JP3518259B2 - ニッケル−水素蓄電池とその正極活物質の製造方法 - Google Patents
ニッケル−水素蓄電池とその正極活物質の製造方法Info
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- JP3518259B2 JP3518259B2 JP18105397A JP18105397A JP3518259B2 JP 3518259 B2 JP3518259 B2 JP 3518259B2 JP 18105397 A JP18105397 A JP 18105397A JP 18105397 A JP18105397 A JP 18105397A JP 3518259 B2 JP3518259 B2 JP 3518259B2
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- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル−水素蓄
電池に関するもので、正極活物質を改良して、その容量
密度を向上させるとともに、正極の特性を高めたもので
ある。
電池に関するもので、正極活物質を改良して、その容量
密度を向上させるとともに、正極の特性を高めたもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、アルカリ蓄電池は、携帯機器の普
及に伴いその高容量化が要望されている。特にニッケル
−水素蓄電池は、水酸化ニッケルを主体とした活物質か
らなる正極と、水素吸蔵合金を主体とした負極からなる
電池であり、高容量で高信頼性の電池として急速に普及
してきている。
及に伴いその高容量化が要望されている。特にニッケル
−水素蓄電池は、水酸化ニッケルを主体とした活物質か
らなる正極と、水素吸蔵合金を主体とした負極からなる
電池であり、高容量で高信頼性の電池として急速に普及
してきている。
【0003】アルカリ蓄電池用の正極としては、大別し
て焼結式と非焼結式とがある。焼結式正極は、ニッケル
粉末を焼結して得た多孔度80%程度の多孔質ニッケル
焼結基板に、硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液を
含浸し、次いで、アルカリ水溶液に浸漬するなどして多
孔質ニッケル焼結基板中に水酸化ニッケル活物質を生成
させて製造するものである。この電極は基板の多孔度を
これ以上大きくする事が困難であるため、充填される活
物質量を増加させる事ができず、高容量化には限界があ
る。
て焼結式と非焼結式とがある。焼結式正極は、ニッケル
粉末を焼結して得た多孔度80%程度の多孔質ニッケル
焼結基板に、硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液を
含浸し、次いで、アルカリ水溶液に浸漬するなどして多
孔質ニッケル焼結基板中に水酸化ニッケル活物質を生成
させて製造するものである。この電極は基板の多孔度を
これ以上大きくする事が困難であるため、充填される活
物質量を増加させる事ができず、高容量化には限界があ
る。
【0004】非焼結式正極は、例えば、特開昭60−4
0667号公報に開示された、ニッケル金属よりなる三
次元的に連続した多孔度95%以上のスポンジ状多孔体
の孔部に、活物質である水酸化ニッケルを充填するもの
である。これは現在高容量のアルカリ蓄電池の正極とし
て広く用いられている。
0667号公報に開示された、ニッケル金属よりなる三
次元的に連続した多孔度95%以上のスポンジ状多孔体
の孔部に、活物質である水酸化ニッケルを充填するもの
である。これは現在高容量のアルカリ蓄電池の正極とし
て広く用いられている。
【0005】この非焼結式正極においては、高容量化の
点から、球状の水酸化ニッケルをスポンジ状ニッケル多
孔体の孔部に充填することが提案されている。これはス
ポンジ状ニッケル多孔体の孔部(ポア)サイズが、20
0〜500μm程度であり、このポアに粒径が数μm〜
数10μmの球状水酸化ニッケルを充填するものであ
る。この構成では、ニッケル多孔体の骨格近傍の水酸化
ニッケルは導電性が保たれているので、充放電反応がス
ムーズに進行するが、骨格から離れた水酸化ニッケルの
反応は十分に進まない。
点から、球状の水酸化ニッケルをスポンジ状ニッケル多
孔体の孔部に充填することが提案されている。これはス
ポンジ状ニッケル多孔体の孔部(ポア)サイズが、20
0〜500μm程度であり、このポアに粒径が数μm〜
数10μmの球状水酸化ニッケルを充填するものであ
る。この構成では、ニッケル多孔体の骨格近傍の水酸化
ニッケルは導電性が保たれているので、充放電反応がス
ムーズに進行するが、骨格から離れた水酸化ニッケルの
反応は十分に進まない。
【0006】このため、非焼結式正極は、充填した水酸
化ニッケルの利用率を向上させるために、活物質である
水酸化ニッケル以外に導電剤を用いて、これで球状水酸
化ニッケルの粒子間を電気的に接続させて導電性ネット
ワークを形成している。この導電剤としては、水酸化コ
バルト、一酸化コバルトのようなコバルト化合物や、金
属コバルト、金属ニッケル等が用いられる。これによ
り、非焼結式正極では、活物質を高密度に充填しても導
電性を保つことが可能となり、高容量化が図れる。
化ニッケルの利用率を向上させるために、活物質である
水酸化ニッケル以外に導電剤を用いて、これで球状水酸
化ニッケルの粒子間を電気的に接続させて導電性ネット
ワークを形成している。この導電剤としては、水酸化コ
バルト、一酸化コバルトのようなコバルト化合物や、金
属コバルト、金属ニッケル等が用いられる。これによ
り、非焼結式正極では、活物質を高密度に充填しても導
電性を保つことが可能となり、高容量化が図れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、非焼結式正極
の活物質として用いられる球状水酸化ニッケルは、その
放電状態では活性水酸化ニッケル(β−Ni(O
H)2)とよばれるもので、ニッケルの平均価数は2.
