JP3562760B2 - ばっ気・発酵分解による排水処理方法と排水処理施設 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、し尿及び雑排水を主とする生活排水をはじめ有機物を含む各種排水を生物的に処理する、通称「活性汚泥法」と呼ばれる排水の浄化処理方法とその処理施設に係るものであって、特に中小規模を対象とした農業集落排水に適した排水処理方法とその処理施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生活排水など有機物を含む各種排水を生物的に処理する方法として前記活性汚泥法は周知である。
この活性汚泥法は、好気性の微生物と汚水とをばっ気槽内で混合接触させ汚水のBOD成分を溶存酸素の存在下で酸化分解し、その混合液を沈殿槽(沈降分離槽)において固液分離させ、上澄水と沈降汚泥に分離し上澄水は処理水として河川に放流し、フロック化して沈降した汚泥(沈降汚泥)はその一部を前記ばっ気分解槽へ返送し、再度汚水のBOD除去に利用する操作の繰り返しにより被処理排水の浄化を行うものである。
【0003】
今日、この処理法は標準活性汚泥法として比較的大規模な都市下水の終末処理施設等に多く採用されていると共に、長時間滞留型として、中小規模の汚水処理施設での採用も目立っている。しかも処理施設に対する被処理排水の流入量や負荷の変動に対する運転上のノウハウ、維持管理上の経験知識及び構造上の対応等もほぼ集約され、各種規模の排水処理法として広く普及し、評価を受けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この活性汚泥法をとる排水処理施設においては、どのような方式を採用するにしろ、ばっ気分解処理後の混合液を固液分離させる沈降分離槽(沈殿槽)において沈降(沈殿)分離された汚泥(沈降汚泥)が(一部返送汚泥として利用されるものを除き大部分が)余剰汚泥として蓄積される。
【0005】
そこで現在では、その蓄積された余剰汚泥を沈降分離槽(沈殿槽)より引き抜き、農村型においては別途集合型汚泥処理施設等へ搬出する方法が最も多く採用され、都市型においては最初沈殿池汚泥と共に焼却処分とするか、さらに焼却灰を建築資材に再生するとか、事例は少ないが脱水処理して発酵分解させ堆肥(コンポスト)化するなどの再利用法なども提案され実施されている。
【0006】
しかし、いずれの試みも、本来の汚水処理施設の系外に、(例えば建築資材や堆肥化するための)専用の施設を設置して自然還元等を行うようにしている。
その結果、例えば汚泥を堆肥化する場合、排水施設の系外に専用のコンポスト化施設の建設が必要となりその建設費や、発生した汚泥をその発生した施設から再生施設(ほとんどが他の場所に設置されている)へ搬入しなければならずその経費など、排水処理全体に関連する各種経費のコストアップを招かざるを得ない要因とさえなっている場合が多い。特にこの傾向は中小規模、例えば農業集落排水の処理施設建設に関連して大きく(汚泥については他の集合型汚泥処理施設等への搬出がほとんどのケースを占めるため)、農業集落排水処理施設普及の、今後のネックともなりかねない問題を含んでいる。
【0007】
この発明は、このような問題を解消した排水処理施設の建設を目的とし、処理の過程において、処理方法に応じてさまざまな態様で残留する有機性汚泥の堆肥土化を、汚水の浄水化と一体的並立的に同一排水処理系内において行うことを可能とした、排水処理方法とその排水処理施設を提供するものであり、特に地域性が強く、また中小規模を対象とする農業集落排水の、汚水の浄水化と有機性汚泥の堆肥土化を一体・並立化させることは、立地的及び規模的条件を最大限に活用・配慮することにつながる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
