JP3399507B2 - 新規パラジウム−オキサゾリンピラゾール錯体 - Google Patents
新規パラジウム−オキサゾリンピラゾール錯体Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なオキサゾリン
ピラゾール化合物、パラジウム−オキサゾリンピラゾ−
ル錯体、及び該錯体を含む有機合成用触媒に関するもの
である。
ピラゾール化合物、パラジウム−オキサゾリンピラゾ−
ル錯体、及び該錯体を含む有機合成用触媒に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】パラジウム触媒は、炭素−炭素結合形成
反応、酸化反応、還元反応など様々な有機合成反応にお
いて有用であり、従来、主としてパラジウム−リンやパ
ラジウム−ひ素型の触媒として用いられている。しかし
ながら、これらの触媒は活性が高いものの、酸化されや
すいために活性を失いやすいという問題があり、また、
配位子であるリンやひ素には悪臭や毒性があることか
ら、環境汚染などの問題を引き起こす場合があった。従
って、リンやヒ素に替わる配位子を有するパラジム触媒
の開発が求められている。
反応、酸化反応、還元反応など様々な有機合成反応にお
いて有用であり、従来、主としてパラジウム−リンやパ
ラジウム−ひ素型の触媒として用いられている。しかし
ながら、これらの触媒は活性が高いものの、酸化されや
すいために活性を失いやすいという問題があり、また、
配位子であるリンやひ素には悪臭や毒性があることか
ら、環境汚染などの問題を引き起こす場合があった。従
って、リンやヒ素に替わる配位子を有するパラジム触媒
の開発が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、リン
やヒ素に替えて悪臭や毒性のない配位子を有し、安定性
と触媒活性に優れたパラジウム錯体を提供することにあ
る。また、本発明の別の課題は、上記の特徴を有するパ
ラジム錯体を触媒として用いる有機合成反応を提供する
ことにある。また、上記の特徴を有する配位子として有
用な化合物を提供することが本発明の別の課題である。
やヒ素に替えて悪臭や毒性のない配位子を有し、安定性
と触媒活性に優れたパラジウム錯体を提供することにあ
る。また、本発明の別の課題は、上記の特徴を有するパ
ラジム錯体を触媒として用いる有機合成反応を提供する
ことにある。また、上記の特徴を有する配位子として有
用な化合物を提供することが本発明の別の課題である。
【0004】本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意
研究を行ない、各種の有機合成反応において高い触媒活
性を発揮できる錯体として、ピラゾール配位子を有する
パラジウム錯体(特願平10-113493号)及びイミダゾー
ル配位子を有するパラジウム錯体(特願平10-269859
号)を提供するに至った。これらの錯体は、従来のパラ
ジウム錯体では達成できない酢酸アリルとケテンシリル
アセタールの触媒的シクロプロパン化反応において高い
触媒活性を有するという特徴がある。
研究を行ない、各種の有機合成反応において高い触媒活
性を発揮できる錯体として、ピラゾール配位子を有する
パラジウム錯体(特願平10-113493号)及びイミダゾー
ル配位子を有するパラジウム錯体(特願平10-269859
号)を提供するに至った。これらの錯体は、従来のパラ
ジウム錯体では達成できない酢酸アリルとケテンシリル
アセタールの触媒的シクロプロパン化反応において高い
触媒活性を有するという特徴がある。
【0005】本発明者らは、さらに高い触媒活性と反応
選択性を有するパラジウム錯体を提供すべく研究を行な
い、下記の一般式(I)及び式(II)で表されるオキサ
ゾリンピラゾール化合物がパラジウムの安定化配位子と
して優れた性能を有しており、この化合物を配位子とし
て含むパラジウム錯体が各種の有機合成反応において高
い触媒活性を発揮できることを見出した。特に、式(I
I)で表される光学活性配位子を有するパラジウム錯体
が種々の不斉合成反応のための触媒として使用できるこ
とを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成さ
れたものである。
選択性を有するパラジウム錯体を提供すべく研究を行な
い、下記の一般式(I)及び式(II)で表されるオキサ
ゾリンピラゾール化合物がパラジウムの安定化配位子と
して優れた性能を有しており、この化合物を配位子とし
て含むパラジウム錯体が各種の有機合成反応において高
い触媒活性を発揮できることを見出した。特に、式(I
I)で表される光学活性配位子を有するパラジウム錯体
が種々の不斉合成反応のための触媒として使用できるこ
とを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成さ
れたものである。
【0006】すなわち、本発明は、下記の一般式
(I):
(I):
【化3】
(式中、R1は低級アルキル基を示し;R2及びR3はそれぞ
れ独立に水素原子又は低級アルキル基を示し;R4は水素
原子、低級アルキル基、又は置換基を有していてもよい
低級アラルキル基を示す)で表される化合物又はその
塩;上記一般式(I)で表されるパラジウム金属用の配
位子;及び、下記の一般式(II):
れ独立に水素原子又は低級アルキル基を示し;R4は水素
原子、低級アルキル基、又は置換基を有していてもよい
低級アラルキル基を示す)で表される化合物又はその
塩;上記一般式(I)で表されるパラジウム金属用の配
位子;及び、下記の一般式(II):
【化4】
(式中、R11は低級アルキル基を示し;R12及びR13はそ
れぞれ独立に水素原子又は低級アルキル基を示し;R14
は低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級ア
ラルキル基を示し;波線はR14が結合する炭素原子がS-
配置若しくはR-配置のいずれかであることを示す)で表
されるパラジウム金属用の配位子を提供するものであ
る。
れぞれ独立に水素原子又は低級アルキル基を示し;R14
は低級アルキル基又は置換基を有していてもよい低級ア
ラルキル基を示し;波線はR14が結合する炭素原子がS-
配置若しくはR-配置のいずれかであることを示す)で表
されるパラジウム金属用の配位子を提供するものであ
る。
【0007】別の観点からは、本発明により上記式
(I)又は式(II)で表される配位子を含むパラジウム
錯体が提供される。この錯体の好ましい態様によれば、
R1がtert-ブチル基であり、R2、R3、及びR4が水素原子
である式(I)の配位子を含む上記パラジウム錯体;R1
がtert-ブチル基であり、R2及びR3が水素原子であり、R
4がイソプロピル基、tert-ブチル基、又はベンジル基で
ある式(II)の配位子を含む上記パラジウム錯体;及び
上記パラジウム錯体を含む有機合成用触媒が提供され
る。
(I)又は式(II)で表される配位子を含むパラジウム
錯体が提供される。この錯体の好ましい態様によれば、
R1がtert-ブチル基であり、R2、R3、及びR4が水素原子
である式(I)の配位子を含む上記パラジウム錯体;R1
がtert-ブチル基であり、R2及びR3が水素原子であり、R
4がイソプロピル基、tert-ブチル基、又はベンジル基で
ある式(II)の配位子を含む上記パラジウム錯体;及び
上記パラジウム錯体を含む有機合成用触媒が提供され
る。
【0008】この触媒は、シクロプロパン化反応に用い
ることができ、特にケテンシリルアセタールを用いるシ
クロプロパン化反応において触媒活性を有するという特
徴がある。式(II)で表される配位子を含む上記パラジ
ウム錯体は、不斉シクロプロパン化反応に用いることが
できる。
ることができ、特にケテンシリルアセタールを用いるシ
クロプロパン化反応において触媒活性を有するという特
徴がある。式(II)で表される配位子を含む上記パラジ
ウム錯体は、不斉シクロプロパン化反応に用いることが
できる。
【0009】
【発明の実施の形態】上記一般式(I)において、R1は
低級アルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立に水素
原子又は低級アルキル基を示すが、R2及びR3が水素原子
であることが好ましい。式(II)において、R11は低級
アルキル基を示し、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原
