JP3417032B2 - 強磁性磁気共鳴装置 - Google Patents
強磁性磁気共鳴装置Info
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- JP3417032B2 JP3417032B2 JP01456094A JP1456094A JP3417032B2 JP 3417032 B2 JP3417032 B2 JP 3417032B2 JP 01456094 A JP01456094 A JP 01456094A JP 1456094 A JP1456094 A JP 1456094A JP 3417032 B2 JP3417032 B2 JP 3417032B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性磁気共鳴装置に
関し、特に、マイクロ波通信用チューナ等に搭載される
デバイスである強磁性磁気共鳴装置に関するものであ
る。
関し、特に、マイクロ波通信用チューナ等に搭載される
デバイスである強磁性磁気共鳴装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、強磁性磁気共鳴を利用したデバイ
スとしては、イットリウム−鉄よりなるガーネット(以
下、YIGと略称する。)を強磁性磁気共鳴体として用
いたものが知られている。このようなデバイスにおいて
は、強磁性磁気共鳴体を真球形状に形成することによ
り、縦方向及び横方向の反磁界係数が相等しくなるた
め、共鳴条件を表す式の中から飽和磁化(4πMs)の
項が削除されることになり、原理的に飽和磁化の温度特
性による共鳴周波数のドリフトが発生することはない。
スとしては、イットリウム−鉄よりなるガーネット(以
下、YIGと略称する。)を強磁性磁気共鳴体として用
いたものが知られている。このようなデバイスにおいて
は、強磁性磁気共鳴体を真球形状に形成することによ
り、縦方向及び横方向の反磁界係数が相等しくなるた
め、共鳴条件を表す式の中から飽和磁化(4πMs)の
項が削除されることになり、原理的に飽和磁化の温度特
性による共鳴周波数のドリフトが発生することはない。
【0003】ところで、近時においては、強磁性磁気共
鳴を利用したデバイスとして低価格で量産性に優れたも
のが要求されており、このようなデバイスを実現するた
めには、いわゆるマイクロストリップ路線を基本するマ
イクロ波集積回路(以下、MICと略称する。)に強磁
性磁気共鳴体を集積したかたちとする必要があり、この
ような強磁性磁気共鳴体としては薄膜形状に成膜された
強磁性磁気共鳴素子が用いられる。
鳴を利用したデバイスとして低価格で量産性に優れたも
のが要求されており、このようなデバイスを実現するた
めには、いわゆるマイクロストリップ路線を基本するマ
イクロ波集積回路(以下、MICと略称する。)に強磁
性磁気共鳴体を集積したかたちとする必要があり、この
ような強磁性磁気共鳴体としては薄膜形状に成膜された
強磁性磁気共鳴素子が用いられる。
【0004】ここで強磁性磁気共鳴素子のアスペクト比
が十分大きいとすると、その共鳴周波数frは以下に式
で与えられる。
が十分大きいとすると、その共鳴周波数frは以下に式
で与えられる。
【0005】
fr=γ(H0−4πMs) ・・・(1)
【0006】(1)式において、γ、H0、及び4πM
sはそれぞれ磁気回転比、外部印加磁界、及び飽和磁化
である。この(1)式に示すように、外部印加磁界H0
が飽和磁化4πMsに達した時点より共鳴が立ち上り、
その後のfrはH0の大きさに正比例する。
sはそれぞれ磁気回転比、外部印加磁界、及び飽和磁化
である。この(1)式に示すように、外部印加磁界H0
が飽和磁化4πMsに達した時点より共鳴が立ち上り、
その後のfrはH0の大きさに正比例する。
【0007】ところがこの場合、三次元的に対象形状で
ある上述の真球状の強磁性磁気共鳴体と異なり、上記強
磁性磁気共鳴素子においては、その飽和磁化の温度特性
による共鳴周波数frのドリフトが極めて大きいため
に、そのままでは実用性がない。
ある上述の真球状の強磁性磁気共鳴体と異なり、上記強
磁性磁気共鳴素子においては、その飽和磁化の温度特性
による共鳴周波数frのドリフトが極めて大きいため
に、そのままでは実用性がない。
【0008】そこで、上記強磁性磁気共鳴素子と飽和磁
化の温度特性が相反する逆特性を有する永久磁石を設け
ることが提案されている。すなわち、従来の強磁性磁気