2価である。この活物質は、充電状態ではβ型オキシ水
酸化ニッケル(β−NiOOH)になり、ニッケルの平
均価数3.2価近傍といわれている。
の活物質として用いられる球状水酸化ニッケルは、その
放電状態では活性水酸化ニッケル(β−Ni(O
H)2)とよばれるもので、ニッケルの平均価数は2.
2価である。この活物質は、充電状態ではβ型オキシ水
酸化ニッケル(β−NiOOH)になり、ニッケルの平
均価数3.2価近傍といわれている。
【0008】したがって、充放電では、ほぼ一電子反応
で利用率が100%となる。(利用率は一電子反応を仮
定した理論単位重量当り容量289mAh/gで実際に
計測される容量を割った値の百分率)その結果、この活
物質を用いると正極の容量密度は650mAh/cc程
度になる。
で利用率が100%となる。(利用率は一電子反応を仮
定した理論単位重量当り容量289mAh/gで実際に
計測される容量を割った値の百分率)その結果、この活
物質を用いると正極の容量密度は650mAh/cc程
度になる。
【0009】また、ニッケル−水素蓄電池は、低温で微
小電流の連続過充電を行なうと、正極のニッケル価数
は、さらに高次になり、3.67価まで価数が上昇する
事も確認されている。
小電流の連続過充電を行なうと、正極のニッケル価数
は、さらに高次になり、3.67価まで価数が上昇する
事も確認されている。
【0010】しかし、ニッケルの平均価数が3.5価付
近を越えると水酸化ニッケルはγ型オキシ水酸化ニッケ
ル(γ−NiOOH)になる。γ−NiOOHは、Cu
Kαを線源としたX線回折における回折角2θが12度
(λ=1.5405)に(003)面の回折ピークをも
つ物質で、ニッケル−ニッケル金属面の層間にカチオ
ン、アニオンや水等が挿入されており、β−NiOOH
(密度4.68g/cm 3)に比較して結晶が膨張し易
い。
近を越えると水酸化ニッケルはγ型オキシ水酸化ニッケ
ル(γ−NiOOH)になる。γ−NiOOHは、Cu
Kαを線源としたX線回折における回折角2θが12度
(λ=1.5405)に(003)面の回折ピークをも
つ物質で、ニッケル−ニッケル金属面の層間にカチオ
ン、アニオンや水等が挿入されており、β−NiOOH
(密度4.68g/cm 3)に比較して結晶が膨張し易
い。
【0011】γ−NiOOH(密度3.79g/c
m3)は、放電する際にα−3Ni(OH)2・2H2O
(密度2.82g/cm3)になる。また、充電状態の
γ−NiOOHはニッケルの価数が3価以上であり、そ
の組成式はNiOOH1-Xで表される。ここでのXは0
より大きく1より小さい値をとる。つまり、プロトン
(H +)が欠損した状態となる。するとニッケルと結合
した酸素はδ-を帯びる。
m3)は、放電する際にα−3Ni(OH)2・2H2O
(密度2.82g/cm3)になる。また、充電状態の
γ−NiOOHはニッケルの価数が3価以上であり、そ
の組成式はNiOOH1-Xで表される。ここでのXは0
より大きく1より小さい値をとる。つまり、プロトン
(H +)が欠損した状態となる。するとニッケルと結合
した酸素はδ-を帯びる。
【0012】このδ-とのクーロン力により、たとえば
K+のようなカチオンがニッケル−ニッケル金属面の層
間に取り込まれる。1価のK+とδ-の余剰電荷を打ち消
し電荷的中性を維持するためにアニオンもニッケル−ニ
ッケル金属面の層間に取り込まれた結晶構造をとる。
K+のようなカチオンがニッケル−ニッケル金属面の層
間に取り込まれる。1価のK+とδ-の余剰電荷を打ち消
し電荷的中性を維持するためにアニオンもニッケル−ニ
ッケル金属面の層間に取り込まれた結晶構造をとる。
【0013】このγ−NiOOHは電気化学的に放電さ
せるとニッケル−ニッケル金属面の層間に取り込まれた
カチオンやアニオンは、電解液中に放出されα−3Ni
(OH)2・2H2Oになると考えられている。しかしな
がら、カチオンやアニオンを層間に取り込んだγ−Ni
OOHが放電する場合、プロトン(H+)が結晶内に拡
散して酸素と結合する。この酸素がδ-を帯びることに
より結晶層間に取り込まれていたカチオンはクーロン力
による結晶層間での安定力がなくなり、拡散して電解液
に放出されるはずであるが、拡散速度がプロトン
(H+)に比較して遅いと考えられ、放電状態において
もカチオンやアニオンは層間に残存することになる。
せるとニッケル−ニッケル金属面の層間に取り込まれた
カチオンやアニオンは、電解液中に放出されα−3Ni
(OH)2・2H2Oになると考えられている。しかしな
がら、カチオンやアニオンを層間に取り込んだγ−Ni
OOHが放電する場合、プロトン(H+)が結晶内に拡
散して酸素と結合する。この酸素がδ-を帯びることに
より結晶層間に取り込まれていたカチオンはクーロン力
による結晶層間での安定力がなくなり、拡散して電解液
に放出されるはずであるが、拡散速度がプロトン
(H+)に比較して遅いと考えられ、放電状態において
もカチオンやアニオンは層間に残存することになる。
【0014】このため、密閉型ニッケル−水素蓄電池等
においては、電解液の希薄化が起こり電池特性が劣化す
る。また、γ−NiOOHとα−3Ni(OH)2・2
H2Oの充電反応では活物質の密度の変化が大きく、活
物質は膨張を繰り返す。ここで生成したα−3Ni(O
H)2・2H2Oは、化学的にゆっくりと活性水酸化ニッ
ケル(β−Ni(OH)2)に結晶構造を変化すること
が確認されている。
においては、電解液の希薄化が起こり電池特性が劣化す
