JP3544253B2 - 原動機制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に設けられ、原動機の回転数を制御するのに好適に用いられる原動機制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ショベル等の建設機械にあっては、ディーゼルエンジン等からなる原動機と、該原動機に付設され、ガバナレバーの回動角に応じて該原動機の回転数を増減させるガバナと、該ガバナのガバナレバーを回動させるステッピングモータと、前記ガバナレバーの回動角を検出し検出信号を出力する回動角検出手段と、前記原動機の目標回転数を指令する回転数指令手段と、該回転数指令手段からの指令信号と前記回動角検出手段からの検出信号とに基づいて、前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し該ステッピングモータを駆動制御するコントローラとからなる原動機制御装置が設けられている。
【0003】
この種の従来技術による原動機制御装置では、例えば原動機の始動時等に予め決められた基準位置(例えば原動機のアイドル位置)に該当する駆動パルス信号のパルス数を演算し、その後は回転数指令手段からの指令信号に基づいて駆動パルス信号のパルス数を増減させることにより、原動機の回転数が目標回転数に対応した回転数となるように原動機制御を行っている。
【0004】
即ち、原動機の回転数制御を行う場合に、前記回動角検出手段でガバナレバーの回動角を常に検出しつつ、該回動角検出手段からの検出信号に基づいて原動機の回転数制御を続行しようとすると、例えばポテンショメータ等からなる回動角検出手段は図5に示す如く、取付け誤差や検出精度のバラツキ、さらには外部からの電波ノイズの影響等により、ガバナレバーの回動角θに対して検出信号の信号値(検出値V)に微小な変動が生じることが多いために、ガバナレバーの回動角θを誤って検出することがあり、原動機の回転数制御を正確に行うことが難しい。また、回動角検出手段の高精度化(ヒステリシスの縮小、出力ゲインの一定化等)を図るようにすると、大きなコストアップを招いてしまい実用に適さないものとなる。
【0005】
そこで、従来技術では、原動機の始動時にオペレータが原動機の始動スイッチを閉成(ON)操作すると、まず電源からの電圧をコントローラを介してステッピングモータに投入することにより、該ステッピングモータでガバナレバーを初期位置から、例えば最高回転数位置(フル位置)側に向けて回動すると共に、このときに回動角検出手段により前記基準位置の検出を行い、その後はこれを基準として駆動パルス信号のパルス数を増減させることにより、原動機の回転数制御を続行するようにしている。
【0006】
この場合、原動機の始動時における基準位置の検出動作は、前記ガバナレバーの初期位置が基準位置よりを小さいときに、ガバナレバーの回動角を増大させる方向にステッピングモータを駆動して基準位置の検出を行い、逆にガバナレバーの初期位置が基準位置よりを大きいときには、ガバナレバーの回動角を減少させる方向にステッピングモータを駆動して基準位置の検出を行うようにしている。
【0007】
そして、この間にコントローラからステッピングモータに出力される駆動パルス信号のパルス数を計数すると共に、回動角検出手段から出力されるガバナレバーの回動角に対応した検出信号の信号値を取込み、この駆動パルス信号のパルス数と検出信号の信号値とに基づき前記基準位置における駆動パルス信号のパルス数を演算(算定)するようにしている。
【0008】
次に、この状態でオペレータが燃料レバー(スロットルレバー)、ダイヤルやアップダウンスイッチ等の回転数指令手段を操作して原動機の目標回転数を指令すると、このときの指令信号に基づいた駆動パルス信号(前記基準位置に対して比例的にパルス数を増減させた駆動パルス信号)をコントローラからステッピングモータに出力する。
【0009】
そして、ステッピングモータは駆動パルス信号のパルス数に応じて正,逆転することによりガバナレバーを増速,減速方向に回動し、これによって原動機の回転数を前記目標回転数に対応した回転数まで増減させ、遠隔操作による原動機の回転数制御を行うようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、オペレータが原動機の始動スイッチを開成(OFF)操作し原動機を停止させる途中で、原動機が完全に停止する前に再び始動スイッチを閉成(ON)操作して原動機を始動させることがある。そして、このようなときにはガバナレバーの回動角(初期位置)が基準位置よりも大きい回動位置となる場合が多く、この場合にはガバナレバーの回動角を減少させる方向にステッピングモータを駆動して基準位置の検出を行う必要が生じる。
【0011】
一方、オペレータが原動機の始動スイッチを開成(OFF)操作して原動機を完全に停止させたときには、ガバナレバーが最低回転数(例えば回転数が零の状態)位置まで回動されるから、この状態で再び始動スイッチを閉成(ON)操作して原動機を始動させた場合には、ガバナレバーの回動角(初期位置)が基準位置よりも小さい回動位置となり、この場合にはガバナレバーの回動角を増大させる方向にステッピングモータを駆動して基準位置の検出を行う。
【0012】
しかし、前記ガバナレバーの回動角を検出する回動角検出手段は、例えばポテンショメータ等によって構成されているから、回動角検出手段の検出信号(検出値V)は図6に例示する如く、ガバナレバーの回動角θに対してヒステリシス特性を持つようになり、回動角θの増大時と減少時とでは検出信号の信号値(検出値V)に偏差ΔVが生じてしまう。
【0013】
このため、従来技術では、ガバナレバーの回動角θを増大させる方向にステッピングモータを駆動して基準位置の検出を行う場合と、回動角θを減少させる方向にステッピングモータを駆動して基準位置の検出を行う場合とで基準位置にズレが発生することがあり、その後の原動機の回転数制御を正確に行うことが難しくなるという問題がある。
【0014】
また、従来技術では、例えばステッピングモータの脱調等が原因となって、原動機の始動時における前記ガバナレバーの初期位置が基準位置よりも大きい回動位置(高い回転数位置)になってしまうことがあり、この場合にもガバナレバーを初期位置から基準位置へと減速方向に回動して、基準位置の検出動作を行う必要があり、原動機を完全に停止させた後に行われる通常の始動時制御とこの場合とでは基準位置にズレが生じ、原動機の回転数制御を安定させて正確に行うことが難しいという問題がある。
