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JP3506088B2 - 耐疲労特性に優れたコイルドチュービング用マルテンサイト系ステンレス鋼とそれからの製造法 - Google Patents

耐疲労特性に優れたコイルドチュービング用マルテンサイト系ステンレス鋼とそれからの製造法

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JP3506088B2
JP3506088B2 JP2000026615A JP2000026615A JP3506088B2 JP 3506088 B2 JP3506088 B2 JP 3506088B2 JP 2000026615 A JP2000026615 A JP 2000026615A JP 2000026615 A JP2000026615 A JP 2000026615A JP 3506088 B2 JP3506088 B2 JP 3506088B2
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秀樹 高部
昌克 植田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫化水素や炭酸ガ
スを含有する石油、天然ガスを生産・輸送する際に、使
用できるシームレス鋼管、電縫管、レーザー溶接鋼管等
の配管用鋼およびそれを使った鋼管の製造方法に関す
る。もちろん、本発明は、炭酸ガスを含有する他の産業
分野、例えば、脱炭酸ガス設備の配管、地熱発電用の配
管および炭酸ガス含有液のタンクを構成する材料にも適
用できる。
【0002】
【従来の技術】油井のフィールドでの油井敷設に伴う経
費は、油井の掘削からケーシング、チュービングの敷設
までのフィールド現地での作業時間に依存している。そ
こで、経費削減のために、掘削時間やケーシング、チュ
ービングの敷設時間の低減が望まれている。
【0003】掘削時間の低減については、コイル状に巻
いた管を連続的に油井内に挿入するコイルドチュービン
グという技術が採用され始めている。
【0004】一方、近年、石油または天然ガスを採取す
るための井戸の環境がますます過酷なものになってお
り、これらの流体を生産・輸送する配管やチュービング
およびケーシングの腐食が大きな問題となっている。
【0005】これらの耐食性を必要とするチュービング
にコイルドチュービング技術を用い、敷設時間の低減を
図ることは、下記理由により実現されていない。コイル
ドチュービングというのは、工場で成形した管を周溶接
で繋ぐことにより、この管の長さを予め使用長さにして
おき、それを外径4m程度のリールで巻き取り、現地で
リール巻きされた管をのばして使用するチュービングの
ことである。従って、コイルドチュービングに用いる管
には、曲げと曲げ戻しという塑性変形を受け、加工硬化
する。このため、耐食性が低下し、従来のコイルドチュ
ービングでは、石油または天然ガスの流体を生産する鋼
管として十分な耐食性が得られないという問題があっ
た。
【0006】さらに、コイルドチュービングには、曲げ
のばしの塑性変形が数回加えられるため、優れた疲労特
性も同時に要求される。
【0007】コイルドチュービングには、塑性変形を伴
った疲労が付加されるため、比較的少ないサイクル数、
すなわち低サイクルの疲労でコイルドチュービングは破
断する。従って、コイルドチュービングに望まれる疲労
特性は、優れた低サイクル疲労特性である。ここで、1
サイクルの疲労とは、1回の曲げと1回の曲げ戻しのこ
とである。
【0008】コイルドチュービングの製造方法として
は、特開平7−214143号公報にCr−Ni合金鋼と炭素鋼の
二重管の製造方法が開示されているが、耐食性と疲労特
性について具体的に説明されていない。
【0009】一方、海水中下での耐食性と疲労特性を向
上させた高強度マルテンサイト圧延鋼板が特許第266753
8 号公報に開示されているが、ここでは高サイクルで、
低サイクル疲労特性についての開示はなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の事情を考慮して、石油または天然ガスの流体を生産・
輸送する配管やコイルドチュービングとして使用できる
ように耐疲労特性と疲労が加わったときの耐食性とに優
れた耐力550MPa以上のマルテンサイト系ステンレス鋼お
