JP3575304B2 - 転炉製鋼方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑を脱炭精錬して、溶鋼を製造する転炉製鋼方法に関わり、とりわけ、要求される品質の精錬を達成しつつも、生石灰の添加量を必要最小限に抑えることができる転炉製鋼方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶銑を脱炭精錬し溶鋼とする製鋼用転炉の使命は、最も短時間に目標とする温度及び炭素濃度にできるだけ近い状態で出鋼することにある。
【0003】
そのためには、精錬の際の酸素流量や、主原料、副原料の装入量、装入条件を最適に制御することが必要である。このため、現在ではほとんど転炉で、高度なコンピュータコントロールが行われている。
【0004】
ところで、転炉及びそのコンピュータコントロールの初期〜普及期においては、転炉が脱炭炉であると同時に、脱燐炉としても重要な役割を担っていた。このため、溶銑の燐濃度レベルから目標溶鋼燐濃度レベルまでの脱燐量を確保するために、脱燐精錬に欠くことのできない精錬材である生石灰を、過剰なまでに投入するような制御が行われていた。例えば特開昭50−103411号公報には、スラグ中のCaOが飽和状態となるように、生石灰装入量を定めることを提案している。
【0005】
これに対し、近年、転炉装入前の溶銑を予め脱燐、脱硫フラックスで処理し、低燐、低硫銑を製造する溶銑予備処理法が発達するに及んで、転炉は専ら脱炭炉としてのみ機能するようになってきた。このような操業では、転炉ではほとんど脱燐を行う必要がないので、生石灰を装入しないか、ごく少量の装入にとどめて精錬することが行われている。
【0006】
しかしながら、溶銑予備処理は、転炉精錬に比べて温度効果の大きな精錬プロセスである。従って、脱燐をすべて溶銑予備処理に負担させようとすると、転炉での脱炭精錬時に熱量不足が生じ、スクラップやミルスケール、マンガン鉱石などの安価原料の使用ができないという不利が生じる。そこで、転炉においてもある程度の脱燐精錬機能を残すような、溶銑予備処理と転炉精錬の適切な機能配分が必要となってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶銑予備処理である程度の脱燐を行った溶銑を精錬するにあたり、上記の従来法によって生石灰装入量を決定して精錬を行ったところ、スラグの滓化が十分でなく、転炉からの排滓が十分に行うことができなかった。このため、その後のチャージでは、スラグからの復燐のために脱燐が不十分となるという事態に遭遇した。
【0008】
そこで、目標の脱燐率が達成できたチャージのデータを集めて、生石灰装入量と各種操業条件の関係を重回帰分析し、この回帰式に基づいて現実の生石灰装入量を決定する操業を行った。この方法によって、生石灰の使用量を削減し、スラグの滓化も良好となった。しかしながら、脱燐が不十分なチャージが発生したため、目標成分値を達成するために上記回帰式による決定値に、オペレーターの経験に基づいてある程度の生石灰量を上乗せして精錬しなければならない。このため生石灰の使用量が増大することとなった。
【0009】
従って、上述した従来の技術における、転炉での脱燐不足あるいは、脱燐を十分に確保するために生石灰の過剰使用となることを避け、溶銑予備処理である程度脱燐後の溶銑を精錬するに際しても、目標の溶鋼中燐濃度を達成するに必要かつ十分な最小限の生石灰装入量で精錬可能な転炉製鋼方法を提供することが求められている。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、要求される品質の精錬を達成しつつも、生石灰の添加量を必要最小限に抑えることができる転炉製鋼方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶銑を脱炭精錬して、溶鋼を製造する転炉製鋼方法において、生石灰を除く副原料使用量、溶銑成分、その他の主原料成分、目標出鋼成分、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ量を推定すると共に、生石灰を除く副原料使用量、溶銑成分、その他の主原料成分、目標出鋼成分、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ中(CaO)濃度を推定し、上記推定された出鋼時スラグ量と、出鋼時スラグ中(CaO)濃度に基づいて転炉に装入すべき生石灰量を決定することを特徴とする転炉製鋼方法であり、前記課題を解決したものである。
【0012】