まず処理方法の特徴とするところは、被処理排水を主として浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と、同じく沈降性有機物を含む泥水とに区分(分離)することにある。そして、この区分した浮遊性及び溶解性有機物(を含む汚水)をばっ気分解処理したのち固液分離し、上澄水と残留沈降性有機物とに再分離のうえ上澄水は放流するようにした。
他方、当初の沈降性有機物を含む区分泥水は、ばっ気分解処理後の残留沈降性有機物を含む分離泥水と共に脱水処理ののち、発酵分解処理し堆肥土化することとした。
すなわち、被処理排水中に含まれる全量有機物処理の対応策として、ばっ気分解処理と発酵分解処理という二つの分解処理方法を並立的に採用することにより、主として浮遊性及び溶解性の有機物を含む汚水と同じく沈降性有機物及び残留沈降性有機物を含む区分及び分離泥水の、一体的かつ同水準的な分解処理が可能となり、従来の排水処理方法が抱えていた別分野としての汚泥処理の問題が、排水処理と同一系内の中で浄水化と同次元的に解決できることとした。
【0009】
次に上記処理方法を実施する装置として、被処理排水を浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と沈降性有機物を含む泥水とに区分(分離)する手段として、まず沈降区分槽を設置した。そしてこの沈降区分槽にそれぞれ汚水処理系のフローと泥水処理系のフローとの二系統を接続した。ついで汚水処理系には、ばっ気分解槽と固液分離する沈降分離槽(ないし沈殿槽)からなるばっ気分解処理設備を組み込み、他方、泥水処理系統のフローには、脱水装置と発酵分解槽からなる発酵分解処理設備を組み込み、双方で被処理排水に含まれる全量有機物の分解処理を行わせる施設構成とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る排水処理方法の基本的な処理フローを示すものである。
【0011】
【実施例】
図2は、本発明による排水処理方法を適用した場合の農業集落排水の処理施設の具体的な処理フローを示すが、処理対象人数は約500〜5,000人規模のいわゆる中小規模の処理施設である。
まず、図2において前処理装置1は、流入してきた被処理排水のいわゆる前処理装置で、従来の農業集落排水処理施設に適用されているものと同様な機能を持つ装置である。ばっ気調整槽2は、標準活性汚泥法における予備エアレーションタンクと長時間滞留型の流量調整槽の機能を両備したものである。これは、後述する沈降区分槽3における汚水と泥水との沈降分離を、標準活性汚泥法における最初沈殿池での汚泥の沈殿分離と同様に、効率的に促進させる予備エアレーションと中小規模の排水処理施設が附随的な問題として抱えている被処理排水量の変動を主原因とする、各種負荷変動に対応させるための流量調整機能を両立的要件とするためのものであり、ばっ気調整槽の存在は、沈降区分槽の有効的活用にとって、臨場的に不可欠といえる。なお、実施例ではばっ気調整槽2の容量は農業集落排水施設設計指針による流量調整槽と同等の6時間以上とした。ただし実質的なばっ気調整槽2のばっ気時間は、被処理排水のBOD量や沈降効率等を配慮し決定することが好ましい。
【0012】
次に沈降区分槽3は、本発明方法を実施する上で主要な役割機能を果たすもので、被処理排水を浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と沈降性有機物を含む泥水とに区分(分離)し、以後その汚水と泥水を汚水処理系4及び泥水処理系5の系統に分けてフローさせるようにした。
なお、この沈降区分槽3は、表面的には従来の最初沈殿槽の役割と共通した役割を備えたものであるが、本質的には被処理排水を汚水と泥水とに区分(分離)することによって、以後のばっ気分解発酵分解による処理を同水準的並立的に行わしめるための役割をもたせたものである。実施例でこの沈降区分槽3の容量は、下水道施設計画設計指針と解説における標準活性汚泥法による最初沈殿池に係わる設計指針に基づいて設計した。
【0013】
次に、汚水処理系4と泥水処理系5の二つの処理系4、5には、図2で示すようなばっ気分解処理設備と発酵分解処理設備を組み込んだ。
