JP3412774B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカ−ボネ−樹脂と
ポリアミド樹脂とを溶融混練した時の発泡およびゲル化
といった問題を解決した、靭性及び耐熱性の優れた樹脂
組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術およびその課題】ポリカ−ボネ−ト樹脂
は、耐熱性や耐衝撃性に優れており、日常生活用品、事
務機器などの各種機械部品、電気電子部品などに多く使
用されている。しかしながら、ポリカ−ボネ−ト樹脂は
耐薬品性が悪く、応力存在下である種の溶剤と接触する
とクラックを生じ易いという欠点を有している。 【0003】このポリカ−ボネ−ト樹脂の耐薬品性を改
良するため、ポリアミド樹脂を溶融混合する試みがしば
しば成されているが、ポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミ
ド樹脂を溶融混合すると、発泡したりゲル化するという
問題がある。このため安定して押し出しができず、また
押し出しても得られた成型品は到底使用に耐える物では
なかった。 【0004】これまで、ポリカ−ボネ−ト樹脂およびポ
リアミド樹脂にアクリロニトリルとスチレン系単量体と
を含む共重合体を配合した樹脂組成物が、幾つか報告さ
れている。例えば特開平3−137155にはスチレン
系樹脂およびゴム強化スチレン系樹脂の添加が示されて
いる。確かにポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂か
らなる組成物にスチレン系樹脂を配合すると、ポリカ−
ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂とを溶融混練したときに
おこる発泡およびゲル化は抑制される。しかしそれで得
られた組成物は靭性において十分でない。これにさらに
ゴム強化スチレン系樹脂を配合すると樹脂組成物の衝撃
強さは向上するが、得られた組成物は耐熱性が低下す
る。 【0005】また特開昭62−197448にはポリカ
−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂との層状剥離を防ぐ目
的で、ポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂に水酸基
を含有する重合体を添加する方法が示されている。確か
にこの方法でポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂と
の層状剥離の問題は解決できる。しかしポリカ−ボネ−
ト樹脂と水酸基を含有する樹脂とを溶融混練するとゲル
化するように、得られる組成物は熱安定性において十分
でない。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、ポリカ−ボ
ネ−ト樹脂とポリアミド樹脂からなる樹脂組成物(a)
に対して、アクリロニトリルとスチレン系単量体とから
なるスチレン系共重合体(b)および平均分子量が1
0,000〜50,000の範囲であるフェノキシ樹脂
(c)を配合することで、発泡およびゲル化という熱安
定性の問題を解決し、耐熱性および靭性に優れた樹脂組
成物が得られることを見いだし本発明を完成した。 【0007】本発明において使用するポリカ−ボネ−ト
樹脂は、2価フェノ−ルより誘導される粘度平均分子量
10,000〜100,000、好ましくは15,00
0〜60,000のポリカ−ボネ−トであり、通常2価
フェノ−ルとカ−ボネ−ト前駆体から溶液法または溶融
法で製造される。 【0008】2価フェノ−ルの代表的な例としてビスフ
ェノ−ルA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ−テル、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン等をあげることができる。好ましい2価
フェノ−ルはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン
系化合物、特に好ましいのはビスフェノ−ルAである。
2価フェノ−ルは単独でまたは2種以上混合して使用す
ることができる。また、カ−ボネ−ト前駆体としてはカ
ルボニルハライド、ジアルキルカ−ボネ−ト、ジフェニ
ルカ−ボネ−ト又はハロホルメ−ト等をあげることがで
きる。代表的な例としてはホスゲン、ジフェニルカ−ボ
ネ−ト、2価フェノ−ルのジハロホルメ−ト及びこれら
の混合物をあげることができる。ポリカ−ボネ−ト樹脂
の製造に際しては、適当な分子量調節剤、分岐剤、触媒
等も使用できる。 【0009】本発明において使用するポリアミド樹脂
は、3員環以上にラクタムの開環反応、重合可能なω−
アミノ酸の重縮合反応、二塩基酸とジアミンなどの重縮
合で製造される。例えばε−カプロラクタム、アミノカ
プロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、
11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−
ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、更にはヘキサ
メチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメ
チレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリ
レンジアミン等のジアミンとテレフタル酸、イソフタル
酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン二塩基酸、グル
タ−ル酸などのジカルボン酸とを重縮合させて得られる
重合体または共重合体などをあげることができる。具体
例としてはナイロン4、6、7、8、11、12、6・
6、6・9、6・10、6・11、6・12、6T,1
2T等が挙げられる。これらのポリアミドの分子量は、
一般に一万以上、特13,000〜50,000が好適
であり、重合度100以上、特に130〜500が好適
である。なお、本発明のポリアミド樹脂は、金属あるい
は両性金属に炭酸塩を含まないものが好ましく、これら
は通常ポリアミド樹脂の滑剤、離型剤、結晶核剤の成分
として含まれるものである。 【0010】本発明の上記ポリカ−ボネ−トとポリアミ
ドとからなる樹脂組成物(a)の配合比率は、重合比で
1/9〜9/1の範囲である。ポリカ−ボネ−トがこれ
より多いとポリカ−ボネ−トの耐薬品性が改良されず、
ポリアミドがこれより多いとポリカ−ボネ−トの特徴で
ある耐熱性が損なわれる。 【0011】本発明で用いられるスチレン系共重合体
(b)はアクリロニトリルとスチレン系単量体とを共重
合させて得ることができる。 【0012】前記スチレン系単量体としては、例えばス
チレン、α−メチルスレン、ο−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチ
レン等が挙げられる。なかでもスチレン及びα−メチル
スチレンが好ましい。この共重合組成は特に限定されな
いが、アクリロニトリルが10〜50重量部、スチレン
系単量体が90〜50重量部の範囲が好ましい。アクリ
ロニトリルが10重量部より少なくても50重量部より
多くても樹脂組成物の熱安定性は十分でなくなり、発泡
したりゲル化したりする。 【0013】本発明において使用されるフェノキシ樹脂
(c)としては、エポキシ樹脂と異なり分子末端など分
子鎖中に反応性に富むエポキシ基を全く含まないため、
樹脂自身での耐熱安定性に優れ、延性、靭性などに優れ
ている。具体的には、ヒドロキノン、レゾルシン、4,
4´−ビフェノ−ル、4,4´−ジヒドロキシジフェニ
ルエ−テル、ビスフェノ−ルAおよび2,6−ジヒドロ
キシナフタレン等の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるい
はエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペ
ンチルグリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロ
ピレングリコ−ル等の脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち
から選ばれる、1種あるいは2種以上の化合物と、グリ
セリンおよびエピクロルヒドリンとを縮合することによ
り得られるポリヒドロキシポリエ−テルなどが挙げられ
る。 【0014】なかでも、ビスフェノ−ルAとエピクロル
ヒドリンとの縮合により形成される、平均分子量が1
0,000〜50,000好ましくは10,000〜4
0,000のフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。こ
のようなフェノキシ樹脂は、たとえば、PKHC、PK
HH、PKHJなどの名称で、ユニオンカ−バイド社
(株)から市販されている。 【0015】本発明の上記成分a、bおよびcの配合比
率は一般的には特に限定されない物であるが、以下に示
す配合比率が最も効果的である。 【0016】a組成物100重量部に、b成分1〜30
重量部、c成分1〜30重量部の範囲である。b成分お
よびc成分が1重量部より少ないと効果が十分でなく、
30重量部より多いと熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が損
なわれる。 【0017】なお、本発明の組成物は、樹脂組成物の特
性を損なわない範囲内で上記配合物以外に例えば衝撃改
良剤、染顔料、可塑剤、滑剤、充填剤、酸化防止剤、難
燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を含有しても良い。 【0018】本発明の樹脂組成物は、混成成分をタンブ
ラ−ブレンダ−、ナウタ−ミキサ−、バンバリ−ミキサ
−、混練ロ−ル、押出機などの混合機により混合して製
造することができる。 【0019】本発明の組成物は任意の成型方法、例えば
射出成型、押出成型、圧縮成型、回転成型に適用でき、
成型時の熱安定性、得られた成型品の耐薬品性は極めて
良好である。 【0020】[実施例]以下に、実施例をあげて本発明
を説明するが、本発明は実施例によって何ら限定される
ものではない。尚、例中の%、部は特に断らない限り重
量基準である。 使用樹脂 芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(商品名:ユ−ピロンS3
000,三菱ガス化製)、ナイロン6(商品名:ウベ1
013B、宇部興産製)、(b)AS樹脂(商品名:セ
ビアンN010、ダイセル化学工業製)、アクリロニト
