JP3442817B2 - ゼオライト組成物の製造方法 - Google Patents
ゼオライト組成物の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、石炭を原料としたゼ
オライト組成物の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電力需要の増大とエネルギーコスト低減
のため、石炭焚ボイラによる発電は今後増大していくこ
とが予想されている。石炭中には未燃の灰分が多少なり
とも含まれており、これが燃焼したあと石炭灰(フライ
アッシュ)として残る。石炭焚発電所の増加に伴って排
出される石炭灰も多量なものとなり、その処理が社会的
な問題となっている。 【0003】石炭灰は現在海上あるいは陸上での埋立や
セメントの原料として主に用いられている。その他の利
用としては無水石コウとの配合による硬化体を得る方法
(特開昭53−27619号)も示されている。また、
特開昭64−24014号,特開平2−221114号
には、石炭灰を原料に、より付加価値の高いゼオライト
を合成する方法が示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術によれば、石炭灰の組成によっては必ずしも十分なゼ
オライト化ができず、特に石炭灰中のAl2 O3 が結晶
質のムライトとして存在する場合にはゼオライト化が進
行しにくい。 【0005】この発明はこうした事情を考慮してなされ
たもので、従来と比べ、ゼオライト化しにくい石炭灰も
十分なゼオライト化が可能であり、石炭灰の種類に関係
なく付加価値の高いゼオライトを合成することができる
ゼオライト組成物の製造方法を提供することを目的とす
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明は、石炭灰とN
a2CO3,NaOH,K2CO3,KOHの中の少な
くとも一種以上のアルカリ成分を混合し、更にこの混合
物を加熱溶融させた後、加熱処理し、前記アルカリ成分
の混合量が石炭灰中のSiO 2 含有量に対してモル比で
0.5〜1.5であり、かつ加熱溶融温度が1000℃
以上であることを特徴とするゼオライト組成物の製造方
法である。 【0007】 【0008】 【作用】この発明によれば、石炭灰中のAl2 O3 ,S
iO2 がムライトやα−石英などの結晶としてどのよう
な割合で存在しても、十分なゼオライト化が進行する。
この理由は、予め石炭灰をNa2 O3 などのアルカリ成
分と混合溶融することによって、石炭灰中に存在するム
ライト,α−成分などの結晶が消失し、ゼオライト化が
進行し易い霞石,カーネギー石等の鉱物に変化するため
と思われる。 【0009】 【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。 (実施例1〜3)石炭焚ボイラから採取した下記「表
1」の化学組成の石炭灰30gにNa2 CO3 を各々1
7.6g,35.2g,52.8g加えて混合し、電気
炉内で1000℃×1時間溶融した。その後、溶融物を
冷却粉砕し水をH2 O/Na2 Oモル比で50になるよ
うに加え、オートクレーブ内で100℃×24時間加熱
処理を行った。処理後の生成物を濾過,水洗,乾燥し、
ゼオライト組成物A(実施例1),ゼオライト組成物B
(実施例2),ゼオライト組成物C(実施例3)を得
た。 【0010】 【表1】 【0011】(比較例)表1の石炭灰30gを3NのN
aOH300mlに投入し、オートクレーブ内で3Kg/
cm2 の圧力になるように加熱し5時間処理した。処理後
の生成物を濾過,水洗,乾燥し、ゼオライト組成物Dを
得た。 【0012】実施例1〜3及び比較例1で得られたゼオ
ライト組成物A,B,C,Dについてその鉱物組成をX
線回折によって同定した。X線回折パターンを図1〜図
4に示した。ここで、図1〜図4において、横軸は回折
角2θ(゜)であり、縦軸は回折X線強度(cps:co
unt per second)である。また、図中のムライト,α−
SiO2 (石英)は石炭灰にもともと含まれる鉱物種で
ある。また、NH4 Cl水溶液を用いてNH4 + イオン
交換を行い、ゼオライト組成物A,B,C,Dのイオン
交換容量( meq/g )を求めた。その結果を、下記「表
2」に示す。 【0013】 【表2】 【0014】図1〜図4により、比較例のゼオライト組
成物Dにはムライトやα−SiO2が残存しているが、
実施例1,2,3のゼオライト組成物A,B,Cにはそ
れは見られず、ガロナイト,アナルサイムなどのゼオラ
イトがよく生成している。また、表2より、実施例1,
2,3のゼオライト組成物A,B,Cは比較例のゼオラ
イト組成物に比べて大きなイオン交換容量があり、優れ
ていることが分かる。 【0015】 【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
従来と比べ、ゼオライト化しにくい石炭灰も十分なゼオ
ライト化が可能であり、石炭灰の種類に関係なく付加価
値の高いゼオライトを合成することができる有益なゼオ
ライト組成物の製造方法を提供できる。
オライト組成物の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】電力需要の増大とエネルギーコスト低減
のため、石炭焚ボイラによる発電は今後増大していくこ
とが予想されている。石炭中には未燃の灰分が多少なり
とも含まれており、これが燃焼したあと石炭灰(フライ
アッシュ)として残る。石炭焚発電所の増加に伴って排
