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JP3494928B2 - インバータ制御装置 - Google Patents

インバータ制御装置

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JP3494928B2
JP3494928B2 JP25382099A JP25382099A JP3494928B2 JP 3494928 B2 JP3494928 B2 JP 3494928B2 JP 25382099 A JP25382099 A JP 25382099A JP 25382099 A JP25382099 A JP 25382099A JP 3494928 B2 JP3494928 B2 JP 3494928B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電流瞬時値制御を
行うインバータ制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】PWMインバータには、電流制御を行わ
ない安価な汎用インバータも存在するが、高精度・高速
応答の制御を行おうとすると、電流瞬時値制御が必要と
なる。電流瞬時値制御装置は、その構成から、(1)電
流制御回路+PWM制御回路、(2)電流瞬時値制御型
のPWM制御回路、の二種類に大きく分けられる。 【0003】dq軸電流制御と三角波比較PWM制御の
組み合わせは、(1)の代表的な制御構成である。dq
軸電流制御は、制御ゲインを高くしなくても高周波電流
の定常偏差をゼロに制御できる優れた電流制御方式であ
る。一方、三角波比較PWM制御は高調波低減性に優れ
ており、この組み合わせによる電流瞬時値制御は現在広
く用いられている。 【0004】しかし、dq軸電流制御で高周波電流を制
御するためには電圧の余裕が必要である。電動機を高回
転数で効率良く運転しようとすると可能な範囲で高電圧
を印加することが望ましく、インバータ直流電圧をフル
に利用できる1パルスの方形波運転が理想である。しか
し、dq軸電流制御では電流制御器の飽和を避けるため
1パルス方形波電圧に比較してかなり低い値の電圧指令
値を用いて、全領域PWM制御せねばならない。 【0005】このため、1パルス方形波運転時に比較し
て高回転数域における効率が劣ると共に、電流応答速度
が三角波比較PWM制御の三角波周波数によって制限さ
れるという問題もある。即ち、三角波の周波数は素子の
スイッチング損失を考慮して決定されるので、スイッチ
ング速度の遅い素子では三角波周波数が低くなり、電流
応答も低く押さえられてしまう。 【0006】電流瞬時値制御型のPWM制御(2)の代
表的な方式は図5のヒステリシスコンパレータ方式であ
る。この方式は、dq軸電流制御と三角波比較PWM制
御の組み合わせでは不可能な1パルス方形波運転が可能
で、スイッチングの遅い素子でも高速の電流応答が得ら
れるという長所を持っている。 【0007】ヒステリシスコンパレータ方式について図
5及び図6に基づいて説明する。図5は、ヒステリシス
コンパレータ方式を用いた電圧形インバータの電流制御
装置の構成図である。 【0008】図5において、ヒステリシスコンパレータ
方式を用いた電圧形インバータの電流制御装置は、イン
バータ3に電力を供給する直流電源1と、高調波電流に
よる電圧変化を抑制するフィルタコンデンサ2と、直流
電圧Vdcを入力され、3相交流電圧を出力するインバ
ータ3とを有している。 【0009】また、インバータ3は、IGBTのような
自己消弧型のスイッチング素子及びそれと逆並列に接続
されたダイオードとから成るスイッチング素子U,V,
W,X,Y,Zから構成されている。インバータ3のU
相出力、V相出力、W相出力と直流電源のプラス側との
間に素子U,V,Wが、マイナス側との間に素子X,
Y,Zが接続されている。そして、インバータ3からの
任意の周波数を有する交流電力は、交流電動機4に出力
される。 【0010】更に、同装置は、インバータ3から交流電
動機4に流れる3相電流に比例した電流検出信号iU,
iV,iWを出力する電流検出器5U,5V,5Wと、
この電流検出器5U,5V,5Wからの電流検出信号i
U,iV,iWと設定器(図示せず)で設定された3相
の電流基準信号iU* ,iV* ,iW* との差をとって
電流偏差ΔiU(=iU* −iU),ΔiV(=iV*
−iV),ΔiW(=iW* −iW)を出力する減算器
6U,6V,6Wと、この減算器6U,6V,6Wから
の電流偏差ΔiU,ΔiV,ΔiWの値がそれぞれ所定
値H/2と−H/2との間にあれば出力中の論理信号を
維持し、H/2よりも大きければ論理信号1に出力を変
更し、所定値−H/2よりも小さければ論理信号0に出
力を変更するヒステリシスコンパレータ7U,7V,7
Wを有している。 【0011】ヒステリシスコンパレータ7U,7V,7
Wの出力する論理信号(PWM信号)は、そのままの極
性でインバータ3のプラス側の素子U,V,Wのスイッ
チング信号SU,SV,SWとして用いられる。また、
