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JP3546950B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置 Download PDF

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  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に係り、特に浄化装置のフィルタに排気上流側と下流側とから交互に排気を切換通過できるようにした排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりディーゼル機関においては、排気ガス中に含まれる煤等の微粒子を除去するために機関排気通路内にパティキュレートフィルタを配置してこのパティキュレートフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、パティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめることによりパティキュレートフィルタを再生するようにしている。ところがパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子は 600゜C程度以上の高温にならないと着火せず、これに対してディーゼル機関の排気ガス温は通常、 600゜Cよりもかなり低い。従って排気ガス熱でもってパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火させるのは困難であり、排気ガス熱でもってパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火させるためには微粒子が低い温度で着火できるようにしなければならない。
【0003】
ところで、従来よりパティキュレートフィルタ上に触媒を担持すれば微粒子の着火温度を低下できることが知られており、従って従来より微粒子の着火温度を低下させるために触媒を担持した種々のパティキュレートフィルタが公知である。
【0004】
例えば、特公平 7−106290号公報にはパティキュレートフィルタ上に白金族金属およびアルカリ土類金属酸化物の混合物を担持させたパティキュレートフィルタが開示されている。このパティキュレートフィルタではほぼ350゜Cから400゜Cの比較的低温でもって微粒子が着火され、次いで連続的に燃焼せしめられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ディーゼル機関では負荷が高くなれば排気ガス温が350゜Cから400゜Cに達し、従って上述のパティキュレートフィルタでは一見したところ機関負荷が高くなったときに排気ガス熱によって微粒子を着火燃焼せしめることができるように見える。しかしながら実際には排気ガス温が350゜Cから400゜Cに達しても微粒子が着火しない場合があり、またたとえ微粒子が着火したとしても一部の微粒子しか燃焼せず、多量の微粒子が燃え残るという問題を生ずる。
【0006】
即ち、排気ガス中に含まれる微粒子量が少ないときにはパティキュレートフィルタ上に付着する微粒子量が少なく、このときには排気ガス温が350゜Cから400゜Cになるとパティキュレートフィルタ上の微粒子は着火し、次いで連続的に燃焼せしめられる。
【0007】
しかしながら、排気ガス中に含まれる微粒子量が多くなるとパティキュレートフィルタ上に付着した微粒子が完全に燃焼する前にこの微粒子の上に別の微粒子が堆積し、その結果パティキュレートフィルタ上に微粒子が積層状に堆積する。このようにパティキュレートフィルタ上に微粒子が積層状に堆積すると酸素と接触しやすい一部の微粒子は燃焼せしめられるが、酸素と接触しずらい残りの微粒子は燃焼せず、斯くして多量の微粒子が燃え残ることになる。従って排気ガス中に含まれる微粒子量が多くなると、パティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積し続けることになる。
【0008】
一方、パティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積すると、これら堆積した微粒子は次第に着火燃焼しずらくなる。このように燃焼しずらくなるのはおそらく堆積している間に微粒子中の炭素が燃焼しずらいグラファイト等に変化するからであると考えられる。事実、パティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積し続けると350゜Cから400゜Cの低温では堆積した微粒子が着火せず、堆積した微粒子を着火せしめるためには600゜C以上の高温が必要となる。しかしながらディーゼル機関では通常、排気ガス温が600゜C以上の高温になることがなく、従ってパティキュレートフィルタ上に多量の微粒子が堆積し続けると排気ガス熱によって堆積した微粒子を着火せしめるのが困難となる。
【0009】
また、堆積した微粒子が燃焼せしめられると燃えカスである灰分、即ちアッシュが凝縮して大きな塊となり、これらアッシュの塊によってパティキュレートフィルタの細孔が目詰まりを生ずる。目詰まりした細孔の数は時間の経過と共に次第に増大し、斯くしてパティキュレートフィルタにおける排気ガス流の圧損が次第に大きくなる。排気ガス流の圧損が大きくなると機関の出力が低下し、斯くしてこの点からもパティキュレートフィルタを新品と早期に交換しなければならないという間題が生ずる。
【0010】
このように多量の微粒子が一旦積層状に堆積してしまうと上述のような問題が生じるので、排気ガス中に含まれる微粒子量とパティキュレートフィルタ上において燃焼しうる微粒子量とのバランスを考慮し、多量の微粒子が積層上に堆積する事態を招かないように処置を講じる必要がある。
【0011】
しかしながら、触媒付の排気浄化フィルタを排気管に設けるだけで、排気浄化を内燃機関の運転状況にまかせた成り行きの連続燃焼処理とすると、上記のような問題は回避できない。
【0012】
そこで、できる限り微粒子の連続燃焼が可能となるように、浄化装置のフィルタに排気上流側と下流側とから交互に排気を切換通過できるようにすると、フィルタの両側面に微粒子が堆積するため、微粒子の単位面積あたりの堆積量を減らすことができる。また、排気ガス流の切換により堆積する微粒子を撹乱して飛ばすことで微粒子の酸化を促進させることができる。
この場合、フィルタ基材にNOx 吸収剤を設けるならば、排気ガス中に酸素が多い状況となったときに、排気ガス中のNOx を吸収し、還元剤を供給することでこれを放出・還元して浄化することもできる。
【0013】
このように、微粒子の除去とNOx の浄化を同時に行うためにフィルタ基材にNOx 吸収剤を設けた排気浄化フィルタでは、フィルタでの微粒子の酸化性能を低下させる可能性があるとき(例えば車両の減速運転時あるいは燃料噴射量が小の時)には、フィルタに設定量以上の微粒子が堆積するのを防止するために、フィルタを迂回させて排気ガスを流すシステムを採用することが考えられ、この時、フィルタ近傍にNOx 還元剤を供給する還元剤供給装置を設置することが考えられる。
【0014】
また、減速運転時あるいは燃料噴射量が小の時のみNOx 還元制御を行うものとすると、継続的な高速走行時においてNOx 還元の必要が生じた時、NOx 還元制御ができないといった問題が生じる。そこで、運転状況に応じてNOx 還元制御ができるシステムが求められる。
【0015】
更に、NOx 還元の際にNOx 還元剤として燃料(炭化水素HC)を供給する装置とした場合、還元剤の供給時には多量の燃料がフィルタに吸着する。そして、NOx の放出、還元終了後に直ちにフィルタに排気ガスを流すと、酸化されていないHCが多量に外部に放出されることになり好ましくない。
【0016】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、NOx の還元と微粒子の酸化を運転状況に応じてより効果的に行うことができ、NOx 還元終了後において燃料等の還元剤が酸化されずに放出されることを抑制することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気浄化装置は、次の手段を採用した。
