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JP3521878B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP3521878B2
JP3521878B2 JP2001091149A JP2001091149A JP3521878B2 JP 3521878 B2 JP3521878 B2 JP 3521878B2 JP 2001091149 A JP2001091149 A JP 2001091149A JP 2001091149 A JP2001091149 A JP 2001091149A JP 3521878 B2 JP3521878 B2 JP 3521878B2
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Japan
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exhaust
particulate filter
exhaust gas
temperature
particulates
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JP2001091149A
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信也 広田
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01NGAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; GAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINES
    • F01N3/00Exhaust or silencing apparatus having means for purifying, rendering innocuous, or otherwise treating exhaust
    • F01N3/02Exhaust or silencing apparatus having means for purifying, rendering innocuous, or otherwise treating exhaust for cooling, or for removing solid constituents of, exhaust
    • F01N3/021Exhaust or silencing apparatus having means for purifying, rendering innocuous, or otherwise treating exhaust for cooling, or for removing solid constituents of, exhaust by means of filters
    • F01N3/023Exhaust or silencing apparatus having means for purifying, rendering innocuous, or otherwise treating exhaust for cooling, or for removing solid constituents of, exhaust by means of filters using means for regenerating the filters, e.g. by burning trapped particles
    • F01N3/0233Exhaust or silencing apparatus having means for purifying, rendering innocuous, or otherwise treating exhaust for cooling, or for removing solid constituents of, exhaust by means of filters using means for regenerating the filters, e.g. by burning trapped particles periodically cleaning filter by blowing a gas through the filter in a direction opposite to exhaust flow, e.g. exposing filter to engine air intake

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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Processes For Solid Components From Exhaust (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気浄
化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関、特に、ディーゼルエンジンの
排気ガス中には煤を主成分とするパティキュレートが含
まれている。パティキュレートは有害物質であるため
に、大気放出以前にパティキュレートを捕集するための
フィルタを機関排気系に配置することが提案されてい
る。このようなフィルタは、目詰まりによる排気抵抗の
増加を防止するために、捕集したパティキュレートを焼
失させることが必要である。
【0003】このようなフィルタ再生において、パティ
キュレートは約600°Cとなれば着火燃焼するが、デ
ィーゼルエンジンの排気ガス温度は、通常時において6
00°Cよりかなり低く、通常はフィルタ自身を加熱す
る等の手段が必要である。
【0004】特公平7−106290号公報には、白金
族金属とアルカリ土金属酸化物とをフィルタに担持させ
れば、フィルタ上のパティキュレートは、ディーゼルエ
ンジンの通常時の排気ガス温度である約400°Cで連
続的に焼失することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このフ
ィルタを使用しても、常に排気ガス温度が400°C程
度となっているとは限らず、また、運転状態によっては
ディーゼルエンジンから多量のパティキュレートが放出
されることもあり、各時間で焼失できなかったパティキ
ュレートがフィルタ上に徐々に堆積することがある。
【0006】このフィルタにおいて、ある程度パティキ
ュレートが堆積すると、パティキュレート焼失能力が極
端に低下するために、もはや自身でフィルタを再生する
ことはできない。このように、この種のフィルタを単に
機関排気系に配置しただけでは、比較的早期に目詰まり
が発生して機関出力の大幅低下がもたらされることがあ
る。
【0007】従って、本発明の目的は、パティキュレー
トフィルタによって捕集されたパティキュレートを良好
に酸化除去し、パティキュレートフィルタの目詰まりを
防止することができる内燃機関の排気浄化装置を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1に
記載の内燃機関の排気浄化装置は、機関排気系に配置さ
れたパティキュレートフィルタと、前記パティキュレー
トフィルタの排気上流側と排気下流側とを逆転するため
の逆転手段とを具備し、前記パティキュレートフィルタ
においては捕集したパティキュレートが酸化させられ、
前記パティキュレートフィルタは、パティキュレートを
捕集するための捕集壁を有し、前記捕集壁は第一捕集面
と第二捕集面とを有し、前記逆転手段によって前記パテ
ィキュレートフィルタの排気上流側と排気下流側とが逆
転されることによりパティキュレートを捕集するために
前記捕集壁の前記第一捕集面と前記第二捕集面とが交互
に使用され、前記パティキュレートフィルタは酸化機能
を有し、前記逆転手段は、前記パティキュレートフィル
タの排気出口部の温度が排気入口部の温度より高い時
に、前記パティキュレートフィルタの排気上流側と排気
下流側とを逆転することを特徴とする。
【0009】また、本発明による請求項2に記載の内燃
機関の排気浄化装置は、請求項1に記載の内燃機関の排
気浄化装置において、前記パティキュレートフィルタに
は活性酸素放出剤が担持され、前記活性酸素放出剤から
放出される活性酸素がパティキュレートを酸化させるこ
とを特徴とする。
【0010】また、本発明による請求項3に記載の内燃
機関の排気浄化装置は、請求項2に記載の内燃機関の排
気浄化装置において、前記活性酸素放出剤は、周囲に過
剰酸素が存在すると酸素を取込んで酸素を保持しかつ周
囲の酸素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形
で放出することを特徴とする。
【0011】また、本発明による請求項4に記載の内燃
機関の排気浄化装置は、請求項2に記載の内燃機関の排
気浄化装置において、前記活性酸素放出剤は、周囲に過
剰酸素が存在するとNOXを酸素と結合させて保持しか
つ周囲の酸素濃度が低下すると結合させたNOX及び酸
素をNOXと活性酸素とに分解して放出することを特徴
とする。
【0012】また、本発明による請求項5に記載の内燃
機関の排気浄化装置は、請求項1から4のいずれかに記
載の内燃機関の排気浄化装置において、前記逆転手段に
より前記パティキュレートフィルタの排気上流側と排気
下流側とを逆転する時期となっても前記パティキュレー
トフィルタの排気出口部の温度が排気入口部の温度より
高くなるまで前記逆転手段による前記逆転を延期するこ
とを特徴とする。
【0013】また、本発明による請求項6に記載の内燃
機関の排気浄化装置は、請求項1から4のいずれかに記
載の内燃機関の排気浄化装置において、前記逆転手段
は、前記パティキュレートフィルタの排気出口部の温度
が排気入口部の温度より高くて機関減速時に前記パティ
キュレートフィルタの排気上流側と排気下流側とを逆転
することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による排気浄化装
置を備える4ストロークディーゼルエンジンの概略縦断
面図を示しており、図2は図1のディーゼルエンジンに
おける燃焼室の拡大縦断面図であり、図3は図1のディ
ーゼルエンジンにおけるシリンダヘッドの底面図であ
る。図1から図3を参照すると、1は機関本体、2はシ
リンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、
5aはピストン4の頂面上に形成されたキャビティ、5
はキャビティ5a内に形成された燃焼室、6は電気制御
式燃料噴射弁、7は一対の吸気弁、8は吸気ポート、9
は一対の排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポ
ート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク1
2に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介
してエアクリーナ14に連結される。吸気ダクト13内
には電気モータ15により駆動されるスロットル弁16
が配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド
17へ接続される。
【0015】図1に示されるように排気マニホルド17
内には空燃比センサ21が配置される。排気マニホルド
17とサージタンク12とはEGR通路22を介して互
いに連結され、EGR通路22内には電気制御式EGR
制御弁23が配置される。また、EGR通路22回りに
はEGR通路22内を流れるEGRガスを冷却するため
の冷却装置24が配置される。図1に示される実施例で
は機関冷却水が冷却装置24内に導かれ、機関冷却水に
よってEGRガスが冷却される。
【0016】一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管25を
介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール26に連結
される。このコモンレール26内へは電気制御式の吐出
量可変な燃料ポンプ27から燃料が供給され、コモンレ
ール26内に供給された燃料は各燃料供給管25を介し
て燃料噴射弁6に供給される。コモンレール26にはコ
モンレール26内の燃料圧を検出するための燃料圧セン
サ28が取付けられ、燃料圧センサ28の出力信号に基
づいてコモンレール26内の燃料圧が目標燃料圧となる
ように燃料ポンプ27の吐出量が制御される。
【0017】30は電子制御ユニットであり、空燃比セ
ンサ21の出力信号と、燃料圧センサ28の出力信号と
が入力される。また、アクセルペダル40にはアクセル
ペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する
負荷センサ41が接続され、電子制御ユニット30に
は、負荷センサ41の出力信号も入力され、さらに、ク
ランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルス
を発生するクランク角センサ42の出力信号も入力され
る。こうして、電子制御ユニット30は、各種信号に基
づき、燃料噴射弁6、電気モータ15、EGR制御弁2
3、及び、燃料ポンプ27を作動する。
【0018】図2及び図3に示されるように本発明によ
る実施例では燃料噴射弁6が6個のノズル口を有するホ
ールノズルからなり、燃料噴射弁6のノズル口からは水
平面に対しやや下向きに等角度間隔でもって燃料Fが噴
射される。図3に示されるように6個の燃料噴霧Fのう
ちで2個の燃料噴霧Fは各排気弁9の弁体の下側面に沿
って飛散する。図2及び図3は圧縮行程末期に燃料噴射
が行われた時を示している。この時には燃料噴霧Fはキ
ャビティ5aの内周面に向けて進み、次いで着火燃焼せ
しめられる。
【0019】図4は排気行程中において排気弁9のリフ
ト量が最大の時に燃料噴射弁6から追加の燃料が噴射さ
れた場合を示している。即ち、図5に示されるように圧
縮上死点付近において主噴射Qmが行われ、次いで排気
行程の中ほどで追加の燃料Qaが噴射された場合を示し
ている。この場合、排気弁9の弁体方向に進む燃料噴霧
Fは排気弁9の傘部背面と排気ポート10との間に向か
う。即ち、云い換えると燃料噴射弁6の6個のノズル口
のうちで2個のノズル口は、排気弁9が開弁している時
に追加の燃料Qaの噴射が行われると燃料噴霧Fが排気
弁9の傘部背面と排気ポート10との間に向かうように
形成されている。なお、図4に示す実施例ではこの時に
燃料噴霧Fが排気弁9の傘部背面に衝突し、排気弁9の
傘部背面に衝突した燃料噴霧Fは排気弁9の傘部背面上
において反射し、排気ポート10内に向かう。
【0020】なお通常は追加の燃料Qaは噴射されず、
主噴射Qmのみが行われる。図6は機関低負荷運転時に
おいてスロットル弁16の開度及びEGR率を変化させ
ることにより空燃比A/F(図6の横軸)を変化させた
ときの出力トルクの変化、及びスモーク、HC、CO、
NOXの排出量の変化を示す実験例を表している。図6
からわかるようにこの実験例では空燃比A/Fが小さく
なるほどEGR率が大きくなり、理論空燃比(≒14.