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は原動機の始動時等に行う基準位置の検出動作(検出処理)を正確に行うことができ、その後の回転数制御を遠隔操作により安定させて実行できると共に、原動機の始動性を高めて、信頼性や安全性を確実に向上できるようにした原動機制御装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、原動機と、該原動機に付設され、ガバナレバーの回動角に応じて該原動機の回転数を増減させるガバナと、該ガバナのガバナレバーを回動させるステッピングモータと、前記ガバナレバーの回動角を検出し検出信号を出力する回動角検出手段と、前記原動機の目標回転数を指令する回転数指令手段と、該回転数指令手段からの指令信号と前記回動角検出手段からの検出信号とに基づいて、前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し該ステッピングモータを駆動制御するコントローラと、前記原動機を始動,停止させるために閉成,開成されるスイッチ手段とからなる原動機制御装置に適用される。
【0017】
そして、請求項1に記載の発明は、前記コントローラに、前記原動機の始動時に前記ステッピングモータの駆動制御を開始するための基準位置を、前記原動機の予め決められた低回転数位置付近に該当する前記ガバナレバーの回動角として記憶する記憶手段と、前記スイッチ手段の閉成時に前記回動角検出手段から出力される検出信号を、前記基準位置よりも小さい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が大きいか否かを判定する閉成時判定手段と、該閉成時判定手段で検出信号が判定値よりも大きいと判定したときに、前記ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より小さいと判定すると、その後は前記ガバナレバーの回動角を増大させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続ける駆動信号出力手段と、該駆動信号出力手段から駆動パルス信号を出力しているときに、前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したか否かを検出し、該基準位置に達したときに前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始させる基準位置検出制御手段とを設けたことを特徴としてなる構成を採用している。
【0018】
この場合、請求項2に記載の発明では、前記記憶手段で記憶した基準位置は、前記原動機の予め決められた低回転数位置に該当する前記ガバナレバーの回動角よりも、少なくとも前記回動角検出手段のヒステリシス特性で定まる回動角分だけ大きい値に設定してなる構成としている。
【0019】
また、請求項3に記載の発明では、前記スイッチ手段の閉成,開成に応じて前記コントローラへの給電,停止を行う給電制御手段を備え、かつ前記ガバナには、少なくとも原動機の停止位置で前記ガバナレバーの減速方向への回動を停止させる停止側ストッパを設け、前記コントローラは、前記スイッチ手段が開成状態に保持される間、少なくとも該停止側ストッパにガバナレバーが当接するまで該ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続ける停止時制御を行い、この停止時制御により前記ガバナレバーが停止側ストッパに当接した後に前記給電制御手段によりコントローラへの給電を停止させる構成としている。
【0020】
さらに、請求項4に記載の発明では、前記コントローラに、前記原動機の始動時に前記ステッピングモータの駆動制御を開始するための基準位置を、前記原動機の予め決められた低回転数位置付近に該当する前記ガバナレバーの回動角として記憶する記憶手段と、前記スイッチ手段の閉成時に前記回動角検出手段から出力される検出信号を、前記基準位置よりも大きい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が小さいか否かを判定する閉成時判定手段と、該閉成時判定手段で検出信号が判定値よりも小さいと判定したときに、前記ガバナレバーの回動角を増大させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より大きいと判定すると、その後は前記ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続ける駆動信号出力手段と、該駆動信号出力手段から駆動パルス信号を出力しているときに、前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したか否かを検出し、該基準位置に達したときに前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始させる基準位置検出制御手段とを設けたことを特徴としてなる構成を採用している。
【0021】
【作用】
上記構成により、請求項1に記載の発明では、原動機の始動時にステッピングモータの駆動制御を開始するための基準位置を、前記原動機の予め決められた低回転数位置付近に該当するガバナレバーの回動角として記憶手段に記憶させ、閉成時判定手段ではスイッチ手段の閉成時に回動角検出手段から出力される検出信号を、前記基準位置よりも小さい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が大きいか否かを判定するから、例えばオペレータがスイッチ手段を開成(OFF)操作し原動機を停止させる途中で、原動機が完全に停止する前に再びスイッチ手段を閉成(ON)操作して原動機を始動させるようなときに、ガバナレバーの回動角(初期位置)が前記基準位置よりも小さい一定の判定値を越えて大きくなっている場合には、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値よりも大きいとして正確に判定することができる。
【0022】