【0018】
すなわち、本出願に係る発明は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤と、排気ガス中の微粒子の酸化を促進する活性酸素放出剤とが担持され、排気ガス中の微粒子を一時期捕獲可能なフィルタと、前記フィルタの一方側から排気ガスを流す第1の流れと前記フィルタの他方側から排気ガスを流す第2の流れとを交互に切換え可能であり、切換え途中では排気ガスが前記フィルタを迂回するバイパス通路に流す排気切換手段と、この排気切換手段により排気の流れを交互に切り換えられる排気通路の分岐点と前記フィルタ上流の排気通路との間に設けられた還元剤供給手段と、前記内燃機関が搭載された車両の減速時、または燃料噴射量が小であるため前記フィルタの微粒子酸化除去量が小さくなると予想されるときは、前記排気ガスの一部のみを、前記還元剤を供給する側の排気通路を介して前記フィルタへ導き、その他の排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を制御すると共に、前記フィルタを還元雰囲気にすべく前記還元剤を供給するように前記還元剤供給手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
排気切換手段は、前記フィルタにおける排気ガスの流れ方向を正逆方向に切り替え可能な排気切換弁で構成することができる。なお、フィルタの還元雰囲気とは、排気切換弁に中間位置より若干傾きを与えて排気ガスをバイパス通路に流す状態とし、排気切換弁の傾きにより排気浄化装置内にわすかな排気ガスの流れを生じさせる。すると、スペース・ベロシティ(単位時間にフィルタの体積の何倍のガスが流れるかを示す指標、以下SVという)が低下した状態となり、この低SV状態で還元剤をフィルタに供給すれば、わずかな還元剤量でNOxを放出できる。
【0020】
このように、低SV状態を狙って還元剤供給処理をするので、効果的にフィルタに吸収されたNOxを放出させることができる。
【0021】
尚、本出願に係る発明においては、内燃機関が搭載された車両の減速時、または燃料噴射量が小であるときは排気ガス温度が低くフィルタを冷却するため、前記フィルタの微粒子酸化除去量が小さくなると予想され、このとき制御手段による制御が行われる。
【0022】
更に、本出願に係る発明の制御手段は、前記車両の減速時、あるいは燃料噴射量が設定値以下の状態が所定時間以上にわたり生じないときには、強制的に前記排気ガスの一部のみを前記フィルタに導き、その他の排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を制御すると共に、前記フィルタの還元雰囲気にすべく前記還元剤を供給するように前記還元剤供給手段を制御するように構成してもよい。
【0023】
この構成によれば、高速走行時のように長時間排気ガスの流量をバイパス通路に流すことがない場合であっても、強制的にNOx放出処理を実行することができる。なお、このようなNOx放出処理を実行するタイミングは、例えば吸収されているNOxが許容値を超えた場合に強制的に実行されるようにする。
【0024】
NOx許容値の判定方法としては、例えば、内燃機関の運転履歴(希薄燃焼運転の実行時間とストイキ運転時間との偏差)に基づいてNOx吸収剤に吸蔵されているNOx量を推定し、その推定値とNOx吸収剤が吸蔵することができる最大のNOx量とを比較することにより判定する方法、あるいはフィルタに流入する排気の空燃比が所定の空燃比であるときのNOxセンサの出力信号値に基づいて判定する方法等を例示することができる。
【0025】
更に、本出願に係る発明の制御手段は、前記還元剤の供給終了後所定時間にわたり、前記排気ガスの一部のみを前記フィルタに導き、その他の排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を維持させる制御を実行するように構成する。
【0026】
供給される還元剤には反応性の低い燃料成分を含むことが多いので、還元剤供給終了後はフィルタに多くのHCが残存している。この状態で、還元剤供給終了後、直ちに排気切換手段を作動させて排気ガスの流れを切り換えると、HCが外部に放出される危険がある。そこで、HCの放出を抑制するため、還元剤供給終了後も所定期間にわたり排気切換手段を還元剤の供給時の位置に保持し、酸素を含んだリーンの排気ガスをフィルタに取り込んでHCの酸化を促進させるようにする。但し、急加速等が入って、微粒子を多量に含む排気ガスが発生する場合は、微粒子放出を阻止するために排気切換手段の保持状態を解除し、排気ガスをフィルタに流入させて微粒子を捕獲するようにしてもよい。
【0027】
また、本出願に係る発明は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤と、排気ガス中の微粒子の酸化を促進する活性酸素放出剤とが担持され、排気ガス中の微粒子を一時期捕獲可能な複数のフィルタと、前記フィルタの一方側から排気ガスを流す第1の流れと前記フィルタの他方側から排気ガスを流す第2の流れとを交互に切換え可能であり、切換え途中では排気ガスが前記フィルタを迂回するバイパス通路に流す排気切換手段と、前記複数のフィルタ間に還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記フィルタの微粒子酸化除去量が小さくなると予想されるときは、前記排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を制御すると共に、前記フィルタを還元雰囲気にすべく前記還元剤を供給するように前記還元剤供給手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
排気浄化装置に、例えばフィルタを直列で2個装着し、還元剤の供給を2個のフィルタの間に設けた還元剤供給装置により行うと、フィルタ間に還元雰囲気が形成され、これがフィルタに及んでいく。従って、フィルタを還元雰囲気にするため、一部の排気ガスをフィルタに流入させるように排気切換弁を傾ける必要はなく、排気切換弁を完全に中立位置に制御すればよので排気切換弁の制御が容易となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の実施の形態を図1から図10の図面を参照して説明する。
<装置構成の概要>
図1は本発明を車両用の圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。なお、本発明は火花点火式内燃機関にも適用することもできる。
【0030】
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、更に吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置18内に導びかれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口はパティキュレートフィルタ22を内蔵したケーシング23を有する排気浄化装置に連結される。
【0031】
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路24を介してお互いに連結され、EGR通路24には電気制御式EGR制御弁25が配置される。また、EGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26が配置される。
図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置26内に導びかれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28から燃料が供給され、コモンレール27内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29が取付けられ、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量が制御される。
【0032】