ヒステリシスコンパレータ7U,7V,7Wの出力する
論理信号を否定論理回路8U,8V,8Wで極性反転し
た信号は、インバータ3のマイナス側の素子X,Y,Z
のスイッチング信号SX,SY,SZとして用いられ
る。スイッチング信号SU,SV,SW,SX,SY,
SZは、デッドタイム処理回路、ゲートアンプ(共に図
示せず)等を介して、該当するスイッチング素子U,
V,W,X,Y,Zに与えられる。 【0012】次に、上述した電流制御装置の動作原理に
ついて、図6を用いて説明する。尚、図6では、インバ
ータ1相分(U相)だけについて説明する。図6におい
て、正弦波状に変化する電流基準iU* は実線で描かれ
ている。その上下に、H/2を隔てて平行に描かれた破
線がU相電流iUの許容誤差領域の境界線である。 【0013】図6に示すように、タイミングt0の直前
では、PWM信号SUが0でU相電流iUは減少してい
る。タイミングt0において、電流iUが(iU* −H
/2)のラインに到達すると、ヒステリシスコンパレー
タ7Uが動作して、SUが1となる。これにより、電動
機のU相端子に直流電源1の正電圧が印加されるので、
電流iUは増加し始める。電流iUが電流基準iU*
越えても、ヒステリシスコンパレータ7Uは動作しな
い。タイミングt1で電流が、ヒステリシスコンパレー
タ7Uの動作レベル(iU* +H/2)に達すると、S
Uがゼロとなる。電動機のU相端子に直流電源1の負電
圧が印加されるので、電流iUは減少に移る。 【0014】以後t2,t3のようにヒステリシスコン
パレータの動作レベルに達する毎に、PWM信号が切り
替わり、電流の変化方向が変わる。結果として電流偏差
が±H/2以内に収まるように制御される。 【0015】電動機巻線の中性点とインバータの直流電
源の中間部とが結ばれていれば以上の説明は正しいので
あるが、実際には電動機巻線の中性点とインバータとは
接続されていない。このため、他相のスイッチング状態
が電流変化に影響する。特にSU=SV=SW=1、或
いはSU=SV=SW=0の場合には、U相、V相、W
相の端子電圧がすべて同電位となってしまうので、電流
変化方向は電動機の内部誘起電圧によって定まる。電流
iUは、内部誘起電圧の角度によってはSUが1であっ
ても減少するし、SUが0であっても増加する。 【0016】図7は、ヒステリシスコンパレータ方式に
よる電流制御のシミュレーション波形を示したものであ
る。図7において、最上段には電流基準iU* を実線
で、その上下に点線で許容誤差領域を示している。許容
誤差領域に概ね収まり、増加/減少を繰り返しているの
がU相電流iUである。その下には各相のPWM信号S
U,SV,SWを示している。相電流iUとPWM信号
SUとの間の垂直に引かれた破線は、SU信号の変化タ
イミングである。 【0017】図7に示すように、SU=0でiUが(i
* −H/2)を下回ろうとする時点、或いはSU=1
でiUが(iU* +H/2)を上回ろうとする時点でS
Uは変化する。SUが変化するとiUの変化方向が変わ
り、電流iUを許容誤差領域内に収めるようなPWM信
号が出力される。時刻t1までの間、U相電流iUとP
WM信号SUとは図6を用いて説明したように動作して
いる。SUが0から1に変わった時刻t1直後において
もiUは増加している。 【0018】しかし、SV,SWの双方が1となった時
刻t2において、SUが1であるにもかかわらずiUが
減少しはじめている。時刻t3において、iUは(iU
* −H/2)を下回る。このときSU=0であればSU
=1に変化するのであるが、すでにSU=1である。相
電流iUはそのまま減少を続け、時刻t4におけるSV
=1からSV=0への変化によってはじめて増加に移っ
ている。 【0019】このように電流偏差をヒステリシス幅±H
/2の間に収めることができないのはヒステリシスコン
パレータ方式の許容誤差領域の広さが変化するためであ
る。図8を用いてこれを詳しく説明する。 【0020】図8において、U相軸と直行して描かれた
3本の直線のうち、実線で描かれているのが電流偏差Δ
iUがゼロのラインで、その上下に、H/2を隔てて平
行に描かれた破線がU相の許容誤差領域の境界線であ
る。V相、W相も同様にそれぞれの軸に直行する3本の
平行線で、許容誤差領域を示している。図中に(H,−
H/2,H/2)のように記しているのは、UVW座標
系におけるその点の座標である。 【0021】図6を用いて説明したことが正しければ、
ヒステリシスコンパレータ方式では、iU,iV,iW
のすべてが基準±H/2の間に収まるはずである。この
場合、電流偏差は図8において、UVWの各軸の許容誤
差領域(ヒステリシス幅)が交差してできる六角形、頂
点の座標としては(H/2,−H/2,0),(0,−
H/2,H/2),(H/2,0,H/2),(−H/
2,H/2,0),(0,H/2,−H/2),(H/
2,0,−H/2)を有する六角形の領域内に入ってい
ることになる。 【0022】しかし、実際にはその外の小三角形領域ま
でが許容誤差領域に含まれる。しかも厄介なことに小三