出される石炭灰も多量なものとなり、その処理が社会的
な問題となっている。 【0003】石炭灰は現在海上あるいは陸上での埋立や
セメントの原料として主に用いられている。その他の利
用としては無水石コウとの配合による硬化体を得る方法
(特開昭53−27619号)も示されている。また、
特開昭64−24014号,特開平2−221114号
には、石炭灰を原料に、より付加価値の高いゼオライト
を合成する方法が示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術によれば、石炭灰の組成によっては必ずしも十分なゼ
オライト化ができず、特に石炭灰中のAl2 O3 が結晶
質のムライトとして存在する場合にはゼオライト化が進
行しにくい。 【0005】この発明はこうした事情を考慮してなされ
たもので、従来と比べ、ゼオライト化しにくい石炭灰も
十分なゼオライト化が可能であり、石炭灰の種類に関係
なく付加価値の高いゼオライトを合成することができる
ゼオライト組成物の製造方法を提供することを目的とす
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明は、石炭灰とN
a2CO3,NaOH,K2CO3,KOHの中の少な
くとも一種以上のアルカリ成分を混合し、更にこの混合
物を加熱溶融させた後、加熱処理し、前記アルカリ成分
の混合量が石炭灰中のSiO 2 含有量に対してモル比で
0.5〜1.5であり、かつ加熱溶融温度が1000℃
以上であることを特徴とするゼオライト組成物の製造方
法である。 【0007】 【0008】 【作用】この発明によれば、石炭灰中のAl2 O3 ,S
iO2 がムライトやα−石英などの結晶としてどのよう
な割合で存在しても、十分なゼオライト化が進行する。
この理由は、予め石炭灰をNa2 O3 などのアルカリ成
分と混合溶融することによって、石炭灰中に存在するム
ライト,α−成分などの結晶が消失し、ゼオライト化が
進行し易い霞石,カーネギー石等の鉱物に変化するため
と思われる。 【0009】 【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。 (実施例1〜3)石炭焚ボイラから採取した下記「表
1」の化学組成の石炭灰30gにNa2 CO3 を各々1
7.6g,35.2g,52.8g加えて混合し、電気
炉内で1000℃×1時間溶融した。その後、溶融物を
冷却粉砕し水をH2 O/Na2 Oモル比で50になるよ
うに加え、オートクレーブ内で100℃×24時間加熱
処理を行った。処理後の生成物を濾過,水洗,乾燥し、
ゼオライト組成物A(実施例1),ゼオライト組成物B
(実施例2),ゼオライト組成物C(実施例3)を得
た。 【0010】 【表1】 【0011】(比較例)表1の石炭灰30gを3NのN
aOH300mlに投入し、オートクレーブ内で3Kg/
cm2 の圧力になるように加熱し5時間処理した。処理後
の生成物を濾過,水洗,乾燥し、ゼオライト組成物Dを
得た。 【0012】実施例1〜3及び比較例1で得られたゼオ
ライト組成物A,B,C,Dについてその鉱物組成をX
線回折によって同定した。X線回折パターンを図1〜図
4に示した。ここで、図1〜図4において、横軸は回折
角2θ(゜)であり、縦軸は回折X線強度(cps:co
unt per second)である。また、図中のムライト,α−
SiO2 (石英)は石炭灰にもともと含まれる鉱物種で
ある。また、NH4 Cl水溶液を用いてNH4 + イオン
交換を行い、ゼオライト組成物A,B,C,Dのイオン
交換容量( meq/g )を求めた。その結果を、下記「表
2」に示す。 【0013】 【表2】 【0014】図1〜図4により、比較例のゼオライト組
成物Dにはムライトやα−SiO2が残存しているが、
実施例1,2,3のゼオライト組成物A,B,Cにはそ
れは見られず、ガロナイト,アナルサイムなどのゼオラ
イトがよく生成している。また、表2より、実施例1,
2,3のゼオライト組成物A,B,Cは比較例のゼオラ
イト組成物に比べて大きなイオン交換容量があり、優れ
ていることが分かる。 【0015】 【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
従来と比べ、ゼオライト化しにくい石炭灰も十分なゼオ
ライト化が可能であり、石炭灰の種類に関係なく付加価
値の高いゼオライトを合成することができる有益なゼオ
ライト組成物の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係るゼオライト組成物の
X線回折パターンの特性図。 【図2】この発明の実施例2に係るゼオライト組成物の
X線回折パターンの特性図。 【図3】この発明の実施例3に係るゼオライト組成物の
X線回折パターンの特性図。 【図4】従来に係るゼオライト組成物のX線回折パター
ンの特性図。
X線回折パターンの特性図。 【図2】この発明の実施例2に係るゼオライト組成物の
X線回折パターンの特性図。 【図3】この発明の実施例3に係るゼオライト組成物の
X線回折パターンの特性図。 【図4】従来に係るゼオライト組成物のX線回折パター
ンの特性図。
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フロントページの続き
(72)発明者 藤田 浩
広島県広島市西区観音新町四丁目6番22
号 三菱重工業株式会社広島研究所内
(56)参考文献 特開 昭57−34018(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C01B 39/02
