JP3327458B2 - 格子入り複層ガラス - Google Patents
格子入り複層ガラスInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は内部空間に筒型格子
辺からなる組格子を配した複層ガラスであって、ガラス
板の共鳴現象による防音性能の低下を抑制した格子入り
複層ガラスに関する。
辺からなる組格子を配した複層ガラスであって、ガラス
板の共鳴現象による防音性能の低下を抑制した格子入り
複層ガラスに関する。
【０００２】
【従来技術および解決すべき課題】複層ガラスの内部空
間に硬質樹脂等からなる格子を配することは公知であ
り、それにより、外部からのガラス板を破損しての侵入
を防止するとともに、装飾性を醸し出す等の利点を有す
る。
間に硬質樹脂等からなる格子を配することは公知であ
り、それにより、外部からのガラス板を破損しての侵入
を防止するとともに、装飾性を醸し出す等の利点を有す
る。
【０００３】前記格子を構成する格子辺は、一般的に中
実のものが用いられるケースも多いが、重量が増大し、
特に大サイズ複層ガラスになる程取扱が容易ではなくな
り、材料コストも高騰するという問題がある。
実のものが用いられるケースも多いが、重量が増大し、
特に大サイズ複層ガラスになる程取扱が容易ではなくな
り、材料コストも高騰するという問題がある。
【０００４】従って本発明においては、薄肉の筒型の格
子（格子辺）を用いることを前提とするものであるが、
単に中空とした場合、後述するように格子のない一般の
複層ガラスに対し、ガラス板の共鳴振動域における防音
性能は改善されず、むしろ稍劣るという課題が残され
る。
子（格子辺）を用いることを前提とするものであるが、
単に中空とした場合、後述するように格子のない一般の
複層ガラスに対し、ガラス板の共鳴振動域における防音
性能は改善されず、むしろ稍劣るという課題が残され
る。
【０００５】格子は、両ガラス板に対向する面が、ガラ
ス板と近接または接触させると、外部の気温変動や風圧
等の影響により、複層ガラス内の気体（通常乾燥空気を
用いるが、断熱性を改善するために熱伝導率の低いフロ
ンガス等や、防音性を改善するための空気と比重の異な
るアルゴンガス、６弗化硫黄ガス等の特殊ガスや、更に
それらと空気との混合ガスなども採用される）が膨縮
し、ガラス板と格子が強く接して、ガラス板に亀裂や破
損を生ずるケースが少なくない。
ス板と近接または接触させると、外部の気温変動や風圧
等の影響により、複層ガラス内の気体（通常乾燥空気を
用いるが、断熱性を改善するために熱伝導率の低いフロ
ンガス等や、防音性を改善するための空気と比重の異な
るアルゴンガス、６弗化硫黄ガス等の特殊ガスや、更に
それらと空気との混合ガスなども採用される）が膨縮
し、ガラス板と格子が強く接して、ガラス板に亀裂や破
損を生ずるケースが少なくない。
【０００６】また、一方の側（例えば屋外側）からの音
波（振動）が、一方のガラス板を通じて格子に直に伝播
し、更に他方のガラス板を介して他方の側（屋内側）に
放散して防音性が阻害され易い。
波（振動）が、一方のガラス板を通じて格子に直に伝播
し、更に他方のガラス板を介して他方の側（屋内側）に
放散して防音性が阻害され易い。
【０００７】本出願人は、先に本出願人の出願にかかる
特願平７−247160号（特開平９− 86973号公報）「複層
ガラス」において、格子の厚み／内部空間層の厚みの比
率を 0.9以下とし、かつ格子を内部空間層の層厚に対し
てその中央部に配し、両ガラス板と離隔せしめること、
それにより外部雰囲気圧の変動や外部衝撃によるガラス
板の亀裂、破損の発生を防止することを提唱した。この
場合、前記の如くガラス板の振動が直に格子に伝わるこ
とはないが、格子が単なる中空の薄肉筒型の格子よりな
る場合、格子がない複層ガラスに比べ、むしろガラス板
の共鳴振動域における音響透過損失はやや劣り、JIS A
