JP3502851B2 - 溶接施工性および溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼 - Google Patents
溶接施工性および溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼Info
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Description
などの大型建築構造物に使用するに適した大入熱溶接継
手靭性に優れ、かつ溶接熱影響部の硬さ(Hv)が高
く、YS≧590MPaの強度を有する溶接施工性に優
れた600MPa級鋼に関するものである。
構造物に使用される溶接用鋼材の材質特性に対する要望
は厳しさを増している。さらにそのような構造物を建造
する際、溶接の効率化を促進するため、フラックス−銅
バッキング溶接法、エレクトロガス溶接法、エレクトロ
スラグ溶接法などに代表されるような大入熱溶接法の適
用が希望されており、鋼材自身の靭性と同様に、HAZ
の靭性への要求も厳しさを増している。ところが、継手
靭性を鋼成分で改善しようとすると、溶接熱影響部(H
AZ部)の強度が低下するので、靭性と強度との両者を
満足できる鋼の開発が要求されている。
た提案は従来から数多くある。
に開示されるように、微細なTi窒化物を鋼中に確保す
ることによって、HAZのオーステナイト粒を小さく
し、靭性を向上させる方法がある。また、特開平3−2
64614号公報ではTi窒化物とMnSとの複合析出
物をフェライトの変態核として活用し、HAZの靭性を
向上させる方法が提案されている。
ち最高到達温度が1400℃を超える溶接金属との境界
(溶接ボンド部と称する)近傍ではほとんど固溶してし
まうので靭性向上効果が低下してしまうという問題があ
り、近年の厳しい鋼材特性への要求を達成することが困
難である。
法として、Ti酸化物を含有した鋼が厚板、形鋼などの
様々な分野で使用されている。例えば厚板分野では特開
昭61−79745号公報や特開昭62−103344
号公報に例示されているように、Ti酸化物を含有した
鋼が大入熱溶接部靭性向上に非常に有効であり、高張力
鋼への適用が有望である。この原理は、鋼の融点におい
ても安定なTi酸化物をサイトとして、溶接後の温度低
下途中にTi窒化物、MnS等が析出し、さらにそれら
をサイトとして微細フェライトが生成し、その結果靭性
に有害な粗大フェライトの生成が抑制され、靭性の劣化
が防止できるというものである。しかしながら、このよ
うなTi酸化物は鋼中へ分散される個数をあまり多くす
ることができない。その原因はTi酸化物の粗大化や凝
集合体であり、Ti酸化物の個数を増加させようとすれ
ば5μm以上の粗大なTi酸化物、いわゆる介在物が増
加してしまう。この5μm以上の介在物は構造物の破壊
の起点となって有害であり、靭性の低下を引き起こす。
したがって、さらなるHAZ靭性の向上を達成するため
には、粗大化や凝集合体が起こりにくく、Ti酸化物よ
りも微細に分散する酸化物を活用する必要がある。
散方法としては、Al等の強脱酸元素を実質的に含まな
い溶鋼中へのTi添加によるものが多い。しかしなが
ら、単に溶鋼中にTiを添加するだけでは鋼中のTi酸
化物の個数、分散度を制御することは困難であり、さら
には、TiN、MnS等の析出物の個数、分散度を制御
することも困難である。その結果、Ti脱酸のみによっ
てTi酸化物を分散させた鋼においては、例えば、Ti
酸化物の個数が充分でなかったり、厚板の板厚方向の靭
性変動を生じる等の問題点が認められる。
報などの方法では、Ti酸化物を生成しやすくするため
に、Al量の上限を、0.007%という非常に少ない
量で制限している。鋼材中のAl量が少ない場合、Al
N析出物量の不足などの原因により、母材の靭性が低下
する場合がある。また、通常使用されている溶接材料を
用いてAl量の少ない鋼板を溶接した場合、溶接金属の
靭性が低下する場合がある。
3937号公報、特開平6−293937号公報におい
てTi添加直後のAlを添加することで、生成するTi
−Al複合酸化物を活用する技術が提案されている。こ
の技術により、大入熱溶接HAZ靭性を大幅に向上させ
ることが可能である。
靭性を改善する技術は種々提案されているが、直近、建
設業界等においては、600MPa級鋼材を用いて大型
の橋梁用構造材を溶接することが求められていて、10
0kJ/cm以上、大きいものでは1000kJ/cm
ものさらなる溶接入熱の増加が進められており、600
MPa級鋼において、HAZ靭性を改善すると共にHA
Z靭性と相反する性質であるHAZの強度をも低下させ