角形領域は、スイッチング状態によって許容誤差領域に
含まれたり含まれなくなったりする。六角形とそれに外
接する六つの小三角形との双方を含む領域を以降「星形
六角形領域」と呼ぶ。 【0023】インバータの出力電圧が作るベクトル状態
をゼロベクトルと非ゼロベクトルとに分類する。ゼロベ
クトルとは3相のPWM信号がすべて同じ値、すなわち
SU=SV=SW=1、或いはSU=SV=SW=0の
場合であり、他の場合は非ゼロベクトルである。出力電
圧が非ゼロベクトルの場合には小三角形は許容誤差領域
に含まれない。 【0024】PWM信号SU,SV,SWがすべて1で
あり、誘起電圧がU相電流偏差を増加させる角度にある
とする。この場合に、電流偏差が増加して(H/2,
V,W)のライン(ここでV,Wは任意の値)を越えよ
うとすると、ヒステリシスコンパレータ7Uが動作して
PWM信号SUは0に変化する。電動機にはU相のみ負
電圧、V相、W相には正電圧が印加されるから、相電流
iUを減少させようとする方向の電圧状態となる。 【0025】即ち、(H/2,V,W)のラインが許容
誤差領域の境界線として機能する。ところが、PWM信
号SU,SV,SWがすべて0の場合、電流偏差が増加
して(H/2,V,W)のラインに達しても、ヒステリ
シスコンパレータ7Uは動作しない。 【0026】従って、電流偏差はそのまま増加を続け
る。この場合には(H/2,V,W)のラインは許容誤
差領域の境界線として機能していない。電流偏差がさら
に増加して(H/2,−H/2,W)のラインを越えよ
うとすると、SVが0から1に、(H/2,V,−H/
2)のラインを越えようとすると、SWが0から1に変
化して、これによって電圧は電流偏差のU相軸成分を減
少させる方向になる。 【0027】即ち、PWM信号SU,SV,SWがすべ
て0の場合には(H,−H/2,−H/2),(H/
2,−H/2,0),(H/2,0,−H/2)を頂点
とする小三角形領域が許容誤差領域に含まれるが、S
U,SV,SWがすべて1の場合にはこの小三角形領域
は許容誤差領域に含まれない。即ち出力電圧がゼロベク
トルの場合にはスイッチング状態によって小三角形領域
が許容誤差領域に含まれる場合がある。同様なことは他
の5個の小三角形領域にもいえる。 【0028】この結果は、図7のように電流リップル大
きくなったり小さくなったりする現象として現れる。し
かも、許容誤差領域の広さの変化には誘起電圧の角度が
関係するので、電流の基本周波数の6倍近傍、インバー
タ駆動の電動機でもっとも問題となる第5次、第7次高
調波の発生の原因となる。 【0029】更に、図7から電流の変化速度が変わって
いることも見て取れる。t2〜t4のゼロベクトル期間
の電流変化はt0以前の電流変化より明らかに遅い。ゼ
ロベクトル期間の電流変化は誘起電圧のみによるから、
誘起電圧の低い電動機の低回転数域における電流変化速
度は極めて緩やかである。 【0030】しかも先に述べたように許容誤差領域が広
くなるのはゼロベクトル期間である。許容誤差領域は電
流変化の緩やかなゼロベクトル期間に広くなり、電流変
化の急峻な非ゼロベクトル期間に狭くなる。結果として
スイッチング周波数の変動は非常に大きなものとなる。 【0031】ヒステリシスコンパレータ方式が先に述べ
たような長所にもかかわらず現在ごくわずかの特定用途
以外には用いられていないのは、電流リップルを三角波
比較PWMと同程度に収めようとするとスイッチング周
波数が高くなってしまうこと、即ち高調波大であるこ
と、スイッチング周波数が急変して耳ざわりな騒音を発
生することなどの欠点のためである。スイッチング状態
による許容誤差領域の広さの変化がこれらの欠点の原因
のーつとなっていることは明らかである。 【0032】ヒステリシスコンパレータ方式の長所を生
かしながら、高調波大、スイッチング周波数変動大とい
う欠点を除去しようという試みは数多くなされている。
これらの改良方式では、ヒステリシスコンパレータ方式
において渾然一体としていた許容誤差コンパレータ部と
電圧ベクトル選択論理部とを分離している。 【0033】許容誤差コンパレータ部は、ヒステリシス
コンパレータ方式のヒステリシスに代わるものでスイッ
チング周波数を制限するために設けられる。許容誤差コ
ンパレータ部から電圧ベクトル選択論理部に対してスイ
ッチング要求が出されると、電圧ベクトル選択論理部が
スイッチング要求が与えられた時点で最適と思われる電
圧ベクトルを選択し出力する。 【0034】「高調波抑制と高速電流応答を可能にした
電流制御形PWMインバータ」小笠原悟司、西村倫明、
赤木蓁文、難波江章(電気学会論文誌B、昭和61年2
月号)は、「高調波抑制可能なスイッチング方式」と
「高速追従可能なスイッチング方式」との切換え方式に
ついて記載している。 【0035】「高調波抑制可能なスイッチング方式」
は、電圧ベクトル選択に電流変化率の少ないベクトルを
選択するというロジックを用いて電流リップル低減とス
イッチング周波数急変防止を実現する。これは電流変化
のゆるやかなことが望ましい定常状態のためだけの制御
方式であり、急速な電流変化が必要な過渡状態の制御に