子又は低級アルキル基を示すが、R12及びR13が水素原子
であることが好ましい。低級アルキル基としては、炭素
原子数1〜12個、好ましくは1〜6個程度の直鎖、分枝
鎖、若しくは環状のアルキル基、又はこれらの組み合わ
せであるアルキル基を用いることができる。環状アルキ
ル基の環上には1個又は2個以上の直鎖又は分枝鎖の低
級アルキル基が置換していてもよい。より具体的には、
低級アルキル基として、メチル基、エチル基、n-プロピ
ル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル
基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、
シクロプロピルメチル基などを用いることができる。R1
又はR11が示す低級アルキル基としては嵩高いアルキル
基が好ましく、tert-ブチル基が特に好ましい。
低級アルキル基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立に水素
原子又は低級アルキル基を示すが、R2及びR3が水素原子
であることが好ましい。式(II)において、R11は低級
アルキル基を示し、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原
子又は低級アルキル基を示すが、R12及びR13が水素原子
であることが好ましい。低級アルキル基としては、炭素
原子数1〜12個、好ましくは1〜6個程度の直鎖、分枝
鎖、若しくは環状のアルキル基、又はこれらの組み合わ
せであるアルキル基を用いることができる。環状アルキ
ル基の環上には1個又は2個以上の直鎖又は分枝鎖の低
級アルキル基が置換していてもよい。より具体的には、
低級アルキル基として、メチル基、エチル基、n-プロピ
ル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル
基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、
シクロプロピルメチル基などを用いることができる。R1
又はR11が示す低級アルキル基としては嵩高いアルキル
基が好ましく、tert-ブチル基が特に好ましい。
【0010】R4は水素原子、低級アルキル基、又は低級
アラルキル基を示し、R14は低級アルキル基又は低級ア
ラルキル基を示す。これらの基が示す低級アラルキル基
のアリール環の環上には置換基が存在していてもよい。
環上の置換基の個数、種類、及び置換位置は特に限定さ
れないが、本発明のパラジウム錯体を有機合成用の触媒
として用いる場合には、目的の反応における触媒活性を
高めるように、当該反応において不活性な置換基のなか
から適宜選択することが望ましい。置換基として、例え
ば、低級アルキル基、低級アルコキシ基(メトキシ基、
エトキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原
子、臭素原子など)などを用いることができる。R4又は
R14が示す低級アルキル基としては嵩高いアルキル基が
好ましい。例えば、イソプロピル基、イソブチル基、se
c-ブチル基、又はtert-ブチル基などが好ましく、イソ
プロピル基又はtert-ブチル基がより好ましい。R4又はR
14が示す低級アラルキル基としてはベンジル基が好まし
い。
アラルキル基を示し、R14は低級アルキル基又は低級ア
ラルキル基を示す。これらの基が示す低級アラルキル基
のアリール環の環上には置換基が存在していてもよい。
環上の置換基の個数、種類、及び置換位置は特に限定さ
れないが、本発明のパラジウム錯体を有機合成用の触媒
として用いる場合には、目的の反応における触媒活性を
高めるように、当該反応において不活性な置換基のなか
から適宜選択することが望ましい。置換基として、例え
ば、低級アルキル基、低級アルコキシ基(メトキシ基、
エトキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原
子、臭素原子など)などを用いることができる。R4又は
R14が示す低級アルキル基としては嵩高いアルキル基が
好ましい。例えば、イソプロピル基、イソブチル基、se
c-ブチル基、又はtert-ブチル基などが好ましく、イソ
プロピル基又はtert-ブチル基がより好ましい。R4又はR
14が示す低級アラルキル基としてはベンジル基が好まし
い。
【0011】式(I)で表される化合物において、R4が
水素原子以外の基である場合には、R4が結合する炭素原
子は不斉炭素となるが、式(I)で表される化合物は、
該不斉炭素に基づく純粋な形態の光学活性体のほか、光
学活性体の任意の混合物又はラセミ体として存在してい
てもよい。本発明の化合物には、これらはいずれも包含
される。式(II)で表される化合物は光学活性体であ
り、式中の波線はR14が結合する炭素原子がS-配置若し
くはR-配置のいずれかであることを示している。
水素原子以外の基である場合には、R4が結合する炭素原
子は不斉炭素となるが、式(I)で表される化合物は、
該不斉炭素に基づく純粋な形態の光学活性体のほか、光
学活性体の任意の混合物又はラセミ体として存在してい
てもよい。本発明の化合物には、これらはいずれも包含
される。式(II)で表される化合物は光学活性体であ
り、式中の波線はR14が結合する炭素原子がS-配置若し
くはR-配置のいずれかであることを示している。
【0012】上記の式(I)又は式(II)で表される化
合物は酸付加塩として存在することが可能である。例え
ば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、p-トルエン
スルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸塩などの形
態で存在することが可能であるが、塩の種類はこれらに
限定されることはない。また、遊離形態の化合物又は酸
付加塩が水和物又は溶媒和物として存在する場合もあ
る。さらに、上記の式(I)又は式(II)で表される化
合物には下記のような互変異性体が存在しているが(下
記の式において、R2及びR3が水素原子の化合物を示し
た)、本発明の配位子をこれらの互変異性体のいずれか
に限定して解釈してはならない。
合物は酸付加塩として存在することが可能である。例え
ば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、p-トルエン
スルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸塩などの形
態で存在することが可能であるが、塩の種類はこれらに
限定されることはない。また、遊離形態の化合物又は酸
付加塩が水和物又は溶媒和物として存在する場合もあ
る。さらに、上記の式(I)又は式(II)で表される化
合物には下記のような互変異性体が存在しているが(下
記の式において、R2及びR3が水素原子の化合物を示し
た)、本発明の配位子をこれらの互変異性体のいずれか
に限定して解釈してはならない。
【化5】
【0013】上記の式(I)で表される化合物の製造方
法の具体例を本明細書の実施例に示した。当業者は、本
明細書の実施例を参照しつつ、原料化合物、反応試薬、
反応条件などを適宜選択することにより、またこれらの
方法に適宜の修飾ないしは改変を加えることにより、上
記式(I)に包含される化合物をいずれも製造すること
が可能である。また、式(II)で表される光学活性体
は、式(I)で表されるラセミ体を製造し、通常の光学
分割法で分割することが可能であるが、不斉合成により
製造することもできる。その一例を下記のスキームに示
す(スキーム中、R1がtert-ブチル基であり、R2及びR3
が水素原子の化合物について示してあり、R14をRと表示
した。なお、化合物の立体化学は相対配置を示す。)。
法の具体例を本明細書の実施例に示した。当業者は、本
明細書の実施例を参照しつつ、原料化合物、反応試薬、
反応条件などを適宜選択することにより、またこれらの
方法に適宜の修飾ないしは改変を加えることにより、上
記式(I)に包含される化合物をいずれも製造すること
が可能である。また、式(II)で表される光学活性体
は、式(I)で表されるラセミ体を製造し、通常の光学
分割法で分割することが可能であるが、不斉合成により
製造することもできる。その一例を下記のスキームに示