る。また、γ−NiOOHとα−3Ni(OH)2・2
H2Oの充電反応では活物質の密度の変化が大きく、活
物質は膨張を繰り返す。ここで生成したα−3Ni(O
H)2・2H2Oは、化学的にゆっくりと活性水酸化ニッ
ケル(β−Ni(OH)2)に結晶構造を変化すること
が確認されている。
【0015】そのため球状水酸化ニッケルは、球状が崩
れてしまったり、充電状態のγ−NiOOHが放電しな
いで蓄積されて、正極が膨潤して、電池内の電解液を吸
ってしまう。
れてしまったり、充電状態のγ−NiOOHが放電しな
いで蓄積されて、正極が膨潤して、電池内の電解液を吸
ってしまう。
【0016】その結果として、セパレータの保有してい
る電解液量が減少して液がれ状態になり、電池の内部抵
抗が上昇して放電が不可能になる。この現象は焼結式正
極を用いた場合でも古くから知られており、とくに密閉
型電池では正極の膨潤による電池特性の劣化が起こる。
る電解液量が減少して液がれ状態になり、電池の内部抵
抗が上昇して放電が不可能になる。この現象は焼結式正
極を用いた場合でも古くから知られており、とくに密閉
型電池では正極の膨潤による電池特性の劣化が起こる。
【0017】したがって、高次水酸化ニッケルを利用す
るためには、常温領域で可逆性に優れたγ−NiOOH
を生成する必要がある。また、放電過程でα−3Ni
(OH)2・2H2Oを経由しないで活性水酸化ニッケル
(β−Ni(OH)2)に放電させる必要がある。さら
に、充電状態で密閉型電池内の電解液のカチオンの取り
込み量をできる限り少なくすることが必要である。
るためには、常温領域で可逆性に優れたγ−NiOOH
を生成する必要がある。また、放電過程でα−3Ni
(OH)2・2H2Oを経由しないで活性水酸化ニッケル
(β−Ni(OH)2)に放電させる必要がある。さら
に、充電状態で密閉型電池内の電解液のカチオンの取り
込み量をできる限り少なくすることが必要である。
【0018】本発明は、上記課題を解決するもので、正
極活物質を改良して、その容量密度を向上させるととも
に、正極の特性を高めたニッケル−水素蓄電池を提供す
ることを目的とする。
極活物質を改良して、その容量密度を向上させるととも
に、正極の特性を高めたニッケル−水素蓄電池を提供す
ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、水酸化ニッケルを活物質とした正極と、
水素吸蔵合金を主体とした負極と、アルカリ電解液と、
セパレータとからなる電池であって、水酸化ニッケル
は、遷移金属のうちの少なくとも1種類とこの遷移金属
よりも少ない量でアルカリ金属のうちの少なくとも1種
類をそれぞれ固溶していて、遷移金属の固溶量は水酸化
ニッケルの金属ニッケル換算量に対して2〜12重量%
であり、アルカリ金属の固溶量は遷移金属のそれに対し
て10〜70原子%であるニッケル−水素蓄電池とした
ものである。
に、本発明は、水酸化ニッケルを活物質とした正極と、
水素吸蔵合金を主体とした負極と、アルカリ電解液と、
セパレータとからなる電池であって、水酸化ニッケル
は、遷移金属のうちの少なくとも1種類とこの遷移金属
よりも少ない量でアルカリ金属のうちの少なくとも1種
類をそれぞれ固溶していて、遷移金属の固溶量は水酸化
ニッケルの金属ニッケル換算量に対して2〜12重量%
であり、アルカリ金属の固溶量は遷移金属のそれに対し
て10〜70原子%であるニッケル−水素蓄電池とした
ものである。
【0020】また、正極活物質である水酸化ニッケルの
製造方法は、ニッケル化合物に遷移金属を固溶させる第
1工程と、第1工程で得たニッケル化合物をアルカリと
反応させて水酸化ニッケルを得る第2の工程と、第2の
工程で得られた水酸化ニッケル中の遷移金属を酸化させ
る第3の工程と、第3の工程で得られた水酸化ニッケル
をアルカリ溶液中で撹拌加熱処理して水酸化ニッケルに
アルカリ金属を固溶させる第4の工程とからなる製造方
法としたものである。
製造方法は、ニッケル化合物に遷移金属を固溶させる第
1工程と、第1工程で得たニッケル化合物をアルカリと
反応させて水酸化ニッケルを得る第2の工程と、第2の
工程で得られた水酸化ニッケル中の遷移金属を酸化させ
る第3の工程と、第3の工程で得られた水酸化ニッケル
をアルカリ溶液中で撹拌加熱処理して水酸化ニッケルに
アルカリ金属を固溶させる第4の工程とからなる製造方
法としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、水酸化ニッケルを活物質とした正極と、水素吸蔵合
金を主体とした負極と、アルカリ電解液と、セパレータ
とからなる電池であって、前記水酸化ニッケルは、M
n,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1種類の
遷移金属とこの遷移金属よりも少ない量でアルカリ金属
のうちの少なくとも1種類をそれぞれ固溶していて、前
記遷移金属の固溶量は前記水酸化ニッケルの金属ニッケ
ル換算量に対して2〜12重量%であり、前記アルカリ
金属の固溶量は前記遷移金属のそれに対して10〜70
原子%としたものである。
は、水酸化ニッケルを活物質とした正極と、水素吸蔵合
金を主体とした負極と、アルカリ電解液と、セパレータ
とからなる電池であって、前記水酸化ニッケルは、M
n,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1種類の