共鳴装置は、図2に示すように、略々E字形状に形成さ
れた第1の磁気コア101と、この第1の磁気コア10
1とそのE字形状の両端部の各コア部101a,101
bにて突き合わせられている略々矩形形状に形成された
第2の磁気コア102と、制御電流を供給するために第
1の磁気コア101のE字形状の中央部のコア部101
cに巻線された磁気コイル103と、強磁性磁気共鳴体
が集積されたMIC104と、このMIC104とはそ
の飽和磁化の温度特性が相反する逆特性を有する永久磁
石105と、磁界分布を均一化するための高透磁率を有
するポールピース106とで構成されている。
化の温度特性が相反する逆特性を有する永久磁石を設け
ることが提案されている。すなわち、従来の強磁性磁気
共鳴装置は、図2に示すように、略々E字形状に形成さ
れた第1の磁気コア101と、この第1の磁気コア10
1とそのE字形状の両端部の各コア部101a,101
bにて突き合わせられている略々矩形形状に形成された
第2の磁気コア102と、制御電流を供給するために第
1の磁気コア101のE字形状の中央部のコア部101
cに巻線された磁気コイル103と、強磁性磁気共鳴体
が集積されたMIC104と、このMIC104とはそ
の飽和磁化の温度特性が相反する逆特性を有する永久磁
石105と、磁界分布を均一化するための高透磁率を有
するポールピース106とで構成されている。
【0009】ここで、MIC104と、永久磁石10
5、及びポールピース106は、それらの幅が各々略々
同一に形成され、第1の磁気コア101のE字形状の中
央部のコア部101cと第2の磁気コア102との間に
形成された間隙107に配設されている。
5、及びポールピース106は、それらの幅が各々略々
同一に形成され、第1の磁気コア101のE字形状の中
央部のコア部101cと第2の磁気コア102との間に
形成された間隙107に配設されている。
【0010】すなわち、上記間隙107において、MI
C104は一方の磁極である第2の磁気コア102の表
面上にその下面部にて接合されて配され、永久磁石10
5はその上面部にて他方の磁極である上記コア部101
cの端面上に接合されて配され、この永久磁石105の
下面部にポールピース106がその上面部にて接合され
て、上記MIC104の上面部とポールピース106の
下面部との間には空隙108が形成されている。
C104は一方の磁極である第2の磁気コア102の表
面上にその下面部にて接合されて配され、永久磁石10
5はその上面部にて他方の磁極である上記コア部101
cの端面上に接合されて配され、この永久磁石105の
下面部にポールピース106がその上面部にて接合され
て、上記MIC104の上面部とポールピース106の
下面部との間には空隙108が形成されている。
【0011】この強磁性磁気共鳴装置においては、永久
磁石105及びポールピース106によって固定的磁場
を発生させ、さらに上記磁気コイル103に流す電流を
調節することにより磁場を制御することで同調可能な共
鳴装置とされている。この場合、上記強磁性磁気共鳴装
置の周囲温度の変化に伴って変動するMIC104に集
積された強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化による共鳴周波
数のドリフトが、上記永久磁石105の逆特性によって
相殺補償されることになる。
磁石105及びポールピース106によって固定的磁場
を発生させ、さらに上記磁気コイル103に流す電流を
調節することにより磁場を制御することで同調可能な共
鳴装置とされている。この場合、上記強磁性磁気共鳴装
置の周囲温度の変化に伴って変動するMIC104に集
積された強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化による共鳴周波
数のドリフトが、上記永久磁石105の逆特性によって
相殺補償されることになる。
【0012】上述の強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化によ
る共鳴周波数のドリフトの抑制効果を調べるために、飽
和磁化(4πMs)が0.085(T)の上記YIGの
強磁性磁気共鳴素子を用いて、永久磁石105を設けて
上記逆特性による相殺補償を行った場合と、この永久磁
石105を設けない場合とについて共鳴周波数のドリフ
トの周囲温度依存性について実験した。
る共鳴周波数のドリフトの抑制効果を調べるために、飽