す(スキーム中、R1がtert-ブチル基であり、R2及びR3
が水素原子の化合物について示してあり、R14をRと表示
した。なお、化合物の立体化学は相対配置を示す。)。
【0014】
【化6】
【0015】上記式(I)に包含される代表的化合物と
して、上記スキーム中の化合物4a(R1がtert-ブチル基
であり、R2、R3、及びR4が水素原子である化合物)を挙
げることができ、上記式(II)に包含される代表的化合
物として、化合物4b(R1がtert-ブチル基であり、R2及
びR3が水素原子であり、R4がイソプロピル基である化合
物)、化合物4c(R1がtert-ブチル基であり、R2及びR3
が水素原子であり、R4がtert-ブチル基である化合
物)、及び化合物4d(R1がtert-ブチル基であり、R2及
びR3が水素原子であり、R4がベンジル基である化合物)
を挙げることができる。これらの化合物は室温下では無
臭の固体であり、空気中でも安定である。
して、上記スキーム中の化合物4a(R1がtert-ブチル基
であり、R2、R3、及びR4が水素原子である化合物)を挙
げることができ、上記式(II)に包含される代表的化合
物として、化合物4b(R1がtert-ブチル基であり、R2及
びR3が水素原子であり、R4がイソプロピル基である化合
物)、化合物4c(R1がtert-ブチル基であり、R2及びR3
が水素原子であり、R4がtert-ブチル基である化合
物)、及び化合物4d(R1がtert-ブチル基であり、R2及
びR3が水素原子であり、R4がベンジル基である化合物)
を挙げることができる。これらの化合物は室温下では無
臭の固体であり、空気中でも安定である。
【0016】上記式(I)又は式(II)で表される化合
物はパラジウム錯体を製造するための配位子として有用
である。上記式(I)又は式(II)で表される化合物と
パラジウム化合物(例えば塩化アリルパラジウムなど)
を不活性溶媒中で混合することにより、本発明のパラジ
ウム錯体を製造することができる。本発明のパラジウム
錯体は、通常、上記式(I)又は式(II)で表される化
合物のほかに1個の配位子を有しているが、この配位子
の種類は特に限定されない。また、本発明のパラジウム
錯体が塩を形成する場合には、アニオンの種類は特に限
定されず、いかなる形態の塩も本発明の錯体に包含され
る。例えば、上記化合物4aないし4dと塩化アリルパラジ
ウムとをAgBF4の存在下に反応させることによりテトラ
フルオロボレートの形態のパラジウム錯体(錯体5aない
し5d)が得られる。
物はパラジウム錯体を製造するための配位子として有用
である。上記式(I)又は式(II)で表される化合物と
パラジウム化合物(例えば塩化アリルパラジウムなど)
を不活性溶媒中で混合することにより、本発明のパラジ
ウム錯体を製造することができる。本発明のパラジウム
錯体は、通常、上記式(I)又は式(II)で表される化
合物のほかに1個の配位子を有しているが、この配位子
の種類は特に限定されない。また、本発明のパラジウム
錯体が塩を形成する場合には、アニオンの種類は特に限
定されず、いかなる形態の塩も本発明の錯体に包含され
る。例えば、上記化合物4aないし4dと塩化アリルパラジ
ウムとをAgBF4の存在下に反応させることによりテトラ
フルオロボレートの形態のパラジウム錯体(錯体5aない
し5d)が得られる。
【0017】
【化7】
【0018】本発明の錯体は各種の有機合成用触媒とし
て利用することができる。本発明の錯体は、中性錯体の
形態で種々の有機溶媒に対して高い溶解性を示すので、
各種の有機反応において幅広い反応条件を適用すること
が可能である。本発明の錯体を触媒として用いる場合の
有機反応は特に限定されないが、例えば、炭素−炭素結
合形成反応、酸化反応、又は還元反応などに用いること
が可能である。本発明の錯体を用いて行われる特徴的な
炭素−炭素結合形成反応として、シクロプロパン環の形
成反応を挙げることができる。
て利用することができる。本発明の錯体は、中性錯体の
形態で種々の有機溶媒に対して高い溶解性を示すので、
各種の有機反応において幅広い反応条件を適用すること
が可能である。本発明の錯体を触媒として用いる場合の
有機反応は特に限定されないが、例えば、炭素−炭素結
合形成反応、酸化反応、又は還元反応などに用いること
が可能である。本発明の錯体を用いて行われる特徴的な
炭素−炭素結合形成反応として、シクロプロパン環の形
成反応を挙げることができる。
【0019】本明細書の実施例に具体的に示したよう
に、本発明のパラジウム錯体は、エステル誘導体である
ケテンシリルアセタ−ルと酢酸アリルとの反応において
触媒活性を示し、シクロプロパン化合物を主生成物とし
て与える。本発明の方法に利用可能なケテンシリルアセ
タールの構造は特に限定されず、当業者は適宜の化合物
を選択することができる。代表的なケテンシリルアセタ
ールは本明細書の実施例に具体的に示されている。ま
た、酢酸シンナミルとの反応では立体選択的に反応が進
行し、トランスの配置を持つシクロプロパンが得られ
る。さらに、式(II)で表される光学活性配位子を有す
るパラジウム錯体は、不斉シクロプロパン化反応に有用
である。
に、本発明のパラジウム錯体は、エステル誘導体である
ケテンシリルアセタ−ルと酢酸アリルとの反応において
触媒活性を示し、シクロプロパン化合物を主生成物とし
て与える。本発明の方法に利用可能なケテンシリルアセ
タールの構造は特に限定されず、当業者は適宜の化合物
を選択することができる。代表的なケテンシリルアセタ
ールは本明細書の実施例に具体的に示されている。ま
た、酢酸シンナミルとの反応では立体選択的に反応が進
行し、トランスの配置を持つシクロプロパンが得られ
る。さらに、式(II)で表される光学活性配位子を有す
るパラジウム錯体は、不斉シクロプロパン化反応に有用
である。
【0020】本発明のパラジウム錯体を触媒として用い
る場合の使用量は特に限定されず、有機反応の種類や反
応条件に応じて適宜選択可能であるが、例えば、0.01〜
100 mol%程度の濃度で使用することができ、通常は1〜1
0 mol%程度の触媒量でも高い収率で生成物を与える。な
お、溶媒の種類、反応条件、試薬の種類などは当業者に
適宜選択可能であることはいうまでもない。
る場合の使用量は特に限定されず、有機反応の種類や反
応条件に応じて適宜選択可能であるが、例えば、0.01〜
100 mol%程度の濃度で使用することができ、通常は1〜1
0 mol%程度の触媒量でも高い収率で生成物を与える。な
お、溶媒の種類、反応条件、試薬の種類などは当業者に
適宜選択可能であることはいうまでもない。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。なお、以下の実施例中の化合物番号は上
記スキーム中の化合物番号と対応している。 例1:配位子の製造 化合物1の合成 500mL三口フラスコに滴下ロートとジムロートをつけ、
水素化ナトリウム(60 wt%, 2.0g, 50 mmol)を入れた
後、アルゴン置換し、テトラヒドロフラン(THF)25 mL
を加え、0℃に冷却した。この懸濁液にTHF 25 mLに溶解
した2,2-ジメチルブタン-3-オン(5.01 g, 50 mmol)を
ゆっくりと加えると水素ガスが発生した。0℃で15分撹
拌後、室温でさらに20分撹拌し、水素ガスが完全に出終
わった後、この反応液にTHF 25 mLに溶解したシュウ酸
ジメチル(8.84 g, 75 mmol)を滴下した。反応液を80
℃に加熱しながら3時間攪拌すると反応液は赤褐色にな
った。反応液を室温に冷却した後、10% HCl 水溶液で水
層のpHを7〜8に調整してエーテルで抽出した。有機層を
飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥して
減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー
(酢酸エチル/ヘキサン=1/9)を用いて精製し、化合物
1(6.43 g, 収率69%)を得た。1 H NMR(CDCl3, 300 MHz)δ 14.7(br,1H), 6.55(s,
1H), 3.90(s, 3H),1.22(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 209.3, 166.9, 162.7, 9
8.0, 53.0, 41.6, 26.6.
