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JP3451411B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムの製造方法

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JP3451411B2
JP3451411B2 JP24721794A JP24721794A JP3451411B2 JP 3451411 B2 JP3451411 B2 JP 3451411B2 JP 24721794 A JP24721794 A JP 24721794A JP 24721794 A JP24721794 A JP 24721794A JP 3451411 B2 JP3451411 B2 JP 3451411B2
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heating
polyimide film
polyimide
polymer
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仁志 野尻
卓 伊藤
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Kaneka Corp
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続成形によりその幅
方向に特性の差異を生じやすい高分子フィルムの製造に
おいて、幅方向での特性の分布を均一にする高分子フィ
ルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子フィルムを製造する場合、高分子
樹脂が加熱により容易に溶融し、かつその加熱温度で変
質を生じない場合は、加熱により高分子樹脂を溶融さ
せ、直接フィルム状に成形する方法がとられることが多
い。ところが、高分子樹脂が加熱によって溶融しない
か、又は溶融させるには極端に高い温度が必要な場合、
あるいは反応性成分を含有しており加熱溶融により反応
が進行するような場合は、このような方法は不適切であ
る。このような場合には、かかる高分子樹脂を溶液状態
でダイキャスト法等の方法でフィルム状に成形した後、
該成形された高分子フィルムの両端を固定して加熱炉を
通過させて加熱することにより乾燥又は硬化を行うとい
う製造方法がとられる。その代表的な一例として、ポリ
イミドフィルムの製造方法を説明する。
【0003】ポリイミドフィルムを製造する場合は、ポ
リイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を
ダイキャスト法等の方法でフィルム状に成形した後、ポ
リイミドに転換してポリイミドフィルムを得るのである
が、一般的には、その転換方法として、熱的に脱水する
熱的方法と、脱水剤(硬化剤)を用いる化学的方法と、
両者を併用する方法の3種類がある。いずれの方法でも
ポリイミドフィルムを得ることができるが、取扱い性に
優れ、また生成するポリイミドフィルムの伸びや引張強
度等の機械特性の優れたものが得られる化学的方法と熱
的方法とを併用する方法が、工業的には好ましく用いら
れている。
【0004】より具体的にポリイミドフィルムの製造方
法を図面に基づいて説明すると、図3に示すように、ポ
リアミド酸の有機溶媒溶液に硬化剤等を攪拌混合した溶
液10をキャスティグダイ12からエンドレスベルト1
4の上に均一な厚さに流延塗布して成膜し、該成膜され
たポリアミド酸溶液の塗膜にエンドレスベルト14上で
熱風16を吹き付けるなどにより、自己支持性を有する
程度にまで加熱・乾燥を行う。このようにして自己支持
性が現れたフィルムは未硬化又は含溶剤状態でありグリ
ーンシートと呼ばれる。このグリーンシート18をエン
ドレスベルト14から引き剥がし、続いてその両端をピ
ンコンベア21を構成するピンシート20に突設された
ピン22にピンニング装置24により押しつけて、グリ
ーンシート18の両端をピン22に突き刺して固定し、
該両端が固定されたグリーンシート18を搬送しながら
加熱炉26内に導入する。そして、加熱炉26内で約1
00〜500℃まで徐々に加熱することにより、グリー
ンシート18をイミド化させてポリイミドフィルム28
を得ることができる。次いで、得られたポリイミドフィ
ルム28を徐冷炉30で室温までなだらかに降温させた
後、徐冷炉30から導出し、引き剥がし装置32でピン
