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JP3581071B2 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔および該アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ電極用アルミニウム箔および該アルミニウム箔の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの電極、特に陽極に用いられる電極用アルミニウム箔および該アルミニウム箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の基になるアルミニウム原箔は、常法に従って溶製したアルミニウム塊を熱間圧延、冷間圧延することにより得られ、これを焼鈍して軟質原箔とする。その後は、上記軟質箔に対し電解エッチングによる拡面処理を行った後、化成処理(誘電体被膜形成)を施して電解コンデンサ用電極、特に陽極として供される。
上記拡面処理では、箔の表面部に非常に微細なキャピラリー状ピット(細く、長いピット)が形成される。拡面はこのキャピラリー状ピット(以降、ピット)が多くあればそれだけ表面積が大きくなる。この表面積の増大の程度を拡面率と称している。この拡面率はコンデンサの性能である静電容量に直接影響するものであるから最も重要なアルミニウム箔の性質の一つと言える。拡面処理は、通常はコンデンサメーカによって行われるが、拡面率は原箔の性状によっても異なって来る為、原箔メーカは高い拡面率を得ることが出来る箔の開発を行って来た。近年は、特開昭57−194516号、特開平4−62818〜62823号などに見られるように、Pbなどの特定の不純物元素を表面に濃縮させることによって拡面率を向上させる技術が開発されて来た。また、これと並行する形で、コンデンサメーカも拡面エッチング技術を改良して来た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近、コンデンサに対する高容量化、小型化の要請は益々強くなっているものの、従来技術の箔では、上記した改良方法を採用しても拡面処理を施した場合、依然として上記ピットの分布がかなり不均一であり、その結果、単位面積あたりのピット数が少なく、ひいては静電容量も充分に高いものとはいえない。このため上記従来技術のみではこれらの要請に答えることが出来なくなっているのが現状である。
本発明者らは、上記改良技術において予期される程度に粗面化率が向上しない原因について鋭意研究したところ、従来法に従って500℃を超える温度で不活性ガス中で最終焼鈍したアルミニウム箔について表面分析を行った結果、表面層においてFeが他部の濃度の10〜20倍程度に濃縮されていることが最近のSIMS分析による研究により明らかになった。また、同じくSIMSにより面分析を行った所、それら濃縮したFeは面内では局部的に分布していることも判明した。即ち、表面濃縮は特にFeの場合、同一面内では不均一に濃縮部が塊状(10〜30μm径)に分布していることが判明したのである。
このような不均質なFeの濃度の高い部分が部分的に存在すると、その近傍のエッチングが進み早期に形成されるがその他の部分はピットの形成が遅れる為、最終的にはピットの分布が不均一になる。これが原因となって従来技術においては所望の粗面化率、ひいては静電容量が得られなかったものと考えられる。
すなわち、粗面化率を向上させるためには最終焼鈍後のFeの不均一分布をいかに少なくするかが課題であり、又、その一方で、Pbなどの均一ピット形成に有効な元素は表面層に濃縮させることが必要であり、これらの課題をともに満たすことが必要である。
【0004】
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、最終焼鈍後のFeの不均一分布を少なくすることによってアルミニウム原箔にピットを均一に発生させ且つ、単位面積あたりのピット数を多くし、従来材より格段に優れた高い拡面率、即ち静電容量が得られる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供することを目的とするものであり、さらには、Pbなどの均一ピットの形成に有効な元素を表面層に効果的に濃縮させて上記効果を顕著なものとすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のうち第1の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、99.99%以上の純度のアルミニウム軟質箔からなり、かつ該箔の表面層(最表面より0.1μm迄の層)のFe平均濃度と内部のFe平均濃度との比が2.0以下であることを特徴とする。
【0006】
第2の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、第1の発明において、前記アルミニウム軟質箔は、粗面化率を向上させる不純物が前記表面層に濃縮していることを特徴とする。