ずにTS≧590MPaとすることができる溶接施工性
に優れた600MPa級鋼はいまだ提案されていないの
が現状である。
な超大入熱以上の超大入熱の溶接時においても、優れた
HAZ靭性を有すると共に、HAZ部の硬さが高く、T
S≧590MPaを満足する溶接施工性および溶接継手
靭性に優れた600MPa級鋼を提供することを課題と
するものである。
(1)式に示す鋼成分のPcmが知られている。 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/2 0+Mo/15+V/10+B*5≦0.21 ・ ・ ・(1)
れば、溶接性良好となるのは既知である。溶接性を良く
するためにPcmを低くするには、(1)式中の鋼成分の
CやNiを少なくすれば良いが、これらの成分を少なく
すればHAZ部の強度(TS)が低下してしまう。そこ
で、Pcmに関係がない元素であるNbを多量添加してH
AZ部の硬さを向上させることが考えられるが、Nbを
多量添加すると超大入熱溶接継手靭性が低下することと
なる。つまり、HAZ部の靭性と強度とは相反する性質
であり、鋼成分を調整することだけでは、両者を両立さ
せることが困難である。
Pa)をNb、V添加で確保したままで、HAZ靭性の
低下を防止することについて研究し、鋼中に酸化物を分
散させることによりHAZ部靭性を改善できることを知
見した。
にするためには、HAZ部の硬さ(Hv)が母材の硬さ
の80%以上(160〜180Hv)必要であることを
知見した。このためには、Nb、Vの多量添加が必要と
なるが、Nb、V添加による超大入熱溶接継手靭性の低
下は、鋼中に酸化物を分散させることにより防止し得る
ことを知見した。
ので、その発明の要旨は以下の通りである。
/60+Cr/20+Mo/15+V/10+B*5≦
0.21 の条件で含有し、残部はFeおよび不可避不純物からな
る鋼で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.
0μmの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で10
0〜3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成
が少なくともCa、Al、Oを含み、Oを除いた元素が
質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上 をそれぞれ含有し、CaとAlとの合計が50%以上
で、残部がその他不可避不純物からなり、かつ溶接熱影
響部の硬さが母材の80%以上の硬さ(Hv)を有する
ことを特徴とする溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。
もCa、Al、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量比
で、Ca:5%以上、Al:5%以上、S:1%以上を
それぞれ含有し、CaとAlとの合計が50%以上で、
残部がその他不可避不純物からなることを特徴とする上
記(1)項記載の溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。
/60+Cr/20+Mo/15+V/10+B*5≦
0.21 の条件で含有し、残部はFeおよび不可避不純物からな
る鋼で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.
0μmの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で10
0〜3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成
が少なくともCa、Al、Mg、Oを含み、Oを除いた
元素が質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 Mg:1%以上 をそれぞれ含有し、CaとAlとの合計が50%以上
で、残部がその他不可避不純物からなり、かつ溶接熱影
響部の硬さが母材の80%以上の硬さ(Hv)を有する
ことを特徴とする溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。
もCa、Al、Mg、O、Sを含み、Oを除いた元素が
質量比で、Ca:5%以上、Al:5%以上、Mg:1
%以上、S:1%以上を含有し、残部がその他不可避不
純物からなることを特徴とする上記(3)項記載の溶接
施工性に優れた600MPa級鋼。
Ni:1.5%以下、Cr:0.6%以下、Mo:0.