22から取り外してフィルム巻取り装置34に巻き取る
のである。
【0005】上記工程において、製造ラインの長さをで
きるだけ小さくしたいとの要求から、従来は、グリーン
シート18の両端を固定した後速やかに加熱炉26内に
導入して、グリーンシート18の固定端と加熱炉26の
加熱開始端部までの距離(図中aで示す)をできるだけ
短くするのが通常であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に距離aが短く、グリーンシート18の両端を固定して
から加熱炉26で加熱されるまでが距離をおかずに行わ
れると、得られるポリイミドフィルムの特性がその中央
部と両端部で異なることがあった。特にフィルムの送り
方向に対して45°の角度方向の、線膨張係数・吸水膨
張率・弾性率等の特性が異なることが多かった。
【0007】このような特性が異なると、温度・湿度・
テンションなどのフィルムにかかる環境の変化によりフ
ィルムの寸法が非等方的に変化することになり、このフ
ィルムを用いた製品の設計上不都合が生じる。この場
合、その非等方的変化を計算した上で、設計を行うこと
も可能であるが、かかる特性はフィルムの幅方向におけ
る位置によってその程度が異なるため、フィルムの用い
る場所によって、寸法変化の起こり方が異なることにな
る。従って、このようにフィルムの特性がその中央部と
両端とで大きく異なると共通の設計では対応できず、結
果として製品の歩留まりを低下させる原因となる。ま
た、特に精密な寸法精度を要求される用途、例えば、回
路形成のベース材や記録媒体などでは大きな問題とな
る。
【0008】本発明者らは、このようにフィルムの中央
部と両端部での特性が異なる原因はフィルムの配向の異
方性が大きいことにあると考え、この異方性はフィルム
の幅方向における位置によってその程度が異なり、端部
では異方性が大きく、中央部ではおおむね等方的であ
り、加熱により進行するフィルム分子鎖の面内配向がフ
ィルム固定端の近くではいびつになっていることを見出
した。そして、このフィルム分子鎖の面内配向の差異が
フィルムの中央部と両端部における上記特性の差異の原
因であることに想到した。
【0009】そこで、本発明者らは、上記問題点を解決
すべく、このような面内配向が進行する機構を検討した
ところ、フィルムの両端を固定することによりフィルム
の乾燥や硬化により面方向に働く収縮力が抑えられ、こ
の収縮力が抑えられることにより面内配向が進行するこ
とを見出した。従って、フィルム固定端の近くでは非固
定部からの影響を受ける度合いが大きくなり、その結
果、フィルム固定端の近くでの配向の異方性が大きくな
り、面内配向がいびつになると考えられる。そこで、面
内配向を均一にするためには、非固定部からの影響を受
ける度合いを小さくする、すなわち、固定端の近くでは
面内配向を進めないようにすることが必要であり、その
ためにはフィルムの乾燥や硬化を進めない、すなわち、
加熱しないことが必要であることを見出した。そして、
配向の異方性を小さくしてフィルムの中央部と両端部で
の特性が異ならない高分子フィルムの製造方法を提供す
ることを目的に、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至っ
たのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、高分子樹脂が少なくとも揮発分を有するか、又は
加熱により収縮を伴う反応を生じうる状態で、該高分子
樹脂をフィルム状に成形した後、該成形された高分子フ
ィルムの両端を固定して加熱炉を通過させて加熱するこ
とにより乾燥又は硬化を行う連続的な高分子フィルムの
製造方法において、前記高分子フィルムがポリイミドフ
ィルムであり、かつ前記加熱開始端部とフィルム固定端
との距離をフィルム幅と同じ長さ以上に離すことを特徴
とするポリイミドフィルムの製造方法にある。
【0011】また、かかるポリイミドフィルムの製造方
法において、前記ポリイミドフィルムが、300kg/mm
2以上の引張弾性率を有するものであることにある。
【0012】更に、前記ポリイミドフィルムが、全ジア
ミン成分に対してパラフェニレンジアミンを25モル%
以上用いて合成されたものであることにある。
【0013】
【作用】本発明は、高分子樹脂が少なくとも揮発分を有
するか、又は加熱により収縮を伴う反応を生じうる状態
で、該高分子樹脂をフィルム状に成形した後、該成形さ
れた高分子フィルムの両端を固定して加熱炉を通過させ
て加熱することにより乾燥又は硬化を行う連続的な高分