第3の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、第2の発明において、粗面化率を向上させる不純物が、Pb、In、Sn、Na、Zn、Biの1種以上からなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のうち第4の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、純度99.99%以上のアルミニウム原箔を250℃〜530℃の温度範囲内で加熱する一次焼鈍を行った後、該アルミニウム原箔の表面層を除去する表面層除去処理を行い、その後、500℃以上で、かつ一次焼鈍よりも高い温度で加熱する二次焼鈍を行うことを特徴とする。
【0008】
第5の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、第4の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法において、前記表面層除去処理では、表面から0.02〜1μmの厚さで表面層を除去することを特徴とする。
【0009】
第6の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、第4または第5の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法において、表面層除去処理は、アルミニウム原箔をアルカリ液に接触させて該アルミニウム箔の表面層を溶解することによって行うことを特徴とする。
【0010】
第7の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、第4〜第6の発明のいずれにおいて、前記アルミニウム原箔が粗面化率を向上させる不純物を含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔には、99.99%以上の純度を有するアルミニウム原箔が用いられる。この原箔には、望ましくは粗面化率を向上させる不純物を含有させるが、本発明としては、この不純物を含有しないものであってもよい。
粗面化率を向上させる上記不純物とは、粗面化処理の際にエッチングピットの濃度を増大させるものであり、元素のまま、又は化合物の状態でアルミニウム原箔中に存在する。本発明は、この不純物の種別について特定のものに限定されるものではないが、上記作用を有するものとして、一般にも知られているPb、In、Sn、Bi等を例示することができ、これらの1種以上含有させることができるが、好適にはPbである。また、上記元素の含有量についても本発明としては特に限定されるものではなく、既知の量においてアルミニウム箔に含有させることができる。上記元素の含有量としては、質量比で、Pb:0.2〜2ppm、In:0.5〜3ppm、Sn:0.3〜2ppmを例示することができる。
【0012】
また、アルミニウム箔には、上記成分以外に不可避的にFe、Si等を含んでいる。通常は、Fe:20ppm以下、Si:20ppm以下を含んでいる。なお、本発明の製造方法では、Feによる粗面化率への悪影響を排除できる効果があるので、通常許容される以上にFeを含んでいる材料を使用することもできる。この結果、コストの低い原料を使用することができ、またより強度の高いアルミニウム箔を得ることができる。強度を重視する場合には、Fe含有量の下限を5ppm以上に定めることもできる。
【0013】
本発明では、上記アルミニウム原箔を使用しており、この原箔は、常法に従って溶製、熱間圧延、冷間圧延することによって得ることができる。ただし、本発明においては該工程での製造条件が特に限定されるものではない。本発明の電極用アルミニウム箔には、上記原箔に焼鈍処理を施した軟質原箔が用いられるが、本発明の製造方法では、該焼鈍処理が一次焼鈍と最終焼鈍とによって構成されており、その間に表面層除去処理工程を含んでいる。以下にその詳細を説明する。
【0014】
(一次焼鈍:250℃〜530℃)
一次焼鈍は、アルミニウム箔に含まれる不可避不純物のうち、主としてFeを表面層に濃縮させるために行う。この焼鈍は、比較的低い加熱温度でなされており、このためFeはアルミニウム箔の表面層に濃縮するものの、粗面化率を向上させる不純物を含んでいる場合には、この不純物は活発には移動せず、したがって表面層への濃縮も僅かである。その理由について確証を得てはいないが以下の理由によるものと思われる。すなわち、箔組織には格子欠陥として転位および点欠陥が存在しており、これらは焼鈍による再結晶によって再配列、消滅する。ただし、転位と点欠陥ではこれらの現象が生じる温度について差異が認められる。また、組織中に含まれる不純物は、一般にこの格子欠陥の再配列、消滅によって移動が誘起され、表面層に濃縮しやすい。しかし、Feと粗面化率を向上させる不純物とでは、格子欠陥の種別によって移動が誘起される程度に明らかな差異がある。すなわち、Feは、比較的低い加熱温度で起こる格子欠陥の再配列によって移動が誘起され、一方、粗面化率を向上させる不純物は比較的高い加熱温度で起こる格子欠陥の再配列によって移動が誘起されるため、低い加熱温度では粗面化率を向上させる不純物については表面層への濃縮は殆ど起こらない。