和磁化(4πMs)が0.085(T)の上記YIGの
強磁性磁気共鳴素子を用いて、永久磁石105を設けて
上記逆特性による相殺補償を行った場合と、この永久磁
石105を設けない場合とについて共鳴周波数のドリフ
トの周囲温度依存性について実験した。
【0013】その結果、図3に示すように、相殺補償を
行うことにより、永久磁石105を設けない場合と比較
して明らかに共鳴周波数のドリフトが抑制されているこ
とがわかる。
行うことにより、永久磁石105を設けない場合と比較
して明らかに共鳴周波数のドリフトが抑制されているこ
とがわかる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、永久磁
石105を用いて上記共鳴周波数のドリフトの抑制を行
うことで、上記強磁性磁気共鳴装置は、例えば通信機等
の局部発振器として利用し、フェイズ・ロック・ループ
(PLL)回路等により制御する場合等の用途には十分
使用可能である。
石105を用いて上記共鳴周波数のドリフトの抑制を行
うことで、上記強磁性磁気共鳴装置は、例えば通信機等
の局部発振器として利用し、フェイズ・ロック・ループ
(PLL)回路等により制御する場合等の用途には十分
使用可能である。
【0015】しかしながら、上記図2に示す構造を有す
る従来の強磁性磁気共鳴装置においては、磁気コイル1
03に制御電流を印加した際に、この磁気コイル103
により発生する自己発熱による温度上昇が上記強磁性磁
気共鳴装置内において不均一となり、磁気コイル103
への制御電流(同調電流)印加後に共鳴周波数の初期ド
リフトが発生し、高速の応答(レスポンス)を必要とす
る用途に使用する場合に問題がある。
る従来の強磁性磁気共鳴装置においては、磁気コイル1
03に制御電流を印加した際に、この磁気コイル103
により発生する自己発熱による温度上昇が上記強磁性磁
気共鳴装置内において不均一となり、磁気コイル103
への制御電流(同調電流)印加後に共鳴周波数の初期ド
リフトが発生し、高速の応答(レスポンス)を必要とす
る用途に使用する場合に問題がある。
【0016】すなわち、磁気コイル103へ制御電流を
流す際に、この制御電流により磁気コイル103に自己
発熱が発生すると、上記強磁性磁気共鳴装置内において
この熱の伝導経路がMIC104と永久磁石105とで
は異なるために、両者の間に温度差が生じて両者が熱的
平衡状態に達するまでに比較的大きな共鳴周波数の初期
ドリフトが発生する。
流す際に、この制御電流により磁気コイル103に自己
発熱が発生すると、上記強磁性磁気共鳴装置内において
この熱の伝導経路がMIC104と永久磁石105とで
は異なるために、両者の間に温度差が生じて両者が熱的
平衡状態に達するまでに比較的大きな共鳴周波数の初期
ドリフトが発生する。
【0017】この共鳴周波数の初期ドリフトの典型例を
図4に示す。この特性図に示すように、磁気コイル10
3へ所定の制御電流を流すことにより磁気共鳴が発生
し、その瞬間に共鳴周波数はfr1となるが、時間経過
に伴って周囲の温度がほぼ一定となると、当初の共鳴周
波数より常に低い周波数にドリフトしてゆき、ある時刻
tにて共鳴周波数がfr2のほぼ一定状態となる。
図4に示す。この特性図に示すように、磁気コイル10
3へ所定の制御電流を流すことにより磁気共鳴が発生
し、その瞬間に共鳴周波数はfr1となるが、時間経過
に伴って周囲の温度がほぼ一定となると、当初の共鳴周
波数より常に低い周波数にドリフトしてゆき、ある時刻
tにて共鳴周波数がfr2のほぼ一定状態となる。
【0018】これは、以下に示すことが原因であると考
えられる。先ず、磁気コイル103から生じた自己発熱
が第1の磁気コア101のE字形状の中央部のコア部1
01cに伝達され、さらにこのコア部101cの端面と
接合されている永久磁石105に伝達され、その後しば
らくしてこの熱が上記MIC104に伝達される。この
ように、永久磁石105とMIC104とでは熱が伝達
するのにタイムラグがあり、そのために両者の間にはし
ばらくの間温度差が生じることになる。
えられる。先ず、磁気コイル103から生じた自己発熱
が第1の磁気コア101のE字形状の中央部のコア部1
01cに伝達され、さらにこのコア部101cの端面と
接合されている永久磁石105に伝達され、その後しば
らくしてこの熱が上記MIC104に伝達される。この
ように、永久磁石105とMIC104とでは熱が伝達
するのにタイムラグがあり、そのために両者の間にはし
