JP3507115B2 - バナバ葉抽出物と抗糖尿病剤 - Google Patents
バナバ葉抽出物と抗糖尿病剤Info
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- JP3507115B2 JP3507115B2 JP02151094A JP2151094A JP3507115B2 JP 3507115 B2 JP3507115 B2 JP 3507115B2 JP 02151094 A JP02151094 A JP 02151094A JP 2151094 A JP2151094 A JP 2151094A JP 3507115 B2 JP3507115 B2 JP 3507115B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィリピンをはじめと
する東南アジア産のバナバ葉(Lagerstroemia speciosa
l. )から得られるバナバ葉抽出物及び抗糖尿病剤に関
する。 【0002】 【従来の技術】バナバは熱帯アジアに分布するミソハギ
科の植物で、別名オオバサルスベリと呼ばれている。古
くから原産地であるフィリピンでは、この葉を煎じて飲
用されて来た。しかし、一方ではバナバ葉が熱帯産のた
め、雑菌汚染がひどく、通常的に飲用するためには、十
分な殺菌操作が必要であった。 【0003】そこで従来、この主要成分を抽出するため
に、まずバナバ葉を粉砕した後、加熱殺菌処理をして、
これを直接乃至ティーバック等に詰めて、漢方薬と同じ
ように長時間煎じる方法が採られてきたが、このような
バナバ葉を煎じる抽出方法では、抽出条件が全く整備さ
れていないため均質的抽出が行い難く、また、一旦煎じ
た抽出液は腐敗しやすくそのままでは日持ちがしないた
め、毎日必要量を煎じる必要があり、非常に手間がかか
り面倒であった。 【0004】また、上記の飲用の薬効があることは、お
およそ知られていたが、その抗糖尿病有効成分について
は確認されておらず、純度の高い抗糖尿剤として工業的
に生産することは困難であった。 【0005】そこで、本発明者は、バナバ葉を熱水、有
機溶媒又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出し、この
抽出溶液を濃縮し、乾燥させ、これを乾燥粉末とするこ
とにより、工業的に生産可能なバナバ葉抽出物エキスを
提案するとともに、このバナバ葉抽出物エキスの抗糖尿
病剤としての薬理効果を臨床的に確認している(特開平
5─310587)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記バナバ
葉抽出物に関する研究をさらに進めて為したものであ
り、本発明の目的とするところは、バナバ葉を熱水、有
機溶媒、又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出して得
られた抽出物を更に分離精製することにより、抗糖尿病
効果が一層高く、かつ安全に使用することのできるバナ
バ葉抽出物及び抗糖尿病剤を得ることにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明では、バナバ葉を
熱水、有機溶媒又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出
して得られた粗抽出物を、スチレン−ジビニルベンゼン
系合成樹脂又はデキストラン系合成樹脂に吸着させ、樹
脂吸着成分を有機溶媒で溶離させることにより、粗抽出
物から抗糖尿病効果の一層高いバナバ葉抽出成分を分離
精製することに成功した。また、この分離精製したバナ
バ葉抽出物を有効成分として抗糖尿病剤を得ることにも
成功した。 【0008】本発明におけるバナバ葉抽出物は、乾燥し
粉砕したバナバ葉を、約60℃乃至100℃、好ましく
は沸点に近い温度乃至沸点すなわち95℃〜100℃の
熱水で抽出するか、有機溶媒例えばメタノール乃至エタ
ノールで抽出するか、有機溶媒と水との混合溶液で抽出
するか、或いは上記熱水抽出後の残渣をさらに有機溶媒
乃至有機溶媒と水との混合溶液で抽出するかして得るこ