リル−α−メチルスチレン共重合体(共重合体−1、製
造例参照)、(c)フェノキシ樹脂(商品名:PKH
H、ユニオンカ−バイド社製)を使用した。 【0021】製造例 共重合体−1 α−メチルスチレン70%、アクリロニトリル30%か
らなる単量体混合物100部に、ステアリン酸ソ−ダ
2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.6部および水
250部を添加して70℃まで加熱し、これに過硫酸カ
ルシウム0.05部を添加し重合した。重合開始から3
時間後にさらに過硫酸カルシウム0.03部添加し、温
度を75℃に昇温して3時間保ち、重合を完結させた。
重合率は94%に達した。得られたラテックスを塩化カ
ルシウムで凝固し、水洗、乾燥後白色粉末の共重合体を
得た。 【0022】実施例1〜6および比較例1〜5 樹脂を第1表に記載した量配合し、混練した。混練はす
べて東芝機械プラスチックエンジニアリング社性TEM
35B二軸押出機を使用し、260℃で溶融混練してペ
レットとした。 【0023】得られた樹脂組成物は、射出成型により試
験片とした。得られた試験片は、第2表に記載の物性測
定を行った。 【0024】(1)引っ張り試験 ASTM規格D−638に準ずる。 【0025】(2)耐衝撃試験(アイゾットノッチ付
き) ASTM規格D−256に準ずる。 【0026】(3)熱変形温度 ASTM規格D−648に準ずる。(18.6kgf/
cm2 荷重) (4)組成物の発泡および着色の評価 樹脂を押出機で15分滞留後、その発泡および着色を目
視で評価した。発泡の状態がポリカ−ボネ−ト樹脂とポ
リアミド樹脂とを単純に溶融混練した場合とかわらない
ものを×、発泡の無いものを○、その中間を△と評価し
た。 【0027】 【表1】【表2】 【0028】 【発明の効果】第1表および第2表の実施例に示したよ
うに、本発明でポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂
との溶融混練時の発泡および着色が抑制され、靭性およ
び耐熱性に優れた樹脂組成物が得られることがわかる。
ポリアミド樹脂とを溶融混練した時の発泡およびゲル化
といった問題を解決した、靭性及び耐熱性の優れた樹脂
組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術およびその課題】ポリカ−ボネ−ト樹脂
は、耐熱性や耐衝撃性に優れており、日常生活用品、事
務機器などの各種機械部品、電気電子部品などに多く使
用されている。しかしながら、ポリカ−ボネ−ト樹脂は
耐薬品性が悪く、応力存在下である種の溶剤と接触する
とクラックを生じ易いという欠点を有している。 【0003】このポリカ−ボネ−ト樹脂の耐薬品性を改
良するため、ポリアミド樹脂を溶融混合する試みがしば
しば成されているが、ポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミ
ド樹脂を溶融混合すると、発泡したりゲル化するという
問題がある。このため安定して押し出しができず、また
押し出しても得られた成型品は到底使用に耐える物では
なかった。 【0004】これまで、ポリカ−ボネ−ト樹脂およびポ
リアミド樹脂にアクリロニトリルとスチレン系単量体と
を含む共重合体を配合した樹脂組成物が、幾つか報告さ
れている。例えば特開平3−137155にはスチレン
系樹脂およびゴム強化スチレン系樹脂の添加が示されて
いる。確かにポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂か
らなる組成物にスチレン系樹脂を配合すると、ポリカ−
ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂とを溶融混練したときに
おこる発泡およびゲル化は抑制される。しかしそれで得
られた組成物は靭性において十分でない。これにさらに
ゴム強化スチレン系樹脂を配合すると樹脂組成物の衝撃
強さは向上するが、得られた組成物は耐熱性が低下す
る。 【0005】また特開昭62−197448にはポリカ
−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂との層状剥離を防ぐ目
的で、ポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂に水酸基
を含有する重合体を添加する方法が示されている。確か
にこの方法でポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂と
の層状剥離の問題は解決できる。しかしポリカ−ボネ−
ト樹脂と水酸基を含有する樹脂とを溶融混練するとゲル
化するように、得られる組成物は熱安定性において十分
でない。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、ポリカ−ボ
ネ−ト樹脂とポリアミド樹脂からなる樹脂組成物(a)
に対して、アクリロニトリルとスチレン系単量体とから
なるスチレン系共重合体(b)および平均分子量が1
0,000〜50,000の範囲であるフェノキシ樹脂
(c)を配合することで、発泡およびゲル化という熱安
定性の問題を解決し、耐熱性および靭性に優れた樹脂組
成物が得られることを見いだし本発明を完成した。 【0007】本発明において使用するポリカ−ボネ−ト
樹脂は、2価フェノ−ルより誘導される粘度平均分子量
