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JP3470537B2 - 連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法

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JP3470537B2
JP3470537B2 JP00014997A JP14997A JP3470537B2 JP 3470537 B2 JP3470537 B2 JP 3470537B2 JP 00014997 A JP00014997 A JP 00014997A JP 14997 A JP14997 A JP 14997A JP 3470537 B2 JP3470537 B2 JP 3470537B2
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JP
Japan
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tundish
molten steel
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continuous casting
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俊夫 石井
典子 久保
淳 久保田
敬二 吉岡
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JFE Steel Corp
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  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンディッシュ内
に注入された溶鋼中の非金属介在物を安価に且つ確実に
除去することができる連続鋳造用タンディッシュにおけ
る介在物除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶鋼中の非金属介在物(以下、「介在
物」と記す)は、最終製品における表面疵等欠陥の発生
原因となるので、溶鋼中から極力分離して除去する必要
がある。従って、介在物の低減技術は連続鋳造法により
良質な鋳片を得るための重要な技術であり、従来から、
鋳型での磁場による流動制御に見られるように、種々の
対策が実施されてきた。
【0003】しかし、生産性向上のために鋳片引抜き速
度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内での介
在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求され
る品質の厳格化も加味されて、介在物の低減対策として
鋳型内に供給する以前に溶鋼の清浄性を向上させること
が極めて重要となっている。そのため、タンディッシュ
についても各種の介在物低減対策が提案されている。
【0004】例えば、特開平6−7904号公報(以
下、「先行技術1」と記す)には、タンディッシュ内溶
鋼に不活性ガスを吹き込み、ガス気泡により介在物を分
離・除去する方法が開示され、特開平7−132353
号公報(以下、「先行技術2」と記す)には、タンディ
ッシュ内に3つの堰を設け、これらの堰により介在物を
分離・除去する方法が開示され、又、特開平7−132
354号公報(以下、「先行技術3」と記す)には、タ
ンディッシュの底面を注入部と流出部とが深い凹凸形
状とすることで介在物を分離・除去する方法が開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、先行技術1で
は、ガス気泡による介在物低減効果は期待できるが、ガ
ス吹き込みを行なうための耐火物や設備が必要であり、
又、安定的にガス吹き込みを行なうためには保守・保全
も必要となり、これらの費用により製造コストが増加す
る。
【0006】又、先行技術2では、後述する溶鋼の循環
流領域の発生を堰により防止できるので介在物低減効果
は期待できるが、耐火物製の堰は消耗品のためタンディ
ッシュ耐火物のコストを上昇させると共に、更に、タン
ディッシュコストの削減を目的としたタンディッシュを
熱間のまま無補修で連続的に再使用する際には、人手で
は堰を設置できず、専用の設置用設備が必要となり、先
行技術1と同様に製造コストが増加する。
【0007】先行技術3では、タンディッシュ底面を凹