ばらくの間温度差が生じることになる。
【0019】永久磁石105は共鳴周波数のドリフトを
相殺補償するため、その磁化力が温度上昇に対して負の
特性を有するものが選ばれているので、磁気コイル10
3により発生する制御磁場を弱める方向に作用する。一
方、上記MIC104中の強磁性磁気共鳴素子では永久
磁石105と比較して熱の伝達が遅延している。そのた
めに上記永久磁石105の効果が勝って全体として共鳴
周波数が低下し、その後MIC104と永久磁石105
とが熱平衡状態となって両者の特性が均衡する点(時刻
t,共鳴周波数fr2)でほぼ共鳴周波数が一定値とな
る。
相殺補償するため、その磁化力が温度上昇に対して負の
特性を有するものが選ばれているので、磁気コイル10
3により発生する制御磁場を弱める方向に作用する。一
方、上記MIC104中の強磁性磁気共鳴素子では永久
磁石105と比較して熱の伝達が遅延している。そのた
めに上記永久磁石105の効果が勝って全体として共鳴
周波数が低下し、その後MIC104と永久磁石105
とが熱平衡状態となって両者の特性が均衡する点(時刻
t,共鳴周波数fr2)でほぼ共鳴周波数が一定値とな
る。
【0020】上記時刻tに達するまでの時間は通常1時
間程度を要し、しかも共鳴周波数の大幅な低下が引き起
こされるので、上記強磁性磁気共鳴装置を迅速な動作が
要求される用途に使用する場合には極めて不都合であ
る。
間程度を要し、しかも共鳴周波数の大幅な低下が引き起
こされるので、上記強磁性磁気共鳴装置を迅速な動作が
要求される用途に使用する場合には極めて不都合であ
る。
【0021】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、共鳴周波数の変更
が要求された際に、共鳴周波数の初期ドリフトを抑制し
て迅速な応答が可能であり、薄膜よりなる強磁性磁気共
鳴素子の飽和磁化の温度特性による共鳴周波数のドリフ
トを永久磁石にて相殺補償するシステムに十分な実用性
を与えることが可能となる強磁性磁気共鳴装置を提供す
ることにある。
のであり、その目的とするところは、共鳴周波数の変更
が要求された際に、共鳴周波数の初期ドリフトを抑制し
て迅速な応答が可能であり、薄膜よりなる強磁性磁気共
鳴素子の飽和磁化の温度特性による共鳴周波数のドリフ
トを永久磁石にて相殺補償するシステムに十分な実用性
を与えることが可能となる強磁性磁気共鳴装置を提供す
ることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁気コイルを
有する第1の磁極と、この第1磁極と対向して配置され
る第2の磁極と、強磁性磁気共鳴素子が集積された集積
回路と、磁化の温度特性が前記強磁性磁気共鳴素子と逆
の永久磁石とを備えた強磁性磁気共鳴装置を対象とした
ものであり、前記集積回路と前記永久磁石とを積層し、
この積層された集積回路及び永久磁石を上記各磁極のい
ずれか一方の磁極上に配設して構成するものである。
有する第1の磁極と、この第1磁極と対向して配置され
る第2の磁極と、強磁性磁気共鳴素子が集積された集積
回路と、磁化の温度特性が前記強磁性磁気共鳴素子と逆
の永久磁石とを備えた強磁性磁気共鳴装置を対象とした
ものであり、前記集積回路と前記永久磁石とを積層し、
この積層された集積回路及び永久磁石を上記各磁極のい
ずれか一方の磁極上に配設して構成するものである。
【0023】このとき、磁界分布を均一化するために、
高透磁率を有するポールピースを介して上記集積回路と
上記永久磁石とを積層して構成してもよい。
高透磁率を有するポールピースを介して上記集積回路と
上記永久磁石とを積層して構成してもよい。
【0024】
【作用】本発明に係る強磁性磁気共鳴装置においては、
強磁性磁気共鳴素子が集積された集積回路とこの強磁性
磁気共鳴素子と相反する逆特性を有する永久磁石とが積
層され、この積層された集積回路及び永久磁石が各磁極
のいずれか一方の磁極上に配設されている。したがっ
て、磁気コイルに制御電流を印加すると、この制御電流
により磁気コイルに自己発熱が発生した際に、この強磁
性磁気共鳴装置内において熱が集積回路中の強磁性磁気
共鳴素子と上記永久磁石にほぼ同時に熱伝導が生じて直
ちに熱的平衡状態に達する。そのために、両者の間の温
度差によって熱的平衡状態に達するまでの間に発生する
共鳴周波数の初期ドリフトが無視し得る程度まで抑制さ
れることになる。したがって、周波数をある所定値に変