10,000〜100,000、好ましくは15,00
0〜60,000のポリカ−ボネ−トであり、通常2価
フェノ−ルとカ−ボネ−ト前駆体から溶液法または溶融
法で製造される。 【0008】2価フェノ−ルの代表的な例としてビスフ
ェノ−ルA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ−テル、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン等をあげることができる。好ましい2価
フェノ−ルはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン
系化合物、特に好ましいのはビスフェノ−ルAである。
2価フェノ−ルは単独でまたは2種以上混合して使用す
ることができる。また、カ−ボネ−ト前駆体としてはカ
ルボニルハライド、ジアルキルカ−ボネ−ト、ジフェニ
ルカ−ボネ−ト又はハロホルメ−ト等をあげることがで
きる。代表的な例としてはホスゲン、ジフェニルカ−ボ
ネ−ト、2価フェノ−ルのジハロホルメ−ト及びこれら
の混合物をあげることができる。ポリカ−ボネ−ト樹脂
の製造に際しては、適当な分子量調節剤、分岐剤、触媒
等も使用できる。 【0009】本発明において使用するポリアミド樹脂
は、3員環以上にラクタムの開環反応、重合可能なω−
アミノ酸の重縮合反応、二塩基酸とジアミンなどの重縮
合で製造される。例えばε−カプロラクタム、アミノカ
プロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、
11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−
ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、更にはヘキサ
メチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメ
チレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリ
レンジアミン等のジアミンとテレフタル酸、イソフタル
酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン二塩基酸、グル
タ−ル酸などのジカルボン酸とを重縮合させて得られる
重合体または共重合体などをあげることができる。具体
例としてはナイロン4、6、7、8、11、12、6・
6、6・9、6・10、6・11、6・12、6T,1
2T等が挙げられる。これらのポリアミドの分子量は、
一般に一万以上、特13,000〜50,000が好適
であり、重合度100以上、特に130〜500が好適
である。なお、本発明のポリアミド樹脂は、金属あるい
は両性金属に炭酸塩を含まないものが好ましく、これら
は通常ポリアミド樹脂の滑剤、離型剤、結晶核剤の成分
として含まれるものである。 【0010】本発明の上記ポリカ−ボネ−トとポリアミ
ドとからなる樹脂組成物(a)の配合比率は、重合比で
1/9〜9/1の範囲である。ポリカ−ボネ−トがこれ
より多いとポリカ−ボネ−トの耐薬品性が改良されず、
ポリアミドがこれより多いとポリカ−ボネ−トの特徴で
ある耐熱性が損なわれる。 【0011】本発明で用いられるスチレン系共重合体
(b)はアクリロニトリルとスチレン系単量体とを共重
合させて得ることができる。 【0012】前記スチレン系単量体としては、例えばス
チレン、α−メチルスレン、ο−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチ
レン等が挙げられる。なかでもスチレン及びα−メチル
スチレンが好ましい。この共重合組成は特に限定されな
いが、アクリロニトリルが10〜50重量部、スチレン
系単量体が90〜50重量部の範囲が好ましい。アクリ
ロニトリルが10重量部より少なくても50重量部より
多くても樹脂組成物の熱安定性は十分でなくなり、発泡
したりゲル化したりする。 【0013】本発明において使用されるフェノキシ樹脂
(c)としては、エポキシ樹脂と異なり分子末端など分
子鎖中に反応性に富むエポキシ基を全く含まないため、
樹脂自身での耐熱安定性に優れ、延性、靭性などに優れ
ている。具体的には、ヒドロキノン、レゾルシン、4,
4´−ビフェノ−ル、4,4´−ジヒドロキシジフェニ
ルエ−テル、ビスフェノ−ルAおよび2,6−ジヒドロ
キシナフタレン等の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるい
はエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ネオペ
ンチルグリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロ
ピレングリコ−ル等の脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち
から選ばれる、1種あるいは2種以上の化合物と、グリ
セリンおよびエピクロルヒドリンとを縮合することによ
り得られるポリヒドロキシポリエ−テルなどが挙げられ
る。 【0014】なかでも、ビスフェノ−ルAとエピクロル
ヒドリンとの縮合により形成される、平均分子量が1
0,000〜50,000好ましくは10,000〜4
