JP3561340B2 - 斜板式油圧作動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静油圧式無段変速機の油圧ポンプや油圧モータに適用される斜板式油圧作動装置に関し、特に、ケーシングに回転自在に支持されるシリンダと、このシリンダに摺動自在に嵌合して、その端面から一端を突出させる環状配列の複数のプランジャと、これらプランジャの一端に前面を当接させるリング状の斜板と、この斜板の背面及び外周面を回転自在に支承する斜板ホルダとを備えたものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かゝる油圧作動装置において、実開平4−75265号公報に開示されているように、斜板及び斜板ホルダ相互のスラスト、ラジアル両方向の回転摺動面を効果的に潤滑するために、斜板の背面には、両端が該斜板の内、外周面に開口する第1油溝を、また斜板の外周面には、両端が該斜板の軸方向両端面に開口する第2油溝をそれぞれ設けることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような油溝構造は、第1及び第2油溝に可及的多量の潤滑油を流通させることにより、前記回転摺動面の潤滑効果を高めようとしたものであって、各油溝の圧力は比較的低いものである。
【0004】
このため、高出力を発揮すべくシリンダ内の油圧を大きく増大させた場合には、それに伴うプランジャ推力の増大により斜板及び斜板ホルダ相互の回転摺動面の面圧も大きく増大し、油膜切れを生じる懸念がある。
【0005】
本発明は、かゝる点に鑑みてなされたもので、プランジャの大なる推力によるも、斜板及び斜板ホルダ相互の回転摺動面に油膜切れを生じることなく、それらの相対回転を常にスムーズに行い得る前記斜板式油圧作動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、リング状の斜板の背面に、その内、外周面間を連通する複数条の第1油溝を、また該斜板の外周面に、一端が第1油溝に連通すると共に他端が該外周面の軸方向中間部で閉じた複数条の第2油溝をそれぞれ設け、斜板内周面の背面側半部または斜板ホルダの支持孔底面にテーパ面を形成して、このテーパ面と、該テーパ面に対向する該支持孔底面または斜板内周面の背面側半部とにより、斜板及び斜板ホルダの軸方向対向面間に食込むような断面楔形の環状油溜を形成すると共に、この環状油溜の先鋭部に第1油溝の内端を開口させ、斜板ホルダの中心部から環状油溜に潤滑油を導入するようにしたことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、リング状の斜板の背面に、その内、外周面間を連通する複数条の第1油溝を、また該斜板の外周面に、一端が第1油溝に連通すると共に他端が該外周面の軸方向中間部で閉じた複数条の第2油溝をそれぞれ設け、斜板内周面の背面側半部および斜板ホルダの支持孔底面にテーパ面をそれぞれ形成して、その両テーパ面により、斜板及び斜板ホルダの軸方向対向面間に食込むような断面楔形の環状油溜を形成すると共に、この環状油溜の先鋭部に第1油溝の内端を開口させ、斜板ホルダの中心部から環状油溜に潤滑油を導入するようにしたことを特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、第1又は第2の特徴に加え、第1及び第2油溝を、それぞれの入口が斜板の斜板ホルダに対する回転方向に向って開口するように傾斜させたことを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は、第1,第2又は第3の特徴に加えて、斜板及び斜板ホルダ間に、斜板の周方向に隣接する油溝相互を連通する環状油路を設けたことを第4の特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
先ず、図1において、自動二輪車のパワーユニットUは、エンジンEと静油圧式無段変速機Tとから構成されており、エンジンEのクランク軸1及び無段変速機Tは共通のケーシング4に収容され、支持される。無段変速機Tは、その入力筒軸5及び出力軸31をクランク軸1と平行にしてケーシング内に配置される。またクランク軸1は1次減速装置2を介して入力筒軸5に連結され、出力軸31は2次減速装置3を介して自動二輪車の図示しない後輪に連結される。