更する必要が生じた場合に、磁気コイルに印加する制御
電流を変動させても初期ドリフトがほとんど発生するこ
となく迅速に所定の周波数に共鳴させることが可能とな
る。
強磁性磁気共鳴素子が集積された集積回路とこの強磁性
磁気共鳴素子と相反する逆特性を有する永久磁石とが積
層され、この積層された集積回路及び永久磁石が各磁極
のいずれか一方の磁極上に配設されている。したがっ
て、磁気コイルに制御電流を印加すると、この制御電流
により磁気コイルに自己発熱が発生した際に、この強磁
性磁気共鳴装置内において熱が集積回路中の強磁性磁気
共鳴素子と上記永久磁石にほぼ同時に熱伝導が生じて直
ちに熱的平衡状態に達する。そのために、両者の間の温
度差によって熱的平衡状態に達するまでの間に発生する
共鳴周波数の初期ドリフトが無視し得る程度まで抑制さ
れることになる。したがって、周波数をある所定値に変
更する必要が生じた場合に、磁気コイルに印加する制御
電流を変動させても初期ドリフトがほとんど発生するこ
となく迅速に所定の周波数に共鳴させることが可能とな
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係る強磁性磁気共鳴装置の実
施例を図面を参照しながら説明する。
施例を図面を参照しながら説明する。
【0026】本実施例に係る強磁性磁気共鳴装置は、図
1に示すように、略々E字形状に形成された第1の磁極
1と、この第1の磁極1とそのE字形状の両端部の各コ
ア部1a,1bにて突き合わせられている略々矩形形状
に形成された第2の磁極2と、制御電流を供給するため
に第1の磁極1のE字形状の中央部のコア部1cに巻線
された磁気コイル3と、強磁性磁気共鳴体が集積された
MIC4と、このMIC4とはその飽和磁化の温度特性
が相反する逆特性を有する永久磁石5と、磁界分布を均
一化するための高透磁率を有するポールピース6とで構
成されている。
1に示すように、略々E字形状に形成された第1の磁極
1と、この第1の磁極1とそのE字形状の両端部の各コ
ア部1a,1bにて突き合わせられている略々矩形形状
に形成された第2の磁極2と、制御電流を供給するため
に第1の磁極1のE字形状の中央部のコア部1cに巻線
された磁気コイル3と、強磁性磁気共鳴体が集積された
MIC4と、このMIC4とはその飽和磁化の温度特性
が相反する逆特性を有する永久磁石5と、磁界分布を均
一化するための高透磁率を有するポールピース6とで構
成されている。
【0027】ここで、MIC4と、永久磁石5、及びポ
ールピース6は、それらの幅が各々略々同一に形成さ
れ、第1の磁極1のE字形状の中央部のコア部1cと第
2の磁極2との間に形成された間隙7に配設されてい
る。
ールピース6は、それらの幅が各々略々同一に形成さ
れ、第1の磁極1のE字形状の中央部のコア部1cと第
2の磁極2との間に形成された間隙7に配設されてい
る。
【0028】すなわち、上記間隙7において、永久磁石
5が一方の磁極である第2の磁極2の表面上にその下面
部にて接合されて配され、その上面部にポールピース6
を介して上記MIC4がその下面部にて接合されて配さ
れ、このMIC4の上面部と上記コア部1cとの間には
空隙8が形成されている。
5が一方の磁極である第2の磁極2の表面上にその下面
部にて接合されて配され、その上面部にポールピース6
を介して上記MIC4がその下面部にて接合されて配さ
れ、このMIC4の上面部と上記コア部1cとの間には
空隙8が形成されている。
【0029】この強磁性磁気共鳴装置においては、永久
磁石5及びポールピース6によって固定的磁場を発生さ
せ、さらに上記磁気コイル3に流す電流を調節すること
により磁場を制御することで同調可能な共鳴装置とされ
ている。この場合、上記強磁性磁気共鳴装置の周囲温度
の変化に伴って変動するMIC4に集積された強磁性磁
気共鳴素子の飽和磁化による共鳴周波数のドリフトが、
上記永久磁石5の逆特性によって相殺補償されることに
なる。
磁石5及びポールピース6によって固定的磁場を発生さ
せ、さらに上記磁気コイル3に流す電流を調節すること
により磁場を制御することで同調可能な共鳴装置とされ
ている。この場合、上記強磁性磁気共鳴装置の周囲温度
の変化に伴って変動するMIC4に集積された強磁性磁
気共鳴素子の飽和磁化による共鳴周波数のドリフトが、
上記永久磁石5の逆特性によって相殺補償されることに
なる。
【0030】さらに、上記強磁性磁気共鳴装置において
は、上述のように、強磁性磁気共鳴素子が集積された上
