JP3421217B2 - Rho標的タンパク質Rhoキナーゼ - Google Patents
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Description
なタンパク質に関する。
万の一群の低分子量GTP結合タンパク質(Gタンパク
質)が存在している。現在、低分子量Gタンパク質のス
ーパーファミリーには酵母から哺乳動物に至るまですで
に50種類以上のメンバーが見出されている。低分子量
Gタンパク質は、アミノ酸配列の類似性からRas、R
ho、Rab、その他の4つのファミリーに大別するこ
とができる。この低分子量Gタンパク質は種々の細胞機
能を制御していることが明らかになってきており、例え
ば、Rasタンパク質は細胞の増殖や分化等を、Rho
タンパク質は細胞の形態変化や細胞接着、細胞運動等を
それぞれ制御していると考えられている。
TP結合能および内在性GTPase活性を示し、リゾ
ホスファチジン酸(LPA)およびある種の成長因子等
のような細胞外シグナルに対する細胞骨格応答に関係し
ているとされている。不活性型であるGDP結合Rho
タンパク質にある刺激が与えられると、Smg GD
S、DblやOstのようなGDP/GTP変換タンパ
ク質の働きによって活性型であるGTP結合Rhoタン
パク質(以下、「活性型Rhoタンパク質」という)に
変換される。そして、この活性型Rhoタンパク質が標
的タンパク質に作用することによってストレス繊維およ
び接着斑が形成され、細胞接着および細胞運動等が誘導
されると考えられている(実験医学 vol.12,No.8,97-10
2(1994) 、Takai, Y. et al. Trends Biochem. Sci., 2
0, 227-231 (1995) )。一方、Rhoタンパク質内在性
GTPaseにより活性型Rhoタンパク質はGDP結
合Rhoタンパク質に変換される。この内在性GTPa
seの活性を亢進するタンパク質はGTPase活性化
タンパク質(GAP)(Lamarche, N. & Hall,A. eta
l.,TIG, 10, 436-440 (1994) )と呼ばれている。
ys−A−A−Leu(Aは脂肪族アミノ酸)構造が存
在し、Cys残基にゲラニルゲラニル基転移酵素の働き
によりゲラニルゲラニル基が結合し、さらにCys残基
のカルボキシル基がメチル化される。この脂質による翻
訳後修飾は、Rhoタンパク質の細胞膜への結合や活性
制御タンパク質との相互作用に必要であるとともに、そ
の機能の発現にも必要であると考えられている(Imazum
i, K. et al., 実験医学 13,646-656 (1995))。
質、RhoCタンパク質、Rac1タンパク質、Rac
2タンパク質、Cdc42タンパク質のようなRhoフ
ァミリーのタンパク質のアミノ酸配列は、お互いに50
%以上の類似性がある。このRhoファミリーのタンパ
ク質は、リゾフォスファチジル酸(LPA)や増殖因子
のような細胞外シグナルに応答して、ストレスファイバ
ー(stress fiber)やフォーカル接着(focal adhesio
n)の形成を引き起こす反応に関与していると考えられ
ている(A. J. Ridley & A. Hall、Cell, 70, 389-399
(1992) ,A. J. Ridley & A. Hall, EMBO J., 13, 2600-
2610 (1994) )。また、サブファミリーであるRhoタ
ンパク質は、細胞の形態変化(H. F. Parterson et a
l., J.Cell Biol.,111,1001-1007 (1990) )、細胞接着
(Morii, N. et al.,J. Biol.Chem. 267, 20921-20926
(1992) 、T. Tominaga et al.,J.Cell Biol., 120, 15
29-1537(1993) 、Nusrat, A. et al.,Proc, Natl. Aca
d. Sci. USA, 92, 10629-10633(1995)*、Landanna, C.
et al., Science 271, 981-983 (1996)*)、細胞運動
(K. Takaishi et al.,Oncogene,9,273-279 (1994))、
細胞質分裂(cytokinesis )(K. Kishi et al.,J. Cel
l Biol.,120,1187-1195(1993) 、I. Mabuchi etal.,Zyg
ote,1,325-331(1993))のような細胞骨格の再編成をと
もなった生理機能にも関連があると考えられている。更
に、Rhoタンパク質は、平滑筋収縮(K.Hirata et a
l.,J. Biol. Chem.,267,8719-8722(1992) 、M. Noda et
al., FEBSLett., 367, 246-250 (1995) 、M. Gong et
al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,93,1340〜1345 (199
6) *)、フォスファチジルイノシトール 3−キナー
ゼ(PI3−キナーゼ)(J. Zhang et al.,J. Biol. C
hem.,268,22251-22254 (1993) )、フォスファチジルイ
ノシトール 4−リン酸 5−キナーゼ(PI 4,5
−キナーゼ)(L. D. Chong et al.,Cell,79,507-513(1
994))やc−fosの発現(C. S. Hill et al.,Cell,8
1,1159-1170(1995) )の制御にも関与していることが示
唆されている。
したRhoタンパク質が細胞内に導入されるとRas依
存的な腫瘍形成が抑制されること等が見出され、Rho
タンパク質がRasによる細胞の形質転換、すなわち腫
瘍形成、において重要な役割を果たしていることが明ら
かにされている(G.C.Prendergast et al.,Oncogene,1
0,2289-2296(1995)、Khosravi-Far,R.,et al.,Mol.Cel
l.Biol.,15,6443-6453(1995)*、R.Qiu et al.、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,92,11781-11785(1995) *、およびLe
bowitz,P.et al.,Mol.Cell.Biol.,15,6613-6622(1995)
*)。
運動、細胞凝集ばかりでなく、平滑筋の収縮をも亢進す
ることが明らかとなってきた。最近の研究によれば、R
hoタンパク質は平滑筋収縮に関与することが知られて
いる(K. Hirata et al.,J.Biol. Chem. 267, 8719-872
2 (1992) および Noda, M. et al., FEBS Lett., 367,
246-250(1995)) 。従って、活性型Rhoタンパク質結
合タンパク質もまた、平滑筋収縮に関与する可能性が高
いと考えられる。
mm, K. E. & Stull, J. T., Annu.Rev. Pharmacol. Tox
icol. 25, 593-603 (1985) 、Hartshorne, D. J., & Jo
hnson, D. R., (1987) in Physiology of the Gastroin
testinal Tract, (Johnson,L. R., ed) pp. 423-482, R
aven Press, New York、およびSellers, J. R. & Adels
tein, R. S.in The Enzyme (Boyer, P., and Erevs, E.
G., eds) Vol. 18,pp.381-418, Academic Press, San
Diego, CA (1987))、非筋細胞において起こるストレス
ファイバー形成のためのアクチン−ミオシンの相互作用
(Huttenlocher, A. et al., Curr. Opi. Cell Biol.
7, 697-706 (1995))において重要な役割を果たす。こ
れは、また、細胞質分裂および細胞運動に対する作用を
有する(Huttenlocher, A. et al., Curr. Opi. Cell B
iol. 7, 697-706 (1995))。
er−19を主として(primarily)リン酸化する(Kam
m, K. E. & Stull, J. T., Annu. Rev. Pharmacol. Tox
icol. 25, 593-603 (1985) 、Hartshorne, D. J. & Joh
nson, D. R., (1987) in Physiology of the Gastroint
estinal Tract, (Johnson, L. R., ed) pp. 423-482, R
aven Press, New York 、Sellers, J. R. & Adelstein,
R. S.in The Enzyme(Boyer, P., and Erevs, E. G., e
ds) Vol. 18, pp. 381-418, Academic Press, San Dieg
o, CA (1987)、およびIkebe, M. & Hartshorne, D. J.
J. Biol. Chem. 260, 10027-10031 (1985))。ミオシン
軽鎖キナーゼのような特異的なキナーゼの外に、これま
で得られたいずれのプロテインキナーゼもこの部位をリ
ン酸化しない(Tan, J. L. et al., Annu. Rev. Bioche
m. 61, 721-759(1992))。
トで刺激すると、Ca2+は細胞質中へ移動する。Ca2+
はカルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼを活性化
する。ミオシン軽鎖のリン酸化によりミオシン−アクチ
ンの相互作用が誘導され、これによりミオシンATPア
ーゼが活性化され(Kamm, K. E. & Stull, J. T., Ann
u. Rev. Pharmacol. Toxicol. 25, 593-603 (1985) 、H
artshorne, D. J., & Johnson, D. R., (1987) in Phys
iology of the Gastrointestinal Tract, (Johnson, L.
R., ed) pp. 423-482, Raven Press, New York、およ
びSellers, J. R.& Adelstein, R. S.in The Enzyme (B
oyer, P., and Erevs, E. G., eds) Vol.18, pp. 381-4
18, Academic Press, San Diego, CA (1987))、次いで
これにより平滑筋の収縮が誘導される(Kamm, K. E. &
Stull, J. T., Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 25, 5
93-603 (1985) 、Hartshorne, D. J., & Johnson, D.
R.,(1987) in Physiology of the Gastrointestinal Tr
act, (Johnson, L. R., ed) pp. 423-482, Raven Pres
s, New York、およびSellers, J. R. & Adelstein,R.
S.in The Enzyme (Boyer, P. & Erevs, E. G., eds) Vo
l. 18, pp. 381-418,Academic Press, San Diego, CA
(1987) )。しかしながら、サイトゾルのCa2+レベル
は常に収縮レベルに比例するわけではなく、平滑筋収縮
のCa2+感受性を調節しているこれ以外のメカニズムが
提案された(Bradley, A. B. & Morgan,K. G., J. Phys
iol. 385, 437-448 (1987) )。GTPγS(非加水分
解性GTP類似体)は透過性(スキンド)平滑筋の収縮
に必要なCa2+濃度を低下させるので、GTP結合タン
パク質はCa2+感受性を調節すると推定された(Kitaza
wa, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 88,
9307-9310 (1991) 、Moreland, S. et al., Am. J. Ph
ysiol. 263, 540-544 (1992))。Rhoタンパク質はG
TPによって増強される平滑筋のCa2+感受性に関係す
ることが示された(Hirata, K. et al., J. Biol. Che
m. 267, 8719-8722 (1992) )。最近、透過性を高めた
平滑筋細胞において、submaximalなCa2+濃度で、GT
PγSが、ミオシン軽鎖のリン酸化を促進させることが
示され、このミオシン軽鎖のリン酸化の促進はRhoタ
ンパク質の活性化およびミオシン軽鎖の脱リン酸化を担
うミオシン軽鎖ホスファターゼの酵素活性の抑制による
ことが示唆された(Noda, M. etal., FEBS Lett. 367,
246-250 (1995) )。しかしながら、Rhoタンパク質
がいかなる機構でミオシン軽鎖ホスファターゼを抑制す
るのか、Rhoタンパク質によるミオシン軽鎖のリン酸
化の増加がミオシン軽鎖ホスファターゼ活性の抑制だけ
によるものなのかどうか、については依然解明されてい
ない。従って、Rhoタンパク質がいかなる機構で平滑
筋のCa2+感受性を調節し、その結果平滑筋の収縮が増
強するのかについては依然解明されていない。
の形態変化、細胞接着、細胞運動、細胞質分裂、腫瘍の
形成や転移、血管平滑筋の収縮等の多数のシグナル伝達
経路を調節していることがわかってきた。このことよ
り、Rhoタンパク質には多数の標的分子があり、上記
の多数のシグナル伝達経路を調節していると考えられて
いる。
最初の出願の後において)、哺乳類において、いくつか
の候補タンパク質が報告された。これらのタンパク質
は、プロテインキナーゼN(PKN)(Watanabe, G. e
t al., Science 271, 645-648(1996)*; Amano, M. et
al., Science 271, 648-650 (1996) *)、ローフィリ
ン(Watanabe, G. et al., Science 271, 645-648 (199
6)*)、シトロン(Madaule, P. et al., FEBS Lett. 3
77, 243-248 (1995)*)、ROKα(Leung, T.et al.,
J. Biol. Chem. 270, 29051-29054 (1995)*)、p1
60ROCK(Ishizaki, T., et al., EMBO J., 15, 1885-
1893 (1996) *)、ローテキン(Reid,T.etal.,J.Biol.C
hem.,271,13556-13560(1996) *)である。これらのタ
ンパク質はいずれもGTP結合RhoAタンパク質に結
合する(ただし、シトロンだけはGTP結合Rac1タ
ンパク質にも結合する)。
Cのプロテインキナーゼ触媒領域と高い相同性を有する
触媒領域を有しており、セリン/スレオニン・プロテイ
ンキナーゼ活性を示す(Mukai, H. & Ono, Y., Bioche
m. Biopys. Res. Commun. 199, 897-904 (1994); Muka
i, H. et al., Biochem. Biopys. Res. Commun. 204, 3
48-356 (1994) )。一方、ROKα(前掲 Leung, T. e
t al.(1995) )およびp160ROCK(Ishizaki, T., et
al., EMBO J., 15, 1885-1893 (1996) *)もセリン/
スレオニン・プロテインキナーゼ触媒領域様のアミノ酸
配列を有する(前掲Leung, T. et al(1995) *)。
最近、酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、哺乳類
のRhoAに相当するRho1タンパク質の標的タンパ
ク質として、プロテインキナーゼC1(PKC1)が同
定された(Nonaka, H. et al., EMBO J. 14, 5931-5938
(1995)*)。更にごく最近、酵母(Saccharomyces cere
visiae)のRho1pタンパク質の標的タンパク質とし
て、1,3−β−グルカン合成酵素が同定された(Drgo
nova, J. et al., Science 272, 277-279(1996) *およ
び Qadota, H. et al., Science 272, 279-281(199
6)*)。
タンパク質として、新規のタンパク質BEM4が同定さ
れた(Mack, D. et al., Mol. Cell. Biol., 16, 4387-
4395(1996) *、Hirano, H. et al., Mol. Cell. Bio
l., 16, 4396-4403 (1996) *)。
関与する細胞情報伝達機構、特に腫瘍形成や平滑筋収縮
に関する機構、は依然として解明されていない。
の出願の後に発行された刊行物に*印を付した。
パク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有
するタンパク質をウシ脳灰白質から単離した。このタン
パク質の分子量は、SDS−PAGEによる測定で約1
64kDaであった。また、本発明者らは、このタンパ
ク質(Rhoキナーゼ)が活性型Rhoタンパク質のエ
フェクター領域に結合すること、Rhoキナーゼがキナ
ーゼ活性を示し、そのキナーゼ活性はGTPγS・Rh
oタンパク質により亢進されること、Rhoキナーゼが
その中間部分にコイルド−コイル領域を有すること等を
見出した。すなわち、RhoキナーゼはRhoタンパク
質の標的となるセリン/スレオニン・キナーゼであり、
Rhoタンパク質依存的なシグナル伝達経路のメディエ
ーターであることが判明した。また、本発明者らは、R
hoキナーゼがミオシン軽鎖ホスファターゼのミオシン
結合サブユニットおよびミオシンをリン酸化することお
よび血管平滑筋を収縮させることを見出した。
のcDNAのクローニングに成功した。本発明者らは、
更にまた、培養細胞中へのドミナントアクティブ−Rh
oキナーゼのマイクロインジェクションにより、ストレ
スファイバーおよびフォーカル接着の形成が誘導され、
ドミナントネガティブ−Rhoキナーゼのマイクロイン
ジェクションによりLPAまたはRhoタンパク質によ
り誘導されたストレスファイバーおよびフォーカル接着
の形成が阻害されること、そしてスタウロスポリンによ
って、インビトロでRhoキナーゼ活性が阻害されたば
かりでなく、Rhoキナーゼによって細胞に誘導される
ストレスファイバーおよびフォーカル接着の形成も阻害
されることを見出した。本発明は以上の知見に基づくも
のである。
結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有するタ
ンパク質(以下、「Rhoキナーゼ」という)の提供を
その目的とする。
パク質、部分タンパク質を含む該タンパク質をコードす
る塩基配列、該塩基配列を含んでなるベクター、該ベク
ターによって形質転換された宿主細胞、該タンパク質等
の製造法、該タンパク質等を含む腫瘍形成または転移抑
制剤、平滑筋収縮抑制剤、血小板凝集阻害剤、および炎
症性疾患または自己免疫疾患治療剤、活性型Rhoタン
パク質と該タンパク質等との結合を阻害する物質等のス
クリーニング法、該タンパク質等のプロテインキナーゼ
活性を阻害する物質等のスクリーニング法、ストレスフ
ァイバーまたはフォーカル接着を阻害する物質のスクリ
ーニング法、Rhoキナーゼの部分アミノ酸配列、該ア
ミノ酸配列等と特異的に反応する抗体、並びに該抗体を
用いた検出法および検出キットの提供をその目的とす
る。
わちL体およびD体、のいずれをも含む意味で用いられ
るものとする。従って、本発明において「ペプチド」と
は、L体のアミノ酸のみによって構成されているペプチ
ドだけでなく、D体のアミノ酸を一部または全部含むペ
プチドをも意味するものとする。
は、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸
のみならず、それら以外のα−アミノ酸、並びにβ−、
γ−、δ−アミノ酸および非天然のアミノ酸等を含む意
味で用いられるものとする。従って、下記のようにペプ
チドにおいて置換されるかまたはペプチド中に挿入され
るアミノ酸としては、天然のタンパク質を構成する20
種のα−アミノ酸だけに限定されることはなく、それら
以外のα−アミノ酸並びにβ−、γ−、δ−アミノ酸お
よび非天然のアミノ酸等であってもよい。このようなβ
−、γ−またはδ−アミノ酸としては、β−アラニン、
γ−アミノ酪酸あるいはオルニチンが挙げられ、また天
然タンパク質を構成するもの以外のアミノ酸あるいは非
天然のアミノ酸としては、3,4−ジヒドロキシフェニ
ルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルグリシ
ン、1,2,3,4−テトラハイドロイソキノリン−3
−カルボン酸あるいはニペコチン酸等が挙げられる。
ンパク質」というときは、その誘導体を含む意味で用い
られる。
とは、DNA配列およびRNA配列のいずれをも意味す
る。
には、本来のアミノ酸が最初に、位置番号が二番目に、
そして置換アミノ酸が三番目に示される。例えば「Ly
s121Gly」は、121番目のアミノ酸残基である
Lys(K:リジン)がGly(G:グリシン)で置換
されていることを示す。
合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有するタン
パク質(Rhoキナーゼ)またはその誘導体である。こ
こで、Rhoタンパク質としては、RhoAタンパク
質、RhoBタンパク質、RhoCタンパク質、または
RhoGタンパク質が挙げられる。
質結合能を有するタンパク質」とは、当業者により活性
型Rhoタンパク質との結合が認められたと評価される
タンパク質をいい、例えば、実施例1、4、11または
13と同様の条件において実験した場合に活性型Rho
タンパク質との結合が認められたと評価されるタンパク
質を意味するものとする。
hoタンパク質と本発明によるタンパク質との結合が実
質的に損われないように改変されたRhoタンパク質を
も含むものとする。このような改変Rhoタンパク質と
しては、14番目のアミノ酸をバリンで置換したRho
A変異体(RhoAVal14 )が挙げられる。
性を有するタンパク質」とは、当業者によりプロテイン
キナーゼ活性が認められたと評価されるタンパク質をい
い、例えば、実施例2、5、6〜9または13と同様の
条件において実験した場合にプロテインキナーゼ活性が
認められたと評価されるタンパク質を意味するものとす
る。
タンパク質と結合することによってそのプロテインキナ
ーゼ活性が亢進されるとの性質を有する。ここで「プロ
テインキナーゼ活性」とは、セリン/スレオニン・プロ
テインキナーゼ活性を含む意味で用いられる。
されず、ウシおよびヒトを含むホ乳類由来のものであっ
ても、それ以外を由来とするものであってもよい。ウシ
由来のRhoキナーゼの分子量は、SDS−PAGEに
よる測定で約164kDaである。
性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテインキ
ナーゼ活性を有するウシ由来のタンパク質であって、そ
の分子量がSDS−PAGEによる測定で約164kD
aであるタンパク質(以下「ウシRhoキナーゼ」とい
うことがある)が挙げられる。
た、活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテ
インキナーゼ活性を有するヒト由来のタンパク質(以下
「ヒトRhoキナーゼ」ということがある)が挙げられ
る。
脳灰白質から実施例1に記載される方法に従って得るこ
とができる。本明細書において、「タンパク質の誘導
体」とは、タンパク質のアミノ末端(N末端)のアミノ
基または各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全
部、および/またはタンパク質のカルボキシル末端(C
末端)のカルボキシル基または各アミノ酸の側鎖のカル
ボキシル基の一部もしくは全部、および/または、タン
パク質の各アミノ酸の側鎖のアミノ基およびカルボキシ
ル基以外の官能基(例えば、水素基、チオール基、アミ
ド基等)の一部もしくは全部が、適当な他の置換基によ
って修飾を受けたものをいう。適当な他の置換基による
修飾は、例えば、タンパク質中に存在する官能基の保
護、タンパク質の安全性および組織移行性の向上、ある
いはタンパク質の活性の増強等を目的として行われる。
は、(1)タンパク質のアミノ末端(N末端)のアミノ
基または各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全
部の水素原子が、置換または非置換のアルキル基(直
鎖、分岐鎖または環状であってもよい)(例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブ
チル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、
シクロヘキシル基、ベンジル基)、置換または非置換の
アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、カプロイ
ル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、フ
タロイル基、トシル基、ニコチノイル基、ピペリジンカ
ルボニル基)、ウレタン型保護基(例えば、p−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオ
キシカルボニル基、p−ビフェニルイソプロピルオキシ
カルボニル基、t−ブトキシカルボニル基)またはウレ
ア型置換基(例えば、メチルアミノカルボニル基、フェ
ニルカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル
基)等によって置換されたもの、並びに(2)タンパク
質のカルボキシル末端(C末端)のカルボキシル基また
は各アミノ酸の側鎖のカルボキシル基の一部もしくは全
部が、エステル化されているもの(例えば、その水素原
子がメチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、
フェニル、ベンジル、t−ブチル、4−ピコリルにより
置換されたもの)、アミド型の修飾を受けているもの
(例えば、非置換アミド、C1−C6アルキルアミド
(例えば、メチルアミド、エチルアミド、イソプロピル
アミド)を形成しているもの)、並びに(3)タンパク
質の各アミノ酸の側鎖のアミノ基およびカルボキシル基
以外の官能基(例えば、水素基、チオール基、アミノ基
等)の一部もしくは全部が、上述のアミノ基と同様の置
換基あるいはトリチル基などで修飾されたもの等が挙げ
られる。
列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質およびその
誘導体が挙げられる。「ウシRhoキナーゼ」は、この
タンパク質を含む。配列番号1のアミノ酸配列は、例え
ば、そのcDNA配列を細菌等において常法に従って発
現させることによって得ることができる。cDNA配列
は前記アミノ酸配列の一部をコードする塩基配列、例え
ば、図9中二重線で示したペプチドに対応するオリゴヌ
クレオチドをプローブとして用い、市販のcDNAライ
ブラリーをスクリーニングすることによって得ることが
できる(実施例3)。また、本発明によるタンパク質の
例としては、配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパ
ク質およびその誘導体が挙げられる。「ヒトRhoキナ
ーゼ」は、このタンパク質を含む。
に、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記配列番号
1のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸配列が付加および
/または挿入され、および/または前記配列番号1のア
ミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換および/または欠
失されたタンパク質であって、活性型Rhoタンパク質
結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有するも
のが挙げられる。すなわち、ここにいう付加(additio
n)、挿入(insertion) 、置換(substitution)、および欠
失(deletion)とは、配列番号1のアミノ酸配列からなる
タンパク質の活性型Rhoタンパク質結合能およびプロ
テインキナーゼ活性を損なわない(not damage)ような
ものをいう。
のアミノ酸配列から90〜359番のアミノ酸配列(プ
ロテインキナーゼ領域)と943〜1068番のアミノ
酸配列(Rhoタンパク質結合領域)とを除いた領域ま
たはその一部の欠失である。具体的には、1〜89番、
360〜942番、および/または1069〜1388
番のアミノ酸配列あるいはこの部分配列の欠失である。
0〜359番のアミノ酸配列(プロテインキナーゼ領
域)と943〜1068番のアミノ酸配列(Rhoタン
パク質結合領域)とを有するタンパク質が提供される。
に、配列番号4のアミノ酸配列からなり、前記配列番号
4のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸配列が付加および
/または挿入され、および/または前記配列番号4のア
ミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換および/または欠
失されたタンパク質であって、活性型Rhoタンパク質
結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有するも
のが挙げられる。ここにいう付加、挿入、置換、および
欠失とは、前記と同様の意味を有する。また、このよう
な欠失の例は、配列番号4のアミノ酸配列から90〜3
59番のアミノ酸配列(プロテインキナーゼ領域)と9
43〜1068番のアミノ酸配列(Rhoタンパク質結
合領域)とを除いた領域またはその一部の欠失である。
具体的には、1〜89番、360〜942番、および/
または1069〜1388番のアミノ酸配列あるいはこ
の部分配列の欠失である。
0〜359番のアミノ酸配列(プロテインキナーゼ領
域)と943〜1068番のアミノ酸配列(Rhoタン
パク質結合領域)とを有するタンパク質が提供される。
Rhoキナーゼは、主として大脳および小脳において発
現されるものである(実施例3の(4)参照)。更にR
hoキナーゼは、後記する抗体と免疫交差する(実施例
3の(4)および実施例10参照)。
て発現される」とは、当業者により大脳および小脳にお
いての発現が、他の部位と比較してより多く認められた