4706による遮音等級がせいぜいTS−20等級であることが
分かった。
特願平７−247160号（特開平９− 86973号公報）「複層
ガラス」において、格子の厚み／内部空間層の厚みの比
率を 0.9以下とし、かつ格子を内部空間層の層厚に対し
てその中央部に配し、両ガラス板と離隔せしめること、
それにより外部雰囲気圧の変動や外部衝撃によるガラス
板の亀裂、破損の発生を防止することを提唱した。この
場合、前記の如くガラス板の振動が直に格子に伝わるこ
とはないが、格子が単なる中空の薄肉筒型の格子よりな
る場合、格子がない複層ガラスに比べ、むしろガラス板
の共鳴振動域における音響透過損失はやや劣り、JIS A
4706による遮音等級がせいぜいTS−20等級であることが
分かった。
【０００８】本発明は、上記不具合に鑑み、両ガラス板
の共鳴振動域における防音性能の低下を抑制した、改善
した格子入り複層ガラスを提供するものである。
の共鳴振動域における防音性能の低下を抑制した、改善
した格子入り複層ガラスを提供するものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、対面
する一対のガラス板の対向面周縁部全周にスペーサーを
配置し、接着して形成された内部空間に、ガラス板と非
接触に筒型格子辺よりなる組格子を配在した複層ガラス
において、前記筒型格子辺は薄肉の中空体とし、ガラス
板の対向面方向の耐圧縮強度を増加させる補強部を有す
ることにより、ガラス板の共鳴振動域における音響透過
損失の低下を抑制し、JIS A 4706による遮音等級がTS−
25等級以上である格子入り複層ガラスである。
する一対のガラス板の対向面周縁部全周にスペーサーを
配置し、接着して形成された内部空間に、ガラス板と非
接触に筒型格子辺よりなる組格子を配在した複層ガラス
において、前記筒型格子辺は薄肉の中空体とし、ガラス
板の対向面方向の耐圧縮強度を増加させる補強部を有す
ることにより、ガラス板の共鳴振動域における音響透過
損失の低下を抑制し、JIS A 4706による遮音等級がTS−
25等級以上である格子入り複層ガラスである。
【００１０】更に具体的には、前記筒型格子辺内に、ガ
ラス板の対向面方向に中仕切を配設し、または側辺部を
より高厚みとするのが好ましい。また、組格子を形成す
る交差部継手に、ガラス板に緩やかに接し、または近接
状態にある出没可能なボタン状突起を配することが好ま
しい。
ラス板の対向面方向に中仕切を配設し、または側辺部を
より高厚みとするのが好ましい。また、組格子を形成す
る交差部継手に、ガラス板に緩やかに接し、または近接
状態にある出没可能なボタン状突起を配することが好ま
しい。
【００１１】
【発明の実施の形態】以下添付の図面をもとに本発明を
説明する。図１は組格子を配した複層ガラスの正面図で
あり、複層ガラス１における、両ガラス板２の対向面周
縁部にスペーサー３を配して、内部空間４を形成する。
スペーサー３には乾燥剤を内在しており、かつ該スペー
サーに内部空間４と連通する孔またはスリット (図示せ
ず) を穿設したことにより、内部空間雰囲気を乾燥状態
に維持し、結露の発生を防ぐ。
説明する。図１は組格子を配した複層ガラスの正面図で
あり、複層ガラス１における、両ガラス板２の対向面周
縁部にスペーサー３を配して、内部空間４を形成する。
スペーサー３には乾燥剤を内在しており、かつ該スペー
サーに内部空間４と連通する孔またはスリット (図示せ
ず) を穿設したことにより、内部空間雰囲気を乾燥状態
に維持し、結露の発生を防ぐ。
【００１２】内部空間４には縦、横に夫々筒型格子辺６
（以下単に格子辺という）を適宜間隔で配して組込んだ
組格子５を内設する。なお、本態様においては格子辺６
の交差部に交差部継手７、８（以下単に継手という）を
組込んだものを示したが、一方の格子辺と交差する他方