6%以下の内1種又は2種以上を含有することを特徴と
する上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の溶接施工
性に優れた600MPa級鋼。
0.003%を含有することを特徴とする上記(1)〜
(5)項のいずれかに記載の溶接施工性に優れた600
MPa級鋼。
1〜2.0μmであることを特徴とする上記(1)〜
(6)項のいずれかに記載の溶接施工性に優れた600
MPa級鋼。
する。本発明者らは、HAZの硬さ(Hv)が母材の8
0%以上であって、強度がTS≧590MPaの600
MPa級鋼とするため、鋼成分としてNb、Vを含有さ
せた。ところが、Nb、Vを含有させたことにより、H
AZ靭性が低下した。そこで、本発明者らはHAZ靭性
を向上させる金属組織要因として、1400℃以上に加
熱されるHAZ領域の再加熱オーステナイト細粒化を、
酸化物に利用して達成することを検討した。
には高温でのオーステナイト粒成長を抑制することが必
要である。その手段として最も有効な方法は、分散粒子
によりオーステナイトの粒界をピンニングし、粒界の移
動を止める方法が考えられる。そのような作用をする分
散粒子の一つとしては、従来、Ti窒化物と酸化物が有
効であると考えられていた。しかしながらTi窒化物は
1400℃以上の高温では固溶する割合が大きくなるた
め、ピンニング効果が小さくなることは先に述べた。こ
れに対し、高温で安定な酸化物をピンニング粒子として
活用することが必要である。
グ効果は、分散粒子の体積率が大きいほど、一個の粒子
径が大きいほど大きい。ただし、分散粒子の体積率は鋼
中に含まれる粒子を構成する元素の濃度によって上限が
あるので、体積率を一定と仮定した場合には、粒子径は
ある程度小さい方がピンニングには有効である。このよ
うな観点から、本発明者らは酸化物の体積分率を大き
く、かつ適正な粒子径となるよう、種々の検討を行っ
た。
として、酸素量を増大させることがあるが、酸素量の増
大は材質に有害な粗大酸化物をも多数生成する原因とな
るため、有効な手段ではない。そこで本発明者らは、酸
素を最大限に利用するため、酸素との溶解度積が小さい
元素を活用することを検討した。酸素との溶解度積が小
さい、すなわち強脱酸元素として、一般的にはAlが用
いられる。しかしながら、Alだけでは酸素を充分利用
するには不充分で、さらにAlよりも強い脱酸元素が必
要で、鉄鋼の脱酸工程で汎用的に使用されるCaを活用
することが重要である。Caは酸素との溶解度積が小さ
いため、同量の酸素に対してAlよりも一層多量の酸化
物を生成することができる。脱酸元素としてCaを用い
た実験を行った結果、鋼中に生成する酸化物粒子の組成
として、Caが5%以上、Alが5%以上含まれること
で、酸化物の体積分率すなわち酸化物量を大きくするこ
とが可能となることを知見した。この結果を基に、鋼中
に含まれる酸化物粒子の組成を、少なくともCa、A
l、Oを含み、Oを除いた元素が質量比でCaを5%以
上、Alを5%以上とした。
酸化物を多数生成させることに有効である。MgはCa
ほどの効果はないものの、Alより強い脱酸元素であ
り、酸素との溶解度積が小さい。したがって、MgをC
aと複合して脱酸に使用することで酸化物個数を一層増
加させることが可能となる。発明者らは脱酸元素として
Caを用いた実験を行った結果、鋼中に生成する酸化物
粒子の組成として、Caが5%以上、Alが5%以上、
Mgが1%以上含まれることで、酸化物の体積分率すな
わち酸化物量を一層大きくすることが可能となることを
知見した。この結果を基に、鋼中に含まれる酸化物粒子
の組成を、少なくともCa、Al、Mg、Oを含み、O
を除いた元素が質量比でCaを5%以上、Alを5%以
上、Mgを1%以上とした。
CaSおよびMgSといった硫化物が析出することで、
酸化物と硫化物とを併せてより一層の体積分率の増加が
