JP3565382B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、特に氷路面上での制動、駆動、コーナリング性等の走行性能(以下単に「氷上性能」と称する場合がある)を著しく向上した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
氷結路を走行する場合には、従来、タイヤにスパイクを打込んだスパイクタイヤが用いられてきた。しかしながら、スパイクタイヤは道路を削り粉塵公害を引き起こすため、今日では粉塵公害を引き起こさずに氷結路を走行できるようにスタッドレスタイヤが普及している。かかるスタッドレスタイヤにおいては、氷結路を安全に走行することができるようにするために、氷上摩擦力を高める必要がある。このため、タイヤトレッドに発泡ゴムや短繊維を用いたものが、例えば、特開平4−38207号公報、特開平4−176707号公報、特開平4−176708公報等で報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、氷結路面走行時にタイヤ踏面から湧き出てきて形成された水膜を効率的に排水して氷上摩擦力を高める効果(以下単に「除水効果」と称する)は、従来の発泡ゴムと短繊維との組み合わせ技術においては、なお十分とは言えないのが現状であった。
【0004】
そこで本発明の目的は、従来技術に比し除水効果をより一層高め、氷上性能を大幅に向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来の課題を解決すべく鋭意検討した結果、タイヤトレッドを発泡ゴム層より構成し、該発泡ゴム層に短繊維を配合し、発泡特性と短繊維特性を所定の条件に設定することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、タイヤトレッドの少なくとも路面と実質的に接する面に発泡ゴム層を設けた空気入りタイヤにおいて、
前記発泡ゴム層が平均直径15〜80μmの独立気泡と10〜25%の発泡率とを有し、かつゴム成分100重量部に対し、短繊維1〜15重量部を含有し、
前記短繊維が0.5〜5.0mmの長さと、15〜80μmの平均直径とを有し、170℃における熱収縮率が8%以下であることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、前記独立気泡の平均直径と、前記短繊維の平均直径とが実質的に等しいことが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記独立気泡の平均直径が40〜60μmで、かつ前記短繊維の平均直径が40〜60μmであることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明においては、前記短繊維がタイヤ周方向に実質的に配向していることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りタイヤにおける発泡トレッドゴムの独立気泡の平均気泡径は15〜80μm、好ましくは40〜60μmである。また、該発泡トレッドゴムに配合される短繊維の平均直径も15〜80μm、好ましくは40〜60μmである。さらに好ましくは、前記独立気泡の平均直径と、前記短繊維の平均直径とを実質的に等しくする。この理由を図1の(イ)〜(ハ)に基づき以下に具体的に説明する。
【0011】
図1の(イ)に示すように、トレッドゴム1に配合された短繊維が走行後に脱落して形成された溝2の幅に比し、独立気泡3の直径が小さすぎると、独立気泡が溝同士を連通させることができず、除水のための流路形成が不十分であり、氷上性能を充分に高めることはできない。
【0012】
また、図1の(ロ)に示すように、短繊維脱落により形成された溝の幅に比し、独立気泡の直径が大きすぎると、除水効果は充分であるが、有効接地面積が低下し、やはり氷上性能を高めることができなくなる。
【0013】
これに対し、図1の(ハ)に示す本発明のように、短繊維脱落により形成された溝の幅と、独立気泡の直径とがほぼ等しければ、除水のための流路のネットワークが良好に形成され、除水効果の増大と有効接地面積の確保とを両立することができる。
【0014】
ここで、独立気泡の平均気泡径または短繊維の平均直径が15μm未満では除水効果が十分でなく、一方80μmを超えると耐摩耗性が低下したり、発泡ゴムの歪復元力が低下し、耐ヘタリ性が悪化する。
【0015】
本発明に用いられる発泡ゴム層の作製において、発泡剤として、例えば、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよび窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トリエンスルホニルセミカルバジド、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられ、加硫温度に応じてこれらを適宜選択して使用する。また、発泡助剤としては尿素等が挙げられる。
【0016】
次に、本発明において用いられる短繊維は、その太さは上述の通りであり、また長さは0.5〜5.0mm、好ましくは2.0〜5.0mmの範囲内である。0.5mm未満であると除水の為の流路の形成が不十分であり、一方5mmより長いとゴムマトリックスが硬くなり過ぎると共に作業性が著しく劣ることになる。
【0017】
また、一般にタイヤ加硫温度に相当する170℃での熱収縮率は8%以下、好ましくは1〜4%である。8%より大きいと熱収縮により、混練り、押出し、加硫の各工程を経る毎にカールが進行してしまい、除水の為の流路の形成が不十分となる。一方、ゴムマトリックスを硬くし過ぎない為には、好ましくは1%以上の熱収縮率があった方がよい。また、製造面からは、より一層の熱覆歴を与えない為に混練工程での短繊維の投入はプロ練り時がよく、ノンプロ練り時に投入する場合には、数工程混合した後で、ムーニー粘度が低い状態で投入することが好ましい。
【0018】