の格子辺の互いの交接部を切削して組込むようにする
等、交差部を適宜組込設計できる。また組格子は図示し
たものに限らず、格子辺を斜め方向に配し、斜交した菱
形状としたものや、ハニカム状に配したもの等各種形態
も含む。
（以下単に格子辺という）を適宜間隔で配して組込んだ
組格子５を内設する。なお、本態様においては格子辺６
の交差部に交差部継手７、８（以下単に継手という）を
組込んだものを示したが、一方の格子辺と交差する他方
の格子辺の互いの交接部を切削して組込むようにする
等、交差部を適宜組込設計できる。また組格子は図示し
たものに限らず、格子辺を斜め方向に配し、斜交した菱
形状としたものや、ハニカム状に配したもの等各種形態
も含む。
【００１３】組格子５（格子辺６）としては、アクリロ
ニトリルブタジエンスチレン（ＡＢＳ）共重合体、アク
リルエチレンスチロール（ＡＥＳ）共重合体、その他の
重合体や共重合体等、軽量で堅牢性に優れ、耐久性に富
み、彩色容易な硬質樹脂を採用するのが望ましい。格子
辺相互の間隔 (目開き) は200mm ないし400mm 程度の範
囲で適宜採用される。
ニトリルブタジエンスチレン（ＡＢＳ）共重合体、アク
リルエチレンスチロール（ＡＥＳ）共重合体、その他の
重合体や共重合体等、軽量で堅牢性に優れ、耐久性に富
み、彩色容易な硬質樹脂を採用するのが望ましい。格子
辺相互の間隔 (目開き) は200mm ないし400mm 程度の範
囲で適宜採用される。
【００１４】ガラス板２は通常透明で無着色または着色
したソーダ石灰系ガラスが用いられるがこれに限定する
ものではなく、型板ガラスや、摺り板ガラス、金属線入
りガラス等、あるいは熱強化ガラスや、化学強化ガラス
等の各種処理ガラス、またアルミノ珪酸系ガラスやほう
珪酸ガラス等各種成分系のガラスが採用できる。
したソーダ石灰系ガラスが用いられるがこれに限定する
ものではなく、型板ガラスや、摺り板ガラス、金属線入
りガラス等、あるいは熱強化ガラスや、化学強化ガラス
等の各種処理ガラス、またアルミノ珪酸系ガラスやほう
珪酸ガラス等各種成分系のガラスが採用できる。
【００１５】またガラス板２の厚みは３mmを標準とし、
２mm程度ないし６mm程度のものが多く採用される。前記
範囲より高厚である程重量が増大し取扱施工性が困難と
なり、薄厚であると破損を招き易い。また、一方のガラ
ス板と他方のガラス板との厚みを換えることにより、ガ
ラス板相互の共鳴を抑える一助とすることができる。
２mm程度ないし６mm程度のものが多く採用される。前記
範囲より高厚である程重量が増大し取扱施工性が困難と
なり、薄厚であると破損を招き易い。また、一方のガラ
ス板と他方のガラス板との厚みを換えることにより、ガ
ラス板相互の共鳴を抑える一助とすることができる。
【００１６】ガラス板２の巾または長さは 500mm前後な
いし1500mm前後であり、通常1000mm□、あるいは1000mm
×1500mmのものが多く採用される。複層ガラス１の内部
空間４の厚みは12mm程度のものが多いが、４〜６mmない
し15mm程度のもの等広い範囲で採用できる。
いし1500mm前後であり、通常1000mm□、あるいは1000mm
×1500mmのものが多く採用される。複層ガラス１の内部
空間４の厚みは12mm程度のものが多いが、４〜６mmない
し15mm程度のもの等広い範囲で採用できる。
【００１７】図２は組格子５における格子辺６の横断面
形態を示し、図示においては断面いずれも８角形状であ
るが、円〜楕円形状や、各種多角形状も本発明の範疇で
ある。また、内部空間４の厚み（ガラス板対向面方向の
厚み）は例えば12mmであるのに対し、格子辺６のガラス
板対向面方向の厚み（図中上下厚み）は９mm程度と、ガ
ラス板２とは離隔させることにより、直にガラス板２の
振動が格子辺６に伝播しない。格子辺６の肉厚は１mmな
いし 1.5mm程度とすることが、軽量化のうえで、また堅
牢性を確保するうえで望ましい。
