタ用CPU17を介してRAM12から射出圧力の現在値Pnを読込む(ステップb9)。そして、PMC用CPU18は、最小クッション量記憶レジスタB(6)に記憶された最小クッション量の現在値よりもスクリュー現在位置Snの方が小さいか否かを判別し(ステップb10)、最小クッション量の現在値よりもスクリュー現在位置Snの方が小さければ最小クッション量記憶レジスタB(6)にスクリュー現在位置Snを更新記憶する一方(ステップb11)、スクリュー現在位置Snの方が大きければステップb11の処理を非実行として最小クッション量記憶レジスタB(6)の値をそのまま保持する。また、PMC用CPU18は、ピーク圧記憶レジスタB(2)に記憶されたピーク圧の現在値よりも射出圧力の現在値Pnの方が大きいか否かを判別し(ステップb12)、ピーク圧の現在値よりも射出圧力の現在値Pnの方が大きければピーク圧記憶レジスタB(2)に射出圧力の現在値Pnを更新記憶する一方(ステップb13)、射出圧力の現在値Pnの方が小さければステップb13の処理を非実行としてピーク圧記憶レジスタB(2)の値をそのまま保持する。
【0047】
次いで、PMC用CPU18は、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置によって設定されているか射出圧力によって設定されているかを判別し(ステップb14)、スクリュー位置によって設定されている場合にはスクリュー現在位置Snの値が成形条件として不揮発性メモリ24に記憶された射出保圧切替位置VPssに到達するまでの間(ステップb15)、また、射出圧力によって設定されている場合には射出圧力の現在値Pnの値が成形条件として不揮発性メモリ24に記憶された射出保圧切替圧力VPpsに到達するまでの間(ステップb17)、前記と同様の処理を繰り返し実行し、射出工程における最小クッション量とピーク圧を最小クッション量記憶レジスタB(6)およびピーク圧記憶レジスタB(2)に更新記憶する。
【0048】
そして、射出工程が終了したことがステップb15またはステップb17の判別処理で確認されると、PMC用CPU18は、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置によって設定されている場合であれば、スクリュー現在位置Snの値が射出保圧切替位置VPssに到達して射出が終了したときの射出圧力の現在値Pnの値を射出保圧切替え圧力記憶レジスタB(4)に記憶し(ステップb16)、また、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力によって設定されている場合であれば、射出圧力の現在値Pnの値が射出保圧切替圧力VPpsに到達して射出が終了したときのスクリュー現在位置Snの値を射出保圧切替え位置記憶レジスタB(3)に記憶する(ステップb18)。
【0049】
次いで、PMC用CPU18は、経過時間測定タイマTの現在値を読込んで射出所要時間記憶レジスタB(5)に射出所要時間として記憶すると共に、再び、経過時間測定タイマTをリスタートさせて保圧時間の計時を開始し(ステップb19)、CNC用CPU25に保圧開始指令を出力してCPU25およびサーボCPU20により従来と同様にして射出用サーボモータM1を駆動制御することにより成形条件として不揮発性メモリ24に設定された保圧圧力でスクリュー2の保圧動作を開始させる(ステップb20)。以下、PMC用CPU18は、経過時間測定タイマTの現在値が成形条件として不揮発性メモリ24に設定された保圧時間に達するまでの間(ステップb24)、前述のステップb9〜ステップb11と同様の処理を繰り返し実行し、最小クッション量記憶レジスタB(6)に記憶された最小クッション量の現在値よりも小さなスクリュー現在位置Snが検出されれば、その値Snを最小クッション量記憶レジスタB(6)に更新記憶する(ステップb21〜ステップb23)。
【0050】
そして、経過時間測定タイマTの現在値が成形条件として不揮発性メモリ24に設定された保圧時間に達したことがステップb24の判別処理で確認されると、PMC用CPU18はスクリュー現在位置Snをクッション量記憶レジスタB(7)にクッション量として記憶した後(ステップb25)、不良判別フラグbに良品の成形を記憶する値0を初期設定し(ステップb26)、アドレス検索指標jに1を初期設定して(ステップb27)、今回の成形サイクルで成形された製品の良否を判別するための処理を開始する。
【0051】