可能となることを見出したのである。この結果をもと
に、鋼中に含まれる粒子の組成を、少なくともCa、A
l、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量比でCaを5
%以上、Alを5%以上、Sを1%以上、もしくは、少
なくともCa、Al、Mg、O、Sを含み、Oを除いた
元素が質量比でCaを5%以上、Alを5%以上、Mg
を1%以上、Sを1%以上とした。
きさについて述べる。
は、分散粒子の体積率が大きいほど、一個の粒子径が大
きいほど大きいが、粒子の体積率が一定のとき、一個の
酸化物粒子の大きさが小さい方が粒子数が多くなりピン
ニング効果が大きくなるが、あまり小さくなると粒界に
存在する粒子の割合が小さくなるため、その効果は低減
すると考えた。粒子の大きさを種々変化させた試験片を
用いて、高温に加熱したときのオーステナイト粒径を詳
細に調査した結果、ピンニングには粒子の大きさとし
て、0.005〜2.0μmのものが効果が大きいこと
をつきとめた。さらに、オーステナイト粒界の移動を止
めるピンニング力は分散粒子のサイズが大きいほど強い
ことが判明し、粒子径0.005〜2.0μmの中でも
0.1〜2.0μmの粒子の大きさが特に有効であるこ
とを知見するに至った。0.1μmより小さくなるとピ
ンニング効果は徐々に減少し、0.005μmより小さ
くなるとほとんどピンニング効果を発揮しない。また、
2.0μmより大きい酸化物粒子はピンニング効果はあ
るものの、脆性破壊の起点となることがあるため鋼材の
特性上不適である。この結果より、必要な粒子径を0.
005〜2.0μm、その中でも特に0.1〜2.0μ
mとした。
の個数について検討した。
になり、粒子個数が多いほどHAZ靭性が向上するが、
鋼材に要求されるHAZ靭性は、その用途、使用される
溶接方法などによって複雑に異なる。特に要求特性が厳
しいと考えられる高強度の造船用鋼で大入熱溶接施工さ
れる場合に要求されるHAZ靭性、例えば、試験温度−
40℃において吸収エネルギー50J以上を満足するた
めには、図1に示すように、円相当径が0.005〜
2.0μmの酸化物粒子数が100個/mm2以上必要
であることを知見した。ただし、粒子数が多くなるほ
ど、その靭性向上効果は小さくなり、必要以上に粒子個
数を多くすることは靭性に有害な粗大な粒子が生成する
可能性が高くなることを考えると、粒子数の上限は30
00個/mm 2が適切である。
は、例えば以下の要領で行う。母材となる鋼板から抽出
レプリカを作製し、それを電子顕微鏡にて10000倍
で20視野以上、観察面積にして1000μm2以上を
観察することで該酸化物の大きさおよび個数を測定す
る。大きさの測定は、例えば粒子を撮影した写真をもと
に、その円相当径を求める。このとき鋼板の表層部から
中心部までどの部位から採取した抽出レプリカでもよ
い。また、粒子が適正に観察可能であれば、観察倍率を
低くしてもかまわない。
まま、制御圧延、さらにこれと制御冷却と焼戻しの組合
せ、および焼入れ・焼戻しの組合せなどであっても酸化
物の効果は影響を受けない。
化物粒子を分散させたことによりHAZ靭性が向上する
ことを、図2に基づいて説明する。
す図で、点線は0.1〜2.0μmの酸化物粒子を約5
0個/mm2含有する比較鋼、そして実線は0.1〜
2.0μmの酸化物粒子を約500個/mm2含有する
本発明鋼を示している。
加に応じてHAZ靭性は低下するが、例えば試験温度−
40℃において吸収エネルギー50J以上を満足するH
AZ靭性は、PHAZの80〜140の範囲において本発
明鋼で達成されていても比較鋼では達成できない。つま
り、酸化物粒子を分散させることによりHAZ靭性が大
幅に向上することが分かる。
硬度(Hv)と強度(TS)との関係を示す図である。
600MPa級鋼材を入熱100kJ/cmで溶接して
試験片を作成し、引張試験を行い、HAZ部の硬さ(H
