JP3580910B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ダイレクトブロー成形用に使用されるポリエステル樹脂組成物、特に耐ドローダウン性に優れ、かつ機械的特性、耐熱性、光線透過性、表面光沢、耐薬品性等の優れた特性を有するポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ダイレクトブロー成形は中空構造ができる、低圧成形工法である、という特徴があり、主として容器類に多く使用されている。
【0003】
しかしながら、射出成形では金型内に直接溶融樹脂を高速、高圧で注入するのに対し、ダイレクトブロー成形では溶融樹脂を外気中に数十秒間曝さなくてはならない。このため、パリソンは外的要因を受け易く、大型の成形品では肉厚分布のバラツキ等成形安定性に問題があった。
【0004】
一方、ポリエステル樹脂は機械的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性に優れ、飲料ボトルや化粧品容器に使用されているが、パリソンを安定して成形できる溶融樹脂の粘度まで重合度を上げるために、固相重縮合法が行われている。しかし、この方法は生産効率が低く、コストの増大を免れることができず、工業的、経済的に有効な方法であるとはいい難く、固相重縮合法によらない耐ドローダウン性に優れたポリエステル樹脂の出現が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような状況に鑑み、ポリエステル樹脂の耐ドローダウン性について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分中80モル%以上含有し、エチレングリコールを全アルコール成分中に50モル%以上含有するポリエステル樹脂にポリテトラフルオロエチレン樹脂を0.01〜5重量%配合してなるダイレクトブロー成形用ポリエステル樹脂組成物にある。
【0006】
本発明で使用されるポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)は、次の一般式で表される。
[CF2 CF2 ]n (104 ≦n≦106 )
PTFEのポリエステル樹脂に対する配合量は0.01〜5重量%が好ましい。PTFE成分はポリエステル樹脂に対して0.01〜5重量%の範囲よりも少ないと、耐ドローダウン性に効果がなく、この範囲を超えて含有するとゲル状となる恐れがある。また、上記一般式で示されるPTFE樹脂は、nの範囲が104 〜106 の範囲よりも低いと、耐ドローダウン性に効果がなく、この範囲よりも高い場合、ゲル状となるため好ましくない。
【0007】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、270℃、せん断速度60[1/秒]における溶融粘度が10000〜100000ポイズとなることが好ましい。溶融粘度が10000ポイズより低いと、耐ドローダウン性はなく、100000ポイズより高いと樹脂の流動性が悪く成形品の品質が安定せず好ましくない。
【0008】
本発明のポリエステル樹脂組成物に使用するポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸及びこれらのエステル形成誘導体を主たる酸成分とするものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4もしくは2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられ、これらのエステル形成誘導体としてはアルキルエステルやアリールエステルが挙げられる。
【0009】
また、ポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分中80モル%以上含有されていることが好ましく、さらに85モル%以上含有されていることが好ましい。芳香族ジカルボン酸成分が80モル%未満であると本発明樹脂組成物から得られる成形物の機械的強度が低下する恐れがある。
【0010】
本発明に使用するポリエステル樹脂は、上記芳香族ジカルボン酸以外の酸成分として脂肪族ジカルボン酸、または、これらのエステル形成誘導体を全酸成分中に20モル%未満、好ましくは15モル%未満の範囲で含有させることができる。これらの酸成分は20モル%以上含有させると本発明組成物が得られる成形物の機械的強度の低下を招く恐れがある。使用される脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,3もしくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0011】
本発明のポリエステル樹脂組成物に使用するポリエステル樹脂は、エチレングリコールを主たるアルコール成分とするものである。エチレングリコールは全アルコール成分中に50モル%以上含有されることが必要で、好ましくは70モル%以上である。エチレングリコールの含有量が50モル%未満であると樹脂の製造段階での重合反応性の低下等が発生し、目的とする重合度の樹脂を得ることが困難になる等の問題を生じ好ましくない。
【0012】
さらに、本発明において用いるポリエステル樹脂は、アルコール成分として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピレングリコール、1,4−ブタジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリオキシテトラメチレングリコール、下記一般式(1)、(2)で表されるアルコール成分及びこれらの誘導体のエチレンオキサイド付加物が含有させることができる。中でも次の一般式(3)に示される構造を有するビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
さらに、本発明に用いるポリエステル樹脂においては、3価以上の多価カルボン酸及び/または多価アルコールを、酸成分またはアルコール成分の各々に対して0.01〜1モル%の範囲で使用することもできる。使用量がこの範囲では配合効果が不十分であり、この範囲を超えると重合途中でゲル化が起こる恐れがある。3価以上の多価カルボン酸及び多価アルコールとしてはトリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物等の多価カルボン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールが挙げられる。
【0017】