まず汚水処理系4には、浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水のばっ気分解槽41、沈降分離槽42、滅菌槽43からなるばっ気分解処理設備44を組み込んだ。なお、ばっ気分解槽41の容量は、前段の沈降区分槽3における沈降効率や被処理排水中のBOD量とMLSS濃度やDO等の関連及び被処理排水の負荷変動等を配慮して設定することが好ましい。実施例では、農業集落排水施設設計指針・及び下水道施設計画・設計指針と解説における標準活性汚泥法等の設計指針を参考とし、さらに安全性を加味し以下の計算式により容量を決定することとした。
容量=V 対象人数=N とする
V=(0.12N+30)m3
【0014】
沈降分離槽42は、前段のばっ気分解槽41において酸化分解されそれ以上分解不可能となった残留有機物を含む汚水を、上澄水と残留沈降性有機物からなる沈降汚泥水に分離させる役割をもたせたものである。そして分離された上澄水は滅菌槽43を介して処理水として河川に放流し、沈降汚泥水は分離泥水として次に説明する泥水処理系5の混合貯留槽51に送り込み、必要に応じ一部は前段のばっ気分解槽41及びばっ気調整槽2に返送するように構成した。
なおこの実施例では、沈降分離槽42の容量を農業集落排水施設設計指針の沈殿槽と同じく3時間以上に設計した。
【0015】
泥水処理系5の構成は、図2の左側に示すように混合貯留槽51、脱水装置52、発酵分解槽53、発酵調整槽54からなる発酵分解処理設備55を組み込んだ構成とした。
まず、混合貯留槽51は、前記沈降区分槽3において区分された泥水を前記沈降分離槽42において分離された沈降汚泥水(正確にいうと未分解の残留沈降性有機物を含む分離泥水)と混合し、貯留させておくためのものであると同時に、混合泥水を次段の脱水装置52に定量的に移送するための補助的な機能をもたせたものである。
【0016】
脱水装置52は、混合貯留槽51から定量移送されてきた泥水(含水率98〜99%)を発酵分解に適した含水率85%前後以下に脱水処理することにより、発酵分解槽53における発酵効率を向上させるための装置である。なお、脱水処理による離脱水は図2で示すように前段のばっ気調整槽2に返送するようにした。
発酵分解槽53は、いうまでもなく脱水調整した汚泥を発酵分解させて堆肥土化させるためのものである。発酵分解に際しては、発酵熱が生じるが、別途酸素を供給し、効果的な有機物の分解が促進されるよう配慮してある。
【0017】
発酵分解に要する日数は文献により様々であるが、各種の理論+実験データを参考し、この実施例では11日以上とし、好ましい堆肥土化が得られた。
なお、次の発酵調整槽54であるが、これは概ね発酵分解の終了した成分の微調整発酵を促し、良質な堆肥土を得るためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上説明したことから理解されるように、被処理排水を主に浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と同じく沈降性有機物を含む泥水に区分し、双方が汚水処理系と泥水処理系において各々ばっ気分解処理と発酵分解処理を受けることにより、浄水化と堆肥土化が並立的かつ一体的にできるようにしたもので、例えば従来の処理施設においてみられるような、コンポストないし建築資材等の再生に専用の別途施設の建設が不要となる。
従って、農業集落排水の処理施設のようなもともと地域的一体感の強い中小規模の処理施設に最も適しており、しかも堆肥土化すれば多くの場合供給地が近接し好都合である。
さらに処理方法の特徴として、従来の活性汚泥法による各種処理方式のように発生する余剰汚泥等有機性汚泥の処理を別途汚泥処理として計画する必要性を有さず、全量の有機性汚泥を泥水中含有物として同一排水処理系内としての発酵分解処理設備に送り込むため、搬送等の手間が相対的に省力化される。