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。なお、以下の実施例中の化合物番号は上
記スキーム中の化合物番号と対応している。 例1:配位子の製造 化合物1の合成 500mL三口フラスコに滴下ロートとジムロートをつけ、
水素化ナトリウム(60 wt%, 2.0g, 50 mmol)を入れた
後、アルゴン置換し、テトラヒドロフラン(THF)25 mL
を加え、0℃に冷却した。この懸濁液にTHF 25 mLに溶解
した2,2-ジメチルブタン-3-オン(5.01 g, 50 mmol)を
ゆっくりと加えると水素ガスが発生した。0℃で15分撹
拌後、室温でさらに20分撹拌し、水素ガスが完全に出終
わった後、この反応液にTHF 25 mLに溶解したシュウ酸
ジメチル(8.84 g, 75 mmol)を滴下した。反応液を80
℃に加熱しながら3時間攪拌すると反応液は赤褐色にな
った。反応液を室温に冷却した後、10% HCl 水溶液で水
層のpHを7〜8に調整してエーテルで抽出した。有機層を
飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥して
減圧濃縮した。残査をシリカゲルクロマトグラフィー
(酢酸エチル/ヘキサン=1/9)を用いて精製し、化合物
1(6.43 g, 収率69%)を得た。1 H NMR(CDCl3, 300 MHz)δ 14.7(br,1H), 6.55(s,
1H), 3.90(s, 3H),1.22(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 209.3, 166.9, 162.7, 9
8.0, 53.0, 41.6, 26.6.
【0022】200mLなす型フラスコに(S)-2-アミノ-3-メ
チル-1-ブタノール(2.06 g, 20 mmol)を入れ、化合物
1(3.72 g, 20 mmol)をエタノール50 mLに溶かして加
えた。80℃に加熱して1時間還流した後、ヒドラジン1
水和物(10.8 mL)を反応液に加え、さらに1時間加熱
還流した。反応液を室温に冷却した後、エタノールを減
圧留去し、残渣に水10mLを加えた。有機物をクロロホル
ムで抽出し、有機層を乾燥して溶媒を減圧留去すると油
状物質(5.96 g)が得られた。
チル-1-ブタノール(2.06 g, 20 mmol)を入れ、化合物
1(3.72 g, 20 mmol)をエタノール50 mLに溶かして加
えた。80℃に加熱して1時間還流した後、ヒドラジン1
水和物(10.8 mL)を反応液に加え、さらに1時間加熱
還流した。反応液を室温に冷却した後、エタノールを減
圧留去し、残渣に水10mLを加えた。有機物をクロロホル
ムで抽出し、有機層を乾燥して溶媒を減圧留去すると油
状物質(5.96 g)が得られた。
【0023】この油状物質をクロロホルム(50 mL)に
溶解し、飽和NaHCO3水溶液(20 mL)を加えた後、ジter
t-ブチルジカーボネート(2.14 mL, 10 mmol)を滴下し
て室温で攪拌した。3時間後、反応混合物をクロロホル
ム抽出し、有機相を乾燥して溶媒を減圧留去した。残査
に少量のクロロホルムを入れると白色結晶が生成した。
この結晶を濾取して乾燥すると化合物2b(1.80 g)が得
られた。この生成物は微量の不純物を含んでいたがこの
まま次の反応に用いた。 [α]D 27 : -21.5°(c 0.613, MeOH) m.p. 80-90℃ Anal. calcd. for C13H23N3O2; C: 61.63, H: 9.150,
N: 16.59, Found; C: 55.95, H: 8.42, N: 15.47.1 H NMR(CD3OD, 300 MHz)δ 7.85-7.75(m, 1H), 6.5
2(br, 1H), 3.90-3.80(m, 1H), 3.75-3.60(m, 2
H), 2.08-1.87(m, 1H), 1.33(s, 9H), 0.99(d, 3
H, J=6.8 Hz), 0.95(d, 3H, J=6.8 Hz).
溶解し、飽和NaHCO3水溶液(20 mL)を加えた後、ジter
t-ブチルジカーボネート(2.14 mL, 10 mmol)を滴下し
て室温で攪拌した。3時間後、反応混合物をクロロホル
ム抽出し、有機相を乾燥して溶媒を減圧留去した。残査
に少量のクロロホルムを入れると白色結晶が生成した。
この結晶を濾取して乾燥すると化合物2b(1.80 g)が得
られた。この生成物は微量の不純物を含んでいたがこの
まま次の反応に用いた。 [α]D 27 : -21.5°(c 0.613, MeOH) m.p. 80-90℃ Anal. calcd. for C13H23N3O2; C: 61.63, H: 9.150,
N: 16.59, Found; C: 55.95, H: 8.42, N: 15.47.1 H NMR(CD3OD, 300 MHz)δ 7.85-7.75(m, 1H), 6.5
2(br, 1H), 3.90-3.80(m, 1H), 3.75-3.60(m, 2
H), 2.08-1.87(m, 1H), 1.33(s, 9H), 0.99(d, 3
H, J=6.8 Hz), 0.95(d, 3H, J=6.8 Hz).
【0024】100 mLなす型フラスコに化合物2b(1.0 g,
3.98 mmol)を入れ1,2-ジクロロエタンに溶解した。こ
の溶液に塩化チオニル(約0.6 mL)を加え、40℃に加熱
して1.5時間攪拌した。減圧下に溶媒を除去し、残査に
飽和NaHCO3水溶液(20 mL)を加え、有機物をクロロホ
ルムで抽出し、有機層を乾燥して溶媒を減圧留去すると
油状物質(0.686 g)が得られた。この残査をクロマト
グラフィー(富士シリシアN-H、酢酸エチル/ヘキサン=1
/2)で精製し、化合物3b(0.594 g,収率55%)を得た。 [α]D 28 : -25.7°(c 0.393, MeOH) m.p. 124-127℃ Anal. calcd. for C13H21N3OCl; C: 57.66, H: 7.817,
N: 15.52, Found; C: 57.14, H: 8.17, N: 15.16.1 H NMR(CDCl3, 270 MHz)δ 7.00(br, 1H), 6.63
(s, 1H), 4.20-4.08(m,1H), 3.78(dd, 1H, J=4.0,
11.5 Hz), 3.74(dd, 1H, J=4.0, 11.5 Hz), 2.13-
1.98(m, 1H), 1.35(s, 9H), 1.02(d, 3H, J=5.0 H
z), 1.01(d, 3H, J=5.0 Hz).
3.98 mmol)を入れ1,2-ジクロロエタンに溶解した。こ
の溶液に塩化チオニル(約0.6 mL)を加え、40℃に加熱
して1.5時間攪拌した。減圧下に溶媒を除去し、残査に
飽和NaHCO3水溶液(20 mL)を加え、有機物をクロロホ
ルムで抽出し、有機層を乾燥して溶媒を減圧留去すると
油状物質(0.686 g)が得られた。この残査をクロマト
グラフィー(富士シリシアN-H、酢酸エチル/ヘキサン=1
/2)で精製し、化合物3b(0.594 g,収率55%)を得た。 [α]D 28 : -25.7°(c 0.393, MeOH) m.p. 124-127℃ Anal. calcd. for C13H21N3OCl; C: 57.66, H: 7.817,
N: 15.52, Found; C: 57.14, H: 8.17, N: 15.16.1 H NMR(CDCl3, 270 MHz)δ 7.00(br, 1H), 6.63
(s, 1H), 4.20-4.08(m,1H), 3.78(dd, 1H, J=4.0,
11.5 Hz), 3.74(dd, 1H, J=4.0, 11.5 Hz), 2.13-
1.98(m, 1H), 1.35(s, 9H), 1.02(d, 3H, J=5.0 H
z), 1.01(d, 3H, J=5.0 Hz).