又、上記転炉製鋼方法において、前記出鋼時スラグ量の推定が、目標出鋼炭素濃度、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度を計算する第1段階と、溶銑中燐濃度、目標出鋼燐濃度、溶銑中珪素濃度、溶銑中マンガン濃度、マンガン鉱石添加量、ドロマイト添加量、及び前記第1段階で計算された出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度に基づいて出鋼時スラグ量を計算する第2段階から成り、前記出鋼時スラグ中(CaO)濃度の推定が、溶銑中燐濃度、目標出鋼燐濃度、目標出鋼温度、前記第1段階で計算された出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度、及び炉内の全マンガン量に基づいて出鋼時スラグ中(CaO)濃度を計算するものであり、前記生石灰量の決定が、前記により計算された出鋼時スラグ量、前記により計算された出鋼時スラグ中(CaO)濃度、マンガン鉱石添加量、及びドロマイト添加量から転炉装入生石灰量を計算するものであることにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
ここで、(T.Fe)濃度はトータル鉄濃度であり、様々な化合物で存在する鉄の総合的な濃度である。又、(CaO)濃度は一酸化炭素濃度である。なお、上記の第1段階で計算される出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度は、吹止め時スラグ中(T.Fe)濃度であってもよい。
【0014】
又、前記転炉製鋼方法において、前記目標出鋼燐濃度を、目標成品燐濃度に復燐予測量を足した値とすることで、該目標出鋼燐濃度を具体的に求めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のガイダンスによる焼石灰使用量決定の処理の流れを示すフローチャートの一例である。本実施形態の中心的な考え方は、符号101に示すように推定スラグ量を求める一方で、符号111に示すようにスラグ中の推定(CaO)含有量を求め、これらに基づいて、符号108で示す焼石灰量を求めるというものである。
【0017】
本発明が対象とする転炉は、溶銑を脱炭精錬して溶鋼を製造する転炉であり、上吹き転炉、底吹き転炉、上底吹き転炉のいずれであってもよい。上底吹き転炉には正確には、上吹きランスと炉底の底吹き羽口の双方から酸素を吹き込む酸素上底吹き転炉と、上吹きランスからは酸素を吹き込み、炉底に設けた底吹き羽口またはポーラスプラグ等から窒素やアルゴンを吹き込む、不活性ガス底吹き撹拌型のものがあるが、そのどちらであってもよい。
【0018】
次に転炉内に装入する生石灰とは、転炉の中に装入する生石灰の全量をいい、その形態や装入方法を問うものではない。通常は、炉上バンカからシュートを経て投入する塊状のもの、底吹き羽口や上吹きランスから吹き込まれる粉状または粒状のものが一般的である。それ以外の装入方法(たとえばスクラップシュートからの投入)によるものであってもかまわない。
【0019】
生石灰は通常、石灰石(CaCO3を主成分とする岩石)をか焼(calcination)してCO2を解離させて得られる、CaOを主成分とする物質である。原料石灰石の品位により、不純物としてMgO、SiO2、Al2O3、FeOなどが含まれることがあるが、通常はCaO成分を90%以上含有する。本発明において対象とする生石灰は、特にこの不純物の種類や含有量を限定するものではない。
【0020】
次に、生石灰の装入量決定手順の詳細を説明する。本発明における手順の基本的な考え方は、必要とする脱燐率が得られる最適なスラグ量とスラグ中(CaO)含有量を求め、その値からCaOバランスによって、所用生石灰量を計算するものである。
【0021】
ここで、出鋼時スラグ量は、生石灰を除く副原料使用量、溶銑成分、その他の主原料成分、目標出鋼成分、及び目標出鋼温度に基づいて推定計算する。なお、上記のその他の主原料とは、転炉に装入される溶銑以外の鉄源のことであり、スクラップ、冷銑鉄、還元鉄、合金鉄などが挙げられる。又、出鋼時スラグ中(CaO)濃度は、生石灰を除く副原料使用量、溶銑成分、その他の主原料成分、目標出鋼成分、及び目標出鋼温度に基づいて推定計算する。そして、上記推定された出鋼時スラグ量と、出鋼時スラグ中(CaO)濃度に基づいて、転炉に装入すべき生石灰量を決定する。
【0022】
この際に、前述の従来技術と異なる点は、スラグ中の最適(CaO)含有量を飽和CaO濃度や単なる回帰式による算出値とするのではなく、目的とする脱燐率を与える必要最小限量を熱力学的根拠に基づいて算出するところにある。
【0023】