要するに本発明に係わる処理方法及び処理施設は、従来の処理方法及び処理施設が被処理排水中の有機物の処理をばっ気分解と沈殿分離とに求めているのとは異なり、被処理排水中に含まれる全量有機物をばっ気分解と発酵分解により一体的並立的に処理することを要件としており、従って、被処理排水の浄水化と堆肥土化を経常的必然的目的とすることが可能となり、従来法のごとく、沈降(沈殿)区分(分離)した沈降性の有機物(汚泥)を別途汚泥処理の対象として系外(ほとんどが排水処理施設場外)へ排出する必要性を有していないため、きわめて完結型であると同時に、この上なく環境保全型の排水処理施設として効用を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な処理系統図を示す。
【図2】本発明方法を農業集落排水に適合した場合の処理フローを示す。
【符号の説明】
1 ‥‥‥前処理装置
2 ‥‥‥ばっ気調整槽
3 ‥‥‥沈降区分槽
4 ‥‥‥汚水処理系
5 ‥‥‥泥水処理系
41‥‥‥ばっ気分解槽
42‥‥‥沈降分離槽
43‥‥‥滅菌槽
44‥‥‥ばっ気分解処理設備
51‥‥‥混合貯留槽
52‥‥‥脱水装置
53‥‥‥発酵分解槽
54‥‥‥発酵調整槽
55‥‥‥発酵分解処理設備
【発明の属する技術分野】
この発明は、し尿及び雑排水を主とする生活排水をはじめ有機物を含む各種排水を生物的に処理する、通称「活性汚泥法」と呼ばれる排水の浄化処理方法とその処理施設に係るものであって、特に中小規模を対象とした農業集落排水に適した排水処理方法とその処理施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生活排水など有機物を含む各種排水を生物的に処理する方法として前記活性汚泥法は周知である。
この活性汚泥法は、好気性の微生物と汚水とをばっ気槽内で混合接触させ汚水のBOD成分を溶存酸素の存在下で酸化分解し、その混合液を沈殿槽(沈降分離槽)において固液分離させ、上澄水と沈降汚泥に分離し上澄水は処理水として河川に放流し、フロック化して沈降した汚泥(沈降汚泥)はその一部を前記ばっ気分解槽へ返送し、再度汚水のBOD除去に利用する操作の繰り返しにより被処理排水の浄化を行うものである。
【0003】
今日、この処理法は標準活性汚泥法として比較的大規模な都市下水の終末処理施設等に多く採用されていると共に、長時間滞留型として、中小規模の汚水処理施設での採用も目立っている。しかも処理施設に対する被処理排水の流入量や負荷の変動に対する運転上のノウハウ、維持管理上の経験知識及び構造上の対応等もほぼ集約され、各種規模の排水処理法として広く普及し、評価を受けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この活性汚泥法をとる排水処理施設においては、どのような方式を採用するにしろ、ばっ気分解処理後の混合液を固液分離させる沈降分離槽(沈殿槽)において沈降(沈殿)分離された汚泥(沈降汚泥)が(一部返送汚泥として利用されるものを除き大部分が)余剰汚泥として蓄積される。
【0005】
そこで現在では、その蓄積された余剰汚泥を沈降分離槽(沈殿槽)より引き抜き、農村型においては別途集合型汚泥処理施設等へ搬出する方法が最も多く採用され、都市型においては最初沈殿池汚泥と共に焼却処分とするか、さらに焼却灰を建築資材に再生するとか、事例は少ないが脱水処理して発酵分解させ堆肥(コンポスト)化するなどの再利用法なども提案され実施されている。
【0006】
しかし、いずれの試みも、本来の汚水処理施設の系外に、(例えば建築資材や堆肥化するための)専用の施設を設置して自然還元等を行うようにしている。
その結果、例えば汚泥を堆肥化する場合、排水施設の系外に専用のコンポスト化施設の建設が必要となりその建設費や、発生した汚泥をその発生した施設から再生施設(ほとんどが他の場所に設置されている)へ搬入しなければならずその経費など、排水処理全体に関連する各種経費のコストアップを招かざるを得ない要因とさえなっている場合が多い。特にこの傾向は中小規模、例えば農業集落排水の処理施設建設に関連して大きく(汚泥については他の集合型汚泥処理施設等への搬出がほとんどのケースを占めるため)、農業集落排水処理施設普及の、今後のネックともなりかねない問題を含んでいる。