そして、この場合には、前記ガバナレバーの回動角を減少させるように駆動信号出力手段からステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、ガバナレバーの回動角(回動位置)を前記基準位置よりも小さい一定の判定値以下まで一旦は必ず下げることができる。
【0023】
次に、ガバナレバーの回動角(回動位置)が前記判定値以下となり、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より小さいと判定したときには、前記ガバナレバーの回動角を増大させるように前記駆動信号出力手段からステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続け、ガバナレバーの回動角(回動位置)を前記基準位置まで増大させることができる。そして、基準位置検出制御手段では、前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したことを検出すると、例えば前記駆動信号出力手段による駆動パルス信号の出力を停止させることによって、前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始できる。
【0024】
また、原動機を完全に停止させた状態でスイッチ手段を閉成したときには、ガバナレバーが最低回転数(例えば回転数が零の状態)位置まで回動され、ガバナレバーの回動角(初期位置)が前記判定値よりも小さくなっているから、この場合には前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より小さいと最初から判定でき、前記駆動信号出力手段からステッピングモータに駆動パルス信号を出力することにより、前記ガバナレバーの回動角(回動位置)を前記基準位置まで増大させ、前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始できる。
【0025】
この結果、原動機の始動時にガバナレバーの回動角(初期位置)がいかなる位置にある場合でも、ガバナレバーの回動角を常に増大させる方向にステッピングモータを駆動している途中で基準位置の検出を行うことができ、原動機の始動時における基準位置の検出動作(検出処理)を正確に行うことができる。
【0026】
この場合、請求項2に記載の発明では、前記原動機の予め決められた低回転数位置(例えばアイドル位置)に該当する前記ガバナレバーの回動角よりも、少なくとも前記回動角検出手段のヒステリシス特性で定まる回動角分だけ大きい値になるように基準位置を設定しているから、前記回動角検出手段で検出した基準位置がヒステリシス特性の影響で前記低回転数位置よりも小さい値として誤って検出されるのを防止でき、原動機の始動時の制御を常に前記低回転数位置よりも高い回転数位置で開始することができる。
【0027】
また、請求項3に記載の発明では、前記スイッチ手段の閉成,開成に応じて前記コントローラへの給電,停止を行う給電制御手段を備えると共に、少なくとも原動機の停止位置で前記ガバナレバーの減速方向への回動を停止させる停止側ストッパをガバナに設ける構成としているから、前記スイッチ手段が開成された後にも開成状態が保持されるときには、ガバナレバーが停止側ストッパに少なくとも当接するまで、ガバナレバーの回動角を減少させる方向でステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続けるようにコントローラに給電を行うことができ、コントローラによる停止時制御を安定させて実行できる。
【0028】
そして、この停止時制御により前記ガバナレバーが停止側ストッパに当接した状態に保持でき、原動機を安定させて停止できると共に、その後に前記給電制御手段によってコントローラへの給電を自動的に停止させることができる。
【0029】
一方、前記スイッチ手段を開成した後に原動機が完全に停止する前に、再びスイッチ手段を閉成させた場合には、コントローラへの給電を続行したままで、再び原動機の始動時制御を再開することができ、コントローラへの給電,停止が余分に繰返されるような事態をなくすことができる。
【0030】
さらに、請求項4に記載の発明では、原動機の始動時にガバナレバーの回動角(初期位置)がいかなる位置にある場合でも、ガバナレバーの回動角を常に減少させる方向にステッピングモータを駆動している途中で基準位置の検出を行うことができ、原動機の始動時における基準位置の検出動作(検出処理)を正確に行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例による原動機制御装置を図1ないし図4に基づいて説明する。
【0032】
図において、1は油圧ショベル等の建設機械に搭載される原動機としてのディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)、2は該エンジン1に付設されたガバナを示し、該ガバナ2には図1に示すように、支軸3Aを中心にして増速H方向または減速L方向に回動されるガバナレバー3と、該ガバナレバー3の回動範囲を規制する上限ストッパ4,下限ストッパ5とが設けられ、該下限ストッパ5は停止側ストッパを構成している。
【0033】
ここで、該ガバナ2はガバナレバー3が後述のステッピングモータ7で増速H方向または減速L方向に回動されることにより、ガバナレバー3の回動角に応じてエンジン1の回転数を増大または減少させる。そして、ガバナレバー3が上限ストッパ4に当接したときに、ガバナ2はエンジン1の回転数を最高回転数(フル回転数)に設定し、ガバナレバー3が下限ストッパ5に当接したときに、エンジン1の回転数を最低回転数(例えばアイドル回転数よりも低い回転数が零の位置)に設定する。
【0034】
6はガバナレバー3を下限ストッパ5側に向けて常時付勢した付勢手段としてのばねを示し、該ばね6はステッピングモータ7の保持力よりも小さいばね力をもってガバナレバー3を減速L方向に向けて付勢し、例えばエンジン1の停止時等にステッピングモータ7の保持力が失われると、ガバナレバー3を下限ストッパ5に当接する位置までばね力によって移動させるものである。
【0035】
7はガバナレバー3を回動させるステッピングモータを示し、該ステッピングモータ7の出力軸には回動レバー7Aが一体的に取付けられ、該回動レバー7Aはリンク8を介してガバナレバー3に連結されている。そして、該ステッピングモータ7は後述のコントローラ15から駆動パルス信号(パルス信号)が出力されることにより、この駆動パルス信号のパルス数に応じて正転または逆転し、リンク8を介してガバナレバー3を増速H方向または減速L方向に回動させるものである。