と評価されることをいい、例えば、実施例3の(4)と
同様の条件で実験した場合に大脳および小脳において発
現が他の部位と比較してより多く認められたと評価され
ることをいう。
結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有さない
タンパク質またはその誘導体が提供される。上記タンパ
ク質の例としては、配列番号1のアミノ酸配列からな
り、前記配列番号1のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸
配列が付加および/または挿入され、および/または前
記配列番号1のアミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失されたタンパク質であって、活性型
Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテインキナー
ゼ活性を有さないものが挙げられる。すなわち、ここに
いう付加、挿入、置換、および欠失とは、配列番号1の
アミノ酸配列からなるタンパク質の活性型Rhoタンパ
ク質結合能を損なわず、かつプロテインキナーゼ活性を
損なうようなものをいう。
〜359番のアミノ酸配列(プロテインキナーゼ領域)
またはプロテインキナーゼ活性を有するその一部を含む
領域の欠失である。また、このような置換の例は、Ly
s121Glyである。
付加、挿入、置換および/または欠失を有する)からな
る活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテイ
ンキナーゼ活性を有さないタンパク質またはその誘導体
は、上記付加、挿入、置換および/または欠失に加え
て、そのタンパク質のRhoタンパク質結合能を損なわ
ないような付加、挿入、置換および/または欠失を有し
ていてもよい。
ノ酸配列から943〜1068番のアミノ酸配列(Rh
oタンパク質結合領域)(実施例11参照)を除いた領
域またはその一部の欠失である。具体的には、1〜89
番のアミノ酸配列およびその部分配列、360〜942
番のアミノ酸配列およびその部分配列、並びに1069
〜1388番のアミノ酸配列およびその部分配列であ
る。
21〜1137番、438〜1124番、799〜11
37番、943〜1068番、または941〜1075
番のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその誘導体
が提供される。これらのタンパク質は、活性型Rhoタ
ンパク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を
有さない。
番号4のアミノ酸配列からなり、前記配列番号4のアミ
ノ酸配列に1以上のアミノ酸配列が付加および/または
挿入され、および/または前記配列番号4のアミノ酸配
列の1以上のアミノ酸が置換および/または欠失された
タンパク質であって、活性型Rhoタンパク質結合能を
有し、かつプロテインキナーゼ活性を有さないものが挙
げられる。すなわち、ここにいう付加、挿入、置換、お
よび欠失とは、配列番号4のアミノ酸配列からなるタン
パク質の活性型Rhoタンパク質結合能を損なわず、か
つプロテインキナーゼ活性を損なうようなものをいう。
〜359番のアミノ酸配列(プロテインキナーゼ領域)
またはプロテインキナーゼ活性を有するその一部を含む
領域の欠失である。また、このような置換の例は、Ly
s121Glyである。
付加、挿入、置換および/または欠失を有する)からな
る活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテイ
ンキナーゼ活性を有さないタンパク質またはその誘導体
は、上記付加、挿入、置換および/または欠失に加え
て、そのタンパク質のRhoタンパク質結合能を損なわ
ないような付加、挿入、置換および/または欠失を有し
ていてもよい。このような欠失の例は、配列番号4のア
ミノ酸配列から943〜1068番のアミノ酸配列(R
hoタンパク質結合領域)(実施例11参照)を除いた
領域またはその一部の欠失である。具体的には、1〜8
9番のアミノ酸配列およびその部分配列、360〜94
2番のアミノ酸配列およびその部分配列、並びに106
9〜1388番のアミノ酸配列およびその部分配列であ
る。
43〜1068番または941〜1075番(配列番号
1の941〜1075番のアミノ酸配列に対応)のアミ
ノ酸配列を有するタンパク質またはその誘導体が提供さ
れる。これらのタンパク質は、活性型Rhoタンパク質
結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有さな
い。
つプロテインキナーゼ活性を有しないタンパク質または
その誘導体は、また、活性型Rhoタンパク質によるR
hoキナーゼのキナーゼ活性の活性化を阻害する。例え
ば、実施例13に記載したように、インビトロにおい
て、活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテ
インキナーゼ活性を有しないタンパク質またはその誘導
体の一例である配列番号1の941〜1075番のアミ
ノ酸配列を含むGST融合タンパク質は、活性型Rho
タンパク質によるRhoキナーゼのキナーゼ活性の活性
化を阻害する。このように、活性型Rhoタンパク質結
合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有しないタ
ンパク質またはその誘導体は、活性型Rhoタンパク質
によるRhoキナーゼの活性化を阻害(即ち、活性型R
hoタンパク質からRhoキナーゼへのシグナル伝達を
遮断)するために用いることができる。
は4のアミノ酸配列からなり、前記配列番号1または4
のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸配列が付加および/
または挿入され、および/または前記配列番号1または
4のアミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換および/ま
たは欠失され、かつ活性型Rhoタンパク質および/ま
たはRhoキナーゼの機能を阻害する、タンパク質およ
びその誘導体(すなわち、ドミナントネガティブ(domi
nant negative )Rhoキナーゼ)が提供される。
つプロテインキナーゼ活性を有しないタンパク質または
その誘導体は、細胞内に内在的に存在するRhoキナー
ゼに対して優勢的に働き(dominate)、その作用が不活
性的(negative)である。従って、活性型Rhoタンパ
ク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有し
ないタンパク質またはその誘導体は、「ドミナントネガ
ティブRhoキナーゼ」の一形態である。
なる例は、配列番号1または4の941〜1075番ま
たは943〜1068番のアミノ酸配列、配列番号1ま
たは4の1125〜1388番のアミノ酸配列、または
121番のLysがGluによって置換された配列番号
1または4の6〜553番のアミノ酸配列からなるタン
パク質である。
Rhoキナーゼの機能」としては、例えば、(ストレス
ファイバー形成やフォーカル接着の形成等の細胞形態変
化や細胞接着の誘導、血小板や白血球の凝集の誘導、平
滑筋収縮の誘導、細胞質分裂の誘導、遺伝子転写活性化
の誘導、腫瘍形成や癌細胞の浸潤・転移の誘導等)が挙
げられる。
それを細胞内に存在させた場合に、細胞内に内在的に存
在する活性型Rhoタンパク質やRhoキナーゼの機能
を阻害する。例えば、実施例15〜18に示した様に、
ドミナントネガティブRhoキナーゼの一例である配列
番号1の941〜1075番のアミノ酸配列を含むGS
T融合タンパク質(Rhoキナーゼ(RB))、配列番
号1の1125〜1388番のアミノ酸配列を含むGS
T融合タンパク質(Rhoキナーゼ(PH))、または
置換Lys121Glyを有する配列番号1の6〜55
3番のアミノ酸配列を含むGST融合タンパク質(Rh
oキナーゼ(CAT−KD))をSwiss3T3細胞
内にマイクロインジェクションした場合に、Swiss
3T3細胞のストレスファイバー形成およびフォーカル
接着形成が阻害された。Swiss3T3細胞のストレ
スファイバー形成およびフォーカル接着形成の誘導は、
活性型Rhoタンパク質の代表的な生物学的な機能のひ
とつである(実施例15および16、Ridley, A. & Hal
l, A., Cell 70, 389-399 (1992) および Ridley,A. &
Hall, A., EMBO J., 13, 2600-2610 (1994))。この
ように、ドミナントネガティブRhoキナーゼは、それ
を細胞内に存在させることによって、細胞内に内在的に
存在する活性型Rhoタンパク質の作用、例えば活性型
Rhoタンパク質による内在性Rhoキナーゼの活性化
およびストレスファイバー形成およびフォーカル接着形
成を阻害するために用いることができる。
ゼ活性を有し、かつ活性型Rhoタンパク質結合能を有
さないタンパク質またはその誘導体が提供される。ここ
で「プロテインキナーゼ活性」とは、セリン/スレオニ
ン・プロテインキナーゼ活性を含む。
のアミノ酸配列からなり、前記配列番号1のアミノ酸配
列に1以上のアミノ酸配列が付加および/または挿入さ
れ、および/または前記配列番号1のアミノ酸配列の1
以上のアミノ酸が置換および/または欠失されたタンパ
ク質であって、プロテインキナーゼ活性を有し、かつ活
性型Rhoタンパク質結合能を有さないものが挙げられ
る。すなわち、ここにいう付加、挿入、置換、および欠
失とは、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
のプロテインキナーゼ活性を損なわず、かつ活性型Rh
oタンパク質結合能を損なうようなものをいう。
3〜1068番のアミノ酸配列または活性型Rhoタン
パク質結合能を有するその一部を含む領域の欠失であ
る。
付加、挿入、置換、および/または欠失を有する)から
なるプロテインキナーゼ活性を有し、かつ活性型Rho
タンパク質結合能を有さないタンパク質またはその誘導
体は、上記付加、挿入、置換、および/または欠失に加
えて、そのタンパク質のプロテインキナーゼ活性を損な
わないような付加、挿入、置換、および/または欠失を
有していてもよい。このような欠失の例は、配列番号1
のアミノ酸配列から90〜359番のアミノ酸配列(プ
ロテインキナーゼ領域)を除いた領域またはその一部の
欠失が挙げられる。具体的には、1〜89番のアミノ酸
配列およびその部分配列、並びに360〜1388番の
アミノ酸配列およびその部分配列の欠失である。
0〜359番のアミノ酸配列を有するタンパク質または
その誘導体が提供される。この様な誘導体の別の例とし
ては、配列番号1の6〜553番のアミノ酸配列を有す
るタンパク質がある(実施例7、および12〜17)。
このタンパク質は、プロテインキナーゼ活性を有し、か
つ活性型Rhoタンパク質結合能を有さないものであ
る。
番号4のアミノ酸配列からなり、前記配列番号4のアミ
ノ酸配列に1以上のアミノ酸配列が付加および/または
挿入され、および/または前記配列番号4のアミノ酸配
列の1以上のアミノ酸が置換および/または欠失された
タンパク質であって、プロテインキナーゼ活性を有し、
かつ活性型Rhoタンパク質結合能を有さないものが挙
げられる。すなわち、ここにいう付加、挿入、置換、お
よび欠失とは、配列番号4のアミノ酸配列からなるタン
パク質のプロテインキナーゼ活性を損なわず、かつ活性
型Rhoタンパク質結合能を損なうようなものをいう。
3〜1068番のアミノ酸配列または活性型Rhoタン
パク質結合能を有するその一部を含む領域の欠失であ
る。また、配列番号4のアミノ酸配列(但し、付加、挿
入、置換、および/または欠失を有する)からなるプロ
テインキナーゼ活性を有し、かつ活性型Rhoタンパク
質結合能を有さないタンパク質またはその誘導体は、上
記付加、挿入、置換、および/または欠失に加えて、そ
のタンパク質のプロテインキナーゼ活性を損なわないよ
うな付加、挿入、置換、および/または欠失を有してい
てもよい。
ノ酸配列から90〜359番のアミノ酸配列(プロテイ
ンキナーゼ領域)を除いた領域またはその一部の欠失が
挙げられる。具体的には、1〜89番のアミノ酸配列お
よびその部分配列、並びに360〜1388番のアミノ
酸配列およびその部分配列の欠失である。
0〜359番のアミノ酸配列または6〜553番(配列
番号1の6〜553番のアミノ酸配列に対応)を有する
タンパク質またはその誘導体が提供される。このタンパ
ク質は、プロテインキナーゼ活性を有し、かつ活性型R
hoタンパク質結合能を有さない。
または4のアミノ酸配列からなり、前記配列番号1また
は4のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸配列が付加およ
び/または挿入され、および/または前記配列番号1ま
たは4のアミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換および
/または欠失され、かつキナーゼ活性が構成的に活性化
されたタンパク質およびその誘導体(すなわち、ドミナ
ントアクティブ(dominant active )Rhoキナーゼ)
が提供される。ここで、「キナーゼ活性が構成的に活性
化された」とは、他の制御因子(例えば、Rhoタンパ
ク質)の有無に関係なく常にキナーゼ活性が活性化され
ていることをいう。欠失の例としては、前述と同様のも
のが挙げられる。
し、かつ活性型Rhoタンパク質結合能を有しないタン
パク質またはその誘導体は、細胞内に存在させた場合
に、細胞内に内在的に存在するRhoキナーゼに対して
優勢的に働き(dominate)、その作用がアクティブであ
る。従って、プロテインキナーゼ活性を有し、かつ活性
型Rhoタンパク質結合能を有しないタンパク質または
その誘導体は、「ドミナントアクティブRhoキナー
ゼ」の一態様である。
活性型Rhoタンパク質が存在しない場合でも強い活性
を示す。例えば、実施例7、13および14に記載した
ように、ドミナントアクティブRhoキナーゼの一例で
ある配列番号1の6〜553番のアミノ酸配列を含むG
ST融合タンパク質を用いることによって、活性型Rh
oタンパク質非存在下でも、ミオシン軽鎖のリン酸化の
程度を測定することができる。ドミナントアクティブR
hoキナーゼのキナーゼ活性の強さは、活性型Rhoタ
ンパク質非存在下での天然Rhoキナーゼ(活性型Rh
oタンパク質結合能およびプロテインキナーゼ活性有す
るタンパク質)のキナーゼ活性に比べて遥かに強く、活
性型Rhoタンパク質存在下での精製Rhoキナーゼの
キナーゼ活性よりも強い(実施例7、13および1
4)。
ゼは、それを細胞内に存在させた場合に、常にそのキナ
ーゼ活性が活性化された状態にある。例えば、実施例1
2に記載したように、配列番号1の6〜553番のアミ
ノ酸配列を含むGST融合タンパク質で、透過性を増し
た摘出平滑筋(スキンド平滑筋)を処理することによ
り、強い平滑筋の収縮を測定することができる。例え
ば、また、実施例15〜18に記載したように、配列番
号1の6〜553番のアミノ酸配列を含むGST融合タ
ンパク質を、線維芽細胞にマイクロインジェクションす
ることにより、線維芽細胞におけるストレスファイバー
やフォーカル接着の顕著な出現を観察することができ
る。ドミナントアクティブRhoキナーゼのこれらの作
用を観察するために、スキンド平滑筋や線維芽細胞に活
性型Rhoタンパク質とともに投与する必要はない。な
ぜならば、前記のように、ドミナントアクティブRho
キナーゼは、活性型Rhoタンパク質が存在しなくとも
活性化された状態にある(構成的に(constitutively)活
性化されている)からである。
oキナーゼは、活性型Rhoタンパク質非存在下におい
ても十分に強いキナーゼ活性および生物学的な作用(例
えば平滑筋収縮作用、ストレスファイバーおよびフォー
カル接着形成誘導作用)を示す。従って、これらは、R
hoキナーゼの活性または作用を測定または観察するの
に有用である。
タンパク質結合能とプロテインキナーゼ活性とを有する
もの、あるいはこれらのいずれかを失わせるように改変
されたものである。また、Rhoタンパク質は腫瘍の形
成、転移、血小板や白血球の凝集をはじめとして細胞形
態、細胞運動、細胞接着、ストレスファイバーやフォー
カル接着の形成、細胞質分裂等の細胞の機能発現に密接
にかかわっている(前掲Takai, Y., et al. 、G.C.Pren
dergast.et al.、Khosravi-Far, R., et al 、R. Qiu e
t al. 、Lebowitz、P., et al., およびYoshioka,K.et
al. )。従って、本発明によるタンパク質は、腫瘍の形
成および転移、血小板や白血球の凝集の機構解明に有用
である。
関与することが知られている(前掲K. Hirata et al.
および M. Noda et al. )。従って、本発明によるタン
パク質は、高血圧症、血管攣縮(心血管攣縮および脳血
管攣縮)、狭心症、心筋梗塞、および閉塞性動脈硬化症
のような種々の循環器系疾患の機構の解明にも有用であ
る。
塩基配列が提供される。この塩基配列の典型的配列は、
配列番号2のDNA配列の一部または全部を有するもの
である。この塩基配列の典型的配列は、また、配列番号
5のDNA配列の一部または全部を有するものである。
ウシ脳由来のcDNAライブラリーから得られたもので
ある。このDNA配列は、ウシRhoキナーゼのオープ
ンリーディングフレームを含み、オープンリーディング
フレームは1〜3番のATGから始まり、4165〜4
167番のTAAで終了する。
cDNAライブラリーから得られたものである。このD
NA配列は、ヒトRhoキナーゼのオープンリーディン
グフレームを含み、オープンリーディングフレームは1
〜3番のATGから始まり、4165〜4167番のT
AAで終了する。
与えられれば、それをコードする塩基配列は容易に定ま
り、配列番号1または4に記載されるアミノ酸配列をコ
ードする種々の塩基配列を選択することができる。従っ
て、本発明によるタンパク質をコードする塩基配列と
は、配列番号2または5に記載のDNA配列の一部また
は全部に加え、同一のアミノ酸をコードするDNA配列
であって縮重関係にあるコドンをDNA配列として有す
る配列をも意味するものとし、更にこれらに対応するR
NA配列も含まれる。
であっても、全合成したものであってもよい。また、天
然物由来のものの一部を利用して合成を行ったものであ
ってもよい。塩基配列は、染色体ライブラリーまたはc
DNAライブラリーから遺伝子工学の分野で慣用されて
いる方法、例えば部分アミノ酸配列の情報を基にして作
成した適当なDNAプローブを用いてスクリーニングを
行う方法、等によって得ることができる。本発明による
塩基配列は、例えば、ウシ脳cDNAライブラリーから
図9中二重線で示されたペプチドに対応するオリゴヌク
レオチドをスクリーニングの際のプローブとして用いる
ことによって得ることができる(実施例3参照)。
の起源は特に限定されず、ウシおよびヒトを含むホ乳類
由来のものであっても、それ以外を由来とするものであ
ってもよい。
配列の例は、配列番号2の1〜4167番のDNA配列
(オープンリーディグフレームに相当)、配列番号2の
1261〜3411番、2395〜3411番、282
1〜3225番もしくは2827〜3204番のDNA
配列(活性型Rhoタンパク質結合領域に相当)、13
12〜3372番のDNA配列(コイルド−コイル領域
に相当)、268〜1077番もしくは16〜1659
番のDNA配列(キナーゼ触媒領域に相当)、3373
〜4164番のDNA配列(PH領域に相当)、配列番
号5の2395〜3411番、2821〜3225番も
しくは2827〜3204番のDNA配列(活性型Rh
oタンパク質結合領域に相当)、268〜1077番の
DNA配列(キナーゼ領域に相当)、3373〜416
4番のDNA配列(PH領域に相当)である。
ターが宿主細胞内で複製可能な状態で、かつその塩基配
列がコードするタンパク質を発現可能な状態で含むベク
ターが提供される。更に、本発明によれば、このベクタ
ーによって形質転換された宿主細胞が提供される。この
宿主−ベクター系は特に限定されず、また、他のタンパ
ク質との融合タンパク質発現系などを用いることができ
る。融合タンパク質発現系としては、MBP(マルトー
ス結合タンパク質)、GST(グルタチオンSトランス
フェラーゼ)、HA(ヘマグルチニン)、ポリヒスチジ
ン、myc、Fas等を用いたものが挙げられる。
(例えば、原核細胞、酵母、昆虫細胞動物細胞等での発
現ベクター)、ウイルスベクター(例えば、レトロウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウ
イルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイ
ウイルスベクター、HIVベクター、バキュロウイルス
ベクター)、リポソームベクター(例えば、カチオニッ
クリポソームベクター)等が挙げられる。
主細胞に導入して所望のタンパク質を発現させるために
は、前記の本発明による塩基配列の他に、その発現を制
御する配列や宿主細胞を選択するための遺伝子マーカー
等を含んでいてもよい。また、このベクターは、本発明
による塩基配列を反復した形で(例えば、タンデムで)
含んでいてもよい。これらは常法に従いベクターに導入
してよく、このベクターによる宿主細胞の形質転換の方
法も、この分野で慣用されているものを用いることがで
きる。
法は、遺伝子工学の分野で慣用されているものを用いる
ことができる。
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞(例えば、COS細胞、
リンパ球、繊維芽細胞、CHO細胞、血液系細胞、腫瘍
細胞等)が挙げられる。上記形質転換された宿主細胞を
適当な培地で培養し、その培養物から上記した本発明に
よるタンパク質を得ることができる。従って、本発明の
別の態様によれば、本発明によるタンパク質の製造法が
提供される。形質転換された宿主細胞の培養およびその
条件は、使用する細胞についてのそれと本質的に同様で
あってよい。また、培養液からの本発明によるタンパク
質の回収、精製も常法に従って行うことができる。
のガン細胞(例えば、白血病細胞、消化器ガン細胞、肺
ガン細胞、スイ臓ガン細胞、卵巣ガン細胞、子宮ガン細
胞、メラノーマ細胞、脳腫腸細胞等)であるときは、そ
の前記の本発明による塩基配列を含むベクターをヒトを
含む生体内のガン細胞に適当な方法によって導入するこ
とによって、本発明によるタンパク質を発現させること
により、悪性腫瘍等について遺伝子治療を行うことがで
きる。
Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテインキナー
ゼ活性を有さないタンパク質)がヒトを含む生体内で発
現されることにより、活性型Rhoタンパク質がこれに
結合し(Rhoキナーゼと活性型Rhoタンパク質との
結合を阻害し)、その結果として活性型Rhoタンパク
質からRhoキナーゼへのシグナル伝達が遮断され、R
hoタンパク質が関与する腫瘍の形成または転移を抑制
できる。遺伝子治療用のベクターについては、高久史磨
監修の実験医学(増刊号)第12巻、第15号「遺伝子
治療の最前線」(1994年)を参照することができ
る。
タンパク質やRhoキナーゼの作用を阻害する。
よび転移を促進する。第一に、活性型Rhoタンパク質
には、弱いながらも腫瘍形成活性が見出せる(Perona,
R. et al., Oncogene 8, 1285-1292 (1992) )。第二
に、Rhoタンパク質を活性化するGDP/GTP交換
タンパク質が、プロトオンコジーンとして機能すること
が知られている。Rhoタンパク質を活性化するGDP
/GTP交換タンパク質には、Dbl、Vav、Os
t、Lbc等が知られている(Collard, J., Int.J. On
col., 8, 131-138 (1996)*)。これらのタンパク質は
すべて、それらのN末側が欠失すると、NIH3T3ト
ランスフォーメーション・アッセイにおいて腫瘍形成作
用を示す(Ron, D. et al., EMBO J., 7, 2465-2473 (1
988), Eva, A. et al., Nature 316, 273-275 (1985),
Katzav, S. et al., EMBO J., 8, 2283-2290 (1989), H
orii, Y. et al., EMBO J., 4776-4786 (1994), Tokso
z, D. et al., Oncogene 9, 621-628 (1994) )。従っ
て、これらのプロトオンコジーンによって活性化される
Rhoタンパク質は、腫瘍形成を促進すると考えられ
る。第三に、最近、ヒトの腫瘍の約30%に関与するオ
ンコジーン産物である活性型Rasタンパク質の下流に
Rhoシグナル伝達経路が位置し、活性型Rasタンパ
ク質の腫瘍形成作用の少なくとも一部は、活性型Rho
タンパク質を介することが明らかになった(Prendergas
t, G. et al., Oncogene 10, 2289-2296 (1995), Khosr
avi-Far, R. et al., Mol. Cell. Biol., 15, 6443-645
3 (1995), Qiu,R. et al., 92, 11781-11785 (199
5))。最後に、活性型Rhoタンパク質によって、細胞
周期が促進されることがわかっている(Yamamoto, M. e
t al., Oncogene 10, 1935-1945 (1993), Olson, M. et
al., Science 269, 1270-1272 (1995) )。以上より、
活性型Rhoタンパク質は腫瘍形成を促進する。
パク質は腫瘍の転移を促進する。癌細胞は転移の過程
で、血管内皮細胞や中皮細胞層などの宿主(患者)のバ
リアを越えて浸潤する。例えば、Imamura, F. et al.,
Biophys. Biochem. Res. Commun., 193, 497-503 (199
3) によれば、コンフルエントになった中皮細胞層の上
に高い転移能を示す腹水癌細胞(MM1細胞)を重層培
養すると、MM1細胞は中皮細胞の間隙より中皮細胞層
下に進入し、浸潤巣を形成する。この現象は、転移の過
程での癌細胞の浸潤をよく現している。MM1の細胞浸
潤は、血清存在下あるいはLPA存在下で著しく亢進す
る。この血清やLPAの亢進作用は、Rhoタンパク質
阻害剤(ボツリヌス菌の菌体外酵素C3)で阻害される
ことから、活性型Rhoタンパク質を介していることが
わかっている。このことは、活性型Rhoタンパク質
(RhoVal14)の遺伝子を導入したMM1細胞
が、血清もLPAも存在しない条件で中皮細胞層に浸潤
すること( Yoshioka, K. et al.,FEBS Lett., 372, 25
-28 (1995) )により確かめられた。以上より、活性型
Rhoタンパク質は癌細胞の浸潤や転移を促進する。
ドミナントネガティブRhoキナーゼにより、活性型R
hoタンパク質によるRhoキナーゼの活性化が阻害で
きること、およびLPAによって細胞に誘導されるスト
レスファイバーとフォーカル接着の形成が阻害できるこ
とを見出した。活性型Rhoタンパク質の機能を阻害で
きることから、ドミナントネガティブRhoキナーゼは
活性型Rhoタンパク質が促進する上記の腫瘍形成また
は転移の抑制剤(以下「腫瘍形成等抑制剤」という)と
して用いることができる。加えて、細胞接着能の亢進を
阻害することから、ドミナントネガティブRhoキナー
ゼは、一般的に、細胞接着能が亢進している腫瘍の転移
の抑制剤として用いることができる。
hoが関与する腫瘍の形成、他の低分子量Gタンパク質
(例えば、Ras、Rac、Cdc42、Ral等)が
関与する腫瘍の形成、低分子量Gタンパク質のGDP/
GTP交換タンパク質(例えば、Dbl、Ost等)が
関与する腫瘍の形成、リソフォスファチジン酸(LP
A)が関与する腫瘍の形成、受容体型チロシンキナーゼ
(例えば、PDGF受容体、EGF受容体等)、転写制
御タンパク質(myc、p53等)または種々のヒト腫
瘍ウイルスが関与する腫瘍の形成等が挙げられる。
オシン軽鎖フォスファターゼおよびそのサブユニットの
一つであるミオシン結合サブユニット(Y. h. Chen. et
al., FEBS Lett., 356, 51-55 (1994) )が、Rhoキ
ナーゼの最も適した生理的基質であること(実施例2の
(3)、実施例5および実施例6)、ミオシン軽鎖フォ
スファターゼ(ミオシン結合サブユニットを含む)がリ
ン酸化されると該フォスファターゼ活性が抑制されるこ
と(実施例5および実施例6)、Rhoキナーゼを内因
的に発現していると考えられる細胞においてRhoタン
パク質を発現させるとミオシン結合サブユニットおよび
ミオシン軽鎖がリン酸化されること(実施例6)を見出
した。
TP結合Rhoタンパク質依存的な様式で単離ミオシン
軽鎖および無傷のミオシンのミオシン軽鎖の双方をリン
酸化すること(実施例7)、Rhoキナーゼによるミオ
シン軽鎖の主なリン酸化部位がミオシン軽鎖キナーゼに
よりリン酸化されるSer−19であること(実施例
8)、無傷のミオシンのミオシン軽鎖のリン酸化は、ミ
オシン軽鎖のMgATPアーゼ活性を増加すること(実
施例9)、プロテインキナーゼ活性が恒常的に活性化さ
れたRhoキナーゼ誘導体が平滑筋収縮を促進すること
(実施例12)を見出した。
ないが、Rhoタンパク質は下記のメカニズムで平滑筋
収縮を促進すると考えられる。 (1)活性型Rhoタンパク質がRhoキナーゼへ結合
することによりRhoキナーゼのキナーゼ活性が亢進さ
れる。 (2)上記Rhoキナーゼによってミオシン軽鎖フォス
ファターゼのミオシン結合サブユニットがリン酸化され
る。 (3)上記リン酸化により、ミオシン軽鎖フォスファタ
ーゼのフォスファターゼ活性が抑制され、ミオシン軽鎖
の脱リン酸化が阻害される。 (4)脱リン酸化が抑制された結果、ミオシンはリン酸
化されたままとなる。 (5)また、(1)のRhoキナーゼによってミオシン
軽鎖がリン酸化される。 (6)現象(4)および(5)より、ミオシンとアクチ
ンとの重合が促進されるとともに脱重合が抑制される。 (7)以上の結果、平滑筋収縮が促進されるとともに持
続する。 尚、上記モデルを図22に示した。
キナーゼは、平滑筋収縮抑制剤や平滑筋収縮が関与する
種々の循環器系疾患(高血圧症、血管攣縮(心血管攣縮
および脳血管攣縮)、狭心症、心筋梗塞、および閉塞性
動脈硬化症など)の治療剤として用いることができる。
キナーゼは、それを細胞内に存在させた場合に、細胞内
に内在的に存在する活性型Rhoタンパク質の作用を阻
害する。例えば、実施例15および16に示した様に、
ドミナントネガティブRhoキナーゼの一例である配列
番号1の941〜1075番のアミノ酸配列を含むGS
T融合タンパク質をSwiss3T3細胞内にマイクロ
インジェクションした場合に、Swiss3T3細胞の
ストレスファイバー形成およびフォーカル接着形成の誘
導が阻害された。ストレスファイバー形成およびフォー
カル接着形成の誘導は、活性型Rhoタンパク質の代表
的な生物学的な機能のひとつである(Ridley, A. & Hal
l, A., Cell 70, 389-399 (1992) および Ridley, A.