上述の短繊維の配合量は1〜15重量部、好ましくは3〜10重量部である。1重量部未満では流路の形成が不十分であり、一方15重量部を超えると耐摩耗性の低下が著しいと共に、ゴムマトリックスが硬くなり過ぎる。
【0019】
本発明に用いられる短繊維は、上述のように170℃での熱収縮率が8%以下であれば特に制限されず、有機合成繊維、再生繊維および天然繊維から選択することができる。有機合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アラミド等、再生繊維としてはレーヨン等、天然繊維としては綿、羊毛等が夫々挙げられる。これらのうち、熱収縮を制御しやすいナイロン繊維およびポリエステル繊維(PET)が好ましい。
【0020】
また、本発明においては、かかる短繊維がタイヤ周方向に実質的に配向してなる。タイヤ周方向に実質的に配向する短繊維が走行後脱落することにより、独立気泡とともに氷結路面走行時にタイヤ踏面の水膜を排水する流路を形成し、これにより除水効果が高められ、氷上性能が従来の発泡トレッドに比し大幅に向上することになる。かかる短繊維は、トレッドゴムの押出時にタイヤ周方向に配向する。
【0021】
発泡ゴム層のマトリックスゴムのゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)や、その他のゴムとのブレンドを用いることができ、特に制限されるべきものではない。
【0022】
また、本発明の発泡ゴム層には、上述した配合成分の他、カーボンブラック等の充填剤、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤、加硫剤、シランカップリング剤、分散剤、ステアリン酸、亜鉛華、軟化剤、例えば、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系可塑剤、液状ポリマー(液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム)等を適宜配合することができる。
【0023】
また、本発明の空気入りタイヤにおいては、発泡ゴム層がトレッド部の外側(上層)にあり、内側には他のゴム層を持つ、いわゆるキャップ・ベース構造としてもよい。
【0024】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例により、具体的に説明する。
従来例、実施例1〜3、比較例
下記の表1に示す配合処方に従い、各種供試タイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。
得られた各ゴム組成物を用いて供試タイヤを作製した。発泡ゴムの性質及びタイヤ性能に関する各試験方法を以下に示す。
【0025】
(イ)平均発泡径
平均気泡径は、試験タイヤのトレッドゴムからブロック状の試料を切出し、その試料断面の写真を倍率100〜400倍の光学顕微鏡で撮影し、200個以上の独立気泡の気泡直径を測定し、算術平均値として表した。
【0026】
(ロ)短繊維の形状
短繊維を20〜400倍の光学顕微鏡で撮影し、100個以上の長さ、径を測定し、夫々算術平均値として表した。
【0027】
(ハ)発泡率VS
平均発泡径測定のときと同様のブロック状の試料の密度ρ1 (g/m3 )を測定し、一方、無発泡ゴム(固相ゴム)の密度ρ0 を測定し、次式より求めた。
VS =(ρ0 /ρ1 −1)×100(%)
【0028】
(ニ)熱収縮率
JIS L 1073に記載の乾熱収縮率A法(フィラメント収縮率)に準じて測定した。
【0029】
(ホ)氷上性能
11R22.5サイズの各試験タイヤをターンテーブル上の氷結路面に押し付け、ターンテーブルの停止距離を測定した。このとき、速度20km/時、荷重2725kg、路面温度−2℃とした。氷上性能は従来例の停止距離を100として指数表示した。数値が大きい程結果が良好である。
【0030】
【表1】
1)ジニトロソペンタメチレンテトラミン
2)アゾジカルボンアミド
【0031】
表1から明らかなように、実施例1では従来例に比し氷上性能が大幅に向上している。
【0032】
一方、発泡径が20μmと小さい参考例では、氷上性能の改良効果があまり観られず、逆に、発泡径が100μmと大きくとも氷上性能の向上は不十分である。さらに、実施例2のように発泡径と短繊維直径とが等しくとも、径が小さすぎると氷上性能の向上効果は小さい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明の空気入りタイヤは、上記構成としたことで従来の発泡トレッドゴムに短繊維を配合したタイヤに比し、氷上性能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は短繊維脱落により形成された溝の幅に比し、独立気泡の直径が小さすぎるトレッド表面の拡大図である。
(ロ)は短繊維脱落により形成された溝の幅に比し、独立気泡の直径が大きすぎるトレッド表面の拡大図である。
(ハ)は短繊維脱落により形成された溝の幅と、独立気泡の直径とがほぼ等しいトレッド表面の拡大図である。
【符号の説明】
1 トレッドゴム
2 溝
3 独立気泡
Claims (2)
- タイヤトレッドの少なくとも路面と実質的に接する面に発泡ゴム層を設けた空気入りタイヤにおいて、
前記発泡ゴム層が平均直径15〜80μmの独立気泡と10〜25%の発泡率とを有し、かつゴム成分100重量部に対し、短繊維1〜15重量部を含有し、
前記短繊維が0.5〜5.0mmの長さと、15〜80μmの平均直径とを有し、170℃における熱収縮率が8%以下であり、かつタイヤ周方向に実質的に配向しており、
前記独立気泡の平均直径と、前記短繊維の平均直径とが実質的に等しいことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記独立気泡の平均直径が40〜60μmで、かつ前記短繊維の平均直径が40〜60μmである請求項1記載の空気入りタイヤ。
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