凸の激しい形状としているので後述する溶鋼の循環流領
域が発生し難く介在物の低減効果は優れているが、実際
の操業においては、鋳造終了時の注入部内の残溶鋼処理
の問題や、タンディッシュ耐火物施工上の問題、更には
溶鋼と耐火物との接触面積が多いことに起因する溶鋼の
熱損失の問題等、製造コストを上昇させる要因が多くあ
り現実的でない。
【0008】このように従来のタンディッシュにおける
介在物除去方法は、その効果は期待できるものの、介在
物の少ない鋳片を安価に製造することは困難である。
【0009】一方、発明者等は、実機において鋳片品質
と鋳造条件とを比較・検討して、従来は介在物の除去効
果が向上すると考えられた対策が必ずしも有効でないこ
とを確認した。即ち、従来のタンディッシュにおける介
在物除去の考え方は、タンディッシュ内に滞留する溶鋼
量(以下、「タンディッシュ内溶鋼滞留量」と記す)を
単位時間当たりにタンディッシュから鋳型に供給される
溶鋼量(以下、「溶鋼通過量」と記す)で除算して求め
られる平均滞留時間を、タンディッシュの大容量化によ
り延長させ、介在物の浮上時間を確保して除去するとい
うものである。しかし、実機においては平均滞留時間と
品質とは必ずしも比例関係にない。
【0010】そこで、数値解析によりタンディッシュ内
の溶鋼流動の調査を行ない、その結果、以下の事象が判
明した。
【0011】1.タンディッシュ内の溶鋼流動は、取鍋
から重力落下する注入流の慣性力による流れと、取鍋か
ら注入直後の溶鋼とタンディッシュ内に滞留する溶鋼と
の温度差に起因する対流と、タンディッシュ出口での鋳
型への供給流に起因する流れとが相互に且つ複雑に関連
して形成される。
【0012】2.タンディッシュ内には循環流領域、所
謂、死水領域が存在し、死水領域はタンディッシュ形状
や溶鋼温度、更に溶鋼通過量によって大きく左右され
る。
【0013】3.死水領域は停滞した領域であるので、
注入された溶鋼は死水領域を経由せずタンディッシュ出
口から排出される。そのため、死水領域の発生は、溶鋼
の実際のタンディッシュ内滞留時間(以下、「実滞留時
間」と記す)を減少させて、介在物の浮上・分離を阻害
する。
【0014】4.実滞留時間は死水領域の発生により平
均滞留時間より短くなる。 5.タンディッシュにおける介在物の除去効率を向上さ
せるためには、死水領域を減少させて有効滞留量(有効
滞留量とは、タンディッシュ内溶鋼滞留量から死水領域
の溶鋼量を除いた溶鋼量である)を増加させることが重
要である。
【0015】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、その目的とするところは有効滞留量を増加させて実
滞留時間を延長させることで、安価に且つ確実に介在物
を除去することができるタンディッシュにおける介在物
除去方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願第1の発明に係る連
続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法は、取
鍋から注入された溶鋼を鋳型に中継供給する連続鋳造用
タンディッシュにおいて、タンディッシュの溶鋼収容深
さを0.5mないし2.5m、タンディッシュの溶鋼収
容幅を0.5mないし2.0mとし、タンディッシュ内
溶鋼滞留量を1分間当たりの溶鋼通過量で除算した値が
12ないし20となるように、タンディッシュ内溶鋼滞
留量又は溶鋼通過量を制御することを特徴とするもので
ある。
【0017】又、本願第2の発明に係る連続鋳造用タン
ディッシュにおける介在物除去方法は、第1の発明の連
続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法におい
て、タンディッシュ内溶鋼滞留量が30トンないし10
0トンであることを特徴とするものである。
【0018】種々のタンディッシュ内溶鋼滞留量と溶鋼
通過量との条件下で、タンディッシュ内における3次元
の溶鋼流動をナビエ・ストークスの方程式を用いて数値
解析し、タンディッシュ内の溶鋼流動パターンを調査し
た。又、タンディッシュに注入される溶鋼に介在物を混
入させた数値解析も行い、介在物の浮上分離効率も合わ
せて調査した。尚、数値解析は、溶鋼通過量と同一の溶
鋼量をタンディッシュ内に注入し、タンディッシュ内溶
鋼滞留量を一定に保持する条件で行なった。
【0019】タンディッシュを大容量化してタンディッ
シュ内溶鋼滞留量を多くすると、問題になるのは前述し