電子制御ユニット30はデジタルコンピューターからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。燃料圧センサ29の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、パティキュレートフィルタ22にはパティキュレートフィルタ22の温度を検出するための温度センサ39が取付けられ、この温度センサ39の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応する変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25、燃料ポンプ28、および後述するアクチュエータ72に接続される。
【0033】
図2(A)は要求トルクTQと、アクセルペダル40の踏み込み量Lと、機関回転数Nとの関係を示している。なお、図2(A)において各曲線は等トルク曲線を表しており、TQ=0で示される曲線はトルクが零であることを示しており、残りの曲線はTQ=a,TQ=b,TQ=c,TQ=dの順に次第に要求トルクが高くなる。図2(A)に示される要求トルクTQは図2(B)に示されるようにアクセルペダル40の踏込み量Lと機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。本発明による実施例では図2(B)に示すマップからアクセルペダル40の踏込み量Lおよび機関回転数Nに応じた要求トルクTQがまず初めに算出され、この要求トルクTQに基づいて燃料噴射量等が算出される。
【0034】
<排気浄化装置の構造>
排気浄化装置は、図1、図3、図4に示したように、排気タービン21の出口に排気管70が接続されている。この排気管70から分岐して、パティキュレートフィルタ22を内蔵したケーシング23における該フィルタ22の一方の面と他方の面とにそれぞれ接続する第1の排気通路76と第2の排気通路77とが設けられている。さらに、第1の排気通路76と第2の排気通路77の分岐点からパティキュレートフィルタ22を通過せずにそのまま排気ガスを排出するバイパス通路73とが設けられている。
【0035】
そして、第1の排気通路76と第2の排気通路77の分岐点には、排気切換弁71が設けられている。排気切換弁71は、アクチュエータ72によって駆動され、第1の排気通路76を選択してフィルタ22の一方側から排気ガスを流す第1の流れ(順流)と、第2の排気通路77を選択してフィルタ22の他方側から排気ガスを流す第2の流れ(逆流)とを、交互に切換える。
さらに、前記第1の排気通路76には、フィルタ22に流入する排気ガス中に、燃料を噴射する還元剤供給手段としての燃料添加ノズル80が設けられている。この燃料添加ノズル80は、電子制御ユニット30のCPU34上に実現される制御手段75により制御されるようになっている。
【0036】
ここで、フィルタ22を収容するケーシング23は、バイパス通路73を形成する排気管70の真上に位置するよう配置され、そのケーシング23の両側に排気管70から分岐した第1の排気通路76と第2の排気通路77が接続される形となっている。そして、ケーシング23内のフィルタ22は、排気ガスの通過方向を長さ方向とした場合、長さ方向に直交する幅方向の長さが、長さ方向の長さより長くなっている。このような構成とすることで、フィルタ22を内包するケーシング23からなる排気浄化装置の車両への搭載スペースを省スペース化することができる。
【0037】
アクチュエータ72は、電子制御ユニット30のCPU34上に実現される制御手段75によって駆動制御されるもので、出力ポート36からの制御信号により駆動される。また、アクチュエータ72は、内燃機関の駆動に伴って形成される負圧により駆動されるもので、負圧が加えられないときに第1の排気通路76を選択する位置(順流位置)に弁体を制御し、第1の負圧が加えられたとき弁体を中立位置に制御し、第1の負圧よりも強い第2の負圧が加えられたとき第2の排気通路77を選択する位置(逆流位置)に弁体を制御する。さらに負圧の制御により、弁体を図3の二点鎖線で示すような傾斜した状態(中間傾斜位置)に保持することもでき、これにより排気ガスの一部をバイパス通路73にバイパスするとともに、他の一部をフィルタ22に流すことができる。すなわち、制御手段75により制御されるアクチュエータ72によって駆動される排気切換弁71は、本発明でいう排気切換手段である。
【0038】
前記弁体が図3の破線で示す順流位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70を第1の排気通路76に接続するとともに、第2の排気通路77をバイパス通路73に接続するので、排気ガスは、排気管70→第1の排気通路76→フィルタ22→第2の排気通路77→バイパス通路73の順に流れて、大気に放出される。
【0039】
弁体が、図3の実線で示す逆流位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70を第2の排気通路77に接続するとともに、第1の排気通路76をバイパス通路73に接続するので、排気ガスは、排気管70→第2の排気通路77→フィルタ22→第1の排気通路76→バイパス通路73の順に流れて、大気に放出される。
【0040】
弁体が、図3の一点鎖線で示すように、排気管70の軸線に平行となった中立位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70を直接バイパス通路73に接続するので、排気ガスは、排気管70からフィルタ22を通過しないでバイパス通路73に流れて、大気に放出される。
【0041】
弁体が、図3の二点鎖線で示すように、排気管70の軸線に平行となった中間傾斜位置にあるとき、排気切換弁71は、排気管70をバイパス通路73に接続するので、その限りにおいて、排気ガスの一部は、排気管70からフィルタ22を通過しないでバイパス通路73に流れて、大気に放出される。一方、弁体の傾斜により排気ガスの他の一部は第1の排気通路76を通ってフィルタ22を順流方向から通過し、バイパス通路73へと導入される。
【0042】
この状態では、第1の排気通路76を流れる排気ガスの量が減り、SV値が低下した状態となる。この状態で燃料をフィルタに供給すると、活発な酸化反応が生じ、フィルタ温度が上昇して、微粒子の酸化を促進できる。
【0043】
弁体の切換えにより、順流・逆流を繰り返すことで、煤などの微粒子がフィルタ22の基材内を動き回るので、微粒子の酸化を促進し、よって、微粒子の浄化を効率よく行うことができる。
【0044】
図5(A)は、フィルタ22に一方向からのみ排気ガスを流す場合のイメージ図であり、微粒子はフィルタの一方の面にのみ蓄積して動かず、排気ガスの圧損上昇の原因となるだけでなく、微粒子の浄化を妨げる。
【0045】
図5(B)は、フィルタ22に双方向から排気ガスを流す場合のイメージ図であり、微粒子はフィルタの両面で順流方向と逆流方向に撹乱されるので、フィルタ22の両面で、あるいは、基材内部で動き回り、フィルタ基材全体の活性点を利用して微粒子の酸化を促進することができ、フィルタ22に微粒子が蓄積するのをより少なくすることができる。よって、排気ガスの圧損上昇を避けることができる。
【0046】
<フィルタの構造>
図6にパティキュレートフィルタ22の構造を示す。なお、図6において(A)はパティキュレートフィルタ22の正面図を示しており、(B)はパティキュレートフィルタ22の側面断面図を示している。図6(A)および(B)に示されるようにパティキュレートフィルタ22はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路50,51を具備するいわゆるウォールフロー型である。これら排気流通路は下流端が栓52により閉塞された排気ガス流入通路50と、上流端が栓53により閉塞された排気ガス流出通路51とにより構成される。なお、図6(A)においてハッチングを付した部分は栓53を示している。従って、排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は薄肉の隔壁54を介して交互に配置される。云い換えると排気ガス流入通路50および排気ガス流出通路51は各排気ガス流入通路50が4つの排気ガス流出通路51によって包囲され、各排気ガス流出通路51が4つの排気ガス流入通路50によって包囲されるように配置される。
【0047】