遷移金属とこの遷移金属よりも少ない量でアルカリ金属
のうちの少なくとも1種類をそれぞれ固溶していて、前
記遷移金属の固溶量は前記水酸化ニッケルの金属ニッケ
ル換算量に対して2〜12重量%であり、前記アルカリ
金属の固溶量は前記遷移金属のそれに対して10〜70
原子%としたものである。
【0022】ここで言う固溶は、結晶学的に水酸化ニッ
ケルのニッケル原子に遷移金属が置換固溶した構造のも
のを示す。
ケルのニッケル原子に遷移金属が置換固溶した構造のも
のを示す。
【0023】この水酸化ニッケルは、ニッケル−水素蓄
電池の充放電状態における正極の電位範囲で、ニッケル
の価数が常に3価以上になるので、カチオンやアニオン
を伴わないと考えられ、電解液の希薄化も起こらない。
また、水酸化ニッケルは、遷移金属の近傍にカチオンを
トラップしており、結晶に歪みをもたせるため、常温で
は、充電状態でγ−NiOOH、放電状態で(β−Ni
(OH)2)になり、このγ−βの反応が可逆的に起こ
すことができ、高エネルギー密度のニッケル−水素蓄電
池を提供できる。
電池の充放電状態における正極の電位範囲で、ニッケル
の価数が常に3価以上になるので、カチオンやアニオン
を伴わないと考えられ、電解液の希薄化も起こらない。
また、水酸化ニッケルは、遷移金属の近傍にカチオンを
トラップしており、結晶に歪みをもたせるため、常温で
は、充電状態でγ−NiOOH、放電状態で(β−Ni
(OH)2)になり、このγ−βの反応が可逆的に起こ
すことができ、高エネルギー密度のニッケル−水素蓄電
池を提供できる。
【0024】請求項4に記載の発明は、ニッケル化合物
にMn,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1種
類の遷移金属を固溶させる第1工程と、第1工程で得た
ニッケル化合物をアルカリと反応させて水酸化ニッケル
を得る第2の工程と、第2の工程で得られた水酸化ニッ
ケル中の前記遷移金属を酸化させる第3の工程と、第3
の工程で得られた水酸化ニッケルをアルカリ溶液中で撹
拌加熱処理して水酸化ニッケルにアルカリ金属を固溶さ
せる第4の工程とからなるアルカリ蓄電池用正極活物質
の製造方法としたものである。
にMn,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1種
類の遷移金属を固溶させる第1工程と、第1工程で得た
ニッケル化合物をアルカリと反応させて水酸化ニッケル
を得る第2の工程と、第2の工程で得られた水酸化ニッ
ケル中の前記遷移金属を酸化させる第3の工程と、第3
の工程で得られた水酸化ニッケルをアルカリ溶液中で撹
拌加熱処理して水酸化ニッケルにアルカリ金属を固溶さ
せる第4の工程とからなるアルカリ蓄電池用正極活物質
の製造方法としたものである。
【0025】遷移金属を固溶した水酸化ニッケルは、酸
素雰囲気下で熱処理を施すか、酸化剤を含む水溶液で加
熱処理することで、ニッケルを酸化させることなく遷移
金属を優先的に酸化させることができる。
素雰囲気下で熱処理を施すか、酸化剤を含む水溶液で加
熱処理することで、ニッケルを酸化させることなく遷移
金属を優先的に酸化させることができる。
【0026】この遷移金属を酸化させた水酸化ニッケル
は、ニッケルの価数は2価であり、遷移金属の酸化数は
3価以上となっている。つまり、遷移金属だけに注目す
ると、MeOOH1-Xと表され(Meは遷移金属、Xは
0より大きく1より小さい値)遷移金属Meと結合して
いる酸素はプロトン(H+)が欠損状態となりδ-を帯び
る。次に、この水酸化ニッケルを水酸化アルカリ水溶液
中で攪拌処理を行うこと、正の電荷をもったカチオンは
δ-を帯びた酸素近傍に安定的に配位することが可能で
ある。この時にカチオンの価数は1価であるため余剰の
δ+が発生する。この電荷を補うためにアニオンも同時
に侵入する。
は、ニッケルの価数は2価であり、遷移金属の酸化数は
3価以上となっている。つまり、遷移金属だけに注目す
ると、MeOOH1-Xと表され(Meは遷移金属、Xは
0より大きく1より小さい値)遷移金属Meと結合して
いる酸素はプロトン(H+)が欠損状態となりδ-を帯び
る。次に、この水酸化ニッケルを水酸化アルカリ水溶液
中で攪拌処理を行うこと、正の電荷をもったカチオンは
δ-を帯びた酸素近傍に安定的に配位することが可能で
ある。この時にカチオンの価数は1価であるため余剰の
δ+が発生する。この電荷を補うためにアニオンも同時
に侵入する。
【0027】その結果、水酸化ニッケルに遷移金属が固
溶しており、この水酸化ニッケルを酸化させて水酸化ア
ルカリ水溶液中で攪拌処理することにより、この水酸化
ニッケルに固溶した遷移金属の近傍にアルカリカチオン
を選択的に固溶した活物質を得ることができる。
溶しており、この水酸化ニッケルを酸化させて水酸化ア
ルカリ水溶液中で攪拌処理することにより、この水酸化
ニッケルに固溶した遷移金属の近傍にアルカリカチオン
を選択的に固溶した活物質を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例における具体例を示
す。
す。
【0029】正極活物質である水酸化ニッケルにMnを
固溶させたものを以下に示す方法で作製した。
固溶させたものを以下に示す方法で作製した。
【0030】原料液として、硫酸ニッケル水溶液と硫酸
マンガンを金属Niに対してMn量が5重量%となるよ
うにその量を調整した。この原料液を実質的に密閉され
た状態に保ち得る反応容器に投入するとともに不活性ガ