は適さない。このため許容誤差領域を二重にして電流偏
差が外部許容誤差よりも大きくなると、従来のヒステリ
シスコンパレータ方式相当の電圧ベクトル選択論理の
「高速追従可能なスイッチング方式」で動作させ、電流
偏差を内部許容誤差領域に引きもどす構成となってい
る。 【0036】許容誤差判定回路は、3相分の合成ベクト
ルとして考慮するものとしてベクトルコンパレータと呼
んでいるが、ヒステリシスコンパレータ方式と等価な許
容誤差領域を得る回路である。 【0037】但し、高調波抑制可能なスイッチング方式
で許容誤差領域を作るだけのためにベクトルコンパレー
タを用いる場合、高速追従可能なスイッチング方式の場
合よりもヒステリシス幅を狭くしているので、高調波抑
制可能なスイッチング方式における許容誤差領域の変動
は軽減されている。しかし、スイッチング方式によって
ヒステリシス幅を変化させていること自体、新たな高調
波発生原因となる。 【0038】交流電流制御では、dq軸上での電流基準
が一定であっても、UVW軸上の電流基準は正弦波状に
変化している。回転数が高くなると、UVW軸上の電流
基準の変化が速くなる一方で、誘起電圧が高くなりイン
バータ出力電圧の非ゼロベクトルの大きさとの差が小さ
くなるので、非ゼロベクトルによる電流変化が遅くな
る。電流基準の変化が速くなり電流の変化が遅くなれば
追従は悪化し、電流偏差を小さく制御することがむずか
しくなる。回転数が上がるにつれて電流偏差は大きくな
ってゆく。 【0039】この過程において、電流偏差は定常状態用
の内部許容誤差領域に収まらなくなり、定常状態におい
ても高速追従可能なスイッチング方式が必要とされるよ
うになる。高速追従可能なスイッチング方式と高調波抑
制可能なスイッチング方式とが混在する回転数領域では
スイッチング方式によるヒステリシス幅の違いが高調波
の源因となってしまう。 【0040】更に回転数が上昇すると、高速追従可能な
スイッチング方式のみで制御されるようになる。先に述
べたdq軸電流制御と三角波比較PWM制御の場合、定
常偏差をゼロにできなくなるとPI制御器が飽和してし
まい電流制御回路が機能しなくなる。このような状態で
は電流基準が変化して電流偏差が更に大きくなったとし
ても、すでにPI制御器が飽和しているのでPWM基準
も変化しない。つまり、電流制御できないというだけで
なく、PWM制御もできなくなってしまう。 【0041】ところが、高速追従可能なスイッチング方
式(ヒステリシスコンパレータ方式と等価な方式)の場
合には、電流制御というには電流偏差が大きくなりすぎ
るような回転数領域でも、電流偏差に応じてPWM制御
波形はそれなりに変化する。これにより1パルス方形波
運転まで電流波形を制御しつつPWM制御を行うことが
できる。 【0042】許容誤差領域の変動を完全になくすために
は、ヒステリシスコンパレータでなく単純なコンパレー
タを用いて、図8の六角形領域を、或いは円形領域を作
ればよい。円形領域のほうが電流偏差ベクトルの長さが
完全に一定に制御されるので、高調波面からより好まし
い。 【0043】特開平1−259761号公報「電圧形イ
ンバータの電流制御方法」における定常状態のための制
御では、六角形または円形の許容誤差領域となるような
判定が採用されている。この許容誤差判定法によって、
電動機回転数が低く誘起電圧が小さい範囲では許容誤差
領域の変動に起因する低次高調波の発生を解決できる。
この方式も定常状態において電流変化率の少ない電圧ベ
クトルを選択することを基本にしている点では前記改良
方式と同じで、過渡状態では別の制御方式に切換える。 【0044】但し、許容誤差領域はひとつだけで、電流
偏差が許容誤差領域外の所定レベルに達すると、電圧ベ
クトル選択論理を過渡状態用に切換えている。この方式
の場合、許容誤差領域の変動とは別の問題が生じる。高
回転では電流偏差が増加するので、過渡状態のための制
御方式が定常的に動作するようになる。この方式の過渡
状態での電圧選択は電流偏差の角度のみに基づいて行わ
れ、ヒステリシスコンパレータ方式からヒステリシス幅
をなくしたものといってよい。しかも、許容誤差領域を
単なる円形としているので、高回転で電流偏差が許容誤
差領域に収まらなければ、選択された電圧べクトルは直
ちにインバータ出力電圧に反映される。この結果、非常
に高周波のスイッチングが行われる。この例を図9に示
す。 【0045】図9において、t1〜t2間ではPWM信
号SUのみが高速に変化し、iUがiU* に等しく制御
されている。しかし、この間iV,iWがそれらの基準
に等しく制御されているわけではないことは、図9にお
いて、t1以前、t2以後のU相電流の偏差が大きいこ
とからあきらかである。電流偏差が小さいのはスイッチ
ングしている相だけである。SU=1,SV=0,SW
=1の状態とSU=0,SV=0,SW=1の状態とが
交互に現れているがどちらの状態でも許容誤差領域外あ
る。 【0046】許容誤差領域は、スイッチング周波数を制
限するためにヒステリシスコンパレータ方式のヒステリ
シスに代わるものとして設けられた筈であるが、この場
合にはその役目を果たしていない。しかも電流偏差べク