& Hall,A., EMBO J., 13, 2600-2610 (1994)および実
施例15および16)。このように、ドミナントネガテ
ィブRhoキナーゼは、それを細胞内に存在させること
によって、細胞内に内在的に存在する活性型Rhoタン
パク質の作用を阻害することができる。
または細胞凝集が誘導される。細胞接着または細胞凝集
としては、例えば、血小板の凝集(Morii, N. et al.,
J. Biol. Chem., 29, 20921-20926 (1992))および白血
球(リンパ球)の凝集(Tominaga, T. et al., J. Cell
Biol., 120, 1529-1537 (1993) およびLaudanna, C.et
al., Science 271, 981-983 (1996)*)が挙げられ
る。前掲Morii, N. et al. (1992) によれば、トロンビ
ンやphorbol myristate acetate (PMA)によって誘
導されるgpIIb−IIIa複合体依存的な血小板凝
集は、ボツリヌス菌の菌体外酵素C3(以下C3菌体外
酵素と呼ぶ)により阻害された。また、Tominaga, T. e
t al. (1993)によれば、PMAで誘導されるリンパ球機
能関連抗原(LFA−1)依存的なリンパ球の凝集も、
C3菌体外酵素により阻害された。さらに、前掲Laudan
na, C. et al. (1996)*によれば、フォルミルペプチド
(formyl peptide; fMLP)、インターロイキン8(IL
8)あるいはPMAにより刺激されたリンパ球や好中球
の細胞接着も、C3菌体外酵素により阻害された。そし
て、そのC3菌体外酵素は、リンパ球のα4β1および
好中球のβ2インテグリンを介した接着を阻害すること
によるものであった。以上のように、活性型Rhoタン
パク質は細胞接着および細胞凝集を誘導するが、その細
胞接着および細胞凝集は細胞接着分子(血小板のgpI
Ib−IIIa複合体、リンパ球のLFA−1やα4β
1、好中球のβ2インテグリン)を介する。これらの細
胞接着分子はすべて、インテグリン・ファミリーに含ま
れる(Hynes, R. et al., Cell 69, 11-25 (1992) )。
以上により、活性型Rhoタンパク質により、インテグ
リンを介した細胞接着が促進される。
を構成成分として有する。本発明者らは、後記する実施
例において、活性型Rhoタンパク質によりRhoキナ
ーゼが活性化され、それによりアクチンとミオシンの重
合が促されることを示した。最近、活性型Rhoタンパ
ク質によるアクチンとミオシンの重合(contractility
)がストレスファイバーおよびフォーカル接着の誘導
に必須であることが示された(Chrzanowska, M. & Burr
idge, K., J. Cell Biol., 133, 1403-1415 (199
6)*)。前記のように、活性型Rhoタンパク質はイン
テグリンを介した細胞接着および細胞凝集を誘導する。
一方、インテグリンはフォーカル接着を担う細胞表面の
接着斑(adhesion plaque )に局在し、接着斑は細胞内
に伸びるストレスファイバーの起点となることが知られ
ている。活性型Rhoタンパク質によるアクチンとミオ
シンの重合(即ちストレスファイバー形成)の誘導はイ
ンテグリンのα鎖とβ鎖の界合を促し、そして形成され
たα鎖とβ鎖のヘテロダイマーを核とした接着斑が形成
されることにより細胞が接着および凝集できるようにな
ると考えられる。
束されるわけではないが活性型Rhoタンパク質は下記
のメカニズムで細胞接着および細胞凝集を誘導すると考
えられる。 (1)細胞が様々な刺激(例えば、トロンビン、フォル
ミルペプチド、IL8やLPA刺激等)を受ける。 (2)細胞内のRhoタンパク質が活性化される。 (3)活性型Rhoタンパク質により、Rhoキナーゼ
が活性化される。 (4)活性化Rhoキナーゼにより、ミオシン軽鎖がリ
ン酸化されるとともに、ミオシン軽鎖ホスファターゼが
抑制されるために被リン酸化ミオシン軽鎖のレベルが上
昇する。 (5)被リン酸化ミオシンにより、ミオシンとアクチン
の重合が促進され、ストレスファイバーが形成される。 (6)その結果、インテグリンのヘテロダイマーが促進
され、接着斑が形成し、細胞が接着および凝集する。
に示したように、ドミナントネガティブRhoキナーゼ
によって、Rhoキナーゼの活性あるいは活性型Rho
タンパク質によるRhoキナーゼの活性化が阻害される
こと、およびそれにより細胞のストレスファイバーおよ
びフォーカル接着の形成が阻害されることを示した。上
記モデルによれば、ドミナントネガティブRhoキナー
ゼはまた、インテグリンが関与する細胞接着および細胞
凝集を阻害することは明らかである。また、このような
細胞接着・凝集により、細胞が活性化されることがわか
っている。従って、ドミナントネガティブRhoキナー
ゼは、インテグリンが関与する血小板凝集と活性化、免
疫担当細胞(Tリンパ球およびBリンパ球)の凝集・接
着と活性化、炎症性血液系細胞(好中球、好酸球、好塩
基球やマクロファージ)の接着・凝集と活性化等を阻害
することは明らかであり、抗血小板薬、抗炎症薬、抗ア
レルギー薬、自己免疫疾患(慢性関節リウマチやSLE
等)等の治療薬として用いることができる。
する遺伝子治療剤を含む意味で用いられる。
た、経口または非経口投与(例えば、筋注、静注、皮下
投与、直腸投与、経皮投与、経鼻投与など)、好ましく
は経口投与することができ、薬剤として経口または非経
口投与に適した種々の剤型で、ヒトおよびヒト以外の動
物に使用される。
応じて、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒
剤、トローチ錠などの経口剤、静注および筋注などの注
射剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤などのいず
れかの製剤形態に調製することができる。これらの各種
製剤は、通常用いられている賦形剤、例えば、増量剤、
結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散
剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭
剤、無痛化剤、安定化剤などを用いて常法により製造す
ることができる。使用可能な無毒性の上記添加剤として
は、例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、
炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、
ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポ
リエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリ
ン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩
化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどが
挙げられる。
量はその剤形に応じて異なるが、通常全組成物中約0.
1〜約50重量%、好ましくは約1〜約20重量%濃度
である。種々の抑制および治療のための投与量は、用
法、患者の年齢、性別、症状の程度などを考慮して適宜
決定されるが、通常成人1日当り約0.1〜約500m
g、好ましくは約0.5〜約50mg程度とするのがよ
く、これを1日1回または数回に分けて投与することが
できる。
hoキナーゼを、腫瘍が形成されている細胞、その腫瘍
が転移する恐れのある細胞、平滑筋の収縮が亢進してい
る細胞、あるいは炎症や自己免疫が亢進している細胞に
存在させることを含む、腫瘍形成または転移の抑制方
法、平滑筋収縮の亢進抑制方法、炎症や自己免疫の亢進
抑制方法、および血小板の凝集の亢進抑制方法が提供さ
れる。この場合の有効投与量、投与方法、および投与形
態等は、前記腫瘍形成等抑制剤に準ずることができる。
ードする塩基配列は、これを有する前記ベクターを用い
て、あるいはこの配列単独で標的細胞を形質転換し、腫
瘍の形成または転移を抑制する様な態様で、平滑筋収縮
の亢進を抑制するような態様で、あるいは炎症や自己免
疫の亢進を抑制するような態様で用いることができる。
すなわち、該塩基配列は腫瘍形成または転移抑制用遺伝
子治療剤、循環器系疾患遺伝子治療剤、炎症性疾患また
は自己免疫疾患遺伝子治療剤、あるいは血小板凝集阻害
用遺伝子治療剤として用いることができる。
質を、活性型Rhoタンパク質と、活性型Rhoタンパ
ク質結合能を有する本発明によるタンパク質とを含むス
クリーニング系に存在させ、そして(2)活性型Rho
タンパク質と、活性型Rhoタンパク質結合能を有する
本発明によるタンパク質との結合の阻害の程度を測定す
ることを含む、活性型Rhoタンパク質と、活性型Rh
oタンパク質結合能を有する本発明によるタンパク質と
の結合を阻害する物質のスクリーニング法が提供され
る。
方法としては、無細胞系での本発明によるタンパク質と
組換え型GTPγS・GST−RhoAタンパク質との
結合をグルタチオンセファロースビーズを用いて測定す
る方法、動物細胞内(細胞系)での本発明によるタンパ
ク質とRhoタンパク質との結合を免疫沈降とイムノブ
ロットとを用いて測定する方法、ツー・ハイブリッド・
システム(two hybridsystem )(M.Kawabata 実験医
学13,2111-2120(1995)、 A.B.Vojetk et al.Cell 74,20
5-214(1993) )等が挙げられ、例えば、実施例1または
4に記載される方法に準じて結合の阻害の程度を測定す
ることができる。また、本明細書において「結合の阻害
の程度を測定する」とは結合の有無の測定を含む意味で
用いられるものとする。
のいずれであってもよく、細胞系としては、例えば、酵
母細胞、COS細胞、大腸菌、昆虫細胞、線虫細胞、リ
ンパ細胞、繊維芽細胞(3Y1細胞、NIH/3T3細
胞、Rat1細胞、Balb/3T3細胞等)、CHO
細胞、血液系細胞、腫瘍細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、
神経細胞、骨髄系細胞、グリア細胞、およびアストロサ
イト等が挙げられる。
限定されないが、例えばペプチド、ペプチドのアナロ
グ、微生物培養液、有機化合物等が挙げられる。
ングの対象となる物質を、プロテインキナーゼ活性を有
する本発明によるタンパク質またはその誘導体を含むス
クリーニング系に存在させ、そして(2)プロテインキ
ナーゼ活性を有する本発明によるタンパク質またはその
誘導体のプロテインキナーゼの活性の阻害の程度を測定
することを含む、プロテインキナーゼ活性を有する本発
明によるタンパク質またはその誘導体のプロテインキナ
ーゼの活性を阻害する物質のスクリーニング法が提供さ
れる。
ーニングの対象となる物質を、活性型Rhoタンパク質
と、活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテ
インキナーゼ活性を有する本発明によるタンパク質また
はその誘導体とを含むスクリーニング系に存在させ、そ
して(2)活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつ
プロテインキナーゼ活性を有する本発明によるタンパク
質またはその誘導体のプロテインキナーゼの活性または
その活性の亢進の阻害の程度を測定することを含む、活
性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテインキ
ナーゼ活性を有する本発明によるタンパク質またはその
誘導体のプロテインキナーゼの活性またはその活性の亢
進を阻害する物質のスクリーニング法が提供される。
度」または「プロテインキナーゼ活性の亢進の阻害の程
度」を測定する方法としては、本発明によるタンパク質
の自己リン酸化活性または適当な基質をリン酸化する活
性、または活性型Rhoタンパク質存在下でこれらの活
性の亢進の程度を測定する方法が挙げられ、例えば、実
施例2および5、6〜9に記載される方法に準じてプロ
テインキナーゼ活性の亢進の阻害の程度を測定すること
ができる。また、本明細書において「プロテインキナー
ゼの活性の阻害の程度」または「プロテインキナーゼ活
性の亢進の阻害の程度」を測定するとは、プロテインキ
ナーゼの活性またはプロテインキナーゼ活性の亢進の阻
害の有無の測定を含む意味で用いられるものとする。
に、「プロテインキナーゼの活性の阻害の程度」は、ド
ミナントアクティブRhoキナーゼを用いて測定するこ
とができる(実施例7、12および14)。この様なR
hoキナーゼ誘導体はそのプロテインキナーゼ活性が恒
常的に活性化した誘導体である。
うに、翻訳後修飾を受けた活性型Rhoタンパク質は、
修飾を受けない活性型Rhoタンパク質よりもRhoキ
ナーゼのプロテインキナーゼ活性を強く亢進する(実施
例2の(4))。従って、活性型Rhoタンパク質とし
て翻訳後修飾を受けたものを用いると、本発明によるス
クリーニングをより明確に行うことができる。
エリン塩基性タンパク質、S6ペプチド、αPKC、ヒ
ストン、ビンキュリン、タリン、メタビンキュリン、カ
ルデスモン、フィラミン、α−アクチニン、MAP−
4)、および生理的基質(例えば、ミオシン、ミオシン
軽鎖、ミオシン軽鎖フォスファターゼ、そのサブユニッ
トの一つであるミオシン結合サブユニット(MBS))
が挙げられる。
るように基質としてミオシン結合サブユニットを用いる
と、活性型Rhoタンパク質存在下では、非存在下での
それと比較してリン酸化が5〜15倍亢進される。従っ
て、活性型Rhoタンパク質存在下でミオシン結合サブ
ユニットを基質として用いると本発明によるスクリーニ
ングをより明確に行うことができる。
ように基質としてミオシン軽鎖を用いると、活性型Rh
oタンパク質存在下では、非存在下でのそれと比較して
RhoキナーゼのKm値が約1/5に低下する。従っ
て、活性型Rhoタンパク質存在下でミオシンまたはミ
オシン軽鎖を基質として用いると本発明によるスクリー
ニングをより明確に行うことができる。スクリーニング
系およびスクリーニング系の対象は、前記スクリーニン
グ法と同様のものが挙げられる。
対象となる物質を、ドミナントアクティブRhoキナー
ゼを存在させることによってストレスファイバーまたは
フォーカル接着の形成が誘導された細胞系に存在させ、
そして(2)前記細胞系のストレスファイバーまたはフ
ォーカル接着の形成の阻害の程度を測定することを含
む、ストレスファイバーの形成を阻害する物質のスクリ
ーニング法が提供される。
害の程度を測定する」方法および「フォーカル接着の形
成の阻害の程度を測定する」方法としては、細胞内のア
クチンを蛍光標識したプローブで可視化する方法等が挙
げられ、例えば、実施例15〜17に記載される方法に
準じて結合の阻害の程度を測定することができる。ま
た、本明細書において「形成の阻害の程度を測定する」
とは形成の有無の測定を含む意味で用いられるものとす
る。
昆虫細胞、線虫細胞、リンパ細胞、繊維芽細胞(3Y1
細胞、NIH/3T3細胞、Rat1細胞、Balb/
3T3細胞、Swiss3T3細胞等)、CHO細胞、
血液系細胞、腫瘍細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経細
胞、骨髄系細胞、グリア細胞、およびアストロサイト等
が挙げられる。
と同様のものが挙げられる。なお、本発明において、
「スクリーニング法」とはアッセイを含む意味で用いら
れるものとする。
に、腫瘍の形成および転移、平滑筋の収縮並びに、血小
板または白血球の凝集または活性化等に密接に関わって
いることが確認されている。従って、上記のスクリーニ
ング法は、腫瘍形成または転移抑制物質、平滑筋の収縮
を阻害する物質、並びに、血小板または白血球の凝集ま
たは活性化を抑制する物質等のスクリーニング法として
も用いることができる。
からなるペプチドおよび配列番号3に記載されるアミノ
酸配列を含んでなるペプチドが提供される。このペプチ
ドは、ウシまたはヒトRhoキナーゼの部分アミノ酸配
列を含んでなるものである。具体的には、配列番号1ま
たは4の669〜681番のアミノ酸配列(13アミノ
酸残基)のN末端にシステイン(Cys)を付加した1
4アミノ酸残基からなるペプチドである。配列番号1ま
たは4の669〜681番のアミノ酸配列は、Rhoキ
ナーゼのコイルド−コイル領域内に存在する。
に対する抗体を得るための抗原として用いることができ
る。また、本発明によるタンパク質(特に、Rhoキナ
ーゼ)は、前述のように腫瘍形成または転移および平滑
筋の収縮に密接に関与している。従って、本発明による
ペプチドは、これらの機構の解明等に有用である。
ミノ酸配列からなるペプチド、または配列番号3に記載
されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドに対する抗体
が提供される。本発明において、抗体は、ポリクローナ
ル抗体およびモノクローナル抗体を含む。
んでなるペプチドとしては、配列番号3に記載されるア
ミノ酸配列のN末端および/またはC末端に任意のアミ
ノ酸配列を付加したペプチドが挙げられ、これには上記
の本発明によるタンパク質も含まれる。
用いられる方法によって製造することができる。例え
ば、配列番号3に記載されるペプチドを、任意の担体
(例えば、ウシ血清アルブミン)とともに動物体内(例
えば、ウサギ、ヤギ、ラット、マウス、ヒツジ)に注射
し、一定期間の後に、その動物の血清を精製することに
よって得ることができる。
oキナーゼの部分アミノ酸配列(配列番号1または4の
669〜681番のアミノ酸配列)を含んでなるもので
ある。従って、このポリクローナル抗体の特異的な反応
(すなわち、免疫反応)は、Rhoキナーゼおよびその
改変タンパク質の存在の1つの指標となる。
上記抗体によって認識されるタンパク質、および本発明
によるタンパク質であって上記抗体によって認識される
ものが提供される。
ば、(1)検出の対象となる物質を本発明による抗体を
含む検出系に存在させ、そして(2)検出の対象となる
物質と本発明による抗体との反応の程度を測定すること
を含んでなる、本発明による抗体によって認識される物
質の検出法が提供される。本発明による抗体との反応の
程度を測定する方法としては、ELISA法、ラジオイ
ムノアッセイ法、ウェスタンブロッティング法、免疫沈
降法、および蛍光抗体法(例えば、単クローン抗体実験
マニュアル、講談社、(1987年))等が挙げられ、
例えば、実施例3の(4)に記載される方法に準じて反
応の程度を測定することができる。また、本発明におい
て「反応の程度を測定する」とは、反応の有無を測定す
ることをも含む。
発明によるポリクローナル抗体に加えて、例えば、ラテ
ックス粒子等を含んでいてもよい。更に、本発明によれ
ば、本発明による抗体を含んでなる、前記抗体と特異的
に反応する物質の検出キットが提供される。ここで「検
出キット」には、本発明によるタンパク質が関与する疾
患等の検出試薬並びに診断試薬や診断キットも含まれる
ものとする。
(1)検出の対象となる物質を本発明による抗体を担持
してなるラテックス粒子を含む検出系に存在させ、そし
て(2)前記ラテックス粒子の凝集反応の程度を測定す
ることを含んでなる、前記抗体と特異的に反応する物質
の検出法が挙げられる。ラテックス粒子の凝集反応の程
度は、例えば、比濁法、比ろう法のような光学的測定法
によって測定することができる。
同様に、ラテックス粒子を含んでいてもよい。この場
合、ラテックス粒子は抗体をその表面上に担持していて
もよい。また、更にラテックス粒子を含む本発明による
検出キットは、前記した検出法の具体例に示されるよう
な態様で用いることができる。検出の対象となる物質と
しては、ヒトを含む動物由来の体液(例えば、血清、血
液等)、尿、便、組織切片、細胞(例えば腫瘍細胞等)
等が挙げられる。
に反応する物質としては、ウシまたはヒトRhoキナー
ゼおよびその誘導体(配列番号1および4のアミノ酸配
列669〜681番を含む)並びに配列番号3に記載さ
れるペプチドを含んでなるタンパク質等が挙げられる。
に反応する物質(例えば、ウシまたはヒトRhoキナー
ゼ)は、活性型Rhoタンパク質によりそのプロテイン
キナーゼ活性が亢進される。また、Rhoキナーゼのプ
ロテインキナーゼの生理的基質は、後記実施例によって
示されたように、ミオシン軽鎖フォスファターゼのミオ
シン結合サブユニットや無傷のミオシンである。更に、
ミオシン結合サブユニットを含むミオシン軽鎖フォスフ
ァターゼは、前記のように平滑筋の収縮に起因する種々
の循環器系疾患(例えば、高血圧症、血管攣縮(心血管
攣縮および脳血管攣縮)、狭心症、心筋梗塞、および閉
塞性動脈硬化症)に関与していることが明らかになって
いる。
本発明によるタンパク質が関与する疾患、Rhoタンパ
ク質、ミオシン軽鎖フォスファターゼ、ミオシン結合サ
ブユニット、ミオシン、またはミオシン軽鎖が関与する
疾患、例えば、循環器系疾患、の検出法および検出キッ
ト(検出試薬、診断試薬および診断キットを含む)とし
ても用いることができる。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 活性型Rhoタンパク質結合タンパク質の精
製とその同定 (1)脳膜抽出液の調製 ウシ脳灰白質(200g)を鋏みで切って小片にし、3
00mlのホモジナイズ用バッファー(25mM Tr
is/HCl、pH7.5、5mM EGTA、1mM
ジチオスレイトール(DTT)、10mM MgCl
2、10μM(p−アミジオノフェニル)−メタンスル
ホニル フルオライド、1mg/l ロイペプチン、1
0% スクロース)に懸濁し粗膜画分とした。粗膜画分
のタンパク質を、4M NaClを含むホモジナイズ用
バッファーを添加することにより抽出した。4℃で1時
間振とうした後、膜画分を20,000×gで1時間、
4℃で遠心分離した。上清画分をバッファーA(20m
M Tris/HCl、pH7.5、1mM EDT
A、1mM DTT、5mM MgCl2)に対して3
回透析した。その後、固形硫安を、最終濃度が40%飽
和濃度となるように添加した。0−40%硫安で沈殿し
た沈殿物を16mlのバッファーAに溶解し、再びバッ
ファーAに対して3回透析した後、ウシ脳膜抽出液とし
て利用した。
ー・カラムの調製 グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下「GS
T」とする)−RhoA、GST−Rho
AAla37、GST−Rac1およびGST−H−R
asは、H. Shimizu et al. ,J. Biol. Chem.,269 ,
30407-30411(1994) 、H. Shimizu et al. ,J. Biol. C
hem.,269 ,22917-22920 (1994)に記載の方法により精
製し、グアニン・ヌクレオチドをロードした。GST−
低分子量Gタンパク質(各24nmol)を1mlのグ
ルタチオン−セファロースカラム4Bに固定化し、カラ
ムにつめた。
ィニティー・カラム・クロマトグラフィー ウシ脳膜抽出液を、1mlのグルタチオン−セファロー
スカラムにかけた。溶出画分を、24nmolのGS
T、GDP・GST−RhoA、あるいはGTPγS・
GST−RhoAを含むグルタチオン−セファロースカ
ラムにロードした。なお、GTPγSは、加水分解され
ないGTPのアナログである。グルタチオン−セファロ
ースカラムに結合したタンパク質を、グルタチオンまた
は1%のCHAPS(3−[(3−コールアミドプロピ
ル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸)を含む
10mlのバッファーAで溶出し、溶出画分を1mlづ
つ回収した。溶出画分の一部を、U. K. Laemmli ,Natur
e, 227, 680-685 (1970)に掲載された方法によりSDS
−PAGEを行い、銀染色した。結果は図1に示される
通りであった。分子量約164kDaのタンパク質(ウ
シRhoキナーゼ)が、2〜10の画分に溶出された。
ウシRhoキナーゼは、GTPγS・GST−RhoA
を含むグルタチオン−セファロースアフィニティーカラ
ムのみから溶出され、GSTカラム、あるいはGDP・
GST−RhoAカラムからは溶出されなかった。ま
た、ウシRhoキナーゼは、GTPγS・GST−Rh
oAAla37(エフェクター領域にアミノ酸置換を有
するRhoA変異タンパク質)からもほとんど溶出され
なかった。ウシRhoキナーゼは、GTPγS・GST
−Rac1やGTPγS・GST−H−Rasのアフィ
ニティーカラムからも溶出されなかった。このように、
ウシRhoキナーゼはエフェクター領域を介して活性型
RhoAに特異的に結合することが明かとなった。
ST−RhoAを含むグルタチオン−セファロースアフ
ィニティーカラムからの溶出画分(画分3〜10)を同
量のバッファーAで希釈し、バッファーAで平衡化した
Mono Q5/5 カラムにロードした。カラムを1
0mlのバッファーAで洗浄後、タンパク質を、0〜
0.5MのNaCl溶液の直線密度勾配に調整したバッ
ファーAで溶出し、溶出画分を0.5mlづつ回収し
た。結果は図2に示される通りであった。ウシRhoキ
ナーゼは、画分10〜12にシングルピークとして回収
された(図2上段)。溶出画分(8〜14)の一部を、
SDS−PAGEを行い、銀染色したところ、精製サン
プルの純度は約95%であった(図2下段)。
タンパク質結合タンパク質の同定 Manserら(E. Manser et al.,J. Biol. Chem.,26
7 ,16025-16028 (1992) )によって既に記載された方法
を改良して、オーバーレイアッセイを行った。サンプル
を6%のSDS−PAGEにかけた後、ニトロセルロー
ス膜にブロッティングした。ニトロセルロース膜を4℃
で、5分間、6Mのグアニジン塩酸を含むバッファーB
(25mM Hepes/NaOH、pH7.0、0.