記MIC4とこの強磁性磁気共鳴素子と相反する逆特性
を有する永久磁石5とが積層され、この積層されたMI
C4及び永久磁石5が一方の磁極である第2の磁極2上
に配設されている。したがって、磁気コイル3に制御電
流を印加すると、この制御電流により磁気コイル3に自
己発熱が発生した際に、この強磁性磁気共鳴装置内にお
いて熱が集積回路中の強磁性磁気共鳴素子と上記永久磁
石5にほぼ同時に熱伝導が生じて直ちに熱的平衡状態に
達する。そのために、両者の間の温度差によって熱的平
衡状態に達するまでの間に発生する共鳴周波数の初期ド
リフトが無視し得る程度まで抑制されることになる。し
たがって、周波数をある所定値に変更する必要が生じた
場合に、磁気コイル3に印加する制御電流を変動させて
も初期ドリフトがほとんど発生することなく迅速に所定
の周波数に共鳴させることが可能となる。
は、上述のように、強磁性磁気共鳴素子が集積された上
記MIC4とこの強磁性磁気共鳴素子と相反する逆特性
を有する永久磁石5とが積層され、この積層されたMI
C4及び永久磁石5が一方の磁極である第2の磁極2上
に配設されている。したがって、磁気コイル3に制御電
流を印加すると、この制御電流により磁気コイル3に自
己発熱が発生した際に、この強磁性磁気共鳴装置内にお
いて熱が集積回路中の強磁性磁気共鳴素子と上記永久磁
石5にほぼ同時に熱伝導が生じて直ちに熱的平衡状態に
達する。そのために、両者の間の温度差によって熱的平
衡状態に達するまでの間に発生する共鳴周波数の初期ド
リフトが無視し得る程度まで抑制されることになる。し
たがって、周波数をある所定値に変更する必要が生じた
場合に、磁気コイル3に印加する制御電流を変動させて
も初期ドリフトがほとんど発生することなく迅速に所定
の周波数に共鳴させることが可能となる。
【0031】このように、上記実施例に係る強磁性磁気
共鳴装置によれば、上記MIC4に形成された薄膜より
なる強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化の温度特性による共
鳴周波数のドリフトを永久磁石5にて相殺補償する際
に、瞬間的に周波数を変化させて磁気コイル3に自己発
熱が生じても、発生する共鳴周波数の低下はほぼ無視で
き得る程度のものである。したがって、例えば、周波数
を同調させた後、しばらくその周波数にとどめ、他の同
調周波数に変更するときには迅速に同調して安定化する
ことが必要な、マイクロ波通信機やTV受信器等のチュ
ーナデバイスなどに対して十分対応が可能となる。
共鳴装置によれば、上記MIC4に形成された薄膜より
なる強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化の温度特性による共
鳴周波数のドリフトを永久磁石5にて相殺補償する際
に、瞬間的に周波数を変化させて磁気コイル3に自己発
熱が生じても、発生する共鳴周波数の低下はほぼ無視で
き得る程度のものである。したがって、例えば、周波数
を同調させた後、しばらくその周波数にとどめ、他の同
調周波数に変更するときには迅速に同調して安定化する
ことが必要な、マイクロ波通信機やTV受信器等のチュ
ーナデバイスなどに対して十分対応が可能となる。
【0032】なお、上記実施例においては、ポールピー
ス6を介した上記MIC4及び永久磁石5を一方の磁極
である上記コア部1c側に配設して構成したが、これら
を他方の磁極である第2の磁極側に配してもよい。
ス6を介した上記MIC4及び永久磁石5を一方の磁極
である上記コア部1c側に配設して構成したが、これら
を他方の磁極である第2の磁極側に配してもよい。
【0033】
【発明の効果】本発明に係る強磁性磁気共鳴装置によれ
ば、磁気コイルを有する第1の磁極と、この第1の磁極
とともに各磁極を形成する第2の磁極と、強磁性磁気共
鳴素子が集積された集積回路と、磁化の温度特性が前記
強磁性磁気共鳴素子と逆の永久磁石とを備え、前記集積
回路と前記永久磁石とを積層し、この積層された集積回
路及び永久磁石を上記各磁極のいずれか一方の磁極上に
配設して構成したので、共鳴周波数の変更が要求された
際に、共鳴周波数の初期ドリフトを抑制して迅速な応答
が可能であり、薄膜よりなる強磁性磁気共鳴素子の飽和
磁化の温度特性による共鳴周波数のドリフトを永久磁石
にて相殺補償するシステムに十分な実用性を与えること
が可能となる。
ば、磁気コイルを有する第1の磁極と、この第1の磁極
とともに各磁極を形成する第2の磁極と、強磁性磁気共