トルとしては許容誤差円外にあるのだからあまり意味の
ない高周波スイッチングである。過渡現象で電流偏差が
一時的に増加したのなら、高周波スイッチングも一時的
であるが、高回転数で定常的に電流偏差が大きくなれば
高周波スイッチングが継続し、スイッチング損失を急激
に増大させる。 【0047】ヒステリシスコンパレータ方式であれば、
ヒステリシス幅でスイッチング周波数が制限されるので
このような事態は生じない。ヒステリシスコンパレータ
方式の許容誤差領域はもともと各相のコンパレータが持
つヒステリシスにあり、前記六角形領域、それに外接す
る小三角形領域等は、3相電圧形インバータの全体動作
で現れる結果としての許容誤差領域である。高回転数に
なって、これらの領域内に電流偏差を収めることができ
なくなっても、各相毎に有するヒステリシスでスイッチ
ング周波数を制限する。 【0048】即ち、iU>iU* +H/2でSUが一旦
0になると、次にSUが1になるのはiU<iU* −H
/2となったときのみである。従って、iUがH/2だ
け変化するのにかかる時間だけはスイッチングが禁止さ
れ、スイッチング周波数の上限が定められる。 【0049】 【発明が解決しようとする課題】ヒステリシスコンパレ
ータ方式のもつヒステリシスは低回転数域では許容誤差
領域変動により電流リップルの大きさを変化させてしま
うという弊害をもつが、高回転数域ではスイッチング周
波数を制限するという本来の役目を果たす。 【0050】単なる円形の許容誤差領域では高回転域で
電流偏差が完全に領域外に出てしまうような場合には、
スイッチング周波数を制限する機能を失ってしまう。そ
こで、本発明は、電動機の低回転数時のように、PWM
制御によって電流偏差を許容誤差領域内に収めるように
制御できる場合には、許容誤差領域の大きさが変化する
ことがなく、電動機の高回転数時のように、電流偏差を
許容誤差領域内に収めるように制御できない場合には素
子のスイッチング周波数を制限し、電動機の運転周波数
全域に亘り安定した制御を実現できるインバータ制御装
置を得ることを目的とする。 【0051】 【課題を解決するための手段】従って、上記目的を達成
するために、本発明は、多相交流電流の電流偏差が所定
条件を満たしていなければスイッチング要求を出力する
許容誤差判定手段と、スイッチング要求が与えられるご
とに電流偏差を減少させるべく出力電圧ベクトルを選択
して相当するPWM信号を出力する電圧ベクトル選択手
段とを有し、上記電圧ベクトル選択手段の出力するPW
M信号に基づいてインバータを制御するインバータ制御
装置において、各相毎に電流偏差が所定値以内であれば
許容し、所定値外であっても該相のPWM信号によって
は許容するヒステリシスを有する帯状の許容誤差領域と
相数だけ存在する上記帯状の許容誤差領域とが交差して
形成される星形多角形領域を少なくとも含むだけの半径
の円或いは径の多角形領域をも許容誤差領域とし、電流
偏差が許容誤差領域に含まれていることを上記所定条件
とする許容誤差判定手段とを備えたことを特徴とする。 【0052】このように構成された本発明においては、
半径Hの円或いは径Sの多角形領域に電流偏差が収まっ
ていれば、星形六角形領域の外部であっても許容誤差領
域とみなすので、電動機の低回転数時のように、電流制
御可能な運転領域では電流偏差のベクトルとしての大き
さの最大値が、半径H或いは径S以下になるように制御
される。電流リップルのベクトルとしての大きさが均一
に制御されるようになる。 【0053】電動機の高回転数時のように電流偏差を許
容誤差円内に収めることができなくなった場合には、各
相毎に半径H或いは径Sの幅で持たせた許容誤差領域に
よって、素子のスイッチング周波数が制限される。 【0054】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形
態のインバータ制御装置の構成を示している。図1にお
いて、1〜6U,6V,6W及び8U,8V,8Wは図
5と同一構成要素である。 【0055】図1に示すように、本発明の実施の形態の
インバータ制御装置は、減算器6U,6V,6Wが出力
する電流偏差ΔiU,ΔiV,ΔiWから、電流偏差が
所定許容誤差の範囲内であるか否かを判定し、その結果
をスイッチング要求(電圧ベクトルの更新要求)として
電圧ベクトル選択回路11に対して出力する許容誤差コ
ンパレータ10を有している。 【0056】電圧ベクトル選択回路11には、許容誤差
判定回路10の出力のほかに電流偏差ΔiU,ΔiV,
ΔiWも与えられている。電圧ベクトル選択回路11で
は、選択回路11内に保持する出力中の電圧ベクトル或
いは以前に出力した電圧ベクトルの情報と電流偏差とに
基づいて、電流偏差を許容範囲内とすべく電圧ベクトル
を選択している。 【0057】但し、許容誤差判定回路10からのスイッ
チング要求が電圧ベクトル選択回路11の選択動作の制
御信号として働き、スイッチング要求のない場合には、
選択動作を行わないか、選択しても結果の更新を行わな
い、などにより無駄なスイッチングを行わないPWM制