形態を示し、図示においては断面いずれも８角形状であ
るが、円〜楕円形状や、各種多角形状も本発明の範疇で
ある。また、内部空間４の厚み（ガラス板対向面方向の
厚み）は例えば12mmであるのに対し、格子辺６のガラス
板対向面方向の厚み（図中上下厚み）は９mm程度と、ガ
ラス板２とは離隔させることにより、直にガラス板２の
振動が格子辺６に伝播しない。格子辺６の肉厚は１mmな
いし 1.5mm程度とすることが、軽量化のうえで、また堅
牢性を確保するうえで望ましい。
【００１８】図２Ａは、肉厚１mm程度の従来の格子辺６
を示した。これに対し図２Ｂは本発明にかかり、格子辺
６に例えば１mm厚程度の中仕切９を補強部として設けた
もので、該中仕切９の存在は格子辺６の圧縮強度を向上
し、恐らく内部空間４におけるの空気振動を制約し、両
ガラス板２相互の共鳴振動が抑制されるものと推察され
る。
を示した。これに対し図２Ｂは本発明にかかり、格子辺
６に例えば１mm厚程度の中仕切９を補強部として設けた
もので、該中仕切９の存在は格子辺６の圧縮強度を向上
し、恐らく内部空間４におけるの空気振動を制約し、両
ガラス板２相互の共鳴振動が抑制されるものと推察され
る。
【００１９】すなわち、図３（図２Ｂに対応）の複層ガ
ラス格子辺付近の断面模式図において、一方の側の音源
からの音波（波型で示す）Ｖにより、ガラス板２a を経
て、内部空間４で直接ガラス板２b 側に伝わる音波Ｗ
と、中仕切９を有し圧縮強度のある格子辺６により遮ら
れ、一部反射等して撹乱される音波Ｘとが生じ、それら
が干渉しあうことにより、ガラス板２b を経て出る音波
Ｙの振幅が低減するものと思われる。
ラス格子辺付近の断面模式図において、一方の側の音源
からの音波（波型で示す）Ｖにより、ガラス板２a を経
て、内部空間４で直接ガラス板２b 側に伝わる音波Ｗ
と、中仕切９を有し圧縮強度のある格子辺６により遮ら
れ、一部反射等して撹乱される音波Ｘとが生じ、それら
が干渉しあうことにより、ガラス板２b を経て出る音波
Ｙの振幅が低減するものと思われる。
【００２０】図５のグラフは、JIS A 1416（実験室にお
ける音響透過損失測定方法）により測定された周波数 1
00〜5000Hzにわたる複層ガラスの音響透過損失（dB）曲
線を示したもので、音響透過損失が大きい程、各周波数
における音波の透過を抑制したことをあらわす。また、
図中TS−20等級〜TS−35等級のラインは、JIS A 4706
（サッシ）に規定される評価基準による遮音等級ライン
を示すもので、前記音響透過損失曲線がTS各等級ライン
とほぼ同等ないしそれを上回れば、そのTS等級として評
価される。
ける音響透過損失測定方法）により測定された周波数 1
00〜5000Hzにわたる複層ガラスの音響透過損失（dB）曲
線を示したもので、音響透過損失が大きい程、各周波数
における音波の透過を抑制したことをあらわす。また、
図中TS−20等級〜TS−35等級のラインは、JIS A 4706
（サッシ）に規定される評価基準による遮音等級ライン
を示すもので、前記音響透過損失曲線がTS各等級ライン
とほぼ同等ないしそれを上回れば、そのTS等級として評
価される。
【００２１】複層ガラスの場合、周波数 200〜 500Hzの
域において、両ガラス板の共鳴による音響透過損失の極
小部が存在し（両ガラス板の板厚により、該周波数域に
おいて極小部は変動する）、それがTS遮音等級を低下さ
せる要因となるが、上記の如き手段を採れば、該周波数
域の音響透過損失の低下を改善することができる。
域において、両ガラス板の共鳴による音響透過損失の極
小部が存在し（両ガラス板の板厚により、該周波数域に
おいて極小部は変動する）、それがTS遮音等級を低下さ
せる要因となるが、上記の如き手段を採れば、該周波数
域の音響透過損失の低下を改善することができる。
【００２２】前記した中仕切９は、格子辺６の全長にわ