6)以下のときにはEGR率は65パーセント以上とな
っている。
【0021】図6に示されるようにEGR率を増大する
ことにより空燃比A/Fを小さくしていくとEGR率が
40パーセント付近となり空燃比A/Fが30程度にな
った時にスモークの発生量が増大を開始する。次いで、
更にEGR率を高め、空燃比A/Fを小さくするとスモ
ークの発生量が急激に増大してピークに達する。次いで
更にEGR率を高め、空燃比A/Fを小さくすると今度
はスモークが急激に低下し、EGR率を65パーセント
以上とし、空燃比A/Fが15.0付近になるとスモー
クがほぼ零となる。即ち、煤がほとんど発生しなくな
る。この時に機関の出力トルクは若干低下し、またNO
Xの発生量がかなり低くなる。一方、この時にHC及び
COの発生量は増大し始める。
【0022】図7(A)は空燃比A/Fが21付近でス
モークの発生量が最も多い時の燃焼室5内の燃焼圧変化
を示しており、図7(B)は空燃比A/Fが18付近で
スモークの発生量がほぼ零の時の燃焼室5内における燃
焼圧の変化を示している。図7(A)と図7(B)とを
比較すればわかるようにスモークの発生量がほぼ零であ
る図7(B)に示す場合はスモークの発生量が多い図7
(A)に示す場合に比べて燃焼圧が低いことがわかる。
【0023】図6及び図7に示される実験結果から次の
ことが言える。即ち、まず第1に空燃比A/Fが15.
0以下でスモークの発生量がほぼ零の時には図6に示さ
れるようにNOXの発生量がかなり低下する。NOXの発
生量が低下したということは燃焼室5内の燃焼温度が低
下していることを意味しており、従って煤がほとんど発
生しない時には燃焼室5内の燃焼温度が低くなっている
と言える。同じことが図7からも言える。即ち、煤がほ
とんど発生していない図7(B)に示す状態では燃焼圧
が低くなっており、従ってこの時に燃焼室5内の燃焼温
度は低くなっていることになる。
【0024】第2にスモークの発生量、即ち煤の発生量
がほぼ零になると図6に示されるようにHC及びCOの
排出量が増大する。このことは炭化水素が煤まで成長せ
ずに排出されることを意味している。即ち、燃料中に含
まれる図8に示されるような直鎖状炭化水素や芳香族炭
化水素は酸素不足の状態で温度上昇せしめられると熱分
解して煤の前駆体が形成され、次いで主に炭素原子が集
合した固体からなる煤が生成される。この場合、実際の
煤の生成過程は複雑であり、煤の前駆体がどのような形
態をとるかは明確ではないがいずれにしても図8に示さ
れるような炭化水素は煤の前駆体を経て煤まで成長する
ことになる。従って、上述したように煤の発生量がほぼ
零になると図6に示される如くHC及びCOの排出量が
増大するがこの時のHCは煤の前駆体又はその前の状態
の炭化水素である。
【0025】図6及び図7に示される実験結果に基づく
これらの考察をまとめると燃焼室5内の燃焼温度が低い
時には煤の発生量がほぼ零になり、この時には煤の前駆
体又はその前の状態の炭化水素が燃焼室5から排出され
ることになる。このことについて更に詳細に実験研究を
重ねた結果、燃焼室5内における燃料及びその周囲のガ
ス温度が或る温度以下である場合には煤の成長過程が途
中で停止してしまい、即ち煤が全く発生せず、燃焼室5
内における燃料及びその周囲の温度が或る温度以下にな
ると煤が生成されることが判明したのである。
【0026】ところで煤の前駆体の状態で炭化水素の生
成過程が停止する時の燃料及びその周囲の温度、即ち上
述の或る温度は燃料の種類や空燃比や圧縮比等の種々の
要因によって変化するので何度であるかということは言
えないが、この或る温度はNOXの発生量と深い関係を
有しており、従ってこの或る温度はNOXの発生量から
或る程度規定することができる。即ち、EGR率が増大
するほど燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度は低下
し、NOXの発生量が低下する。この時においてNOX
発生量が10p.p.m 前後又はそれ以下になった時に煤が
ほとんど発生しなくなる。従って上述の或る温度はNO
Xの発生量が10p.p.m 前後又はそれ以下になった時の
温度にほぼ一致する。
【0027】一旦、煤が生成されるとこの煤は単に酸化
機能を有する触媒を用いた後処理でもって浄化すること
はできない。これに対して煤の前駆体又はその前の状態
の炭化水素は酸化機能を有する触媒を用いた後処理でも
って容易に浄化することができる。このように、NOX
の発生量を低減すると共に炭化水素を煤の前駆体又はそ
の前の状態で燃焼室5から排出させることは排気ガスの
浄化に極めて有効である。
【0028】さて、煤が生成される前の状態で炭化水素
の成長を停止させるには燃焼室5内における燃焼時の燃
料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも
低い温度に抑制する必要がある。この場合、燃料及びそ
の周囲のガス温度を抑制するには燃料が燃焼した際の燃
料回りにおけるガスの吸熱作用が極めて大きく影響する
ことが判明している。
【0029】即ち、燃料回りに空気しか存在しないと蒸
発した燃料はただちに空気中の酸素と反応して燃焼す
る。この場合、燃料から離れている空気の温度はさほど
上昇せず、燃料回りの温度のみが局所的に極めて高くな
る。即ち、この時には燃料から離れている空気は燃料の
燃焼熱の吸熱作用をほとんど行わない。この場合には燃
焼温度が局所的に極めて高くなるために、この燃焼熱を
受けた未燃炭化水素は煤を生成することになる。
【0030】一方、多量の不活性ガスと少量の空気の混
合ガス中に燃料が存在する場合には若干状況が異なる。
この場合には蒸発燃料は周囲に拡散して不活性ガス中に
混在する酸素と反応し、燃焼することになる。この場合
には燃焼熱は回りの不活性ガスに吸収されるために燃焼
温度はさほど上昇しなくなる。即ち、燃焼温度を低く抑
えることができることになる。即ち、燃焼温度を抑制す
るには不活性ガスの存在が重要な役割を果しており、不
活性ガスの吸熱作用によって燃焼温度を低く抑えること
ができることになる。
【0031】この場合、燃料及びその周囲のガス温度を
煤が生成される温度よりも低い温度に抑制するにはそう
するのに十分な熱量を吸収しうるだけの不活性ガス量が
必要となる。従って燃料量が増大すれば必要となる不活
性ガス量はそれに伴って増大することになる。なお、こ
の場合、不活性ガスの比熱が大きいほど吸熱作用は強力
となり、従って不活性ガスは比熱の大きなガスが好まし
いことになる。この点、CO2やEGRガスは比較的比
熱が大きいので不活性ガスとしてEGRガスを用いるこ
とは好ましいと言える。
【0032】図9は不活性ガスとしてEGRガスを用
い、EGRガスの冷却度合を変えたときのEGR率とス
モークとの関係を示している。即ち、図9において曲線
AはEGRガスを強力に冷却してEGRガス温をほぼ9
0°Cに維持した場合を示しており、曲線Bは小型の冷
却装置でEGRガスを冷却した場合を示しており、曲線
CはEGRガスを強制的に冷却していない場合を示して
いる。
【0033】図9の曲線Aで示されるようにEGRガス
を強力に冷却した場合にはEGR率が50パーセントよ
りも少し低いところで煤の発生量がピークとなり、この
場合にはEGR率をほぼ55パーセント以上にすれば煤
がほとんど発生しなくなる。一方、図9の曲線Bで示さ
れるようにEGRガスを少し冷却した場合にはEGR率
が50パーセントよりも少し高いところで煤の発生量が
ピークとなり、この場合にはEGR率をほぼ65パーセ
ント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。
【0034】また、図9の曲線Cで示されるようにEG
Rガスを強制的に冷却していない場合にはEGR率が5
5パーセントの付近で煤の発生量がピークとなり、この
場合にはEGR率をほぼ70パーセント以上にすれば煤
がほとんど発生しなくなる。なお、図9は機関負荷が比
較的高い時のスモークの発生量を示しており、機関負荷
が小さくなると煤の発生量がピークとなるEGR率は若
干低下し、煤がほとんど発生しなくなるEGR率の下限
も若干低下する。このように煤がほとんど発生しなくな
るEGR率の下限はEGRガスの冷却度合や機関負荷に
応じて変化する。
【0035】図10は不活性ガスとしてEGRガスを用
いた場合において燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度
を煤が生成される温度よりも低い温度にするために必要
なEGRガスと空気の混合ガス量、及びこの混合ガス量
中の空気の割合、及びこの混合ガス中のEGRガスの割
合を示している。なお、図10において縦軸は燃焼室5
内に吸入される全吸入ガス量を示しており、鎖線Yは過
給が行われない時に燃焼室5内に吸入しうる全吸入ガス
量を示している。また、横軸は要求負荷を示しており、
Z1は低負荷運転領域を示している。
【0036】図10を参照すると空気の割合、即ち混合
ガス中の空気量は噴射された燃料を完全に燃焼せしめる
のに必要な空気量を示している。即ち、図10に示され
る場合では空気量と噴射燃料量との比は理論空燃比とな
っている。一方、図10においてEGRガスの割合、即
ち混合ガス中のEGRガス量は噴射燃料が燃焼せしめら
れた時に燃料及びその周囲のガス温度を煤が形成される