【0036】
ここで、ステッピングモータ7は外部からの給電により駆動パルス信号のパルス数に応じて回転し、駆動パルス信号の出力が停止したときにも電圧が印加(給電)されている間は一定の保持力(停止トルク)をもってガバナレバー3を任意の回動位置に停止させ、その回動位置を保持するものである。そして、エンジン1の停止時等に電圧の印加(給電)が遮断されたときに、ステッピングモータ7は前記保持力が失われ、ガバナレバー3がばね6によって下限ストッパ5の位置まで移動されるのを許すようになっている。
【0037】
また、ステッピングモータ7はコントローラ15からの駆動パルス信号によって、通常時では前記ばね6のばね力よりも大きな回転力(回転トルク)をもって回転するが、このときの回転トルクは停止時の保持力(停止トルク)よりも小さなトルクになるという特性を持っている。そして、ステッピングモータ7の回転途中で後述のバッテリ13等から給電される電圧レベルが低下したときには、電圧レベルの低下によりステッピングモータ7の回転力(回転トルク)も低下し、このときの回転力がばね6のばね力よりも小さくなると、ステッピングモータ7は外力(ばね6)によって前記駆動パルス信号に追従した回転ができずに、ばね力で強制回転されるようになり、所謂脱調状態となってしまう。
【0038】
なお、ステッピングモータ7はガバナレバー3が上限ストッパ4または下限ストッパ5に強く衝突したとき等にも、外部からの衝撃によってステッピングモータ7が脱調状態になることがある。
【0039】
9はガバナレバー3の回動角を検出する回動角検出手段としてのガバナ角センサを示し、該ガバナ角センサ9は例えばポテンショメータ等によって構成され、その検出レバー9Aがガバナレバー3およびステッピングモータ7の回動レバー7Aにリンク10等を介して連結されている。そして、該ガバナ角センサ9はガバナレバー3の回動角を検出し、このときの検出信号(電圧信号)を検出値Vの信号値としてコントローラ15に出力するものである。
【0040】
ここで、ガバナ角センサ9からの検出値Vとガバナレバー3の回動角θとは、図4に例示する如く予め決められた一定の関係(例えば比例関係)を有するように設定され、エンジン1の予め決められた低回転数位置となるアイドル位置θi では、ガバナ角センサ9からの検出値Vが一定の電圧値Vi (例えば2.5ボルト程度)となるように予め初期設定されている。また、エンジン1の最低回転数位置となる停止位置θs ではガバナ角センサ9からの検出値Vが、例えば一定の電圧値Vs となり、エンジン1の最高回転数位置となるフル位置θf ではガバナ角センサ9からの検出値Vが一定の電圧値Vf となる。
【0041】
なお、ガバナ角センサ9は図6に例示したようなヒステリシス特性を有し、ステッピングモータ7でガバナレバー3を増速方向Hまたは減速方向Lに回動するときに、回動角θの増大時と減少時とでは検出信号の信号値(検出値V)に偏差ΔVが生じてしまうものである。
【0042】
11はエンジン1の回転数を外部から遠隔操作によって指令する回転数指令手段としての指令装置を示し、該指令装置11は建設機械の運転室(図示せず)内に設けられた、例えば燃料レバー(スロットルレバー)、ダイヤルまたはアップダウンスイッチ等により構成されている。そして、該指令装置11は運転者の手動操作等により操作量に応じた回転数の指令信号をコントローラ15に出力し、これによってエンジン1の目標回転数を指令するものである。
【0043】
12はエンジン1を始動,停止させるためのスイッチ手段として始動スイッチを示し、該始動スイッチ12はエンジン1の始動時等に運転者によって手動で閉成(ON)操作され、例えば直流電源となるバッテリ13からの電圧をスタータ(図示せず)に給電することによってエンジン1を起動(始動)させるものである。
【0044】
14はステッピングモータ7を駆動制御する制御装置を示し、該制御装置14は、後述のコントローラ15と、該コントローラ15への給電,停止を行うための電源スイッチ16およびOR回路17等とから構成されている。
【0045】
15はマイクロコンピュータ等によって構成されたコントローラを示し、該コントローラ15はその入力側がガバナ角センサ9、指令装置11および始動スイッチ12等に接続され、出力側がステッピングモータ7等に接続されている。そして、コントローラ15は記憶回路(図示せず)内に図2および図3に示すプログラム等を格納し、後述の停止時制御処理および基準位置検出処理を含むエンジン1の回転数制御処理等を行うものである。
【0046】
また、コントローラ15の記憶回路にはその記憶エリア15A内に、エンジン1がアイドル位置にあるときにガバナ角センサ9から出力される判定値としての電圧値Vi (2.5ボルト程度)と、エンジン1の始動時にステッピングモータ7の駆動制御を開始するための基準位置θk に対応した電圧値Vk と、後述するカウンタCの計数値A(例えば3〜6回程度)と、後述のステップ1で予め初期設定される最大の電圧値Vb (Vb ≧Vf )と、前記駆動パルス信号のパルス数を係数するパルスカウンタ(図示せず)と等が更新可能に格納されている。
【0047】
ここで、コントローラ15の記憶エリア15Aは、前記基準位置θk に対応した電圧値Vk を記憶する記憶手段を構成し、このときの電圧値Vk は図4に示す如く、ガバナ角センサ9のヒステリシス特性を考慮して電圧値Vi よりも少なくとも前記偏差ΔV分以上に大きい電圧値となるように設定されている。
【0048】
16は制御装置14内に設けた電源スイッチ、17は該電源スイッチ16と共に給電制御手段を構成したOR回路を示し、該OR回路17はエンジン1の始動時等に始動スイッチ12が一旦閉成(ON)されると、電源スイッチ16を閉成(ON)状態としてバッテリ13からコントローラ15に給電を行わせる。そして、OR回路17は、その後にエンジン1を停止すべく始動スイッチ12を開成(OFF)したときにも、コントローラ15からOFF信号が出力されるまでは電源スイッチ16を閉成(ON)状態に保持してコントローラ15への給電を続行させるものである。
【0049】
本実施例による原動機制御装置は上述の如き構成を有するもので、次にコントローラ15によるエンジン1の停止時制御処理および基準位置検出処理について図2および図3を参照して説明する。
【0050】