v)と強度(TS)との関係を求めた。
0HvのときにTSが590MPaとなった。硬さが1
60Hv未満ではTSが590MPa未満となり、本発
明で目的とするTS≧590MPaが得られず、HAZ
部で破断が生じた。
するためには、母材の硬さ(200Hv)の80%以上
の硬さとすることが必要であることが分かった。このた
め、本発明では溶接熱影響部の硬さが母材の80%以上
の硬さ(Hv)と規定した。
べる。
り、下限を0.05%とし、また過剰の添加は、鋼材の
溶接性やHAZ靭性などを著しく低下させるので、上限
を0.15%とした。
成分0.1%以上必要であるが、HAZの硬化により靭
性が低下するのを防止するため上限を0.5%とした。
分として1.0%以上の添加が必要であるが、溶接部の
靭性、割れ性などの許容できる範囲で上限を2.0%と
した。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.02%を上限とした。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.02%を上限とした。
0.005%とした。また、Alが多量に存在すると、
鋳片の表面品位が劣化するため、上限を0.041%と
した。
るために0.005%以上添加する。しかし、固溶Ti
量が増加するとHAZ靭性が低下するため、0.03%
を上限とした。
鋼の硬さおよび強度を向上させるために有効な元素であ
り、TS≧590MPaを達成させるためには0.00
6%以上、好ましくは0.01%以上必要であるが、H
AZ部においては過剰な添加は靭性を著しく低下させる
ため0.06%を上限とした。
上させるために有効な元素であり0.02%以上添加す
る。しかし、VもHAZ部の靭性を低下させるので、
0.06%を上限とした。
の両者を複合添加することによりHAZ部の靭性の低下
は防止できるので、NbとVとの両者を添加することと
した。
0.0005%以上の添加が必要である。しかしなが
ら、過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、0.0
03%を上限とした。
で酸化物個数を増加させる元素である。しかしながら、
過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、Mgは0.
002%以下としたが、好ましくは、0.0001〜
0.002%である。
であるが、1.0%を超えるとHAZ靭性を低下させる
と共にPcmを増加させることから、1.0%を上限とし
た。好ましくは、0.1〜1.0%である。
ために有効であるが、Ni量の増加はPcmを増加させる
と共に製造コストを上昇させるので、1.0%を上限と
した。好ましくは、0.1〜1.0%である。
せる効果を有するがHAZ部においては過剰な添加は靭
性を著しく低下させるため、それぞれ0.6%、0.6
%を上限とした。
向上させる元素であるが、0.0005%未満では充分
な効果が得られず、一方、0.003%を超えると靭性
を低下させるので、Bは0.0005〜0.003%と
した。
を試作した。1〜7が本発明鋼、8〜19が比較鋼であ
る。試作鋼は転炉溶製し、RHにて真空脱ガス処理時に
脱酸を行っている。連続鋳造により280mm厚鋳片に
鋳造した後、加熱圧延水冷を経て、板厚50mmの鋼板
として製造した。得られた鋼板を汎用の溶接材料を用い
て1パスのエレクトロスラグ溶接した。入熱は約900
kJ/cmである。
に鋼板の硬さ、HAZ部の硬さ、HAZ靭性を示す。靭
性評価のためのシャルピー値は、フュージョンライン部
位で試験温度0℃にて6本の試験を行い、その平均値で
ある。
鋼は比較鋼と比べて吸収エネルギーが50J以上の優れ
たHAZ靭性、ならびにHAZ部の硬さ/母材の硬さが
80%以上と充分な継手強度を有すると共に、優れた溶
接施工性を有することが判る。すなわち、粒子径が0.
