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JP3413853B2 - 新規な15員環状化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規な15員環状化合物及びその製造方法

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JP3413853B2
JP3413853B2 JP26801492A JP26801492A JP3413853B2 JP 3413853 B2 JP3413853 B2 JP 3413853B2 JP 26801492 A JP26801492 A JP 26801492A JP 26801492 A JP26801492 A JP 26801492A JP 3413853 B2 JP3413853 B2 JP 3413853B2
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Japan
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compound
formula
solution
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membered cyclic
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JP26801492A
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孝志 高橋
洋一 木戸
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、麝香香気を有する式
(IV)
【0002】
【化4】
【0003】で表されるムスコンの合成中間体として有
用な新規な15員環状化合物及びその製造方法に関す
る。
【0004】
【従来の技術】麝香(ムスク)は、ランと共に古くから
蘭麝と称されており、ジャコウジカの雄のジャコウのう
の中にある腺の分泌物であり、非常に高価で珍重な天然
の動物性香料物質である。この麝香の芳香成分は、19
26年にL.Ruzickaによって式(IV)で表さ
れるムスコンであることが発見された。
【0005】この発見以来、ムスコンを化学的手法によ
り合成することが数多く試みられてきている。例えば、
エクザルトンを原料に用いて、後からメチル基を導入す
る方法(Ruzicka,Helv.Chim.Act
a.,17,1308(1934))や、12員環状ケ
トンに炭素数が4である化合物を結合させた後、15員
環構造に誘導する方法(Eschenmoser,He
lv.Chim.Acta.,54,2896(197
1);Trost,J.Am.Chem.Soc.,1
02,5683(1980))、また、炭素数が12で
ある化合物に炭素数がそれぞれ2、1、1である化合物
を順次結合する方法(Stork,J.Am.Che
m.Soc.,97,1264(1975))などが提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
法によりムスコンを合成する場合、いずれの方法もその
工程数が多く、また全収率も低く、更にしばしば高価な
原料や試薬を必要とするという問題があった。
【0007】この発明は、このような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、式(IV)で表されるム
スコンを効率よく且つ低コストで製造できるようにする
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述のこの発明の目的
は、以下に示す新規な15員環状化合物をムスコンの合
成中間体とすることにより達成される。
【0009】即ち、この発明は、式(I)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、Aは−CH2CH2CH=CH−で
ある)で表される15員環状化合物を提供する。
【0012】また、この発明は、式(I)の15員環状
化合物の製造方法において、式(II)
【0013】
【化6】
【0014】(式中、Aは−CH2CH2CH=CH−で
あり、Rは未置換のアルコキシエチルであり、Xは脱離
基である)で表される化合物を、塩基性条件下で閉環し
て式(III)
【0015】
【化7】
【0016】(式中、A及びRは前述の通りである)で
表される化合物を形成し、更に加水分解することをする