まず、処理動作がスタートすると、ステップ1ではガバナレバー3のフル位置θf に対応した電圧値Vf 以上の最大となる電圧値Vb (Vb ≧Vf )を初期設定し、ステップ2では始動スイッチ12が開成(OFF)されたか否かを判定する。そして、ステップ2で「NO」と判定したときにはエンジン1が運転状態(作動中)にあるから、ステップ14に移って目標回転数に基づいた回転数制御処理を実行し続ける。
【0051】
即ち、目標回転数に基づいたエンジン1の回転数制御処理は、後述の基準位置検出処理によりステッピングモータ7の駆動制御を開始し、エンジン1のアイドル位置に該当する駆動パルス信号のパルス数を算定した状態で、指令装置11からの指令信号を読込むことにより、該指令信号の指令値(目標回転数)を前記アイドル位置からのパルス数として換算しつつ、このときのパルス数に相当する駆動パルス信号をステッピングモータ7に出力することによって、エンジン1の回転数が目標回転数に対応した回転数となるようにステッピングモータ7を駆動制御するものである。
【0052】
次に、前記ステップ2で「YES」と判定したときには始動スイッチ12が開成(OFF)され、エンジン1を停止させようとした場合であるから、ステップ3に移ってガバナレバー3を減速L方向に駆動すべくステッピングモータ7に駆動パルス信号を出力し、該ステッピングモータ7の回動レバー7Aを減速L方向に回動させる。
【0053】
そして、次なるステップ4では始動スイッチ12が開成(OFF)状態に維持されているか否かを判定し、「YES」と判定したときにはステップ5に移ってガバナ角センサ9から検出値Vを読込み、次なるステップ6でこのときの検出値Vが前記電圧値Vb 以上となっているか否かを判定する。
【0054】
ここで、エンジン1の運転途中で始動スイッチ12を開成(OFF)操作した場合の最初のプログラムサイクルでは、電圧値Vb が図4に示す電圧値Vf 以上の電圧値(Vb ≧Vf )に初期設定されているから、ステップ6では「NO」と判定され、ステップ7に移って前記ステップ5による検出値Vを判定用の電圧値Vb に置き換えると共に、ステップ8でカウンタCを零リセットし、前記ステップ3以降の処理を繰り返すようにする。
【0055】
この場合、ガバナレバー3はステップ3の処理により図4に示す停止位置θs に向けて減速L方向に回動されるが、ガバナ角センサ9は図5に示す特性線のようにガバナレバーの回動角θに対して検出信号の検出値Vに微小な変動が生じることが多いために、ステップ5による検出値Vを判定用の電圧値Vb にステップ7で順次置き換えた場合でも、その後のステップ6による判定処理で「YES」と判定されることがある。
【0056】
そこで、ステップ6で「YES」と判定したときにはステップ9に移ってカウンタCを、
【0057】
【数1】
C←C+1
として「1」ずつ歩進させ、次なるステップ10でカウンタCの計数値が前記計数値A(例えば3〜6回程度)以上となっているか否かを判定する。
【0058】
そして、ガバナレバー9が下限ストッパ5に当接して停止するまでは、ガバナ角センサ9の検出値Vが漸次減少するようになるから、ステップ10の判定処理で「YES」と判定されることはなく、ステップ10で「NO」と判定するときには前記ステップ3以降の処理を繰返すようにする。
【0059】
かくして、ガバナレバー9が下限ストッパ5に当接すると、ガバナ角センサ9の検出値Vは図4に示す電圧値Vs となって一定値に保たれるようになるから、この場合にはステップ9でカウンタCを前記計数値A(例えば3〜6回程度)となるまで順次歩進し、ステップ10で「YES」と判定するようになり、次なるステップ11ではガバナレバー9が下限ストッパ5に完全に当接した状態でステッピングモータ7を停止できると共に、ステップ12ではOR回路17にOFF信号を出力して電源スイッチ16を開成(OFF)でき、これによってバッテリ13からコントローラ15への給電を確実に停止できる。
【0060】
また、前記ステップ4で「NO」と判定したときには、始動スイッチ12を一旦開成(OFF)操作した後に、エンジン1が完全に停止する前に始動スイッチ12を再び閉成(ON)操作した場合であるから、ステップ13に移って図3に示す如く基準位置検出処理を行うようにする。なお、この基準位置検出処理はエンジン1を完全に停止させた後に、オペレータがエンジン1を始動すべく始動スイッチ12を閉成(ON)操作した場合にも同様に実施されるものである。
【0061】
そこで、図3を参照してコントローラ15による基準位置検出処理について説明するに、まず、ステップ21ではガバナ角センサ9から検出値Vを読込み、ステップ22に移ってこのときの検出値Vが、図4に示す基準位置θk に対応した電圧値Vk よりも小さい判定値(例えば前記アイドル位置θi に対応した電圧値Vi )以下となっているか否かを判定する。
【0062】
そして、ステップ22で「NO」と判定したときには検出値Vが電圧値Vi よりも大きく、例えば始動スイッチ12を一旦開成(OFF)操作した後に、エンジン1が完全に停止する前に始動スイッチ12を再び閉成(ON)操作した場合のように、ガバナレバー3は図4に示すアイドル位置θi よりも回動角θが大きい状態にあるから、ステップ23に移ってガバナレバー3を減速L方向に駆動すべくステッピングモータ7に駆動パルス信号を出力し、該ステッピングモータ7の回動レバー7Aを減速L方向に回動させる。
【0063】
次に、前記ステップ21〜23に亘る処理を繰返すことによりステップ22で「YES」と判定したときには、ガバナ角センサ9による検出値Vが電圧値Vi 以下となり、ガバナレバー3は図4に示すアイドル位置θi 以下まで回動角θが小さくなっているから、ステップ24に移ってガバナレバー3を増速H方向に駆動すべくステッピングモータ7に駆動パルス信号を出力し、該ステッピングモータ7の回動レバー7Aを増速H方向に回動させる。
【0064】
次に、ステップ25では再びガバナ角センサ9から検出値Vを読込み、ステップ26に移ってこのときの検出値Vが前記基準位置θk に対応した電圧値Vk に達したか否かを判定する。そして、ステップ26で「NO」と判定する間はステップ24以降の処理を繰返し、ガバナレバー3の回動角θを基準位置θk まで増加させるようにステッピングモータ7に駆動パルス信号を出力し続ける。
【0065】