【0012】
図1及び図2に示すように、無段変速機Tは、本発明に係る2つの斜板式油圧作動装置、即ち定容量型の斜板式油圧ポンプPと、可変容量型の斜板式油圧モータMとから構成される。
【0013】
斜板式油圧ポンプPは、一次減速装置2の出力スプロケット2aを備えた入力筒軸5と、この入力筒軸5内に相対回転自在に配置されるポンプシリンダ7と、該ポンプシリンダ7にその回転軸線を囲むように環状配列で設けられた複数かつ奇数のシリンダ孔8,8…にそれぞれ摺動自在に嵌合される複数のポンププランジャ9,9…と、各ポンププランジャ9,9…の一端に前面を係合、当接させるポンプ斜板10と、このポンプ斜板10をポンプシリンダ7の軸線と直交する仮想トラニオン軸線O1 を中心にしてポンプシリンダ7の軸線に対し一定角度傾斜させた状態に保持すべく該斜板10を支承するポンプ斜板ホルダ12とから構成される。而して入力筒軸5の内周壁とポンプシリンダ7の外壁との間にはボールベアリング6が介設される。またポンプ斜板ホルダ12は入力筒軸5と一体に形成されている。
【0014】
ポンプ斜板10はリング状に形成されるものであり、ポンプ斜板ホルダ12には、該ポンプ斜板10をポンプシリンダ7に対向させて支承すべく、ポンプ斜板10を相対回転自在に嵌合させる有底円筒状の支持孔11が設けられる。
【0015】
ポンプ斜板10のポンプシリンダ7に対向する前面は、シリンダ孔8,8…との対応位置に球状凹部10a,10a…が設けられる。一方、各ポンププランジャ9は、対応するシリンダ孔8から突出した一端部9aが球状に形成され、この球状端部9aが対応する前記球状凹部10aに係合、当接する。
【0016】
球状凹部10aは、球状端部9aの半径より大なる半径をもって形成されていて、如何なる位置においても球状端部9aとの係合状態を確保し得るようになっている。
【0017】
このような油圧ポンプPにおいて、入力筒軸5の回転作動に応じてポンプ斜板10は各ポンププランジャ9,9…に往復動を与え、それにより吸入および吐出行程が繰り返される。
【0018】
油圧モータMは、ポンプシリンダ7と同軸上で図2の左方に配置されるモータシリンダ17と、該モータシリンダ17にその回転軸線を囲むように環状配列で設けられたシリンダ孔18,18…にそれぞれ摺動可能に嵌合される複数のモータプランジャ19,19…と、各モータプランジャ19,19…の一端に前面を係合、当接させるモータ斜板20と、このモータ斜板20を保持するモータ斜板ホルダ22と、該モータ斜板ホルダ22の背面を支承するモータ斜板アンカ23とから構成される。前記シリンダ孔18,18…は油圧ポンプPにおけるシリンダ孔8,8…と同数の奇数個がモータシリンダ17に穿設される。また相互に当接するモータ斜板ホルダ22およびモータ斜板アンカ23の対向当接面22a,23aは、モータシリンダ17の軸線とトラニオン軸線O2 との交点を中心とする球面状に形成される。しかもモータ斜板ホルダ22は、モータシリンダ17の回転軸線と直交する前記トラニオン軸線O2 上に配置される一対の半円筒状トラニオン軸22b,22bを一体に備え、これらのトラニオン軸22b,22bはモータ斜板アンカ23の両端部に形成された一対の半円筒状凹部23b,23bに軸線まわりの回動を可能としてそれぞれ嵌合される。
【0019】
モータ斜板アンカ23のモータシリンダ17側端部には筒状のシリンダホルダ24が一体に連設され、このシリンダホルダ24とモータシリンダ17の外周との間にはボールベアリング25が介設される。
【0020】
モータ斜板20はリング状に形成される。またモータ斜板ホルダ22には、モータ斜板20を相対回転自在に嵌合支承する有底円筒状の支持孔21が設けられる。
【0021】
モータ斜板20のモータシリンダ17に対向する前面には、各シリンダ孔18,18…との対応位置に球状凹部20a,20a…がそれぞれ設けられる。一方、各モータプランジャ19は、対応するシリンダ孔18から突出した一端部19aが球状に形成され、この球状端部19aが対応する前記球状凹部20aに係合、当接する。
【0022】
この場合も球状凹部20aは、球状端部19aの半径より大なる半径をもって形成されていて、如何なる位置においても球状端部19aとの係合状態を確保し得るようになっている。
【0023】