とができる。このときの熱水、有機溶媒、又は有機溶媒
と水との混合溶液の量は、乾燥させたバナバ葉重量に対
して1:10乃至1:100、好ましくは1:25程度
となる量とする。 【0009】本発明におけるスチレン−ジビニルベンゼ
ン系合成樹脂としては、三菱化成工業(株)社製 DIAIO
N HP-10,20,30,40,50 、オルガノ(株)社製アンバーラ
イトXAD-2,4 、或いは住友化学工業(株)社製デュオラ
イトsシリーズなど、また、デキストラン系合成樹脂と
しては、ファルマシア社製Sephadex LH-20を使用するこ
とができる。なお、デキストラン系合成樹脂は、これを
構成するデキストラン鎖が三次元的に架橋された多糖類
的な編目を形成しているから、水酸基に対する炭素原子
数割合が比較的大きく、特にLH-20 は、デキストラン鎖
のグルコース単位毎にエーテル結合しているハイドロキ
シプロプル基を有しているから、特に大きい。従って、
デキストラン系合成樹脂ゲル、特にLH-20 は、親水性、
親油性の両方の性質を持ち、吸着性の点に関してみれ
ば、スチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂と同様と考
えることができる。しかしながら、現在のところ、経済
性の観点からみれば、スチレン−ジビニルベンゼン系合
成樹脂の方が優れている。 【0010】また、本発明の抗糖尿病剤は、バナバ葉を
約60℃乃至100℃の熱水又は有機溶媒で抽出して得
られた粗抽出物を、スチレン−ジビニルベンゼン系合成
樹脂又はデキストラン系合成樹脂に吸着させ、樹脂吸着
成分を有機溶媒で溶離させて得られるバナバ葉抽出物を
有効成分として得ることができ、その抗糖尿病作用は糖
尿病マウスを用いた動物試験によって確認することがで
きた。 【0011】 【実施例】 〔製造方法〕フィリピン産バナバの生葉を適宜量自然乃
至強制的に十分に乾燥させ、これを粉砕器で粉砕し、よ
く混合したバナバ葉1kgを50リットル前後の蒸留水
で30分間前後、95〜100℃で抽出した。得られた
抽出液を濾過後、遠心分離させた後、更にエバポレータ
で濃縮させ、凍結乾燥或いはスプレードライ等の方法に
より乾燥させて粗抽出物(バナバ葉抽出エキス)を得
た。このとき、粗抽出物の収率は、乾燥バナバ葉(原
料)に対して約10%(W/W) であった。 【0012】次に、直径10cm、長さ100cmのガ
ラスカラムにスチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂
(製品名:三菱化成工業(株)社製 DIAION HP-20 )を
2.5リットル充填し、この充填剤をメタノールで洗浄
しさらに蒸留水で洗浄した後、上記粗抽出物(全量)を
1リットルの蒸留水に溶かしてこれをガラスカラム内に
流した。その後、カラム容量に対して約6倍量相当の蒸
留水を流してスチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂に
吸着されなかった分画(以下、非吸着分画とする)を流
出させる一方、カラム容量に対して約5倍量相当の10
0%メタノールを流してスチレン−ジビニルベンゼン系
合成樹脂に吸着された分画(以下、吸着分画とする)を
溶出させた。こうして得られた非吸着分画及び吸着分画
はそれぞれ、濃縮し、凍結乾燥或いはスプレードライ等
の方法により乾燥させて、乾燥粉末として得た。このと
きの収率は、乾燥バナバ葉(原料)に対して、非吸着分
画が約4.3%、吸着分画が約2.7%であった。 【0013】〔抗糖尿病剤作用試験〕II型遺伝性糖尿病
マウスを用いて、バナバ葉抽出物の抗糖尿病剤作用試験
について、以下のように試験した。 【0014】被検試料として、上記製造方法で得た吸着
分画及び非吸着分画を用い、実験動物として、KKAy
Ta Jc1マウス(II型遺伝性糖尿病マウス)を用いた。 【0015】II型遺伝性糖尿病マウス(4週齢)を基本
食(ガゼイン25.0%(W/W)(以下%(W/W) 省略) ,塩
混合物3.5,ビタミン混合物1.0,ビタミンC及び
ビタミンK0.2,塩化コリン0.2,コーン油5.