たり設けるのがよいが、格子辺の長さ方向に分割して設
けてもよい。また中仕切９は格子辺６の幅方向に複数配
してもよい。
たり設けるのがよいが、格子辺の長さ方向に分割して設
けてもよい。また中仕切９は格子辺６の幅方向に複数配
してもよい。
【００２３】図２Ｃは、図２Ｂに換え、中仕切として交
差筋かい状に配した別の中仕切９’を設けたもので、さ
らにガラス板の共鳴の抑制に効果がある。すなわち、中
仕切としては、格子辺６の内部空間４の厚み方向におけ
る圧縮強度を向上するために、各種断面形状のものが採
用できる。但し殊更煩雑な形状とする必要はない。
差筋かい状に配した別の中仕切９’を設けたもので、さ
らにガラス板の共鳴の抑制に効果がある。すなわち、中
仕切としては、格子辺６の内部空間４の厚み方向におけ
る圧縮強度を向上するために、各種断面形状のものが採
用できる。但し殊更煩雑な形状とする必要はない。
【００２４】図２Ｄは、別の態様にかかり、補強部とし
て格子辺６の側辺部10、 10を例えば厚み 1.5mmを越える
高厚としたもので、前記高厚とすることにより格子辺６
の圧縮強度を向上し、同様にガラス板の共鳴の抑制に効
果がある。
て格子辺６の側辺部10、 10を例えば厚み 1.5mmを越える
高厚としたもので、前記高厚とすることにより格子辺６
の圧縮強度を向上し、同様にガラス板の共鳴の抑制に効
果がある。
【００２５】なお、これら中仕切を配し、あるいは側辺
部を高厚とした格子辺は、例えば押出成形により容易に
多量に製作できるが、製作手段については特に限定する
ものではない。
部を高厚とした格子辺は、例えば押出成形により容易に
多量に製作できるが、製作手段については特に限定する
ものではない。
【００２６】図４は格子辺と同様な硬質樹脂よりなる継
手と、格子辺との係合状態を示す断面図である。図４Ａ
は一の継手７を示した側断面図であり、該継手７は、そ
の本体中空部11に内在する弾発スプリング12を介して、
一方および他方の側 (図示において上および下) に出没
可能に、格子辺同様の（共）重合体、好ましくはより軟
質の（共）重合体、例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピ
レン等からなるボタン状突起13、13' を配し、通常、ガ
ラス板２に対し組格子５（継手７）が充分離隔した状態
においては、前記夫々のボタン状突起13、13' がガラス
板２、２に緩やかに接し、または近接状態にある。ボタ
ン状突起がない場合、ガラス板２が組格子５と離隔した
状態にあるときに、突風等の何らかの外部衝撃によりガ
ラス板２と組格子５とが接すると接触音を発して耳障り
となるが、前記ボタン状突起13、13' の配設によりその
ような接触音の発生を抑制する。また、ガラス板２と組
格子５とが強く接触した場合には、ガラス板２に亀裂が
生ずる危惧があるが、ボタン状突起13、13' を配してお
けば弾発スプリング12を介在した該ボタン状突起の緩衝
作用により亀裂の発生を抑制できる。なお、外部からの
音波は、ガラス板２を介し直接ボタン状突起13、13' に
及ぶが、前記弾発スプリング12により緩衝されるので、
それによる複層ガラスの防音機能に及ぼす影響は軽微で
ある。
手と、格子辺との係合状態を示す断面図である。図４Ａ
は一の継手７を示した側断面図であり、該継手７は、そ
の本体中空部11に内在する弾発スプリング12を介して、
一方および他方の側 (図示において上および下) に出没
可能に、格子辺同様の（共）重合体、好ましくはより軟
質の（共）重合体、例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピ
レン等からなるボタン状突起13、13' を配し、通常、ガ
ラス板２に対し組格子５（継手７）が充分離隔した状態
においては、前記夫々のボタン状突起13、13' がガラス
板２、２に緩やかに接し、または近接状態にある。ボタ