子フィルムの製造方法において、前記高分子フィルムが
ポリイミドフィルムであり、かつ前記加熱開始端部とフ
ィルム固定端との距離をフィルム幅と同じ長さ以上に離
すことを特徴とする。高分子樹脂が少なくとも揮発分を
有するか、又は加熱により収縮を伴う反応を生じうる状
態で、該高分子樹脂をフィルム状に成形した後、該成形
された高分子フィルム(ポリイミドフィルム)の両端を
固定して加熱する製造方法をとる場合は、加熱の過程で
フィルム分子鎖の面内配向が進むことが前提となり、か
かる加熱過程での配向の異方性によりフィルムの特性が
決定されることとなる。
【0014】そこで、かかる製造方法において、加熱開
始端部とフィルム固定端との距離をフィルム幅と同じ長
さ以上に離すことにより、フィルムの固定端の近くは加
熱されず、フィルムの固定端の近くでの乾燥や硬化を進
めないようにして面内配向を進めないようにすることが
できる。上記製造方法によりフィルムを製造する場合、
加熱過程におけるフィルムの乾燥や硬化により面方向に
収縮力が働くが、フィルムの両端を固定することによ
り、この収縮力が抑えられて加熱過程での面内配向が進
行する。そのため、固定端の近くを加熱しないようにし
て固定端の近くでの面内配向を進めないようにすること
により、非固定部からの影響を受ける度合いが小さくな
り、その結果、特に端部近くでの面内配向の異方性が小
さくなる。すなわち、面内配向を均一にしてフィルムの
中央部と両端部での線膨張係数・吸水膨張率・弾性率等
の特性の差異を小さくすることができる。
【0015】なお、この加熱過程での面内配向が強く進
む構造であるほど、またその配向が特性に与える影響が
大きいほど、本発明の効果は大きい。加熱過程での配向
が強く進み、またその特性への影響が大きい高分子と
は、例えば直線性の高い高分子であり、言い換えればフ
ィルムとして引張弾性率の高いものである。詳しくは、
本発明は引張弾性率が300kg/mm2以上のポリイミド
フィルムを製造する場合に適用することにより大きな効
果を得ることができる。
【0016】また、直線性が高くても、加熱溶融により
直接フィルム状に加工可能な場合には、フィルムを固定
して加熱することによる乾燥や硬化を行う工程を必要と
しないため、フィルムの固定端での面内配向がいびつに
なるようなことはなく、本発明の効果は必要としない。
直線性が高く、熱溶融による加工が不可能な高分子フィ
ルムとしては、ポリイミドフィルムがその代表であり、
特に本発明の効果が大きい。ポリイミドフィルムの中で
も効果の度合いはその構造により異なり、極めて高い直
線性を発現するパラフェニレンジアミンを全ジアミンに
対して、25モル%以上用いて合成したポリイミドから
なるフィルムを製造する場合に、より高い効果が期待で
きる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明に係るポリイミドフィルムの
製造方法の実施例を図面に基づいて説明する。なお、こ
こでいうフィルムとは厚み数μの薄膜から厚さ数mmのシ
ートまでを含むものであり、本発明は、高分子樹脂が揮
発分を有するか、又は加熱により収縮を伴う反応を生じ
得る状態で、該高分子樹脂をフィルム状に成形した後、
該成形された高分子フィルムの両端を固定して加熱炉を
通過させて加熱することにより乾燥又は硬化を行う連続
的なフィルムの製造方法によって製造されるポリイミド
フィルムの製造に適用される。これは、本発明に係る
造方法が、加熱の過程でフィルムの分子鎖の面内配向が
進むことが前提となるフィルムに適用されることを意味
している。換言すると、本発明は、かかる製造工程の加
熱過程において生じる高分子フィルムの分子鎖の面内配
向の異方性を小さくするための方法であると言える。
【0018】かかるポリイミドフィルムを製造する場合
は、まず、溶液状態でダイキャスト法等の方法でフィル
ム状に成形した後、エンドレスベルトあるいはドラムな
どの支持体上で、自己支持性がでるまで加熱・乾燥を行
う。その後、かかる自己支持性フィルム(グリーンシー
ト)を支持体から引き剥がし、続いてフィルムの両端を
ピンやクリップで固定してフィルムを搬送しながら、加
熱炉を通すことで、最終的なフィルムを得る。
【0019】かかる製造方法について、その連続的な製
造方法の一例を例に挙げて具体的に説明する。図1に示
すように、まず、ポリアミド酸の有機溶媒溶液に硬化剤
等を攪拌混合した溶液10をキャスティグダイ12から
エンドレスベルト14の上に均一な厚さに流延塗布して
成膜する。そして、該成膜されたポリアミド酸の溶液1