図2ないし図4に示すように、油圧ポンプP及び油圧モータMの各斜板10,20には、斜板ホルダ12,22の支持孔11,21の底面に対向する背面に放射状に延びる複数条の第1油溝26,26…が穿設されると共に、支持孔11,21の内周面に対向する外周面に軸方向に延びる複数条の第2油溝27,27…が刻設される。各第1油溝26は、斜板10,20の内周面及び外周面間を連通するように、内外両端を開放しており、各第2油溝27は、上記第1油溝26の外端から始まって、斜板10,20の外周面の軸方向中間部で終端を閉じている。
【0024】
また、斜板10,20の背面及び外周面により形成される角部には面取りが施され、これにより支持孔11,21内において該角部周りに環状油路28が形成される。この環状油路28は、斜板10,20の周方向に隣接する第1,第2油溝26,26…、27,27…がそれぞれ相互に連通される。
【0025】
尚、このような環状油路28を設けた場合には、第1及び第2油溝26,27相互を図示例のように直接接続する必要はなく、例えば両油溝26,27の位相をずらせたり、それぞれの条数を変えたりすることができる。
【0026】
さらに、斜板10,20内周面の背面側半部はテーパ面29に形成され、このテーパ面29は、支持孔11,21の底面と協働して、斜板10,20の背面と支持孔11,21の底面との当接部に食込むような断面楔形の環状油溜30が画成される。
【0027】
モータ斜板20は、図1に示すように、パルスモータ80により減速歯車列78およびボールねじ機構79を介してトラニオン軸線O2 まわりにモータ斜板ホルダ22が回動せしめられることにより、モータシリンダ17の軸線に対し直角となる直立位置と、或る角度で傾倒する最大傾斜位置との間で作動するものであり、その傾斜状態では、モータシリンダ17の回転に伴いモータプランジャ19,19…に往復動を与えて膨脹および収縮行程を繰り返させることができる。
【0028】
ポンプシリンダ7およびモータシリンダ17は相互に一体に結合されてシリンダブロックBを構成するものであり、このシリンダブロックBには、同軸の出力軸31および軸32が一体に設けられる。すなわちシリンダブロックBにおけるモータシリンダ17のモータ斜板20に対向する部分の中心部から出力軸31が一体に突設され、前記シリンダブロックBにおけるポンプシリンダ7のポンプ斜板10に対向する部分の中心部から前記出力軸31と同軸にして軸32が一体に突設される。
【0029】
軸32はポンプ斜板10およびポンプ斜板ホルダ12を貫通するものであり、アンギュラコンタクトボールベアリング33を介してポンプ斜板ホルダ12の端部を支承するためのフランジ34が、軸32の端部に固定される。またポンプ斜板ホルダ12とケーシング4との間にはボールベアリング35が介設される。
【0030】
出力軸31は、モータ斜板20、モータ斜板ホルダ22およびモータ斜板アンカ23を貫通するように延びており、モータ斜板アンカ23よりも軸方向外方側で出力軸31の外周には、支持筒39がスプライン37を介して結合されるとともに二つ割コッタ38で固着され、支持筒39とモータ斜板アンカ23との間には、モータ斜板アンカ23側からリテーナ40およびスラストローラベアリング41が順次介装され、ケーシング4および支持筒39間にはオイルシール43が介装される。また出力軸31は、ニードルベアリング42および前記リテーナ40を介してモータ斜板アンカ23に回転自在に支承される。さらに前記2次減速装置3の入力スプロケット3aは支持筒39を介して出力軸31に取付けられる。
【0031】
シリンダブロックBには、その軸32側から出力軸31側に向けて順に、第1孔44と、第1孔44よりも小径の第2孔45と、第2孔45よりも小径の第3孔46と、第3孔46よりも小径の第4孔47とがシリンダブロックBの回転軸線と同軸に設けられており、それらの孔44〜47は中心油路95を形成する。またポンプシリンダ7のシリンダ孔8,8…群とモータシリンダ17のシリンダ孔18,18…群との間において第2孔45の内面には環状溝48が設けられ、該環状溝48に対応する部分でシリンダブロックBの外周には環状溝49が設けられる。
【0032】
第4孔47の開放端はねじ栓51で閉塞される。また第2孔45には弁筒102が圧入、固定されており、この弁筒102の外周と前記環状溝48とにより、シリンダブロックBの回転軸線を中心とする環状の内側油路52が形成される。またシリンダブロックBの外周には、環状溝49を覆うようにしてリング体54が嵌挿されており、このリング体54はシリンダブロックBにろう付け溶接される。これにより、シリンダブロックBおよびリング体54間には、前記内側油路52と同心の外側油路53が環状に形成されることになる。