そして、ステップ26で「YES」と判定したときには、ガバナ角センサ9からの検出値Vが基準位置θk に対応した電圧値Vk に達した場合であるから、ステップ27に移ってこのときの検出値Vを、基準位置θk に相当する電圧値Vk (V→Vk )として記憶し、これを基準としてエンジン1の始動時におけるステッピングモータ7の駆動制御を開始すべくステップ28でリターンする。
【0066】
即ち、前記ステップ22で「YES」と判定したときのガバナ角センサ9による検出値Vは電圧値Vi となり、ステップ26で「YES」と判定したときの検出値Vは電圧値Vk となり、これらの電圧値Vi ,Vk は図4中に示す特性線の如くガバナレバー3のアイドル位置θi と基準位置θk とに対応しているから、前記検出値Vが電圧値Vi となったときの前記駆動パルス信号のパルス数Pi と検出値Vが電圧値Vk となったときのパルス数Pk とに基づいてパルス数の差分(Pk −Pi )を求めることにより、ガバナレバー3のアイドル位置θi からフル位置θf に亘る駆動パルス信号のパルス数を算定することができる。
【0067】
そして、図2中のステップ14による回転数制御処理では、指令装置11からの指令値(目標回転数)を前記アイドル位置θi からのパルス数として換算しつつ、このときのパルス数に相当する駆動パルス信号をステッピングモータ7に出力することによって、エンジン1の回転数が目標回転数に対応した回転数となるようにステッピングモータ7を駆動制御することができる。
【0068】
かくして、本実施例によれば、エンジン1の始動時に実施する基準位置検出処理を、ガバナレバー3の回動角θを増大させるようにステッピングモータ7を駆動している途中で常に行い、ガバナ角センサ9から検出値Vが図4に示す基準位置θk に対応した電圧値Vk に達したときに、この検出値Vを基準位置θk に相当する電圧値Vk (V→Vk )とし、これを基準としてエンジン1の始動時におけるステッピングモータ7の駆動制御を開始する構成としたから、下記のような作用効果を得ることができる。
【0069】
即ち、オペレータが始動スイッチ12を開成(OFF)操作しエンジン1を停止させる途中で、エンジン1が完全に停止する前に再び始動スイッチ12を閉成(ON)操作してエンジン1を始動させるようなときに、ガバナレバー3の回動角θ(ガバナ角センサの検出値V)が前記基準位置θk よりも小さいアイドル位置θi (電圧値Vi )を越えて大きくなっている場合には、図3に示すステップ23の処理でガバナレバー3の回動角θを減少させるようにステッピングモータ7を駆動して、ガバナレバー3の回動角θを前記アイドル位置θi 以下まで一旦は必ず下げることができる。
【0070】
そして、ガバナレバー3の回動角θがアイドル位置θi 以下まで下がったときには、ガバナレバー3の回動角θを増加させるようにステッピングモータ7を駆動し続けることにより、ガバナレバー3の回動角θを前記基準位置θk まで増大させ、ガバナ角センサ9の検出値Vが基準位置θk に相当する電圧値Vk に達したときに、これを基準としてエンジン1の始動時におけるステッピングモータ7の駆動制御を開始することができ、従来技術で述べたようにガバナ角センサ9のヒステリシス特性に影響されて、回動角θの増加時と減少時とでガバナ角センサ9の検出値Vに偏差ΔVが生じ、前記基準位置θk に相当する検出値Vにズレが発生する等の問題を確実に解消できる。
【0071】
従って、本実施例によれば、エンジン1の始動時にガバナレバー3の回動角θ(初期位置)がいかなる位置にある場合でも、ガバナレバー3の回動角θを常に増大させる方向にステッピングモータ7を駆動している途中で基準位置θk の検出を行うことができ、エンジン1の始動時における基準位置θk の検出動作(検出処理)を正確に行うことができ、その後の目標回転数指令に基づいた回転数制御を遠隔操作により安定させて実行できる。
【0072】
また、この基準位置θk (ガバナ角センサ9による検出値Vの電圧値Vk )をエンジン1のアイドル位置θi (電圧値Vi )よりも、少なくともガバナ角センサ9のヒステリシス特性で定まる回動角(偏差ΔV)分だけ大きい値になるように設定しているから、ガバナ角センサ9で検出値V(V=Vk )として検出した電圧値Vk (基準位置θk )がヒステリシス特性の影響で、例えばアイドル位置θi に該当する電圧値Vi よりも小さい値として誤って検出されるような事態をなくすことができ、エンジン1の始動時の制御を常に前記アイドル位置θi よりも僅かに高い回転数位置で開始することができる。
【0073】
この結果、エンジン1の始動時の制御を前記アイドル位置θi よりも僅かに高い回転数位置から開始でき、エンジン1の始動不良等の発生を防止し始動性を確実に向上させることができる。また、例えば始動時の制御をフル位置θf に近い位置から開始してエンジン1の回転数が急激に高い回転数域まで上昇するような事態もなくすことができ、エンジン1の始動時における制御の信頼性や安全性を大幅に向上できる。
【0074】
さらに、エンジン1の停止時には、制御装置14内に設けた電源スイッチ16とOR回路17とによりコントローラ15への給電,停止を行う給電制御を行うと共に、始動スイッチ12が開成(OFF)された後にもこの状態が保持されるときには、ガバナレバー3が下限ストッパ5に少なくとも当接するまで、ガバナレバー3の回動角θを減少させる方向にステッピングモータ7を駆動し続けるようにコントローラ15に給電を行うことができ、コントローラ15による停止時制御を安定させて実行できる。
【0075】
そして、この停止時制御によりガバナレバー3が下限ストッパ5に当接した状態に保持でき、エンジン1を安定させて停止できると共に、その後にコントローラ15からOR回路17にOFF信号を出力して電源スイッチ16を開成することにより、コントローラ15への給電をエンジン1の停止後に自動的に遮断(停止)することができる。
【0076】
一方、前記始動スイッチ12を開成してエンジン1が完全に停止する前に、再び始動スイッチ12を閉成させた場合には、コントローラ15への給電を続行したままで、再びエンジン1の始動時制御を再開することができ、コントローラ15への給電,停止が余分に繰返されるような事態をなくすことができる等、種々の効果を奏する。
【0077】
なお、前記実施例では、図2および図3に示すプログラムのうち、ステップ22が本発明の構成要件である閉成時判定手段の具体例を示し、ステップ23およびステップ24が駆動信号出力手段の具体例であり、ステップ25からステップ27に亘る処理が基準位置検出制御手段の具体例を示すものである。