温度よりも低い温度にするのに必要最低限のEGRガス
量を示している。このEGRガス量はEGR率で表すと
ほぼ55パーセント以上であり、図10に示す実施例で
は70パーセント以上である。即ち、燃焼室5内に吸入
された全吸入ガス量を図10において実線Xとし、この
全吸入ガス量Xのうちの空気量とEGRガス量との割合
を図10に示すような割合にすると燃料及びその周囲の
ガス温度は煤が生成される温度よりも低い温度となり、
斯くして煤が全く発生しなくなる。また、この時のNO
X発生量は10p.p.m 前後、又はそれ以下であり、従っ
てNOXの発生量は極めて少量となる。
【0037】燃料噴射量が増大すれば燃料が燃焼した際
の発熱量が増大するので燃料及びその周囲のガス温度を
煤が生成される温度よりも低い温度に維持するためには
EGRガスによる熱の吸収量を増大しなければならな
い。従って図10に示されるようにEGRガス量は噴射
燃料量が増大するにつれて増大せしめなければならな
い。即ち、EGRガス量は要求負荷が高くなるにつれて
増大する必要がある。
【0038】一方、図10の負荷領域Z2では煤の発生
を阻止するのに必要な全吸入ガス量Xが吸入しうる全吸
入ガス量Yを越えてしまう。従ってこの場合、煤の発生
を阻止するのに必要な全吸入ガス量Xを燃焼室5内に供
給するにはEGRガス及び吸入空気の双方、或いはEG
Rガスを過給又は加圧する必要がある。EGRガス等を
過給又は加圧しない場合には負荷領域Z2では全吸入ガ
ス量Xは吸入しうる全吸入ガス量Yに一致する。従って
この場合、煤の発生を阻止するためには空気量を若干減
少させてEGRガス量を増大すると共に空燃比がリッチ
のもとで燃料を燃焼せしめることになる。
【0039】前述したように図10は燃料を理論空燃比
のもとで燃焼させる場合を示しているが図10に示され
る低負荷運転領域Z1において空気量を図10に示され
る空気量よりも少なくても、即ち空燃比をリッチにして
も煤の発生を阻止しつつNO Xの発生量を10p.p.m 前
後又はそれ以下にすることができ、また図10に示され
る低負荷領域Z1において空気量を図10に示される空
気量よりも多くしても、即ち空燃比の平均値を17から
18のリーンにしても煤の発生を阻止しつつNOXの発
生量を10p.p.m 前後又はそれ以下にすることができ
る。
【0040】即ち、空燃比がリッチにされると燃料が過
剰となるが燃焼温度が低い温度に抑制されているために
過剰な燃料は煤まで成長せず、斯くして煤が生成される
ことがない。また、この時にはNOXも極めて少量しか
発生しない。一方、平均空燃比がリーンのとき、或いは
空燃比が理論空燃比の時でも燃焼温度が高くなれば少量
の煤が生成されるが本発明では燃焼温度が低い温度に抑
制されているので煤は全く生成されない。更に、NOX
も極めて少量しか発生しない。
【0041】このように、機関低負荷運転領域Z1では
空燃比にかかわらずに、即ち空燃比がリッチであろう
と、理論空燃比であろうと、或いは平均空燃比がリーン
であろうと煤が発生されず、NOXの発生量が極めて少
量となる。従って燃料消費率の向上を考えると、この時
の平均空燃比をリーンにすることが好ましいと言える。
【0042】ところで燃焼室内における燃焼時の燃料及
びその周囲のガス温度を炭化水素の成長が途中で停止す
る温度以下に抑制しうるのは燃焼による発熱量が少ない
比較的機関負荷が低いときに限られる。従って本発明に
よる実施例では機関負荷が比較的低い時には燃焼時の燃
料及びその周囲のガス温度を炭化水素の成長が途中で停
止する温度以下に抑制して第一燃焼、即ち低温燃焼を行
うようにし、機関負荷が比較的高いときには第二燃焼、
即ち従来より普通に行われている燃焼を行うようにして
いる。なお、ここで第一燃焼、即ち低温燃焼とはこれま
での説明から明らかなように煤の発生量が最大となる最
悪不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が多く煤
がほとんど発生しない燃焼のことを言い、第二燃焼、即
ち従来より普通に行われている燃焼とは煤の発生量が最
大となる最悪不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス
量が少ない燃焼のことを言う。
【0043】図11は第一燃焼、即ち低温燃焼が行われ
る第1の運転領域Iと、第二燃焼、即ち従来の燃焼方法
による燃焼が行われる第2の燃焼領域IIとを示してい
る。なお、図11において縦軸Lはアクセルペダル40
の踏込み量、即ち要求負荷を示しており、横軸Nは機関
回転数を示している。また、図11においてX(N)は
第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第1の境界を
示しており、Y(N)は第1の運転領域Iと第2の運転
領域IIとの第2の境界を示している。第1の運転領域I
から第2の運転領域IIへの運転領域の変化判断は第1の
境界X(N)に基づいて行われ、第2の運転領域IIから
第1の運転領域Iへの運転領域の変化判断は第2の境界
Y(N)に基づいて行われる。
【0044】即ち、機関の運転状態が第1の運転領域I
にあって低温燃焼が行われている時に要求負荷Lが機関
回転数Nの関数である第1の境界X(N)を越えると運
転領域が第2の運転領域IIに移ったと判断され、従来の
燃焼方法による燃焼が行われる。次いで要求負荷Lが機
関回転数Nの関数である第2の境界Y(N)よりも低く
なると運転領域が第1の運転領域Iに移ったと判断さ
れ、再び低温燃焼が行われる。
【0045】図12は空燃比センサ21の出力を示して
いる。図12に示されるように空燃比センサ21の出力
電流Iは空燃比A/Fに応じて変化する。従って空燃比
センサ21の出力電流Iから空燃比を知ることができ
る。次に図13を参照しつつ第1の運転領域I及び第2
の運転領域IIにおける運転制御について概略的に説明す
る。
【0046】図13は要求負荷Lに対するスロットル弁
16の開度、EGR制御弁23の開度、EGR率、空燃
比、噴射時期及び噴射量を示している。図13に示され
るように要求負荷Lの低い第1の運転領域Iではスロッ
トル弁16の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉
近くから半開程度まで徐々に増大せしめられ、EGR制
御弁23の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近
くから全開まで徐々に増大せしめられる。また、図13
に示される例では第1の運転領域IではEGR率がほぼ
70パーセントとされており、空燃比はわずかばかりリ
ーンなリーン空燃比とされている。
【0047】言い換えると第1の運転領域IではEGR
率がほぼ70パーセントとなり、空燃比がわずかばかり
リーンなリーン空燃比となるようにスロットル弁16の
開度及びEGR制御弁23の開度が制御される。なお、
この時の空燃比は空燃比センサ21の出力信号に基づい
てEGR制御弁23の開度を補正することによって目標
リーン空燃比に制御される。また、第1の運転領域Iで
は圧縮上死点TDC前に燃料噴射が行われる。この場
合、噴射開始時期θSは要求負荷Lが高くなるにつれて
遅くなり、噴射完了時期θEも噴射開始時期θSが遅く
なるにつれて遅くなる。
【0048】なお、アイドリング運転時にはスロットル
弁16は全閉近くまで閉弁され、この時にはEGR制御
弁23も全閉近くまで閉弁せしめられる。スロットル弁
16を全閉近くまで閉弁すると圧縮始めの燃焼室5内の
圧力が低くなるために圧縮圧力が小さくなる。圧縮圧力
が小さくなるとピストン4による圧縮仕事が小さくなる
ために機関本体1の振動が小さくなる。即ち、アイドリ
ング運転時には機関本体1の振動を抑制するためにスロ
ットル弁16が全閉近くまで閉弁せしめられる。
【0049】一方、機関の運転領域が第1の運転領域I
から第2の運転領域IIに変わるとスロットル弁16の開
度が半開状態から全開方向へステップ状に増大せしめら
れる。この時に図13に示す例ではEGR率がほぼ70
パーセントから40パーセント以下までステップ状に減
少せしめられ、空燃比がステップ状に大きくされる。即
ち、EGR率が多量のスモークを発生するEGR率範囲
(図9)を飛び越えるので機関の運転領域が第1の運転
領域Iから第2の運転領域IIに変わるときに多量のスモ
ークが発生することがない。
【0050】第2の運転領域IIでは従来から行われてい
る燃焼が行われる。この燃焼方法では煤及びNOXが若
干発生するが低温燃焼に比べて熱効率は高く、従って機
関の運転領域が第1の運転領域Iから第2の運転領域II
に変わると図13に示されるように噴射量がステップ状
に低減せしめられる。
【0051】第2の運転領域IIではスロットル弁16は
一部を除いて全開状態に保持され、EGR制御弁23の
開度は要求負荷Lが高くなると次第に小さくされる。こ
の運転領域IIではEGR率は要求負荷Lが高くなるほど
低くなり、空燃比は要求負荷Lが高くなるほど小さくな
る。ただし、空燃比は要求負荷Lが高くなってもリーン
空燃比とされる。また、第2の運転領域IIでは噴射開始
時期θSは圧縮上死点TDC付近とされる。
【0052】図14は第1の運転領域Iにおける空燃比
A/Fを示している。図14において、A/F=15.