【0033】
図2,図5及び図6に示すように、ポンプシリンダ7のシリンダ孔8,8…群とモータシリンダ17のシリンダ孔18,18…群との間におけるシリンダブロックBの内側油路52および外側油路53間の環状隔壁、ならびに外側油路53の外周壁すなわちリング体54を放射状に貫通するようにして、前記シリンダ孔8,8…と同数の第1,第2,第3弁孔55…,56…,57…が設けられる。しかも第1弁孔55…はシリンダ孔8,8…群側に配置され、第2および第3弁孔56,56…;57,57…は、シリンダ孔18,18…群側でシリンダブロックBの周方向に交互に配置される。
【0034】
またシリンダブロックBには、その軸線に沿って隣接するシリンダ孔8,8…および第1弁孔55,55…を相互に連通する複数のポンプポート58,58…と、軸線に沿って隣接するシリンダ孔18,18…および第2弁孔56,56…を相互に連通する複数のモータポート59,59…とが穿設される。
【0035】
前記第1弁孔55,55…にはスプール型の第1分配弁60,60…が、また前記第2弁孔56,56…には同じくスプール型の第2分配弁61,61…が、さらに前記第3弁孔57,57…には同じくスプール型のクラッチ弁62,62…がそれぞれ摺動自在に嵌合される。そして、第1分配弁60,60…の外端に設けられた頭部68は、それらを囲む第1偏心輪63の内面にそれぞれ摺接され、また第2分配弁61,61…の外端に設けられた頭部86およびクラッチ弁62,62…の外端に設けられた頭部93は、それらを囲む第2偏心輪64の内面に固着されたリング状の摺接部材64aに摺接される。しかも上記摺接状態を強制するために、第1分配弁60,60…の外端部は第1偏心輪63と同心関係の第1強制輪65により相互に連結され、また第2分配弁61,61…およびクラッチ弁62,62…の外端部は第2偏心輪64,64…と同心関係にある第2強制輪66により相互に連結される。
【0036】
第1偏心輪63は入力筒軸5に一体に設けられるものであり、図5に示すように仮想トラニオン軸線O1 に沿ってシリンダブロックBの中心から所定距離ε1 だけ偏心して配置される。また第2偏心輪64は、出力軸31と平行な枢軸70を介して前記シリンダホルダ24に揺動可能に連結されるものであり、図6で示すクラッチオン位置nとクラッチオフ位置fとの間で揺動可能である。
【0037】
ここで第1分配弁60、第2分配弁61及びクラッチ弁62の作用について説明すると、入力筒軸5とポンプシリンダ7すなわちシリンダブロックBとの間に相対回転が生じると、各第1分配弁60は、第1偏心輪63により第1弁孔55において偏心量ε1 の2倍の距離をストロークとしてポンプシリンダ7の半径方向内方位置および外方位置間を往復動される。そして、図5に示すように、油圧ポンプPの吐出領域Dでは、第1分配弁60は前記内方位置側を移動して、対応するポンプポート58を外側油路53に連通するとともに内側油路52と不通にし、それにより吐出行程中のポンププランジャ9によりシリンダ孔8から外側油路53へ作動油が圧送される。また油圧ポンプPの吸入領域Sでは、第1分配弁60は前記外方位置側を移動して、対応するポンプポート58を内側油路52に連通するとともに外側油路53と不通にし、それにより吸入行程中のポンププランジャ9により内側油路52からシリンダ孔8に作動油が吸入される。
【0038】
第2偏心輪64がクラッチオン位置nを占めるとき(図6参照)、モータシリンダ17すなわちシリンダブロックBが回転すると、第2分配弁61およびクラッチ弁62は、第2偏心輪64により、第2弁孔56および第3弁孔57において偏心量ε2 の2倍の距離をストロークとしてシリンダブロックBの半径方向内方位置および外方位置間を往復動される。而して油圧モータMの膨脹領域Exでは、第2分配弁61は前記内方位置側を移動し、対応するモータポート59を外側油路53に連通するとともに該モータポート59および内側油路52間を不通にし、それにより外側油路53から膨脹行程中のモータプランジャ19のシリンダ孔18に高圧の作動油が供給される。また油圧モータMの収縮領域Shでは、第2分配弁61は前記外方位置側を移動し、対応するモータポート59を内側油路52に連通するとともに該モータポート59および外側油路53間を不通にし、それにより収縮行程中のモータプランジャ19のシリンダ孔18から内側油路52へ作動油が排出される。