良否判別のための処理を開始したPMC用CPU18は、図9のデータファイルの2列j行スポットに記憶された関数式の項目番号を読込んでその値を判別する(ステップb28〜ステップb30)。そして、項目番号の値が乗算の関数式を示す値1であれば、PMC用CPU18は、図9のデータファイルの1列j行スポットに記憶された項目番号に対応する第1の成形データ項目の現在値を記憶したレジスタB(A(1,j))の値と3列j行スポットに記憶された項目番号に対応する第2の成形データ項目の現在値を記憶したレジスタB(A(3,j))の値を検出し、これらの値を乗じて関数式を実行し、その演算結果を演算結果記憶レジスタCに記憶する(ステップb31)。例えば、図9のデータファイルの2列j行の値が1、1列j行の値が2、3列j行の値が8であったとするなら、ピーク圧記憶レジスタB(2)の値と計量所要時間記憶レジスタB(8)の値が乗じられることとなる。また、2列j行スポットに記憶された項目番号の値が除算の関数式を示す値2であれば、PMC用CPU18は、レジスタB(A(1,j))の値をレジスタB(A(3,j))の値で除して関数式を実行し、その演算結果を演算結果記憶レジスタCに記憶する(ステップb32)。例えば、図9のデータファイルの2列j行の値が2、1列j行の値が2、3列j行の値が6であったとするなら、最小クッション量記憶レジスタB(6)の値でピーク圧記憶レジスタB(2)の値が除されることとなる。
【0052】
また、2列j行スポットに記憶された項目番号の値が他の関数式を示す値3もしくは4であった場合には、PMC用CPU18は、第1の成形データ項目の現在値を記憶したレジスタB(A(1,j))と第2の成形データ項目の現在値を記憶したレジスタB(A(3,j)の値に基いてf3もしくはf4の関数式を実行し、その演算結果を演算結果記憶レジスタCに記憶する(ステップb33,ステップb34)。
【0053】
次いで、PMC用CPU18は、アドレス検索指標jおよびショット数カウンタnの現在値に対応して図11の演算結果記憶ファイルのn列j行スポットにアクセスし、ステップb31〜ステップb34のいずれかの処理で求めた判別条件jに対する演算結果の値Cを書込むと共に(ステップb35)、該演算結果の値Cが図9のデータファイルの4列j行スポットに記憶された上限値A(4,j)と下限値A(5,j)との間にあるか否かを判別する(ステップb36)。
【0054】
演算結果の値が上限値と下限値との間にある場合、即ち、今回の成形サイクルで検出されたデータ(但し、計量所要時間B(8)に関しては前回の成形サイクルで検出された値である)に基いて行われる判別条件jに対する演算結果が良品として判別された場合には(ステップb36)、アドレス検索指標jの現在値が判別条件設定数Nを越えるまでの間(ステップb39)、アドレス検索指標jの値を順次インクリメントして(ステップb38)、該指標jの現在値に基いて前記と同様の処理を繰り返し実行し、判別条件jに対する演算結果が判別条件jに対して設定された上限値と下限値との間にあるか否かを判別すると共に、演算結果の値をアドレス検索指標jの現在値に対応して図11の演算結果記憶ファイルのC列j行スポットに書き込んでゆく。この間にステップb36の判別結果が偽となれば、PMC用CPU18は不良判別フラグbに1をセットし(ステップb37)、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0055】
ステップb39におけるアドレス検索指標jの現在値が判別条件設定数Nを越えるまでの間、判別条件jに対する演算結果の全てが良品として判別された場合には、ステップb26の処理で0に初期設定された不良判別フラグbにはそのまま0が保持され、この成形サイクルで成形された製品は良品として認められることとなる。また、ステップb36の判別結果が1回でも偽となった場合には、1からNまでの判別条件のうち少なくとも1つの判別条件が満たされていないことを意味し、不良判別フラグbに1がセットされて、この成形サイクルで成形された製品が不良品として認められる。
【0056】
そして、ステップb39の判別結果が偽となって、設定されたN個の判別条件の各々に対して前述の処理が完了したことが確認されると、PMC用CPU18は、不良判別フラグbに1がセットされているか否かを判別し(ステップb40)、不良判別フラグbに1がセットされている場合に限り、不良成形の発生を意味する製品不良信号を出力する(ステップb41)。この製品不良信号は、ディスプレイ付手動データ入力装置29のディスプレイに異常メッセージを表示させるためにCRT表示回路26に転送されたり、また、製品の離型タイミングに合わせて製品選別装置を駆動させるために、製品選別装置に振り分け準備信号として転送されたりする。