パティキュレートフィルタ22は例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、従って排気ガス流入通路50内に流入した排気ガスは図6(B)において矢印で示されるように周囲の隔壁54内を通って隣接する排気ガス流出通路51内に流出する。
【0048】
本発明による実施例では各排気ガス流入通路50および各排気ガス流出通路51の周壁面、即ち各隔壁54の両側表面上および隔壁54内の細孔内壁面上には例えばアルミナからなる担体の層が形成されており、この担体上に貴金属触媒と、周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出する活性酸素放出剤と、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤と、が坦持されている。
【0049】
ここで、NOx吸収剤に流入する排気ガスの空燃比とは、機関吸気通路、燃焼室5およびNOx吸収剤上流での排気通路内に供給された空気と燃料(炭化水素)の比をいう。なお、NOx吸収剤上流の排気通路内に燃料(炭化水素)あるいは空気が供給されない場合、流入排気ガスの空燃比は燃焼室内に供給される混合気の空燃比に一致する。
【0050】
前記貴金属触媒としては白金Ptを用いることができる。
前記活性酸素放出剤は、カリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシムCs、ルビジウムRbのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCa、ストロンチウムSrのようなアルカリ土類金属、ランタンLa、イットリウムYのような希土類、および遷移金属から選ばれた少くとも一つから構成することができる。
【0051】
なお、この場合、活性酸素放出剤としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましい。
【0052】
前記NOx吸収剤は、例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRbのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCa、ストロンチウムSrのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つから構成することができる。
【0053】
なお、この場合、NOx吸収剤としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましい。
【0054】
活性酸素放出剤を構成する金属とNOx吸収剤を構成する金属とを比較すればわかるように、これらを構成する金属は大部分が一致している。
したがって、活性酸素放出剤およびNOx吸収剤として夫々異なる金属を用いることもできるし、同一の金属を用いることもできる。活性酸素放出剤およびNOx吸収剤として同一の金属を用いた場合には、該金属は活性酸素放出剤としての機能とNOx吸収剤としての機能との双方の機能を同時に果たすことになる。このように、活性酸素放出剤の機能とNOx吸収剤の機能の双方の機能を同時に果たすものを、以下、「活性酸素放出・NOx吸収剤」と称す。
【0055】
そして、この実施の形態では、アルミナなどの担体上に、貴金属触媒として白金Ptと、活性酸素放出・NOx吸収剤としてカリウムKが坦持された場合を例にとって説明する。
【0056】
前述したように、活性酸素放出・NOx吸収剤としてのカリウムKは、活性酸素放出剤としての機能とNOx吸収剤としての機能の双方の機能を同時に果たすものであり、この排気浄化装置では、活性酸素放出剤としての機能を利用して排気ガス中の微粒子の酸化除去促進を図り、NOx吸収剤としての機能を利用して排気ガス中のNOxを浄化している。以下、それぞれの機能に着目してこの排気浄化装置における浄化メカニズムを説明する。
【0057】
<フィルタによる微粒子の連続酸化処理・・・活性酸素放出剤としての機能>
初めに、活性酸素放出・NOx吸収剤の活性酸素放出剤としての機能を利用したパティキュレートフィルタ22による排気ガス中の微粒子除去作用について説明する。なお、この活性酸素放出剤としての機能は、活性酸素放出剤として他のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、および遷移金属を用いても同様なメカニズムで微粒子除去作用が行われる。
【0058】
図1に示されるような圧縮着火式内燃機関では空気過剰のもとで燃焼が行われ、従って排気ガスは多量の過剰空気を含んでいる。即ち、図1に示されるような圧縮着火式内燃機関では排気ガスの空燃比はリーンとなっている。また、燃焼室5内ではNOが発生するので排気ガス中にはNOが含まれている。また、燃料中にはイオウSが含まれており、このイオウSは燃焼室5内で酸素と反応してSO となる。従って排気ガス中にはSO が含まれている。従って過剰酸素、NOおよびSO を含んだ排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内に流入することになる。
【0059】
図7(A)および(B)は排気ガス流入通路50の内周面および隔壁54内の細孔内壁面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表わしている。なお、図7(A)および(B)において60は白金Ptの粒子を示しており、61はカリウムKを含んでいる活性酸素放出・NOx吸収剤を示している。
【0060】
上述したように排気ガス中には多量の過剰酸素が含まれているので排気ガスがパティキュレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内に流入すると図7(A)に示されるようにこれら酸素OがO 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着する。一方、排気ガス中のNOは白金Ptの表面上でO 又はO2−と反応し、NOとなる(2NO+O→2NO)。次いで生成されたNOの一部は白金Pt上で酸化されつつ活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら図7(A)に示されるように硝酸イオンNO の形で活性酸素放出・NOx吸収剤61内に拡散し、一部の硝酸イオンNO は硝酸カリウムKNOを生成する。
【0061】
一方、上述したように排気ガス中にはSOも含まれており、このSOもNOと同様なメカニズムによって活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収される。即ち、上述したように酸素OがO 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着しており、排気ガス中のSOは白金Ptの表面でO 又はO2−と反応してSOとなる。
【0062】
次いで生成されたSOの一部は白金Pt上で更に酸化されつつ活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら硫酸イオンSO 2−の形で活性酸素放出・NOx吸収剤61内に拡散し、硫酸カリウムKSOを生成する。このようにして活性酸素放出・NOx吸収剤61内には硝酸カリウムKNOおよび硫酸カリウムKSOが生成される。
【0063】
一方、燃焼室5内においては主にカーボンCからなる微粒子が生成され、従って排気ガス中にはこれら微粒子が含まれている。排気ガス中に含まれているこれら微粒子は排気ガスがパティキユレートフィルタ22の排気ガス流入通路50内を流れているときに、或いは排気ガス流入通路50から排気ガス流出通路51に向かうときに図7(B)において62で示されるように担体層の表面、例えば活性酸素放出・NOx吸収剤61の表面上に接触し、付着する。
【0064】
このように微粒子62が活性酸素放出・NOx吸収剤61の表面上に付着すると微粒子62と活性酸素放出・NOx吸収剤61との接触面では酸素濃度が低下する。酸素濃度が低下すると酸素濃度の高い活性酸素放出・NOx吸収剤61内との間で濃度差が生じ、斯くして活性酸素放出・NOx吸収剤61内の酸素が微粒子62と活性酸素放出・NOx吸収剤61との接触面に向けて移動しようとする。その結果、活性酸素放出・NOx吸収剤61内に形成されている硝酸カリウムKNOがカリウムKと酸素OとNOとに分解され、酸素Oが微粒子62と活性酸素放出・NOx吸収剤61との接触面に向かい、NOが活性酸素放出・NOx吸収剤61から外部に放出される。外部に放出されたNOは下流側の白金Pt上において酸化され、再び活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収される。