【0039】
一方、クラッチ弁62は、その往復動ストロークが第2偏心量ε2 の2倍の距離以下である限り、内側油路52および外側油路53間を不通にしている。
【0040】
かくして、シリンダブロックBは、ポンプシリンダ7が吐出行程のポンププランジャ9を介してポンプ斜板10から受ける反動トルクと、モータシリンダ17が膨脹行程のモータプランジャ19を介してモータ斜板20から受ける反動トルクとの和によって回転され、その回転トルクは出力軸31から2次減速装置3へ伝達される。
【0041】
この場合、入力筒軸5に対する出力軸31の変速比は次式によって与えられる。
【0042】
【数1】
【0043】
したがって、油圧モータMの容量を零から或る値に変えれば、変速比を1から或る必要な値まで変えることができる。しかも、その油圧モータMの容量はモータプランジャ19のストロークにより決定されるので、モータ斜板20を直立位置から或る傾斜位置まで傾動させることにより変速比を1から或る値まで無段階に制御することができる。
【0044】
次に第2偏心輪64をクラッチオフ位置fにシフトすると、モータシリンダ17すなわちシリンダブロックBの回転に伴い、第2偏心輪64により、第2分配弁61およびクラッチ弁62は第2弁孔56および第3弁孔57において偏心量ε3 の2倍の距離をストロークとしてシリンダブロックBの半径方向内方位置および外方位置間を往復動される。そして、第2分配弁61は、その内方位置にきたとき、両油路52,53間を短絡し、またクラッチ弁62は、その外方位置にきたとき、両油路52,53間を短絡する。かくして、油圧モータMには高圧の作動油が供給されなくなり、油圧ポンプPおよび油圧モータM間の動力伝達は遮断され、所謂クラッチオフ状態が得られる。
【0045】
再び図2において、シリンダブロックBの第1孔44には、先端部を第2孔45内に位置させるようにしてオイルフィルタ96が嵌入、固定され、該オイルフィルタ96には、油溜100から補給ポンプ99で汲み上げた作動油がオイルフィルタ101を介して供給され、補給ポンプ99は入力筒軸5によって駆動される。
【0046】
前記第2弁孔45の第3弁孔46寄りの部分には両端を開放した弁筒102が圧入、固定され、該弁筒102には、軸方向両端間にわたる連通孔103が穿設されるとともに軸方向中央部には内部を内側油路52に連通させる連通孔104が穿設される。また弁筒102内には、前記連通孔104を介して内側油路52に通じる油室105を相互間に形成して一対の逆止弁106,106が対称的に配設され、それらの逆止弁106,106は、弁ばね108によりそれぞれ閉弁方向に付勢されており、油室105すなわち内側油路52から中心油路95への油の逆流を阻止する。
【0047】
さらにシリンダブロックBには、中心油路95から無段変速機Tの各部に潤滑油を供給するための半径方向のオリフィス孔107が随所に穿設される。
【0048】
而して、油圧ポンプPから油圧モータMを油圧駆動する通常の負荷運転中に、両者間の油圧閉回路からの漏油により、低圧側の内側油路52の圧力が中心油路95の圧力よりも低下すると、前記逆止弁106,106が開いて中心油路95から内側油路52に作動油が補給される。
【0049】
また、中心油路95の油は、オリフィス孔107により流量を制限されつつ無段変速機Tの各部に供給されるので、その供給により中心油路95の圧力が過度に低下することはなく、したがって中心油路95から内側油路52への作動油の補給に支障を来たすことはない。
【0050】
オリフィス107を通過した油が油ポンプPの環状油溜30に導入されると、この環状油溜30は断面楔形をなしているので、ポンプ斜板10及びポンプ斜板ホルダ12から回転させられ、その遠心力をもってポンプ斜板10の第1油溝26に進入し、更に回転する該油溝26でも遠心力を受けて第2油溝27へと進入するが、第2油溝27はポンプ斜板10外周の軸方向中間部で終端を閉じているため、第1及び第2油溝26,27に静油圧が発生する。また第1,第2各油溝26,27内の油は、ポンプ斜板10及びポンプ斜板ホルダ12の相対回転時には、ポンプ斜板ホルダ12のポンプ斜板10に対する相対回転方向に向って各溝26,27を横断するように移動し、各油溝26,27の一方の開放側端でその流れが拘束されるため、動油圧が発生する。そしてこれら静油圧及び動油圧がポンプ斜板10及びポンプ斜板ホルダ12のスラスト及びラジアル方向の摺動面間に作用して、高圧の油膜を形成する。その結果、油圧ポンプPの作動中、ポンププランジャ9,9…群からポンプ斜板10に大なる推力が作用しても油膜切れを生じることなく、ポンプ斜板10及びポンプ斜板ホルダ12間に良好な潤滑状態を確保し、両者10,12の相対回転摺動をスムーズに行わせることができる。