た死水領域が大きくなることである。この死水領域は、
不活性な溶鋼であるので、実滞留時間を短くすることは
あっても、延長させる効果はなく、そして更に、溶鋼温
度低下の原因となる。数値解析の結果、この死水領域の
発生原因は以下の通りであることが分かった。
【0020】タンディッシュ内の溶鋼は、タンディッシ
ュ耐火物との伝導伝達とタンディッシュ内溶鋼表面での
放射伝達とにより冷却される。従って、タンディッシュ
内に注入された直後の溶鋼とタンディッシュに滞留する
溶鋼とには常に温度差があり、通常、注入された直後の
溶鋼は滞留する溶鋼に比べ5℃から10℃高い。この温
度差は、溶鋼の密度差を発生させる原因となり、そのた
め、タンディッシュに注入された直後の溶鋼は、周囲の
溶鋼より熱く軽いために浮力を受ける。
【0021】図2に、数値解析により得られた溶鋼通過
量が適正な条件でのタンディッシュ内の溶鋼流動パター
ンを模式的に示す。ロングノズルを介して取鍋から注入
された溶鋼は、タンディッシュ底部に衝突した後、取鍋
からの重力落下による慣性力でタンディッシュ出口に向
かって水平方向に流れようとするが、浮力の影響を受け
てタンディッシュ壁に沿って上昇する。そのため、溶鋼
は上昇しながらタンディッシュ出口に向かって流れ、そ
して、タンディッシュ出口付近ではタンディッシュ出口
に向けて下降し、タンディッシュ出口より鋳型内に供給
される。その際、溶鋼は粘性流体であるため、粘性によ
り随伴流が形成される。これは鋳型に供給する量以上の
溶鋼がタンディッシュ出口に向かう流れを形成すること
を意味する。しかしながら、タンディッシュ出口では必
要量しか流出しないために、粘性により発生した随伴流
の大部分は流出できずに取鍋からの溶鋼注入部方向に方
向転回して戻ることになる。即ち、これが循環流の原因
であり、死水領域がタンディッシュ底部に発生する。
【0022】又、この死水領域の発生に及ぼす溶鋼通過
量の影響を解析した結果は以下の通りである。
【0023】図3は、数値解析により得られた溶鋼通過
量が少ない条件でのタンディッシュ内の溶鋼流動パター
ンを模式的に示した図である。この場合は、取鍋からの
注入流量が少ないために、タンディッシュ底部に衝突し
た後、取鍋からの重力落下による慣性力でタンディッシ
ュ底部をタンディッシュ出口に向かって水平方向に流れ
ようとする流れが弱く、そのため、注入された溶鋼は溶
鋼温度差による浮力を受けて溶鋼表面側に上昇する。更
に、タンディッシュ出口に向かって水平方向に流れよう
とする流れは、タンディッシュ出口から溶鋼注入部方向
に流れる循環流に衝突して減衰してしまうために、結果
的にタンディッシュ底部の死水領域が非常に拡大する。
【0024】又、図4は、数値解析により得られた溶鋼
通過量が多すぎる条件でのタンディッシュ内の溶鋼流動
パターンを模式的に示した図である。この場合は、タン
ディッシュでの抜熱が相対的に小さくなるので浮力の影
響が小さく、又、注入流のタンディッシュ出口に向かう
水平方向への慣性力も大きいため、タンディッシュ底部
に衝突した溶鋼流はそのままタンディッシュ底部をタン
ディッシュ出口に向かう流れとなり、その結果、小さい
死水領域が溶鋼表面側に発生する。
【0025】このように、タンディッシュ内溶鋼滞留量
に対して溶鋼通過量が相対的に少ない場合には、死水領
域が拡大して有効滞留量が少なくなるため、実滞留時間
が短くなり、逆に、溶鋼通過量が相対的に多い場合に
は、死水領域は小さくなるので有効滞留量は多くなる
が、溶鋼通過量が多いので実滞留時間が短くなる。つま
り、タンディッシュ内溶鋼滞留量に応じて、適切な溶鋼
通過量が存在することが分かった。
【0026】介在物の浮上分離効率の調査結果から、死
水領域が小さく且つ実滞留時間を確保できるので、図2
の溶鋼流動パターンが最も介在物分離効率が良いことが
分かった。そして、タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分
間当たりの溶鋼通過量で除算した値を12ないし20と
すると、タンディッシュ内は図2に示す溶鋼流動パター
ンとなることが分かった。前記除算値が10未満では溶
鋼通過量が少なすぎ、20を超えると多くなり過ぎるた
めである。
【0027】又、介在物除去効率とタンディッシュ形状
との解析結果から、タンディッシュの溶鋼収容深さを
0.5mないし2.5m、タンディッシュの溶鋼収容幅
を0.5mないし2.0mとすると、介在物除去効率が
更に向上することが分かった。溶鋼収容深さが0.5m
未満では、タンディッシュ内溶鋼表面積が増加して溶鋼