【0025】100 mLなす型フラスコに化合物3b(0.594
g, 2.18 mmol)とNaOMe(0.294 g, 5.44 mmol)を入
れ、メタノール(20 mL)を加えて2時間加熱還流した
後、減圧下にメタノールを除去した。残渣に水(10 m
L)を加え、有機物をクロロホルムで抽出し、有機相を
乾燥して溶媒を減圧留去すると油状物質が得られた。こ
の残査をクロマトグラフィー(富士シリシアN-H、酢酸
エチル/ヘキサン=1/2)にて精製し、化合物4b(0.463
g,収率90%)を得た。 [α]D 28 : -45.2°(c 0.462, MeOH) m.p. 116-119℃ Anal. calcd. for C13H21N3O; C: 66.35, H: 8.9960,
N: 17.86, Found; C: 66.08, H: 9.04, N: 17.63.1 H NMR(CDCl3, 300MHz)δ 11.80(br, 1H), 6.60
(s, 1H), 4.44-4.34(m,1H), 4.18-4.06(m, 2H),
1.95-1.79(m, 1H), 1.34(s, 9H), 1.03(d, 3H, J=
6.8 Hz), 0.92(d, 3H, J=6.8 Hz).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 158.2(br), 103.2, 72.
3, 70.1, 32.7, 31.4, 30.2, 19.0, 18.0.
g, 2.18 mmol)とNaOMe(0.294 g, 5.44 mmol)を入
れ、メタノール(20 mL)を加えて2時間加熱還流した
後、減圧下にメタノールを除去した。残渣に水(10 m
L)を加え、有機物をクロロホルムで抽出し、有機相を
乾燥して溶媒を減圧留去すると油状物質が得られた。こ
の残査をクロマトグラフィー(富士シリシアN-H、酢酸
エチル/ヘキサン=1/2)にて精製し、化合物4b(0.463
g,収率90%)を得た。 [α]D 28 : -45.2°(c 0.462, MeOH) m.p. 116-119℃ Anal. calcd. for C13H21N3O; C: 66.35, H: 8.9960,
N: 17.86, Found; C: 66.08, H: 9.04, N: 17.63.1 H NMR(CDCl3, 300MHz)δ 11.80(br, 1H), 6.60
(s, 1H), 4.44-4.34(m,1H), 4.18-4.06(m, 2H),
1.95-1.79(m, 1H), 1.34(s, 9H), 1.03(d, 3H, J=
6.8 Hz), 0.92(d, 3H, J=6.8 Hz).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 158.2(br), 103.2, 72.
3, 70.1, 32.7, 31.4, 30.2, 19.0, 18.0.
【0026】50 mL褐色2口フラスコにAgBF4(115 mg,
0.593 mmol)とη3-アリルパラジウムクロライドダイマ
ー(108 mg, 0.297 mmol)をいれ、アルゴン置換した
後、0℃に冷却して脱水エーテル 6 mLを加えた。混合物
を10分間撹拌した後、化合物4b(140 mg, 0.593 mmol)
を加え、0℃で5分間撹拌し、さらにジクロロメタン 3m
Lを加えて室温で1時間撹拌した。不溶固体をセライト
ろ過し、ろ液を減圧濃縮して残渣を乾燥させると、錯体
5b(260 mg, 収率93%)が得られた。 5b: m.p. 90℃(decomp.) Anal. calcd. for C16H26ON3PdBF4; C: 40.92, H: 5.5
8, N: 8.95, Found; C: 40.49, H: 5.59, N: 8.71.1 H NMR (DMF-d7, 300 MHz, 50℃)δ 14.63(br, 1
H), 6.89(s, 1H), 5.84(tt, 1H, J = 7.0, 12.0 H
z), 4.96(t, 1H, J=9.3 Hz), 4.86(dd, 1H, J=6.8,
9.2Hz), 4.57(br, 2H), 4.43-4.34(m, 1H), 3.39
(d, 1H, J=12.0 Hz), 3.35(d, 1H, J=12.0 Hz), 2.
20-2.09(m, 1H), 1.41(s, 9H), 0.99(d, 3H, J=7.
0 Hz), 0.89(d, 3H, J=6.8 Hz).13 C NMR(DMF-d7, 75 MHz, 50℃)δ 166.7, 159.4, 14
1.1, 116.7, 103.1, 74.1, 69.6, 62.3, 61.6, 32.3, 3
1.4, 18.3, 15.4.
0.593 mmol)とη3-アリルパラジウムクロライドダイマ
ー(108 mg, 0.297 mmol)をいれ、アルゴン置換した
後、0℃に冷却して脱水エーテル 6 mLを加えた。混合物
を10分間撹拌した後、化合物4b(140 mg, 0.593 mmol)
を加え、0℃で5分間撹拌し、さらにジクロロメタン 3m
Lを加えて室温で1時間撹拌した。不溶固体をセライト
ろ過し、ろ液を減圧濃縮して残渣を乾燥させると、錯体
5b(260 mg, 収率93%)が得られた。 5b: m.p. 90℃(decomp.) Anal. calcd. for C16H26ON3PdBF4; C: 40.92, H: 5.5
8, N: 8.95, Found; C: 40.49, H: 5.59, N: 8.71.1 H NMR (DMF-d7, 300 MHz, 50℃)δ 14.63(br, 1
H), 6.89(s, 1H), 5.84(tt, 1H, J = 7.0, 12.0 H
z), 4.96(t, 1H, J=9.3 Hz), 4.86(dd, 1H, J=6.8,
9.2Hz), 4.57(br, 2H), 4.43-4.34(m, 1H), 3.39
(d, 1H, J=12.0 Hz), 3.35(d, 1H, J=12.0 Hz), 2.
20-2.09(m, 1H), 1.41(s, 9H), 0.99(d, 3H, J=7.
0 Hz), 0.89(d, 3H, J=6.8 Hz).13 C NMR(DMF-d7, 75 MHz, 50℃)δ 166.7, 159.4, 14
1.1, 116.7, 103.1, 74.1, 69.6, 62.3, 61.6, 32.3, 3
1.4, 18.3, 15.4.
【0027】2bの合成と同様にして、アミノアルコール
を(S)-2-アミノ-3-メチル-1-ブタノールの替わりに、そ
れぞれ2-アミノエタノール, (S)-tert-ルシノール, (S)
-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールを用いて化合物
2a、化合物2c、及び化合物2dを合成した。 化合物2a m.p. 141℃ Anal. calcd. for C10H17N3O; C: 56.85, H: 8.11, N:
19.89, Found; C: 56.54, H: 8.15, N: 20.30.1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 8.15(br, 1H), 7.28
(s, 1H), 6.56(s, 1H), 3.88-3.83(m, 2H), 3.60
-3.51(m, 2H), 1.81(br, 1H), 1.28(s, 9H).1H N
MR (CD3OD, 270 MHz)δ 8.16(br), 6.51(s, 1H),
3.69(br.t, 2H, J=5.7 Hz), 3.48(br.t, 2H, J=5.7
Hz), 1.30(s, 9H).13 C NMR (CD3OD, 67.5 MHz)δ 165.1, 155.8, 147.1,
102.2, 61.6, 42.6, 32.0, 30.5.
を(S)-2-アミノ-3-メチル-1-ブタノールの替わりに、そ
れぞれ2-アミノエタノール, (S)-tert-ルシノール, (S)
-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノールを用いて化合物
2a、化合物2c、及び化合物2dを合成した。 化合物2a m.p. 141℃ Anal. calcd. for C10H17N3O; C: 56.85, H: 8.11, N:
19.89, Found; C: 56.54, H: 8.15, N: 20.30.1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 8.15(br, 1H), 7.28
(s, 1H), 6.56(s, 1H), 3.88-3.83(m, 2H), 3.60
-3.51(m, 2H), 1.81(br, 1H), 1.28(s, 9H).1H N
MR (CD3OD, 270 MHz)δ 8.16(br), 6.51(s, 1H),
3.69(br.t, 2H, J=5.7 Hz), 3.48(br.t, 2H, J=5.7
Hz), 1.30(s, 9H).13 C NMR (CD3OD, 67.5 MHz)δ 165.1, 155.8, 147.1,
102.2, 61.6, 42.6, 32.0, 30.5.