ことを特徴とする製造方法を提供する。
【0017】以下、この発明を、ムスコンを全合成する
工程に沿って詳細に説明する。
【0018】a)式(I)中のAが−CH2CH2CH=
CH−である場合 ムスコンの全合成はスキーム1に示すように行うことが
できる。
【0019】
【0020】まず、式(1)の7−オクテナールに対し
て、そのアルデヒド基を保護するためにアセタール化反
応を行い、式(2)の1,1−ジアルコシキシ−7−オ
クテンに変換する。この出発物質の7−オクテナール
は、ブタジエンの水和二量化物から容易に得ることがで
きる。また、アセタール化反応は常法に準じて実施する
ことができ、例えば7−オクテナールとオルトギ酸エス
テルとをp−トルエンスルホン酸等の酸触媒とともに還
流することにより実施することができる。
【0021】次に、式(2)の化合物に対して、Coま
たはRh触媒、例えばRh(acac)(CO)2の存
在下でCOとH2とを反応させるヒドロホルミル化反応
を行い、末端の二重結合に水素と−CHOが付加した形
の炭素数の一つ多い式(3)の飽和アルデヒド化合物に
変換する。
【0022】更に、式(3)の化合物に対してHorn
er−Emmonos反応を行い、末端のアルデヒド基
を炭素数が2つ多いα,β−不飽和カルボン酸エステル
体に変換し、塩酸などの鉱酸水溶液でアセタール基を加
水分解して式(4)のアルデヒド・エステル体に変換す
る。Horner−Emmonos反応において使用す
る試薬としては、Horner−Emmonos ph
osphonateとして知られている試薬を使用する
ことができ、例えばエチルジエチルホスホノアセテート
[(EtO)2P(O)CH2COOEt]を好ましく使
用することができる。この試薬は溶媒、例えばTHFな
どの溶媒中で水素化ナトリウムなどの強塩基と反応させ
てホスホナートイリド体に変換された後、式(3)の化
合物と反応する。
【0023】次に、式(4)の化合物のアルデヒド基を
ヒドロキシル基に還元して式(5)の化合物に変換す
る。この還元反応としては、α,β−不飽和カルボン酸
エステル基に作用しない還元反応条件を選択することが
必要であり、例えば低級アルコール中で水素化ホウ素ナ
トリウムを作用させることが好ましい。
【0024】更に、式(5)の化合物の末端のヒドロキ
シル基を、後述する式(IIa)の化合物を閉環する際
の脱離基となる基で置換することにより式(6)の化合
物に変換する。このような脱離基としては、塩素、臭
素、よう素などのハロゲン原子、あるいは−OR3
(式中、R3は置換もしくは未置換のアリールスルホニ
ル基、例えばベンセンスルホニル基、p−トルエンスル
ホニル基、又は置換もしくは未置換のアルキルスルホニ
ル基、例えばメタンスルホニル基である)などが例示で
きるが、化合物の安定性、閉環する際の反応性等の観点
から、メタンスルホニルクロリドとトリエチルアミンと
臭化リチウムとにより導入される臭素が好ましい。
【0025】次に、式(6)の化合物のα,β−不飽和
カルボン酸エステル基のエステル部分のみを還元して対
応する式(7)の不飽和アルコール体(11−ハロゲノ
−2−ウンデセン−1−オール)に変換する。このよう
な還元反応としては、エステル部分のみを選択還元でき
る還元条件を選択することが必要であり、例えば炭化水
素系溶媒中で水素化ジイソブチルアルミニウム(DIB
AL)を作用させることが好ましい。
【0026】次に、式(7)の化合物を、式(8)のセ
ネシオンアルデヒドの低級アルコールのアセタール、例
えばセネシオンアルデヒドジメチルアセタールとテレフ
タル酸等の酸触媒との存在下、生成するアルコールを除
去しながら加熱撹拌して反応させることにより、5炭素
増炭した式(9)のα,β−不飽和アルデヒド体に変換
する。
【0027】更に、式(9)の化合物にトリメチルシリ
ルシアニドとを加えた後に相間移動触媒をKCNで錯体
化した触媒、例えば以下の構造で表されるジシクロヘキ
サノ−18−クラウン−6/KCN錯体触媒
【0028】
【化9】
【0029】を添加して反応させ、ついで希鉱酸、例え
ば1規定HCl水溶液で加水分解してシアンヒドリンと
し、更に、その粗シアンヒドリンにp−トルエンスルホ
ン酸等の酸触媒の存在下でアルキルビニルエーテル、例
えばエチルビニルエーテルと反応させて式(IIa)の
化合物に変換する。
【0030】式(IIa)の化合物は、溶媒中で塩基を
作用させることにより閉環し、式(IIIa)の15員
環状化合物に変換できる。閉環反応に使用する塩基とし
ては、リチウムテトラメチルジシラザン、ナトリウムテ
トラメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド
等の金属アミドや、水素化ナトリウム、水素化カリウム
等の水素化金属を使用することができる。
【0031】また、閉環反応は、ベンゼン、トルエン、
ヘキサン等の炭化水素類、ジイソプロピルエーテル、T
HF、1,4−ジオキサン等のエーテル類等の溶媒中で
行うことが好ましい。なお、溶媒は、化合物(IIa)
の濃度が約0.05〜0.5モル/lとなるように使用
することが好ましい。
【0032】反応温度は、使用する溶媒や塩基の種類な
どにより異なるが、一般には約20〜100℃、好まし
くは65〜80℃の範囲である。また、反応時間も使用
する溶媒や塩基の種類、反応温度などにより異なり、通
常10分〜3時間、好ましくは30分〜1.5時間であ
る。
【0033】なお、閉環反応は窒素やアルゴンなどの不
活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0034】このようにして得られた式(IIIa)の
化合物は、加水分解することにより式(Ia)のこの発
明の15員環状化合物に変換できる。この加水分解は、
酸、例えば塩酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、ベン
ゼンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネー
ト、酸性型イオン交換樹脂等、好ましくはp−トルエン
スルホン酸又はピリジニウムp−トルエンスルホネート
の存在下、式(IIIa)の化合物のメタノール、エタ
ノール等の低級アルコール溶液を、−10℃〜室温の範
囲内の温度で10分〜3時間、撹拌して反応させ、その
後、0℃〜室温の範囲内の温度で塩基、例えば希NaO
H水溶液を加えて中和し、更に塩化アンモニウム水溶
液、炭酸水素ナトリウム水溶液、トリエチルアミンなど
で処理することにより行うことができる。
【0035】式(Ia)のこの発明の15員環状化合物
は、パラジウムカーボン、酸化白金等の遷移金属触媒の
存在下、メタノール、酢酸エチル等の有機溶媒中、1〜
100atmの水素ガスと接触させて還元することによ
り式(IV)のムスコンに変換することができる。
【0036】
【作用】この発明の新規な15員環状化合物は、安価で
入手容易な化合物から簡便な操作により製造することが
可能であり、また、一般的な接触水添反応を施すことに
より麝香の芳香成分であるムスコンに変換可能である。
従って、ムスコンを効率よく且つ低コストで製造するこ
とが可能となる。
【0037】
【実施例】この発明を以下の実施例により更に詳細に説
明する。
【0038】実施例1(式(Ia)の化合物の製造)
【0039】
【化10】
【0040】工程(a) 式(2a)の化合物の製造
【0041】
【化11】
【0042】7−オクテナ−ル(50g、0.40mo
l)とp−トルエンスルホン酸(0.1g)とをメタノ
ール(200ml)に溶解して0℃に冷却した。この溶
液に、オルトギ酸メチル(47.7ml、0.44mo
l)を徐々に滴下した。滴下終了後、更に0℃で1時
間、撹拌を続けた。
【0043】反応液にトリエチルアミン(1ml)を加
えて中和し、反応液を減圧下で濃縮し、残渣(69.5
g)を減圧蒸留することにより、57.1g(収率83
%)の式(2a)の化合物を得た。表1に式(2a)の
化合物のNMRデータを示す。
【0044】
【表1】
【0045】工程(b) 式(3a)の化合物の製造
【0046】
【化12】
【0047】工程(a)で得られた式(2a)の化合物
(17.2g、0.10mol)、Rh(acac)
(CO)2(26mg、0.01mmol)及びトリフ
ェニルホスフィン(2.6g、1mmol)をベンゼン
(100ml)に溶解し、その溶液を300mlのステ
ンレス製オートクレーブに入れ、3〜9気圧の一酸化炭
素−水素混合ガス雰囲気下で60〜70℃で撹拌して反
応させた。5時間反応させ、反応液を冷却し、水で洗浄
した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮
した。得られた残渣を減圧蒸留することにより、式(2
a)の化合物を回収するとともに、式(3a)の位置異
性体[(CH3CH(CHO)(CH25CH(OC
32]を分離して、13.1g(収率65%)の式
(3a)の化合物を得た。表2に式(3a)の化合物の
NMRデータを示す。
【0048】
【表2】
【0049】工程(c) 式(4a)の化合物の製造
【0050】
【化13】
【0051】55%水素化ナトリウム(9.6g、0.