まず、最適スラグ量の計算過程を説明する。このスラグ量を推定する過程は、図1では符号101である。この過程では、まず第1に、目標出鋼炭素濃度、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度を計算する第1段階がある。第2に、溶銑中燐濃度、目標出鋼燐濃度、溶銑中珪素濃度、溶銑中マンガン濃度、マンガン鉱石添加量、ドロマイト添加量、及び前記第1段階で計算された出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度に基づいて出鋼時スラグ量を計算する第2段階からなる。
【0024】
通常の転炉の操業においては、転炉におけるスラグ量をSV(kg/ton溶銑)、溶銑中燐濃度をPHM(重量%)、出鋼時燐濃度をPTap(重量%)、溶銑中珪素濃度をSiHM(重量%)、スラグ中T.Fe濃度を(T.Fe)(重量%)、溶銑中マンガン濃度をMnHM(重量%)、マンガン鉱石装入量をWM(kg/ton溶銑)、ドロマイト装入量をWD(kg/ton溶銑)、出鋼温度をT(K)とするとき、SVはPHM、PTap、SiHM、(T.Fe)、MnHM、WM、WD、Tと強い相関がある。蓄積された操業データに基づいた重回帰分析によって、たとえば下記のような関係式が得られる。ここにA1〜A8は、実操業データを回帰分析することによって得られる定数である。
【0025】
【0026】
上記(1)式に、これから精錬しようとするチャージについての実績値、及び目標値を代入することによって、最適スラグ量が求まる。つまり、PHM、SiHM、MnHMには、装入する溶銑の燐、珪素、マンガンのそれぞれの濃度の実績値を用いる。又、PTapには出鋼燐濃度の目標値、Tには出鋼温度の目標値、WMにはマンガン鉱石装入量の実績値(または予定値)、WDにはドロマイト装入量の実績値(または予定値)を用いる。ここで、上記(1)式において、(%T.Fe)は、(重量%)表現のスラグ中T.Fe濃度である。
【0027】
(T.Fe)については、熱力学的に出鋼炭素濃度CTap(重量%)及び出鋼温度T(K)と相関があり、(2)式の関係式に回帰できる。ここにB1〜B3は実操業データを回帰分析することによって得られる定数である。(T.Fe)の推定は、図1では符号102である。
【0028】
ln(T.Fe)=B1・ln[CTap]+B2/T+B3 ……(2)
【0029】
上記(2)式を用いて、目標の出鋼炭素濃度CTapと出鋼温度Tからスラグ中(T.Fe)を推定し、これを前記(1)に入れることによってスラグ量SVの予測値が求まる。
【0030】
次に、第3段階として溶銑燐濃度、目標出鋼燐濃度、目標出鋼温度、出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度、及び炉内の全Mn量に基づいて出鋼時スラグ中(CaO)濃度を計算する手順を説明する。
【0031】
一般に転炉における脱燐反応は、下記の(3)式の反応式によって表される。
【0032】
【0033】
一方、転炉内にある程度のマンガン鉱石を装入して脱炭精錬中に、溶鋼中にマンガンを還元回収することで、出鋼時に溶鋼に合金材として添加するフェロマンガン量を低減する操業が一般化している。この場合にはスラグ中の(MnO)、と溶鋼中のFeとの間で次の反応が生じていると考えられ、(3)式と合わせて考えると、脱燐反応に溶鋼中のマンガン濃度が影響することが予想された。
【0034】
Mn+(FeO)=(MnO)+Fe ……(4)
【0035】
そこで本願の発明者は、スラグ−溶鋼間の燐の分配平衡式を下記のように定式化した。ここにC1〜C5は実操業データを回帰分析することによって得られる定数である。
【0036】
【0037】
なお、(P)は出鋼時スラグ中の燐濃度(重量%)であり、溶銑燐濃度PHM、出鋼溶鋼中燐濃度PTapとから物質収支により次のように求まる。又、この燐の分配平衡式の部分は、図1では符号105に相当する。
【0038】
(P)=(PHM−PTap)・1000/SV ……(6)
【0039】
又、前記(5)式のMntotは、転炉内に装入されたマンガン全量が溶鋼に溶解したと仮定した場合の溶鋼中マンガン濃度(重量%)であり、溶銑中マンガン濃度MnHM、及びマンガン鉱石装入量WMから次のように求まる。ここにαはマンガン鉱石中のMn分含有量(重量%)である。又、この装入されるマンガン量Mntotを推定する部分は、図1では符号107に相当する。
【0040】
Mntot=MnHM+α・WM/1000 ……(7)
【0041】
従って、(6)式及び(7)式の値と、(2)式で求めた(T.Fe)、目標の出鋼燐濃度PTapを(5)式に代入することにより、スラグ中の必要CaO濃度である(CaO)が求まる。
【0042】