5、A/F=16、A/F=17、A/F=18で示さ
れる各曲線は夫々空燃比が15.5、16、17、18
である時を示しており、各曲線間の空燃比は比例配分に
より定められる。図14に示されるように第1の運転領
域Iでは空燃比がリーンとなっており、更に第1の運転
領域Iでは要求負荷Lが低くなるほど空燃比A/Fがリ
ーンとされる。
【0053】即ち、要求負荷Lが低くなるほど燃焼によ
る発熱量が少なくなる。従って要求負荷Lが低くなるほ
どEGR率を低下させても低温燃焼を行うことができ
る。EGR率を低下させると空燃比は大きくなり、従っ
て図14に示されるように要求負荷Lが低くなるにつれ
て空燃比A/Fが大きくされる。空燃比A/Fが大きく
なるほど燃料消費率は向上し、従ってできる限り空燃比
をリーンにするために本実施例では要求負荷Lが低くな
るにつれて空燃比A/Fが大きくされる。
【0054】なお、空燃比を図14に示す目標空燃比と
するのに必要なスロットル弁16の目標開度STが図1
5(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数N
の関数としてマップの形で予めROM32内に記憶され
ており、空燃比を図14に示す目標空燃比とするのに必
要なEGR制御弁23の目標開度SEが図15(B)に
示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数とし
てマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0055】図16は第二燃焼、即ち従来の燃焼方法に
よる普通の燃焼が行われるときの目標空燃比を示してい
る。なお、図16においてA/F=24、A/F=3
5、A/F=45、A/F=60で示される各曲線は夫
々目標空燃比24、35、45、60を示している。空
燃比をこの目標空燃比とするのに必要なスロットル弁1
6の目標開度STが図17(A)に示されるように要求
負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予め
ROM32内に記憶されており、空燃比をこの目標空燃
比とするのに必要なEGR制御弁23の目標開度SEが
図17(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転
数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶
されている。
【0056】こうして、本実施例のディーゼルエンジン
では、アクセルペダル40の踏み込み量L及び機関回転
数Nとに基づき、第一燃焼、すなわち、低温燃焼と、第
二燃焼、すなわち、普通の燃焼とが切り換えられ、各燃
焼において、アクセルペダル40の踏み込み量L及び機
関回転数Nとに基づき、図15又は図17に示すマップ
によってスロットル弁16及びEGR弁の開度制御が実
施される。
【0057】図18は排気浄化装置を示す平面図であ
り、図19はその側面図である。本排気浄化装置は、排
気マニホルド17の下流側に排気管18を介して接続さ
れた切換部71と、パティキュレートフィルタ70と、
パティキュレートフィルタ70の一方側と切換部71と
を接続する第一接続部72aと、パティキュレートフィ
ルタ70の他方側と切換部71とを接続する第二接続部
72bと、切換部71の下流側の排気通路73とを具備
している。切換部71は、切換部71内で排気流れを遮
断することを可能とする弁体71aを具備している。弁
体71aの一方の遮断位置において、切換部71内の上
流側が第一接続部72aと連通されると共に切換部71
内の下流側が第二接続部72bと連通され、排気ガス
は、図18に矢印で示すように、パティキュレートフィ
ルタ70の一方側から他方側へ流れる。
【0058】また、図20は、弁体71aの他方の遮断
位置を示している。この遮断位置において、切換部71
内の上流側が第二接続部72bと連通されると共に切換
部71内の下流側が第一接続部72aと連通され、排気
ガスは、図20に矢印で示すように、パティキュレート
フィルタ70の他方側から一方側へ流れる。こうして、
弁体71aを切り換えることによって、パティキュレー
トフィルタ70へ流入する排気ガスの方向を逆転するこ
とができ、すなわち、パティキュレートフィルタ70の
排気上流側と排気下流側とを逆転することが可能とな
る。図18において、43aは第一接続部72a内の排
気圧力を検出するための第一圧力センサであり、43b
は第二接続部72b内の排気圧力を検出するための第二
圧力センサである。また、44aはパティキュレートフ
ィルタ70の一方の端部における温度を検出するための
第一温度センサであり、44bはパティキュレートフィ
ルタ70の他方の端部における温度を検出するための第
二温度センサである。
【0059】このように、本排気浄化装置は、非常に簡
単な構成によってパティキュレートフィルタの排気上流
側と排気下流側とを逆転することを可能とする。また、
パティキュレートフィルタにおいては、排気ガスの流入
を容易にするために大きな開口面積が必要とされるが、
本排気浄化装置では、図18及び19に示すように、車
両搭載性を悪化させることなく、大きな開口面積を有す
るパティキュレートフィルタを使用可能である。
【0060】図21にパティキュレートフィルタ70の
構造を示す。なお、図21において、(A)はパティキ
ュレートフィルタ70の正面図であり、(B)は側面断
面図である。これらの図に示すように、本パティキュレ
ートフィルタ70は、長円正面形状を有し、例えば、コ
ージライトのような多孔質材料から形成されたハニカム
構造をなすウォールフロー型であり、多数の軸線方向に
延在する隔壁54によって細分された多数の軸線方向空
間を有している。隣接する二つの軸線方向空間におい
て、栓53によって、一方は排気下流側で閉鎖され、他
方は排気上流側で閉鎖される。こうして、隣接する二つ
の軸線方向空間の一方は排気ガスの流入通路50とな
り、他方は流出通路51となり、排気ガスは、図21
(B)に矢印で示すように、必ず隔壁54を通過する。
排気ガス中のパティキュレートは、隔壁54の細孔の大
きさに比較して非常に小さいものであるが、隔壁54の
排気上流側表面及び隔壁54内の細孔表面上に衝突して
捕集される。こうして、各隔壁54は、パティキュレー
トを捕集する捕集壁として機能する。本パティキュレー
トフィルタ70において、捕集されたパティキュレート
を酸化除去するために、隔壁54の両側表面上、及び、
好ましくは隔壁54内の細孔表面上にもアルミナ等を使
用して以下に説明する活性酸素放出剤と貴金属触媒とが
担持されている。
【0061】活性酸素放出剤とは、活性酸素を放出する
ことによってパティキュレートの酸化を促進するもので
あり、好ましくは、周囲に過剰酸素が存在すると酸素を
取込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると
保持した酸素を活性酸素の形で放出するものである。
【0062】貴金属触媒としては、通常、白金Ptが用
いられており、活性酸素放出剤としてカリウムK、ナト
リウムNa、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウム
Rbのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウム
Ca、ストロンチウムSrのようなアルカリ土類金属、
ランタンLa、イットリウムYのような希土類、及び遷
移金属から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
【0063】なお、この場合、活性酸素放出剤として
は、カルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ
金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウム
Li、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、
ストロンチウムSrを用いることが好ましい。
【0064】次に、このような活性酸素放出剤を担持す
るパティキュレートフィルタによって、捕集されたパテ
ィキュレートがどのように酸化除去されるかについて、
白金Pt及びカリウムKの場合を例にとって説明する。
他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土
類、遷移金属を用いても同様なパティキュレート除去作
用が行われる。
【0065】ディーゼルエンジンでは通常空気過剰のも
とで燃焼が行われ、従って排気ガスは多量の過剰空気を
含んでいる。即ち、吸気通路及び燃焼室内に供給された
空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると、この
空燃比はリーンとなっている。また、燃焼室内ではNO
が発生するので排気ガス中にはNOが含まれている。ま
た、燃料中にはイオウSが含まれており、このイオウS
は燃焼室内で酸素と反応してSO2となる。従って排気
ガス中にはSO2が含まれている。従って過剰酸素、N
O及びSO2を含んだ排気ガスがパティキュレートフィ
ルタ70の排気上流側へ流入することになる。
【0066】図22(A)及び(B)はパティキュレー
トフィルタ70における排気ガス接触面の拡大図を模式
的に表している。なお、図22(A)及び(B)におい
て60は白金Ptの粒子を示しており、61はカリウム
Kを含んでいる活性酸素放出剤を示している。
【0067】上述したように排気ガス中には多量の過剰
酸素が含まれているので排気ガスがパティキュレートフ
ィルタの排ガス接触面内に接触すると、図22(A)に
示されるようにこれら酸素O2がO2 -又はO2-の形で白
金Ptの表面に付着する。一方、排気ガス中のNOは白
金Ptの表面上でO2 -又はO2-と反応し、NO2となる
(2NO+O2→2NO2)。次いで生成されたNO2
一部は白金Pt上で酸化されつつ活性酸素放出剤61内
に吸収され、カリウムKと結合しながら図22(A)に
示されるように硝酸イオンNO3 -の形で活性酸素放出剤
61内に拡散し、硝酸カリウムKNO3を生成する。こ