スを導入、排気する部位が設けてあり、不活性ガスを反
応系に供給しながら反応させた。
マンガンを金属Niに対してMn量が5重量%となるよ
うにその量を調整した。この原料液を実質的に密閉され
た状態に保ち得る反応容器に投入するとともに不活性ガ
スを導入、排気する部位が設けてあり、不活性ガスを反
応系に供給しながら反応させた。
【0031】反応液としては、原料液と水酸化ナトリウ
ム水溶液とアンモニア水を濃度比1:2.3:2のもの
を用意した。この反応液を反応容器内に滴下した。この
時、反応温度は40℃とした。またこの時のpHは12
に保った。
ム水溶液とアンモニア水を濃度比1:2.3:2のもの
を用意した。この反応液を反応容器内に滴下した。この
時、反応温度は40℃とした。またこの時のpHは12
に保った。
【0032】この反応で得られた析出物を水洗乾燥し、
水酸化ニッケル粉末にその金属ニッケル換算量に対して
Mnを5重量%固溶したものを得た。
水酸化ニッケル粉末にその金属ニッケル換算量に対して
Mnを5重量%固溶したものを得た。
【0033】この水酸化ニッケル粉末を通常80〜12
0℃で1〜30時間加熱処理するがここでは100℃で
24時間加熱処理してMnを選択的に酸化させ、この水
酸化ニッケル粉末を水酸化リチウム10mol/lの水
溶液中で通常30〜100℃で1〜30時間加熱撹拌処
理するがここでは80℃で10時間加熱撹拌処理して水
酸化ニッケル粉末にLiを固溶させた。
0℃で1〜30時間加熱処理するがここでは100℃で
24時間加熱処理してMnを選択的に酸化させ、この水
酸化ニッケル粉末を水酸化リチウム10mol/lの水
溶液中で通常30〜100℃で1〜30時間加熱撹拌処
理するがここでは80℃で10時間加熱撹拌処理して水
酸化ニッケル粉末にLiを固溶させた。
【0034】この水酸化ニッケル粉末100重量部に、
結着剤としてポリテトラフルオロエチレン0.5重量部
と、導電剤として水酸化コバルト10重量部と、分散媒
としての適量の水を加えてペースト状とし、これをスポ
ンジ状ニッケル多孔体の孔部に充填した後乾燥し、ロー
ルプレス機で圧延して正極板1を作製した。この正極板
1の寸法は、幅35mm、長さ120mm、厚さ0.7
8mmとした。この正極の理論容量(水酸化ニッケルが
1電子反応であると仮定して289mAh/gとして計
算する)は1600mAhであった。
結着剤としてポリテトラフルオロエチレン0.5重量部
と、導電剤として水酸化コバルト10重量部と、分散媒
としての適量の水を加えてペースト状とし、これをスポ
ンジ状ニッケル多孔体の孔部に充填した後乾燥し、ロー
ルプレス機で圧延して正極板1を作製した。この正極板
1の寸法は、幅35mm、長さ120mm、厚さ0.7
8mmとした。この正極の理論容量(水酸化ニッケルが
1電子反応であると仮定して289mAh/gとして計
算する)は1600mAhであった。
【0035】負極板2としては、AB5型水素吸蔵合金
粉末100重量部と、炭素粉末1重量部と、ポリテトラ
フルオロエチレン1重量部と、適量の水を加えてペース
ト状とし、これをパンチングメタルに塗布して乾燥した
後、圧延した。この負極板2の寸法は、幅35mm、長
さ145mm、厚み0.39mmとした。この負極の理
論容量(水素吸蔵合金の単位重量当りの電気量は280
mAh/gとして計算する)は2900mAhであっ
た。
粉末100重量部と、炭素粉末1重量部と、ポリテトラ
フルオロエチレン1重量部と、適量の水を加えてペース
ト状とし、これをパンチングメタルに塗布して乾燥した
後、圧延した。この負極板2の寸法は、幅35mm、長
さ145mm、厚み0.39mmとした。この負極の理
論容量(水素吸蔵合金の単位重量当りの電気量は280
mAh/gとして計算する)は2900mAhであっ
た。
【0036】上記で作製した正極板1と、負極板2と、
この両者間にポリプロピレン不織布製セパレータ3を配
して全体を渦巻状に巻回して極板群を構成し、これを電
池ケース4に挿入し、アルカリ電解液として水酸化カリ
ウム10mol/lの水溶液を所定量注入した後、正極
端子を兼ねる封口板5で密閉して4/5Aサイズで、公
称容量1600mAhのニッケル−水素蓄電池Aを構成
した。この電池Aの構成図を図1に示す。
この両者間にポリプロピレン不織布製セパレータ3を配
して全体を渦巻状に巻回して極板群を構成し、これを電
池ケース4に挿入し、アルカリ電解液として水酸化カリ
ウム10mol/lの水溶液を所定量注入した後、正極
端子を兼ねる封口板5で密閉して4/5Aサイズで、公
称容量1600mAhのニッケル−水素蓄電池Aを構成
した。この電池Aの構成図を図1に示す。
【0037】また、上記で作製した正極板1において、
MnもLiも固溶していない水酸化ニッケルを用いた以
外は、上記と同様な構成とした電池を比較例の電池Bと
した。
MnもLiも固溶していない水酸化ニッケルを用いた以
外は、上記と同様な構成とした電池を比較例の電池Bと
した。
【0038】この電池A,Bそれぞれを160mAで1
5時間充電し、1時間放置した後、320mAで端子電
圧が1Vに至るまで放電する充放電サイクルを2回行な
った。
5時間充電し、1時間放置した後、320mAで端子電
圧が1Vに至るまで放電する充放電サイクルを2回行な
った。
【0039】さらに45℃の温度雰囲気で3日間放置す
るエージングを行なった後、20℃の温度雰囲気下で1
60mAの電流で18時間充電し、1時間放置した後、