0,砂糖51.0,デンプン(α)14.1)で1週間
飼育後、1群7匹毎の三群に分け、一群には、上記基本
食にその5.0%(W/W) 相当量のセルロースを添加した
食餌を投与して対象群とし、他の一群には、上記基本食
にその2.0%(W/W) 相当量の吸着分画を添加した食餌
を投与し(以下、「吸着分画群」とする)、さらに他の
一群には、上記基本食にその3.0%(W/W) 相当量の非
吸着分画を添加した食餌を投与し(以下、「非吸着分画
群」とする)、それぞれ6週間飼育した。なお、食餌は
経口投与した。 【0016】飼育前及び飼育中のマウスの体重、飼料摂
取量及び飲水量を測定し、その結果を表1に示した。ま
た、一週毎にマウスの尾静脈血を採取して血糖値を定量
し、その結果を表2及び図1に示した。なお、結果の統
計処理は、Student-t 検定で行った。 【0017】 【表1】 【0018】 【表2】 【0019】表1より、体重増加量及び飼料摂取量に関
しては、各群間に有意差を認めることはできなかった
が、血糖値に関しては、表2及び図1より、吸着分画群
と対象群との間に明らかな有意差を認めることができ
た。また、この血糖上昇抑制作用は週の経過とともに顕
著になっていることも認められた。 【0020】よって、吸着分画の血糖上昇抑制作用が、
非吸着分画の作用よりも有意に優れていることを確かめ
ることができ、これより、バナバ葉粗抽出物から上記吸
着分画を抽出すれば、抗糖尿病効果の一層高い成分を分
離精製することができることが明らかとなった。また、
糖尿病の発症が見られ始める頃から吸着分画を含む食餌
を投与すれば、十分な血糖上昇抑制効果を得ることがで
きることも判明した。 【0021】〔有効量〕表1より、マウス(吸着分画
群)7匹が一週間当たりに摂取する飼料量は29.5g
である。これよりマウス一匹、一日当たり約0.012
gの吸着分画を摂取すれば十分であり、さらにマウスの
平均体重が約22gであることからして、マウスは1日
・体重1kg当たり約0.55gの吸着分画を摂取すれ
ば、十分な抗糖尿病作用効果を得ることができる。しか
しながら、ヒトの感受性はマウスのそれに比べて高いの
で、吸着分画をヒトに投与する場合には、上記マウスに
対する投与量の10分の1乃至100分の1の体重割合
による量で十分足りるものと推定される。 【0022】〔毒性試験〕II型遺伝性糖尿病マウスに対
して、上記基本食に上記製造方法と同様にして得た粗抽
出物を基本食の5%(W/W) 相当量添加した食餌を6週間
連続して経口投与して観察を行ったところ、投与中及び
投与後もマウスに副作用は認められなかった。 【0023】 【発明の効果】本発明により、バナバ葉を熱水、有機溶
媒、又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出して得られ
た粗抽出物を、さらにスチレン−ジビニルベンゼン系合
成樹脂又はデキストラン系合成樹脂に吸着させ、樹脂吸
着成分を有機溶媒で溶出することにより、バナバ葉粗抽
出成分中から抗糖尿病効果のより一層優れた成分を分離
精製することができる。これにより、薬理効果の一層優
れた抗糖尿病剤を得ることに成功した。 【0024】本発明の抗糖尿病剤は、少なくとも糖尿病
の症状が見られ始める頃から投与すれば、十分に薬理効
果を発揮させることができる。その安全性に関しては、
フィリピンなどで旧くからバナバを煎じた茶を常飲して
いることからも明らかであるが、上記毒性試験によって
も確かめることができる。 【0025】また、本発明のバナバ葉抽出物は、オート
クレーブ殺菌し、凍結例えば凍結乾燥してバナバ葉抽出
粉末エキスとすれば、飲用可能な適当な濃度に希釈し、
缶ドリンク、瓶ドリンクにして飲み安くする事もできる
し、また、タブレット、カプセル状、顆粒状などに成形
して医薬品又は準医薬品とすることもできる。さらに
は、他の生薬類あるいはジュース類と混合して特殊栄養
食品乃至特殊栄養飲料とすることもできる。このとき、
バナバ葉抽出物を濃度調整し、容器に詰めた後に、これ
をレトルト殺菌、又はこの抽出液のPHを4.6未満に
調整して中心部の温度を約85℃で10分間加熱する方
法等により殺菌処理すれば、食品衛生法に定められた条
件下で殺菌した上で提供することができる。
する東南アジア産のバナバ葉(Lagerstroemia speciosa
l. )から得られるバナバ葉抽出物及び抗糖尿病剤に関
する。 【0002】 【従来の技術】バナバは熱帯アジアに分布するミソハギ
科の植物で、別名オオバサルスベリと呼ばれている。古
くから原産地であるフィリピンでは、この葉を煎じて飲
用されて来た。しかし、一方ではバナバ葉が熱帯産のた
め、雑菌汚染がひどく、通常的に飲用するためには、十