【0051】
しかも、第1,第2油溝26,26…,27,27…は環状油路28を介してそれぞれ相互に連通しているので、全油溝26,27の油圧が平衡し、ポンプ斜板10をこじることなく、適正な姿勢に保つことができる。
【0052】
油圧モータMにおいても、その環状油路30、及び第1,第2油溝26,27は上記と同様に機能して、モータ斜板20及びモータ斜板ホルダ22のスラスト及びラジアル方向の摺動面間に高圧の油膜を形成し、モータ斜板20をモータ斜板ホルダ22に対し円滑に回転摺動させることができる。
【0053】
図7及び図8は本発明の第2実施例を示すもので、油圧ポンプP及び油圧モータMの各斜板10,20において、第1及び第2油溝26,27を、それぞれの入口が斜板10,20の斜板ホルダ12,22に対する相対回転方向Rに向うように傾斜させた点を除けば前実施例と同様の構成であり、図中、前実施例との対応部分には同一の符号を付す。
【0054】
この実施例によれば、斜板10,20が斜板ホルダ12,22に対してR方向に回転するとき、第1及び第2油溝26,27のねじ作用により導入した油を内部に押し込むので、第1及び第2油溝26,27の静油圧をより高め、高圧の油膜形成を促進することができる。
【0055】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱することなく種々の設計変形が可能である。例えば、断面楔状の環状油溜30の形成に当り、斜板ホルダ12,22の支持孔11,21底面側にテーパ面29を形成することもできる。また斜板10,20及び斜板ホルダ12,22の両者にテーパ面29をそれぞれ形成することもでき、この実施例が請求項2の発明に対応する。また、第1,第2油溝26,27の断面形状は、方形、三角形、台形、半円形等、任意であるが、動油圧により油膜圧を効果的に増大させるには、三角形、台形が有効である。
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1,第2の各特徴によれば、リング状の斜板の背面に、その内、外周面間を連通する複数条の第1油溝を、また該斜板の外周面に、一端が第1油溝に連通すると共に他端が該外周面の軸方向中間部で閉じた複数条の第2油溝をそれぞれ設け、斜板及び斜板ホルダ間に、それらの内周側からそれらの軸方向対向面間に食込むような断面楔形の環状油溜を形成すると共に、この油溜の先鋭部に第1油溝の内端を開口させ、斜板ホルダの中心部から環状油溜に潤滑油を導入するようにしたので、断面楔形をなす環状油溜の油が、斜板と共に回転して遠心力を受けることにより第1油溝の内端に効果的に押し込まれる上、この第1油溝の内端に進入した油は、回転する第1油溝でも遠心力を受けて第2油溝へ順次進入するが、第2油溝は、斜板外周の軸方向中間部で終端を閉じているため、第1及び第2油溝での油圧発生を促進できて両油溝に十分な静油圧を発生させることができ、しかも斜板及び斜板ホルダの相対回転により各油溝の一方の開放側端部で動油圧を発生させることができ、以上により、斜板及び斜板ホルダの回転摺動面間に高圧の油膜を形成することができる。したがって斜板がプランジャ群から大なる推力を受けるも、油膜切れを生じることなく、斜板及び斜板ホルダの相対回転を常に円滑に行わせることができる。
【0058】
さらに本発明の第3の特徴によれば、第1及び第2油溝を、それぞれの入口が斜板の斜板ホルダに対する回転方向に向って開口するように傾斜させたので、斜板の回転に伴い、両油溝のねじ作用により油を効果的に押し込み、これによっても両油溝の油圧発生を促進することができる。