【0007】
この発明は、このような問題を解消した排水処理施設の建設を目的とし、処理の過程において、処理方法に応じてさまざまな態様で残留する有機性汚泥の堆肥土化を、汚水の浄水化と一体的並立的に同一排水処理系内において行うことを可能とした、排水処理方法とその排水処理施設を提供するものであり、特に地域性が強く、また中小規模を対象とする農業集落排水の、汚水の浄水化と有機性汚泥の堆肥土化を一体・並立化させることは、立地的及び規模的条件を最大限に活用・配慮することにつながる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
まず処理方法の特徴とするところは、被処理排水を主として浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と、同じく沈降性有機物を含む泥水とに区分(分離)することにある。そして、この区分した浮遊性及び溶解性有機物(を含む汚水)をばっ気分解処理したのち固液分離し、上澄水と残留沈降性有機物とに再分離のうえ上澄水は放流するようにした。
他方、当初の沈降性有機物を含む区分泥水は、ばっ気分解処理後の残留沈降性有機物を含む分離泥水と共に脱水処理ののち、発酵分解処理し堆肥土化することとした。
すなわち、被処理排水中に含まれる全量有機物処理の対応策として、ばっ気分解処理と発酵分解処理という二つの分解処理方法を並立的に採用することにより、主として浮遊性及び溶解性の有機物を含む汚水と同じく沈降性有機物及び残留沈降性有機物を含む区分及び分離泥水の、一体的かつ同水準的な分解処理が可能となり、従来の排水処理方法が抱えていた別分野としての汚泥処理の問題が、排水処理と同一系内の中で浄水化と同次元的に解決できることとした。
【0009】
次に上記処理方法を実施する装置として、被処理排水を浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と沈降性有機物を含む泥水とに区分(分離)する手段として、まず沈降区分槽を設置した。そしてこの沈降区分槽にそれぞれ汚水処理系のフローと泥水処理系のフローとの二系統を接続した。ついで汚水処理系には、ばっ気分解槽と固液分離する沈降分離槽(ないし沈殿槽)からなるばっ気分解処理設備を組み込み、他方、泥水処理系統のフローには、脱水装置と発酵分解槽からなる発酵分解処理設備を組み込み、双方で被処理排水に含まれる全量有機物の分解処理を行わせる施設構成とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る排水処理方法の基本的な処理フローを示すものである。
【0011】
【実施例】
図2は、本発明による排水処理方法を適用した場合の農業集落排水の処理施設の具体的な処理フローを示すが、処理対象人数は約500〜5,000人規模のいわゆる中小規模の処理施設である。
まず、図2において前処理装置1は、流入してきた被処理排水のいわゆる前処理装置で、従来の農業集落排水処理施設に適用されているものと同様な機能を持つ装置である。ばっ気調整槽2は、標準活性汚泥法における予備エアレーションタンクと長時間滞留型の流量調整槽の機能を両備したものである。これは、後述する沈降区分槽3における汚水と泥水との沈降分離を、標準活性汚泥法における最初沈殿池での汚泥の沈殿分離と同様に、効率的に促進させる予備エアレーションと中小規模の排水処理施設が附随的な問題として抱えている被処理排水量の変動を主原因とする、各種負荷変動に対応させるための流量調整機能を両立的要件とするためのものであり、ばっ気調整槽の存在は、沈降区分槽の有効的活用にとって、臨場的に不可欠といえる。なお、実施例ではばっ気調整槽2の容量は農業集落排水施設設計指針による流量調整槽と同等の6時間以上とした。ただし実質的なばっ気調整槽2のばっ気時間は、被処理排水のBOD量や沈降効率等を配慮し決定することが好ましい。
【0012】