【0057】
このようにして、製品の良否を判別するための処理を終了したPMC用CPU18は、経過時間測定タイマTを再びリスタートさせて計量時間の計時を開始し(ステップb42)、不揮発性メモリ24に計量条件として設定されたデータに基いてCNC用CPU25に背圧設定指令およびスクリュー回転指令を出力し、射出用サーボモータM1およびスクリュー回転用サーボモータM2により従来と同様の計量動作を開始させる(ステップb43)。そして、PMC用CPU18は、スクリュー2の現在位置SnをRAM19のスクリュー現在位置記憶レジスタから逐次読込み(ステップb44)、スクリュー現在位置Snが設定計量完了位置Sbに後退するまでの間(ステップb45)、従来と同様の計量動作を継続して行わる。そして、ステップb45の判別処理でスクリュー2が設定計量完了位置Sbまで後退したことが確認されると、PMC用CPU18は経過時間測定タイマTにより計時された時間を計量所要時間記憶レジスタB(8)に計量所要時間として記憶する(ステップb46)。
【0058】
次いで、PMC用CPU18は、CNC用CPU25に型開き開始指令を出力して型締め用サーボモータによる型開き動作を開始させ(ステップb47)、射出成形機の可動プラテンが設定型開き完了位置に到達するまでの間(ステップb48)、可動プラテンが設定エジェクト開始位置に到達する毎に(ステップb49)、CNC用CPU25にエジェクト開始指令を出力してエジェクタ用のサーボモータによるエジェクタロッドの突出縮退動作を制御させ(ステップb50)、金型から製品を離型させる。
【0059】
そして、一連の製品突出しおよび型開き動作が終了すると、PMC用CPU18はステップb2の処理に復帰して待機状態に入り、CNC用CPU25からの型開き完了信号を受けて、前記と同様のシーケンス制御を繰り返し実行することとなる。
【0060】
以上、一実施例として、2つの成形データ項目の組合せとこれに適用する関数式および関数式の演算結果を許容する上限値ならびに下限値とによって図9のデータ記憶ファイルの各行毎に1つずつ判別条件を設定する場合について説明したが、良品が成形される範囲で検出される成形データの値を代入したときの演算結果が略一定の値となり、しかも、不良品成形時における成形データの値を代入したときの演算結果が前記略一定の値とは相当に相違するような成形データ項目の組合わせであれば、成形データ項目の組合せの個数や良否判別のための関数式の内容は問わない。
【0061】
また、良否判別に用いるための関数式に関してはユーザーによって作成されたものを項目番号に対応して不揮発性メモリ24に自由に登録できるようにし、ステップb31〜ステップb34で項目番号に対応して不揮発性メモリ24から関数式を読込んで演算処理を行わせるようにしてもよい。この場合、図10の(b)に示されるような演算方法記憶テーブルも不揮発性メモリ24内に書替え可能に設けるか、または、ROM13に設けられたテーブルに演算方法の内容自体を表示データとして記憶させる代わりに、演算方法A,演算方法B,・・・等のような抽象的な見出しをつけて一覧表示領域Cに表示させるようにする。
【0062】
また、良品が成形されると見做せる範囲の上限値と下限値の値を求める実験に際しては、第1の成形データ項目と第2の成形データ項目および関数式を決めて判別条件を1組だけ設定し、前述のステップb1〜ステップb50の処理で連続成形作業を行わせて図9に示されるようなデータファイルにショット数と演算結果の関係を記録させてディスプレイ付き手動データ入力装置29の画面に結果をグラフ表示させ、各ショットで成形された製品の良否を目視判別するようにすれば、上限値および下限値を設定するためのデータ検出作業をより簡単に行うことができる。更に、第1の成形データ項目と第2の成形データ項目および判別条件として用いるべき関数式(ユーザーによって作成されたものであってもよい)の適切な組合せを新たに求めたいような時は、第1の成形データ項目と第2の成形データ項目および関数式の適当な組合せを予め図9に示されるようなデータファイルに判別条件1,判別条件2,・・・等として複数設定して前述のステップb1〜ステップb50の処理で連続成形作業を行わせて図9に示されるようなデータファイルにショット数と演算結果の関係を記録させ、その結果をグラフ表示させて判別条件毎の演算結果のばらつきを観察することにより、判別条件として適切な第1の成形データ項目と第2の成形データ項目および関数式の組合わせを求めるようにすることもできる。当然、これらの場合にはPMC用CPU18から出力される製品不良信号は無視し、目視確認や重量測定により製品の良否を判別することとなる。