320mAで端子電圧1Vに至るまで放電した。この時
の放電容量から求めた正極の活物質利用率(実際の放電
容量/正極理論容量を289mAhとした際の百分率)
は、電池Aが112%であり、電池Bは98%であっ
た。
るエージングを行なった後、20℃の温度雰囲気下で1
60mAの電流で18時間充電し、1時間放置した後、
320mAで端子電圧1Vに至るまで放電した。この時
の放電容量から求めた正極の活物質利用率(実際の放電
容量/正極理論容量を289mAhとした際の百分率)
は、電池Aが112%であり、電池Bは98%であっ
た。
【0040】確認のために、充電状態の電池A,Bをそ
れぞれ分解して正極板を取り出し、活物質のCuKαを
線源とした(波長λが1.5405)X線回折による分
析を行った。この分析により、回折角2θを求めた結
果、電池Aの正極板はγ−NiOOHに起因する(00
3)面の回折ピークが2θ=12度近くに観察され、β
−NiOOHに起因する(00l)面の回折ピークも2
θ=20度付近に観察され、充電状態ではγ−NiOO
Hとβ−NiOOHの混合相であることが確認できた。
また、放電状態では活性水酸化ニッケル(β−Ni(O
H)2)の回折ピークだけが確認できた。さらに、この
水酸化ニッケル粉末には、Mnの固溶量に対して50原
子%のLiが固溶していた。これに対して電池Bの正極
板は、電池Aのそれと同様な回折ピークを確認できなか
った。
れぞれ分解して正極板を取り出し、活物質のCuKαを
線源とした(波長λが1.5405)X線回折による分
析を行った。この分析により、回折角2θを求めた結
果、電池Aの正極板はγ−NiOOHに起因する(00
3)面の回折ピークが2θ=12度近くに観察され、β
−NiOOHに起因する(00l)面の回折ピークも2
θ=20度付近に観察され、充電状態ではγ−NiOO
Hとβ−NiOOHの混合相であることが確認できた。
また、放電状態では活性水酸化ニッケル(β−Ni(O
H)2)の回折ピークだけが確認できた。さらに、この
水酸化ニッケル粉末には、Mnの固溶量に対して50原
子%のLiが固溶していた。これに対して電池Bの正極
板は、電池Aのそれと同様な回折ピークを確認できなか
った。
【0041】このことより、比較例の電池Bは、正極活
物質が充電状態では、β−NiOOHになり、そのニッ
ケルの平均価数は3.2価であるので、その正極活物質
の利用率は98%になったものである。
物質が充電状態では、β−NiOOHになり、そのニッ
ケルの平均価数は3.2価であるので、その正極活物質
の利用率は98%になったものである。
【0042】実施例の電池Aは、その正極活物質の水酸
化ニッケルに、Mnをその金属ニッケル換算量に対して
5重量%固溶しており、このMnの固溶量に対してLi
が50原子%固溶しているので充電状態では高次のニッ
ケル酸化状態となり、平均価数も3.5価と高まるの
で、比較例よりも反応電子数が増加し、水酸化ニッケル
そのものの容量密度が向上する。そのため正極活物質の
利用率は112%となり、比較例より14%向上した。
さらに、正極活物質中にはLiが固溶しているため、電
解液の希薄化が起こらない。それに加えて放電状態でも
α−3Ni(OH)2・2H2Oを生成しないので、容量
密度を向上させることができるとともに、充放電サイク
ル特性に優れたニッケル−水素蓄電池となる。
化ニッケルに、Mnをその金属ニッケル換算量に対して
5重量%固溶しており、このMnの固溶量に対してLi
が50原子%固溶しているので充電状態では高次のニッ
ケル酸化状態となり、平均価数も3.5価と高まるの
で、比較例よりも反応電子数が増加し、水酸化ニッケル
そのものの容量密度が向上する。そのため正極活物質の
利用率は112%となり、比較例より14%向上した。
さらに、正極活物質中にはLiが固溶しているため、電
解液の希薄化が起こらない。それに加えて放電状態でも
α−3Ni(OH)2・2H2Oを生成しないので、容量
密度を向上させることができるとともに、充放電サイク
ル特性に優れたニッケル−水素蓄電池となる。
【0043】なお、本発明の実施例では、正極活物質で
ある水酸化ニッケルに、その金属ニッケル換算量に対し
てMnを5重量%、そのMnに対して50原子%のLi
を固溶させたものを用いたが、Mnの固溶量は2〜10
重量%、Liの固溶量はそのMnの固溶量に対して10
〜70原子%の範囲であれば、実施例とほぼ同様な効果
が得られる。また、最も好ましいLiの固溶量の範囲は
Mnの固溶量に対して20〜60原子%であった。
ある水酸化ニッケルに、その金属ニッケル換算量に対し
てMnを5重量%、そのMnに対して50原子%のLi
を固溶させたものを用いたが、Mnの固溶量は2〜10
重量%、Liの固溶量はそのMnの固溶量に対して10
〜70原子%の範囲であれば、実施例とほぼ同様な効果
が得られる。また、最も好ましいLiの固溶量の範囲は
Mnの固溶量に対して20〜60原子%であった。
【0044】また、実施例では、正極活物質である水酸
化ニッケルへの固溶金属としては、遷移金属がMn、ア
ルカリ金属がLiを用いたが、この外に遷移金属はF
e,Cr,およびCoのうちの少なくともいずれか1種
類と、アルカリ金属はNa,K,RbおよびCsのうち
の少なくともいずれか1種類を用いても実施例とほぼ同
様な効果が得られる。
化ニッケルへの固溶金属としては、遷移金属がMn、ア
ルカリ金属がLiを用いたが、この外に遷移金属はF
e,Cr,およびCoのうちの少なくともいずれか1種