【0065】
一方、このとき活性酸素放出・NOx吸収剤61内に形成されている硫酸カリウムKSOもカリウムKと酸素OとSOとに分解され、酸素Oが微粒子62と活性酸素放出・NOx吸収剤61との接触面に向かい、SOが活性酸素放出・NOx吸収剤61から外部に放出される。外部に放出されたSOは下流側の白金Pt上において酸化され、再び活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収される。ただし、硫酸カリウムKSOは安定化しているため、硝酸カリウムKNOに比べ放出しずらい。
【0066】
一方、微粒子62と活性酸素放出・NOx吸収剤61との接触面に向かう酸素Oは硝酸カリウムKNO や硫酸カリウムKSOのような化合物から分解された酸素である。化合物から分解された酸素Oは高いエネルギを有しており、極めて高い活性を有する。従って微粒子62と活性酸素放出・NOx吸収剤61との接触面に向かう酸素は活性酸素Oとなっている。これら活性酸素Oが微粒子62に接触すると微粒子62は短時間のうちに輝炎を発することなく酸化せしめられ、微粒子62は完全に消滅する。従って微粒子62はパティキュレートフィルタ22上に堆積することがない。
【0067】
従来のようにパテイキュレートフイルタ22上に積層状に堆積した微粒子が燃焼せしめられるときにはパティキュレートフィルタ22が赤熱し、火炎を伴って燃焼する。このような火炎を伴う燃焼は高温でないと持続せず、従ってこのような火炎を伴う燃焼を持続させるためにはパティキュレートフィルタ22の温度をを高温に維持しなければならない。
【0068】
これに対して本発明では微粒子62は上述したように輝炎を発することなく酸化せしめられ、このときパティキュレートフィルタ22の表面が赤熱することもない。即ち、云い換えると本発明では従来に比べてかなり低い温度でもって微粒子62が酸化除去せしめられている。従って本発明による輝炎を発しない微粒子62の酸化による微粒子除去作用は火炎を伴う従来の燃焼による微粒子除去作用と全く異なっている。
【0069】
また、微粒子の酸化による微粒子除去作用はかなり低温で行われる。従ってパティキュレートフィルタ22の温度はさほど上昇せず、斯くしてパティキュレートフィルタ22が劣化する危険性はほとんどない。また、パティキュレートフィルタ22上に微粒子がほとんど堆積しないので微粒子の燃えカスであるアッシュが凝集する危険性が少なく、従ってパティキュレートフィルタ22が目詰まりする危険性が少なくなる。
【0070】
ところでこの目詰まりは主に硫酸カルシウムCaSOによって生ずる。即ち、燃料や潤滑油はカルシウムCaを含んでおり、従って排気ガス中にカルシウムCaが含まれている。このカルシウムCaはSO が存在すると硫酸カルシウムCaSOを生成する。この硫酸カルシウムCaSOは固体であって高温になっても熱分解しない。従って硫酸カルシウムCaSO が生成され、この硫酸カルシウムCaSOによってパティキュレートフィルタ22の細孔が閉塞されると目詰まりを生ずることになる。
【0071】
しかしながらこの場合、活性酸素放出・NOx吸収剤61としてカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばカリウムKを用いると活性酸素放出・NOx吸収剤61内に拡散するSOはカリウムKと結合して硫酸カリウムKSOを形成し、カルシウムCaはSOと結合することなくパティキュレートフィルタ22の隔壁54を通過して排気ガス流出通路51内に流出する。従ってパティキュレートフィルタ22の細孔が目詰まりすることがなくなる。従って前述したように活性酸素放出・NOx吸収剤61としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、バリウムBaを用いることが好ましいことになる。
【0072】
ところで白金Ptおよび活性酸素放出・NOx吸収剤61はパティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど活性化するので単位時間当りに活性酸素放出・NOx吸収剤61が放出しうる活性酸素Oの量はパティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど増大する。従ってパティキュレートフィルタ22上において単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量は、パティキュレートフィルタ22の温度が高くなるほど増大する。
【0073】
図9の実線は単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量Gを示している。なお、図9において横軸はパティキュレートフィルタ22の温度TFを示している。単位時間当りに燃焼室5から排出される微粒子の量を排出微粒子量Mと称するとこの排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子Gよりも少ないとき、即ち図9の領域Iでは燃焼室5から排出された全ての微粒子がパティキュレートフィルタ22に接触するや否や短時間のうちにパティキュレートーフィルタ22上において輝炎を発することなく酸化除去せしめられる。
【0074】
これに対し、排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多いとき、即ち図9の領域IIでは全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している。図8(A)〜(C)はこのような場合の微粒子の酸化の様子を示している。
【0075】
即ち、全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している場合には図8(A)に示すように微粒子62が活性酸素放出・NOx吸収剤61上に付着すると微粒子62の一部のみが酸化され、十分に酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留する。次いで活性酸素量が不足している状態が継続すると次から次へと酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留し、その結果図8(B)に示されるように担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われるようになる。
【0076】
担体層の表面を覆うこの残留微粒子部分63は次第に酸化されにくいカーボン質に変質し、斯くしてこの残留微粒子部分63はそのまま残留しやすくなる。また、担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われると白金PtによるNO、SOの酸化作用および活性酸素放出・NOx吸収剤61による活性酸素の放出作用が抑制される。その結果、図8(C)に示されるように残留微粒子部分63の上に別の微粒子64が次から次へと堆積する。即ち、微粒子が積層状に堆積することになる。このように微粒子が積層状に堆積するとこれら微粒子は白金Ptや活性酸素放出・NOx吸収剤61から距離を隔てているためにたとえ酸化されやすい微粒子であってももはや活性酸素Oによって酸化されることがなく、従ってこの微粒子64上に更に別の微粒子が次から次へと堆積する。即ち、排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多い状態が継続するとパティキュレートフィルタ22上には微粒子が積層状に堆積してしまう。
【0077】
このように図9の領域Iでは微粒子はパティキュレートフィルタ22上において輝炎を発することなく短時間のうちに酸化せしめられ、図9の領域IIでは微粒子がパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積する。従って微粒子がパティキュレートフィルタ22上に積層状に堆積しないようにするためには排出微粒子量Mを常時酸化除去可能微粒子量Gとの関係を領域Iの範囲にすることが望ましい。