よびそれからの製管法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等が鋼の添加元
素を変化させて、疲労特性と疲労が加わったときの耐食
性能 (耐炭酸ガス腐食性能と耐硫化物応力腐食割れ性
能) を調査した結果、C、Cr、Ni、Al、Mn、N等の特定
の元素を適切なバランスで添加することにより組織のフ
ェライト率を5%以下にすることが重要であることを新
たに見出し、本発明に至った。
【0012】さらに、本発明の範囲で疲労が加わったと
きの耐食性能を疲労が加わっていない状態の耐食性能と
同等にするためには、数サイクル以上の低サイクル疲労
を加える必要があることも新たに見出し、本発明に至っ
た。これからも分かるように本発明に言う疲労特性は特
に低サイクルでの耐疲労性である。
【0013】 ここに本発明は次の通りである。 (1) 質量%で、 C:0.001 〜0.04%、 Si: 1.0 %以下、 Mn:0.1
〜3.0 %、 P: 0.04%以下、 S: 0.005 %以下、 Cr:9〜
15%、 Ni:0.7 〜8%、 Al:0.001 〜0.20%、N: 0.05
%以下 を含有し、さらに、下記式を満足し、 ME=Cr+12Al−40(C+N) −4Ni−2Mn≦9.0 残部が鉄および不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、
焼戻し後の組織のマルテンサイト率が95%以上であるこ
とを特徴とする、耐疲労特性と耐食性に優れたコイルド
チュービング用マルテンサイト系ステンレス鋼。 (2) 前記鋼組成が、質量%で、 Nb:0.005 〜0.10%、V:0.005 〜0.10%、Ti:0.005
〜0.10%、Zr:0.005 〜0.10%のうちから選ばれた1
種または2種以上をさらに含有し、Mo+W/2:0.2 〜3.0
%を満たすようにMoおよびWのうちから選ばれた1種ま
たは2種を含有し、さらに下記式を満足し、 ME=Cr+4(Mo+W/2)+11V+5Nb+12Al+8Ti-40(C+N)-4Ni-2Mn
≦9.0 焼戻し後の組織のマルテンサイト率が95%以上であるこ
とを特徴とする、上記(1) 記載の耐疲労特性と耐食性に
優れたコイルドチュービング用マルテンサイト系ステン
レス鋼。 (3) 前記鋼組成が、質量%で、Ca:0.001 〜0.05%、M
g:0.001 〜0.05%、La:0.001 〜0.05%、およびCe:
0.001 〜0.05%のうちから選ばれた1種または2種以
上をさらに含有し、さらに、さらに下記式を満足し、 ME=Cr+4(Mo+W/2)+11V+5Nb+12Al+8Ti-40(C+N)-4Ni-2Mn
≦9.0 焼戻し後の組織のマルテンサイト率が95%以上であるこ
とを特徴とする上記(1) または(2) 記載の耐疲労特性と
耐食性に優れたコイルドチュービング用マルテンサイト
系ステンレス鋼。 (4) 上記(1) 〜(3) のいずれかに記載のマルテンサイト
系ステンレス鋼から製造した鋼管に繰り返し疲労を3サ
イクル以上加える耐疲労特性と耐食性に優れたコイルド
チュービング用マルテンサイト系ステンレス鋼管の製造
方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、成分組成を前述
のように数値限定した理由を以下に説明する。なお、本
明細書において「%」は特にことわりがないかぎり、
「質量%」である。
【0015】C:その含有量が0.04%を越えると、焼き
戻し後の硬度が高くなり過ぎ、硫化物応力腐食割れ感受
性が高くなる。また、炭化物の析出量が増加し、疲労強
度が低下するため、その上限を0.04%と定めた。C%は
低ければ低いほうがいいが、経済的に製造容易なことを
考慮して、0.001 %を下限とした。そこで、C添加量を
0.001 〜0.04%とした。なお、C%が低いほど溶接まま
での熱影響部の靱性が良好となるため、好ましくは0.00
1 〜0.025 %、より好ましくは0.001 〜0.015 %であ
る。
【0016】Cr:Cr は耐炭酸ガス腐食性を向上させる
成分である。9%未満では十分な耐炭酸ガス腐食性を得
られない。また、15%超では、焼入れままでマルテンサ
イト相を得ることが難しいのでCr含量は9〜15%とし
た。
【0017】Ni:Ni は焼入れままの組織をマルテンサ
イト率95%以上とするために必要である。焼入れままの
組織は、Ni添加量が0.7 %未満ではフェライト、8 %を
超えるとオーステナイトとなるため、Niの添加範囲を0.