御装置とする。 【0058】図2は、本実施の形態の許容誤差コンパレ
ータ10の詳細図である。図2において、20は許容誤
差の設定値H、21は入力値の1/2を出力する倍率器
である。22U,22V,22W,22X,22Y,2
2Zはコンパレータであり、倍率器21の出力が一方の
入力に、電流偏差ΔiU,ΔiV,ΔiWのいずれかが
他方の入力に与えられている。コンパレータ22U,2
2V,22Wは、一方の入力として与えられる電流偏差
が他方入力として与えられる許容誤差設定H/2より大
きければ、論理値1を、さもなくば論理値0を出力す
る。 【0059】コンパレータ22X,22Y,22Zは、
一方の入力として与えられる電流偏差の値が負で、その
絶対値が、他方入力として与えられる許容誤差設定値H
/2よりも大きければ、論理値1を、さもなくば論理値
0を出力する。 【0060】23U,23V,23W,23X,23
Y,23Zはアンド回路であり、それぞれの一方の入力
としてはコンパレータ22U,22V,22W,22
X,22Y,22Zのうち対応するコンパレータの出力
信号が、他方の入力としては出力中のスイッチング信号
SU,SV,SWがアンド回路23X,23Y,23Z
にはそのまま、アンド回路23U,23V,23Wには
それぞれ否定論理回路24U,24V,24Wにて極性
反転した信号が与えられる。 【0061】アンド回路23U,23V,23W,23
X,23Y,23Zの出力はオア回路25に入力され、
すべての論理和を取られる。以上の構成要素20〜25
によって、従来のヒステリシスコンパレータ方式と等価
な許容誤差領域即ち図8の許容誤差領域を有する許容誤
差判定回路が構成される。 【0062】26U,26V,26Wは乗算器であり、
それぞれの二つの入力端子には電流偏差ΔiU,Δi
V,ΔiWのうち、対応する相の電流偏差がどちらにも
与えられるのでその出力は電流偏差の二乗値となる。乗
算器26U,26V,26Wの出力は加算器27にて3
相分が加算され、コンパレータ28の一方の入力として
与えられる。コンパレータ28の他方入力としては許容
誤差設定値Hを乗算器29にて二乗を取った値が与えられ
る。コンパレータ28は ΔiU2 +ΔiV2 +ΔiW2 >H2 のとき論理値1を、さもなくば論理値0を出力する。上
式の両辺の平方根をとれば、 SQRT(ΔiU2 +ΔiV2 +ΔiW2 )>H であり、コンパレータ28でおこなっているのは、電流
偏差ベクトルの大きさが半径Hの円形領域に収まるか否
かの判定である。コンパレータ25,28の出力はアン
ド回路30にてアンドをとられ最終的な許容誤差判定信
号として出力される。 【0063】図3は、本実施の形態の電圧ベクトル選択
回路11の一例である。電圧ベクトル選択回路11は、
電流偏差の状態に基づいて電圧ベクトルを選択して出力
する回路であって、従来例として示した改良方式の該当
部分のように、誘起電圧、出力中の電圧ベクトル、更に
は電圧ベクトルの出力履歴などを選択のために補助的に
用いてもよい。 【0064】図3は、最も簡単な電圧ベクトル選択回路
の例で、ヒステリシスコンパレータ方式のように電流偏
差のみから電圧ベクトルを選択する。図3において、4
0U,40V,40Wはゼロコンパレータであり、それ
ぞれの入力信号ΔiU,ΔiV,ΔiWをゼロ電圧と比
較し、ゼロよりも大きければ1、さもなくば0を出力す
る。41U,41V,41WはDラッチ回路であり、ゼ
ロコンパレータ40U,40V,40Wの出力がデータ
入力としてD入力端子に与えられる。 【0065】許容誤差判定回路10の出力信号CTL
が、Dラッチ回路41U,41V,41Wの制御入力端
子Gに与えられ、Dラッチ回路の動作を制御する。出力
信号CTLが1であれば、Dラッチ回路はデータ入力を
そのまま出力端子Qに出力する。出力信号CTLが1か
ら0に変化すると、Dラッチ回路は出力信号CTLの1
から0への変化時点におけるQ端子出力信号を保持す
る。Dラッチ回路41U,41V,41Wの出力がPW
M信号SU,SV,SWとして出力される。 【0066】図3の電圧ベクトル選択回路のゼロコンパ
レータ40U,40V,40Wが出力する電圧ベクトル
は、電流偏差ΔiU,ΔiV,ΔiWの状態を時間遅れ
なしに反映しているという点で、ヒステリシスコンパレ
ータ方式と異なっている。 【0067】次に、図1のPWM制御装置の動作を図
2、図3及び図4の許容誤差領域の図形に基づいて説明
する。図2の許容誤差判定回路が持つヒステリシスはヒ
ステリシスコンパレータ方式のヒステリシスを参考とし
て作られている。 【0068】ヒステリシスコンパレータ方式の構成を示
す図5において、ヒステリシスコンパレータ7Uは、電
流偏差ΔiUについて、−H/2<ΔiU<H/2の範
囲をヒステリシス幅として持ち、電流偏差ΔiUがこの
範囲を外れたときに動作する。 【0069】従って、ヒステリシスコンパレータ7Uの
出力SUが0であるときに、電流偏差ΔiUがH/2よ
り大きくなると出力SUは1に変化する。しかし、一度
SU=1となった後にΔiUが減少して−H/2<Δi
U<H/2の範囲にもどり、その後再度H/2より大き