分な殺菌操作が必要であった。 【0003】そこで従来、この主要成分を抽出するため
に、まずバナバ葉を粉砕した後、加熱殺菌処理をして、
これを直接乃至ティーバック等に詰めて、漢方薬と同じ
ように長時間煎じる方法が採られてきたが、このような
バナバ葉を煎じる抽出方法では、抽出条件が全く整備さ
れていないため均質的抽出が行い難く、また、一旦煎じ
た抽出液は腐敗しやすくそのままでは日持ちがしないた
め、毎日必要量を煎じる必要があり、非常に手間がかか
り面倒であった。 【0004】また、上記の飲用の薬効があることは、お
およそ知られていたが、その抗糖尿病有効成分について
は確認されておらず、純度の高い抗糖尿剤として工業的
に生産することは困難であった。 【0005】そこで、本発明者は、バナバ葉を熱水、有
機溶媒又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出し、この
抽出溶液を濃縮し、乾燥させ、これを乾燥粉末とするこ
とにより、工業的に生産可能なバナバ葉抽出物エキスを
提案するとともに、このバナバ葉抽出物エキスの抗糖尿
病剤としての薬理効果を臨床的に確認している(特開平
5─310587)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記バナバ
葉抽出物に関する研究をさらに進めて為したものであ
り、本発明の目的とするところは、バナバ葉を熱水、有
機溶媒、又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出して得
られた抽出物を更に分離精製することにより、抗糖尿病
効果が一層高く、かつ安全に使用することのできるバナ
バ葉抽出物及び抗糖尿病剤を得ることにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明では、バナバ葉を
熱水、有機溶媒又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出
して得られた粗抽出物を、スチレン−ジビニルベンゼン
系合成樹脂又はデキストラン系合成樹脂に吸着させ、樹
脂吸着成分を有機溶媒で溶離させることにより、粗抽出
物から抗糖尿病効果の一層高いバナバ葉抽出成分を分離
精製することに成功した。また、この分離精製したバナ
バ葉抽出物を有効成分として抗糖尿病剤を得ることにも
成功した。 【0008】本発明におけるバナバ葉抽出物は、乾燥し
粉砕したバナバ葉を、約60℃乃至100℃、好ましく
は沸点に近い温度乃至沸点すなわち95℃〜100℃の
熱水で抽出するか、有機溶媒例えばメタノール乃至エタ
ノールで抽出するか、有機溶媒と水との混合溶液で抽出
するか、或いは上記熱水抽出後の残渣をさらに有機溶媒
乃至有機溶媒と水との混合溶液で抽出するかして得るこ
とができる。このときの熱水、有機溶媒、又は有機溶媒
と水との混合溶液の量は、乾燥させたバナバ葉重量に対
して1:10乃至1:100、好ましくは1:25程度
となる量とする。 【0009】本発明におけるスチレン−ジビニルベンゼ
ン系合成樹脂としては、三菱化成工業(株)社製 DIAIO
N HP-10,20,30,40,50 、オルガノ(株)社製アンバーラ
イトXAD-2,4 、或いは住友化学工業(株)社製デュオラ
イトsシリーズなど、また、デキストラン系合成樹脂と
しては、ファルマシア社製Sephadex LH-20を使用するこ
とができる。なお、デキストラン系合成樹脂は、これを
構成するデキストラン鎖が三次元的に架橋された多糖類
的な編目を形成しているから、水酸基に対する炭素原子
数割合が比較的大きく、特にLH-20 は、デキストラン鎖
のグルコース単位毎にエーテル結合しているハイドロキ
シプロプル基を有しているから、特に大きい。従って、
デキストラン系合成樹脂ゲル、特にLH-20 は、親水性、
親油性の両方の性質を持ち、吸着性の点に関してみれ
ば、スチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂と同様と考
えることができる。しかしながら、現在のところ、経済
性の観点からみれば、スチレン−ジビニルベンゼン系合
成樹脂の方が優れている。 【0010】また、本発明の抗糖尿病剤は、バナバ葉を
約60℃乃至100℃の熱水又は有機溶媒で抽出して得
られた粗抽出物を、スチレン−ジビニルベンゼン系合成
樹脂又はデキストラン系合成樹脂に吸着させ、樹脂吸着
成分を有機溶媒で溶離させて得られるバナバ葉抽出物を
有効成分として得ることができ、その抗糖尿病作用は糖
尿病マウスを用いた動物試験によって確認することがで
きた。 【0011】 【実施例】 〔製造方法〕フィリピン産バナバの生葉を適宜量自然乃
至強制的に十分に乾燥させ、これを粉砕器で粉砕し、よ