22mol)をテトラヒドロフラン(300ml)に懸
濁した。この懸濁液を0℃に冷却し、これにエチルジエ
チルホスホノアセテート(53.8g、0.24mo
l)をテトラヒドラフラン(100ml)に溶解した溶
液を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して1時間撹
拌した。この状態で反応液は透明になった。
【0052】反応液を再び0℃に冷却し、これに工程
(b)で得られた式(3a)の化合物(40g、0.2
mol)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し
た溶液を滴下した。滴下終了後、反応液を室温で3時間
撹拌した。その後100mlの3規定塩酸を加え、室温
で4時間撹拌した。その後、反応液を減圧下でテトラヒ
ドロフランを約350ml留去し、残液をジイソプロピ
ルエーテル(200ml)で2回抽出し、分離した有機
層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)、続
いて飽和食塩水(100ml)で洗浄した。溶媒を留去
することにより52.1gの式(4a)の粗化合物を得
た。
【0053】工程(d) 式(5a)の化合物の製造
【0054】
【化14】
【0055】工程(c)で得られた式(4a)の粗化合
物(52.1g,0.2mol)をメタノール(300
ml)に溶解して0℃に冷却した。この溶液に、水素化
ホウ素ナトリウム(2.28g、0.06mol)を徐
々に投入した。減圧下でメタノールを約200ml留去
し、残液をジイソプロピルエーテル(300ml)で希
釈した。この液を1規定塩酸で洗浄し、水層をジイソプ
ロピルエーテル(100ml)で抽出し、有機層と合わ
せ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)、飽和
食塩水(100ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で留去
し、56.0gの式(5a)の粗化合物を得た。
【0056】工程(e) 式(6a)の化合物の製造
【0057】
【化15】
【0058】工程(d)で得られた式(5a)の粗化合
物(56.0g,0.2mol)と24.2g(0.2
4mol)のトリエチルアミンとをテトラヒドロフラン
(400ml)に溶解して0℃に冷却した。この溶液
に、メタンスルホニルクロライド(25.2g、0.2
2mol)を滴下し、滴下終了後30分間撹拌した。
【0059】更に、反応液に臭化リチウム1水和物(6
3.0g、0.6mol)を投入し、加熱し還流下約4
時間反応させた。冷却後、反応液を1規定塩酸(200
ml)に注ぎ入れ、ジイソプロピルエーテル(300m
l、200ml)で2回抽出した。得られた有機層を飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml)、続いて飽
和食塩水(200ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で留
去し、65.0gの式(6a)の粗化合物を得た。
【0060】工程(f) 式(7a)の化合物の製造
【0061】
【化16】
【0062】工程(d)で得られた式(6a)の粗化合
物(65.0g,0.2mol)をトルエン(500m
l)に溶解して0℃に冷却した。この溶液に、2規定ジ
イソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL)のヘキ
サン溶液(220ml、0.44mol)を滴下した。
滴下終了後、反応液に3規定塩酸を徐々に加え、反応液
をジイソプロピルエーテル(300ml、200ml)
で2回抽出した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液(100ml)、続いて飽和食塩水(100
ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で留去し、式(7a)
の粗化合物(53.3g)を得た。この粗化合物を高真
空下で蒸留により精製し、無色オイル状の式(7a)の
化合物を38.5g得た。工程(c)〜(f)のトータ
ルの収率は77%になる。表3に式(7a)の化合物の
NMRデータを示す。
【0063】
【表3】
【0064】工程(g) 式(9a)の化合物の製造
【0065】
【化17】
【0066】工程(f)で得られた式(7a)の臭化ア
リルアルコール化合物(25g、0.1mol)とセネ
シオンアルデヒドジメチルアセタール(39g、0.3
mol)とテレフタル酸(250mg)とを、アルゴン
気流下で生成するメタノールを徐々に除去しながら17
0℃〜200℃のオイルバス上で約1時間加熱撹拌し
た。
【0067】その後、反応液を室温まで冷却し、ヘキサ
ン(300ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液(100ml)、続いて飽和食塩水(100ml)
で洗浄し、更に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒
を減圧下で留去し、32.4gの式(9a)の粗化合物
を得た。この粗化合物をカラムクロマト処理(担体Si
O2、溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=15/1(体
積比))により精製し、淡黄色オイル状の式(9a)の
化合物を25.9g(シス体/トランス体=約2/1、
収率82%)得た。表4に式(9a)の化合物のNMR
データを示す。
【0068】
【表4】
【0069】なお、式(9a)の化合物はカラムクロマ
ト処理を施すことなく、粗生成物の状態で次工程の反応
に供することができる。
【0070】工程(h) 式(IIa′)の化合物の製
【0071】
【化18】
【0072】工程(g)で得られた式(9a)のα,β
−不飽和アルデヒド化合物(16.9g、53.6mm
ol)とトリメチルシリルシアニド(8.56ml、6
4.3mmol)とを約5℃で混合撹拌した。この混合
物へ、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6/KCN
錯体(約100mg)を加え、更に5℃〜室温で約3時
間撹拌を続けた。
【0073】その後、反応液にテトラヒドロフラン(8
0ml)を加えて希釈し、次いで1規定塩酸(2ml)
を加えて数分間撹拌してシリル基を除去した。反応液に
ジイソプロピルエーテル(300ml)を加えて希釈