【0078】
また、前記実施例では、ステッピングモータ7の駆動制御を開始するための基準位置θk を、エンジン1の予め決められた低回転数位置としてアイドリング回転数となるアイドル位置θi よりも回転数が高くなる位置に設定するものとして述べたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばアイドル位置θi よりも一定量(回動角)だけ大きい位置または小さい位置に低回転数位置を予め設定するようにしてもよい。
【0079】
さらに、前記実施例では、エンジン1の始動時に実施する基準位置の検出処理を、ガバナレバー3の回動角θを増大させるようにステッピングモータ7を駆動している途中で常に行うものとして述べたが、これに替えて、エンジン1の始動時に実施する基準位置の検出処理を、例えばガバナレバー3の回動角θを減少させるようにステッピングモータ7を駆動している途中で常に行う構成としてもよい。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明では、原動機の始動時にステッピングモータの駆動制御を開始するための基準位置を、前記原動機の予め決められた低回転数位置付近に該当するガバナレバーの回動角として記憶手段に記憶させ、閉成時判定手段ではスイッチ手段の閉成時に回動角検出手段から出力される検出信号を、前記基準位置よりも小さい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が大きいか否かを判定すると共に、前記検出信号が判定値よりも大きいと判定したときに、前記ガバナレバーの回動角を減少させるように駆動信号出力手段からステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より小さいと判定すると、その後は前記ガバナレバーの回動角を増加させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続け、基準位置検出制御手段では前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したことを検出したときに、前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始させる構成としたから、原動機の始動時にガバナレバーの回動角(初期位置)がいかなる位置にある場合でも、ガバナレバーの回動角を常に増大させる方向にステッピングモータを駆動している途中で基準位置の検出を行うことができ、原動機の始動時における基準位置の検出動作(検出処理)を正確に行うことができると共に、その後の回転数制御を遠隔操作により安定させて実行でき、原動機の始動性を高めて信頼性や安全性を確実に向上させることができる。
【0081】
この場合、請求項2に記載の発明では、前記原動機の予め決められた低回転数位置に該当する前記ガバナレバーの回動角よりも、少なくとも前記回動角検出手段のヒステリシス特性で定まる回動角分だけ大きい値になるように基準位置を設定しているから、前記回動角検出手段で検出した基準位置がヒステリシス特性の影響で前記低回転数位置よりも小さい値として誤って検出されるのを防止でき、原動機の始動時の制御を常に前記低回転数位置よりも高い回転数位置で開始することができると共に、原動機の始動不良等の発生を防止でき、原動機の始動性を確実に向上できる。
【0082】
また、請求項3に記載の発明では、前記スイッチ手段の閉成,開成に応じて前記コントローラへの給電,停止を行う給電制御手段を備えると共に、少なくとも原動機の停止位置で前記ガバナレバーの減速方向への回動を停止させる停止側ストッパをガバナに設ける構成としているから、前記スイッチ手段が開成された後にもこの状態が保持されるときには、ガバナレバーが停止側ストッパに少なくとも当接するまで、ガバナレバーの回動角を減少させる方向でステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続けるようにコントローラに給電を行うことができ、コントローラによる停止時制御を安定して行わせることができると共に、この停止時制御により前記ガバナレバーが停止側ストッパに当接した状態に保持でき、原動機を確実に停止させた後に前記給電制御手段によってコントローラへの給電を自動的に停止させることができる。一方、前記スイッチ手段を開成して原動機が完全に停止する前に、再びスイッチ手段を閉成させた場合には、コントローラへの給電を続行したままで、再び原動機の始動時制御を再開することができ、コントローラへの給電,停止が余分に繰返されるのを効果的に防止できる。
【0083】
さらに、請求項4に記載の発明のように、閉成時判定手段でスイッチ手段の閉成時に回動角検出手段から出力される検出信号を、基準位置よりも大きい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が小さいか否かを判定すると共に、前記検出信号が判定値よりも小さいと判定したときに、前記ガバナレバーの回動角を増大させるように駆動信号出力手段からステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より大きいと判定すると、その後は前記ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続け、基準位置検出制御手段では前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したことを検出したときに、前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始させる構成とすることにより、原動機の始動時にガバナレバーの回動角(初期位置)がいかなる位置にある場合でも、ガバナレバーの回動角を常に減少させる方向にステッピングモータを駆動している途中で、基準位置の検出を正確に行うことができ、前記請求項1に記載の発明とほぼ同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるエンジンの回転数制御装置を示す全体構成図である。
【図2】コントローラによるエンジンの停止時制御処理等を示す流れ図である。
【図3】コントローラによる基準位置検出処理を示す流れ図である。