類と、アルカリ金属はNa,K,RbおよびCsのうち
の少なくともいずれか1種類を用いても実施例とほぼ同
様な効果が得られる。
【0045】実施例の正極活物質の製造方法としては、
遷移金属を固溶させた水酸化ニッケル粉末を酸素存在下
において100℃で24時間加熱処理して水酸化ニッケ
ルに固溶した遷移金属を選択的に酸化させ、この水酸化
ニッケル粉末を80℃の水酸化リチウム水溶液中で10
時間加熱撹拌処理することによってアルカリ金属である
Liを水酸化ニッケル粉末に固溶させる方法を示した
が、遷移金属を固溶させた水酸化ニッケル粉末を過酸化
水素水などの酸化剤を用いて水酸化ニッケル粉末に固溶
した遷移金属を化学酸化させて、その後の工程を実施例
と同様な方法としても水酸化ニッケル粉末にアルカリ金
属であるLiを固溶させることができる。
遷移金属を固溶させた水酸化ニッケル粉末を酸素存在下
において100℃で24時間加熱処理して水酸化ニッケ
ルに固溶した遷移金属を選択的に酸化させ、この水酸化
ニッケル粉末を80℃の水酸化リチウム水溶液中で10
時間加熱撹拌処理することによってアルカリ金属である
Liを水酸化ニッケル粉末に固溶させる方法を示した
が、遷移金属を固溶させた水酸化ニッケル粉末を過酸化
水素水などの酸化剤を用いて水酸化ニッケル粉末に固溶
した遷移金属を化学酸化させて、その後の工程を実施例
と同様な方法としても水酸化ニッケル粉末にアルカリ金
属であるLiを固溶させることができる。
【0046】また、前記の製造方法としては、遷移金属
の固溶した水酸化ニッケル粉末を酸化させて、アルカリ
塩水溶液である水酸化リチウム水溶液を用いてアルカリ
金属であるLiを水酸化ニッケル粉末に固溶させたが、
アルカリ塩水溶液としては水酸化リチウム,水酸化ナト
リウム,水酸化カリウム,水酸化ルビジウムおよび水酸
化セシウムのうちの少なくとも1種類の水溶液を用いて
も、アルカリ金属であるLi,Na,K,RbおよびC
sのうちの少なくとも1種類を水酸化ニッケル粉末に固
溶させることができる。
の固溶した水酸化ニッケル粉末を酸化させて、アルカリ
塩水溶液である水酸化リチウム水溶液を用いてアルカリ
金属であるLiを水酸化ニッケル粉末に固溶させたが、
アルカリ塩水溶液としては水酸化リチウム,水酸化ナト
リウム,水酸化カリウム,水酸化ルビジウムおよび水酸
化セシウムのうちの少なくとも1種類の水溶液を用いて
も、アルカリ金属であるLi,Na,K,RbおよびC
sのうちの少なくとも1種類を水酸化ニッケル粉末に固
溶させることができる。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明のニッケル−水素蓄
電池では 正極の活物質である水酸化ニッケルは、M
n,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1種類の
遷移金属のうちの少なくとも1種類とこの遷移金属より
も少ない量でアルカリ金属のうちの少なくとも1種類を
それぞれ固溶していて、この遷移金属の固溶量は水酸化
ニッケルの金属ニッケル換算量に対して2〜10重量%
であり、アルカリ金属の固溶量はその遷移金属のそれに
対して10〜70原子%であるので、水酸化ニッケル
は、充電状態ではγ−NiOOHとβ−NiOOHの混
合体となり、ニッケルの平均価数が3.5価と高次の価
数になるので、反応電子数が増加して活物質の容量密度
が向上する。また、水酸化ニッケルがアルカリ金属を固
溶しているため、密閉型電池内での電解液の希薄化が起
こらず、電池の充放電サイクル特性を高めることができ
る。
電池では 正極の活物質である水酸化ニッケルは、M
n,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1種類の
遷移金属のうちの少なくとも1種類とこの遷移金属より
も少ない量でアルカリ金属のうちの少なくとも1種類を
それぞれ固溶していて、この遷移金属の固溶量は水酸化
ニッケルの金属ニッケル換算量に対して2〜10重量%
であり、アルカリ金属の固溶量はその遷移金属のそれに
対して10〜70原子%であるので、水酸化ニッケル
は、充電状態ではγ−NiOOHとβ−NiOOHの混
合体となり、ニッケルの平均価数が3.5価と高次の価
数になるので、反応電子数が増加して活物質の容量密度
が向上する。また、水酸化ニッケルがアルカリ金属を固
溶しているため、密閉型電池内での電解液の希薄化が起
こらず、電池の充放電サイクル特性を高めることができ
る。
【0048】
【図1】本発明の実施例におけるニッケル−水素蓄電池
の構成図
の構成図
【符号の説明】
1 正極板
2 負極板
3 セパレータ
4 電池ケース
5 封口板
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭57−126074(JP,A)
国際公開97/019478(WO,A1)
Claims (7)
- 【請求項1】水酸化ニッケルを活物質とした正極と、水
素吸蔵合金を主体とした負極と、アルカリ電解液と、セ
パレータとからなる電池であって、前記水酸化ニッケル
は、Mn,Fe,CrおよびCoのうちの少なくとも1
種類の遷移金属を固溶しているとともに、それよりも少
ない量でLi,Na,K,RbおよびCsのうちの少な
くとも1種類のアルカリ金属を固溶しているものであ
り、前記遷移金属の固溶量は前記水酸化ニッケルを金属
ニッケルに換算した量に対して2〜10重量%であり、
前記アルカリ金属の固溶量は前記遷移金属のそれに対し