の温度降下が大きくなり、又、2.5mを超えると介在
物の浮上距離が長くなり過ぎ、共に介在物の分離効率が
低下するからである。そして、溶鋼収容幅が0.5m未
満ではタンディッシュ耐火物との接触面積が増加して溶
鋼の温度低下が大きくなり、又、2.0mを超えるとタ
ンディッシュ内溶鋼滞留量が上限(100トン)のとき
でも必要な溶鋼収納長を確保できなくなり、共に介在物
の分離効率が低下するからである。
【0028】更に、本発明ではタンディッシュ内溶鋼滞
留量が30トンないし100トンであることが好まし
い。タンディッシュ内溶鋼滞留量が30トン未満では溶
鋼の絶対量が少なく、タンディッシュ耐火物への熱ロス
が大きくなって介在物の浮上性で不利となり、又、10
0トンを超える容量は現在の製鋼炉の炉容積に比較して
大きすぎ、耐火物コストが増加して現実的でないためで
ある。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。
図1は本発明を適用した連続鋳造用タンディッシュの概
要図であり、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図
である。
【0030】内面を耐火物で構築された直方体形状のタ
ンディッシュ1の上方には取鍋2が配置されており、取
鍋2内の溶鋼3は取鍋2の底部に設置したロングノズル
7を介してタンディッシュ1内の溶鋼注入部10に注入
される。注入された溶鋼3は、溶鋼収容深さをH、溶鋼
収容幅をW、溶鋼収容長をL、そして、タンディッシュ
内溶鋼滞留量をVとして、タンディッシュ1内に滞留す
る。
【0031】タンディッシュ1は、溶鋼収容深さ(H)
を0.5mないし2.5m、又、溶鋼収容幅(W)を
0.5mないし2.0mの範囲からそれぞれ任意の値を
選択して、その形状を決定する。その際に、タンディッ
シュ内溶鋼滞留量(V)が30トンないし100トンと
なるように、溶鋼収容深さ(H)、溶鋼収容幅(W)、
及び溶鋼収容長(L)を決めることが好ましい。
【0032】タンディッシュ1の底部には、溶鋼注入部
10の反対側にタンディッシュ出口5が設置されてお
り、タンディッシュ1内に注入された溶鋼3は、タンデ
ィッシュ出口5からタンディッシュ出口5に接続する浸
漬ノズル6を介し、1分間当たりの溶鋼通過量をQとし
て鋳型4内に供給され、次いで、鋳型4内で冷却されて
凝固し鋳片8が形成される。その際に、取鍋2からの1
分間当たりの溶鋼注入量(Q’)を溶鋼通過量(Q)に
略等しく制御して、タンディッシュ内溶鋼滞留量をVの
一定値となるように制御する。
【0033】溶鋼注入部10、及び、タンディッシュ出
口5のタンディッシュ1の長手方向の位置は、タンディ
ッシュ1の溶鋼収納長(L)に対し、それぞれのタンデ
ィッシュ側壁9、9aからの距離がL/5以内であるこ
とが好ましい。これは、タンディッシュ側壁9、9aか
らの距離がL/5を超える場合には、溶鋼注入部10と
タンディッシュ側壁9との間、及びタンディッシュ出口
5とタンディッシュ側壁9aとの間に死水領域が生成す
ることがあるためである。
【0034】そして鋳造中、タンディッシュ内溶鋼滞留
量(V)を1分間当たりの溶鋼通過量(Q)で除算した
値が12ないし20、好ましくは12ないし16となる
ようにタンディッシュ内溶鋼滞留量(V)又は1分間当
たりの溶鋼通過量(Q)を制御する。この除算した値が
12ないし16となる範囲が、後述するように、最も良
好な成績が得られるからである。
【0035】尚、図1に示すタンディッシュ1の形状は
直方体であるが、断面が台形の場合には、溶鋼収容幅
(W)は、最大幅が2.0m以下で、最小幅が0.5m
以上とすればよく、タンディッシュ1内で溶鋼収容深さ
(H)に差がある場合には、最も深い位置が2.5m以
下で、最も浅い位置が0.5m以上とすればよい。又、
図1に示すタンディッシュは単ストランドであるが、多
ストランドの場合にも同様に適用できることはいうまで
もない。
【0036】
【実施例】図1に示す直方体形状のタンディッシュにて
本発明を実施した。使用したタンディッシュは、溶鋼収
容深さ(H)及び溶鋼収容幅(W)が共に1.5m、溶
鋼収納長(L)が4.9mで、タンディッシュ内溶鋼滞
留量が77トンであり、ロングノズルからの溶鋼注入部
をタンディッシュ側壁から0.8mの位置に、又、タン
ディッシュ出口をタンディッシュ側壁から0.6mの位
置に設置した。そして、低炭素Alキルド鋼を、厚み2
50mm、幅1850mmの鋳片サイズで、単ストラン
ドで鋳造した。
【0037】鋳片引抜き速度を1.0m/min、1.