次に、第4段階として、前記第2段階で計算された出鋼時スラグ量SV、前記第3段階で計算されたスラグ中CaO濃度(CaO)、マンガン鉱石装入量WM、及びドロマイト装入量WDから転炉装入生石灰量を計算する。マンガン鉱石に含有されるCaO分(重量%)をβ、ドロマイトに含有されるCaO分(重量%)をγ、生石灰に含有されるCaO分(重量%)をδとすると、物質収支から装入すべき生石灰量(kg/ton溶銑)WLは次の(8)式にて求まる。この生石灰量WLを求める部分は、図1では符号108に相当する。
【0043】
WL={SV・(CaO)−γ・WD−β・WM}/δ ……(8)
【0044】
ところで、転炉で出鋼された溶鋼は、その後アルゴンバブリングやRH真空脱ガス法などの種々の処理を経て連続鋳造に至り、そこで凝固させて鋳片となる。ところで、転炉出鋼後から連続鋳造までの間に、取鍋内スラグから溶鋼への復燐現象が見られる場合がある。この場合には、目標出鋼燐濃度を、目標成品燐濃度よりも復燐する分だけ低くしておく必要がある。
【0045】
そこで本発明では、出鋼燐濃度として、目標成品燐濃度に復燐予測量を足した値とするのがより好ましい。ここで復燐現象は、上記に述べたように取鍋スラグから溶鋼中に燐が移行する現象であるが、正確にはスラグ中に燐酸化物として固定されていた燐が、出鋼中あるいは出鋼後の添加した合金成分や脱酸材などによって還元されて燐となり、溶鋼中に移行するものである。そこで本発明者は、復燐量が、脱酸材や合金材のうち、強い還元性を有するものの添加量と強い相関があるものと予測し、それらの間の重回帰分析を行った。その結果、復燐量をΔP(重量%)、加炭材添加量をWC(kg/ton溶鋼)、フェロマンガン添加量をWFM(kg/ton溶鋼)、アルミニウム添加量をWA(kg/ton溶鋼)とするとき、下記の関係式が得られた。この復燐量ΔPを求める部分は、図1では符号109に相当する。
【0046】
ΔP=D1・WC+D2・WFM+D3・WA+D4 ……(9)
【0047】
従って、前述の(1)〜(8)式によって生石灰装入量を計算するにあたって、出鋼燐濃度PTapとして、目標とするタンディッシュ代表燐濃度に(9)式で求められる復燐量予測値を減じた値を採用すると、成分適中率が高まるのである。図1では、出鋼燐濃度PTapは符号110である。
【0048】
なお、以上に説明した実施形態の考え方を従来例と比較すると、図2のようになる。図2において、本実施形態は「今回」として示され、従来例は「現行」として示される。図2の「ガイダンス式の構成」で示される「焼石灰ガイダンス量」とは、前述の(9)式で求められるものとほぼ同じであると考えることができる。従来例では、「焼石灰ガイダンス量」は、出鋼状況に応じて求められていると考えることができる。一方、本実施形態では「焼石灰ガイダンス量」を、転炉からのスラグ量に基づいて求めるようにしている。
【0049】
【実施例】
次に本発明の好適な実施例について説明する。
【0050】
炉容量230tonの底吹き転炉によって、低炭素鋼(目標出鋼炭素0.04重量%、目標出鋼燐濃度≦0.018重量%、目標出鋼温度1610℃)を溶製するにあたって、本発明の方法を適用して精錬を行った。なお溶銑としては、溶銑予備処理によって燐濃度を0.100未満に低減した溶銑(軽予備処理溶銑)と、溶銑予備処理を経ていない溶銑の2種を使用した。ここで、以下に述べるそれぞれの数式において、ダッシュ記号「’」が付された式番号では、前述した実施形態の数式で同番号のものに対応することが示される。
【0051】
まず、この転炉における過去の操業データを解析し、前述の出鋼スラグ量SVの回帰式、出鋼スラグ中の(T.Fe)含有量と出鋼炭素濃度、出鋼温度の関係式、スラグ−溶鋼間の燐の分配平衡式として下記の式を得た。
【0052】
【0053】
又、使用したマンガン鉱石、ドロマイト、生石灰の組成からMntotの式、生石灰装入量の式として下記の式を得た。
【0054】
Mntot=MnHM+33.5・WM/100000 ……(7)’
WL={SV・(CaO)−34.5・WD−15.7・WM}/94.8……(8)’
【0055】
更に、脱酸材や合金材の添加量と復燐量の関係を回帰分析し次の式を得た。
【0056】
ΔP=0.37・WC+0.31・WFM+0.81・WA+0.93……(9)’
【0057】
このようにして求めた各式を用いて、前述の第1段階〜第4段階による生石灰装入量決定を、2ヶ月間(70チャージ)実施した。その結果を図3、及び図4に示す。
【0058】
これらの図において、比較のために、生石灰装入量を、出鋼温度、出鋼炭素濃度、溶銑中燐濃度、目標燐濃度、溶銑中珪素濃度、溶銑中マンガン濃度、出鋼マンガン濃度による回帰式によって仮決定し、これをオペレーターが経験値を用いて補正して決定した、従来例の精錬結果(150チャージ)を合わせて示した。