て10〜70原子%であり、前記遷移金属は酸化されて
いるニッケル−水素蓄電池。 - 【請求項2】水酸化ニッケルを活物質とした正極と、水
素吸蔵合金を主体とした負極と、アルカリ電解液と、セ
パレータとからなる電池であって、前記水酸化ニッケル
は、MnとこのMnよりも少ない量でLiを固溶してい
るものであり、前記Mnの固溶量は水酸化ニッケルを金
属ニッケルに換算した量に対して3〜8重量%であり、
前記Liの固溶量は前記Mnのそれに対して20〜60
原子%であり、前記遷移金属は酸化されているニッケル
−水素蓄電池。 - 【請求項3】ニッケル化合物にMn,Fe,Crおよび
Coのうちの少なくとも1種類の遷移金属を固溶させる
第1工程と、 第1工程で得たニッケル化合物をアルカリと反応させて
水酸化ニッケルを得る第2の工程と、 第2の工程で得られた水酸化ニッケル中の前記遷移金属
を酸化させる第3の工程と、 第3の工程で得られた水酸化ニッケルをアルカリ溶液中
で撹拌加熱処理して水酸化ニッケルにアルカリ金属を固
溶させる第4の工程とからなるアルカリ蓄電池用正極活
物質の製造方法。 - 【請求項4】ニッケル化合物にこのニッケル化合物の金
属ニッケル換算量に対して2〜12重量%のMn,F
e,CrおよびCoのうちの少なくとも1種類の遷移金
属を固溶させる第1の工程と、 第1の工程で得られたニッケル化合物をアルカリと反応
させて水酸化ニッケルを得る第2の工程と、 第2の工程で得られた水酸化ニッケルを空気または酸素
雰囲気下において80〜120℃の温度で1〜30時間
加熱処理し、水酸化ニッケル中の前記遷移金属を酸化さ
せる第3の工程と、 第3の工程で得られた水酸化ニッケルをアルカリ溶液中
で撹拌加熱処理して水酸化ニッケルにアルカリ金属を固
溶させる第4の工程とからなるアルカリ蓄電池用正極活
物質の製造方法。 - 【請求項5】アルカリ塩水溶液は、LiOH,NaO
H,KOH,RbOHおよびCsOHのうちの少なくと
も1種類からなる水溶液である請求項4記載のアルカリ
蓄電池用正極活物質の製造方法。 - 【請求項6】ニッケル化合物にこのニッケル化合物の金
属ニッケル換算量に対して2〜12重量%のMn,F
e,CrおよびCoのうちの少なくとも1種類の遷移金
属を固溶させる第1の工程と、 第1の工程で得られたニッケル化合物をアルカリと反応
させて水酸化ニッケルを得る第2の工程と、 第2の工程で得られた水酸化ニッケルを酸化剤を含む水
溶液中で80〜120℃の温度で1〜30時間加熱処理
し、水酸化ニッケル中の前記遷移金属を酸化させる第3
の工程と、 第3の工程で得られた水酸化ニッケルを酸化剤を含む水
溶液中で80〜120℃の温度で1〜30時間撹拌処理
して水酸化ニッケルにアルカリ金属を固溶させる第4の
工程とからなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方
法。 - 【請求項7】アルカリ塩水溶液は、LiOH,NaO
H,KOH,RbOHおよびCsOHのうちの少なくと
も1種類からなる水溶液である請求項6記載のアルカリ
蓄電池用正極活物質の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18105397A JP3518259B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | ニッケル−水素蓄電池とその正極活物質の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18105397A JP3518259B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | ニッケル−水素蓄電池とその正極活物質の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1125968A JPH1125968A (ja) | 1999-01-29 |
JP3518259B2 true JP3518259B2 (ja) | 2004-04-12 |
Family
ID=16093961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18105397A Expired - Fee Related JP3518259B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | ニッケル−水素蓄電池とその正極活物質の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3518259B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002071527A1 (fr) * | 2001-03-05 | 2002-09-12 | Yuasa Corporation | Procede de fabrication d'une batterie nickel-hydrogene |
-
1997
- 1997-07-07 JP JP18105397A patent/JP3518259B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH1125968A (ja) | 1999-01-29 |
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