7 〜8 %とした。より好ましくは、0.7 〜7 %である。
【0018】Si:脱酸剤として必要である。但し、1.0
%を超えると靱性が低下すると共に、熱間加工性を低下
させるので、その上限を1.0 %とした。
【0019】Mn:熱間加工性を改善するために0.1 %以
上の含有が必要である。3.0 %超の添加ではその効果が
飽和する。
【0020】S:熱間加工性からは少なければ少ないほ
ど良い。脱硫コストとのかねあいで上限を0.005 %とし
た。
【0021】P:Pは0.04%を超えると硫化物応力腐食
割れ性が著しく低下する。
【0022】Al:脱酸剤として使用する0.001 %未満で
はその効果がなく、0.20%を超えると介在物が多くなっ
て耐食性が損なわれる。
【0023】N:Nは0.05%を超えると強度が上昇しす
ぎ硫化物応力腐食割れ感受性が高くなる。
【0024】Nb、Ti、Zr、V:これらの元素は、Cを固
定し、強度ばらつきを少なくするために、所望により、
少なくとも1種添加するが、いずれも過剰に添加すると
焼入れまま組織のマルテンサイト率を95%以上とするこ
とができず、更に、焼入れままの硬度も高くなりすぎ、
却ってカソード防食性能を低下させるため、Nb:0.005
〜0.10%、Ti:0.005 〜0.10%、Zr:0.005 〜0.10%、
V:0.005 〜0.10%とした。
【0025】Mo、W:Mo、Wは、Crの共存下で炭酸ガス
環境での局部腐食を防止する元素である。本発明の好適
態様にあっては、Mo+W/2:0.2 〜3.0 %を満たす様
にMo、Wの内から1種または2種を含有する。Mo+W/
2が3.0 %超となるように添加しても局部腐食を防止す
る効果は飽和するため、Mo+W/2を0.2 〜3.0 %まで
添加することにした。
【0026】Ca、Mg、La、Ce:これらの元素は、いずれ
も鋼の熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。
従って、その効果を得たい場合には、これらの内1種ま
たは2種以上を選んで添加できる。しかし、いずれの元
素もその含有量が0.001 %未満では上記効果が得られな
い。一方、0.05%を超えて添加含有させると、粗大な酸
化物が生成し、却って耐食性が低下する。
【0027】よって、Ca:0.001 〜0.05%、Mg:0.001
〜0.05%、La:0.001 〜0.05%およびCe:0.001 〜0.05
%とした。これらの元素の内で特に好ましい添加元素
は、Ca、Laである。
【0028】また、耐食性および疲労特性を向上させる
ためには、上記成分限定に加え、焼き戻し後の組織のマ
ルテンサイト率を95%以上とする。
【0029】焼き戻し後の組織のマルテンサイト率を95
%以上にするには、下記(1) 式または(2) 式を満足すれ
ば良い。 ME=Cr+12Al− 40(C +N)−4Ni−2Mn≦9.0 ・・・・・・・(1) ME=Cr+4(Mo+W/2)+11V +5Nb+12Al+8Ti −40(C+N)−4Ni −2Mn ≦9.0 ・・・・・・・(2) 更に、上記の成分系で慣用法にしたがって製造した鋼管
に、予め、3回以上、より好ましくは5サイクル以上の
繰り返し疲労を加えることにより、疲労を受けた部分の
耐食性能、特に硫化物応力腐食性能が低下しないように
することができる。
【0030】具体的には、適宜手段で製管した後に、得
られた管をリールに巻き付け、巻き戻すことを繰り返す
ことで繰り返し疲労を与えてもよい。ここで、耐食性と
は、耐炭酸ガス腐食性能および耐硫化物応力腐食割れ性
能をいい、繰り返し疲労とは、管に曲げ・曲げ戻しの塑
性変形を加えた時に、管に付加される疲労のことであ
る。
【0031】3サイクル以上の繰り返し疲労を加えるこ
とにより安定した耐硫化物応力腐食割れ性能が得られる
原因としては、未だ明らかではない。しかし、繰り返し
疲労回数が少ない場合は、転位が材料に蓄積されて、そ
の蓄積された転位が水素のトラップサイトとなり、耐硫
化物応力腐食割れ性能が低下するが、繰り返し疲労回数
が3サイクル以上となると、材料に蓄積されていた転位
が、開放され、転位密度が少なくなるため、水素のトラ
ップサイトが少なくなり、疲労を受ける前と同等の耐硫
化物応力腐食割れ性能が得られると考えられる。
【0032】本発明にかかるマルテンサイト系ステンレ
ス鋼は、すでに述べたように、石油または天然ガスの採
取・生産・輸送用の配管、ケーシング、およびチュービ
ング材料として用いることができるが、炭酸ガスを含有
する他の産業分野、例えば、脱炭酸ガス設備の配管、地
熱発電用の配管および炭酸ガス含有液のタンクを構成す
る材料にも使用できる。
【0033】本発明において管を製造する方法として、
シームレス製管ばかりでなく、鋼帯をパイプ状に成型し
て、シーム溶接する方法があるが、この溶接管にも本発