く混合したバナバ葉1kgを50リットル前後の蒸留水
で30分間前後、95〜100℃で抽出した。得られた
抽出液を濾過後、遠心分離させた後、更にエバポレータ
で濃縮させ、凍結乾燥或いはスプレードライ等の方法に
より乾燥させて粗抽出物(バナバ葉抽出エキス)を得
た。このとき、粗抽出物の収率は、乾燥バナバ葉(原
料)に対して約10%(W/W) であった。 【0012】次に、直径10cm、長さ100cmのガ
ラスカラムにスチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂
(製品名:三菱化成工業(株)社製 DIAION HP-20 )を
2.5リットル充填し、この充填剤をメタノールで洗浄
しさらに蒸留水で洗浄した後、上記粗抽出物(全量)を
1リットルの蒸留水に溶かしてこれをガラスカラム内に
流した。その後、カラム容量に対して約6倍量相当の蒸
留水を流してスチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂に
吸着されなかった分画(以下、非吸着分画とする)を流
出させる一方、カラム容量に対して約5倍量相当の10
0%メタノールを流してスチレン−ジビニルベンゼン系
合成樹脂に吸着された分画(以下、吸着分画とする)を
溶出させた。こうして得られた非吸着分画及び吸着分画
はそれぞれ、濃縮し、凍結乾燥或いはスプレードライ等
の方法により乾燥させて、乾燥粉末として得た。このと
きの収率は、乾燥バナバ葉(原料)に対して、非吸着分
画が約4.3%、吸着分画が約2.7%であった。 【0013】〔抗糖尿病剤作用試験〕II型遺伝性糖尿病
マウスを用いて、バナバ葉抽出物の抗糖尿病剤作用試験
について、以下のように試験した。 【0014】被検試料として、上記製造方法で得た吸着
分画及び非吸着分画を用い、実験動物として、KKAy
Ta Jc1マウス(II型遺伝性糖尿病マウス)を用いた。 【0015】II型遺伝性糖尿病マウス(4週齢)を基本
食(ガゼイン25.0%(W/W)(以下%(W/W) 省略) ,塩
混合物3.5,ビタミン混合物1.0,ビタミンC及び
ビタミンK0.2,塩化コリン0.2,コーン油5.
0,砂糖51.0,デンプン(α)14.1)で1週間
飼育後、1群7匹毎の三群に分け、一群には、上記基本
食にその5.0%(W/W) 相当量のセルロースを添加した
食餌を投与して対象群とし、他の一群には、上記基本食
にその2.0%(W/W) 相当量の吸着分画を添加した食餌
を投与し(以下、「吸着分画群」とする)、さらに他の
一群には、上記基本食にその3.0%(W/W) 相当量の非
吸着分画を添加した食餌を投与し(以下、「非吸着分画
群」とする)、それぞれ6週間飼育した。なお、食餌は
経口投与した。 【0016】飼育前及び飼育中のマウスの体重、飼料摂
取量及び飲水量を測定し、その結果を表1に示した。ま
た、一週毎にマウスの尾静脈血を採取して血糖値を定量
し、その結果を表2及び図1に示した。なお、結果の統
計処理は、Student-t 検定で行った。 【0017】 【表1】 【0018】 【表2】 【0019】表1より、体重増加量及び飼料摂取量に関
しては、各群間に有意差を認めることはできなかった
が、血糖値に関しては、表2及び図1より、吸着分画群
と対象群との間に明らかな有意差を認めることができ
た。また、この血糖上昇抑制作用は週の経過とともに顕
著になっていることも認められた。 【0020】よって、吸着分画の血糖上昇抑制作用が、
非吸着分画の作用よりも有意に優れていることを確かめ
ることができ、これより、バナバ葉粗抽出物から上記吸
着分画を抽出すれば、抗糖尿病効果の一層高い成分を分
離精製することができることが明らかとなった。また、
糖尿病の発症が見られ始める頃から吸着分画を含む食餌
を投与すれば、十分な血糖上昇抑制効果を得ることがで
きることも判明した。 【0021】〔有効量〕表1より、マウス(吸着分画
群)7匹が一週間当たりに摂取する飼料量は29.5g
である。これよりマウス一匹、一日当たり約0.012
gの吸着分画を摂取すれば十分であり、さらにマウスの
平均体重が約22gであることからして、マウスは1日
・体重1kg当たり約0.55gの吸着分画を摂取すれ
ば、十分な抗糖尿病作用効果を得ることができる。しか
しながら、ヒトの感受性はマウスのそれに比べて高いの
で、吸着分画をヒトに投与する場合には、上記マウスに
対する投与量の10分の1乃至100分の1の体重割合
による量で十分足りるものと推定される。 【0022】〔毒性試験〕II型遺伝性糖尿病マウスに対
して、上記基本食に上記製造方法と同様にして得た粗抽
出物を基本食の5%(W/W) 相当量添加した食餌を6週間
連続して経口投与して観察を行ったところ、投与中及び