【0059】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば、斜板及び斜板ホルダ間に、斜板の周方向に隣接する油溝相互を連通する環状油路を設けたので、全油溝の油圧を平衡させ、斜板を常に適正な姿勢をもって斜板ホルダに支承させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る静油圧式無段変速機を有する自動二輪車用パワーユニットの横断平面図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図1における斜板部の拡大断面図
【図4】図3の4矢視図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】クラッチオン状態で示した図2の6−6線断面図
【図7】本発明の第2実施例を示す斜板部の拡大断面図
【図8】図7の8矢視図
【符号の説明】
P 油圧ポンプ(斜板式油圧作動装置)
R 回転方向
M 油圧モータ(斜板式油圧作動装置)
4 ケーシング
7 ポンプシリンダ
9 プランジャ
10 斜板
11 支持孔
12 斜板ホルダ
17 シリンダ
19 プランジャ
20 斜板
21 支持孔
22 斜板ホルダ
26 第1油溝
27 第2油溝
28 環状油路
30 環状油溜
Claims (4)
- ケーシング(4)に回転自在に支持されるシリンダ(7,17)と、このシリンダ(7,17)に摺動自在に嵌合して、その端面から一端を突出させる環状配列の複数のプランジャ(9,19)と、これらプランジャ(9,19)の一端に前面を当接させるリング状の斜板(10,20)と、この斜板(10,20)の背面及び外周面を回転自在に支承する斜板ホルダ(12,22)とを備えた斜板式油圧作動装置において、 リング状の斜板(10,20)の背面に、その内、外周面間を連通する複数条の第1油溝(26)を、また該斜板(10,20)の外周面に、一端が第1油溝(26)に連通すると共に他端が該外周面の軸方向中間部で閉じた複数条の第2油溝(27)をそれぞれ設け、
斜板(10,20)内周面の背面側半部または斜板ホルダ(12,22)の支持孔(11,21)底面にテーパ面(29)を形成して、このテーパ面(29)と、該テーパ面(29)に対向する該支持孔(11,21)底面または斜板(10,20)内周面の背面側半部とにより、斜板(10,20)及び斜板ホルダ(12,22)の軸方向対向面間に食込むような断面楔形の環状油溜(30)を形成すると共に、この環状油溜(30)の先鋭部に第1油溝(26)の内端を開口させ、斜板ホルダ(12,22)の中心部から環状油溜(30)に潤滑油を導入するようにしたことを特徴とする、斜板式油圧作動装置。 - ケーシング(4)に回転自在に支持されるシリンダ(7,17)と、このシリンダ(7,17)に摺動自在に嵌合して、その端面から一端を突出させる環状配列の複数のプランジャ(9,19)と、これらプランジャ(9,19)の一端に前面を当接させるリング状の斜板(10,20)と、この斜板(10,20)の背面及び外周面を回転自在に支承する斜板ホルダ(12,22)とを備えた斜板式油圧作動装置において、 リング状の斜板(10,20)の背面に、その内、外周面間を連通する複数条の第1油溝(26)を、また該斜板(10,20)の外周面に、一端が第1油溝(26)に連通すると共に他端が該外周面の軸方向中間部で閉じた複数条の第2油溝(27)をそれぞれ設け、
斜板(10,20)内周面の背面側半部および斜板ホルダ(12,22)の支持孔(11,21)底面にテーパ面(29)をそれぞれ形成して、その両テーパ面(29)により、斜板(10,20)及び斜板ホルダ(12,22)の軸方向対向面間に食込むような断面楔形の環状油溜(30)を形成すると共に、この環状油溜(30)の先鋭部に第1油溝(26)の内端を開口させ、斜板ホルダ(12,22)の中心部から環状油溜(30)に潤滑油を導入するようにしたことを特徴とする、斜板式油圧作動装置。 - 請求項1又は2記載のものにおいて、
第1及び第2油溝(26,27)を、それぞれの入口が斜板(10,20)の斜板ホルダ(12,22)に対する回転方向(R)に向って開口するように傾斜させたことを特徴とする、斜板式油圧作動装置。 - 請求項1,2又は3記載のものにおいて、
斜板(10,20)及び斜板ホルダ(12,22)間に、斜板(10,20)の周方向に隣接する油溝(26,26…,27,27…)相互を連通する環状油路(28)を設けたことを特徴とする、斜板式油圧作動装置。
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