この結果、焼鈍時の加熱条件を適切に定めることにより、アルミニウム箔中に含まれる不純物のうち、Feを選択的に表面層に濃縮させ、一方、粗面化率を向上させる不純物は表面層に濃縮するのを抑制することができる。
【0015】
この焼鈍(以下一次焼鈍という)での加熱温度が250℃未満であると、Feの濃縮を起こさせる再結晶が十分に起こらないためFeの表面濃縮が少なく、後工程での表面層除去の効果が小さくて結果的に粗面化処理において粗面化率の向上が充分でなくなる。このため、第1次焼鈍での加熱温度は250℃以上とする。一方、加熱温度が上昇するにつれてわずかに濃縮量の不均一化も大きくなり、加熱温度が530℃を越えるとこれが顕著になり、表面層除去によってもFeによる弊害が顕著になってくる。また、530℃を越える温度では、粗面化率を向上させる不純物もFeとともに表面層に濃縮してしまうため、後工程で表面層除去を行った場合、ピット均一性に効果のあるPb等が除去されてしまい、粗面化率向上が充分でなくなる。これらのため最終焼鈍の加熱温度の上限を530℃に定める。なお、同様の理由で一次焼鈍温度の下限を300℃、上限を500℃未満に定めるのが望ましく、さらに上限を400℃に定めるのが望ましい。
【0016】
上記焼鈍における加熱時間は、Feの表面層への濃縮が必要とされる程度にまで進行するという観点から定めればよく、さらには、Feの移動を誘起する格子欠陥が充分に再配列、消滅してそれ以上にFeの移動が誘起されない程度にまで加熱することを考慮して加熱時間を定めるのが望ましい。また、上記温度範囲の内でも比較的高い温度で加熱する場合には(例えば500℃以上)、粗面化率を向上させる不純物の表面層への濃縮が進行しないうちに加熱を終えるという観点から加熱時間を定めるのが望ましい。
焼鈍における加熱時間は、格子欠陥の程度、不純物の種別、量等にも左右されるため一義的に定めることは難しいが、上記の点を考慮して2〜12時間の加熱時間を例示することができる。
【0017】
(表面層除去)
上記一次焼鈍後には、表面層に濃縮したFeを除去するため、表面層自体をアルミニウム箔から除去する。この除去は、例えばアルミニウム箔をアルカリ液に接触させて表面層を溶解することにより行うことができ、その他に酸に接触させて表面層を溶解除去することもできる。また、研磨により表面層を機械的に除去する方法を採択することもできる。すなわち、本発明としては表面層の除去方法が特定の方法に限定されるものではなく、所望の厚さで表面層を除去できる方法であれば適宜の方法を採択することができる。ただし、アルミニウム箔の表面層を効率的に除去できる方法としては酸またはアルカリ液を用いた方法が有利であり、アルミニウム箔の変質を伴わないという点でアルカリ液の使用が一層好ましい。これら液とアルミニウム箔との接触は、液中への箔の浸漬、箔への液の塗布、噴射等の適宜の方法により行うことができる。
【0018】
また、表面層除去においては、表面から0.02〜1μmの厚さの範囲で表面層を除去するのが望ましい。これは除去厚さが、0.02μm未満であると、Fe濃縮層を充分に取り除くことができず、依然としてFeが濃縮した表面層がアルミニウム箔に残存し、その結果、粗面化率の向上効果が充分に得られないためである。したがって、表面層除去の厚さの下限としては0.02μmが望ましい。また、1μmの厚さを越えて表面層を除去してもアルミニウム箔にはFe濃縮層は殆ど残っておらず粗面化率向上効果は飽和し、また無駄で不経済と考えられるので、除去厚さの上限を1μmに定めるのが望ましい。なお、さらに望ましくは、下限を0.1μm、上限を0.5μmに定めるのがよい。
なお、表面層の除去厚さの制御は、例えば、酸、アルカリ液を用いた方法では、液の温度や接触時間を調整することにより行うことができ、研磨においては研磨時間を調整することにより行うことができる。
【0019】
(最終焼鈍:500℃以上)
上記表面層除去後に、最終焼鈍を行う。この焼鈍では、アルミニウム箔の集合組織は立方体方位が形成されるとともに表面に適度な厚さで酸化皮膜が形成され、粗面化率の向上に寄与する。また、粗面化率を向上させる不純物を含有する場合には、これら不純物を表面層に濃縮させて後工程の粗面化処理でエッチングピットの密度を向上させて粗面化率を向上させる。したがって、従来行われていた最終焼鈍と同様に500℃以上の加熱温度で焼鈍する。この温度が500℃未満であると、立方体方位の集合組織形成、酸化皮膜形成および上記不純物の濃縮が充分に進行せず、粗面化率向上効果が得られない。また、その加熱雰囲気は従来と同様に不活性ガス雰囲気とするのが望ましい。
【0020】