ン状突起がない場合、ガラス板２が組格子５と離隔した
状態にあるときに、突風等の何らかの外部衝撃によりガ
ラス板２と組格子５とが接すると接触音を発して耳障り
となるが、前記ボタン状突起13、13' の配設によりその
ような接触音の発生を抑制する。また、ガラス板２と組
格子５とが強く接触した場合には、ガラス板２に亀裂が
生ずる危惧があるが、ボタン状突起13、13' を配してお
けば弾発スプリング12を介在した該ボタン状突起の緩衝
作用により亀裂の発生を抑制できる。なお、外部からの
音波は、ガラス板２を介し直接ボタン状突起13、13' に
及ぶが、前記弾発スプリング12により緩衝されるので、
それによる複層ガラスの防音機能に及ぼす影響は軽微で
ある。
【００２７】前記ボタン状突起13、13’を有する継手７
には、格子辺６に対向する側部に挿入片14、14' を有
し、これを格子辺６の筒内に嵌挿し、一体化した組格子
５を形成するものである。格子辺６には例えば中仕切９
（図２Ｂ参照）を有するが、前記中仕切９で仕切られた
空間に嵌合するように、挿入片14、14' も夫々一対設け
る等適宜設計する。
には、格子辺６に対向する側部に挿入片14、14' を有
し、これを格子辺６の筒内に嵌挿し、一体化した組格子
５を形成するものである。格子辺６には例えば中仕切９
（図２Ｂ参照）を有するが、前記中仕切９で仕切られた
空間に嵌合するように、挿入片14、14' も夫々一対設け
る等適宜設計する。
【００２８】前記継手７は、全ての格子交差部に配する
必要はなく、図１に示す如くガラス板２の中央付近の１
ないし少数の格子交差部に配すればよい。なお、継手７
は、図示しないが上下に分割した状態でプレス成型等に
より製作され、内部にボタン状突起および弾発スプリン
グを組込んだうえで、前記分割した状態にあるものを接
合し、形成することができる。
必要はなく、図１に示す如くガラス板２の中央付近の１
ないし少数の格子交差部に配すればよい。なお、継手７
は、図示しないが上下に分割した状態でプレス成型等に
より製作され、内部にボタン状突起および弾発スプリン
グを組込んだうえで、前記分割した状態にあるものを接
合し、形成することができる。
【００２９】図４Ｂは別の継手を示した側断面図であ
り、該別の継手８は、前記継手７を配した箇所以外の格
子交差部に配するもので、前記継手７の本体中空部11に
対応する中空または中実の本体（図示においては中空の
例を示す）と、前記継手７の挿入片14、14’に対応する
挿入片よりなり、該挿入片を格子辺６の筒内に嵌挿し、
一体化した組格子５を形成するものである。
り、該別の継手８は、前記継手７を配した箇所以外の格
子交差部に配するもので、前記継手７の本体中空部11に
対応する中空または中実の本体（図示においては中空の
例を示す）と、前記継手７の挿入片14、14’に対応する
挿入片よりなり、該挿入片を格子辺６の筒内に嵌挿し、
一体化した組格子５を形成するものである。
【００３０】なお、格子辺６とスペーサー３との接合
は、格子辺６の端部をスペーサー３にそのまま接着する
ケースもあるが、継手７の挿入片14、14' のごときもの
を（この場合本体11に相当するものはなくてもよい）、
格子辺の筒部、および予めスペーサーに穿設した嵌合孔
に跨って挿入すればよい。
は、格子辺６の端部をスペーサー３にそのまま接着する
ケースもあるが、継手７の挿入片14、14' のごときもの
を（この場合本体11に相当するものはなくてもよい）、
格子辺の筒部、および予めスペーサーに穿設した嵌合孔
に跨って挿入すればよい。
【００３１】本発明の格子入り複層ガラスにおいて、す
でに知られるように、一方と他方のガラス板の厚みを換
えたり（例えば３mm厚と４mm厚、３mm厚と５mm厚等）、
内部空間に空気と比重の異なるガス（例えばアルゴンガ
ス、６弗化硫黄ガス等）を充填するようにすれば、より