【0059】
図3において、横軸は溶銑中燐濃度であり、縦軸は消費した焼石灰の量を示す焼石灰原単位である。又、図4において、横軸は成品燐濃度であり、縦軸はそれぞれの成品燐濃度におけるチャージ数比(各度数の全体度数に対する比率)である。従って、図4では、成品の燐濃度の分布が判る。
【0060】
ここで、従来例は、図3では□印で示され、図4では白抜きの棒グラフで示される。一方、本実施例によるものは、図3では●印で示され、図4では黒塗りの棒グラフで示される。なお、これら図において、従来例は1997年6月から10月に、本実施例は1997年12月から1998年1月にデータを収集している。
【0061】
まず、図3において、同一の精錬後の燐濃度であれば、本発明が適用された実施例により、転炉における生石灰の原単位が、従来例に比較して平均で約3.5kg/ton低減できている。
【0062】
又、図4の結果から、本実施例によって精錬した場合、成品燐濃度は、従来例に比較して、その平均値が目標値上限に近いが、そのばらつきが小さい。このため、全体として目標燐濃度を達成できていることが判る。このことからも、本発明が適用された実施例では、転炉で過剰な脱燐をするために、過剰の生石灰が装入されてしまうことがないことが判る。
【0063】
又、上記の結果は軽予備処理溶銑、予備処理を経ていない溶銑のいずれでも変わりはなかった。
【0064】
以上、詳述したように、本願発明によれば、軽予備処理溶銑、予備処理を経ていない溶銑のいずれを使用する場合であっても良好な脱燐能が得られと同時に生石灰の使用量を低減することが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
要求される品質の精錬を達成しつつも、生石灰の添加量を必要最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上記実施形態のガイダンスによる焼石灰使用量決定の処理の流れを示すフローチャート
【図2】従来例及び本発明が適用される実施形態のガイダンス作成思想及びガイダンス式の構成を示す線図
【図3】従来例及び前記実施形態における溶銑中燐濃度に対する消費した焼石灰の量を示すグラフ
【図4】従来例及び前記実施形態における成品の燐濃度の分布を示すグラフ
【符号の説明】
101…推定スラグ量の算出
102…推定(T.Fe)の算出
105…燐分配平衡式
106…燐分配比
107…装入マンガン量の算出
108…焼石灰量の算出
109…推定復燐量の算出
110…出鋼燐量の算出
Claims (3)
- 溶銑を脱炭精錬して、溶鋼を製造する転炉製鋼方法において、
生石灰を除く副原料使用量、溶銑成分、その他の主原料成分、目標出鋼成分、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ量を推定すると共に、
生石灰を除く副原料使用量、溶銑成分、その他の主原料成分、目標出鋼成分、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ中(CaO)濃度を推定し、
上記推定された出鋼時スラグ量と、出鋼時スラグ中(CaO)濃度に基づいて転炉に装入すべき生石灰量を決定することを特徴とする転炉製鋼方法。 - 請求項1に記載の転炉製鋼方法において、
前記出鋼時スラグ量の推定が、目標出鋼炭素濃度、及び目標出鋼温度に基づいて出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度を計算する第1段階と、
溶銑中燐濃度、目標出鋼燐濃度、溶銑中珪素濃度、溶銑中マンガン濃度、マンガン鉱石添加量、ドロマイト添加量、及び前記第1段階で計算された出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度に基づいて出鋼時スラグ量を計算する第2段階から成り、前記出鋼時スラグ中(CaO)濃度の推定が、溶銑中燐濃度、目標出鋼燐濃度、目標出鋼温度、前記第1段階で計算された出鋼時スラグ中(T.Fe)濃度、及び炉内の全マンガン量に基づいて出鋼時スラグ中(CaO)濃度を計算するものであり、
前記生石灰量の決定が、前記により計算された出鋼時スラグ量、前記により計算された出鋼時スラグ中(CaO)濃度、マンガン鉱石添加量、及びドロマイト添加量から転炉装入生石灰量を計算するものであることを特徴とする転炉製鋼方法。 - 請求項2に記載の転炉製鋼方法において、
前記目標出鋼燐濃度を、目標成品燐濃度に復燐予測量を足した値とすることを特徴とする転炉製鋼方法。
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