なお、上記最終焼鈍においては、表面層でのFe濃度は従来に比べて格段に低くなっている。これは、本発明の製造方法では、一次焼鈍において選択的にFeを表面層に濃縮させて除去しているので、粗面化率を向上させる不純物量を低減することなく、粗面化の支障となるFeの絶対量を減らすことができる。しかも、一次焼鈍においてFeを移動誘起する格子欠陥は殆どが再配列、消滅しており、最終焼鈍においてFeを移動させて表面層に濃縮させる誘起力は大幅に小さくなっているためである。その一方で、粗面化率を向上させる不純物を含有する場合には、該不純物は、一次焼鈍では表面層には濃縮せず(したがってアルミニウム箔に充分な濃度で残存している)、比較的高温の最終焼鈍において表面層に濃縮する。したがって、最終焼鈍においては、アルミニウム箔の表面層に粗面化率を向上させる不純物が選択的に濃縮されることになる。なお、これら作用を明確にするため、最終焼鈍の加熱温度は一次焼鈍の加熱温度よりも高いのが望ましい。
【0021】
また、最終焼鈍の加熱時間は、立方体方位の形成、酸化皮膜の形成、上記した粗面化率を向上させる不純物が表面層に充分に濃縮するという観点から定めればよい。この加熱時間は、従来の最終焼鈍と同程度の時間とすることもできるが、既に一次焼鈍において一部の格子欠陥は再配列、消滅しているので、従来に比べて相対的には短時間加熱でも終了することができる。この加熱時間も上記不純物の種別や含有量に左右されるが、例えば、2〜10時間の加熱時間を挙げることができる。
【0022】
(表面層Fe濃度/内部Fe濃度≦2.0)
上記製造工程を経ることにより得られるアルミニウム箔は、上記したように表面層のFe濃度の濃縮程度は大幅に小さくなる。表面層のFeの濃縮度が小さいアルミニウム箔では表面層における塊状の濃縮部の存在は殆どなく、したがって後述する粗面化処理においてFeの悪影響が殆どなくて表面層にエッチングピットが均一に形成され、高い粗面化率を得ることができる。すなわち、アルミニウム箔の表面層(最表面より0.1μm迄の層)におけるFe平均濃度が、それよりも内部のFe平均濃度に対し、2.0以下であれば、Feの悪影響を殆ど無視することができる。これが2.0を越えていると表面層でのFeの悪影響が顕著になり、粗面化率を阻害する。望ましくは、1.5以下の比率がよい。なお、Feの濃縮度の評価を0.1μmの厚さを基準として行うものとしたのは、ピットの開始点は少なくとも表面層(0.1μm迄の)不純物の分散状態によって決まると考えられるからである。
なお、Feの平均濃度の比率は、SIMS(Secondary Ion Mss Spectroscopy)で測定した相対強度比で示すことができる。
上記比率を有するアルミニウム箔は、上記した本発明の製造方法を経ることによって確実に得ることができる。
また、上記アルミニウム箔に粗面化率を向上させる不純物を含有させる場合には、上記表面層(最表面より0.1μm迄の層)の該不純物の平均濃度が、それよりも内部の平均濃度の100倍以上であるのが望ましい。該不純物が充分に濃縮されていることによってエッチングピットの密度を大幅に増やして粗面化率を向上させることができる。該不純物が表面層に充分に濃縮したアルミニウム箔も本発明の製造方法を経ることによって確実に得ることができる。
【0023】
(粗面化処理以降)
上記最終焼鈍後は、粗面化処理工程を含めて従来と同様の工程を経ることができ、本発明としては粗面化処理以降の製造条件について特に限定されるものではない。
粗面化処理においては、上記したようにFeによる悪影響が排除されてエッチングピットが均一に形成され、さらに粗面化率を向上させる不純物を含有する場合には高密度のエッチングピットが均一に形成され、粗面化率が大幅に向上し、電極として使用する際には高い静電容量を示すことになる。
その後は、常法に従って化成皮膜の形成、コンデンサへの組み込み等によって静電容量の高いコンデンサの電極(特に陽極)として供することができる。このコンデンサは、一般に高圧用コンデンサとして使用される。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の一実施例を説明する。
99.995%の純度を有し、質量比でFeが0.001%、Siが0.001%、Cuが0.005%、Pbが0.0001%(1ppm)を含有する原料を溶解した後、5kgのブックモールドに鋳込んだ。その後、面削(片面2mm)を施し、560℃で6時間の均質処理を行い、そのまま冷間圧延を行った。6mm厚に仕上げた後、0.11mm厚まで冷間圧延を行って硬質箔を得た。
この硬質箔を原箔として表1に示す工程に従って、一次焼鈍、表面層除去、最終焼鈍を行った。なお、一次焼鈍では不活性ガス雰囲気で240分の加熱を行い、最終焼鈍では、不活性ガス中で360分の加熱を行った。
また表面層の溶解除去は、10%カセイソーダ・60℃溶液で行い、5〜60秒の範囲内で溶解時間を変えて、表面層の除去量を制御した。
上記により得られる軟質原箔について、表面層(〜0.1μm迄)およびこれよりも内部のFeの濃度をSIMSにより計測し、その比を測定し、表1に結果を示した。また、各試料の表面層(0.1μm厚)について、Pbの含有量を測定したところ、No.11のPb濃度が90ppmであるのを除いて、他の試料は200ppm以上にPbが濃縮されていることが確認された。
【0025】
さらに、上記軟質原箔に対し、以下に示す条件で粗面化処理を行った。