のようにして、本実施例では、排気ガスに含まれるNO
Xをパティキュレートフィルタ70に吸収し、大気中へ
の放出量を大幅に減少させることができる。
【0068】一方、上述したように排気ガス中にはSO
2も含まれており、このSO2もNOと同様なメカニズム
によって活性酸素放出剤61内に吸収される。即ち、上
述したように酸素O2がO2 -又はO2-の形で白金Ptの
表面に付着しており、排気ガス中のSO2は白金Ptの
表面でO2 -又はO2-と反応してSO3となる。次いで生
成されたSO3の一部は白金Pt上で更に酸化されつつ
活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合し
ながら硫酸イオンSO4 2-の形で活性酸素放出剤61内
に拡散し、硫酸カリウムK2SO4を生成する。このよう
にして活性酸素放出触媒61内には硝酸カリウムKNO
3及び硫酸カリウムK2SO4が生成される。
【0069】排気ガス中のパティキュレートは、図22
(B)において62で示されるように、パティキュレー
トフィルタに担持された活性酸素放出剤61の表面上に
付着する。この時、パティキュレート62と活性酸素放
出剤61との接触面では酸素濃度が低下する。酸素濃度
が低下すると酸素濃度の高い活性酸素放出剤61内との
間で濃度差が生じ、斯くして活性酸素放出剤61内の酸
素がパティキュレート62と活性酸素放出剤61との接
触面に向けて移動しようとする。その結果、活性酸素放
出剤61内に形成されている硝酸カリウムKNO3がカ
リウムKと酸素OとNOとに分解され、酸素Oがパティ
キュレート62と活性酸素放出剤61との接触面に向か
い、NOが活性酸素放出剤61から外部に放出される。
外部に放出されたNOは下流側の白金Pt上において酸
化され、再び活性酸素放出剤61内に吸収される。
【0070】一方、このとき活性酸素放出剤61内に形
成されている硫酸カリウムK2SO4もカリウムKと酸素
OとSO2とに分解され、酸素Oがパティキュレート6
2と活性酸素放出剤61との接触面に向かい、SO2
活性酸素放出剤61から外部に放出される。外部に放出
されたSO2は下流側の白金Pt上において酸化され、
再び活性酸素放出剤61内に吸収される。但し、硫酸カ
リウムK2SO4は、安定化しているために、硝酸カリウ
ムKNO3に比べて活性酸素を放出し難い。
【0071】一方、パティキュレート62と活性酸素放
出剤61との接触面に向かう酸素Oは硝酸カリウムKN
3や硫酸カリウムK2SO4のような化合物から分解さ
れた酸素である。化合物から分解された酸素Oは高いエ
ネルギを有しており、極めて高い活性を有する。従って
パティキュレート62と活性酸素放出剤61との接触面
に向かう酸素は活性酸素Oとなっている。これら活性酸
素Oがパティキュレート62に接触するとパティキュレ
ート62は数分から数十分の短時間で輝炎を発すること
なく酸化せしめられる。また、パティキュレート62を
酸化する活性酸素Oは、活性酸素放出剤61へNO及び
SO2が吸収される時にも放出される。すなわち、NOX
は酸素原子の結合及び分離を繰り返しつつ活性酸素放出
剤61内において硝酸イオンNO3 -の形で拡散するもの
と考えられ、この間にも活性酸素が発生する。パティキ
ュレート62はこの活性酸素によっても酸化せしめられ
る。また、このようにパティキュレートフィルタ70上
に付着したパティキュレート62は活性酸素Oによって
酸化せしめられるがこれらパティキュレート62は排気
ガス中の酸素によっても酸化せしめられる。
【0072】ところで白金Pt及び活性酸素放出剤61
はパティキュレートフィルタの温度が高くなるほど活性
化するので単位時間当りに活性酸素放出剤61から放出
される活性酸素Oの量はパティキュレートフィルタの温
度が高くなるほど増大する。また、当然のことながら、
パティキュレート自身の温度が高いほど酸化除去され易
くなる。従ってパティキュレートフィルタ上において単
位時間当りに輝炎を発することなくパティキュレートを
酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量はパティキュレー
トフィルタの温度が高くなるほど増大する。
【0073】図23の実線は単位時間当りに輝炎を発す
ることなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量Gを示
しており、図23において横軸はパティキュレートフィ
ルタの温度TFを示している。なお、図23は単位時間
を1秒とした場合の、すなわち、1秒当たりの酸化除去
可能微粒子量Gを示しているがこの単位時間としては、
1分、10分等任意の時間を採用することができる。例
えば、単位時間として10分を用いた場合には単位時間
当たりの酸化除去可能微粒子量Gは10分間当たりの酸
化除去可能微粒子量Gを表すことになり、この場合でも
パティキュレートフィルタ70上において単位時間当た
りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能
微粒子量Gは図23に示されるようにパティキュレート
フィルタ70の温度が高くなるほど増大する。
【0074】さて、単位時間当りに燃焼室から排出され
るパティキュレートの量を排出微粒子量Mと称するとこ
の排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少な
いとき、例えば、1秒当たりの排出微粒子量Mが1秒当
たりの酸化除去可能微粒子量Gよりも少ないとき、或い
は10分当たりの排出微粒子量Mが10分当たりの酸化
除去可能微粒子量Gよりも少ないとき、即ち図23の領
域Iでは燃焼室から排出された全てのパティキュレート
がパティキュレートフィルタ70上において輝炎を発す
ることなく順次短時間のうちに酸化除去せしめられる。
【0075】これに対し、排出微粒子量Mが酸化除去可
能微粒子量Gよりも多いとき、即ち図23の領域IIでは
全てのパティキュレートを順次酸化するには活性酸素量
が不足している。図24(A)〜(C)はこのような場
合におけるパティキュレートの酸化の様子を示してい
る。
【0076】即ち、全てのパティキュレートを酸化する
には活性酸素量が不足している場合には図24(A)に
示すようにパティキュレート62が活性酸素放出剤61
上に付着するとパティキュレート62の一部のみが酸化
され、十分に酸化されなかったパティキュレート部分が
パティキュレートフィルタの排気上流側面上に残留す
る。次いで活性酸素量が不足している状態が継続すると
次から次へと酸化されなかったパティキュレート部分が
排気上流面上に残留し、その結果図24(B)に示され
るようにパティキュレートフィルタの排気上流面が残留
パティキュレート部分63によって覆われるようにな
る。
【0077】このような残留パティキュレート部分63
は、次第に酸化され難いカーボン質に変質し、また、排
気上流面が残留パティキュレート部分63によって覆わ
れると白金PtによるNO,SO2の酸化作用及び活性
酸素放出剤61による活性酸素の放出作用が抑制され
る。それにより、時間を掛ければ徐々に残留パティキュ
レート部分63を酸化させることができるが、図24
(C)に示されるように残留パティキュレート部分63
の上に別のパティキュレート64が次から次へと堆積す
る。即ち、パティキュレートが積層状に堆積すると、こ
れらパティキュレートは、白金Ptや活性酸素放出剤か
ら距離を隔てているために、例え酸化され易いパティキ
ュレートであっても活性酸素によって酸化されることは
ない。従ってこのパティキュレート64上に更に別のパ
ティキュレートが次から次へと堆積する。即ち、排出微
粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多い状態が継
続するとパティキュレートフィルタ上にはパティキュレ
ートが積層状に堆積してしまう。
【0078】このように図23の領域Iではパティキュ
レートはパティキュレートフィルタ上において輝炎を発
することなく短時間のうちに酸化せしめられ、図23の
領域IIではパティキュレートがパティキュレートフィル
タ上に積層状に堆積する。従って、排出微粒子量Mと酸
化除去可能微粒子量Gとの関係を領域Iにすれば、パテ
ィキュレートフィルタ上へのパティキュレートの堆積を
防止することができる。その結果、パティキュレートフ
ィルタ70における排気ガス流の圧損は全くと言ってい
いほど変化することなくほぼ一定の最小圧損値に維持さ
れる。斯くして機関の出力低下を最小限に維持すること
ができる。しかしながら、これが常に実現されるとは限
らず、何もしなければパティキュレートフィルタにはパ
ティキュレートが堆積することがある。
【0079】本実施例では、前述の電子制御ユニット3
0により図25に示す第一フローチャートに従って弁体
71aの切換制御を実施し、パティキュレートフィルタ
へのパティキュレートの堆積を防止している。本フロー
チャートは所定時間毎に繰り返される。先ず、ステップ
101において、弁体の切り換え時期であるか否かが判
断される。例えば、車両の走行距離積算値が設定走行距
離以上となった時を弁体の切り換え時期とすることがで
きる。
【0080】図26は、パティキュレートフィルタの隔
壁54の拡大断面図である。車両が設定走行距離を走行
する間には、図23の領域IIでの運転が実施されること
もあり、図26(A)に格子で示すように、排気ガスが
主に衝突する隔壁54の排気上流側表面及び細孔内の排
気ガス流対向面は、一方の捕集面としてパティキュレー
トを衝突捕集し、活性酸素放出剤により酸化除去する
が、この酸化除去が不十分となってパティキュレートが
残留することがある。この時点では、パティキュレート
フィルタの排気抵抗は車両走行に悪影響を与えるほどで
はないが、さらにパティキュレートが堆積すれば、機関
出力の大幅な低下等の問題を発生する。それにより、少
なくとも、この程度のパティキュレート堆積時点では弁
体の切り換え時期であると判断され、パティキュレート
フィルタの排気上流側と排気下流側とが逆転されること
が好ましい。この逆転により、隔壁54の一方の捕集面
に残留するパティキュレート上には、さらにパティキュ
レートが堆積することはなく、一方の捕集面から放出さ