【0078】
しかしながら実際には全ての運転状態において排出微粒子量Mを酸化除去可能微粒子量Gよりも少くすることはほとんど不可能である。例えば機関始動時には通常パティキュレートフィルタ22の温度は低く、従ってこのときには通常排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多くなる。機関始動直後におけるように排出微粒子量Mの方が酸化除去可能微粒子量Gよりも多くなるとパティキュレートフィルタ22上に酸化されなかった微粒子部分が残留しはじめる。
【0079】
このように運転状況によっては排出微粒子量Mを酸化除去可能微粒子量Gよりも増大して、パティキュレートフィルタ22上に微粒子が積層状に堆積する場合がある。
【0080】
この堆積した微粒子を酸化除去するために、排気管70に配置された切換弁71を切換える。切換弁71が切り換えられると、パティキュレートフィルタ22の排気上流側と排気下流側とが逆転し、切り換え前にパティキュレートフィルタ22の排気下流側であった部分において、微粒子が活性酸素放出・NOx吸収剤61の表面に付着して活性酸素Oが放出され、この微粒子が酸化除去される。この放出される活性酸素Oの一部は、排気ガスと共にパティキュレートフィルタ22の排気下流側へ移動し、ここに堆積する微粒子を酸化除去する。ここでは前述したように、微粒子はパティキュレートフィルタ22の両面で順流方向と逆流方向に撹乱され、パティキュレートフィルタ22の両面で、あるいは基材内部で動き回り、フィルタ基材全体の活性点に出合い酸化される。
【0081】
このようにして酸化されなかった微粒子がパティキュレートフィルタ22に堆積し始めているときに、このパティキュレートフィルタ22の排気上流側と下流側とを逆転することにより、パティキュレートフィルタ22から微粒子を完全に酸化除去することができる。
【0082】
またパティキュレートフィルタ22上に微粒子が堆積した場合は、排気ガスの一部又は全体の空燃比を一時的にリッチにすることにより、堆積した微粒子が輝炎を発することなく酸化せしめられる。排気ガスの空燃比がリッチにされると、即ち排気ガス中の酸素濃度が低下せしめられると活性酸素放出・NOx吸収剤61から外部に活性酸素Oが一気に放出され、これら一気に放出された活性酸素Oによって堆積した微粒子が輝炎を発することなく一気に短時間で燃焼除去せしめられる。
以上が活性酸素放出・NOx吸収剤の活性酸素放出剤としての機能を利用した微粒子浄化メカニズムである。
【0083】
<活性酸素放出・NOx吸収剤によるNOx浄化処理・・・NOx吸放剤としての機能>
次に、活性酸素放出・NOx吸収剤のNOx吸収剤としての機能を利用したNOx浄化作用について説明する。なお、このNOx吸収剤としての機能は、NOx吸収剤として他のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類を用いても同様なメカニズムでNOx浄化作用が行われる。
【0084】
活性酸素放出・NOx吸収剤のNOx浄化作用は図10に示すようなメカニズムで行われているものと考えられている。なお、図10(A)および(B)において60は白金Ptの粒子を示しており、61はカリウムKを含んでいる活性酸素放出・NOx吸収剤を示している。
【0085】
まず、流入排気ガスの空燃比がかなりリーンになると流入排気ガス中の酸素濃度が大巾に増大し、図10(A)に示されるように酸素O がO 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着する。一方、流入排気ガスに含まれるNOは、白金Ptの表面上でO 又はO2−と反応し、NO となる(2NO+O →2NO )。
【0086】
次いで、生成されたNO は、白金Pt上で酸化されつつ活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収されてカリウムKと結合しながら、図10(A)に示されるように硝酸イオンNO の形で活性酸素放出・NOx吸収剤61内に拡散する。このようにしてNOxが活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収される。
【0087】
流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO が生成され、活性酸素放出・NOx吸収剤61のNOx 吸収能力が飽和しない限り、NO が活性酸素放出・NOx吸収剤61内に吸収されて硝酸イオンNO が生成される。
【0088】
これに対して、排気空燃比が理論空燃比またはリッチになると流入排気ガス中の酸素濃度が低下するため、NO の生成量が低下し、反応が逆方向(NO →NO)に進み、活性酸素放出・NOx吸収剤61内の硝酸イオンNO がNOまたはNOの形で活性酸素放出・NOx吸収剤61から放出される。即ち、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると、活性酸素放出・NOx吸収剤61からNOxが放出されることになる。
【0089】
一方、このとき、排気ガス中のHC,COは、白金Pt上の酸素O 又はO2−と反応して酸化せしめられる。また、流入排気ガス中の酸素濃度の低下により活性酸素放出・NOx吸収剤61から放出されたNOまたはNOは、図10(B)に示されるように未燃HC、COと反応して還元せしめられてNとなる。
【0090】
即ち、流入排気ガス中のHC,COは、まず白金Pt上の酸素O 又はO2−とただちに反応して酸化せしめられ、次いで白金Pt上の酸素O 又はO2−が消費されてもまだHC,COが残っていれば、このHC,COによって活性酸素放出・NOx吸収剤61から放出されたNOxおよび内燃機関から排出されたNOxがNに還元される。
【0091】
このようにして白金Ptの表面上にNO またはNOが存在しなくなると、活性酸素放出・NOx吸収剤61から次から次へとNO またはNOが放出され、さらにN に還元せしめられる。したがって、排気ガスの空燃比を理論空燃比またはリッチにすると短時間のうちに活性酸素放出・NOx吸収剤61からNOxが放出され、N に還元される。
【0092】
このように、排気ガスの空燃比がリーンになるとNOxが活性酸素放出・NOx吸収剤61に吸収され、排気ガスの空燃比を理論空燃比あるいはリッチにするとNOxが活性酸素放出・NOx吸収剤61から短時間のうちに放出され、N に還元される。したがって、大気中へのNOxの排出を阻止することができる。
【0093】
ところで、前述したようにこの圧縮着火式内燃機関では、通常はストイキ(理論空燃比、A/F=14.6)よりもはるかにリーン域で燃焼が行われるので、通常の機関運転状態ではフィルタ22に流入する排気ガス(即ち、活性酸素放出・NOx吸収剤61に流入する排気ガス)の空燃比は非常にリーンであり、排気中のNOxは活性酸素放出・NOx吸収剤61に吸収され、活性酸素放出・NOx吸収剤61から放出されるNOx量は極めて少ない。
【0094】
したがって、圧縮着火式内燃機関では、活性酸素放出・NOx吸収剤61のNOx吸収能力が飽和する前に所定のタイミングで、排気ガス中に還元剤を供給して排気ガス中の酸素濃度を低下せしめ、活性酸素放出・NOx吸収剤61に吸収されたNOxを放出させNに還元する必要がある。
【0095】
そのため、この実施の形態では、ECU30が内燃機関の運転状態の履歴から活性酸素放出・NOx吸収剤61に吸収されたNOx量を推定し、その推定NOx量が予め設定した所定値に達したときに、排気ガスの空燃比を一時的にリッチにして酸素濃度を低下せしめると同時に還元剤を供給するようにしている。このように排気ガスの空燃比を一時的にリッチにすることを一般にリッチスパイクと称している。
【0096】
この実施の形態では、内燃機関の膨張行程あるいは排気行程において気筒内に燃料を副噴射することによりリッチスパイクを実現する。なお、リッチスパイクは、フィルタ22より上流の排気通路70内に燃料を供給することによっても実現可能である。
【0097】
このように、活性酸素放出・NOx吸収剤61のNOx吸収能力が飽和する前に所定のタイミングでリッチスパイクを実行することにより、排気ガス中のNOxを連続して浄化することができ、NOxを大気に放出させるのを阻止することができる。