JICSTファイル(JOIS)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 石炭灰とNa2CO3,NaOH,K2
CO3,KOHの中の少なくとも一種以上のアルカリ成
分を混合し、更にこの混合物を加熱溶融させた後、加熱
処理し、前記アルカリ成分の混合量が石炭灰中のSiO
2 含有量に対してモル比で0.5〜1.5であり、かつ
加熱溶融温度が1000℃以上であることを特徴とする
ゼオライト組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12697193A JP3442817B2 (ja) | 1993-05-28 | 1993-05-28 | ゼオライト組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12697193A JP3442817B2 (ja) | 1993-05-28 | 1993-05-28 | ゼオライト組成物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06340417A JPH06340417A (ja) | 1994-12-13 |
JP3442817B2 true JP3442817B2 (ja) | 2003-09-02 |
Family
ID=14948432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12697193A Expired - Fee Related JP3442817B2 (ja) | 1993-05-28 | 1993-05-28 | ゼオライト組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3442817B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109705918A (zh) * | 2017-10-25 | 2019-05-03 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种改善煤灰熔融特性的复合助熔剂及其制备方法和应用 |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6027708A (en) * | 1998-09-08 | 2000-02-22 | Council Of Scientific & Industrial Research | Process for the synthesis of flyash based zeolite-Y |
JP4988187B2 (ja) * | 2005-11-14 | 2012-08-01 | 隆昌 和嶋 | ゼオライトの製造方法 |
JP6552728B2 (ja) | 2016-12-13 | 2019-07-31 | 旭化成株式会社 | Gis型ゼオライト |
EP3712112A4 (en) | 2018-04-16 | 2021-03-31 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | GIS TYPE ZEOLITE |
EP4190750A4 (en) | 2020-07-31 | 2024-03-13 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | GIS TYPE ZEOLITE |
WO2023067841A1 (ja) | 2021-10-22 | 2023-04-27 | 旭化成株式会社 | Gis型ゼオライト、吸着材、及び分離方法 |
CA3234989A1 (en) | 2021-10-22 | 2023-04-27 | Atsushi Okubo | Gis-type zeolite, adsorbent, and separation method |
-
1993
- 1993-05-28 JP JP12697193A patent/JP3442817B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109705918A (zh) * | 2017-10-25 | 2019-05-03 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种改善煤灰熔融特性的复合助熔剂及其制备方法和应用 |
CN109705918B (zh) * | 2017-10-25 | 2021-12-17 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种改善煤灰熔融特性的复合助熔剂及其制备方法和应用 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH06340417A (ja) | 1994-12-13 |
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Legal Events
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A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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