れる活性酸素によって残留パティキュレートは徐々に酸
化除去される。また、隔壁の細孔内に残留するパティキ
ュレートは、逆方向の排気ガス流によって、図26
(B)に示すように、容易に破壊されて細分化され、下
流側へ移動する。
【0081】それにより、細分化された多くのパティキ
ュレートは、隔壁の細孔内に分散し、すなわち、パティ
キュレートは流動することにより、隔壁の細孔内表面に
担持させた活性酸素放出剤と直接的に接触して酸化除去
される機会が多くなる。こうして、隔壁の細孔内にも活
性酸素放出剤を担持させることで、残留パティキュレー
トを格段に酸化除去させ易くなる。さらに、この酸化除
去に加えて、排気ガスの逆流によって上流側となった隔
壁54の他方の捕集面、すなわち、現在において排気ガ
スが主に衝突する隔壁54の排気上流側表面及び細孔内
の排気ガス流対向面(一方の捕集面とは反対側の関係と
なる)では、排気ガス中の新たなパティキュレートが付
着して活性酸素放出剤から放出された活性酸素によって
酸化除去される。これらの酸化除去の際に活性酸素放出
剤から放出された活性酸素の一部は、排気ガスと共に下
流側へ移動し、排気ガスの逆流によっても依然として残
留するパティキュレートを酸化除去する。
【0082】すなわち、隔壁における一方の捕集面の残
留パティキュレートには、この捕集面から放出される活
性酸素だけでなく、排気ガスの逆流によって隔壁の他方
の捕集面でのパティキュレートの酸化除去に使用された
残りの活性酸素が排気ガスによって到来する。それによ
り、弁体の切り換え時点において、隔壁の一方の捕集面
にある程度パティキュレートが積層状に堆積していたと
しても、排気ガスを逆流させれば、残留パティキュレー
ト上に堆積するパティキュレートへも活性酸素が到来す
ることに加えて、さらにパティキュレートが堆積するこ
とはないために、堆積パティキュレートは徐々に酸化除
去され、次回の逆流までに、ある程度の時間があれば、
この間で十分に酸化除去可能である。
【0083】弁体の切り換え時期は、所定走行距離毎で
なく設定時間毎としても良い。もちろん、このように定
期的ではなく、不定期に弁体切り換え時期を設定しても
良い。いずれにしても、弁体の切り換え時期は、パティ
キュレートフィルタ上の残留パティキュレートが酸化さ
れ難いカーボン質に変質する以前に設定されるように機
関始動から機関停止の間に少なくとも一回は行うことが
好ましい。また、多量のパティキュレートが堆積する以
前にパティキュレートを酸化除去することは、多量の堆
積パティキュレートが一度に着火燃焼して多量の燃焼熱
を発生させ、この燃焼熱によりパティキュレートフィル
タが溶損する等の問題を防止することにもなる。また、
何らかの要因によって、弁体の切り換え時期においてパ
ティキュレートフィルタ隔壁の一方の捕集面に多量のパ
ティキュレートが堆積してしまったとしても、弁体が切
り換えられれば、堆積パティキュレートは逆方向の排気
ガス流によって比較的容易に破壊及び細分化されるため
に、隔壁の細孔内で酸化除去できなかった一部の細分化
パティキュレートはパティキュレートフィルタから排出
されることとなるが、パティキュレートフィルタの排気
抵抗がさらに高まって車両走行に悪影響を与えることは
ない。また、パティキュレートフィルタ隔壁の他方の捕
集面では、新たなパティキュレートの捕集が可能であ
る。
【0084】また、パティキュレートフィルタ70の一
方側の排気圧力P1、すなわち、第一接続部72a(図
18参照)内の排気圧力を、第一接続部72aに配置さ
れた第一圧力センサ43aによって検出し、また、パテ
ィキュレートフィルタ70の他方側の排気圧力P2、す
なわち、第二接続部72b(図18参照)内の排気圧力
を、第二接続部72bに配置された第二圧力センサ43
bによって検出し、これら排気圧力P1及びP2の差圧
の絶対値が、設定圧力差以上となったときを弁体の切り
換え時期としても良い。ここで、差圧の絶対値を使用す
るのは、第一接続部72a及び第二接続部72bのいず
れが排気上流側となっていても差圧の上昇を把握可能と
するためである。この弁体の切り換え時期において、パ
ティキュレートフィルタには、ある程度のパティキュレ
ートが残留しているために、弁体71aを切り換えてパ
ティキュレートフィルタの排気上流側と排気下流側とを
逆転することが好ましい。
【0085】それにより、前述のように、残留パティキ
ュレートは、パティキュレートフィルタから酸化除去さ
れる。こうして、パティキュレートフィルタにある程度
のパティキュレートが残留していることをパティキュレ
ートフィルタの両側の差圧を利用して間接的に検知し、
それ以上のパティキュレートが堆積して機関出力を大幅
に低下することを確実に防止することができる。もちろ
ん、この差圧以外にも、例えば、パティキュレートフィ
ルタにおける所定隔壁上の電気抵抗値の変化を監視し
て、パティキュレートの堆積によって電気抵抗値が設定
値以下となった時を、パティキュレートフィルタ上にあ
る程度のパティキュレートが堆積しているとして弁体の
切り換え時期としても良く、また、パティキュレートフ
ィルタの所定隔壁において、パティキュレートの堆積に
より、光の透過率が低下すること、又は、光の反射率が
低下することを利用して、パティキュレートフィルタ上
にある程度のパティキュレートが堆積していると判断
し、これを弁体の切り換え時期としても良い。このよう
に、パティキュレートの残留を直接的に判断して弁体を
切り換えることにより、さらに確実に機関出力の大幅な
低下を防止することができる。また、パティキュレート
フィルタの両側の差圧は、厳密には、機関運転状態毎の
気筒内から排出される排気ガス圧力によっても変化する
ために、パティキュレートの堆積の判断には、機関運転
状態を特定することが好ましい。
【0086】このように、弁体の切り換え時期において
パティキュレートフィルタの排気上流側と排気下流側と
を逆転すれば、残留及び堆積パティキュレートを比較的
良好に酸化除去することができるが、第一フローチャー
トでは、さらに良好に残留及び堆積パティキュレートを
酸化除去するために、ステップ101において弁体の切
り換え時期と判断された時にはステップ102及び10
3の処理が実施されるようになっている。
【0087】ステップ102では、第一温度センサ44
a及び第二温度センサ44bによって検出されたパティ
キュレートフィルタ70の二つの端部の温度において、
現在の排気出口側端部の温度Toが排気入口側端部の温
度Tiより高いか否かが判断される。この判断が肯定さ
れる時にはステップ104において弁体71aを切り換
える。しかしながら、ステップ102における判断が否
定される時にはステップ103において、弁体71aの
切り換え時期となってからの経過時間tが設定時間t1
以上となったか否かが判断される。この判断が肯定され
る時には、パティキュレートフィルタ隔壁の現在上流側
の捕集面に多量のパティキュレートが堆積する可能性が
あり、ステップ104に進んで弁体71aを直ぐに切り
換える。
【0088】一方、ステップ103における判断が否定
される時にはステップ102に戻る。こうして、ステッ
プ102及び103における判断が繰り返され、ステッ
プ102における判断が肯定されると、ステップ104
において弁体71aを切り換えるようになっている。
【0089】本実施例のように白金等の酸化触媒を担持
する等してパティキュレートフィルタが酸化機能を有し
ている場合には、パティキュレートフィルタで排気ガス
中のHC及びCO等の還元物質を燃焼させることができ
る。この燃焼熱は、パティキュレートフィルタを昇温し
て酸化除去可能微粒子量を向上させると共にパティキュ
レート自身の温度を高めるために、パティキュレートの
酸化除去に有利となる。
【0090】ところで、排気ガスは、パティキュレート
フィルタ隔壁の排気上流側表面から排気下流側表面へ隔
壁の細孔を通り流れるが、細孔を通過する以外は排気上
流側表面又は排気下流側表面に沿って流れる。それによ
り、パティキュレートフィルタの排気入口部(各隔壁の
排気入口側端部)での燃焼熱は、排気ガスと共に、パテ
ィキュレートフィルタの中央部(各隔壁の中央部)を介
してパティキュレートフィルタの排気出口部(各隔壁の
排気出口側端部)へ移動し、最終的にはパティキュレー
トフィルタから排出される。
【0091】通常の排気ガスの空燃比はリーンであり、
排気ガス中には還元物質は僅かしか含まれておらず、排
気入口部では、僅かな燃焼熱が排気ガスによって奪わ
れ、燃焼熱による昇温は殆ど無い。一方、中央部は、こ
こでの燃焼熱が排気ガスによって奪われるが、排気入口
部からの熱移動もあって排気入口部よりは昇温され、排
気出口部は、ここでの燃焼熱に加えて排気入口部及び中
央部からの熱移動によって最も良く昇温される。
【0092】こうして、パティキュレートフィルタ各部
に温度差がもたらされると、各部における酸化触媒の活
性化程度に差が発生し、排気ガス中の還元物質は、排気
入口部では殆ど燃焼せず、主に排気出口部で燃焼するこ
ととなり、パティキュレートフィルタ各部の温度差は、
図29に点線で示すように顕著なものとなる。
【0093】しかしながら、主に排気出口部で還元物質
を燃焼させても、この燃焼熱は、パティキュレートフィ
ルタの他部を昇温させることなく、パティキュレートフ
ィルタから排出されるだけであり、パティキュレートフ
ィルタの酸化除去可能微粒子量を向上させるのに効果的
ではない。
【0094】本フローチャートにおいて、通常は、弁体
71aの切り換え時期となった時に、前述したように排
気出口部の温度が排気入口部より高くなっており、ステ
ップ102における判断が肯定されて弁体71aの切り
換えが実施され、前述したようにして、これまで排気上
流側であった捕集面の残留パティキュレートの酸化除去
と共に、現在排気上流側となった捕集面での新たなパテ
ィキュレートの捕集が開始される。さらに、現在の排気
入口部は、これまでの排気出口部であるために比較的温
度が高く、排気ガス中の還元物質の多くを燃焼させるた
めに、排気入口部での燃焼熱が増大し、ある程度が排気
ガスによって中央部及び排気出口部へ移動させられて
も、排気入口部を比較的良好に昇温することができる。
【0095】こうして、排気入口部の温度は比較的高く