次に沈降区分槽3は、本発明方法を実施する上で主要な役割機能を果たすもので、被処理排水を浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と沈降性有機物を含む泥水とに区分(分離)し、以後その汚水と泥水を汚水処理系4及び泥水処理系5の系統に分けてフローさせるようにした。
なお、この沈降区分槽3は、表面的には従来の最初沈殿槽の役割と共通した役割を備えたものであるが、本質的には被処理排水を汚水と泥水とに区分(分離)することによって、以後のばっ気分解発酵分解による処理を同水準的並立的に行わしめるための役割をもたせたものである。実施例でこの沈降区分槽3の容量は、下水道施設計画設計指針と解説における標準活性汚泥法による最初沈殿池に係わる設計指針に基づいて設計した。
【0013】
次に、汚水処理系4と泥水処理系5の二つの処理系4、5には、図2で示すようなばっ気分解処理設備と発酵分解処理設備を組み込んだ。
まず汚水処理系4には、浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水のばっ気分解槽41、沈降分離槽42、滅菌槽43からなるばっ気分解処理設備44を組み込んだ。なお、ばっ気分解槽41の容量は、前段の沈降区分槽3における沈降効率や被処理排水中のBOD量とMLSS濃度やDO等の関連及び被処理排水の負荷変動等を配慮して設定することが好ましい。実施例では、農業集落排水施設設計指針・及び下水道施設計画・設計指針と解説における標準活性汚泥法等の設計指針を参考とし、さらに安全性を加味し以下の計算式により容量を決定することとした。
容量=V 対象人数=N とする
V=(0.12N+30)m3
【0014】
沈降分離槽42は、前段のばっ気分解槽41において酸化分解されそれ以上分解不可能となった残留有機物を含む汚水を、上澄水と残留沈降性有機物からなる沈降汚泥水に分離させる役割をもたせたものである。そして分離された上澄水は滅菌槽43を介して処理水として河川に放流し、沈降汚泥水は分離泥水として次に説明する泥水処理系5の混合貯留槽51に送り込み、必要に応じ一部は前段のばっ気分解槽41及びばっ気調整槽2に返送するように構成した。
なおこの実施例では、沈降分離槽42の容量を農業集落排水施設設計指針の沈殿槽と同じく3時間以上に設計した。
【0015】
泥水処理系5の構成は、図2の左側に示すように混合貯留槽51、脱水装置52、発酵分解槽53、発酵調整槽54からなる発酵分解処理設備55を組み込んだ構成とした。
まず、混合貯留槽51は、前記沈降区分槽3において区分された泥水を前記沈降分離槽42において分離された沈降汚泥水(正確にいうと未分解の残留沈降性有機物を含む分離泥水)と混合し、貯留させておくためのものであると同時に、混合泥水を次段の脱水装置52に定量的に移送するための補助的な機能をもたせたものである。
【0016】
脱水装置52は、混合貯留槽51から定量移送されてきた泥水(含水率98〜99%)を発酵分解に適した含水率85%前後以下に脱水処理することにより、発酵分解槽53における発酵効率を向上させるための装置である。なお、脱水処理による離脱水は図2で示すように前段のばっ気調整槽2に返送するようにした。
発酵分解槽53は、いうまでもなく脱水調整した汚泥を発酵分解させて堆肥土化させるためのものである。発酵分解に際しては、発酵熱が生じるが、別途酸素を供給し、効果的な有機物の分解が促進されるよう配慮してある。
【0017】
発酵分解に要する日数は文献により様々であるが、各種の理論+実験データを参考し、この実施例では11日以上とし、好ましい堆肥土化が得られた。
なお、次の発酵調整槽54であるが、これは概ね発酵分解の終了した成分の微調整発酵を促し、良質な堆肥土を得るためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上説明したことから理解されるように、被処理排水を主に浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と同じく沈降性有機物を含む泥水に区分し、双方が汚水処理系と泥水処理系において各々ばっ気分解処理と発酵分解処理を受けることにより、浄水化と堆肥土化が並立的かつ一体的にできるようにしたもので、例えば従来の処理施設においてみられるような、コンポストないし建築資材等の再生に専用の別途施設の建設が不要となる。