鳴素子が集積された集積回路と、磁化の温度特性が前記
強磁性磁気共鳴素子と逆の永久磁石とを備え、前記集積
回路と前記永久磁石とを積層し、この積層された集積回
路及び永久磁石を上記各磁極のいずれか一方の磁極上に
配設して構成したので、共鳴周波数の変更が要求された
際に、共鳴周波数の初期ドリフトを抑制して迅速な応答
が可能であり、薄膜よりなる強磁性磁気共鳴素子の飽和
磁化の温度特性による共鳴周波数のドリフトを永久磁石
にて相殺補償するシステムに十分な実用性を与えること
が可能となる。
【0034】また、本発明によれば、磁界分布を均一化
するために、高透磁率を有するポールピースを介して上
記集積回路と上記永久磁石とを積層して構成したので、
薄膜よりなる強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化の温度特性
による共鳴周波数のドリフトを永久磁石にて相殺補償す
るシステムに更なる十分な実用性を与えることが可能と
なる。
するために、高透磁率を有するポールピースを介して上
記集積回路と上記永久磁石とを積層して構成したので、
薄膜よりなる強磁性磁気共鳴素子の飽和磁化の温度特性
による共鳴周波数のドリフトを永久磁石にて相殺補償す
るシステムに更なる十分な実用性を与えることが可能と
なる。
【図1】本実施例に係る強磁性磁気共鳴装置の構成を模
式的に示す断面図である。
式的に示す断面図である。
【図2】従来の強磁性磁気共鳴装置の構成を模式的に示
す断面図である。
す断面図である。
【図3】永久磁石を用いた際の温度ドリフトの抑制効果
を示す特性図である。
を示す特性図である。
【図4】磁気コイルの自己発熱による共鳴周波数の初期
ドリフトを示す特性図である。
ドリフトを示す特性図である。
1 第1の磁極
2 第2の磁極
3 磁気コイル
4 MIC
5 永久磁石
6 ポールピース
8 空隙
Claims (2)
- 【請求項1】 磁気コイルを有する第1の磁極と、 この第1の磁気コアと対向して配置される第2の磁極
と、 強磁性磁気共鳴素子が集積された集積回路と、 磁化の温度特性が前記強磁性磁気共鳴素子と逆の永久磁
石とを備え、 前記集積回路と前記永久磁石とが積層され、この積層さ
れた集積回路及び永久磁石が上記各磁極のいずれか一方
の磁極上に配設されてなることを特徴とする強磁性磁気
共鳴装置。 - 【請求項2】集積回路と永久磁石とが磁界分布を均一化
するための高透磁率を有するポールピースを介して積層
されてなることを特徴とする請求項1記載の強磁性磁気
共鳴装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01456094A JP3417032B2 (ja) | 1994-02-08 | 1994-02-08 | 強磁性磁気共鳴装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01456094A JP3417032B2 (ja) | 1994-02-08 | 1994-02-08 | 強磁性磁気共鳴装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07221508A JPH07221508A (ja) | 1995-08-18 |
JP3417032B2 true JP3417032B2 (ja) | 2003-06-16 |
Family
ID=11864548
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01456094A Expired - Fee Related JP3417032B2 (ja) | 1994-02-08 | 1994-02-08 | 強磁性磁気共鳴装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3417032B2 (ja) |
-
1994
- 1994-02-08 JP JP01456094A patent/JP3417032B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07221508A (ja) | 1995-08-18 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20030311 |
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