5mMMgCl2、0.05% トリトンX−100)
中でインキベートした後、さらに3分間バッファーB中
でインキュベートした。これを4回繰り返した後、6M
のグアニジン塩酸を含むバッファーBを等量加えた。ニ
トロセルロース膜を10分間振とうし、さらに等量のバ
ッファーBを10分毎に5回加えた。ニトロセルロース
膜をバッファーBに浸してから、1%のウシ血清アルブ
ミン(BSA)、0.1% トリトンX−100、0.
5M MgCl2、5mM DTTを含むリン酸塩バッ
ファー(PBS)の中に移した。ニトロセルロース膜
を、[35S]GTPγS・GST−RhoA、または
[35S]GTPγS・GST−RhoAAla37を
含む0.5mlのGAPバッファー(25mM Hep
es/NaOH、pH7.0、2.5mM DTT、5
mM MgCl2、0.05%トリトンX−100、1
00mM GTP)に10分間浸した。ニトロセルロー
ス膜は、25mM Hepes/NaOH、pH7.
0、5mM MgCl2、0.05%トリトンX−10
0を含むPBSで3回洗浄した後乾燥させて、X線フィ
ルムに暴露しオートラジオグラフィーを行った。尚、[
35S]GTPγSは、DuPont New Eng
land Nuclear社から購入した。
出液中の粗精製ウシRhoキナーゼも精製ウシRhoキ
ナーゼも、[35S]GTPγS・GST−RhoAに
結合するが、[35S]GTPγS・GST−RhoA
Ala37には結合しなかった。このことから、活性型
RhoAタンパク質はエフェクタードメインを介して直
接ウシRhoキナーゼと結合していることが示唆され
た。一方、ウシRhoキナーゼはGTPγS・GST−
Rac1には結合しなかった。
活性試験 ウシRhoキナーゼがリン酸化活性を持つかを調べるた
めに、以下の実験を行なった。キナーゼ活性試験は、精
製したウシRhoキナーゼ(10ngタンパク質量)を
用いて、2μM[γ−32P]ATP(600−800
MBq/mmol)を含む50μlのキナーゼバッファ
ー(50mM Tris/HCl、pH7.5、1mM
EDTA、5mM MgCl2、0.06% CHA
PS)中で、基質(ミエリン塩基性タンパク質、S6ペ
プチド、またはプロテインキナーゼCの疑似基質を基に
合成したセリンを含んだ合成ペプチド[αPKC]、各
40μM)の存在下または非存在下で行った。30℃で
10分間インキュベート後、自己リン酸化を調べるため
に、反応溶液をSDSサンプルバッファー中で煮沸し
て、SDS−PAGEにかけた。放射能標識されたバン
ドは、オートラジオグラフィーにより検出した。反応溶
液は、キナーゼ活性試験をするためにワットマンp81
ペイパーにスポットした。32Pの基質への取り込み
は、シンチレーションカウンターで計測した。結果は以
下に示される通りであった。尚、[γ−32P]ATP
は、Amersham社から購入した。
シRhoキナーゼの自己リン酸化活性の亢進は図4に示
される通りであった。精製されたウシRhoキナーゼ
は、インビトロで[γ−32P]ATP存在下で自己リ
ン酸化能を示した。この自己リン酸化能は、GTPγS
・GST−RhoA(レーン3)により約2倍にまで亢
進されたが、GTPγS・GST−RhoAAla37
(レーン4)やGDPγS・GST−RhoA(レーン
2)の亢進効果はGTPγS・GST−RhoAよりも
小さかった。なお、用いたGST−RhoAの濃度は各
1μMであった。
る活性型RhoAタンパク質によるウシRhoキナーゼ
活性の亢進は図5および図6に示される通りであった。
ウシRhoキナーゼは、ミエリン塩基性タンパク質、S
6ペプチド、αPKCを基質として使用した場合にも、
GST−Rho非存在下でこれらをリン酸化した(図5
および図6)。ウシRhoキナーゼによるミエリン塩基
性タンパク質、S6ペプチド、αPKCのリン酸化は、
GTPγS・GST−RhoAにより亢進されたが、G
DP・GST−RhoAの亢進効果は非常に低かった
(図5)。ウシRhoキナーゼによるS6ペプチドのリ
ン酸化は、GTPγS・GST−RhoAで促進された
が、GTPγS・GST−H−RasおよびGDP・G
ST−H−Rasは全く促進効果を示さず、GTPγS
・GST−RhoAAla37、GTPγS・GST−
Rac1およびGDP・GST−Rac1は痕跡程度の
促進効果を示すのみであった(図6)。このように、上
記3種の基質の内、S6ペプチドがウシRhoキナーゼ
の基質として最も適していた。なお、用いたGST−低
分子量Gタンパク質の濃度は各1μMであった。
シRhoキナーゼキナーゼ活性を亢進する生理的な基質
タンパク質の検索を行った結果は図7に示される通りで
あった。Rhoタンパク質は細胞骨格の再編成に関係し
ていると考えられているので、ウシRhoキナーゼによ
る細胞骨格制御タンパク質であるビンキュリン(vin
culin)、タリン(talin)、メタビンキュリ
ン(metavinculin)、カルデスモン(ca
ldesmon)、フィラミン(filamin)、ビ
メンチン(vimentin)、α−アクチニン(E.
A. Clark & J. S.Brugge、Science 、268 、233-239 (1
995))、MAP−4(H. Aizawa et al.、J. Biol. Che
m.、265 、13849-13855 (1990))、ミオシン軽鎖フォス
ファターゼのミオシン結合サブユニット(Y. H. Chen e
t al. 、FEBS Lett.、356 、51-55(1994))のリン酸化
について、上記の条件に準じて検討した。ただし、ミオ
シン軽鎖フォスファターゼのミオシン結合サブユニット
については、ラットのミオシン結合サブユニットのC末
端(アミノ酸配列の699〜976番の配列)とマルト
ース結合タンパク質との融合タンパク質の形態で用い
た。この融合タンパク質は、常法により大腸菌で発現し
たものを精製することにより調製した。その結果、ウシ
RhoキナーゼはGST−RhoA非存在下または存在
下で、これらの基質をリン酸化した。ビンキュリン、タ
リン、メタビンキュリン、カルデスモン、フィラミン、
ビメンチン、α−アクチニンまたはMAP−4を基質と
して用いた場合には、GTPγS・RhoA存在下での
リン酸化の亢進の程度は低かった(データ省略)。しか
しながら、ミオシン結合サブユニット(50nM)を基
質として用いると、GTPγS・GST−RhoA存在
下で、リン酸化の程度は著しく亢進した(図7)。GT
PγS・GST−RhoA存在下でのミオシンサブユニ
ットのリン酸化の亢進の程度は、非存在下でのそれと比
較して、約15倍であった(図7)。なお、用いたGS
T−RhoAの濃度は各1μMであった。
クラーゼ(H. Horiuchi et al., Mol. Cell. Biol. ,1
2,4515-4520 (1992) )やRasタンパク質依存性MA
Pキナーゼキナーゼキナーゼ(B−Raf)(T. Itoh
, et al. , J. Biol. Chem. , 268, 3025-3028(199
3))では重要なことが知られている。Racタンパク質
の翻訳後の修飾も、NADPHオキシダーゼの活性化に
は重要である(S. Ando et al., J. Biol. Chem. , 26
7, 25709-25713(1992) )。そこで、RhoAタンパク
質の翻訳後の修飾が、ウシRhoキナーゼのキナーゼ活
性の亢進に影響を及ぼすかどうかを検討した。H. Horiu
chi et al., Mol. Cell. Biol. , 12 , 4515-4520 (199
2)およびT. Itoh et al., J. Biol. Chem. , 268, 3025
-3028(1993) に記載の方法に準じて、翻訳後修飾Rho
Aタンパク質を作製した。これを用いて、前述の方法に
従って、ウシRhoキナーゼのキナーゼ活性への影響を
調べた。結果は図8に示される通りであった。翻訳後修
飾されたGTPγS結合型RhoAタンパク質は、非修
飾型よりもS6ペプチドのリン酸化活性を亢進した。
配列およびこれをコードするDNA配列等 (1)ペプチド断片の配列決定 精製したウシRhoキナーゼをSDS−PAGEにかけ
た後、ポリビニリデン・ジフルオライド膜にトランスフ
ァーした。ウシRhoキナーゼに相当するバンドを、リ
ジルエンドペプチダーゼ、アクロモバクター・プロテア
ーゼI、およびエンドプロテイナーゼ Asp−Nで消
化し(A.Iwamatsu,Electrophoresis,13,142-147(1992)
)、得られたペプチド断片をC18カラムクロマトグ
ラフィーにより分離し、アミノ酸配列を決定した。37
種のペプチド断片が得られた。
グするために、ウシ脳cDNAライブラリー(合計1.
2×106の独立したプラーク)(クロンテック社)
を、精製したウシRhoキナーゼで決定された部分アミ
ノ酸配列(図9に示したアミノ酸配列の二重下線で示し
た部分)に相当するデジェネレート・オリゴ・プローブ
でスクリーニングした。ライブラリーをスクリーニング
するときのハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et
al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual: Cold
Spring Habor Laboratory , Cold Spring Harbor , NY
(1989)に記載されている方法に準じて行った。cDNA
の塩基配列を決定するために、単離したλgt10ファ
ージのポジティブクローンに挿入されていたcDNAを
pBluescript II SK(−)(M. A. Al
ting-Mees & J. M. Short , Nucleic Acids Res. ,17,
9494(1989))にクローン化し、ABI社のDNA シー
ケンサー373Sで配列を決定した。
ノ酸配列は、それぞれ配列番号2および配列番号1に示
される通りであった。cDNA塩基配列から予想される
ウシRhoキナーゼは、1388アミノ酸残基からな
り、計算上の分子量は160,797Daとなり、SD
S−PAGEで測定した分子量である約164kDaと
類似していた。決定した37種のペプチド断片全てがc
DNA塩基配列から予想されるウシRhoキナーゼアミ
ノ酸配列に含まれており、これらは図9のアミノ酸配列
の下線で示される。ウシRhoキナーゼの構造の中に
は、N末端の260アミノ酸からなる配列(配列番号1
の90〜359番のアミノ酸配列に相当)にセリンスレ
オニンキナーゼの一つであるマイトニック・ディストロ
フィー・キナーゼ(J. D. Brook et al., Cell , 68 ,
799-808(1992) 、Y. H. Fu et al. , Science, 255, 12
56-1258(1992) 、M. Madadevan et al. , Science, 25
5, 1253-1255 (1992))のキナーゼドメインと72%の
相同性を示す特徴的な配列が存在することが明らかにな
った。ウシRhoキナーゼの構造の中央には、ミオシン
・ロッドと相同性を示すコイルド・コイル領域が(配列
番号1の438〜1124番のアミノ酸配列に相当)、
C末端側にはジンク・フィンガー領域が(配列番号1の
1261〜1315番のアミノ酸配列に相当)存在する
ことが明らかとなった。
ルド・コイル領域、プレクストリン・ホモロジー(P
H)領域とマイトニック・ディストロフィー・キナーゼ
のそれらを比較した結果は図10に示される通りであっ
た。タンパク質のホモロジー検索は、BLAST プログラム
により行った(S. F. Altschul et al., J. Mol. Bio
l., 215, 403-410 (1990) )。
る組織特異的発現の解析 常法により、ウシRhoキナーゼの部分アミノ酸配列6
69〜681(KRQLQERFTDLEK)に対する
ウサギ・ポリクローナル抗体を作製するため、合成ペプ
チド(CKRQLQERFTDLEK:配列番号3のア
ミノ酸配列に相当)を抗原とし、担体としてウシ血清ア
ルブミンを用いて、常法に従って、ウサギを免疫し、血
清を精製した。
は、E. Harlow & D. Lame, Antibodies: A Laboratory
Mannual: Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Sprin
g Harbor , NY (1988)に記載の方法により実施した。タ
ンパク質濃度は、ウシ血清アルブミンを対象に用いて、
M. Bradford , Anal. Biochem., 72 , 248-254 (1976)
に記載の方法により実施した。また、ウサギで作製した
抗ウシRhoキナーゼ抗体がラットのRhoキナーゼと
交差反応を示すことを確認した。
ウシRhoキナーゼの組織特異的な発現を調べるために
ラットの組織を使った。Rhoキナーゼの発現は、大脳
と小脳で顕著であり、心臓、脾臓、胸線、肺および腎臓
での発現は弱く、骨格筋、肝臓および膵臓での発現はほ
とんど認められなかった。
換えウシRhoキナーゼとの結合 (1)プラスミド構築 インビトロ翻訳によりウシRhoキナーゼのコイルド−
コイル領域のタンパク質を得るために、pGEM−HA
−Rho−Kinaseを次のようにして構築した。ウ
シRhoキナーゼのうち配列番号1の421〜1137
番のアミノ酸配列に相当する部分をコードする2.2k
bのcDNAを、ウシRhoキナーゼcDNA(実施例
3(2))からPCRにより、プライマー5’ATAA
GGATCCCTACTAAGTGACTCTCCAT
CTTG3’、および5’TATAGGATCCTTA
ACTGCCTATACTGGAACTATCC3’を
用いて増幅した。この増幅cDNA断片をpGEM−H
AのBamHIサイトにクローン化した。
アルに記載されている条件で、TNT T7と共役した
レティキュラーサイト・ライセートの系(Promeg
a社製)を用いてインビトロ翻訳を行い、ウシRhoキ
ナーゼのコイルド−コイル領域のタンパク質を得た。グ
アニン・ヌクレオチド(各0.75nmol)をロード
したGST−低分子量Gタンパク質を、31μlのグル
タチオンーセファロース 4Bビーズに固定化して、3
10μl(10倍量)のバッファーAで洗浄した。固定
化ビーズを、30μlのインビトロ翻訳産物混合液に加
え、これに最終濃度が1mg/mlになるようにウシ血
清アルブミンを添加し、4℃で1時間穏和に振とうし
た。ビーズは、102μl(3.3倍量)のバッファー
Aで6回洗浄して、結合しているタンパク質をGST−
低分子量Gタンパク質と共に10mM グルタチオンを
含む102μl(3.3倍量)のバッファーAで3回溶
出した。最初の溶出液をSDS−PAGEにかけ、真空
乾燥後オートラジオグラフィーを行った。結果は図12
に示される通りであった。
のコイルド−コイル領域のタンパク質は、GTPγS・
GST−RhoAアフィニティービーズと結合し、グル
タチオンによりGTPγS・GST−RhoAとともに
溶出された(レーン3)。一方、GST(レーン1)、
GDP・GST−RhoA(レーン2)、GTPγS・
GST−RhoAAla37(レーン4)、GTPγS
・GST−Rac1(レーン6)、あるいはGTPγS
・GST−H−Ras(レーン8)のアフィニティービ
ーズには結合しなかった。ウシRhoキナーゼのコイル
ド−コイル領域付近のタンパク質(配列番号1の799
〜1137番のアミノ酸配列)を用いた場合でも、本質
的に同一の結合パターンが観察された(データ省略)。
このことは、GTPγS・GST−RhoAは、ウシR
hoキナーゼのコイルド−コイル領域と直接結合してい
ることを示している。尚、後述(実施例11)する様
に、ツー・ハイブリッドシステムを用いてヒトRhoキ
ナーゼ内のRho結合領域を決定した。その結果、ウシ
RhoキナーゼのRho結合領域は、配列番号1の94
3〜1068番のアミノ酸配列であると推定された(図
10)。
トリ・ミオシン結合サブユニットのリン酸化とこれによ
るミオシン軽鎖ホスファターゼ活性の抑制 (1)ウシRhoキナーゼによるニワトリ・ミオシン結
合サブユニットリン酸化試験 ウシRhoキナーゼはニワトリのミオシン結合サブユニ
ットを用いた場合でも、これをリン酸化した。ニワトリ
のミオシン結合サブユニット(Shimizu, H. etal., J.