0の塗膜にエンドレスベルト14上で熱風を吹き付ける
などの方法で、該塗膜が自己支持性を有する程度にまで
加熱・乾燥を行い、エンドレスベルト14から引き剥が
してグリーンシート18を得る。この際、エンドレスベ
ルト14上に成膜されたポリアミド酸溶液の塗膜が自己
支持性を有する程度にまで乾燥させられればよく、60
〜150℃程度で約2〜20分間加熱すればよい。
【0020】続いて、このエンドレスベルト14から引
き剥がされたグリーンシート18の両端をピン22で固
定し、図面上でa(フィルム固定端から加熱開始端部ま
での距離)≧b(フィルム幅)となるように搬送して加
熱炉26内に導入する。詳しくは、ピン22はピンシー
ト20の上に多数突設してあり、該ピンシート20を互
いに連接させてエンドレスのピンコンベア21を形成
し、1対のピンコンベア21がフィルム幅に相対向して
配設されている。かかるピンコンベア21(ピンシート
20)に突設されたピン22に、グリーンシート18の
両端をピンニング装置24によって突き刺して固定し、
両端が固定されてから加熱炉26に導入されるまでの距
離aがフィルム幅bと同じ長さ以上になるように、該両
端が固定されたグリーンシート18を搬送した後、加熱
炉26内に導入するのである。そして、加熱炉26内に
おいて、約100〜500℃まで徐々に加熱することに
より、グリーンシート18がイミド化されてポリイミド
フィルムが得られるのである。その後、図は省略する
が、得られたポリイミドフィルムを、従来と同様に徐冷
炉で徐々に室温にまで降温した後、ピンから取り外して
巻取り装置で巻き取るようにすればよい。
【0021】なお、図1においてはピンコンベア21と
して、ピンシートの連接されたピンコンベアが鉛直面内
で回転駆動させられる縦型のものを示したが、ピンコン
ベアは横型、すなわちピンシートの連接されたピンコン
ベアが平面的に移動するように構成された形式のもので
あってもよい。かかる構成により、加熱等によるフィル
ムの拡縮に合わせてピンコンベアの幅を容易に調整する
ことができ、搬送中にフィルムがピンから外れたり、フ
ィルムが弛んだりするのを防ぐことができる。その他、
グリーンシートを固定して搬送する手段としてピンでは
なくクリップで固定するようにしてもよく、その態様は
特に限定されず、種々なる改良、変更、修正を加えた態
様で実施しうるものである。
【0022】ここで、グリーンシートとは未硬化又は含
溶剤状態のフィルムのことであり、かかるグリーンシー
トは、加熱炉26において加熱することによりイミド化
されてポリイミドフィルムとなる。本発明では、その加
熱過程において上述のように固定端から加熱開始端部ま
での距離(図中、a)をフィルム幅(図中、b)と同じ
長さ以上に離すことにより、固定端の近くでのフィルム
の乾燥や硬化を進めないようにし、固定端の近くでの面
内配向を進めないようにしている。フィルムの固定端の
近くでの面内配向を進めないようにすることにより、端
部が固定されていない自由な状態の非固定部cからの影
響を受ける度合いが小さくなり、その結果、加熱により
進行するフィルムの面内配向の異方性を小さくすること
ができるのである。これは、フィルムの乾燥や硬化を行
う際に両端を固定することによって、乾燥や硬化により
面方向に働く収縮力が抑えられて固定端の近くでの面内
配向が進行するという知見に基づくものである。
【0023】なお、かかる製造方法において用いられる
ポリアミド酸の有機溶媒溶液は、従来公知の方法で有機
ジアミン成分と有機テトラカルボン酸二無水物とを、例
えばN,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒中で反応さ
せることにより得られるものであり、その構造は特に限
定されない。但し、本発明の効果の度合いはポリイミド
の構造により異なるものであり、例えば、極めて高い直
線性を発現するパラフェニレンジアミンを全ジアミン成
分に対して、25モル%以上用いて合成したポリイミド
からなるフィルムを製造する場合には、より高い効果が
期待できる。
【0024】また、ここでいう硬化剤等とは、ポリアミ
ド酸をイミド化させるためのもので、硬化剤単独又は硬
化剤と触媒との混合物によって構成される。かかる硬化
剤や触媒としては、従来、ポリイミドの合成において一
般に用いられているものを用いることができ、例えば硬
化剤としては無水酢酸が、触媒としてはイソキノリンが
好ましく用いられる。なお、熱的方法によりポリイミド
フィルムを製造してもよく、その場合は硬化剤等を攪拌
混合させる必要はないが、特には、取扱い性に優れ、又