従って、農業集落排水の処理施設のようなもともと地域的一体感の強い中小規模の処理施設に最も適しており、しかも堆肥土化すれば多くの場合供給地が近接し好都合である。
さらに処理方法の特徴として、従来の活性汚泥法による各種処理方式のように発生する余剰汚泥等有機性汚泥の処理を別途汚泥処理として計画する必要性を有さず、全量の有機性汚泥を泥水中含有物として同一排水処理系内としての発酵分解処理設備に送り込むため、搬送等の手間が相対的に省力化される。
要するに本発明に係わる処理方法及び処理施設は、従来の処理方法及び処理施設が被処理排水中の有機物の処理をばっ気分解と沈殿分離とに求めているのとは異なり、被処理排水中に含まれる全量有機物をばっ気分解と発酵分解により一体的並立的に処理することを要件としており、従って、被処理排水の浄水化と堆肥土化を経常的必然的目的とすることが可能となり、従来法のごとく、沈降(沈殿)区分(分離)した沈降性の有機物(汚泥)を別途汚泥処理の対象として系外(ほとんどが排水処理施設場外)へ排出する必要性を有していないため、きわめて完結型であると同時に、この上なく環境保全型の排水処理施設として効用を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な処理系統図を示す。
【図2】本発明方法を農業集落排水に適合した場合の処理フローを示す。
【符号の説明】
1 ‥‥‥前処理装置
2 ‥‥‥ばっ気調整槽
3 ‥‥‥沈降区分槽
4 ‥‥‥汚水処理系
5 ‥‥‥泥水処理系
41‥‥‥ばっ気分解槽
42‥‥‥沈降分離槽
43‥‥‥滅菌槽
44‥‥‥ばっ気分解処理設備
51‥‥‥混合貯留槽
52‥‥‥脱水装置
53‥‥‥発酵分解槽
54‥‥‥発酵調整槽
55‥‥‥発酵分解処理設備
Claims (2)
- 農業集落排水を被処理排水として前処理し、前処理した被処理排水を予備エアレーションによる予備ばっ気を行うとともに流量調整し、予備ばっ気及び流量調整された被処理排水を処理の初期の段階において、浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と沈降性有機物を含む泥水とに区分し、区分した汚水はばっ気分解処理し、ばっ気分解処理された汚水を上澄水と残留沈降性有機物とに分離し、ばっ気分解処理後の残留沈降性有機物を含む分離泥水の一部は前記ばっ気分解処理及び前記予備ばっ気の活性汚泥として使用し、残りの分離泥水は区分した泥水と混合して脱水調整し、その後に発酵分解処理して堆肥土化し、被処理排水中に含まれる有機物の全量を同一排水処理系内において一体的並立的かつ同次元的に分解処理することを特徴とする排水処理方法。
- 農業集落排水を被処理排水として前処理した被処理排水を予備エアレーションによる予備ばっ気を行うとともに流量調整するばっ気調整槽と、前記ばっ気調整槽で予備ばっ気及び流量調整された被処理排水を浮遊性及び溶解性有機物を含む汚水と沈降性有機物を含む泥水とに区分するための沈降区分槽と、この沈降区分槽で区分された汚水をばっ気分解処理するばっ気分解槽と、前記ばっ気分解槽でばっ気分解処理された汚水を上澄水と残留沈降性有機物とに分離の上沈降分離された残留沈降性有機物を含む分離泥水の一部を前記ばっ気分解槽及び前記ばっ気調整槽に返送する沈降分離槽と、前記沈降分離槽で分離された残りの分離泥水と前記沈降区分槽で区分された泥水とを混合する混合貯留槽と、前記混合貯留槽で混合された泥水を発酵分解に適した含水率とする脱水装置と、前記脱水調整された汚泥を発酵分解させて堆肥土化させる発酵分解槽とを備えたことを特徴とする排水処理施設。
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