Biol. Chem., 269, 30407-30411 (1994) )のC末端側
のペプチド断片(アミノ酸753 〜1004)とマルトース結
合タンパク質との融合タンパク質(MBS−C)を実施
例2(3)に記載の方法に準じて作製し、これを基質と
して用いて、実施例2(3)に記載の方法に準じてウシ
Rhoキナーゼによるリン酸化の程度を測定した(図1
3)。その結果、ウシRhoキナーゼによるMBS−C
のリン酸化の程度は、コントロール(GST存在下、レ
ーン1)に比べ、GTPγS・GST−RhoA存在下
で5倍以上亢進した(レーン3)。対照的に、GDP・
GST−RhoA(レーン2)、GTPγS・GST−
RhoAAla37(レーン4)、GDP・GST−R
ac1(レーン5)、GTPγS・GST−Rac1
(レーン6)ではリン酸化の亢進は認められなかった。
また、ニワトリのミオシン結合サブユニット(Shimizu,
H. et al., J. Biol.Chem., 269, 30407-30411 (1994)
)のN末端側のペプチド断片(アミノ酸1〜721)
を、MBS−Cのかわりに基質として用いた場合は、ウ
シRhoキナーゼはこれをリン酸化しなかった(データ
省略)。
・ミオシン軽鎖ホスファターゼ活性の抑制 ニワトリ砂嚢からの天然のミオシン軽鎖ホスファターゼ
の精製は、Shimizu, H. et al., J. Biol. Chem., 269,
30407-30411 (1994) に記載の方法に従って実施した。
様々な濃度の天然ウシ脳由来のウシRhoキナーゼ存在
下で、ミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化を測定し
た(実験1)。また、様々な濃度のウシRhoキナーゼ
存在下でリン酸化したミオシン軽鎖ホスファターゼの酵
素活性を測定した(実験2)。
的に、ミオシン軽鎖ホスファターゼ中のミオシン結合サ
ブユニットがリン酸化されること、およびウシRhoキ
ナーゼによるリン酸化により、ミオシン軽鎖ホスファタ
ーゼの酵素活性が抑制されることが明かとなった。図1
4は、以上の独立した2つの実験(実験1および実験
2)の結果を合わせて、ウシRhoキナーゼの濃度を横
軸に取って示したものである。尚、実験1および実験2
の具体的な方法は下記に示したとおりである。
軽鎖ホスファターゼのリン酸化(実験1)は、種々の量
のウシRhoキナーゼ存在下、1μMのGTPγS・G
ST−RhoA存在下または非存在下で、精製したミオ
シン軽鎖ホスファターゼ(1.0μgタンパク量)を含
む40μlのバッファー(34mM Tris/HC
l, pH 7.5、34mM KCl、4.0mM
MgCl2、1.625mM EDTA、1.2mM
DTT、1.3% シュクロース、0.38%CHAP
S、10μM [35S]ATPγS)中で行なった。
3分間インキュベート後、反応混合液をSDS−PAG
Eにかけた後、ミオシン結合サブユニットの被リン酸化
の程度をオートラジオグラフィー(Fuji BAS−
2000)により測定した。
リン酸化の影響(実験2)を調べるために、上記と同様
の方法により精製したミオシン軽鎖ホスファターゼ
(1.0μgタンパク量)を、放射能で標識しない10
μM ATPγSの存在下または非存在下、1μMのG
TPγS・GST−RhoA存在下または非存在下で、
種々の濃度のウシRhoキナーゼによりリン酸化した。
反応は5μlの46mMEDTAを加えて停止した。次
に5μlの放射標識したミオシン軽鎖を含む30mM
Tris/HCl,pH7.5、30mM KCl、
0.5mM DTTを加えて、トータル50μlの反応
混合液(5μM 32P−ミオシン軽鎖を含む)として
反応を開始した。反応は30℃にて6分間行なった。反
応を停止した後、ミオシン軽鎖に結合した32Pの量を
Ishihara, H. et al., Biochem. Biophys. Res. Commu
n. 159, 871-877 (1989) に記載の方法により測定し
た。
キナーゼ濃度依存的に35S−チオリン酸がミオシン結
合サブユニットに取り込まれた。一方、ATPγS存在
下では、ウシRhoキナーゼ濃度依存的にミオシン軽鎖
ホスファターゼ活性の抑制が見い出されたが、この抑制
はATPγS非存在下では見られなかった。以上の結果
より、ウシRhoキナーゼによりリン酸化を受けると、
ミオシン軽鎖ホスファターゼの酵素活性が抑制されるこ
とが明かとなった。
oタンパク質によるミオシン結合サブユニットおよびミ
オシン軽鎖のリン酸化の亢進の測定 下記に記載する様に、NIH/3T3細胞内で、Rho
タンパク質によってミオシン結合サブユニットのリン酸
化が亢進するかどうかについて検討した。製造企業(St
ratagene社)の使用説明書に基づき、NIH/3T3細
胞に、p3’SSおよびpOPRSVI−HA−Rho
AまたはpOPRSVI−HA−RhoAVal14を
安定的にトランスフェクションした。これらのプラスミ
ドはIPTG制御下にヘマグルチニン(HA)−Rho
AまたはHA−RhoAVal14を発現させることが
できる。35mmディッシュ中で培養しコンフルエント
(confluent )に達したNIH/3T3細胞株(親株、
NIH/3T3−RhoA−5、NIH/3T3−Rh
oA−24、NIH/3T3−RhoAVal14−7
およびNIH/3T3−RhoAVal14−25)を
5mM IPTGで24時間処理した。最後の12時間
は、血清を除去した培養液中で培養し、その後、9.2
5 MBqの[32P]−オルトリン酸で2時間標識し
た。その後、32Pで標識した細胞を溶解し、ミオシン
結合サブユニットを免疫沈降させた。洗浄した免疫沈降
物をSDS−PAGEにかけ、オートラジオグラフィー
した。
Val14をNIH/3T3細胞中に過剰に発現させた
ところ、A. J. Ridley & A. Hall, Cell 70, 389-399
(1992)およびA. J. Ridley & A. Hall, EMBO J., 13, 2
600-2610 (1994) に記載のように、高いレベルのストレ
ス・ ファイバーおよびフォーカル・コンタクト形成が観
察された。ミオシン結合サブユニットの量は、親株を含
む全てのNIH/3T3細胞株でほぼ同程度だった(デ
ータ省略)が、RhoAまたはRhoAVal14を過
剰に発現させたNIH/3T3細胞内のミオシン結合サ
ブユニットのリン酸化の程度は、親株のNIH/3T3
細胞内のミオシン結合サブユニットのリン酸化の程度に
比べて顕著に高かった(図15)。
Val14を過剰に発現させたNIH/3T3細胞内の
ミオシン軽鎖のリン酸化の程度を、下記に記載の方法に
従って測定した。IPTG処理および血清除去操作を1
00mmディッシュ中で行ったNIH/3T3細胞株に
10% TCAを添加した。ミオシン軽鎖のリン酸化の
程度を決定するために、トリクロロ酢酸(TCA)沈降
物をグリセロール- ウレア・ゲル電気泳動にかけ、リン
酸化された(monophosphorylated(MLCP)および d
iphosphorylated (MLCP2))ミオシン軽鎖とリン
酸化されていないミオシン軽鎖の相対的な量を、イムノ
・ブロット法(D. A. Taylor & J. T. Stull, J. Biol.
Chem. 263, 14456 (1988))により定量した。この際、
細胞を、0.1μMのホスファターゼ阻害剤(calyculi
n-A (CLA) )で10分間処理したところ、ミオシン軽鎖
のリン酸化の程度は上昇した(図16)。RhoAまた
はRhoAVal14を過剰に発現させたNIH/3T
3細胞内のミオシン軽鎖のリン酸化の程度は、親株のN
IH/3T3細胞内のミオシン軽鎖のリン酸化の程度に
比べて明かに高かった(図16)。異なる3株のRho
AまたはRhoAVal14を過剰に発現させたNIH
/3T3細胞を用いて、本質的に同一の結果が得られ
た。
以上の結果は、発現誘導させたRhoAまたはRhoA
Val14により、NIH/3T3細胞内に内因的に存
在するRhoキナーゼが活性化された結果、ミオシン結
合サブユニットのリン酸化が亢進し、ミオシン軽鎖ホス
ファターゼ活性が阻害され、これによって、ミオシン軽
鎖の脱リン酸化が抑制されたと解釈される。
欠失変異体によるミオシン軽鎖のリン酸化 無細胞系において、ウシRhoキナーゼ変異体が単離ミ
オシン軽鎖をリン酸化するかどうかを検討した。具体的
には下記の方法に従って実験を行った。ミオシン軽鎖
(Hathaway, D. R. & Haeberle, J. R. Anal. Biochem.
135, 37-43(1983) )、ミオシンおよびミオシン軽鎖キ
ナーゼ(Ikebe, M., & Hartshorne, D. J. J. Biol. Ch
em. 260, 10027-10031 (1985) )は、凍結したニワトリ
の砂嚢から精製した。精製ウシRhoキナーゼは、ウシ
の脳から精製した(実施例1)。
とGSTとの組換え融合タンパク質(Rhoキナーゼ
(CAT))を、下記に記載の方法に従って作製した。
ウシRhoキナーゼの触媒領域断片(配列番号1の6〜
553番のアミノ酸配列)をコードするcDNA断片
を、プラスミドpAcYM1−GST(Matsuura, Y. e
tal., J. Gen. Virol. 68, 1233-1250 (1987))のBa
mH1部位中に挿入した。得られたプラスミドを用い、
Matsuura, Y. et al., J. Gen. Virol. 68, 1233-1250
(1987)に記載の方法に従って、バキュロウイルス・シス
テムを利用することによって、Sf9細胞(ATCC
CRL 1711)にRhoキナーゼ(CAT)を生産
させ、これを精製した。
についてのキナーゼ反応は、50μlの反応混合液(5
0mM Tris−HCl(pH7.5)、2mM E
DTA、1mM DTT、7mM MgCl2 、0.1
5% CHAPS、250μM [γ−32P]ATP
[1〜20GBq/mmol]、精製ウシRhoキナー
ゼ[20ngのタンパク質]またはウシRhoキナーゼ
(CAT)および示した量のミオシン軽鎖またはミオシ
ン)(1μM GTPγS・GST・RhoA存在下、
または非存在下)中で実施した。ミオシン軽鎖キナーゼ
についてのキナーゼ反応は、50μlの反応混合液(5
0mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM M
gCl2 、85mM KCl、500μM [γ−
32P]ATP[0.5〜5GBq/mmol]、精製ミ
オシン軽鎖キナーゼ[50ngのタンパク質]および示
した量のミオシン軽鎖またはミオシン)(0.1mM
CaCl2 および10μg/ml カルモジュリン存在
下または非存在下)中で実施した。30℃において10
分間インキュベートした後、反応混合液をSDS−試料
バッファー中で煮沸し、SDS−PAGEにかけた。S
DS−PAGEは過去に記載された方法(Laemmli, U.
K. Nature 227, 680-685 (1970) )に従って実施した。
放射性標識されたバンドを画像解析装置(Fuji)に
より可視化した。
がミオシン軽鎖をリン酸化することを見出した(図1
7)。GTPγS・GST−RhoAは精製ウシRho
キナーゼによるミオシン軽鎖のリン酸化を増強したが、
GDP・GST−RhoAまたはGTPγS・GST−
RhoAAla37 は増強しなかった(図17)。因みに、
RhoAla37 はRasAla35 と構造上同等である。Ra
sAla35 は、エフェクタードメインの中にアミノ酸置換
を含有し、その置換によりRasAla35 はその標的と結
合することができない(Satoh, T. et al., J. Biol. C
hem. 267, 24149-24152(1992) 、McCormick, F., Curr.
Opin. Genet. Dev. 4, 71-76(1994) )。また、GTP
γS・GST−Rac1も効果がなかった。構成的に活
性化されている組換えウシRhoキナーゼ(ウシRho
キナーゼ(CAT))もミオシン軽鎖をリン酸化した。
同様な条件下で、ミオシン軽鎖キナーゼはCa2+−カ
ルモジュリン依存的な様式でミオシン軽鎖をリン酸化し
た(図17)。また、ウシRhoキナーゼが、無傷(in
tact)のミオシンのミオシン軽鎖を、GTPγS・GS
T−RhoA依存的な様式でリン酸化することを見出し
た(図17)。最大約1モルのリン酸塩が、1モルの単
離されたミオシン軽鎖または無傷のミオシンのミオシン
軽鎖の中に、GTPγS・GST−RhoAの存在下
で、精製ウシRhoキナーゼによって、あるいはウシR
hoキナーゼ(CAT)によって、取り込まれた(デー
タ省略)。因みに、ミオシン軽鎖キナーゼおよびプロテ
インキナーゼCのような特定のキナーゼは、無傷のミオ
シンをstoichiometricalな様式でリン酸化することが知
られている(Tan, J. L. et al., Annu. Rev. Biochem.
61, 721-759(1992))。
たミオシン軽鎖の見掛けの親和性は、種々の濃度のミオ
シン軽鎖のリン酸化を測定することによって推定された
(図18)。GTPγS・GST−RhoAの存在下ま
たは非存在下におけるミオシン軽鎖についての見掛けの
Km値は、それぞれ、2.6±0.4および12.6±
1.6μMであり、そして分子の活性(molecular acti
vities)は0.26±0.03および0.15±0.0
2sec−1であった。従って、GTPγS・GST−
RhoAはミオシン軽鎖に対するウシRhoキナーゼの
親和性を亢進(increase)し、リン酸化反応の最大速度
を生成(produce )するように思われた。ウシRhoキ
ナーゼ(CAT)の見掛けのKm値および分子活性はそ
れぞれ0.91±0.07μMおよび0.67±0.0
9sec−1であった。ミオシン軽鎖に対するミオシン
軽鎖キナーゼの見掛けのKm値および分子活性(molecu
lar activity)は、前述の条件の下で、それぞれ、5
2.1±7.1μMおよび2.0±0.36sec−1
であった。ミオシン軽鎖に対するウシRhoキナーゼの
Km値は、ミオシン軽鎖キナーゼのそれより低い。この
ことより、ウシRhoキナーゼはより低い濃度において
ミオシンをリン酸化するが、ウシRhoキナーゼの分子
活性はミオシン軽鎖キナーゼのそれより低いことが示さ
れた。精製ウシRhoキナーゼの分子活性がウシRho
キナーゼ(CAT)のそれより低かった理由は、精製過
程で精製ウシRhoキナーゼの活性が失活したという事
実(データ省略)により説明することができる。
欠失変異体によってリン酸化されるミオシン軽鎖のリン
酸化部位の決定 ミオシン軽鎖は、優先的にSer−19が、次にThr
−18がミオシン軽鎖キナーゼによりリン酸化される。
(Ikebe, M. & Hartshorne, D. J. J. Biol. Chem. 26
0, 10027-10031 (1985))。そして、Ser−19のリ
ン酸化はアクチンによるミオシンATPアーゼの活性化
に必須である(Kamisoyama, H. et al., Biochemistry
33, 840-847(1994) 、Bresnick, A. R. et al., Bioche
mistry 34,12576-12583(1995))。ミオシン軽鎖はSe
r−1、Ser−2およびThr−9においてプロテイ
ンキナーゼCによりリン酸化され、そしてプロテインキ
ナーゼCによるこのリン酸化はミオシンATPアーゼに
よるアクチン活性化を阻害する(Nishikawa, M. et a
l., J. Biol. Chem. 259, 8808-8814(1984) 、Bengur,
A. R. et al., J. Biol. Chem. 262, 7613-7617(1987)
、およびIkebe, M. & Reardon, S. Biochemistry 29,
2713-2720(1990))。
主要なリン酸化部位を決定するために、ウシRhoキナ
ーゼ、ミオシン軽鎖キナーゼまたはプロテインキナーゼ
Cによりin vitroでリン酸化されたミオシン軽
鎖のペプチドマッピングを実施した。ミオシン軽鎖のリ
ン酸化ペプチドのマッピング分析は記載されている方法
(Naka, M. et al., Nature 306, 490-492(1983))に従
って実施した。その結果、ウシRhoキナーゼによりリ
ン酸化されたミオシン軽鎖の2次元ペプチドマッピング
のパターンは、ミオシン軽鎖キナーゼにより生成された
それと同一であったが、プロテインキナーゼCにより生
成されたそれと異なっていた(図19)。
れている方法(Hunter, T. & Sefton, B. M., Proc. Na
tl. Acad. Sci. U. S. A. 77, 1311-1315(1980) )に従
って実施した。その結果、ウシRhoキナーゼによるリ
ン酸化はミオシン軽鎖の主としてセリン残基と一部のス
レオニン残基において起こること、そしてミオシン軽鎖
キナーゼによるリン酸化はミオシン軽鎖のセリン残基
(Ser−19)においてのみ起こることが明らかとな
った(データ省略)。この様な条件では、ミオシン軽鎖
キナーゼはミオシン軽鎖のSer−19を優先的にリン
酸化することが想起された。精製ウシRhoキナーゼの
代わりにウシRhoキナーゼ(CAT)を用いた場合で
も、本質的に同一の結果が得られた。
よびThr−18とSer−19がアラニン残基に置換
されたミオシン軽鎖と融合し、ウシRhoキナーゼおよ
びミオシン軽鎖キナーゼがこれらの組換えタンパク質を
リン酸化することができるかどうかを検討した。これら
の組換えタンパク質を大腸菌で発現させるためのベクタ
ー(pGEX−ミオシン軽鎖およびpGEX−ミオシン
軽鎖Ala18,Ala19 )は下記のようにして構築した。プラ
イマー5’AATAGGATCCGATTTAACCG
CCACCATGTCG3’および5’ATAAGGA
TCCTCAGTCATCTTTGTCTTTCGCT
C3’を使用して、ラット脳QuickクローンcDN
A(Clontech社)から、ポリメラーゼ連鎖反応により、
ミオシン軽鎖をコードする0.55キロ塩基対のcDN
A断片を増幅した。アラニン(Ala)によるThr−
18およびSer−19の置換は、ポリメラーゼ連鎖反
応により実施した(Higuchi, R. in PCR Technology (E
rlich, H. A. ed) pp. 61-70, Stockton Press, New Yo
rk(1989))。cDNA断片をpGEX−2TのBamH
I部位中にクローン化した。
シン軽鎖キナーゼの双方がGST−ミオシン軽鎖をリン
酸化したが、GSTまたはGST−ミオシン軽鎖
Ala18,Ala19 をリン酸化しなかった(図20)。プロテ
インキナーゼCはGST−ミオシン軽鎖およびGST−
ミオシン軽鎖Ala18,Ala19 の双方をリン酸化した(デー
タ省略)。これらの結果より、ウシRhoキナーゼがミ
オシン軽鎖を主としてSer−19においてリン酸化す
ること、このSer−19はミオシン軽鎖キナーゼによ
りリン酸化される部位と同一であることが示された。
ゼアッセイ ウシRhoキナーゼが無細胞系においてミオシン軽鎖キ
ナーゼと同等に機能するかどうかを検討するために、ア
クチン活性化MgATPアーゼアッセイを実施した。精
製された無傷のミオシンをウシRhoキナーゼ(CA
T)により1モルのミリオン当り1モルのリン酸化が起
きる様にリン酸化し、次いでアクチンによって活性化さ
れたMgATPアーゼ活性を測定した。具体的には下記
に記載の方法に従って実施した。ミオシンATPアーゼ
アッセイは、過去に記載されている方法(Ikebe, M. et
al., Biochemistry 23, 5062-5068 (1984) )に一部変
更を加えて実施した。まず、0.1mg/mlのミオシ
ンを、ウシRhoキナーゼ(CAT)(450ngのタ
ンパク質)により0.45mlの反応混合液(50mM
Tris−HCl(pH7.5)、2.2mM ED
TA、1mM DTT、6mM MgCl2 、1mM
EGTA、85mM KCl、1μM GTPγS・G
ST−RhoAおよび500μM ATP[80〜20
0MBq/mmol]中で、30℃で20分間リン酸化
した。また、0.1mg/mlのミオシンをミオシン軽
鎖キナーゼ(450ngのタンパク質)により、0.1
mM、CaCl2 および10μg/mlカルモジュリン
を存在させる以外は同様の条件でリン酸化した。ミオシ
ンATPアーゼ反応は、0.45mlのATPアーゼバ
ッファー(0.05mg/ml リン酸化ミオシン、5
0mM Tris−HCl(pH7.5)、0.5mM
DTT、10mM MgCl2 、0.5mM EG
TA、85mMKCl、および1mM ATP[80〜
200MBq/mmol])(1mg/mlのF−アク
チン存在下、または非存在下)中で30℃で30分間実
施した。反応混合液の各80μlを示した時間に停止溶
液(1.3% チャーコール、0.12M NaH2 P
O4 および0.33M 過塩素酸)に添加し、濾過し
た。[γ−32P]ATPから遊離した無機リン酸塩を、
シンチレーションカウンターにより測定した。尚、F−
アクチンは、ウサギの骨格筋から精製し(Spudich, J.
A., & Watt, S. J. Biol. Chem. 246, 4866-4871(197
1))、[γ−32P]ATPはアマシャム社から購入し
た。
化されたミオシンのMgATPase活性は増加し、そ
の増加はF−アクチン依存的な様式であり、その増加の
程度はミオシン軽鎖キナーゼによるそれと同様であった
(図21)。アクチンに対する見掛けのKa値と被リン
酸化ミオシンの分子活性はそれぞれ、0.56±0.0
5μMおよび0.18±0.02sec−1であった。
これらの値は、ミオシン軽鎖キナーゼによってリン酸化
されたミオシンに対しての値と、ほぼ同様であった。
尚、天然の精製Rhoキナーゼの代わりにRhoキナー
ゼ(CAT)を本実験に用いた理由は、ミオシンのAT
Pase活性を測定するのに高い濃度のミオシンが必要
であるが、この実験条件下では天然の精製Rhoキナー
ゼを用いるとミオシンのstoichiometricalなリン酸化が
見られないからである。
NAのクローニング ヒト脳mRNA(CLONTECH 社)0.5μgを鋳型としてSupe
rScriptTM Preamplification System(BRL 社)を用いて
1st strand DNAを合成した。この反応液の1/20量を、PC
R の鋳型として用い、ウシRhoキナーゼ cDNAの
塩基配列をもとに合成したプライマー(5-CAT TTT CAT
TTC TAG GAG ATG ATT ATT CTC TTG CTTTAA C-3, 5'-AA
A AAG CAC TTC TTC AGC ACA AAA ATG CAG AAT ATC AGC
G-3) で、TAKARA LA PCR Kit を使ってPCR を行い、ヒ
トRhoキナーゼ cDNAの部分断片(配列番号4に
記載の塩基配列1151〜2476)を得た。このcD
NA断片をプローブとして、ヒト脳λgt10cDNAライブラ
リーを1.0×106 プラークをスクリーニングした。
スクリーニングは、J.Sambrook et.al., MolecularClon
ing: A Laboratory Manual: Cold Spring Habor Labora
tory, Cold SpringHarbor, NY(1989) の記載に準じて行
った。ウシRhoキナーゼ遺伝子の塩基配列と比較した
結果、得られた2つのクローン、p164−20(配列番号5
の938〜3710番の塩基配列)およびC−9塩基配
列(配列番号5の2898−4365番の塩基配列))で、C末
端端の翻訳領域約2kbpをカバーしていることが解かっ
た。
るため、さらにヒト脳λgt10cDNAライブラリー1.0×
106 を、クローンp164-20 をプローブとしてスクリー
ニングした。その結果、ひとつのクローン、N6が開始コ
ドンを含むN末端約1kbp(配列番号5に記載の塩基配列
1〜929)をカバーしていることが解かった。p164-2
0 とN6の間をカバーするcDNA断片を得るために、CL
ONTECH社製 Human Brain QUICK−CloneTM cDNAを鋳型と
して、プライマー5-CCT TTG TCA TCT TCA ATGTCA TCG A
AA TTG-3 と 5-CGT GTA TGA AGA TGG ATG AAA CAG GCA
TGG-3 を使いTAKARA LA −PCR kit (宝酒造社)を用
いてPCR を行い塩基配列734〜1145に相当するc
DNA断片を増幅した。
バーするこれら4つのクローンは、Stratagene社のpBlu
scriptII SK(−) (M.A.Alting−Mees and J.M.Short,
Nucleic Acids Res., 17, 9494 (1989))中にクローン化
した。塩基配列決定のため、Pharmacia 社製double−st
randed Nested Deletion Kitを使用してdeletion mutan
t を作製し、ABI 社の 377 DNAシークエンサーを使って
配列を決定した。尚、使用したヒト脳λgt10cDNAライブ
ラリーはCLONTECH社より購入した。
推定アミノ酸配列は、それぞれ配列番号5および配列番
号4に記載した通りであった。ヒトRhoキナーゼの推
定タンパク質は、1388アミノ酸からなり、推定分子
量は、約161kDaであった。ヒトRhoキナーゼの
アミノ酸配列(配列番号4)は、ウシ(配列番号1)、
ラットROKα( Leung, T. et al., J. Biol. Chem.,
270, 29051 −29054(1995)*に記載されたラットRO
Kαのアミノ酸配列は、N末端の84アミノ酸を欠いて
いるが、その後完全長のアミノ酸配列がデータベースに
登録された(EMBL Data Bank accession number U3848
1)。以下、ラットROKαのアミノ酸配列番号はこの
データベースに記載の配列番号に則り記載する)と高い
同一性を示し、全長のヒトRhoキナーゼのアミノ酸
と、ウシRhoキナーゼおよびラットROKαのそれら
と、それぞれ97%および95%の同一性を示した。N
末端側にキナーゼドメイン、中央にRho結合領域(実
施例11)を含むコイルドコイル・ドメイン、C末端側
には、ジンクフィンガー様モチーフが存在した。ヒトR
hoキナーゼのキナーゼドメイン(配列番号4の90〜
359番のアミノ酸配列)は、アミノ酸レベルで、ウシ
Rhoキナーゼ(配列番号1の90〜359番のアミノ
酸配列)と98%、ラットROKα(アミノ酸配列88
〜357)と97%の同一性を示した。ヒトRhoキナ
ーゼのコイルドコイル・ドメイン(配列番号4の438
〜1124番のアミノ酸配列)は、アミノ酸レベルで、
ウシRhoキナーゼ(配列番号1の438〜1124番
のアミノ酸配列)と97%、ラットROKα(アミノ酸
配列436〜1122)と95%の同一性を示した。ヒ
トRhoキナーゼのジンクフィンガー様モチーフ(配列
番号4の1261〜1315番のアミノ酸配列)は、ア
ミノ酸レベルで、ウシRhoキナーゼ(配列番号1の1
261〜1315番のアミノ酸配列)と100%、ラッ
トROKα(アミノ酸配列1259〜1313)と98
%の同一性を示した。
(配列番号4)の669番〜681番に、ウシRhoキ
ナーゼのアミノ酸配列(配列番号1)の669番〜68
1番と同一の配列であり、実施例3(4)に記載の抗R
hoキナーゼ抗体によって認識されるアミノ酸配列(K
RQLQERFTDLEK)が見出された。このことよ
り、ヒトRhoキナーゼも合成ペプチドCKRQLQE
RFTDLEKを抗原として作製した抗Rhoキナーゼ
抗体(実施例3(4))によって認識されうることが明
らかとなった。以上より、ヒトRhoキナーゼは、ウシ
Rhoキナーゼのヒト・カウンターパートのタンパク質
であると結論された。
(全長)(配列番号4)は、ヒトp160ROCK(Is
hizaki, T., et.al. EMBO J., 15, 1885−1893 (1996)
*)のそれと67%の同一性を示した。ヒトRhoキナ
ーゼのキナーゼドメイン(配列番号4の90〜359番
のアミノ酸配列)は、ヒトp160ROCKのキナーゼ
ドメイン(Ishizaki, T., et.al. EMBO J., 15, 1885−
1893 (1996) *)に記載のアミノ酸配列74〜343)
とも92%という高い同一性を示した。このことより、
ヒトRhoキナーゼは、ヒトp160ROCKのアイソ
ザイムであると結論した。
ムを用いたヒトRhoキナーゼと活性型Rhoタンパク
質の結合の検出 酵母を用いたツー・ハイブリッド・システムにより、以
下に記載の方法に従って、ヒトRhoキナーゼのRho
結合領域を決定した。ヒトRhoキナーゼのアミノ酸番
号943〜1068に相当する塩基配列を、プライマー
(5-TTG CGG CCG CTA AAG ATC ATG AAA GAG CTG GAG AT
C-3', 5' TAG CGG CCG CAA CAT ATG TAGCTT TCT ATT CT
C-3' )を用いてPCR で増幅した後、p VP16のNotI
部位に挿入し、Rhoキナーゼ−VP16−融合タンパ
ク質発現用ベクターを作製した(Vojtek,A.B.et. al. C
ell ,74,205 −214 (1993)) 。LiCl法(Ito, H.et. al.