【0028】化合物2c
Anal. calcd. for C14H25N3O2: C; 62.9, H; 9.42, N;
15.7. Found: C; 62.31,H; 9.50, N; 15.61.1 H NMR (CDCl3, 270MHz)δ 6.60(s, 1H), 4.34(d
d, 1H, J = 8.6, 10.2 Hz), 4.22(t, 1H, J = 8.5 H
z), 4.04(dd, 1H, J = 7.9, 10.2 Hz), 1.90-1.35
(br, 3H), 1.34(s, 9H), 0.95(s, 9H). 化合物2d1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 11.79(br, 1H), 7.70
(br, 1H), 7.26-7.14(m, 5H), 6.52(s, 1H), 4.5
0-4.37(m, 1H), 4.30(br, 1H), 3.79(dd, 1H, J=
3.3, 11.4 Hz), 3.58(dd, 1H, J=5.7, 11.4 Hz), 2.
90-2.72(m, 2H),1.28(s, 9H).13 C NMR (CDCl3, 75 MHz)δ 163.0, 154.9, 146.8, 1
37.7, 129.1, 128.6, 126.4, 102.2, 63.6, 52.3, 37.
1, 31.0, 30.0.
15.7. Found: C; 62.31,H; 9.50, N; 15.61.1 H NMR (CDCl3, 270MHz)δ 6.60(s, 1H), 4.34(d
d, 1H, J = 8.6, 10.2 Hz), 4.22(t, 1H, J = 8.5 H
z), 4.04(dd, 1H, J = 7.9, 10.2 Hz), 1.90-1.35
(br, 3H), 1.34(s, 9H), 0.95(s, 9H). 化合物2d1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 11.79(br, 1H), 7.70
(br, 1H), 7.26-7.14(m, 5H), 6.52(s, 1H), 4.5
0-4.37(m, 1H), 4.30(br, 1H), 3.79(dd, 1H, J=
3.3, 11.4 Hz), 3.58(dd, 1H, J=5.7, 11.4 Hz), 2.
90-2.72(m, 2H),1.28(s, 9H).13 C NMR (CDCl3, 75 MHz)δ 163.0, 154.9, 146.8, 1
37.7, 129.1, 128.6, 126.4, 102.2, 63.6, 52.3, 37.
1, 31.0, 30.0.
【0029】化合物3bと同様にしてそれぞれ化合物3a及
び化合物3dを合成した。 化合物3a: m.p. 158℃ Anal. calcd. for C10H16N3ClO; C: 52.29, H: 7.02,
N: 18.29, Found; C: 51.96, H: 7.03, N: 18.03.1 H NMR(CDCl3, 300 MHz)δ 7.40(br, 1H), 6.63
(s, 1H), 3.84-3.63(m,4H), 1.34(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 162.7, 155.5, 146.1, 10
2.0, 43.7, 41.0, 31.1,30.1. 化合物3d1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 10.92(br, 1H), 7.34-
7.15(m, 5H), 6.63(s, 1H), 4.75-4.60(m, 1H),
3.71(dd, 1H, J=4.2, 11.2 Hz), 3.57(dd, 1H, J=3.
5, 11.2 Hz), 3.09-2.94(m, 2H), 1.34(s, 9H).13 C NMR (CDCl3, 75 MHz)δ 161.9, 155.2, 146.4, 1
36.9, 129.2, 128.7, 126.8, 102.1, 50.4, 46.6, 37.
5, 31.1, 30.1.
び化合物3dを合成した。 化合物3a: m.p. 158℃ Anal. calcd. for C10H16N3ClO; C: 52.29, H: 7.02,
N: 18.29, Found; C: 51.96, H: 7.03, N: 18.03.1 H NMR(CDCl3, 300 MHz)δ 7.40(br, 1H), 6.63
(s, 1H), 3.84-3.63(m,4H), 1.34(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 162.7, 155.5, 146.1, 10
2.0, 43.7, 41.0, 31.1,30.1. 化合物3d1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 10.92(br, 1H), 7.34-
7.15(m, 5H), 6.63(s, 1H), 4.75-4.60(m, 1H),
3.71(dd, 1H, J=4.2, 11.2 Hz), 3.57(dd, 1H, J=3.
5, 11.2 Hz), 3.09-2.94(m, 2H), 1.34(s, 9H).13 C NMR (CDCl3, 75 MHz)δ 161.9, 155.2, 146.4, 1
36.9, 129.2, 128.7, 126.8, 102.1, 50.4, 46.6, 37.
5, 31.1, 30.1.
【0030】化合物2cに対して化合物3bの合成と同様な
操作を行うと直接化合物4cが生成する。 化合物4c Anal. calcd. for C14H23N3O: C; 67.4, H; 9.30, N; 1
6.9. Found: C; 66.62,H; 9.30, N; 16.52.1 H NMR(CDCl3, 300MHz)δ 11.9(br, 1H), 6.60(s,
1H), 4.33(dd, 1H, J=8.6, 10.1 Hz), 4.22(t, 1
H, J = 7.8 Hz), 4.08(dd, 1H, J = 7.7, 10.1Hz),
1.32(s, 9H), 0.97(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 158.07, 103.23, 75.91,
68.74, 34.00, 31.46,30.29, 30.16, 26.88, 25.62.
操作を行うと直接化合物4cが生成する。 化合物4c Anal. calcd. for C14H23N3O: C; 67.4, H; 9.30, N; 1
6.9. Found: C; 66.62,H; 9.30, N; 16.52.1 H NMR(CDCl3, 300MHz)δ 11.9(br, 1H), 6.60(s,
1H), 4.33(dd, 1H, J=8.6, 10.1 Hz), 4.22(t, 1
H, J = 7.8 Hz), 4.08(dd, 1H, J = 7.7, 10.1Hz),
1.32(s, 9H), 0.97(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 158.07, 103.23, 75.91,
68.74, 34.00, 31.46,30.29, 30.16, 26.88, 25.62.
【0031】化合物4bと同様にしてそれぞれ化合物4a及
び化合物4dを合成した。 化合物4a m.p. 145℃ Anal. calcd. for C10H15N3O; C: 62.15, H: 7.82, N:
21.74, Found; C: 61.92, H: 7.88, N: 21.19.1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 6.59(s, 1H), 4.44
(t, 2H, J=9.5 Hz), 4.07(t, 2H, J=9.5 Hz), 1.34
(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 159.4, 103.1, 67.6, 54.
6, 31.4, 30.2.
び化合物4dを合成した。 化合物4a m.p. 145℃ Anal. calcd. for C10H15N3O; C: 62.15, H: 7.82, N:
21.74, Found; C: 61.92, H: 7.88, N: 21.19.1 H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ 6.59(s, 1H), 4.44
(t, 2H, J=9.5 Hz), 4.07(t, 2H, J=9.5 Hz), 1.34
(s, 9H).13 C NMR(CDCl3, 75 MHz)δ 159.4, 103.1, 67.6, 54.
6, 31.4, 30.2.
【0032】化合物4d1
H NMR(CDCl3, 300 MHz)δ 7.36-7.18(m, 5H), 6.6
0(s, 1H), 4.66-4.54(m, 1H), 4.35(dd, 1H, J=8.
4, 9.0 Hz), 4.14(dd, 1H, J=7.7, 8.4 Hz),3.28(d
d, 1H, J=5.0, 13.8 Hz), 2.71(dd, 1H, J=9.1, 13.8
Hz), 1.35(s, 9H).13 C NMR (CDCl3, 75 MHz)δ 158.6, 137.8, 129.2, 1
28.6, 126.5, 103.3, 72.0, 67.7, 41.7, 31.4, 30.2.