一層の防音効果を発揮することはいうまでもない。
でに知られるように、一方と他方のガラス板の厚みを換
えたり（例えば３mm厚と４mm厚、３mm厚と５mm厚等）、
内部空間に空気と比重の異なるガス（例えばアルゴンガ
ス、６弗化硫黄ガス等）を充填するようにすれば、より
一層の防音効果を発揮することはいうまでもない。
【００３２】
〔試料作製〕サイズ1050mm×1050mm、約３mm厚のガラス
板、幅（Ｌ）18mm、高さ（Ｈ) ９mmでＡＥＳ樹脂からな
る各種断面形態の格子辺、および格子継手、さらに高さ
12mmで乾燥剤を内在したアルミニウム製スペーサーを準
備した。
板、幅（Ｌ）18mm、高さ（Ｈ) ９mmでＡＥＳ樹脂からな
る各種断面形態の格子辺、および格子継手、さらに高さ
12mmで乾燥剤を内在したアルミニウム製スペーサーを準
備した。
【００３３】比較例１：組格子を用いることなく、一対
のガラス板周縁部にスペーサーを配置し、接着して複層
ガラスを製作した。
のガラス板周縁部にスペーサーを配置し、接着して複層
ガラスを製作した。
【００３４】比較例２：予めスペーサーに格子辺および
継手からなる組格子を組込んだうえで、両ガラス板を接
着し、外観図１に示すような格子入り複層ガラスを製作
した。なお、格子辺（筒部肉厚１mm）として図２Ａのご
とく中仕切のないものを使用した。
継手からなる組格子を組込んだうえで、両ガラス板を接
着し、外観図１に示すような格子入り複層ガラスを製作
した。なお、格子辺（筒部肉厚１mm）として図２Ａのご
とく中仕切のないものを使用した。
【００３５】実施例１：比較例２同様に格子入り複層ガ
ラスを作製した。但し格子辺として図２Ｂのごとくの中
仕切を有するもの（筒部肉厚１mm、中仕切肉厚１mm）を
採用した。
ラスを作製した。但し格子辺として図２Ｂのごとくの中
仕切を有するもの（筒部肉厚１mm、中仕切肉厚１mm）を
採用した。
【００３６】実施例２：比較例２同様に格子入り複層ガ
ラスを作製した。但し格子辺として図２Ｃのごとくの交
差筋かい状中仕切（筒部肉厚１mm、中仕切の一片の肉厚
１mm）を有するものを採用した。
ラスを作製した。但し格子辺として図２Ｃのごとくの交
差筋かい状中仕切（筒部肉厚１mm、中仕切の一片の肉厚
１mm）を有するものを採用した。
【００３７】実施例３：比較例２同様に格子入り複層ガ
ラスを作製した。但し格子辺として図２Ｄのごとく側辺
部を高厚としたもの（筒部のガラス板に対する辺部の肉
厚１mm、側辺部の肉厚 1.8mm）を有するものを採用し
た。
ラスを作製した。但し格子辺として図２Ｄのごとく側辺
部を高厚としたもの（筒部のガラス板に対する辺部の肉
厚１mm、側辺部の肉厚 1.8mm）を有するものを採用し
た。
【００３８】〔防音性能試験〕 試験方法：JIS A 1416（実験室における音響透過損失測
定方法）に準拠し、音源用残響室と受音用残響室の間の
開口部に枠体を介して試料を取付け、周波数 100〜5000
Hzにわたる音響透過損失（dB）を測定した。さらにJIS
A 4706（サッシ）に規定される評価基準により遮音等級
を求めた。
定方法）に準拠し、音源用残響室と受音用残響室の間の
開口部に枠体を介して試料を取付け、周波数 100〜5000
Hzにわたる音響透過損失（dB）を測定した。さらにJIS
A 4706（サッシ）に規定される評価基準により遮音等級
を求めた。
【００３９】結果：表１に、各比較例、実施例の主な周
波数における音響透過損失（dB）を、また、図５のグラ
フに、比較例１（図中COEX.1）、比較例２（COEX.2）お
よび実施例１（EX.1）の周波数（Hz）−音響透過損失
（dB）の関係、および遮音等級（TS−等級) との関係を
示す。
波数における音響透過損失（dB）を、また、図５のグラ
フに、比較例１（図中COEX.1）、比較例２（COEX.2）お
よび実施例１（EX.1）の周波数（Hz）−音響透過損失