J.Bacteriol., 153,163 −168 (1983)) により、それぞ
れLexA− 野生型H −Ras融合タンパク質、Le
xA− 野生型Rho融合タンパク質、LexA−活性
型Rho融合タンパク質、LexA− 野生型H−Ra
s融合タンパク質とRhoキナーゼ−VP16−融合タ
ンパク質、LexA− 野生型Rho融合タンパク質と
Rhoキナーゼ−VP16−融合タンパク質、LexA
−活性型Rho融合タンパク質とRhoキナーゼ−VP
16−融合タンパク質を酵母(S. cerevisiae )L40
株(Mat a trp1 leu2 his3 ade2 LYS2::(LexAop)4-HIS3
URA3::(LexAop)8-LacZ )で発現させて、選択培地(Le
u −,Trp−,His−,200mM 3AT)上で培養し、ヒスチジン
要求性を調べた。その結果、LexA−活性型Rho融
合タンパク質とRhoキナーゼ−VP16−融合タンパ
ク質を発現している株のみが、選択培地上で生存するこ
とが出来た(図23)。このことから、ヒトRhoキナ
ーゼの943〜1068番のアミノ酸配列もしくはその
部分配列が、Rho結合領域であることが明らかとなっ
た。
ラットRhoキナーゼおよびウシRhoキナーゼの相当
する部分のアミノ酸配列を比較した結果、ヒトRhoキ
ナーゼ(アミノ酸配列943〜1068)とラットRO
Kα(アミノ酸配列941〜1066)では98%、ヒ
トRhoキナーゼとウシRhoキナーゼ(アミノ酸配列
943〜1068)では98%の同一性を示した。一
方、ヒトRhoキナーゼのRho結合領域(アミノ酸配
列943〜1068)とヒトp160ROCKの相当す
る部分(アミノ酸配列910〜1039)では、53%
の同一性が見られた。
よるスキンド平滑筋収縮の誘導 Rhoタンパク質がミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化
とその結果として起きる平滑筋の収縮を制御しているこ
とはよく知られている(Somlyo, A. P. & Somlyo, A.
V. Nature 372, 231-236 (1994); Noda, M. et al. FE
BS Lett. 367, 246-250 (1995); Hirata, K. et al.
J. Biol. Chem. 267, 8719-8722 (1991);Gong, M. C. e
t al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 1340-1345 (19
96)*)。Rhoタンパク質がCa2+感受性の亢進(G
ong, M. C. et al. Proc. Natl.Acad. Sci. USA 93, 13
40-1345 (1996)*)を引き起こすためには、拡散しうる
共役因子(diffusible cofactor)が必要である(Gong,
M. C. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 1340-
1345 (1996)*)。しかしながら、これまで、Rhoタ
ンパク質を介した平滑筋収縮のCa2+感受性の亢進の
詳細なメカニズムは不明であった(Gong, M. C. et al.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 1340-1345 (199
6)*)。
ンパク質であるRhoキナーゼがRhoタンパク質によ
って活性化され、活性化されたRhoキナーゼによりミ
オシン軽鎖ホスファターゼのミオシン結合サブユニット
(MBS)がリン酸化されることにより抑制されるこ
と、その結果、ミオシン軽鎖の被リン酸化レベルが亢進
することを見出した(実施例1〜6)。また、本発明者
らはRhoキナーゼが直接ミオシン軽鎖をリン酸化する
ことも見出した(実施例7〜9)。これらのデータは、
RhoキナーゼがRhoタンパク質の下流の標的タンパ
ク質として働いていることばかりでなく、平滑筋収縮の
制御において極めて重要な役割を果たすことを示してい
る。
タンパク質による血管平滑筋収縮のCa2+感受性の亢
進に必要なRho標的タンパク質であることを確認する
ために下記の実験を実施した。 (1)RhoキナーゼによるTriton X-100で処理したウ
サギ門脈血管の収縮の誘導 まず、本発明者等は、組換えRhoキナーゼ触媒領域
(Rhoキナーゼ(CAT))(実施例7)をTriton X
-100を用いて透過性を亢進させたウサギ門脈中膜血管
(Triton X-100-permiabilized RPV)の細胞質内に外来
的に投与した際の効果について検討した。その結果、細
胞質内に投与したRhoキナーゼ(CAT)により血管
が収縮し、それと同時にTriton X-100-permiabilized R
PV中のミオシン軽鎖の一リン酸化(monophosphorylatio
n)が亢進した。この効果は細胞質内のCa2+濃度が
実質的にゼロの条件(10mM EGTAの緩衝作用に
よる)においても認められた。詳細を下記に記載する。
く亢進させた Triton X-100-permiabilized RPVでは、
タンパク質等の高分子量の化合物が受容体型Gタンパク
質のシグナル伝達とカップリングすることなく細胞膜を
通過できる。このことを利用して、0.5% Triton X-100
を用いて透過性を著しく亢進させたウサギ門脈血管平滑
筋(RPV)の細胞質内に外来的にRhoキナーゼ(C
AT)(分子量約80kDa)を導入した。具体的には
下記に記載の方法に従って実験を実施した。
標本の小片(幅50〜100μm、長さ0.5〜1m
m)を切り出し、等尺性張力トランスジューサー(ミネ
ベア社製UL−2GR)に連結し、バブル・プレート
(bubble plate)上のウエルに乗せた(Kobayashi, S.
et al. J. Biol. Chem. 264, 17997-18004 (1989))。
118mM K+によって生じた収縮を記録した後、標
本を弛緩溶液中でインキュベートし、その後0.5%の
Triton X-100で20分間、25℃で処理または5000
IU/mlのα−トキシンで60〜75分間、25℃で
処理した。上記に用いた溶液は過去に詳細に記載されて
いる(Persechini, A. K. et al. J. Biol.Chem. 261,
6293-6299 (1986))。カルモジュリン(0.5μM)
を、化学的な透過性亢進を利用した実験に使用した反応
溶液すべてに添加した。Rhoキナーゼ(CAT)は実
施例7に記載の方法に従って作製した。
び図24b)およびpCa<<8.0(図24c)にお
いて、 Rhoキナーゼ(CAT)は著しい収縮を誘導
した。これらの収縮はRhoキナーゼを洗浄することに
より完全に元に戻った(図24b)。対照的に、microc
ystin-LRを用いて誘導した収縮では、洗浄によっても元
に戻らなかった(図24b)。一方、無傷(intact)の
血管標本やα-toxinを用いて透過性を亢進させた血管標
本では、Rhoキナーゼ(CAT)による収縮は認めら
れなかった(データ省略)。以上の結果より、Triton X
-100処理によって生じた大きな穴を通過して、Rhoキ
ナーゼ(CAT)が平滑筋の細胞質に外来的に導入され
たこと、それによって血管が収縮したことが示された。
また、導入されたRhoキナーゼ(CAT)の作用が可
逆的であることから、おそらくこの収縮は生理的な現象
を反映しており、受容体型Gタンパク質に共役しなく細
胞質内Ca2+濃度に依存しないものであることが示唆
された。
で処理したウサギ門脈血管の収縮感受性の亢進 本発明者等は次に、細胞質に導入したRhoキナーゼ
(CAT)が Triton X-100-permiabilized RPVの収縮
装置(contractile apparatus)のCa2+感受性を亢
進する(potentiates)かどうかを確認するために、
7.5nMのRhoキナーゼ(CAT)の存在下でのp
Caと張力の関係について検討した。その結果、この濃
度のRhoキナーゼ(CAT)は、pCa<<8では通
常張力反応を誘導しないが、pCaを増加させると収縮
装置を刺激することが明らかになった。即ち、Rhoキ
ナーゼ(CAT)は、対照に比べて最大張力反応を有意
(ANOVA解析でp<0.05)に増強した(図25
a、白丸)。Ca2+感受性の指標として最大張力の5
0%を誘導するのに必要なpCa値を示すEC50値を
それぞれ決めるために、図25aに示したデータを、無
反応条件(pCa<8.0での値)と最大反応条件(5
00nMのokadaic acidの存在下または7.5nMのR
hoキナーゼ(CAT)の存在下または非存在下におけ
るpCa4.5)での値をそれぞれ0%および100%
と仮定することによって再標準化した。Rhoキナーゼ
(CAT)の存在下でのEC50値の計算値(0.29
9±0.045μM、n=4)と対照の値(0.376
±0.046、n=4)と有意差はなかったが、1型お
よび2A型のタンパク質ホスファターゼに対する強力な
阻害剤であるokadaic acid (OA)(Bialojan, C. et al.
Nature 298, 81-95 (1988); Takai, A. et al. FEBS L
ett. 217, 81-95 (1988))存在下での値(0.212±
0.013μM、n=4)は対照に比べて統計的に有意
差が認められた(図25a、黒丸、p<0.05)。以
上の結果より、Rhoキナーゼ(CAT)は細胞内Ca
2+濃度に非依存的に収縮の感受性を亢進するが、この
感受性の亢進のメカニズムはOAによるようなミオシン軽
鎖ホスファターゼの阻害だけによるのではないことが示
唆された。
キナーゼ(MLCK)経路を介したミオシン軽鎖のリン
酸化は、結果としてミオシン−アクチン相互作用および
それに引き続いてミオシンATPアーゼの活性化を促す
ことから、平滑筋収縮において主要な役割を果たす(Ka
mm, K. E. & Stull, J. T. Annu. Rev. Pharmacol. Tox
ical. 25, 593-603 (1985); Hartshorne et al. in Ph
ysiology of the gastrointestinal Tract (ed Johnso
n, L. R.) 423-482 (Raven Press, New York (1987);
Sellers, J. R. & Adelstein, R. S. in The Enzyme Vo
l.18 (eds Boyer, P. & Erevs, E. G.) 381-418 (Acade
mic Press, San Diego, CA (1987))。Rhoキナーゼ
によって誘導される収縮におけるCa2+−カルモジュ
リン−ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)経路の関与に
ついて調べるために、本発明者等はRhoキナーゼ(C
AT)のcummulativeな投与によって誘導される張力形
成におけるwortmannin (WM)の効果について検討した
(図25b)。その結果、生理的なCa2+濃度である
pCa6.5においては張力形成がRhoキナーゼ用量
依存性を示したが、10μMのWM存在下では用量依存性
のカーブが下方向にシフトした。pCa6.5での結果
とは対照的に、pCa<<8.0においてRhoキナー
ゼ(CAT)によって誘導された張力形成は、10μM
のWMの存在下でも有意には変化しなかった(ANOVA
解析で有意差なし)。
害することが知られている(Nakanishi, S. et al. J.
Biol. Chem. 267, 2157-2163 (1992))。また、Rho
キナーゼ(CAT)非存在下でpCa6.5におけるC
a2+による収縮は10μMのWM処理で完全に阻害され
た(データ省略)。以上を考慮すると、pCa6.5に
おいてRhoキナーゼによって誘導されるCa2+感受
性の亢進をWMが変化させる理由は、おそらく細胞質内C
a2+によって誘導される収縮それ自体を阻害すること
によるものであり、WMがRhoキナーゼを介した経路を
阻害しているからではないと思われる。統計学的解析結
果を含めて以上のデータを総合すると、Ca2+非存在
下でRhoキナーゼによって誘導される収縮はCa2+
−カルモジュリン−ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)
経路とは独立的なメカニズムに基づくと考えられる。 (3)Rhoキナーゼによる Triton X-100で処理した
ウサギ門脈血管中のミオシン軽鎖のリン酸化の亢進
ン軽鎖のリン酸化を伴う収縮を誘導するかどうかを明ら
かにするために、本発明者等はミオシン軽鎖のリン酸化
におけるRhoキナーゼ(CAT)の効果について、抗
ミオシン軽鎖ポリクローナル抗体を用いて検討した。具
体的には下記の方法に従って実験を実施した。
T)および/または10μMのwortmannin(WM)で処理
した後、Triton X-100によって透過性を亢進させたフリ
ンジ様(fringe-like)のウサギ門脈血管標本を迅速に
10%TCAおよび10mMDTTを含むアセトンの凍
結したslurry中に置いて収縮反応を停止させた。TCA
を除いた後、標本を尿素サンプル緩衝液(20mM ト
リス、22mM グリシン(pH8.6)、8M尿素、
10mM DTT、10%ショ糖、0.1%bromphenol
blue)中でホモジェナイズした後、グリセロール−尿
素ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、抗ミオシン
軽鎖抗体を用いたイムノブロッティングを実施した(Pe
rsechini, A. K. et al. J. Biol. Chem. 261, 6293-62
99 (1986))。
たように、pCa<<8.0では、ミオシン軽鎖の一リ
ン酸化がRhoキナーゼ(CAT)存在下(レーン2)
でのみ検出され、そしてそれは10μMのWMに非感受性
であった(レーン3)。一方、pCa6.5(レーン4
−6)では、Rhoキナーゼ(CAT)はミオシン軽鎖
の一リン酸化を有意に増強し(レーン5)、そしてそれ
は10μMのWMに感受性であった(レーン6)。以上の
結果は、収縮反応におけるRhoキナーゼ(CAT)の
効果と一致した(図26b)。従って、Rhoキナーゼ
(CAT)は、おそらくCa2+−カルモジュリン−M
LCKに非依存的な経路によってメディエートされるミ
オシン軽鎖のリン酸化レベルの亢進の結果、収縮反応を
増強すると結論された。 (4) RhoキナーゼがTriton X-100で処理したウサ
ギ門脈血管中に存在しないことの証明
感受性の亢進を引き起こすために、拡散性の共役因子
(diffusible cofactor)を要求する(Gong, M. C. et
al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 1340-1345 (199
6)*)。即ち、Triton X-100処理によって透過性が亢進
されると、Rhoを介した情報伝達経路に関る下流の分
子(これらはCa2+感受性の亢進を引き起こすために
必要な拡散性の共役因子である)が細胞から漏れて(le
ak)しまうために、このようなTriton X-100で強力に透
過性を亢進させたRPV(extensively Triton X-100-perm
eabilized RPV)では、Rhoは収縮効果を発揮できな
いと推測される(Gong, M. C. et al. Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 93, 1340-1345 (1996)*)。
が、Rhoタンパク質によるCa2+感受性の亢進に必
須である上記の拡散性の共役因子であるかどうかを調べ
るために、extensively Triton X-100-permeabilized R
PV中にRhoキナーゼが存在するかどうかを検討した。
具体的には下記に記載する方法に従って実験を実施し
た。
亢進させたウサギ門脈血管および透過性を亢進させてい
ない(即ち無傷(intact)な)ウサギ門脈血管を抽出緩衝
液(50mM トリス−HCl(pH7.2)、100
mM NaCl、2mM EGTA、1mM EDT
A、1mM DTT、0.1μM p-amidinophenyl me
thansulfonyl fluoride hydrochloride、10μg/m
l ロイペプチン、1mM ベンザミジン)中でホモジ
ェナイズした。各々の抽出液を43000rpmで30
分間、4℃で遠心分離し、上清をSDS−PAGEにか
けイムノブロッティングした。イムノブロット解析に用
いるために、ウシRhoキナーゼのコイルド−コイル領
域(配列番号1の421〜701番のアミノ酸配列)と
GSTとの融合タンパク質(Rhoキナーゼ(COI
L))を実施例13に記載の方法に準じて作製し、常法
に従ってこれを抗原としてウサギを免疫することにより
ポリクローナル抗体を作製した。この抗Rhoキナーゼ
(COIL)抗体および抗20kDaミオシン軽鎖抗体
(J. T. Stull博士より提供を受けた)を用いたイムノ
ブロット解析は、過去に記載の方法(Harlow, E. & Lan
e, D. Antibodies: A Laboratory Mannual. (Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY
(1988))に従って実施した。染色されたタンパク質は
ECL(アマーシャム社)によって可視化し、定量のた
めにdensitometryにかけた。
者等は、extensively Triton X-100-permeabilized RPV
において、内在性のRhoキナーゼが失われていること
を見出した。図27a(レーン1、2)に示したよう
に、extensively Triton X-100-permeabilized RPVでの
Rhoキナーゼの量は、無傷(intact)の組織のそれに
比べて著しく減少していた。これに対してextensively
Triton X-100-permeabilized RPVでのミオシン軽鎖(レ
ーン3、4)およびミオシン重鎖(レーン5、6)の量
は、無傷の組織でのそれとほとんど同程度であった。図
27bは図27aに示されたデータを要約したものであ
り、各々の値は3回の実験からの平均値±標準偏差で表
されている。これらの結果より、 Triton X-100処理に
よって強力に透過性を亢進されると、Rhoキナーゼを
含む細胞質のタンパク質が失われてしまうが、ミオシン
軽鎖のような細胞骨格タンパク質は安定的に存在するこ
とが確認された。以上より、外来的にRhoキナーゼ
(CAT)を細胞質内に導入しなければextensively Tr
iton X-100-permeabilized RPVが収縮しない理由は、R
hoキナーゼが上記の拡散性の共役因子のひとつである
からであると考えられる。このように、本発明者等は、
生理学的な条件下でRhoキナーゼによって収縮反応が
誘導され、これにミオシン軽鎖のリン酸化が伴うという
証拠を示した。このことより、本発明者等は、Rhoキ
ナーゼが、Rhoタンパク質による平滑筋収縮における
Ca2+感受性の亢進に関る下流の標的タンパク質であ
り、そしてミオシン軽鎖のリン酸化を介する平滑筋収縮
に極めて重要な役割を果たすと結論した。
異タンパク質の作製とインビトロでの特徴づけ Rhoキナーゼは、触媒領域(CAT)、コイルドコイ
ル領域(COIL)、Rho結合領域(RB)およびプ
レクストリン・ホモロジー領域(PH)より構成され
る。本発明者らは、それぞれの領域を含む4つの断片
(図28)をGST−融合タンパク質として作製した。
まず、Rho結合領域(RB)に相当する断片を得るた
めに、実施例4に記載の方法に準じて、Rhoキナーゼ
(配列番号1の941〜1075番のアミノ酸配列)を
コードするcDNAをpGEX−2TのBamH1部位
中に挿入し、得られたプラスミドを大腸菌に発現させ、
Rhoキナーゼ(配列番号1の941〜1075番のア
ミノ酸配列)とGSTとの融合タンパク質(Rhoキナ
ーゼ(RB))を精製した。RhoとRhoキナーゼの
結合は、実施例1に記載の方法に従って、オーバーレイ
・アッセイによって決定した。0.25μgの精製Rh
oキナーゼまたは2.5μgのRhoキナーゼ(RB)
(配列番号1の941〜1075番のアミノ酸配列)を
SDS−ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(12%)
で分離し、これらをニトロセルロース・メンブレンにト
ランスファーした後、〔35S〕GTPγS・GST−R
hoAまたは〔35S〕GTPγS・GST−RhoA
Ala37との結合を検出した。放射能標識されたバン
ドをイメージアナライザーによって可視化した。その結
果、GTPγS・GST−RhoAはRhoキナーゼ
(RB)(配列番号1の941−1075番のアミノ酸
配列))に結合したが、GTPγS・GST−RhoA
Ala37はそれに弱く結合した(図29)。因みに、
RhoAAla37はH−RasAla35に構造的に
等しく、H−RasAla35はエフェクター結合ドメ
インにおける変異(スレオニンのアラニンへの置換)で
ある(C. Nobes & A. Hall, Curr. Opin. Genet. Dev.
4, 77 (1994)、Y. Takai et al., Trends. Biochem. Sc
i. 2O, 227 (1995) 、T. Satoh et al., J. Biol. Che
m. 267, 24149(1992) 、およびF. McCormick, Curr. Op
in. Genet. Dev. 4, 71 (1994))。
コイル領域(配列番号1の421〜701番のアミノ酸
配列)またはRhoキナーゼ のPH領域(配列番号1
の1125〜1388番のアミノ酸配列)をコードする
cDNAを、pGEX−2TのBamH1部位に挿入
し、それぞれpGEX−GST−Rho キナーゼ(C
OIL)、 pGEX−GST−Rhoキナーゼ(P
H)を作製した。これらを大腸菌に発現させ、精製する
ことにより、Rhoキナーゼ (COIL)およびRh
oキナーゼ (PH)を調製した。
合部位を含むC−末端の半分を欠如する組換えウシRh
oキナーゼの触媒領域(CAT)(配列番号1の6〜5
53番のアミノ酸配列))とGSTとの融合タンパク質
(Rhoキナーゼ(CAT)を作製し、精製した(図2
8)。具体的には、Rhoキナーゼ(配列番号1の6〜
553番のアミノ酸配列)をコードするcDNAをpA
cYM1−GSTのBamHI部位に挿入し、pAcY
M1−GST−Rhoキナーゼ(CAT)(配列番号1
の6〜553番のアミノ酸配列)を作製した。Rhoキ
ナーゼ(CAT)(配列番号1の6〜553番のアミノ
酸配列)は、バキュロウイルス系(Y. Matsuura et a
l., J. Gen. Virol.,68,1233(1987 ))を使用して作製
し、グルタチオンセファロースカラムによってSf9細
胞から精製した。また、ウシRhoキナーゼ触媒領域
(配列番号1の6〜553番のアミノ酸配列)のATP
結合部位を構成する121番目のリジンを常法に従って
グリシンに置換した変異体(Rhoキナーゼ(CAT−
KD)を、Rhoキナーゼ(CAT)と同様の方法に従
ってバキュロウイスル系をSf9細胞に発現させ、精製
した(図28)。また、天然ウシRhoキナーゼは、実
施例1に記載の方法に従って精製した。
キナーゼのキナーゼ活性を、ミオシン軽鎖(MLC)を
基質としてチェックした。Rhoキナーゼのキナーゼ反
応は50μlの反応混合液(40mM Tris/HC
l(pH7.5),2mMEDTA,1mM DTT,
6.5mM MgCl2,0.1% CHAPS,0.