005〜2μmで、本発明の範囲の化学組成を有する酸
化物の粒子数が100〜3000個/mm2のはんいに
あり、0℃のHAZ靭性、溶接施工性共に極めて優れて
いる。
験でHAZ靭性が40J未満の低い靭性しか示さない
か、HAZ部の硬さ/母材の硬さが80%に達しない。
8〜15は酸化物の組成もしくは酸化物個数が本発明の
範囲からはずれたため、HAZ靭性が劣っている。16
〜19はVを添加していないため、HAZ靭性は良好な
ものの、HAZ部の硬さ/母材の硬さが80%に達しな
かった。
対しても優れた溶接継手靭性を有するYR≦80%、T
S≧590MPaの鋼板を提供でき、大型建築構造物等
を溶接によって製造することが要求される産業分野にも
たらす効果は極めて大きく、さらに構造物の安全性の意
味から社会に対する貢献も非常に大きい。
を示す図である。
と強度(TS)との関係を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.1〜0.5%、 Mn:1.0〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.005〜0.041%、 Ti:0.005〜0.03%、 Nb:0.006〜0.06%、 V:0.02〜0.06%、 Ca:0.0005〜0.003% を、 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni
/60+Cr/20+Mo/15+V/10+B*5≦
0.21 の条件で含有し、残部はFeおよび不可避不純物からな
る鋼で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.
0μmの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で10
0〜3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成
が少なくともCa、Al、Oを含み、Oを除いた元素が
質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上 をそれぞれ含有し、CaとAlとの合計が50%以上
で、残部がその他不可避不純物からなり、かつ溶接熱影
響部の硬さが母材の80%以上の硬さ(Hv)を有する
ことを特徴とする溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。 - 【請求項2】 前記酸化物粒子の組成が少なくともC
a、Al、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量比で、
Ca:5%以上、Al:5%以上、S:1%以上をそれ
ぞれ含有し、CaとAlとの合計が50%以上で、残部
がその他不可避不純物からなることを特徴とする請求項
1記載の溶接施工性に優れた600MPa級鋼。 - 【請求項3】 質量%で、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.1〜0.5%、 Mn:1.0〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.005〜0.041%、 Ti:0.005〜0.03%、 Nb:0.006〜0.06%、 V:0.02〜0.06%、 Ca:0.0005〜0.003%、 Mg:0.002%以下 を、 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni
/60+Cr/20+Mo/15+V/10+B*5≦
0.21 の条件で含有し、残部はFeおよび不可避不純物からな
る鋼で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.
0μmの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で10
0〜3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成
が少なくともCa、Al、Mg、Oを含み、Oを除いた
元素が質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 Mg:1%以上 をそれぞれ含有し、CaとAlとの合計が50%以上
で、残部がその他不可避不純物からなり、かつ溶接熱影
響部の硬さが母材の80%以上の硬さ(Hv)を有する
ことを特徴とする溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。 - 【請求項4】 前記酸化物粒子の組成が少なくともC
a、Al、Mg、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量
比で、Ca:5%以上、Al:5%以上、Mg:1%以
上、S:1%以上をそれぞれ含有し、CaとAlとの合
計が50%以上で、残部がその他不可避不純物からなる
ことを特徴とする請求項3記載の溶接施工性に優れた6
00MPa級鋼。 - 【請求項5】 質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:
1.5%以下、Cr:0.6%以下、Mo:0.6%以
下の内1種又は2種以上を含有することを特徴とする請
求項1〜請求項4のいずれかに記載の溶接施工性に優れ
た600MPa級鋼。 - 【請求項6】 質量%で、B:0.0005〜0.00
3%を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5の
いずれかに記載の溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。 - 【請求項7】 前記酸化物粒子が円相当径で0.1〜
2.0μmであることを特徴とする請求項1〜請求項6
のいずれかに記載の溶接施工性に優れた600MPa級
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001118357A JP3502851B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 溶接施工性および溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001118357A JP3502851B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 溶接施工性および溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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