0,000のフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。こ
のようなフェノキシ樹脂は、たとえば、PKHC、PK
HH、PKHJなどの名称で、ユニオンカ−バイド社
(株)から市販されている。 【0015】本発明の上記成分a、bおよびcの配合比
率は一般的には特に限定されない物であるが、以下に示
す配合比率が最も効果的である。 【0016】a組成物100重量部に、b成分1〜30
重量部、c成分1〜30重量部の範囲である。b成分お
よびc成分が1重量部より少ないと効果が十分でなく、
30重量部より多いと熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が損
なわれる。 【0017】なお、本発明の組成物は、樹脂組成物の特
性を損なわない範囲内で上記配合物以外に例えば衝撃改
良剤、染顔料、可塑剤、滑剤、充填剤、酸化防止剤、難
燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を含有しても良い。 【0018】本発明の樹脂組成物は、混成成分をタンブ
ラ−ブレンダ−、ナウタ−ミキサ−、バンバリ−ミキサ
−、混練ロ−ル、押出機などの混合機により混合して製
造することができる。 【0019】本発明の組成物は任意の成型方法、例えば
射出成型、押出成型、圧縮成型、回転成型に適用でき、
成型時の熱安定性、得られた成型品の耐薬品性は極めて
良好である。 【0020】[実施例]以下に、実施例をあげて本発明
を説明するが、本発明は実施例によって何ら限定される
ものではない。尚、例中の%、部は特に断らない限り重
量基準である。 使用樹脂 芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(商品名:ユ−ピロンS3
000,三菱ガス化製)、ナイロン6(商品名:ウベ1
013B、宇部興産製)、(b)AS樹脂(商品名:セ
ビアンN010、ダイセル化学工業製)、アクリロニト
リル−α−メチルスチレン共重合体(共重合体−1、製
造例参照)、(c)フェノキシ樹脂(商品名:PKH
H、ユニオンカ−バイド社製)を使用した。 【0021】製造例 共重合体−1 α−メチルスチレン70%、アクリロニトリル30%か
らなる単量体混合物100部に、ステアリン酸ソ−ダ
2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.6部および水
250部を添加して70℃まで加熱し、これに過硫酸カ
ルシウム0.05部を添加し重合した。重合開始から3
時間後にさらに過硫酸カルシウム0.03部添加し、温
度を75℃に昇温して3時間保ち、重合を完結させた。
重合率は94%に達した。得られたラテックスを塩化カ
ルシウムで凝固し、水洗、乾燥後白色粉末の共重合体を
得た。 【0022】実施例1〜6および比較例1〜5 樹脂を第1表に記載した量配合し、混練した。混練はす
べて東芝機械プラスチックエンジニアリング社性TEM
35B二軸押出機を使用し、260℃で溶融混練してペ
レットとした。 【0023】得られた樹脂組成物は、射出成型により試
験片とした。得られた試験片は、第2表に記載の物性測
定を行った。 【0024】(1)引っ張り試験 ASTM規格D−638に準ずる。 【0025】(2)耐衝撃試験(アイゾットノッチ付
き) ASTM規格D−256に準ずる。 【0026】(3)熱変形温度 ASTM規格D−648に準ずる。(18.6kgf/
cm2 荷重) (4)組成物の発泡および着色の評価 樹脂を押出機で15分滞留後、その発泡および着色を目
視で評価した。発泡の状態がポリカ−ボネ−ト樹脂とポ
リアミド樹脂とを単純に溶融混練した場合とかわらない
ものを×、発泡の無いものを○、その中間を△と評価し
た。 【0027】 【表1】【表2】 【0028】 【発明の効果】第1表および第2表の実施例に示したよ
うに、本発明でポリカ−ボネ−ト樹脂とポリアミド樹脂
との溶融混練時の発泡および着色が抑制され、靭性およ
び耐熱性に優れた樹脂組成物が得られることがわかる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリカ−ボネ−ト樹脂およびポリアミド
樹脂からなる樹脂組成物(a)100重量部に対してア
クリロニトリルとスチレン系単量体とからなるスチレン
系共重合体(b)1〜30重量部および平均分子量が1
0,000〜50,000の範囲であるフェノキシ樹脂
(c)1〜30重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18934594A JP3412774B2 (ja) | 1994-08-11 | 1994-08-11 | 熱可塑性樹脂組成物 |
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JP18934594A JP3412774B2 (ja) | 1994-08-11 | 1994-08-11 | 熱可塑性樹脂組成物 |
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- 1994-08-11 JP JP18934594A patent/JP3412774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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