1μM calyclin A,100μM 〔γ−32
P〕ATP〔0.5−20 GBq/mol〕,4μg
のミオシン軽鎖および20ngの天然Rhoキナーゼま
たは8ngのRhoキナーゼ(CAT)またはRhoキ
ナーゼ(CAT−KD)中で、1.5μM GTPγS
・GST−RhoA存在下または非存在下で実施した以
外は、実施例7に記載の方法に従って実施した。
た。天然ウシRhoキナーゼはGTPγS・GST−R
ho依存的にミオシン軽鎖に対しキナーゼ活性を示した
が、GST−Rhoキナーゼ(CAT)はGTPγS・
GST−RhoAの存在に無関係にキナーゼ活性を示し
た(図30)。GTPγS・GST−RhoAの存在下
における天然RhoキナーゼおよびGTPγS・GST
−RhoAの非存在下におけるRhoキナーゼ(CA
T)の分子活性は、それぞれ、0.32±0.02/s
ecおよび0.71±0.02/secであった。これ
はRhoキナーゼ(CAT)が構成的に活性化されてい
ることを示している。一方、ATP結合部位に変異を有
するRhoキナーゼ触媒領域(Rhoキナーゼ(CAT
−KD))にはキナーゼ活性が認められなかった(デー
タ省略)。
GTPγS・GST−RhoAによって亢進された天然
Rhoキナーゼの活性化を阻害したが、それがRhoキ
ナーゼ(CAT)のキナーゼ活性に影響を与えないこと
を見出した(図31)。Rhoキナーゼ(RB)のIC
50は0.7μMであった。一方、Rhoキナーゼ(C
AT−KD)、Rhoキナーゼに影響を与えなかった
(データ省略)。
oキナーゼの阻害 Rhoによって誘導されるストレスファイバーの形成は
スタウロスポリン(staurosporin)のようなタンパク質
キナーゼインヒビターにより阻害されることが知られて
いる(C. D. Nobes & A. Hall, Cell 81, 53 (1995)
)。スタウロスポリンは用量依存的にRhoキナーゼ
(CAT)のキナーゼ活性を阻害した(図31)。スタ
ウロスポリンのIC50は4nMであった。この値はタ
ンパク質キナーゼCについて記載された値(T. Tamaoki
et al., Biochem. Biophys. Res. Commum. 135, 397
(1986) )に類似する。Rhoキナーゼ(CAT)の代
わりに、GTPγS・GST−RhoAで刺激した天然
Rhoキナーゼを使用した場合でも、本質的に同様な結
果が得られた(図31)。
成に及ぼすRhoキナーゼ欠失変異体のマイクロインジ
ェクションの効果 Swiss3T3細胞におけるストレスファイバー形成
に及ぼすRhoキナーゼ(CAT)およびRhoキナー
ゼ(CAT−KD)の作用を検討した。Swiss 3
T3細胞は、10%のウシ胎児血清を添加したDulbecc
o's改良Eagle's培地(DMEM)中で培養した。細胞は
8〜10×103細胞の密度で12mmのグラス・カバ
ースリップ上に播種した。4日間の培養後、血清を含ま
ないDMEM培地中で24時間培養することによって、
細胞を血清飢餓状態にした。組換えタンパク質を、マー
カータンパク質(1mg/mlのウサギIgG)ととも
に細胞の細胞質にマイクロインジェクションした。マイ
クロインジェクション後、細胞を37℃で30分間イン
キュベートした。過去に記載の方法(Ridley, A. &Hal
l, A., Cell 70, 389 (1992); Ridley, A. & Hall, A.,
EMBO J., 13, 2600(1994) )に従って、細胞内のアク
チンを、TRITC標識化ファロイジン(phalloidin)
によって可視化した。
(A. J. Ridley and A. Hall, Cell 70, 389 (1992) 、
およびA. J. Ridley & A. Hall, EMBO J. 13, 2600 (19
94) )、コンフルエント血清飢餓Swiss 3T3細
胞は非常に微量のストレスファイバーを有し、これらの
ストレスファイバーはファロイジンにより可視化された
(図32a)。過去に記載された方法(A. J. Ridley &
A. Hall, Cell 70, 389(1992) 、およびA. J. Ridley
& A. Hall, EMBO J. 13, 2600 (1994) )に従って細胞
をLPA(200ng/ml)で刺激したとき、新しい
ストレスファイバーが出現し、それらの数および直径が
増加した(図32B)。Rhoキナーゼ(CAT)
(0.5mg/ml)のマイクロインジェクションは、
また、ストレスファイバーの形成を誘導した(図32
E)。Rhoキナーゼ(CAT−KD)にはこの様な作
用は認められなかった。注入されたRhoキナーゼ(C
AT)はしばしば、細胞の中央部においてストレスファ
イバーと結合したアクチンフィラメントの大きい凝集形
成を引き起こした(図32E、図32F)。このような
ハブ様(hub-like)アクチンフィラメントが存在する理
由は明らかではないが、これは注入されたRhoキナー
ゼ(CAT)により誘導されたストレスファイバーの高
い収縮性のためかもしれない。
Rhoを阻害するボツリヌス菌の菌体外酵素C3トラン
スフェラーゼ(C3)(K. Aktories et al., ibid. 15
8, 209 (1989) 、およびA. Sekine et al., J. Biol. C
hem. 264, 8602 (1989) )(80μg/ml)を細胞に
マイクロインジェクションした場合には、過去に記載さ
れているように(H. F. Paterson et al., J. Cell Bio
l. 111, 1001 (1990))、細胞は30分以内に丸くなっ
た(データ省略)。注入されたC3はLPAによって誘
導されるストレスファイバーの形成を阻害した(図32
C)が、それはRhoキナーゼ(CAT)により誘発さ
れたストレスファイバーの形成は阻害しなかった(図3
2F)。C3をRhoキナーゼ(CAT)とともに同時
注入(coinjection )すると、細胞が丸くなるのが防止
された(データ省略)。50nMのスタロウスポリン存
在下でLPAで刺激された細胞では、過去に記載のよう
に(Nobes,C. & Hall,A.Cell 81,53(1995)およびRidle
y,P.et al.,Mol.Cell,Biol.15,1110(1995))不規則に配
置された(rondomly arraneged)アクチンフィラメント
が生じた(図32D)。しかしながら、スタウロスポリ
ン存在下にRhoキナーゼ(CAT)を注入された細胞
ではストレスファイバーは生じなかった(図32G)。
すRhoキナーゼ欠失変異体のマイクロインジェクショ
ンの効果 Swiss 3T3細胞におけるフォーカル接着形成に
及ぼすRhoキナーゼ(CAT)およびRhoキナーゼ
(CAT−KD)の作用を検討した。細胞の培養、LP
A濃度、マイクロインジェクションの条件、注入タンパ
ク質の量は、実施例15に記載したものと同一であっ
た。細胞染色については、過去に記載の方法(Ridley,
A. & Hall, A., Cell 70, 389 (1992); Ridley, A. & H
all, A., EMBO J., 13, 2600 (1994) )に従って、細胞
内のビンキュリン(vinculin)を抗ビンクリン抗体によ
って可視化した。核は、ビス−ベンジミド(bis-benzim
ide) によって可視化した。
(A. J. Ridley & A. Hall, Cell 70,389 (1992) 、お
よびA. J. Ridley & A. Hall, EMBO J. 13, 2600 (199
4) )、コンフルエント血清飢餓Swiss 3T3細
胞において、抗ビンキュリン抗体により、非常にわずか
のフォーカル接着が検出された(図33A)。細胞をL
PAで刺激したとき、過去に観察されたように(A. J.
Ridley & A. Hall, Cell 70, 389 (1992) 、およびA.
J. Ridley & A. Hall, EMBO J. 13, 2600 (1994) )、
ビンキュリンを含む新たなフォーカル接着が出現し、そ
の数を増加した(図33B)。Rhoキナーゼ(CA
T)のマイクロインジェクションはフォーカル接着の形
成を誘導した(図33E)。本発明者らは、二重免疫蛍
光分析により、注入されたRhoキナーゼ(CAT)に
より新しく合成されるストレスファイバーがフォーカル
接着に連結されることを確認した(図33H)。C3の
マイクロインジェクションはLPAによって誘発される
フォーカル接着の形成を阻害した(図33C)が、それ
はRhoキナーゼ(CAT)によって誘導されたフォー
カル接着の形成を阻害しなかった(図33F、図31
G)。
よびRhoキナーゼ(CAT)によって誘導されたフォ
ーカル接着形成をいずれも阻害した(図33dおよび図
33g)。構成的に活性化したPKN触媒領域またはM
BSの注入によっては、ストレスファイバーの形成もフ
ォーカル接着の形成も誘導されなかった(データ省
略)。これらの注入はまた、Rhoキナーゼ(CAT)
によって誘導されたストレスファイバー形成およびフォ
ーカル接着の形成に影響を及ぼさなかった(データ省
略)。
Rhoキナーゼ(PH)、Rhoキナーゼ(CAT−K
D)のマイクロインジェクションによるストレスファイ
バーおよびフォーカル接着形成の阻害 本発明者らは次に、LPAによって誘導されるストレス
ファイバーおよびフォーカル接着形成におけるRhoキ
ナーゼ(RB)、Rhoキナーゼ(PH)、Rhoキナ
ーゼ(CAT−KD)およびRhoキナーゼ(COI
L)のマイクロインジェクションの効果について検討し
た。Rhoキナーゼ(RB)またはRhoキナーゼ(P
H)の注入により、 LPAによって誘導されるストレ
スファイバー(図34C、D)およびフォーカル接着
(図34G、H)の形成は阻害された。Rhoキナーゼ
(CAT−KD)を注入された細胞の約30%は、LP
A存在下においてストレスファイバー(図34A)およ
びフォーカル接着(図34E)を形成しなかった。Rh
oキナーゼ(COIL)は全く効果がなかった(図34
B、F)。Rhoキナーゼ(CAT−KD)、Rhoキ
ナーゼ(COIL)、Rhoキナーゼ(RB)あるいは
Rhoキナーゼ(PH)はいずれも、Rhoキナーゼ
(CAT)によって誘導されるストレスファイバーおよ
びフォーカル接着形成を阻害しなかった。このことによ
り、 Rhoキナーゼ(CAT−KD)、 Rhoキナー
ゼ(RB)あるいはRhoキナーゼ(PH)は内在性の
Rhoキナーゼの機能を阻害するが、外来性に過剰に注
入されたRhoキナーゼ(CAT)の機能は阻害しない
ことが示された。
をコードするcDNAの導入による細胞形態の変化 スイス3T3細胞はプラスミドの細胞核内への注入には
適していないので、本発明者らはMDCK細胞に種々の
Rhoキナーゼ欠失変異体をコードするcDNAをマイ
クロインジェクションすることによって、Rhoキナー
ゼの細胞形態に及ぼす効果について検討した。 まず、
Rhoキナーゼ(CAT)、 Rhoキナーゼ(CAT
−KD)、Rhoキナーゼ(COIL)、 Rhoキナ
ーゼ(RB)、Rhoキナーゼ(PH)を発現するため
のpEF−BOS−myc哺乳類発現プラスミドを作製
した。MDCK細胞は10%の牛胎児血清を添加した最
少必須培地で培養した。2×103の濃度の細胞を12
mmのガラス・カバースリップの上にシードして1日培
養した。種々のプラスミッドを記載の方法(A. Ridley
et al. Cell 70, 401 (1992))に従って核内にマイクロ
インジェクションした。マイクロインジェクション後、
細胞を37℃で3時間培養した。アクチンは、Ridley,
A. & Hall, A. Cell 70, 389 (1992)およびRidley, A.
& Hall, A. EMBO J. 13, 2600 (1994))に記載の方法に
従って、TRITCでラベルしたファロイジンで染色し
た。
(RhoVal14)をコードするcDNAをMDCK
細胞にマイクロインジェクションしたところ、過去に記
載されたように(Nobes, C. & Hall, A. Cell 81, 53
(1995)およびRidley, A. et al. Mol. Cell. Biol. 15,
1110 (1995))、ストレスファイバーの形成(図35
A)およびフォーカル接着(データ省略)が誘導され
た。ストレスファイバーおよびフォーカル接着は、Rh
oキナーゼ(CAT)をコードするcDNAが注入され
た細胞(図35B)において形成された。Rhoキナー
ゼ(CAT−KD)、構成的に活性化されたPKNまた
はMBSをコードするcDNAではこの作用は認められ
なかった。
キナーゼ(RB)またはRhoキナーゼ(PH)をコー
ドするcDNAをRhoVal14とともにコインジェ
クションしたところ、 RhoVal14によって誘導
されたストレスファイバー(図35C、D、E)および
フォーカル接着(データ省略)の形成は阻害された。R
hoキナーゼ(CAT−KD)の効果は、Rhoキナー
ゼ(RB)またはRhoキナーゼ(PH)の効果に比べ
て低かった。一方、Rhoキナーゼ(COIL)にはこ
の作用は認められなかった(データ省略)。
明者らはRhoキナーゼ(CAT)の注入によりストレ
スファイバーおよびフォーカル接着の形成が誘導される
こと、そしてRhoキナーゼ(CAT−KD)、Rho
キナーゼ(RB)またはRhoキナーゼ(PH)によっ
てLPAまたはRhoVal14に誘導されるストレス
ファイバーおよびフォーカル接着の形成が阻害されるこ
とを示した。これらの事実より、細胞内に存在させたR
hoキナーゼ(CAT)はドミナント・アクティブ体と
して働き、細胞内に存在させたRhoキナーゼ(CAT
−KD)、Rhoキナーゼ(RB)およびRhoキナー
ゼ(PH)はドミナント・ネガティブ体として働くこと
が明らかとなった。
明者らの実験条件では、インビトロにおいてRhoキナ
ーゼのキナーゼ活性に影響を及ぼさなかった(実施例1
3)が、より高い酵素濃度ではRhoキナーゼと基質と
の相互作用を阻害する可能性がある。というのは、この
ような現象が他のキナーゼについて記載されているから
である(Kolch, W. et al., Nature 349, 426 (199
1))。このことから、 Rhoキナーゼ(CAT−K
D)は細胞内でRhoキナーゼの機能を阻害した(実施
例17〜18)にもかかわらず、インビトロにおいてR
hoキナーゼのキナーゼ活性に影響を及ぼさなかった
(実施例13)のは、用いたRhoキナーゼ(CAT−
KD)の濃度が低かったからであると考えられる。
を特定の細胞内領域に極在させる(localize)と考えら
れているので、Rhoキナーゼ(PH)は細胞内でRh
oキナーゼの適切な極在(localization)を阻害すると
考えられる。天然のRhoキナーゼは部分的に細胞間接
着部位に存在するにもかかわらず、Rhoキナーゼ(C
AT)はMDCK細胞において細胞質領域に存在した
(データ省略)という事実は、この可能性を示唆する。
hoタンパク質とRhoキナーゼとの結合を阻害するだ
けでなく、Rhoタンパク質とPKNなどの他のRho
標的タンパク質との結合をも阻害する可能性がある。こ
れに対して、Rhoキナーゼ(CAT−KD)およびR
hoキナーゼ(PH)は、よりRhoキナーゼに特異的
なインヒビターとして働く可能性がある。
CK細胞において、RhoキナーゼはRhoの下流で、
ストレスファイバーおよびフォーカル接着の形成を制御
すること、およびRhoキナーゼ(CAT−KD)、R
hoキナーゼ(RB)およびRhoキナーゼ(PH)が
Rhoキナーゼの上記の生理作用を阻害することが示さ
れた。
は、ミオシン軽鎖のリン酸化により促進され、ストレス
ファイバーの形成の後期段階の1つであると推定されて
いる(J. Kolega et al., Bioimaging l, 136 (1993)、
およびK. A. Giuliano & D.L. Taylor, Curr. Opin. Ce
ll Biol. 7, 4 (1995) )。Rhoはミオシン軽鎖(M
LC)およびミオシン結合サブユニット(MBS)をリ
ン酸化するRhoキナーゼを活性化し、これによりミオ
シン軽鎖のリン酸化に導くことを本発明者らは示した
(実施例2および実施例5〜9)。このリン酸化はアク
チンとミオシンの結合およびそれらの収縮性(contract
ility )のために必須である(実施例9および実施例1
2)。事実、本発明において注入されたRhoキナーゼ
(CAT)により誘導されるアクチンフィラメントにミ
オシンが結合することを本発明者らは確認した(データ
省略)。これらの観察は、Rhoによって刺激されるア
クチンとミオシンの収縮性がストレスファイバーおよび
フォーカル接着の形成を推進するという見解(M. Chrza
nowska-Wodnicka & K. Burridge, J. Cell Biol. 133,
1403-1415 (1996)*)とよく一致する。
成する種々のタンパク質(ビンキュリン、FAK、パキ
シリンおよびα−アクチニン)とインテグリンの界合
(assembly)を促進することにより、フォーカル接着形
成を誘導すると考えられる。
ンパク質の精製の結果を示した電気泳動写真である。粗
膜画分を、GST(レーン1)、GDP・GST−Rh
oA(レーン2)、またはGTPγS・GST−Rho
A(レーン3)を含むグルタチオン−セファロース・カ
ラムにかけた。ウシRhoキナーゼの純度を上げるため
に、粗膜画分をGTPγS・GST−RhoAを含むグ
ルタチオン・セファロースにかけ、ウシRhoキナーゼ
を1%CHAPSの添加により、溶出した(レーン
4)。
よるウシRhoキナーゼの精製の結果を示した図および
電気泳動写真である。CHAPS−溶出画分をMono
Q カラムにかけ、RhoキナーゼをNaCl直線勾配
で溶出した。結果は3回の独立した実験の代表例であ
る。
を示した電気泳動写真である。レーン1およびレーン3
は膜抽出液を、レーン2およびレーン4はSDS−PA
GEで分離した精製Rhoキナーゼをそれぞれ含むニト
ロセルロース膜を示す。また、レーン1およびレーン2
は[35S]GTPγS・GST−RhoAを、レーン
3およびレーン4は[35S]GTPγS・GST−R
hoAAla37をプローブとして用いたレーンを示
す。矢印は、RhoキナーゼのSDS−PAGE上の位
置を示す。結果は3回の独立した実験の代表例である。
電気泳動写真である。Rhoキナーゼを、下記のタンパ
ク質(各1μM)存在下で自己リン酸化した。レーン
1:GST、レーン2:GDP・GST−RhoA、レ
ーン3:GTPγS・GST−RhoA、レーン4:G
TPγS・GST−RhoAAla37。矢印は、Rh
oキナーゼのSDS−PAGE上の位置を示している。
結果は3回の独立した実験の代表例である。
GTPγS・GST−RhoAのいずれかが存在する条
件下での、ウシRhoキナーゼによるミエリン塩基性タ
ンパク質、S6ペプチド、αPKC(各40μM)のリ
ン酸化の程度を示した図である。
μM)のリン酸化を、GTPγS・GST−RhoA
(1μM)が促進することを示した図である。
合サブユニットのリン酸化を、GTPγS・GST−R
hoAが促進することを示した電気泳動写真である。レ
ーン1:GST、レーン2:GDP・GST−Rho
A、レーン3:GTPγS・GST−RhoA。矢印
は、ミオシン結合サブユニットタンパク質のSDS−P
AGE上の位置を示す。
酸化を示した図である。黒四角形:GTPγS−Rho
A(翻訳後修飾型)、白四角形:GDP−RhoA(翻
訳後修飾型)、黒丸:GTPγS−GST−RhoA
(非翻訳後修飾型)、白丸:GDP−GST−RhoA
(非翻訳後修飾型)。
た図である。ウシ脳灰白質から精製したRhoキナーゼ
の部分ペプチド配列分析で決定されたアミノ酸配列は下
線で示した。RhoキナーゼcDNAクローニングに用
いたプローブのアミノ酸配列は二重下線で示した。
トロフィー・キナーゼのドメイン構造を比較をした図で
ある。
た電気泳動写真である。レーン1:GST−RhoAア
フィニティーカラムからの1%CHAPS溶出液、レー
ン2:大脳、レーン3:小脳、レーン4:心臓、レーン
5:骨格筋、レーン6:脾臓、レーン7:肺、レーン
8:肝臓、レーン9:腎臓、レーン10:膵臓。矢印
は、RhoキナーゼのSDS−PAGE上の位置を示
す。
ナーゼのコイルド−コイル領域のタンパク質と活性型R
hoとの結合を示した電気泳動写真である。レーン1:
GST、レーン2:GDP・GST−RhoA、レーン
3:GTPγS・GST−RhoA、レーン4:GTP
γS・GST−RhoAAla37、レーン5:GDP
・GST−Rac1、レーン6:GTPγS・GST−
Rac1、レーン7:GDP・GST−H−Ras、レ
ーン8:GTPγS・GST−H−Ras。
ン結合サブユニットのリン酸化をGTPγS・GST−
RhoAが促進することを示した電気泳動写真である。
レーン1:GST、レーン2:GDP・GST−Rho
A、レーン3:GTPγS・GST−RhoA、レーン
4:GTPγS・GST−RhoAAla37、レーン
5:GDP・GST−Rac1、レーン6:GTPγS
・GST−Rac1。レーンの上の数字は、リン酸化の
程度を、GST(レーン1)の場合を1.0としたとき
の相対値で表している。
ミオシン結合サブユニットのチオリン酸化とミオシン軽
鎖フォスファターゼ活性の阻害を示した図である。黒丸
および白丸は、それぞれGTPγS・GST−RhoA
存在下または非存在下でのミオシン結合サブユニットへ
の35S−チオリン酸の取り込みを示す。黒四角形およ
び白四角形は、それぞれGTPγS・GST−RhoA
存在下または非存在下、ATPγSの存在下でリン酸化
したRhoキナーゼを用いた場合でのミオシン軽鎖フォ
スファターゼの酵素活性を示す。菱形はATPγSの非
存在下(即ちリン酸化していないRhoキナーゼを用い
た場合)でのミオシン軽鎖フォスファターゼの酵素活性
を示す。
発現させた各NIH/3T3細胞株内でのミオシン結合
サブユニットのリン酸化の程度を示した電気泳動写真で
ある。レーンの上の数字は、リン酸化の程度を、GST
(レーン1)の場合を1.0としたときの相対値で表し
ている。
発現させたNIH/3T3細胞株内でのミオシン軽鎖の
リン酸化の程度を示した図である。
ン酸化を示した電気泳動写真である。単離されたミオシ
ン軽鎖(0.5μgのタンパク質)を、GST(レーン
1)、GDP・GST−RhoA(レーン2)、GTP
γS・GST−RhoA(レーン3)、GTPγS・G
ST−RhoAAla37 (レーン4)、GDP・GST−
Rac1(レーン5)またはGTPγS・GST−Ra
c1(レーン6)の存在下において精製したウシRho
キナーゼ(タンパク質20ng)によりリン酸化する
か、またはGST−ウシRhoキナーゼ(タンパク質5
ng)(レーン7)またはCa2+およびカルモジュリン
の非存在下(レーン8)または存在下(レーン9)にお
いてミオシン軽鎖キナーゼによりリン酸化した。無傷の
ミオシン(タンパク質5μg)をGTPγS・GST−
RhoAの非存在下(レーン10)または存在下(レー
ン11)においてリン酸化した。リン酸化されたミオシ
ン軽鎖をSDS−PAGEにより分離し、画像解析装置
により可視化した。結果は3回の独立した実験の代表的
なものである。
ン酸化を示した図である。種々の量のミオシン軽鎖をR
hoキナーゼによりリン酸化した。「MLC」はミオシ
ン軽鎖を、「Rho−Kinase」はRhoキナーゼを、
「MLC Kinase」はミオンシ軽鎖キナーゼを、それぞ
れ意味する(以下同じ)。左図において黒丸はGTPγ
S・GST−RhoA存在下、丸印はGTPγS・GS
T−RhoA非存在下におけるRhoキナーゼによるリ
ン酸化を示す。黒三角はGST−Rhoキナーゼによる
リン酸化である。右図において黒四角形および四角形は
Ca2+およびカルモジュリン存在下および非存在下にお
けるミオシン軽鎖キナーゼによるリン酸化を示す。
グ分析を示した電気泳動写真である。ミオシン軽鎖
(0.5μgのタンパク質)をRhoキナーゼ(Rho
−Kinase)、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLC Kinase)
またはプロテインキナーゼC(PKC)によりリン酸化
した。リン酸化されたミオシン軽鎖をトリプシンで消化
し、各試料をシリカゲルのプレート上にロードした。リ
ン酸化ペプチドを電気泳動(水平方向)およびクロマト
グラフィー(垂直方向)により分離し、次いで画像解析
装置により可視化した。星印は原点を示す。
泳動写真である。ミオシン軽鎖(MLC)、GST、G
ST−ミオシン軽鎖(GST−MLC)またはGST−
ミオシン軽鎖Ala18 Ala19 (各2μM)を図示した様
に、精製Rhoキナーゼ(20ngのタンパク質)、G
ST−Rhoキナーゼ(10ngのタンパク質)、また
はミオシン軽鎖キナーゼ(10ngのタンパク質)によ
ってリン酸化した。レーン1〜4:ミオシン軽鎖を精製
Rhoキナーゼでリン酸化した。レーン5〜8:ミオシ
ン軽鎖をGST−Rhoキナーゼによってリン酸化し
た。レーン9〜12:ミオシン軽鎖をミオシン軽鎖キナ
ーゼによりリン酸化した。レーン1、5および9:ミオ
シン軽鎖、レーン2、6、および10:GST、レーン
3、7、および11:GST−ミオシン軽鎖、レーン
4、8、および12:GST−ミオシン軽鎖
Ala18,Ala19 。結果は3回の独立の実験の代表的なもの
である。
ゼ活性に対するウシRhoキナーゼによるミオシンのリ
ン酸化の効果を示した図である。縦軸はミオシンヘッド
(head)のリン酸化速度である。ミオシンをGST・R
hoキナーゼ(黒四角形)、あるいはミオシン軽鎖キナ
ーゼ(黒菱形)とともに、あるいはキナーゼ非存在下
(黒丸)でインキュベートした。インキュベートの後、
ATPアーゼ活性を様々な濃度のF−アクチンの存在下
で測定した示した値は三回の反復実験の平均±S.E.