明にかかる材料は適用可能である。
【0034】本発明による製管に際しては、まず、圧
延、押出、電気抵抗溶接、レーザ溶接等の通常手段によ
って製管を行ってから、前述のような繰り返し疲労を加
えるのであるが、その具体的態様としては、製管後にリ
ールへの巻き取り、巻き戻しを繰り返えして疲労を付加
する。次に、実施例によって本発明の作用効果をさらに
具体的に説明する。
【0035】
【実施例】表1、表2に示される成分組成をもった溶湯
を通常の電気炉、並びに脱硫の目的でAr−酸素脱炭炉
(AOD 炉) を使用して溶製した後、直径:500 mmのイン
ゴットを鋳造し、ついでこのインゴットに温度:1200℃
で熱間鍛造を施して直径:191 mmのビレットを成形し、
引き続いてこのビレットよりシームレス製管の1つであ
るマンネスマン製管法により直径:60.3mm×肉厚:4.83
mmの管とした。
【0036】そして、各成分の材料について、焼入れ焼
き戻した供試管を作製し、以下に示す試験片に加工し、
引張試験、実体疲労試験、炭酸ガス腐食試験および硫化
物応力腐食割れ性能を評価するために微量硫化水素環境
での低歪速度試験をそれぞれ行った。
【0037】(1) 実体疲労試験 直径60.3mm×厚さ4.83mm×長さ2000mmの管を曲げ半径12
20mm(48") 、内圧10.3MPa(1500psi)の条件で、本発明鋼
と比較鋼の疲労特性を比較するためにパイプが破断する
まで疲労を加えた。図1の試験機にパイプをセットし、
パイプを曲げ・曲げ戻しという疲労を加えて、疲労特性
を評価した。
【0038】図1は本例における実体疲労試験の要領の
説明図であり、図中、供試管10は、一端がクランプ止め
12され、他端はローラ14によって挟持されている。ロー
ラ14は適宜駆動体16に取り付けられていて、供給管10を
移動自在に支持する。直線部18と曲げ部20とによって拘
束される領域に沿って供試管10の曲げ・曲げ戻しが繰り
返されて疲労が与えられるのである。
【0039】更に、疲労を受けた部分の耐硫化物応力腐
食割れ性能が低下しなくなる条件を示すために、本発明
鋼について、同じ条件で1、2、3、5、10サイクルの
繰り返し疲労を加えた。
【0040】(2) 引張り試験 試験温度:常温 試験片:疲労前の母材から、19mm幅で平行部長さ50.8mm
の弧状試験片を採取 (3) マルテンサイト率 焼き戻し後のパイプの長手方向に垂直の断面を切り出
し、100 倍のミクロを10視野観察して、平均値としてマ
ルテンサイト率を測定した。
【0041】(4) 炭酸ガス腐食試験 試験片は、疲労前の母材から22mm巾×3mm厚×76mm長さ
を切り出し、600 番エメリー紙にて研磨後、脱脂、乾燥
したものを用いた。この試験片を3気圧Co2 ガスを飽和
させた5%NaCl水溶液 (液温60℃、流速1m/s)に720h浸
漬した。その後、試験片の腐食減量 (試験前の試験片の
重量から試験後の試験片の重量を引く) 測定と目視によ
り試験片表面の局部腐食の有無を確認した。
【0042】(5) 微量硫化水素環境下での低歪み速度試
験 試験ガス:大気と0.1atmH2S (CO2bal.)[試験環境] 試験溶液:5%NaCl+0.84g/1CH3COONa+0.31g/1NaHC
O3、pH=4.7 試験温度:25℃ 歪み速度:4×10-6s -1 試験片:2mm幅×4mm厚×平行部20mm長 (弧状試験片)
。 試験片はパイプ疲労前の母材部または疲労後の母材部か
ら切り出した。これらの試験結果を、表1、表2に示
す。
【0043】なお、炭酸ガス腐食にては、0.5 mm/y以下
の腐食速度を示し局部腐食を生じなかったものを "○"
、0.5 mm/y以上で局部腐食を生じたものを "×" とし
た。
【0044】耐硫化物応力腐食割れ性能は低歪み速度試
験の大気中と試験環境中での塑性伸びの比より評価し、
塑性伸び (試験環境中)/塑性伸び (大気中)95 %超えの
ものを "◎" 、90〜95%のものを "○" 、90%より小さ
いものを "×" でそれぞれ示した。表1、表2に示した
結果の内、試験No. 1 〜11が本発明鋼である。
【0045】本発明の範囲の化学成分をもち、かつマル
テンサイト率が95%以上である0.2%耐力が550MPa以上
を有する本発明鋼は、疲労特性、耐炭酸ガス腐食性能、
更に、耐硫化物応力腐食割れ性能にも優れていることが
明らかである。
【0046】一方、鋼の成分元素が本発明で規定する条
件からはずれた比較合金 (試験No.12〜16) は、十分な
疲労特性および耐食性を示さない。
【0047】また、図2に示すように成分元素の範囲は
本発明内でも、マルテンサイト率が95%未満 (1)または
(2) 式を満足しない試験No. 17、18は、本発明鋼に比べ
十分な疲労特性および耐食性を示さない。
【0048】また、表3 には、本発明鋼である試験No.