投与後もマウスに副作用は認められなかった。 【0023】 【発明の効果】本発明により、バナバ葉を熱水、有機溶
媒、又は有機溶媒と熱水との混合溶液で抽出して得られ
た粗抽出物を、さらにスチレン−ジビニルベンゼン系合
成樹脂又はデキストラン系合成樹脂に吸着させ、樹脂吸
着成分を有機溶媒で溶出することにより、バナバ葉粗抽
出成分中から抗糖尿病効果のより一層優れた成分を分離
精製することができる。これにより、薬理効果の一層優
れた抗糖尿病剤を得ることに成功した。 【0024】本発明の抗糖尿病剤は、少なくとも糖尿病
の症状が見られ始める頃から投与すれば、十分に薬理効
果を発揮させることができる。その安全性に関しては、
フィリピンなどで旧くからバナバを煎じた茶を常飲して
いることからも明らかであるが、上記毒性試験によって
も確かめることができる。 【0025】また、本発明のバナバ葉抽出物は、オート
クレーブ殺菌し、凍結例えば凍結乾燥してバナバ葉抽出
粉末エキスとすれば、飲用可能な適当な濃度に希釈し、
缶ドリンク、瓶ドリンクにして飲み安くする事もできる
し、また、タブレット、カプセル状、顆粒状などに成形
して医薬品又は準医薬品とすることもできる。さらに
は、他の生薬類あるいはジュース類と混合して特殊栄養
食品乃至特殊栄養飲料とすることもできる。このとき、
バナバ葉抽出物を濃度調整し、容器に詰めた後に、これ
をレトルト殺菌、又はこの抽出液のPHを4.6未満に
調整して中心部の温度を約85℃で10分間加熱する方
法等により殺菌処理すれば、食品衛生法に定められた条
件下で殺菌した上で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるバナバ葉抽出物の血糖降下作用
を示したグラフである。
を示したグラフである。
フロントページの続き
(72)発明者 川崎 年夫
静岡県榛原郡相良町女神21 株式会社伊
藤園中央研究所内
(72)発明者 竹内 久直
静岡県静岡市大谷2787−34
(56)参考文献 特開 平5−310587(JP,A)
特開 平3−201969(JP,A)
特開 平1−146893(JP,A)
特開 平6−80580(JP,A)
特開 平4−124139(JP,A)
Chikage MURAKAMI
et al,Screening of
Plant Constituent
s for Effect on Gl
ucose Transpot Act
ivity in EhrlichAs
cites Tumor Cell,C
hem.Pharm.Bull.,1993
年,Vol.41,No.12,pp.2129
−2131
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A61K 35/78
CA(STN)
JICSTファイル(JOIS)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】バナバ葉を約60℃乃至100℃の熱水で
抽出して得られた粗抽出物をスチレン−ジビニルベンゼ
ン系合成樹脂に吸着させ、100%メタノールで溶離し
て得られる樹脂吸着メタノール溶離成分を有効成分とす
る抗糖尿病剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02151094A JP3507115B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | バナバ葉抽出物と抗糖尿病剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02151094A JP3507115B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | バナバ葉抽出物と抗糖尿病剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07228539A JPH07228539A (ja) | 1995-08-29 |
JP3507115B2 true JP3507115B2 (ja) | 2004-03-15 |
Family
ID=12056976
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02151094A Expired - Fee Related JP3507115B2 (ja) | 1994-02-18 | 1994-02-18 | バナバ葉抽出物と抗糖尿病剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3507115B2 (ja) |
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