以上が活性酸素放出・NOx吸収剤61のNOx吸放剤としての機能を利用したNOx浄化メカニズムである。
【0098】
したがって、活性酸素放出・NOx吸収剤61を用いた場合、フィルタ22に流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには、排気ガス中に含まれるNOxは活性酸素放出・NOx吸収剤61に吸収され、排気ガス中に含まれる微粒子が活性酸素放出・NOx吸収剤61に付着するとこの微粒子は活性酸素放出・NOx吸収剤61から放出される活性酸素によって短時間のうちに酸化除去せしめられる。つまり、このときには排気ガス中の微粒子およびNOxの双方が大気中に排出されるのを阻止することができることになる。
【0099】
一方、フィルタ22に流入する排気ガスの空燃比がリッチになると、活性酸素放出・NOx吸収剤61からNOxが放出される。このNOxは未燃HC,COにより還元され、斯くしてこのときにもNOxが大気中に排出されることがない。また、このときフィルタ22上に微粒子が堆積していた場合には、この微粒子は活性酸素放出・NOx吸収剤61から放出される活性酸素によって酸化除去せしめられる。
【0100】
次に、NOxの還元と微粒子の酸化とを運転状況に応じてより効果的に行うための排気ガス流の切換え制御について、図11及び図12のフローチャートに従って説明する。
【0101】
図11に示すフローチャートは、排気ガス流切換制御ルーチンを示すものであり、この排気ガス流切換制御ルーチンは、予めECU30のROM32に記憶されており、一定時間毎にCPU34によって実行される。
【0102】
処理がスタートすると、CPU34は、ステップ101において、燃料カットを含む減速時か否かを判定する。車両が燃料カットを含む減速時であるか否かの判定は、車両に備えたGセンサ、アクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサ、エンジン回転数センサ(クランク角センサ)、スロットル開度センサ等により判定する。
【0103】
CPU34は、ステップ101において、燃料カットを含む減速時であると判定した場合(ステップ101:YES)、ステップ102に進み、一方、燃料カットを含む減速時でないと判定した場合(ステップ101:NO)はリターンとなりスタート位置に戻る。燃料カットを含む減速時の場合は、排気ガス温度が低くフィルタを冷却することになり、微粒子の酸化除去能力を低下させるおそれがあるため、バイパスさせる必要がある。
【0104】
このため、CPU34は、次のステップ102において、排気切換弁71に若干傾きを与えてバイパス状態とし、ケーシング23内にわすかなガスの流れを作る。すると、SVが低下した状態となる。この状態で還元剤をフィルタに供給すると、活発な酸化反応が生じ、フィルタ温度が上昇して、微粒子の酸化を促進できる。また、フィルタに流れる排気ガス流量が小さいバイパスする時期を狙ってNOx放出のための還元剤供給処理を行っているため、わずかな還元剤量でNOxを放出させることができる。
【0105】
NOx放出が完了すると、還元剤の供給は停止される。しかし、CPU34は、ステップ103において、還元剤供給終了後、所定期間tの間だけ、排気ガスの一部のみをフィルタ22に導き、他の排気ガス流量をバイパス通路73に流すように排気切換弁71を維持させる制御を行う。なお、所定期間tはフィルタ22に残存する還元剤を酸化するのに必要な時間であり、予めRAM33に登録してあるものとする。図13は上記の如く制御されたときの触媒出口のNOx濃度を示している。減速毎にフィルタに流される排気ガスをバイパスし、かつこのとき還元剤を供給することで、NOx許容値を越えないで、運転することができる。
【0106】
還元剤として燃料を使用する場合、この燃料は反応性の低いHCを含むので、還元剤供給終了後はフィルタに多くのHCが残存している。この状態で、還元剤供給終了後、直ちに排気切換弁71で排気ガスの流れを切り換えてしまうと、多量のHCが外部に放出される危険がある。そこで、この制御により、HC放出を阻止するため、還元剤供給終了後も所定期間tだけ排気切換弁71をそのままの状態に保持し、酸素を含んだリーンの排気ガスを取り込んでHCの酸化を促進させる。なお、上記実施の形態では、減速毎に還元剤を供給するようにしているが、推定されたNOx吸蔵量が小さいときには、必ずしも還元剤を供給する必要はない。
【0107】
CPU34は、所定期間t終了後、NOx放出による還元処理を終了(ステップ104)し、リターンしてスタート位置に戻る。
【0108】
図11のフローチャートでは減速運転時にNOx 還元剤を供給するNOx 還元制御を行う場合を説明したが、減速運転時にNOx 還元剤を供給する制御では、高速走行時など燃料カットが継続して発生しない運転の場合、NOx 還元制御が不可能となる。そこで、次に、減速状態、あるいは燃料噴射量が設定値以下の状態が所定時間以上にわたり発生しないときには、強制的にNOx 還元剤を供給するNOx 還元制御を、図12のフローチャートに基づき説明する。
【0109】
図12に示すフローチャートも、排気ガス流切換制御ルーチンを示すものであり、予めECU30のROM32に記憶されており、一定時間毎にCPU34によって実行される。
【0110】
処理がスタートすると、CPU34は、ステップ201において、NOx許容値の判定を行う。
NOx許容値の判定方法は上述の通りである。
【0111】
図14は高速走行時にNOxセンサの出NOx濃度を時間の経過と共に示したものである。この実施の形態では、図14に示すように、NOx許容値Lを予め決めてRAM33に登録しておき、このNOx許容値Lを基準にCPU34がNOx許容値の判定をするものとする。
【0112】
CPU34は、ステップ201において、出NOx濃度が許容値Lより高いと判定した場合(ステップ201:YES)、処理がステップ202に進み、一方、出NOx濃度が許容値Lより低いと判定した場合(ステップ201:NO)はリターンとなる。
【0113】
次に、CPU34は、ステップ202において、ステップ102と同様に、排気切換弁71に若干傾きを与えてバイパス状態とし、ケーシング23内にわすかなガスの流れを作る。この状態で還元剤をフィルタに供給すると、活発な酸化反応が生じ、フィルタ温度が上昇して、微粒子の酸化を促進できる。また、フィルタに流れる排気ガス流量が小さいバイパスする時期を狙ってNOx放出のための還元剤供給処理を行っているため、わずかな還元剤量でNOxを放出させることができる。
【0114】
NOx放出が完了すると、還元剤の供給は停止される。しかし、CPU34は、ステップ203において、還元剤供給終了後所定時間t、排気ガスの一部のみをフィルタ22に導き、他の排気ガス流量をバイパス通路73に流すように排気切換弁71を維持させる制御を行う。この制御により、しばらくは排気ガスの大部分はバイパスさせておくことで、フィルタに吸着された還元剤を酸化することができる。
【0115】
CPU34は、所定時間t終了後、NOx放出による還元処理を終了(ステップ204)し、リターンしてスタート位置に戻る。
【0116】
なお、本出願に係る発明において、フィルタの微粒子酸化除去量が小さくなると予想されるときを、上述の減速時の他、燃料噴射量が小の時として構成してもよい。
【0117】
また、上記実施の形態においては、排気浄化装置にフィルタを1個設けた場合を説明したが、本発明は排気浄化装置にフィルタを複数設けた場合を含む。
【0118】
例えば、別の実施の形態として、図15は排気浄化装置にフィルタ22a,22bを隣接して2個装着した場合を示し、図15(a)は排気浄化装置の平面図であり、図15(b)は排気浄化装置の側面図である。
【0119】
図15に示すように、フィルタ22a,22b間に燃料添加ノズル80aが設けられている。このように、燃料添加ノズル80aをフィルタ22a,22b間に設けて還元剤の供給を行う場合は、フィルタ22a,22b間で還元雰囲気が形成される。従って、前述の実施の形態のように、フィルタを還元雰囲気にすべく排気切換弁71を傾ける必要はなく、排気切換弁71を完全に中間位置に制御すればよので排気切換弁71の制御が容易となる。なお、図15において、図3の符号と同じ符号のものは同一の機能を有するものなので、その説明は省略する。
【0120】