0(s, 1H), 4.66-4.54(m, 1H), 4.35(dd, 1H, J=8.
4, 9.0 Hz), 4.14(dd, 1H, J=7.7, 8.4 Hz),3.28(d
d, 1H, J=5.0, 13.8 Hz), 2.71(dd, 1H, J=9.1, 13.8
Hz), 1.35(s, 9H).13 C NMR (CDCl3, 75 MHz)δ 158.6, 137.8, 129.2, 1
28.6, 126.5, 103.3, 72.0, 67.7, 41.7, 31.4, 30.2.
【0033】錯体5bと同様にしてそれぞれ錯体5a、錯体
5c、及び錯体5dを合成した。 錯体5a m.p. 159℃ Anal. calcd. for C13H20ON3PdBF4; C: 36.52, H: 4.7
2, N: 9.83, Found; C: 36.42, H: 4.66, N: 9.68.1 H NMR(DMSO-d6, 300 MHz)δ 6.81(s, 1H), 5.77
(m, 1H), 4.82(brt, 2H, J=9.5 Hz), 4.45(br, 2
H), 4.02(brt, 2H, J=9.5 Hz), 3.33(br, 2H),1.3
2(s, 9H).1 H NMR(CDCl3, 300 MHz, -50℃)δ 12.67(br, 1H),
6.49(s, 1H), 5.57(tt, 1H, J=6.8, 12.4 Hz), 5.
07(d, 1H, J=6.8 Hz), 4.94(dt, 2H, J=2.2,9.7H
z), 4.23(d, 1H, J=6.8 Hz), 4.28-4.05(m, 2H),
3.42(d, 2H, J=12.4 Hz), 3.06(d, 1H, J=12.4 H
z), 1.41(s, 9H).
5c、及び錯体5dを合成した。 錯体5a m.p. 159℃ Anal. calcd. for C13H20ON3PdBF4; C: 36.52, H: 4.7
2, N: 9.83, Found; C: 36.42, H: 4.66, N: 9.68.1 H NMR(DMSO-d6, 300 MHz)δ 6.81(s, 1H), 5.77
(m, 1H), 4.82(brt, 2H, J=9.5 Hz), 4.45(br, 2
H), 4.02(brt, 2H, J=9.5 Hz), 3.33(br, 2H),1.3
2(s, 9H).1 H NMR(CDCl3, 300 MHz, -50℃)δ 12.67(br, 1H),
6.49(s, 1H), 5.57(tt, 1H, J=6.8, 12.4 Hz), 5.
07(d, 1H, J=6.8 Hz), 4.94(dt, 2H, J=2.2,9.7H
z), 4.23(d, 1H, J=6.8 Hz), 4.28-4.05(m, 2H),
3.42(d, 2H, J=12.4 Hz), 3.06(d, 1H, J=12.4 H
z), 1.41(s, 9H).
【0034】錯体5c
Anal. calcd. for C17H28N3OBF4Pd: C; 42.3, H; 5.85,
N; 8.71. Found: C; 40.35, H; 5.57, N; 8.00.13 C NMR (CDCl3, 75 MHz, 40℃)δ 166.45, 158.89,
139.93, 115.46, 102.12, 73.60, 73.54, 64.22, 62.3
4, 34.83, 31.73, 29.60, 25.56.1 H NMR (DMF-d7, 300MHz, 23℃)δ 15.18(br, 1H),
6.94(s, 1H), 5.98-5.80(br, 1H), 5.10(dd, 1H,
J=4.4, 9.8 Hz), 4.88(t, 1H, J=9.8 Hz), 4.60-4.
44(br, 2H), 4.17(dd, 1H, J=4.4, 9.8 Hz), 3.56-
3.40(br, 1H),3.35-3.18(br, 1H), 1.42(s, 9H),
1.00(s, 9H).13 C NMR (DMF-d7, 75 MHz, 23℃)δ 167.0, 159.4, 1
40.9, 117.0, 74.8, 73.8, 64.3, 62.7, 32.3, 25.6.
N; 8.71. Found: C; 40.35, H; 5.57, N; 8.00.13 C NMR (CDCl3, 75 MHz, 40℃)δ 166.45, 158.89,
139.93, 115.46, 102.12, 73.60, 73.54, 64.22, 62.3
4, 34.83, 31.73, 29.60, 25.56.1 H NMR (DMF-d7, 300MHz, 23℃)δ 15.18(br, 1H),
6.94(s, 1H), 5.98-5.80(br, 1H), 5.10(dd, 1H,
J=4.4, 9.8 Hz), 4.88(t, 1H, J=9.8 Hz), 4.60-4.
44(br, 2H), 4.17(dd, 1H, J=4.4, 9.8 Hz), 3.56-
3.40(br, 1H),3.35-3.18(br, 1H), 1.42(s, 9H),
1.00(s, 9H).13 C NMR (DMF-d7, 75 MHz, 23℃)δ 167.0, 159.4, 1
40.9, 117.0, 74.8, 73.8, 64.3, 62.7, 32.3, 25.6.
【0035】錯体5d1
H NMR (CDCl3, 300 MHz, -20℃)δ 12.69(br, 2
H), 7.42-7.16(m, 10H),6.46(S, 1H), 6.45(s, 1
H), 5.50(tt, 1H, J=7.0, 12.3 Hz), 5.32(tt,1H,
J=6.9, 12.5 Hz), 5.12(d, 1H, J=7.0 Hz), 5.05
(d, 1H, J=6.9 Hz),4.84(t, 1H, J=9.1 Hz), 4.77
(t, 1H, J=9.2 Hz), 4.67-4.46(m, 4H), 4.15(d,
1H, J=6.9 Hz), 4.03(d, 1H, J=6.9 Hz), 3.44(d,
1H, J=12.6 Hz), 3.31(d, 1H, J=11.1 Hz), 3.15-3.
02(m, 2H), 2.99-2.88(m, 3H), 2.78(d, 1H, J=1
2.3 Hz), 2.69(d, 1H, J=12.3 Hz), 1.41(s, 18
H).
H), 7.42-7.16(m, 10H),6.46(S, 1H), 6.45(s, 1
H), 5.50(tt, 1H, J=7.0, 12.3 Hz), 5.32(tt,1H,
J=6.9, 12.5 Hz), 5.12(d, 1H, J=7.0 Hz), 5.05
(d, 1H, J=6.9 Hz),4.84(t, 1H, J=9.1 Hz), 4.77
(t, 1H, J=9.2 Hz), 4.67-4.46(m, 4H), 4.15(d,
1H, J=6.9 Hz), 4.03(d, 1H, J=6.9 Hz), 3.44(d,
1H, J=12.6 Hz), 3.31(d, 1H, J=11.1 Hz), 3.15-3.
02(m, 2H), 2.99-2.88(m, 3H), 2.78(d, 1H, J=1
2.3 Hz), 2.69(d, 1H, J=12.3 Hz), 1.41(s, 18
H).
【0036】錯体5bの合成と同様にして、η3-アリルパ
ラジウムクロライドダイマーの変わりにη3-1-フェニル
プロペニルパラジウムクロライドダイマーを用いると、
錯体6a及び錯体6bが得られた。
ラジウムクロライドダイマーの変わりにη3-1-フェニル
プロペニルパラジウムクロライドダイマーを用いると、
錯体6a及び錯体6bが得られた。
【0037】
【化8】
【0038】錯体6a
m.p. 145℃
Anal. calcd. for C19H24ON3PdBF4; C: 45.08, H: 4.8
0, N: 8.34, Found; C: 44.84, H: 4.78, N: 7.91.1 H NMR(CDCl3, 300 MHz, -50℃)δ 7.58(d, 2H, J =
6.8 Hz), 7.50-7.32(m, 3H), 6.43(s, 1H), 6.17
-6.02(m, 1H), 5.12(br, 1H), 4.60(d, 1H,J=13.0
Hz), 4.72-4.55(m, 2H), 3.53(d, 1H, J=12.0 H
z), 3.38-3.22(m, 1H), 2.58-2.41(m, 1H), 1.41
(s, 9H). 錯体6b m.p. 188-193℃(decomp.) Anal. calcd. for C22H30ON3PdBF4; C: 48.42, H: 5.5
4, N: 7.70, Found; C: 48.65, H: 5.60, N: 7.65.