生成するポリイミドフィルムの伸びや引張強度等の機械
特性の優れたものが得られることから、硬化剤等を用い
る方が好ましい。
【0025】このようにして得られたポリイミドフィル
ムは、特に端部近くでの配向の異方性が小さく、フィル
ムの幅方向での特性、主として線膨張係数・吸水膨張率
・弾性率等の特性の分布が均一となり、フィルムを加工
する際のフィルムの取り位置により寸法変化率が異なる
という従来の問題を解決するものである。
【0026】以上、本発明に係るポリイミドフィルムの
製造方法の1実施例について説明したが、本発明は、加
熱の過程でフィルムの分子鎖の面内配向が進むことが前
提となるフィルムであれば、ポリイミドフィルム以外の
高分子フィルムにも適用され得るものである。なお、加
熱溶融により直接フィルム状に加工可能な場合には加熱
過程での面内配向の問題が生じないため、本発明の製造
方法は、熱溶融による加工が不可能な高分子フィルムに
適用されることとなる。
【0027】具体的には、本発明の製造方法が適用され
る高分子フィルムとしては、芳香族ポリイミドをはじ
め、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、ポリベン
ゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾイ
ミダゾール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポ
リエーテルエーテルケトン、その他の液晶性高分子、各
種ラダーポリマー等のフィルムが例としてあげられる。
これらの高分子フィルムは、直線性が高い、換言すると
300kg/mm2以上の高い引張弾性率を有する高分子フ
ィルムであり、加熱過程での面内配向が強く進み、また
その配向が特性に与える影響が大きい高分子であるた
め、本発明の製造方法により大きな効果を得ることがで
きる。
【0028】以上、本発明に係る製造方法の実施例を説
明したが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で当
業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加え
た態様で実施しうるものである。
【0029】以下に実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例によって限定される
ものではない。
【0030】実施例 1 ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニ
ルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で2/1
/1の比率でN,N−ジメチルホルムアミド溶媒下、固形
分が18%になるように重合した。この重合体溶液を約
0℃に冷却した上で、溶液重量に対し、10wt%の無水
酢酸と、10wt%のイソキノリンを加え、充分に攪拌し
た後、ダイより押出して、乾燥後幅約1m、厚み約75
μになるようにエンドレスベルト上に引き取った。エン
ドレスベルト上で100℃で約6分間加熱した後、この
自己支持性を有した固形分濃度が約50%のグリーンシ
ートを引き剥がし、続いて、シートの両端を連続的にシ
ートを搬送するピンシートに固定した。そして、ピンシ
ートに固定してから約2m搬送したところで、150℃
の加熱炉に導入し、4分間加熱し、引き続いて300
℃、450℃の加熱炉に導入し、各加熱炉で2分ずつ加
熱を行った。その後、冷却炉で室温までなだらかに降温
し、炉から出したところでピンから引き剥がし、ポリイ
ミドフィルムを製造した。ピンに固定してから引き剥が
すまで一貫して連続的に両端を固定した状態でフィルム
を2m/分で搬送した。
【0031】得られたポリイミドフィルムを、フィルム
搬送方向に向かって右側のピン固定位置から内側に5cm
の部分と、中央部の2ヶ所についてサンプリングし、面
内配向状態と図2に示した4方向の線膨張係数を測定し
た。面内配向状態の測定には、KSシステムズ(株)製
マイクロ波分子配向計MOA2012A型を用い、異方
性の指標であるMOR値で評価し(MORが1.0に近
いほど等方的である)、その結果を表1に示した。フィ
ルムの線膨張係数は理学電機製TMA8140により測
定し、その結果を表2に示した。なお、線膨張係数は、
100〜200℃の値である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】実施例 2 ピンシートに固定してから150℃の加熱炉に入れるま