【0063】
【発明の効果】
本発明の製品良否判別方法は、時間の経過や環境変化によって成形データの値に変動が生じるような場合であっても、単一の成形データ項目または幾つかの成形データ項目の値が各々の項目の許容範囲に入っているか否かによって製品の良否を判別する従来の良否判別方法に比べ、より確実に製品の良否を判別することができる。しかも、多数存在する成形データ項目と関数式の組み合わせの中から、その演算結果が時間の経過や環境変化の影響の少ないものを選択して設定できるものであるから、より的確に良否判別を行うことができる。また、演算に用いる成形データの組合わせとこれに適用する関数式によって構成される判別条件に対し、用いられる成形データの項目の数に関わりなく只1組の許容範囲を設定すればよく、幾つかの成形データ項目に対して個別に良否判別の許容値を設定する必要がないので、設定データの入力操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の射出成形機の要部を示すブロック図である。
【図2】本実施例の射出成形機に配備された制御装置によるデータ設定処理の概略を示すフローチャートである。
【図3】本実施例の射出成形機に配備された制御装置による良否判別処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図5】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図6】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図7】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図8】データ設定処理に用いる対話画面を例示する図である。
【図9】同実施例で採用したデータ記憶ファイルを示す概念図である。
【図10】同実施例で採用した表示データ記憶テーブルを示す概念図である。
【図11】同実施例で採用した演算結果記憶ファイルを示す概念図である。
【図12】ピーク圧と最小クッション量との相関関係を示す一実験結果のグラフである。
【図13】図12の線図の一部を拡大して製品重量の測定結果と共に示すグラフである。
【図14】ピーク圧と計量時間との相関関係を示す一実験結果のグラフである。
【符号の説明】
1 射出シリンダ
2 スクリュー
4 圧力検出器
10 制御装置
18 PMC用CPU
20 サーボCPU
22 バス
24 不揮発性メモリ
29 ディスプレイ付手動データ入力装置
M1 射出用サーボモータ
M2 スクリュー回転用サーボモータ
Claims (2)
- 成形サイクル毎に製品の良否を自動的に判別する射出成形機の製品良否判別方法において、成形データの値を変数として構成される関数式を複数設定しておき、該変数には組み合わせの異なる項目の成形データを設定し、複数の成形サイクルを実行して得られた前記変数に対応する成形データの値に基づいて前記各関数式から求められた演算の結果を各々表示し、判別条件として使用する成形データ項目および関数式の組合せを選択し、以後の成形サイクルでは、前記選択された判別条件から求められた演算結果が対応して設定された許容範囲内にあるときにのみ良品として判別する射出成形機の製品良否判別方法。
- 成形サイクルにおける各ショット毎の製品の品質に影響を与える少なくとも2項目以上の成形データの値を検出する手段と、該成形データの値を変数として構成される関数式を複数設定する手段と、前記関数式から求められた演算結果を各々表示する手段と、判別条件として使用する成形データ項目および関数式の組合せを選択する手段と、前記選択された判別条件から求められた演算結果に対して製品の良否判別のための許容範囲を設定する手段とを有し、前記選択された判別条件から求められた演算結果と、設定された許容範囲に基づいて製品の良否判別を行うことを特徴とする射出成形機の製品良否判別装置。
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