また、図16は排気浄化装置にフィルタ22c,22dを直列で2個装着した場合を示し、図16(a)は排気浄化装置の平面図であり、図16(b)は排気浄化装置の側面図である。
【0121】
この別の実施の形態の場合、図16に示すように、第1の排気通路側にフィルタ22cが設けられ、第2の排気通路側にフィルタ22dが設けられている。燃料添加ノズル80bはフィルタ22c,22dの中間位置の排気通路上に設けられている。このように、燃料添加ノズル80bをフィルタ22c,22d間に設けて還元剤の供給を行う場合も、フィルタ22c,22d間で還元雰囲気が形成される。従って、排気切換弁71を中間位置に制御すればよので排気切換弁71の制御が容易となる。なお、図16において、図3の符号と同じ符号のものは同一の機能を有するものなので、その説明は省略する。
【0122】
また、本発明は、フィルタ22に形成された担体の層上に白金Ptのような貴金属触媒とNOx吸収剤を坦持した場合にも成立する。ただし、この場合には、酸化除去可能微粒子量Gを示す実線は図9に示す実線に比べて若干右側に移動する。この場合には白金Ptの表面上に保持されるNOまたはSOから活性酸素が放出される。
【0123】
また、活性酸素放出剤としては、NOまたはSOを吸着保持しこれら吸着されたNOまたはSOから活性酸素を放出し得る触媒を用いることもできる。
【0124】
本発明の装置によれば、フィルタの還元雰囲気を、排気切換弁に中間位置より若干傾きを与えて排気浄化装置内にわすかな排気ガスの流れを作ることにより形成し、この低SV状態で還元剤をフィルタに供給するように構成したので、わずかな還元剤量でNOxを放出させることができ、NOx還元が促進できる。
【0125】
また、減速状態、あるいは燃料噴射量が設定値以下の状態が所定時間以上にわたり発生しないときでも、強制的に前記排気ガスの一部のみを前記フィルタに導いて還元剤を供給するように構成したので、高速走行時のように長時間排気ガスの流量をバイパス通路に流すことがない場合であっても、強制的にNOx放出処理を行わせることができる。
【0126】
更に、制御手段は、前記還元剤供給終了後所定期間、前記排気ガスの一部のみを前記フィルタに導き、他の排気ガス流量を前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を維持させる制御を行うように構成したので、フィルタに吸着した還元剤(HC)を酸素を含んだリーンの排気ガスで酸化させてから放出できるので、HCの放出を阻止することができる。
【0127】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、NOx の還元と微粒子の酸化を運転状況に応じてより効果的に行うことができ、またNOx 還元終了後において燃料等の還元剤が未処理のまま外部に放出されることがない内燃機関の排気浄化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】機関の要求トルクを示す図である。
【図3】排気浄化装置を示す上面図である。
【図4】排気浄化装置を示す正面図である。
【図5】(A)はフィルタ基材に微粒子が堆積する状態を示すイメージ図であり、(B)は排気ガスの順流、逆流による微粒子の撹乱状態を示すイメージ図である。
【図6】パティキュレートフィルタを示す図である。
【図7】微粒子の酸化作用を示す概念図である。
【図8】微粒子の堆積作用を示す概念図である。
【図9】酸化除去可能微粒子量とパティキュレートフィルタの温度との関係を示す図である。
【図10】NOxの浄化作用を示す概念図である。
【図11】実施の形態における排気ガス流切換制御を示したフローチャート図である。
【図12】別の実施の形態における排気ガス流切換制御を示したフローチャート図である。
【図13】減速運転時にNOxセンサで検出した出NOx濃度を時間の経過と共に示したものである。
【図14】高速走行時にNOxセンサで検出した出NOx濃度を時間の経過と共に示したものである。
【図15】排気浄化装置にフィルタを隣接して2個装着した場合を示し、図15(a)は排気浄化装置の平面図であり、図15(b)は排気浄化装置の側面図である。
【図16】排気浄化装置にフィルタを直列に2個装着した場合を示し、図16(a)は排気浄化装置の平面図であり、図16(b)は排気浄化装置の側面図である。
【符号の説明】
6…燃料噴射弁
22…パティキュレートフィルタ
30…ECU
61…活性酸素放出・NOx吸収剤(NOx吸収剤、活性酸素放出剤)
70…排気管
71…排気切換弁(排気切換手段)
72…アクチュエータ
73…バイパス通路
75…制御手段
76…第1の排気通路
77…第2の排気通路
80…燃料添加ノズル(還元剤供給手段)

Claims (5)

  1. 流入する排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤と、排気ガス中の微粒子の酸化を促進する活性酸素放出剤とが担持され、排気ガス中の微粒子を一時期捕獲可能なフィルタと、
    前記フィルタの一方側から排気ガスを流す第1の流れと前記フィルタの他方側から排気ガスを流す第2の流れとを交互に切換え可能であり、切換え途中では排気ガスが前記フィルタを迂回するバイパス通路に流す排気切換手段と、
    この排気切換手段により排気の流れを交互に切り換えられる排気通路の分岐点と前記フィルタ上流の排気通路との間に設けられた還元剤供給手段と、
    前記内燃機関が搭載された車両の減速時、または燃料噴射量が小であるため前記フィルタの微粒子酸化除去量が小さくなると予想されるときは、前記排気ガスの一部のみを、前記還元剤を供給する側の排気通路を介して前記フィルタへ導き、その他の排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を制御すると共に、前記フィルタを還元雰囲気にすべく前記還元剤を供給するように前記還元剤供給手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記減速時、または燃料噴射量が小の状態が一定時間以上にわたり生じないときは、強制的に前記排気ガスの一部のみを前記フィルタを導き、その他の排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を制御すると共に、前記フィルタの還元雰囲気にすべく前記還元剤を供給するように前記還元剤供給手段を制御する請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記減速時、または燃料噴射量が小の状態が一定時間以上にわたり生じないとき、所定のNOx 許容値を基準に強制的に前記排気切換手段および前記還元剤供給手段を制御する請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記還元剤の供給後の所定時間にわたり前記排気ガスの一部のみを前記フィルタを導き、その他の排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を維持させる制御を実施する請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 流入する排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤と、排気ガス中の微粒子の酸化を促進する活性酸素放出剤とが担持され、排気ガス中の微粒子を一時期捕獲可能な複数のフィルタと、
    前記フィルタの一方側から排気ガスを流す第1の流れと前記フィルタの他方側から排気
    ガスを流す第2の流れとを交互に切換え可能であり、切換え途中では排気ガスが前記フィルタを迂回するバイパス通路に流す排気切換手段と、
    前記複数のフィルタ間に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記フィルタの微粒子酸化除去量が小さくなると予想されるときは、前記排気ガスを前記バイパス通路に流すように前記排気切換手段を制御すると共に、前記フィルタを還元雰囲気にすべく前記還元剤を供給するように前記還元剤供給手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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