くなった場合には、ヒステリシスコンパレータ7Uの出
力は、すでにSU=1であるから、不変である。 【0070】図2のアンド回路23Uの出力が1になる
のは、このヒステリシスコンパレータ7Uが動作して出
力が変化する場合に相当する電流偏差とPWM信号の組
み合わせ条件が成立するとき、即ちΔiU(=iU*
iU)がH/2より大きくてコンパレータ22Uが1を
出力しているときにPWM信号SUも0であるときのみ
である。PWM信号SUが1であればコンパレータ22
Uが1を出力してもアンド回路23Uの出力は1にはな
らない。 【0071】同様に、アンド回路23Xの出力が1にな
るのはΔiU(=iU* −iU)が−H/2より小さく
てコンパレータ22Xが1を出力しているときにPWM
信号SUが1の時のみである。これにより、電流偏差Δ
iUに関してオア回路25の出力が1になるのは、図5
のヒステリシスコンパレータ7Uの出力が変化する場合
と同じスイッチング状態と電流偏差状態との組み合わせ
が成立するときとなり、ヒステリシスコンパレータ方式
と同様なヒステリシスを持つことになる。V相、W相に
ついても同様である。 【0072】更に、乗算器26U,26V,26W、加
算器27、乗算器28、コンパレータ29によって電流
偏差のΔiU,ΔiV,ΔiWの合成ベクトルの長さが
半径Hを上回らなければ、アンド回路30の出力即ち許
容誤差コンパレータの出力は1とならないようにしてい
る。 【0073】図4のA点に電流偏差ベクトルがあるとす
る。A点は、−H/2<ΔiW<H/2であるから、ア
ンド回路23W、23Zの出力はいずれもゼロである。
しかしiU>iU* +H/2、つまりΔiU<−H/2
なのでSU=1であればアンド回路23Xの出力は1に
なる。 【0074】また、iV<iV* −H/2、つまりΔi
V>H/2なのでコンパレータ22Vの出力も1であ
り、SV=0であればアンド回路23Vの出力が1にな
る。電流偏差が星形六角形より大きくなっているのが、
インバータ出力電圧がゼロベクトルであるためだとする
と、SU=SV=SWだから、アンド回路23X,23
Vのどちらか一方は1である。 【0075】従って、オア回路25の出力は1となる。
従来のヒステリシスコンパレータ方式相当の許容誤差判
定であれば許容誤差領域外となり、電圧ベクトル選択回
路に対してスイッチング要求が与えられる電流偏差量で
ある。本発明ではコンパレータ29により、電流偏差ベ
クトルの長さがHより大きいかどうか、即ち図4の半径
Hの円内に入るか否かを判定している。A点は円内にあ
るからコンパレータ29の出力は0で、オア回路25が
1を出力してもアンド回路30の出力信号は0である。 【0076】従って、PWM信号は不変で、電流はそれ
までと同様な変化を続ける。電流偏差が半径Hの円の境
界上の点A´に達すると、コンパレータ29の出力が1
に変化して、アンド回路30からスイッチング要求が出
力される。 【0077】図3の電圧ベクトル選択回路のコンパレー
タ出力について考えると、電流ベクトルがA点、A´点
のどちらであってもiU>iU* 、つまりΔiU<0な
ので40Uが0,iV<iV* 、つまりΔiV>0なの
で40Vが1,iW>iW*、つまりΔiW<0なので
40Wが0である。従って、スイッチング要求が与えら
れると、Dラッチ回路41U,41V,41Wが動作し
てSU=0,SV=1,SW=0となる。 【0078】これにより、インバータを運転するとV相
のみ正電圧、U相、W相には負電圧が印加されるので、
V相電流を正方向に変化させる電圧ベクトルとなり、電
流は基準(座標の原点)方向へ変化してゆくことにな
る。 【0079】ヒステリシスコンパレータ方式相当の従来
方式であれば、A点は許容誤差領域外なので電圧ベクト
ル選択回路11に対してスイッチング要求が出されてい
たが、図2の判定回路ではAは許容誤差領域に含まれる
ので、スイッチング要求は電流偏差が半径Hの円上のA
´点に達するまで延期される。半径Hの円は従来のヒス
テリシスコンパレータ方式の星形六角形領域を含んでい
るので、ヒステリシスコンパレータ方式で星形六角形領
域に電流偏差を収めることができていたのであれば、本
方式により電流偏差を半径Hの円に収めることができ
る。電流リップルの3相の合成べクトルの長さがHに制
御されることになり、図7の従来例のように電流リップ
ルの大きさが変化することがなくなる。スイッチング周
波数の変動もヒステリシスコンパレータ方式より小さく
なる。 【0080】電圧ベクトル選択回路にヒステリシスを持
たせると、電流偏差の過去の状態に基づいて電圧ベクト
ルが選択されることになり、現在の電流偏差状態に基づ
いた場合とは異なるべクトルが選択される。これはヒス
テリシスコンパレータ方式のスイッチング周波数の割に
は電流リップルを小さくできないという欠点のーつの原
因でもあった。 【0081】本実施の形態では、電圧ベクトル選択回路
にはヒステリシスを持たせず、図2の許容誤差判定回路
の側にスイッチング条件を加味することによってヒステ
リシスを持たせている。 【0082】図3の回路は、コンパレータ40U,40