ポリエステル樹脂は、公知の直接重合法やエステル交換法により製造する事ができる。その重合度は特に制限されるものではないが成形性から、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン等重量混合物溶液中で25℃で測定)が0.5〜1.2dl/g程度のものが好ましい。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、例えば以下の方法によって成形される。まず、ポリエステル樹脂組成物を乾燥させた後、溶融し、ダイからパリソンを押出し、左右の金型を閉じパリソン内部に空気を吹き込む等で形成する。
【0019】
本発明のポリエステル樹脂組成物に、さらに特定の性能を付与するために従来公知の各種加工処理を施したり、適当な添加剤を配合する事ができる。加工処理の例としては、紫外線、α線、β線、γ線あるいは電子線等の照射、コロナ処理、プラズマ照射処理、火炎処理等の処理、塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフィン等の樹脂の塗布、ラミネート、あるいは金属の蒸着等が挙げられる。
【0020】
添加剤の例としてはポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の樹脂、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤等が挙げられる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。説明中、耐ドローダウン性の評価は、キャピログラフを使用しストランド長が400mmに達する秒数とした。ヘイズの評価は、JIS K7105に準じヘイズメーターにより測定した。また、溶融粘度は、キャピログラフでの溶融流動曲線より求めた。
【0022】
[実施例1〜4]
テレフタル酸100モル部、エチレングリコール140モル部を反応容器に仕込み、常法の直接重合法により、重合しポリエステル樹脂を得た。この樹脂とPTFE樹脂を表1に示した組み合わせ及び量比で配合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0023】
[実施例5]
テレフタル酸93モル部、イソフタル酸7モル部、エチレングリコール140モル部を反応容器に仕込み、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。この樹脂とPTFE樹脂を表1に示した組み合わせ及び量比で配合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0024】
[実施例6]
テレフタル酸75モル部、イソフタル酸25モル部、エチレングリコール130モル部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(ただしm+n=5)5モル部、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量1000)1.5モル部、トリメチロールプロパン0.15モル部を反応容器に仕込み、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
この樹脂とPTFE樹脂を表1に示した組み合わせ及び量比で配合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0025】
[実施例7]
テレフタル酸100モル部、ネオペンチルグリコール30モル部、エチレングリコール120モル部を反応容器に仕込み、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。この樹脂とPTFE樹脂を表1に示した組み合わせ及び量比で配合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0026】
[比較例1]
テレフタル酸100モル部、エチレングリコール140モル部を反応容器に仕込み、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0027】
[比較例2、3]
テレフタル酸100モル部、エチレングリコール140部、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量1000)1.5モル部を反応容器に仕込み、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
この樹脂とPTFE樹脂を表1に示した組み合わせ及び量比で配合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0028】
[比較例4、5]
テレフタル酸100モル部、ネオペンチルグリコール30モル部、エチレングリコール120モル部を反応容器に仕込み、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。
この樹脂とPTFE樹脂を表1に示した組み合わせ及び量比で配合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。この樹脂の評価結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によるポリエステル樹脂組成物は、機械的特性、耐熱性、透明性、耐薬品性を損なうことなく、耐ドローダウン性に良好な効果を発揮する。
本発明により提供される新規な樹脂組成物は通常のポリエステル樹脂と同様の成形加工法により容易に容器等の成形品、フィルム、シート等に加工される。
Claims (3)
- 芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分中80モル%以上含有し、エチレングリコールを全アルコール成分中に50モル%以上含有するポリエステル樹脂にポリテトラフルオロエチレン樹脂を0.01〜5重量%配合してなるダイレクトブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
- ポリテトラフルオロエチレン樹脂が下記一般式で表される請求項1記載のダイレクトブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
[CF2CF2]n (104≦n≦106) - 樹脂組成物の270℃、せん断速度60[1/秒]における溶融粘度が10000〜100000ポイズである請求項1又は2記載のダイレクトブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
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