1) エッチング液
HCl 1モル/1リットル、HSO 3モル/1リットル、
温度 75℃、
2)電解条件
電流密度 0.8A/cm
電解時間 40秒
次いで、75℃のHNO(50%)で7分間の化学エッチングを行った後、270Vでの化成を行って静電容量を測定した。
【0026】
【表1】
Figure 0003581071
【0027】
表1から明らかなように、本発明の製造方法により得られたアルミニウム箔は、従来の製造方法により得られたアルミニウム箔(No.1、以下従来材とする)に比べて明らかに高い静電容量を有しており、これは粗面化率が向上したためと考えられる。なお、本発明材のうち、No.4の試料は、従来材よりも高い静電容量を有するが多くの発明材よりも静電容量の向上効果は小さくなっている。これは、表面層の除去厚さが充分ではなく、したがって、Feが最終焼鈍後にも表面層に高い濃度で残存して粗面化率の向上効果を小さくしたためと考えられる。
一方、一次焼鈍での加熱温度が本発明の製造条件よりも低いNo.2の試料では、本発明材よりも静電容量が劣っている。これは、上記加熱温度が低いために一次焼鈍でFeが充分に濃縮されず、したがって、最終焼鈍後もFeが高い濃度で表面層に濃縮して粗面化率に悪影響を与えているためと考えられる。また、一次焼鈍での加熱温度が本発明条件よりも高いNo.11の試料では、従来材よりも静電容量が高いものの、多くの発明材よりも劣っており、表面層の除去の程度に比べて静電容量の向上効果が小さい。これは、一次焼鈍によってFeとともにPbが表面層に濃縮し、これが後工程で除去されて結果的に最終焼鈍後の表面層のPb濃度が他のものよりも低くなってしまったためと考えられる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔によれば、純度が99.99%以上のアルミニウム軟質原箔からなり、かつ該箔の表面層(最表面より0.1μm迄の層)のFe平均濃度と内部のFe平均濃度との比が2.0以下であるので、粗面化処理に際し、Feによるピットの不均一形成が少なく、よって高い粗面化率が得られ、静電容量が大きくて小型化が可能なコンデンサを得ることができる。
【0029】
また、上記アルミニウム箔において、粗面化率を向上させる不純物が前記表面層に濃縮していれば、粗面化処理に際し、Feによって阻害されることなくエッチングピットを高密度で形成することができ、一層高い粗面化率が得られる。
【0030】
また、本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法によれば、純度99.99%以上のアルミニウム原箔を250℃〜530℃の温度範囲内で加熱する一次焼鈍を行った後、該アルミニウム箔の表面層を除去する表面層除去処理を行い、その後、500℃以上で最終焼鈍を行うので、上記電解コンデンサ用アルミニウム箔を確実に得ることができる。また、上記原箔に粗面化率を向上させる不純物を含有させておけば、該不純物を確実に表面層に濃縮させることができる。

Claims (7)

  1. 純度が99.99%以上のアルミニウム軟質原箔からなり、かつ該箔の表面層(最表面より0.1μm迄の層)のFe平均濃度と内部のFe平均濃度との比が2.0以下であることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
  2. 前記アルミニウム軟質原箔は、粗面化率を向上させる不純物が前記表面層に濃縮していることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
  3. 粗面化率を向上させる不純物が、Pb、In、Sn、Na、Zn、Biの1種以上からなることを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
  4. 純度99.99%以上のアルミニウム原箔を250℃〜530℃の温度範囲内で加熱する一次焼鈍を行った後、該アルミニウム箔の表面層を除去する表面層除去処理を行い、その後、500℃以上で最終焼鈍を行うことを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法
  5. 前記表面層除去処理では、表面から0.02〜1μmの厚さで表面層を除去することを特徴とする請求項4記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法
  6. 表面層除去処理は、アルミニウム箔をアルカリ液に接触させて該アルミニウム箔の表面層を溶解することによって行うことを特徴とする請求項4または5に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法
  7. 前記アルミニウム原箔は、粗面化率を向上させる不純物を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
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