V,40Wの出力が変化しても許容誤差判定回路からス
イッチング要求が与えられないと、PWM信号SU,S
V,SWは変化しない。 【0083】図2の許容誤差判定回路からは、一旦、電
流偏差がiU>iU* +H/2となってSU=0となる
と、iU<iU* −H/2となるまではU相電流偏差に
よるスイッチング要求は出力されない。従って、図9の
ように、高回転域でスイッチング周波数が異常に上昇す
るのを避けることができる。しかも、電圧ベクトル選択
回路の方にはヒステリシスを持たせていないので、電圧
ベクトル選択は、許容誤差判定回路からスイッチング要
求が出された時点の電流偏差の最新の状態に基づいて行
われる。 【0084】このように構成された本実施の形態によれ
ば、許容誤差領域の変動がないので電流リップルの最大
値を一定値に制御でき、同時にスイッチング周波数の急
速な変動を軽減できる。これらにより、電動機のトルク
リップル・振動・騒音等が改善される。許容誤差領域の
広さの設定も容易になる。 【0085】また、スイッチング状態を加味して許容誤
差の判定にヒステリシスを持たせているので、スイッチ
ング周波数が制限され、異常な損失増大を避けることが
できる。 【0086】更に、円形の許容誤差領域とヒステリシス
幅による許容誤差領域との意図的な切換えは不要であ
り、電流偏差の大きさにより動作態様が自動的に切り替
わるので、電動機の広い運転周波数範囲全域にわたり使
用できる許容誤差判定回路を得ることができる。尚、本
実施の形態では、電動機の電流制御を例として説明して
きたが、本発明は電流瞬時値制御をおこなう電圧形PW
Mインバータ全般に適用可能である。 【0087】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電
動機の低回転数時のように、PWM制御によって電流偏
差を許容誤差領域内に収めるように制御できる場合に
は、許容誤差領域の大きさが変化することがなく、電動
機の高回転数時のように、電流偏差を許容誤差領域内に
収めるように制御できない場合には素子のスイッチング
周波数を制限し、電動機の運転周波数全域に亘り安定し
た制御を実現できるインバータ制御装置を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施の形態を示す概要構成図。 【図2】 図1に示した実施の形態の許容誤差コンパ
レータを示す詳細構成図。 【図3】 図1に示した実施の形態の電圧ベクトル選
択回路を示す詳細構成図。 【図4】 図2に示した許容誤差コンパレータによる
許容誤差領域を説明する図。 【図5】 ヒステリシスコンパレータ方式の制御回路
を示す概要構成図。 【図6】 ヒステリシスコンパレータ方式の動作原理
を説明する図。 【図7】 ヒステリシスコンパレータ方式による電流
制御のシミュレーション波形を示す図。 【図8】 ヒステリシスコンパレータ方式の許容誤差
領域を説明する図。 【図9】 ヒステリシスなしの場合の高周波スイッチ
ング現象を説明する図。 【符号の説明】 1…直流電源、2…フィルタコンデンサ、3…インバー
タ、U,V,W,X,Y,Z…スイッチング素子、4…
交流電動機、5U,5V,5W…電流検出器、6U,6
V,6W…減算器、7U,7V,7W…ヒステリシスコ
ンパレータ、8U,8V,8W…否定論理回路、10…
許容誤差コンパレータ、11…電圧ベクトル選択回路、
20…許容誤差の設定値H、21…倍率器、22U,2
2V,22W,22X,22Y,22Z…コンパレー
タ、23U,23V,23W,23X,23Y,23Z
…アンド回路、24U,24V,24W…否定論理回
路、25…オア回路、26U,26V,26W…乗算
器、27…加算器、28…コンパレータ、29…乗算
器、30…アンド回路、40U,40V,40W…ゼロ
コンパレータ、41U,41V,41W…Dラッチ回路

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 多相交流電流の電流偏差が所定条件を
    満たしていなければスイッチング要求を出力する許容誤
    差判定手段と、スイッチング要求が与えられるごとに電
    流偏差を減少させるべく出力電圧ベクトルを選択して相
    当するPWM信号を出力する電圧ベクトル選択手段とを
    有し、前記電圧ベクトル選択手段の出力するPWM信号
    に基づいてインバータを制御するインバータ制御装置に
    おいて、各相毎に電流偏差が所定値以内であれば許容
    し、所定値外であっても該相のPWM信号によっては許
    容するヒステリシスを有する帯状の許容誤差領域と相数
    だけ存在する前記帯状の許容誤差領域とが交差して形成
    される星形多角形領域を少なくとも含むだけの半径の円
    或いは径の多角形領域をも許容誤差領域とし、電流偏差
    が許容誤差領域に含まれていることを前記所定条件とす
    る許容誤差判定手段とを具備したことを特徴とするイン
    バータ制御装置。
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