での搬送距離を1mとした以外は実施例1と同様にして
ポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミドフ
ィルムについて実施例1と同様の測定を行い、その結果
を表1、表2に示した。
【0035】比較例 1 ピンシートに固定してから150℃の加熱炉に入れるま
での搬送距離を10cmとした以外は実施例1と同様にし
てポリイミドフィルムを製造した。得られたポリイミド
フィルムについて実施例1と同様の測定を行い、その結
果を表1、表2に示した。
【0036】
【発明の効果】本発明は、熱溶融による加工が不可能
で、高分子樹脂が揮発分を有するか、又は加熱により収
縮を伴う反応を生じうる状態で、該高分子樹脂をフィル
ム状に成形した後、該成形された高分子フィルム両端を
固定して加熱炉を通過させて加熱することにより乾燥又
は硬化を行う連続的な高分子フィルムの製造方法におい
て、前記高分子フィルムをポリイミドフィルムとし、か
加熱開始端部とフィルム固定端との距離をフィルム幅
と同じ長さ以上に離すことにより、加熱によるフィルム
の面内配向の進行に際し、非固定部からの影響を受ける
度合いを小さくし、その結果、特に端部近くでの配向の
異方性が小さくすることができる。
【0037】その結果、フィルムの配向主軸とこれに対
し90℃方向とで、主として線膨張係数・吸水膨張率・
弾性率等の特性の差異が小さくなり、温度・湿度・テン
ションなどのフィルムにかかる環境の変化によるフィル
ムの寸法変化率が小さくなる。従って、フィルム取り位
置による特性のばらつきが少なくなり、結果としてフィ
ルムを用いた製品の歩留まりを向上させることができ、
精密な寸法精度が要求される用途にも好適に用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明するためにポリイミド
フィルムの製造工程の一部を示した斜視図である。
【図2】フィルムの線膨張係数を測定した方向を示した
説明図である。
【図3】ポリイミドフィルムの製造工程を示した概略図
である。
【符号の説明】
10;ポリアミド酸の有機溶媒溶液に硬化剤を攪拌混合
した溶液 12;キャスティグダイ 14;エンドレスベルト 16;熱風 18;グリーンシート 20;ピンシート 21;ピンコンベア 22;ピン 24;ピンニング装置 26;加熱炉 28;ポリイミドフィルム 30;徐冷炉 32;引き剥がし装置 34;フィルム巻取り装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 79:08 C08L 79:08 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 C08J 7/00 B29C 41/00 - 41/52 B29C 71/00 - 71/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子樹脂が少なくとも揮発分を有する
    か、又は加熱により収縮を伴う反応を生じうる状態で、
    該高分子樹脂をフィルム状に成形した後、該成形された
    高分子フィルムの両端を固定して加熱炉を通過させて加
    熱することにより乾燥又は硬化を行う連続的な高分子フ
    ィルムの製造方法において、前記高分子フィルムがポリ
    イミドフィルムであり、かつ前記加熱開始端部とフィル
    ム固定端との距離をフィルム幅と同じ長さ以上に離すこ
    とを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリイミドフィルムが、300kg/
    mm2以上の引張弾性率を有するものであることを特徴と
    する請求項1に記載するポリイミドフィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記ポリイミドフィルムが、全ジアミン
    成分に対してパラフェニレンジアミンを25モル%以上
    用いて合成されたものであることを特徴とする請求項1
    又は2に記載するポリイミドフィルムの製造方法。
JP24721794A 1994-09-13 1994-09-13 ポリイミドフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP3451411B2 (ja)

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