4m/min、1.8m/min、及び2.2m/mi
nの4条件とした。この鋳片引抜き速度から1分間あた
りの溶鋼通過量を鋳片比重を7.85として換算する
と、それぞれ3.63トン、5.08トン、6.54ト
ン、及び7.99トンとなり、タンディッシュ内溶鋼滞
留量を1分間あたりの溶鋼通過量で除算した値は、それ
ぞれ21.2、15.2、11.8、及び9.6とな
る。
【0038】これらの条件で鋳造した鋳片を薄鋼板に圧
延し、薄鋼板において介在物による表面欠陥を調査し
た。その結果を図5に示す。尚、本実施例においては、
品質評価を品質インデックスで表示し、この品質インデ
ックスは介在物による表面欠陥が少ないほど大きな値で
示している。図5に示すように、本発明の範囲内である
鋳片引抜き速度が1.4m/min(実施例)と1.8
m/min(実施例)の場合に品質評価が良好であり、
そして特に、鋳片引抜き速度が1.4m/minのとき
が、品質インデックスは10となり、良好であった。こ
れに対し本発明の範囲外である鋳片引抜き速度が1.0
m/min(比較例)と2.2m/min(比較例)の
場合は、品質インデックスは低く3程度であり、品質評
価が劣っていた。
【0039】上記を含め種々のタンディッシュ内溶鋼滞
留量と溶鋼通過量との条件で鋳造し、得られた鋳片を薄
鋼板に圧延して薄鋼板において介在物による表面欠陥を
調査して品質評価を行なった。図6は、タンディッシュ
内溶鋼滞留量を溶鋼通過量で除算した値を横軸に、品質
インデックスを縦軸にして、両者の関係を本発明の範囲
と比較例とでまとめて整理した結果である。図6に示す
ように、本発明の範囲は、品質インデックスが5より高
く良好であり、そして、本発明の範囲内でも特に前記除
算値が12から16の範囲が、安定して品質インデック
スが高く、最も良好であった。
【0040】図7は、連連鋳時の取鍋交換の際に鋳片引
抜き速度を1.0m/min(1分間当たりの溶鋼通過
量は3.63トン)に低下させた場合と、定常状態の
1.4m/min(1分間当たりの溶鋼通過量は5.0
8トン)の鋳片引抜き速度の場合とで、タンディッシュ
内溶鋼滞留量を変更して、前記品質インデックスの変化
を比較して示した図である。尚、図中の数字はタンディ
ッシュ内溶鋼滞留量を溶鋼通過量で除算した値である。
図7に示すように鋳片引抜き速度が1.4m/minの
場合には、タンディッシュ内溶鋼滞留量が77トンで最
も品質が良好であったが、鋳片引抜き速度が1.0m/
minの場合には、タンディッシュ内溶鋼滞留量を定常
状態より減少させて56トンとしたときが最も品質結果
が良好であった。
【0041】このように、鋳造速度が変更される場合に
は、その都度タンディッシュ内溶鋼滞留量を適正な範囲
に制御することで、品質が安定して良好な鋳片を製造す
ることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、堰の設置やガス吹き込
み等の介在物低減対策を施すことなく、単にタンディッ
シュ形状を介在物の分離・除去効率の良い形状とすると
共に、タンディッシュ内溶鋼滞留量と溶鋼通過量とを適
切な範囲に制御することで、介在物の除去効率を高める
ことができるので、介在物の少ない高品質の鋳片を安価
に安定して製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した連続鋳造用タンディッシュの
概要図であり、(a)は正面断面図、(b)は側面断面
図である。
【図2】数値解析により得られた溶鋼通過量が適正な条
件でのタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的に
示した図である。
【図3】数値解析により得られた溶鋼通過量が少ない条
件でのタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的に
示した図である。
【図4】数値解析により得られた溶鋼通過量が多すぎる
条件でのタンディッシュ内の溶鋼流動パターンを模式的
に示した図である。
【図5】タンディッシュ内溶鋼滞留量を一定として、鋳
片品質に及ぼす鋳片引抜き速度の影響を実施例と比較例
とで示した図である。
【図6】タンディッシュ内溶鋼滞留量を溶鋼通過量で除
算した値の品質に及ぼす影響を実施例と比較例とでまと
めて整理した図である。
【図7】本発明の実施例から、鋳片引抜き速度の変更に
より適切なタンディッシュ内溶鋼滞留量が変化すること
を示す図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ 2 取鍋 3 溶鋼 4 鋳型 5 タンディッシュ出口 6 浸漬ノズル 7 ロングノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 敬二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−55649(JP,A) 特開 平7−155911(JP,A) 日本鉄鋼協会講演論文集(材料とプロ セス),CAMP−ISIJ,Vol. 4(1991)、P.1322 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/10 310 B22D 11/11 B22D 43/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋から注入された溶鋼を鋳型に中継供
    給する連続鋳造用タンディッシュにおいて、タンディッ
    シュの溶鋼収容深さを0.5mないし2.5m、タンデ
    ィッシュの溶鋼収容幅を0.5mないし2.0mとし、
    タンディッシュ内溶鋼滞留量を1分間当たりの溶鋼通過
    量で除算した値が12ないし20となるように、タンデ
    ィッシュ内溶鋼滞留量又は溶鋼通過量を制御することを
    特徴とする連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除
    去方法。
  2. 【請求項2】 タンディッシュ内溶鋼滞留量が30トン
    ないし100トンであることを特徴とする請求項1に記
    載の連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方
    法。
JP00014997A 1997-01-06 1997-01-06 連続鋳造用タンディッシュにおける介在物除去方法 Expired - Fee Related JP3470537B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9752202B2 (en) 2012-05-14 2017-09-05 Posco High cleanliness molten steel production method and refining device

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本鉄鋼協会講演論文集(材料とプロセス),CAMP−ISIJ,Vol.4(1991)、P.1322

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