維持され、暫くは、排気ガス中の還元物質の多くを排気
入口部で燃焼させることができる。主に排気入口部で還
元物質を燃焼させれば、この燃焼熱は、排気入口部を昇
温させるだけでなく、排気ガスによる熱移動によってパ
ティキュレートフィルタから排出される以前に、中央部
及び排気出口部を昇温させるために、図29に実線で示
す温度分布となり、パティキュレートフィルタを全体的
に昇温させることができる。それにより、排気ガス中の
還元物質を効果的に酸化除去可能微粒子量向上に利用す
ることができる。
【0096】このように排気入口部の温度が比較的高く
維持される期間は、通常のリーン状態の排気ガスにおい
て、含まれている還元物質の量が僅かであるために、そ
れほど長くはなく、徐々に排気入口部の温度は低下し、
遂には前述したように図29に点線で示す温度分布とな
る。しかしながら、排気ガスの空燃比がリッチとされて
排気ガス中に比較的多くの還元物質が含まれていれば、
その間においては、排気入口部で比較的多量の燃焼熱が
発生し、排気入口部の温度を比較的高く維持することが
できる。
【0097】こうして、もし、弁体71aの切り換え時
期となっても、パティキュレートフィルタにおいて排気
入口部の温度が排気出口部より高ければ、直ぐに排気入
口部と排気出口部とを逆転することは、排気ガス中の還
元物質をパティキュレートフィルタの昇温に効果的に利
用できないために好ましくなく、本フローチャートのス
テップ103において、弁体の切り換え時期となってか
らの経過時間tが設定時間t1となるまでの間は、弁体
71aを切り換えないようになっている。
【0098】本フローチャートでは、車両走行距離等に
基づいて弁体の切り換え時期となった時に、パティキュ
レートフィルタの排気入口部の温度と排気出口部の温度
とを比較して弁体を実際に切り換えるか否かを判断する
ようにしたが、もちろん、弁体の切り換えは任意に実施
しても効果的であるために、単にパティキュレートフィ
ルタの排気出口部の温度が排気入口部の温度より高くな
った時に弁体を切り換えるようにしても良い。
【0099】また、図28に示す第二フローチャートの
ように、パティキュレートフィルタの排気出口部の温度
Toが排気入口部の温度Tiより高い時に(ステップ2
01)に、機関減速時であるか否かを判断し(ステップ
202)、機関減速時であれば弁体を切り換えるように
しても良い(ステップ203)。また、パティキュレー
トフィルタの排気出口部の温度Toが排気入口部の温度
Tiより高くなる毎に、機関減速時を待って弁体を切り
換えるようにしても良い。機関減速時の判断は、フュー
エルカット信号を検出すれば良く、また、車両走行中に
おいてブレーキペダルの踏み込み信号を検出するように
しても良く、又は、車両走行中においてアクセルペダル
の開放信号を検出しても良い。
【0100】本排気浄化装置の切換部71の構造では、
弁体71aが切り換わる間において、切換部71内が開
放され、一部の排気ガスは、直接的に排気通路73へ流
入するために、パティキュレートフィルタをバイパスし
てしまう。機関減速時は、フューエルカットされている
か又は燃料噴射量が非常に少ないために、排気ガス中に
パティキュレートが殆ど含まれていない。それにより、
この時に弁体を切り換えれば、一部の排気ガスがパティ
キュレートフィルタをバイパスしても大気中へパティキ
ュレートが放出されることがない。また、機関減速時
は、フューエルカットされているか又は燃料噴射量が非
常に少ないために、排気ガス温度が非常に低くなる。そ
れにより、この時に弁体を切り換えれば、一部の排気ガ
スでもパティキュレートフィルタをバイパスさせること
ができ、パティキュレートフィルタの温度低下、すなわ
ち、酸化除去可能微粒子量の減少を抑制することができ
る。
【0101】第一フローチャート及び第二フローチャー
トでは、実際的にパティキュレートフィルタの排気入口
部の温度と排気出口部の温度とを検出するようにした
が、もちろん、機関運転状態により変化する排気ガス温
度及び排気ガス中の還元物質量等に基づきパティキュレ
ートフィルタの排気入口部の温度と排気出口部の温度を
推定しても良く、また、いずれの温度が高いかだけを推
定するようにしても良い。
【0102】また、排気ガスの空燃比をリッチにする
と、すなわち、排気ガス中の酸素濃度を低下させると、
活性酸素放出剤61から外部に活性酸素Oが一気に放出
される。この一気に放出された活性酸素Oによって、堆
積パティキュレートは酸化され易いものとなって容易に
酸化除去される。
【0103】一方、空燃比がリーンに維持されていると
白金Ptの表面が酸素で覆われ、いわゆる白金Ptの酸
素被毒が生じる。このような酸素被毒が生じるとNOX
に対する酸化作用が低下するためにNOXの吸収効率が
低下し、斯くして活性酸素放出剤61からの活性酸素放
出量が低下する。しかしながら空燃比がリッチにされる
と白金Pt表面上の酸素が消費されるために酸素被毒が
解消され、従って空燃比がリッチからリーンに切り換え
られるとNOXに対する酸化作用が強まるためにNOX
吸収効率が高くなり、斯くして活性酸素放出剤61から
の活性酸素放出量が増大する。
【0104】従って、空燃比がリーンに維持されている
時に空燃比を時折リーンからリッチに一時的に切り換え
るとその都度白金Ptの酸素被毒が解消されるために空
燃比がリーンである時の活性酸素放出量が増大し、斯く
してパティキュレートフィルタ70上におけるパティキ
ュレートの酸化作用を促進することができる。
【0105】さらに、この酸素被毒の解消は、言わば、
還元物質の燃焼であるために、発熱を伴ってパティキュ
レートフィルタを昇温させる。それにより、パティキュ
レートフィルタにおける酸化除去可能微粒子量が向上
し、さらに、残留及び堆積パティキュレートの酸化除去
が容易となる。弁体71aによってパティキュレートフ
ィルタの排気上流側と排気下流側とを切り換えた直後に
排気ガスの空燃比をリッチにすれば、パティキュレート
が残留していないパティキュレートフィルタ隔壁におけ
る他方の捕集面では、一方の捕集面に比較して活性酸素
を放出し易いために、さらに多量の放出される活性酸素
によって、一方の捕集面の残留パティキュレートをさら
に確実に酸化除去することができる。もちろん、弁体7
1aの切り換えとは無関係に時折排気ガスの空燃比をリ
ッチにしても良く、それにより、パティキュレートフィ
ルタへパティキュレートが残留及び堆積し難くなる。
【0106】排気ガスの空燃比をリッチにする方法とし
ては、例えば、前述の低温燃焼を実施すれば良い。もち
ろん、通常燃焼から低温燃焼へ切り換わる時を弁体の切
り換え時期としても良い。また、排気ガスの空燃比をリ
ッチにするために、単に燃焼空燃比をリッチにしても良
い。また、圧縮行程での通常の主燃料噴射に加えて、機
関燃料噴射弁によって排気行程又は膨張行程において気
筒内に燃料を噴射(ポスト噴射)しても良く、又は、吸
気行程において気筒内に燃料を噴射(ビゴム噴射)して
も良い。もちろん、ポスト噴射又はビゴム噴射は、主燃
料噴射との間に必ずしもインターバルを設ける必要はな
い。また、機関排気系に燃料を供給することも可能であ
る。
【0107】ところで、排気ガス中のカルシウムCaは
SO3が存在すると、硫酸カルシウムCaSO4を生成す
る。この硫酸カルシウムCaSO4は、酸化除去され難
く、パティキュレートフィルタ上にアッシュとして残留
することとなる。従って、硫酸カルシウムの残留による
パティキュレートフィルタの目詰まりを防止するために
は、活性酸素放出剤61としてカルシウムCaよりもイ
オン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、
例えばカリウムKを用いることが好ましく、それによ
り、活性酸素放出剤61内に拡散するSO3はカリウム
Kと結合して硫酸カリウムK2SO4を形成し、カルシウ
ムCaはSO3と結合することなくパティキュレートフ
ィルタの隔壁を通過する。従ってパティキュレートフィ
ルタがアッシュによって目詰まりすることがなくなる。
こうして、前述したように活性酸素放出剤61としては
カルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属
又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムL
i、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ス
トロンチウムSrを用いることが好ましいことになる。
【0108】また、活性酸素放出剤としてパティキュレ
ートフィルタに白金Ptのような貴金属のみを担持させ
ても、白金Ptの表面上に保持されるNO2又はSO3
ら活性酸素を放出させることができる。ただし、この場
合には酸化除去可能微粒子量Gを示す実線は図23に示
す実線に比べて若干右側に移動する。また、活性酸素放
出剤としてセリアを用いることも可能である。セリア
は、排気ガス中の酸素濃度が高いと酸素を吸収し(Ce
23→2CeO2)、排気ガス中の酸素濃度が低下する
と活性酸素を放出する(2CeO2→Ce23)もので
あるために、パティキュレートの酸化除去のために、排
気ガス中の空燃比を定期的又は不定期にリッチにする必
要がある。セリアに代えて、鉄又は錫を使用しても良
い。
【0109】また、活性酸素放出剤として排気ガス中の
NOX浄化に使用されるNOX吸蔵還元触媒を用いること
も可能である。この場合においては、NOX又はSOX
放出させるために排気ガスの空燃比を少なくとも一時的
にリッチにする必要があり、このリッチ化制御をパティ
キュレートフィルタの上流側と下流側との逆転後に実施
することが好ましい。
【0110】本実施例において、パティキュレートフィ
ルタ自身が活性酸素放出剤を担持して、この活性酸素放
出剤が放出する活性酸素によりパティキュレートが酸化
除去されるものとしたが、これは、本発明を限定するも
のではない。例えば、活性酸素及び活性酸素と同等に機
能する二酸化窒素等のパティキュレート酸化物質は、パ
ティキュレートフィルタ又はそれに担持させた物質から
放出されても、外部からパティキュレートフィルタへ流
入するようにしても良い。パティキュレート酸化物質が