し、飽和食塩水(50ml)で洗浄後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した。溶媒を除去することにより中間体で
あるシアンヒドリン化合物を残渣として得た。
【0074】得られたシアンヒドリン化合物をベンゼン
(200ml)に溶解し、更にp−トルエンスルホン酸
(50mg)を加えて、溶液を酸性化した後、5℃に冷
却した。次いでエチルビニルエーテル(6.16ml、
64.3mmol)を徐々に滴下し、滴下終了後も約1
時間撹拌を続けた。その後、反応液を飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液で洗浄し、水層をジイソプロピルエーテル
で抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去する
ことにより29.3gの式(IIa′)の化合物を得
た。なお、この化合物は、カラムクロマト処理(担体S
iO2、溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=15/1
(体積比))により精製することもできるが、粗生成物
の状態で次工程の反応に供することができる。表5に式
(IIa′)の化合物のNMRデータを示す。
【0075】
【表5】
【0076】工程(i) 式(IIIa′)の化合物の
製造
【0077】
【化19】
【0078】ナトリウムアミド(3.12g、80mm
ol)をテトラヒドロフラン(350ml)に懸濁させ
た。この懸濁液を0℃に冷却し、そこへヘキサメチルジ
シラザン(21.0ml、100mmol)を加え、0
℃〜室温で1時間撹拌した。
【0079】その後、反応液を昇温して還流させ、工程
(h)で得られた式(IIa′)の化合物(11.8
g、27.3mmol)をテトラヒドロフラン(150
ml)に溶解した溶液を約4時間に亘って滴下した。滴
下終了後、反応液を室温にまで冷却し、飽和塩化アンモ
ニウム水溶液(100ml)を加えた。反応液から減圧
下で約350mlのテトラヒドロフランを留去し、ジイ
ソプロピルエーテル(300ml)で希釈した。これを
1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて飽
和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒を減圧下で留去することにより式(III
a′)の粗化合物を得た。
【0080】工程(j) 式(Ia)の化合物の製造
【0081】
【化20】
【0082】工程(i)で得られた式(IIIa′)の
粗化合物の全量をメタノール(200ml)に溶解し、
更にp−トルエンスルホン酸を溶液が酸性化するまで加
えた。この溶液を室温で30分間撹拌して反応させた
後、減圧下でメタノールを留去し、残液をジイソプロピ
ルエーテル(200ml)で希釈した。この溶液に2重
量%水酸化ナトリウム水溶液(100ml)を加えて5
分間振とうし、その後、飽和塩化アンモニウム水溶液、
続いて飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去することにより6.
7gの式(Ia)の化合物を得た。この化合物のNMR
データを表6に示す。
【0083】
【表6】
【0084】なお、式(Ia)の化合物はカラムクロマ
ト処理や蒸留処理により精製することもできるが、粗生
成物の状態でムスコン合成の原料とすることができる。
【0085】参考例1(式(IV)のdl−ムスコンの
製造)
【0086】
【化21】
【0087】式(1a)の実施例1の化合物(6.7
g)と、Pd/C触媒(0.64g)とメタノール(5
0ml)とを200mlの耐圧容器に仕込み、室温で3
時間、50気圧の水素ガスと反応させた。反応溶液から
触媒を濾別し、濾液から減圧下でメタノールを留去した
後、残液をジイソプロピルエーテル(200ml)で希
釈し、飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、カラムクロマト
処理により精製して、6.2gのdl−ムスコンを得
た。表7にdl−ムスコンのNMRデータを示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【発明の効果】この発明によれば、麝香の芳香成分とし
て有用な化合物であるムスコンを効率よく且つ低コスト
で製造する上で有用な新規な15員環状化合物及びその
製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−29687(JP,A) Tetrahedron Lette rs,1983,Vol.24,No.19,P 2005−2008 Tetrahedron Lette rs,1983,Vol.24,No.33,P 3485−3488 Tetrahedron Lette rs,1983,Vol.24,No.33,P 3489−3492 Tetrahedron Lette rs,1983,Vol.24,No.43,P 4695−4698 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 49/587 C07C 45/44 C07B 61/00 300 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、Aは−CH2CH2CH=CH−である) で表される15員環状化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の15員環状化合物の製造
    方法において、式(II) 【化2】 (式中、Aは−CH2CH2CH=CH−であり、Rは未
    置換のアルコキシエチルであり、Xは脱離基である) で表される化合物を、塩基性条件下で閉環して式(II
    I) 【化3】 (式中、A及びRは前述の通りである) で表される化合物を形成し、更に加水分解することを特
    徴とする製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Tetrahedron Letters,1983,Vol.24,No.19,P2005−2008
Tetrahedron Letters,1983,Vol.24,No.33,P3485−3488
Tetrahedron Letters,1983,Vol.24,No.33,P3489−3492
Tetrahedron Letters,1983,Vol.24,No.43,P4695−4698

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