4 について、1 、2 、3 、5 、10サイクル、と破断にい
たるまでの繰り返し疲労を加えた後の耐硫化物応力腐食
割れ性能を示した。
【0049】図3には、試験No. 1 について、1 、2 、
3 、5 、10サイクルの繰り返し疲労を加えた後の耐硫化
物応力腐食割れ性能を示した。
【0050】本発明の代表的な例である焼き戻し後組織
のマルテンサイト率が95%以上を有する13%Cr鋼 (表
1、表2中の試験No. 4)の耐硫化物応力腐食割れ性能と
疲労回数の関係を示したものである。疲労部の耐硫化物
応力腐食割れ性能が低下しないためには、3サイクル以
上、より好ましくは5サイクル以上の繰り返し疲労を加
える。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【発明の効果】以上に説明したごとく、本発明によれ
ば、疲労特性および耐食性に優れた550MPa以上の耐力を
有する高耐食マルテンサイト系ステンレス鋼が実現でき
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実体疲労試験の要領の説明図で
ある。
【図2】実施例の結果を示すグラフである。
【図3】実施例の結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−111345(JP,A) 特開 平6−306551(JP,A) 特開 平9−262685(JP,A) 特開 昭61−106747(JP,A) 特開2001−220652(JP,A) 特開2001−59143(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.001 〜0.04%、 Si: 1.0 %以下、 Mn:0.1
    〜3.0 %、 P: 0.04%以下、 S: 0.005 %以下、 Cr:9〜
    15%、 Ni:0.7 〜8%、 Al:0.001 〜0.20%、N: 0.05
    %以下 を含有し、さらに、下記式を満足し、 ME=Cr+12Al−40(C+N) −4Ni−2Mn≦9.0 残部が鉄および不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、
    焼戻し後の組織のマルテンサイト率が95%以上であるこ
    とを特徴とする、耐疲労特性と耐食性に優れたコイルド
    チュービング用マルテンサイト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 前記鋼組成が、質量%で、 Nb:0.005 〜0.10%、V:0.005 〜0.10%、Ti:0.005
    〜0.10%、Zr:0.005 〜0.10%のうちから選ばれた1
    種または2種以上をさらに含有し、 Mo+W/2:0.2 〜3.0 %を満たすようにMoおよびWのうち
    から選ばれた1種または2種を含有し、さらに下記式を
    満足し、 ME=Cr+4(Mo+W/2)+11V+5Nb+12Al+8Ti-40(C+N)-4Ni-2Mn
    ≦9.0 焼戻し後の組織のマルテンサイト率が95%以上であるこ
    とを特徴とする、請求項1記載の耐疲労特性と耐食性に
    優れたコイルドチュービング用マルテンサイト系ステン
    レス鋼。
  3. 【請求項3】 前記鋼組成が、質量%で、 Ca:0.001 〜0.05%、Mg:0.001 〜0.05%、La:0.001
    〜0.05%、およびCe: 0.001 〜0.05%のうちから選ば
    れた1種または2種以上をさらに含有し、 さらに、さらに下記式を満足し、 ME=Cr+4(Mo+W/2)+11V+5Nb+12Al+8Ti-40(C+N)-4Ni-2Mn
    ≦9.0 焼戻し後の組織のマルテンサイト率が95%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の耐疲労特性と耐
    食性に優れたコイルドチュービング用マルテンサイト系
    ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のマルテ
    ンサイト系ステンレス鋼から製造した鋼管に繰り返し疲
    労を3サイクル以上加える耐疲労特性と耐食性に優れた
    コイルドチュービング用マルテンサイト系ステンレス鋼
    管の製造方法。
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