外部から流入する場合においても、パティキュレートを
捕集するために、捕集壁の第一捕集面と第二捕集面とを
交互に使用することで、排気下流側となった一方の捕集
面では、新たにパティキュレートが堆積することはな
く、この堆積パティキュレートを、他方の捕集面から流
入するパティキュレート酸化成分によって徐々にでも酸
化除去して、堆積パティキュレートをある程度の時間で
十分に酸化除去することが可能である。この間におい
て、他方の捕集面では、パティキュレートの捕集と共に
パティキュレート酸化成分による酸化が行われるため
に、前述同様な効果がもたらされる。また、この場合に
おいても、パティキュレートフィルタの昇温は、パティ
キュレート自身の温度を高めて酸化除去させ易くなる。
【0111】本実施例のディーゼルエンジンは、低温燃
焼と通常燃焼とを切り換えて実施するものとしたが、こ
れは本発明を限定するものではなく、もちろん、通常燃
焼のみを実施するディーゼルエンジン、又はパティキュ
レートを排出するガソリンエンジンにも本発明は適用可
能である。
【0112】
【発明の効果】このように、本発明による内燃機関の排
気浄化装置によれば、機関排気系に配置されたパティキ
ュレートフィルタと、パティキュレートフィルタの排気
上流側と排気下流側とを逆転するための逆転手段とを具
備し、パティキュレートフィルタにおいては捕集したパ
ティキュレートが酸化させられ、パティキュレートフィ
ルタは、パティキュレートを捕集するための捕集壁を有
し、捕集壁は第一捕集面と第二捕集面とを有し、逆転手
段によってパティキュレートフィルタの排気上流側と排
気下流側とが逆転されることによりパティキュレートを
捕集するために捕集壁の第一捕集面と第二捕集面とが交
互に使用され、前記パティキュレートフィルタは酸化機
能を有し、前記逆転手段は、前記パティキュレートフィ
ルタの排気出口部の温度が排気入口部の温度より高い時
に、前記パティキュレートフィルタの排気上流側と排気
下流側とを逆転するようになっている。それにより、運
転状態によっては、パティキュレートフィルタでのパテ
ィキュレートの酸化が不十分となってパティキュレート
フィルタ捕集壁の一方の捕集面にはある程度パティキュ
レートが残留することがあるが、逆転手段によるパティ
キュレートフィルタの排気上流側と排気下流側との逆転
によって、捕集壁のこの捕集面には新たにパティキュレ
ートが堆積することはなく、残留パティキュレートを徐
々に酸化除去可能である。同時に、捕集壁の他方の捕集
面によってパティキュレートの捕集及び酸化が開始され
る。こうして、パティキュレートの捕集に第一捕集面と
第二捕集面とが交互に使用されると、常に単一の捕集面
でパティキュレートを捕集する場合に比較して、各捕集
面でのパティキュレート捕集量を低減することができ、
パティキュレートの酸化除去に有利となるために、パテ
ィキュレートフィルタにはパティキュレートが堆積する
ことはなく、パティキュレートフィルタの目詰まりを防
止することができる。さらに、逆転手段は、パティキュ
レートフィルタの排気出口部の温度が排気入口部の温度
より高い時に、パティキュレートフィルタの排気上流側
と排気下流側とを逆転するようになっている。それによ
り、逆転後においてはパティキュレートフィルタの排気
入口部の温度は高く、排気ガス中の還元物質は主にこの
排気入口部において酸化機能により燃焼させられる。こ
の燃焼熱は、排気ガスによる熱移動によってパティキュ
レートフィルタから排出される以前にパティキュレート
フィルタの中央部及び排気出口部を昇温させるために、
排気ガス中の還元物質をパティキュレートフィルタ全体
の昇温に効果的に利用することができ、パティキュレー
トの酸化除去を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気浄化装置を備えるディーゼル
エンジンの概略縦断面図である。
【図2】図1の燃焼室の拡大縦断面図である。
【図3】図1のシリンダヘッドの底面図である。
【図4】燃焼室の側面断面図である。
【図5】吸排気弁のリフトと燃料噴射を示す図である。
【図6】スモーク及びNOXの発生量等を示す図であ
る。
【図7】Aは空燃比が21付近でスモークの発生量が最
も多い時の燃焼圧変化を示す図であり、Bは空燃比が1
8付近でスモークの発生量がほぼ零の時の燃焼圧変化を
示す図である。
【図8】燃料分子を示す図である。
【図9】スモークの発生量とEGR率との関係を示す図
である。
【図10】噴射燃料量と混合ガス量との関係を示す図で
ある。
【図11】第1の運転領域I及び第2の運転領域IIを示
す図である。
【図12】空燃比センサの出力を示す図である。
【図13】スロットル弁の開度等を示す図である。
【図14】第1の運転領域Iにおける空燃比を示す図で
ある。
【図15】Aはスロットル弁の目標開度のマップを示す
図であり、BはEGR制御弁の目標開度のマップを示す
図である。
【図16】第二燃焼における空燃比を示す図である。
【図17】Aはスロットル弁の目標開度のマップを示す
図であり、BはEGR制御弁の目標開度のマップを示す
図である。
【図18】機関排気系における切換部及びパティキュレ
ートフィルタ近傍の平面図である。
【図19】図18の側面図である。
【図20】切換部内の弁体の図18とは異なるもう一つ
の遮断位置を示す図である。
【図21】Aはパティキュレートフィルタの構造を示す
正面図であり、Bはパティキュレートフィルタの構造を
示す側面断面図である。
【図22】パティキュレートの酸化作用を説明するため
の図である。
【図23】酸化除去可能微粒子量とパティキュレートフ
ィルタの温度との関係を示す図である。
【図24】パティキュレートの堆積作用を説明するため
の図である。
【図25】パティキュレートフィルタへのパティキュレ
ートの堆積を防止するための第一フローチャートであ
る。
【図26】パティキュレートフィルタの隔壁の拡大断面
図である。
【図27】パティキュレートフィルタの各部温度を示す
グラフである。
【図28】パティキュレートフィルタへのパティキュレ
ートの堆積を防止するための第二フローチャートであ
る。
【符号の説明】
6…燃料噴射弁 16…スロットル弁 70…パティキュレートフィルタ 71…切換部 71a…弁体
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 41/04 380 F02D 41/04 380C 380M 41/38 41/38 B 43/00 301 43/00 301H 301T 45/00 314 45/00 314R 314Z F02M 25/07 570 F02M 25/07 570J (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01N 3/02 301 F02D 41/04 F02D 41/38 F02D 43/00 F02M 25/07

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関排気系に配置されたパティキュレー
    トフィルタと、前記パティキュレートフィルタの排気上
    流側と排気下流側とを逆転するための逆転手段とを具備
    し、前記パティキュレートフィルタにおいては捕集した
    パティキュレートが酸化させられ、前記パティキュレー
    トフィルタは、パティキュレートを捕集するための捕集
    壁を有し、前記捕集壁は第一捕集面と第二捕集面とを有
    し、前記逆転手段によって前記パティキュレートフィル
    タの排気上流側と排気下流側とが逆転されることにより
    パティキュレートを捕集するために前記捕集壁の前記第
    一捕集面と前記第二捕集面とが交互に使用され、前記パ
    ティキュレートフィルタは酸化機能を有し、前記逆転手
    段は、前記パティキュレートフィルタの排気出口部の温
    度が排気入口部の温度より高い時に、前記パティキュレ
    ートフィルタの排気上流側と排気下流側とを逆転するこ
    とを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 【請求項2】 前記パティキュレートフィルタには活性
    酸素放出剤が担持され、前記活性酸素放出剤から放出さ
    れる活性酸素がパティキュレートを酸化させることを特
    徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記活性酸素放出剤は、周囲に過剰酸素
    が存在すると酸素を取込んで酸素を保持しかつ周囲の酸
    素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出
    することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気
    浄化装置。
  4. 【請求項4】 前記活性酸素放出剤は、周囲に過剰酸素
    が存在するとNOXを酸素と結合させて保持しかつ周囲
    の酸素濃度が低下すると結合させたNOX及び酸素をN
    Xと活性酸素とに分解して放出することを特徴とする
    請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記逆転手段により前記パティキュレー
    トフィルタの排気上流側と排気下流側とを逆転する時期
    となっても前記パティキュレートフィルタの排気出口部
    の温度が排気入口部の温度より高くなるまで前記逆転手
    段による前記逆転を延期することを特徴とする請求項1
    から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記逆転手段は、前記パティキュレート
    フィルタの排気出口部の温度が排気入口部の温度より高
    くて機関減速時に前記パティキュレートフィルタの排気
    上流側と排気下流側とを逆転することを特徴とする請求
    項1から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装
    置。
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