【図4】ガバナレバーの回動角とガバナ角センサの検出信号との関係を示す特性線図である。
【図5】従来技術の回転数制御装置で用いているガバナレバーの回動角と回動角検出手段による検出信号との関係を示す特性線図である。
【図6】回動角検出手段のヒステリシス特性を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 エンジン(原動機)
2 ガバナ
3 ガバナレバー
4 上限ストッパ
5 下限ストッパ(停止側ストッパ)
6 ばね
7 ステッピングモータ
9 ガバナ角センサ(回動角検出手段)
11 指令装置(回転数指令手段)
12 始動スイッチ(スイッチ手段)
13 バッテリ(電源)
14 制御装置
15 コントローラ
15A 記憶エリア(記憶手段)
16 電源スイッチ(給電制御手段)
17 OR回路
V 検出値(検出信号)
Vi 電圧値(判定値)
Vk 電圧値(基準位置)
ΔV 偏差(ヒステリシス特性)
θ 回動角
θi アイドル位置(低回転数位置)
θk 基準位置
Claims (4)
- 原動機と、該原動機に付設され、ガバナレバーの回動角に応じて該原動機の回転数を増減させるガバナと、該ガバナのガバナレバーを回動させるステッピングモータと、前記ガバナレバーの回動角を検出し検出信号を出力する回動角検出手段と、前記原動機の目標回転数を指令する回転数指令手段と、該回転数指令手段からの指令信号と前記回動角検出手段からの検出信号とに基づいて、前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し該ステッピングモータを駆動制御するコントローラと、前記原動機を始動,停止させるために閉成,開成されるスイッチ手段とからなる原動機制御装置において、
前記コントローラには、前記原動機の始動時に前記ステッピングモータの駆動制御を開始するための基準位置を、前記原動機の予め決められた低回転数位置付近に該当する前記ガバナレバーの回動角として記憶する記憶手段と、
前記スイッチ手段の閉成時に前記回動角検出手段から出力される検出信号を、前記基準位置よりも小さい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が大きいか否かを判定する閉成時判定手段と、
該閉成時判定手段で検出信号が判定値よりも大きいと判定したときに、前記ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より小さいと判定すると、その後は前記ガバナレバーの回動角を増大させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続ける駆動信号出力手段と、
該駆動信号出力手段から駆動パルス信号を出力しているときに、前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したか否かを検出し、該基準位置に達したときに前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始させる基準位置検出制御手段とを設けたことを特徴とする原動機制御装置。 - 前記記憶手段で記憶した基準位置は、前記原動機の予め決められた低回転数位置に該当する前記ガバナレバーの回動角よりも、少なくとも前記回動角検出手段のヒステリシス特性で定まる回動角分だけ大きい値に設定してなる請求項1に記載の原動機制御装置。
- 前記スイッチ手段の閉成,開成に応じて前記コントローラへの給電,停止を行う給電制御手段を備え、かつ前記ガバナには、少なくとも原動機の停止位置で前記ガバナレバーの減速方向への回動を停止させる停止側ストッパを設け、前記コントローラは、前記スイッチ手段が開成状態に保持される間、少なくとも該停止側ストッパにガバナレバーが当接するまで該ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続ける停止時制御を行い、この停止時制御により前記ガバナレバーが停止側ストッパに当接した後に前記給電制御手段によりコントローラへの給電を停止させる構成としてなる請求項1または2に記載の原動機制御装置。
- 原動機と、該原動機に付設され、ガバナレバーの回動角に応じて該原動機の回転数を増減させるガバナと、該ガバナのガバナレバーを回動させるステッピングモータと、前記ガバナレバーの回動角を検出し検出信号を出力する回動角検出手段と、前記原動機の目標回転数を指令する回転数指令手段と、該回転数指令手段からの指令信号と前記回動角検出手段からの検出信号とに基づいて、前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し該ステッピングモータを駆動制御するコントローラと、前記原動機を始動,停止させるために閉成,開成されるスイッチ手段とからなる原動機制御装置において、
前記コントローラには、前記原動機の始動時に前記ステッピングモータの駆動制御を開始するための基準位置を、前記原動機の予め決められた低回転数位置付近に該当する前記ガバナレバーの回動角として記憶する記憶手段と、
前記スイッチ手段の閉成時に前記回動角検出手段から出力される検出信号を、前記基準位置よりも大きい一定の判定値と比較し、該判定値よりも検出信号の値が小さいか否かを判定する閉成時判定手段と、
該閉成時判定手段で検出信号が判定値よりも小さいと判定したときに、前記ガバナレバーの回動角を増大させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し、前記閉成時判定手段で検出信号が判定値より大きいと判定すると、その後は前記ガバナレバーの回動角を減少させるように前記ステッピングモータに駆動パルス信号を出力し続ける駆動信号出力手段と、
該駆動信号出力手段から駆動パルス信号を出力しているときに、前記回動角検出手段による検出信号が前記基準位置に達したか否かを検出し、該基準位置に達したときに前記原動機の始動時におけるステッピングモータの駆動制御を開始させる基準位置検出制御手段とを設けたことを特徴とする原動機制御装置。
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JP23079395A JP3544253B2 (ja) | 1995-08-16 | 1995-08-16 | 原動機制御装置 |
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