0, N: 8.34, Found; C: 44.84, H: 4.78, N: 7.91.1 H NMR(CDCl3, 300 MHz, -50℃)δ 7.58(d, 2H, J =
6.8 Hz), 7.50-7.32(m, 3H), 6.43(s, 1H), 6.17
-6.02(m, 1H), 5.12(br, 1H), 4.60(d, 1H,J=13.0
Hz), 4.72-4.55(m, 2H), 3.53(d, 1H, J=12.0 H
z), 3.38-3.22(m, 1H), 2.58-2.41(m, 1H), 1.41
(s, 9H). 錯体6b m.p. 188-193℃(decomp.) Anal. calcd. for C22H30ON3PdBF4; C: 48.42, H: 5.5
4, N: 7.70, Found; C: 48.65, H: 5.60, N: 7.65.
【0039】例2:アリルアセテートとケテンシリアセ
タールの反応 25 mL 枝付なすフラスコにPd錯体5b(23.4 mg, 0.05 mm
ol)と酢酸ナトリウム(16.4 mg, 0.2 mmol)を加え、
アルゴン置換した後、DMSO 2 mL を加えた。5分間撹拌
した後、酢酸シンナミル(189 mg, 1 mmol)をDMSO 1 m
Lに溶解して加え、続いてケテンアセタール(376 mg, 2
mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。反応液にエー
テル5 mLと水5 mLを加え、続いて10% HCl 水溶液を3 mL
加え、残っているケテンアセタールを加水分解させるた
め室温で30分間撹拌した。有機相をエーテルで抽出し、
飽和NaHCO3水溶液と飽和食塩水で洗浄し、有機相を乾燥
して溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(エーテル/ヘキサン=1/9)によって精製する
と、化合物9と化合物10の混合物が117 mg得られた。混
合比はNMRを用いて算出した。
タールの反応 25 mL 枝付なすフラスコにPd錯体5b(23.4 mg, 0.05 mm
ol)と酢酸ナトリウム(16.4 mg, 0.2 mmol)を加え、
アルゴン置換した後、DMSO 2 mL を加えた。5分間撹拌
した後、酢酸シンナミル(189 mg, 1 mmol)をDMSO 1 m
Lに溶解して加え、続いてケテンアセタール(376 mg, 2
mmol)を加えて室温で24時間撹拌した。反応液にエー
テル5 mLと水5 mLを加え、続いて10% HCl 水溶液を3 mL
加え、残っているケテンアセタールを加水分解させるた
め室温で30分間撹拌した。有機相をエーテルで抽出し、
飽和NaHCO3水溶液と飽和食塩水で洗浄し、有機相を乾燥
して溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(エーテル/ヘキサン=1/9)によって精製する
と、化合物9と化合物10の混合物が117 mg得られた。混
合比はNMRを用いて算出した。
【0040】
【化9】
化合物9と化合物10の混合物を25 mLなすフラスコに入
れ、tert-ブタノール(3 mL)、水(0.5 mL)を加え
た。四酸化オスミウムのtert-ブタノール溶液(2.5 wt
%, 0.1 mL)と4-メチルモルホリン N-オキサイドを加え
て室温で2時間撹拌すると、不飽和2重結合を持つ化合
物のみが酸化された。10%亜硫酸ナトリウム水溶液を加
えて30分間撹拌し、有機物をエーテルで抽出した。有機
相を1N-HCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で順
次洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去した。得られた油状
物質をシリカゲルクロマトグラフィー(エーテル/ヘキ
サン=1/9)によって精製すると、純粋な化合物9(86 m
g)が得られた。光学純度はHPLC分析(ダイセル化学工
業CHIRALCEL-OJ)によって決定した。
れ、tert-ブタノール(3 mL)、水(0.5 mL)を加え
た。四酸化オスミウムのtert-ブタノール溶液(2.5 wt
%, 0.1 mL)と4-メチルモルホリン N-オキサイドを加え
て室温で2時間撹拌すると、不飽和2重結合を持つ化合
物のみが酸化された。10%亜硫酸ナトリウム水溶液を加
えて30分間撹拌し、有機物をエーテルで抽出した。有機
相を1N-HCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、飽和食塩水で順
次洗浄し、乾燥後に溶媒を減圧留去した。得られた油状
物質をシリカゲルクロマトグラフィー(エーテル/ヘキ
サン=1/9)によって精製すると、純粋な化合物9(86 m
g)が得られた。光学純度はHPLC分析(ダイセル化学工
業CHIRALCEL-OJ)によって決定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明のパラジウム錯体は安定であり、
配位子としてリンやヒ素を含む錯体に比べて悪臭などの
問題が回避されているので取り扱いに便利である。ま
た、シクロプロパン化反応など多様な有機反応用触媒と
して利用することができ、不斉シクロプロパン化反応に
も有用である。
配位子としてリンやヒ素を含む錯体に比べて悪臭などの
問題が回避されているので取り扱いに便利である。ま
た、シクロプロパン化反応など多様な有機反応用触媒と
して利用することができ、不斉シクロプロパン化反応に
も有用である。
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C07D 413/04
C07F 15/00
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (9)
- 【請求項1】 下記の一般式(I): 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜12個のアルキル基を示し;R
2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜12
個のアルキル基を示し;R4は水素原子、炭素原子数1〜1
2個のアルキル基、又は置換基を有していてもよいベン
ジル基を示す)で表される化合物及びその塩。 - 【請求項2】 請求項1に記載の一般式(I)で表され
るパラジウム金属用の配位子。 - 【請求項3】 下記の一般式(II): 【化2】 (式中、R11は炭素原子数1〜12個のアルキル基を示し;
R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1
〜12個のアルキル基を示し;R14は炭素原子数1〜12個の
アルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を
示し;波線はR14が結合する炭素原子がS-配置若しくはR
-配置のいずれかであることを示す)で表されるパラジ
ウム金属用の配位子。 - 【請求項4】 請求項2又は3に記載の配位子を含むパ
ラジウム錯体。 - 【請求項5】 R1がtert-ブチル基であり、R2、R3、及
びR4が水素原子である請求項4に記載のパラジウム錯
体。 - 【請求項6】 R1がtert-ブチル基であり、R2及びR3が
水素原子であり、R4がイソプロピル基、tert-ブチル
基、又はベンジル基である請求項4に記載のパラジウム
錯体 - 【請求項7】 請求項4ないし6のいずれか1項に記載
のパラジウム錯体を含むシクロプロパン化反応用の触
媒。 - 【請求項8】 ケテンシリルアセタールを用いるシクロ
プロパン化反応において触媒活性を有する請求項7に記
載の触媒。 - 【請求項9】 請求項3に記載の配位子を含み、不斉シ
クロプロパン化反応に用いる請求項7に記載の触媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03085099A JP3399507B2 (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 新規パラジウム−オキサゾリンピラゾール錯体 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000229967A JP2000229967A (ja) | 2000-08-22 |
JP3399507B2 true JP3399507B2 (ja) | 2003-04-21 |
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ID=12315197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03085099A Expired - Fee Related JP3399507B2 (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 新規パラジウム−オキサゾリンピラゾール錯体 |
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---|---|
JP (1) | JP3399507B2 (ja) |
-
1999
- 1999-02-09 JP JP03085099A patent/JP3399507B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
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