である。
−Kinase)およびミオシン軽鎖ホスファターゼによるミ
オシン軽鎖の調節に関するモデルを示した図である。C
at:ミオシン軽鎖ホスファターゼの触媒サブユニッ
ト、Myosin: ミオシン、MBS:ミオシン結合サブユニ
ット。
hoタンパク質とヒトRhoキナーゼタンパク質との結
合の検出を示した写真である。
サギ門脈血管をRhoキナーゼが収縮させることを示し
た図である。Rhoキナーゼ(CAT)を外来的にウサ
ギ門脈の血管平滑筋標本に導入させた。pCa6.5
(aおよびb)またはpCa<<8.0(c)にてTrit
on X-100によって透過性を亢進させたウサギ門脈血管標
本に誘導させた張力反応の代表的な記録を示している。
これらの結果はいずれも3〜5回の独立した実験からの
代表例である。 Rhoキナーゼ(CAT)の収縮効果
は、 Rhoキナーゼ(CAT)を洗浄することによっ
て完全に元に戻った(b)。また、cでは、ベヒクル
(vehicle )の投与用量をトータルのchamberの量(2
00μl)に対するパーセンテージで示した。
サギ門脈血管の収縮の感受性(contractile sensitivit
y)がRhoキナーゼによって亢進される(potentiate
s)ことを示した図である。 a:7.5nM Rhoキナーゼ(CAT)(白丸)ま
たは500nM OA(黒丸)の存在下でのpCaと張
力の関係。pCa7.0以下では7.5nMのRhoキ
ナーゼ(CAT)によって生じた張力の程度は、basal
レベルであった。Steady-stateのCa2+と張力の関係
を、Rhoキナーゼ(CAT)存在下(白丸)またはO
A存在下(黒丸)あるいは非存在下(白三角・破線:対
照)で、細胞質のCa2+濃度をcummulativeに上昇さ
せることにより得た。 Rhoキナーゼ(CAT)存在
下またはOA存在下での収縮の感受性の上昇を示すため
に、各々の張力反応は対照のpCa4.5での張力を1
として標準化した相対値で示した。縦軸は張力の相対値
を、横軸はCa2+濃度をpCaで、それぞれ示してい
る。各々の値は4回の実験より得られた平均値±標準偏
差である。 b:Triton X-100によって透過性を亢進させたウサギ門
脈血管におけるRhoキナーゼ(CAT)の用量−反応
曲線に及ぼすwortmannin (WM)(強力なミオシン軽鎖キ
ナーゼ(MLCK)の阻害剤)の効果。実践はpCa6.5で
の、破線はpCa<<8.0(10mM EGTAで緩
衝させた)での効果をそれぞれ示している。Steady sta
teの張力反応を、10μMのWMの存在下(黒丸はpC
a6.5、黒三角はpCa<<8.0における)または
非存在下(白丸はpCa6.5、白三角はpCa<<
8.0における)で、Rhoキナーゼ(CAT)のcumm
ulativeな添加により得た。張力反応は、pCa4.5
での最大張力反応を1とした相対値で示した。縦軸は張
力の相対値を、横軸はRhoキナーゼ(CAT)のモル
濃度(μM)をそれぞれ示している。各々の値は5−8
回の実験より得られた平均値±標準偏差である。ANO
VA解析を統計学的な有意差を決定するのに用いた。
0.05以下のP値(P value)を「有意である」とみ
なした(**;p<0.01、N.S.;有意差な
し)。
rtmannin非感受性な様式で、 Triton X-100によって透
過性を亢進させたウサギ門脈血管中のミオシン軽鎖のリ
ン酸化を誘導することを示した電気泳動写真および図で
ある。 a:Triton X-100によって透過性を亢進させたウサギ門
脈血管中リン酸化を受けていないタイプのミオシン軽鎖
(MLC−P0)および一リン酸化されたミオシン軽鎖
(MLC−P1)をグリセロール−尿素ポリアクリルア
ミドゲル電気泳導で分離した後、抗ミオシン軽鎖抗体を
用いたイムノブロットを実施した。対照(レーン1、p
Ca<<8.0;レーン2、pCa6.5)とは対照的
に、0.255μMのRhoキナーゼ(CAT)は、1
0μMのWMの非存在下(レーン2、5)および存在下
(レーン3、6)において、pCa<<8.0(10m
MEGTA;レーン1−3)およびpCa6.5(レー
ン4−6)において、ミオシン軽鎖の一リン酸化を増加
させた。これらの結果は、4回の実験の代表例である。 b:10μMのWMの存在下または非存在下におけるミ
オシン軽鎖のリン酸化の程度(白抜きの棒線)と収縮反
応(斜線の棒線)に及ぼすRhoキナーゼ(CAT)の
効果の定量化との比較。白抜きの棒線はトータルのML
Cに対する一リン酸化されたMLCのパーセンテージを
4回の実験の平均値±標準偏差で表現している。トータ
ルのMLCリン酸化の値はStudent's testによって比較
した(** P<0.01、* P<0.05)。各々
のカラムの下の数字は、aにおける各々のレーンと同一
である。aにおける略語は下記の通り:G10、10m
MEGTAを含む弛緩溶液;6.5、pCa6.5;W
M、10mMwortmannin、RK、0.255 Rhoキ
ナーゼ(CAT)。
管標本におけるRhoキナーゼの欠如を示した電気泳動
写真および図である。 a:無傷のウサギ門脈血管標本(透過性を亢進させてい
ないもの;レーン1、3、5)とTriton X-100によって
透過性を亢進させたウサギ門脈血管標本(レーン2、
4、6)におけるRhoキナーゼの組織分布を比較する
ために、抗Rhoキナーゼ抗体(レーンA)および抗2
0kDaミオシン軽鎖抗体を用いたイムノブロット解析
を実施した。対照として、各々の抽出液のCBB染色を
示した(レーンC)。各々の抽出液を5%SDSーPA
GEによって(レーンAおよびB)または15%SDS
−PAGE(レーンC)によってそれぞれ解析した。
「RK」はRhoキナーゼ、「MLC」はミオシン軽鎖
を示す。これらの結果は3回の独立した実験の代表例で
ある。 b:aに示された結果の濃度的(densitometrical )な
解析。無傷の組織(レーン3、5)および透過性を亢進
させた(skinned)組織(レーン4、6)におけるRh
oキナーゼの免疫染色の濃度的な定量値をミオシン軽鎖
のそれに対する比率として表したデータである。データ
は平均値±標準偏差で表現した。
模式的に示した図である。Rhoキナーゼ、Rhoキナ
ーゼ(CAT)、 Rhoキナーゼ(CAT−KD)、
Rhoキナーゼ(COIL)、 Rhoキナーゼ(R
B)および Rhoキナーゼ(PH)の模式図を示す。
ク質とRhoキナーゼとの結合を示した電気泳動写真で
ある。SDS−PAGEにかけた後、ニトロセルロース
膜に移した精製Rhoキナーゼ(レーン1、3)、Rh
oキナーゼ(RB)(レーン2、4)を[35S]GTP
γS・GST−RhoA(レーン1、2)あるいは[
35S]GTPγS・GSTーRhoAAla37(レ
ーン3、4)をプローブにしてオーバーレイアッセイし
た結果を示す。結果は、3回の独立した実験の代表例を
示す。
A(1.5μM)の存在下または非存在下において天然
RhoキナーゼまたはRhoキナーゼ(CAT)でリン
酸化した結果を示した図である。データは3回の独立し
た実験の平均値±SEMである。
スポリンのミオシン軽鎖のリン酸化に与える影響を示し
た図である。 a:ミオシン軽鎖を種々の濃度のRhoキナーゼ(R
B)とともに、Rhoキナーゼ(CAT)(□)によ
り、またはGTPγS・GST−RhoAの存在下にお
いて天然Rhoキナーゼにより(○)リン酸化した。 b:ミオシン軽鎖を種々の濃度のスタウロスポリンとと
もに、Rhoキナーゼ(CAT)により(□)、または
GTPγS・GST−RhoAの存在下において天然R
hoキナーゼにより(○)リン酸化した。データは3回
の独立した実験の平均±sSEMである。
す写真(生物の形態の写真)である。ベヒクル(vehicl
e)で刺激(a)、マイクロインジェクションなしでLP
A(200ng)で15分間刺激(b)、C3酵素(8
0μg/ml)をマイクロインジェクションしてLPA
で刺激(c)、スタウロスポリン(100nM)で処理
15分後にLPAで処理(d)、Rhoキナーゼ(CA
T)(0.5mg/ml)を単独でマイクロインジェク
ション(e)、 Rhoキナーゼ(CAT)とC3をマ
イクロインジェクション(f)、スタウロスポリンで処
理15分後にRhoキナーゼ(CAT)をマイクロイン
ジェクション(g)した コンフルエントな血清飢餓さ
せたSwiss3T3細胞で形成されたアクチンフィラ
メントを示す。
l adhesion)の形成を示す写真(生物の形態の写真)で
ある。ビンキュリンの局在を示している。写真h以外の
実験条件は図32と同様である。写真hは、Rhoキナ
ーゼ(CAT)をマイクロインジェクションしたSwi
ss 3T3細胞でのアクチンフィラメントとビンキュ
リンの局在を示している。やじり印はマイクロインジェ
クションした場所、棒線は20μmを示している。
トの再構成とフォーカル接着(Focal adhesion)の形成
に及ぼす種々のRhoキナーゼの影響を示す写真(生物
の形態の写真)である。 コンフルエントな血清飢餓さ
せたSwiss3T3細胞に、2mg/mlのRhoキ
ナーゼ(CAT−KD)(A、E)、5mg/mlのR
hoキナーゼ(COIL)(B、F)、5mg/mlの
Rhoキナーゼ(RB)(C、G)、5mg/mlのR
hoキナーゼ(PH)(D、H)をマイクロインジェク
ションした後200ng/mlのLPAで刺激した。ア
クチンフィラメントとビンキュリンの局在を示してい
る。やじり印はマイクロインジェクションした場所、棒
線は20μmを示している。
した写真(生物の形態の写真)である。pEF−BOS
−HA−RhoAVal14(0.1mg/ml)+p
EF−BOS−myc(1mg/ml)(A)、 pE
F−BOS−myc−Rhoキナーゼ(CAT)(0.
1mg/ml)+pEF−BOS−myc(1mg/m
l)(B)、 pEF−BOS−HA−RhoA
Val14+pEF−BOS−myc−Rhoキナーゼ
(CAT−KD)(1mg/ml)(C)、 pEF−
BOS−HA−RhoAVal14+pEF−BOS−
myc−Rhoキナーゼ(RB )(1mg/ml)
(D)、 pEF−BOS−HA−RhoAVal14
+pEF−BOS−myc−Rhoキナーゼ(PH)
(1mg/ml)(E)をマイクロインジェクションし
たMDCK細胞でのアクチンフィラメントを示してい
る。やじり印はマイクロインジェクションした場所、棒
線は20μmを示している。
Claims (64)
- 【請求項1】配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパ
ク質、または活性型Rhoタンパク質結合能を有し、か
つプロテインキナーゼ活性を有するその誘導体。 - 【請求項2】1以上のアミノ酸配列が付加および/また
は挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換お
よび/または欠失された配列番号1のアミノ酸配列を有
するタンパク質またはその誘導体であって、活性型Rh
oタンパク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活
性を有するタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項3】配列番号1の1〜89番のアミノ酸配列ま
たはその部分配列、および/または360〜942番の
アミノ酸配列またはその部分配列、および/または10
69〜1388番のアミノ酸配列またはその部分配列が
欠失された、請求項2に記載のタンパク質またはその誘
導体。 - 【請求項4】配列番号1の90〜359番のアミノ酸配
列と943〜1068番のアミノ酸配列とを有するタン
パク質、または活性型Rhoタンパク質結合能を有し、
かつプロテインキナーゼ活性を有するその誘導体。 - 【請求項5】配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパ
ク質、または活性型Rhoタンパク質結合能を有し、か
つプロテインキナーゼ活性を有するその誘導体。 - 【請求項6】1以上のアミノ酸配列が付加および/また
は挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換お
よび/または欠失された配列番号4のアミノ酸配列を有
するタンパク質またはその誘導体であって、活性型Rh
oタンパク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活
性を有するタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項7】配列番号4の1〜89番のアミノ酸配列ま
たはその部分配列、および/または360〜942番の
アミノ酸配列またはその部分配列、および/または10
69〜1388番のアミノ酸配列またはその部分配列が
欠失された、請求項6に記載のタンパク質またはその誘
導体。 - 【請求項8】配列番号4の90〜359番のアミノ酸配
列と943〜1068番のアミノ酸配列とを有するタン
パク質、または活性型Rhoタンパク質結合能を有し、
かつプロテインキナーゼ活性を有するその誘導体。 - 【請求項9】1以上のアミノ酸配列が付加および/また
は挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換お
よび/または欠失された配列番号1のアミノ酸配列を有
するタンパク質またはその誘導体であって、活性型Rh
oタンパク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活
性を有さないタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項10】配列番号1の90〜359番のアミノ酸
配列またはプロテインキナーゼ活性を有するその一部を
含む領域が欠失された、請求項9に記載のタンパク質ま
たはその誘導体。 - 【請求項11】配列番号1の121番目のLysがGl
yで置換された請求項9に記載のタンパク質またはその
誘導体。 - 【請求項12】配列番号1の421〜1137番、43
8〜1124番、799〜1137番、943〜106
8番、または941〜1075番のアミノ酸配列からな
るタンパク質、または活性型Rhoタンパク質結合能を
有し、かつプロテインキナーゼ活性を有さないその誘導
体。 - 【請求項13】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号4のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、活性型R
hoタンパク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ
活性を有さないタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項14】配列番号4の90〜359番のアミノ酸
配列またはプロテインキナーゼ活性を有するその一部を
含む領域が欠失された、請求項13に記載のタンパク質
またはその誘導体。 - 【請求項15】配列番号4の121番目のLysがGl
yで置換された、請求項13に記載のタンパク質または
その誘導体。 - 【請求項16】配列番号4の943〜1068番のアミ
ノ酸配列からなるタンパク質、または活性型Rhoタン
パク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有
さないその誘導体。 - 【請求項17】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号1のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、活性型R
hoタンパク質および/またはRhoキナーゼの機能を
阻害するタンパク質およびその誘導体。 - 【請求項18】前記配列番号1のアミノ酸配列が、配列
番号1の941〜1075番または943〜1068番
のアミノ酸配列である、請求項17に記載のタンパク質
およびその誘導体。 - 【請求項19】前記配列番号1のアミノ酸配列が、配列
番号1の1125〜1388番のアミノ酸配列である、
請求項17に記載のタンパク質およびその誘導体。 - 【請求項20】前記配列番号1のアミノ酸配列が、12
1番のLysがGlyによって置換された、配列番号1
の6〜553番のアミノ酸配列からなる、請求項17に
記載のタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項21】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号4のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、活性型R
hoタンパク質および/またはRhoキナーゼの機能を
阻害するタンパク質およびその誘導体。 - 【請求項22】前記配列番号4のアミノ酸配列が、配列
番号4の941〜1075番または943〜1068番
のアミノ酸配列である、請求項21に記載のタンパク質
およびその誘導体。 - 【請求項23】前記配列番号4のアミノ酸配列が、配列
番号4の1125〜1388番のアミノ酸配列である、
請求項21に記載のタンパク質およびその誘導体。 - 【請求項24】前記配列番号4のアミノ酸配列が、12
1番のLysがGlyによって置換された、配列番号4
の6〜553番のアミノ酸配列からなる、請求項21に
記載のタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項25】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号1のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、プロテイ
ンキナーゼ活性を有し、かつ活性型Rhoタンパク質結
合能を有さないタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項26】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号1のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、キナーゼ
活性が構成的に活性化されたタンパク質およびその誘導
体。 - 【請求項27】配列番号1の943〜1068番のアミ
ノ酸配列または活性型Rhoタンパク質結合能を有する
その一部を含む領域が欠失された、請求項25または2
6に記載のタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項28】配列番号1の90〜359番または6〜
553番のアミノ酸配列からなるタンパク質、またはプ
ロテインキナーゼ活性を有し、かつ活性型Rhoタンパ
ク質結合能を有さないその誘導体。 - 【請求項29】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号4のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、プロテイ
ンキナーゼ活性を有し、かつ活性型Rhoタンパク質結
合能を有さないタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項30】1以上のアミノ酸配列が付加および/ま
たは挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換
および/または欠失された配列番号4のアミノ酸配列を
有するタンパク質またはその誘導体であって、キナーゼ
活性が構成的に活性化されたタンパク質およびその誘導
体。 - 【請求項31】配列番号4の943〜1068番のアミ
ノ酸配列または活性型Rhoタンパク質結合能を有する
その一部を含む領域が欠失された、請求項29または3
0に記載のタンパク質またはその誘導体。 - 【請求項32】配列番号4の90〜359番または6〜
553番のアミノ酸配列からなるタンパク質、またはプ
ロテインキナーゼ活性を有し、かつ活性型Rhoタンパ
ク質結合能を有さないその誘導体。 - 【請求項33】請求項1〜8および25〜32のいずれ
か一項に記載のタンパク質またはその誘導体をコードす
るポリヌクレオチド。 - 【請求項34】請求項9〜16のいずれか一項に記載の
タンパク質またはその誘導体をコードするポリヌクレオ
チド。 - 【請求項35】請求項17〜24のいずれか一項に記載
のタンパク質またはその誘導体をコードするポリヌクレ
オチド。 - 【請求項36】配列番号2のDNA配列の一部または全
部を有する、請求項33〜35のいずれか一項に記載の
ポリヌクレオチド。 - 【請求項37】DNA配列の一部が、配列番号2の26
8〜1077番、16〜1659番、1261〜341
1番、2395〜3411番、1312〜3372番、
2827〜3204番、2821〜3225番、または
3373〜4164番のDNA配列である、請求項36
に記載のポリヌクレオチド。 - 【請求項38】配列番号5のDNA配列の一部または全
部を有する、請求項33〜35のいずれか一項に記載の
ポリヌクレオチド。 - 【請求項39】DNA配列の一部が、配列番号5の26
8〜1077番、2827〜3204番、2821〜3
225番、または3373〜4164番のDNA配列で
ある、請求項38に記載のポリヌクレオチド。 - 【請求項40】請求項33〜39のいずれか一項に記載
のポリヌクレオチドを含んでなる、ベクター。 - 【請求項41】請求項34または35に記載のポリヌク
レオチドを含んでなる、ベクター。 - 【請求項42】プラスミドベクター、ウイルスベクタ
ー、およびリポソームベクターからなる群から選択され
る、請求項40または41に記載のベクター。 - 【請求項43】請求項40〜42のいずれか一項に記載
のベクターによって形質転換された、宿主細胞(ただ
し、ヒト細胞にあってはヒトから単離された細胞に限
る)。 - 【請求項44】大腸菌、酵母、昆虫細胞、Sf9細胞、
COS細胞、リンパ細胞、繊維芽細胞、CHO細胞、血
液系細胞、および腫瘍細胞からなる群から選択されるも
のである、請求項43に記載の宿主細胞。 - 【請求項45】請求項43または44に記載の宿主細胞
を培養し、そしてその培養物から請求項1〜32のいず
れか一項に記載のタンパク質またはそれらの誘導体を単
離することを含む、請求項1〜32のいずれか一項に記
載のタンパク質またはそれらの誘導体の製造法。 - 【請求項46】(1)スクリーニングの対象となる物質
を、活性型Rhoタンパク質と、請求項1〜16のいず
れか一項に記載のタンパク質またはその誘導体とを含む
スクリーニング系に存在させ、そして (2)活性型Rhoタンパク質と、請求項1〜16のい
ずれか一項に記載のタンパク質またはその誘導体との結
合の阻害の程度を測定することを含む、活性型Rhoタ
ンパク質と、請求項1〜16のいずれか一項に記載のタ
ンパク質またはその誘導体との結合を阻害する物質のス
クリーニング法。 - 【請求項47】スクリーニング系が細胞系または無細胞
系である、請求項46に記載のスクリーニング法。 - 【請求項48】スクリーニング系が酵母ツー・ハイブリ
ッド・システムである、請求項46または47に記載の
スクリーニング法。 - 【請求項49】(1)スクリーニングの対象となる物質
を、請求項1〜8および25〜32のいずれか一項に記
載のタンパク質またはその誘導体とを含むスクリーニン
グ系に存在させ、そして (2)請求項1〜8および25〜32のいずれか一項に
記載のタンパク質またはその誘導体のプロテインキナー
ゼの活性の阻害の程度を測定することを含む、請求項1
〜8および25〜32のいずれか一項に記載のタンパク
質またはその誘導体のプロテインキナーゼの活性を阻害
する物質のスクリーニング法。 - 【請求項50】(1)スクリーニングの対象となる物質
を、活性型Rhoタンパク質と、請求項1〜8のいずれ
か一項に記載のタンパク質またはその誘導体とを含むス
クリーニング系に存在させ、そして (2)請求項1〜8のいずれか一項に記載のタンパク質
またはその誘導体のプロテインキナーゼの活性またはそ
の活性の亢進の阻害の程度を測定することを含む、請求
項1〜8のいずれか一項に記載のタンパク質またはその
誘導体のプロテインキナーゼの活性またはその活性の亢
進を阻害する物質のスクリーニング法。 - 【請求項51】スクリーニング系に存在させる活性型R
hoタンパク質が、翻訳後修飾されたタンパク質であ
る、請求項50に記載のスクリーニング法。 - 【請求項52】プロテインキナーゼの活性または活性の
亢進の阻害の程度を、ミエリン塩基性タンパク質、S6
ペプチド、αPKC、ビンキュリン、タリン、メタビン
キュリン、カルデスモン、フィラミン、ビメンチン、α
−アクチニン、MAP−4、ミオシン軽鎖、ミオシン軽
鎖フォスファターゼ、およびミオシン軽鎖フォスファタ
ーゼのミオシン結合サブユニットからなる群から選択さ
れる基質を用いて測定する、請求項49〜51のいずれ
か一項に記載のスクリーニング法。 - 【請求項53】スクリーニング系が細胞系または無細胞
系である、請求項49〜52のいずれか一項に記載のス
クリーニング法。 - 【請求項54】(1)スクリーニングの対象となる物質
を、請求項25〜32のいずれか一項に記載のタンパク
質またはその誘導体を存在させることによってストレス
ファイバーまたはフォーカル接着の形成が誘導された細
胞系に存在させ、そして (2)前記細胞系のストレスファイバーまたはフォーカ
ル接着の形成の阻害の程度を測定することを含む、スト
レスファイバーまたはフォーカル接着の形成を阻害する
物質のスクリーニング法。 - 【請求項55】腫瘍形成または転移抑制物質のスクリー
ニング法である、請求項46〜54のいずれか一項に記
載のスクリーニング法。 - 【請求項56】平滑筋収縮抑制物質のスクリーニング法
である、請求項46〜54のいずれか一項に記載のスク
リーニング法。 - 【請求項57】血小板または白血球の凝集または活性化
を抑制する物質のスクリーニング法である、請求項46
〜54のいずれか一項に記載のスクリーニング法。 - 【請求項58】配列番号3に記載されるアミノ酸配列か
らなるペプチド。 - 【請求項59】請求項58に記載されるペプチドに対す
る、抗体。 - 【請求項60】ポリクローナル抗体である、請求項59
に記載の抗体。 - 【請求項61】請求項59または60に記載の抗体によ
って認識される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の
タンパク質またはその誘導体。 - 【請求項62】(1)検出の対象となる物質を請求項5
9または60に記載の抗体を含む検出系に存在させ、そ
して (2)検出の対象となる物質と請求項59または60に
記載の抗体との反応の程度を測定することを含む、前記
抗体と特異的に反応する物質の検出法。 - 【請求項63】請求項59または60に記載の抗体を含
む、前記抗体によって認識される物質の検出キット。 - 【請求項64】請求項1〜8のいずれか一項に記載のタ
ンパク質が関与する疾患の検出キットである、請求項6
3に記載の検出キット。
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