（dB）の関係、および遮音等級（TS−等級) との関係を
示す。
【００４０】比較例１、比較例２においては、周波数 3
15Hzを底とし、 200〜 500Hzの共鳴振動域における防音
性能の低下が認められる。それに対し、実施例１、実施
例２および実施例３においては、該音域の低下が相当改
善されているのが分かる。
15Hzを底とし、 200〜 500Hzの共鳴振動域における防音
性能の低下が認められる。それに対し、実施例１、実施
例２および実施例３においては、該音域の低下が相当改
善されているのが分かる。
【００４１】〔圧縮強度試験〕 試験方法：比較例２、実施例１および実施例２に採用し
た格子辺につき、その長さ50mm（幅はいずれも18mmであ
り、従って圧縮にかかわる面積は９cm2 である. また高
さはいずれも９mmである）にわたる圧縮試験を実施し
た。試験装置として、オリエンティック社製引張強度試
験機（UCT −10T)を使用し、上記面積にわたり１mm／mi
n の速度で荷重負荷し、変位（mm）−荷重（kgf)曲線に
おいて、直線的変化から曲線状にシフトする前の 0.5mi
n における強度を測定した。
た格子辺につき、その長さ50mm（幅はいずれも18mmであ
り、従って圧縮にかかわる面積は９cm2 である. また高
さはいずれも９mmである）にわたる圧縮試験を実施し
た。試験装置として、オリエンティック社製引張強度試
験機（UCT −10T)を使用し、上記面積にわたり１mm／mi
n の速度で荷重負荷し、変位（mm）−荷重（kgf)曲線に
おいて、直線的変化から曲線状にシフトする前の 0.5mi
n における強度を測定した。
【００４２】結果：結果を表１に併せて示す。表から明
らかなように、格子辺の耐圧縮強度が高い程、防音性能
も向上することが分かる。格子辺の断面積にもよるが、
概ね圧縮強度を500kgf／９cm2 以上とすれば、防音性能
の向上が認められる。
らかなように、格子辺の耐圧縮強度が高い程、防音性能
も向上することが分かる。格子辺の断面積にもよるが、
概ね圧縮強度を500kgf／９cm2 以上とすれば、防音性能
の向上が認められる。
【００４３】 〔表１〕 圧縮強度 音響透過損失（dB） 遮音等級 構成 (kgf/9cm2) 315Hz 1600Hz (TS−等級 ) 比較例１ 組格子なし （通常の複層ガラス） −− 16 39 20 比較例２ 組格子あり （中仕切なし <図２Ａ参照>) 205 15 41 20 実施例１ 組格子あり （中仕切あり <図２Ｂ参照>) 888 19 42 25 実施例２ 組格子あり （中仕切あり <図２Ｃ参照>) 910 21 43 25 実施例３ 組格子あり （中仕切なし、側辺部増厚 <図２Ｄ参照>) 897 19 42 25
【００４４】
【発明の効果】本発明によれば、複層ガラスにおけるガ
ラス板の共鳴振動域における防音性能の低下を抑制する
ことができる。
ラス板の共鳴振動域における防音性能の低下を抑制する
ことができる。
【図１】組格子を配した複層ガラスの正面図である。
【図２】組格子における格子辺の横断面形態を示し、図
２Ａは従来の格子辺、図２Ｂは格子辺に中仕切を設けた
もの、図２Ｃは格子辺に別の中仕切を設けたもの、図２
Ｄは格子辺の側辺部を高厚としたものである。
２Ａは従来の格子辺、図２Ｂは格子辺に中仕切を設けた
もの、図２Ｃは格子辺に別の中仕切を設けたもの、図２
Ｄは格子辺の側辺部を高厚としたものである。
【図３】音波の伝わり状態を示した、複層ガラス格子辺
付近の断面模式図である。
付近の断面模式図である。
【図４】継手と、格子辺との係合状態を示す断面図であ
り、図４Ａは一の継手とガラス板との係合状態、図４Ｂ
は別の継手とガラス板との係合状態をあらわす。
り、図４Ａは一の継手とガラス板との係合状態、図４Ｂ
は別の継手とガラス板との係合状態をあらわす。
【図５】比較例および主な実施例の周波数（Hz）−音響
透過損失（dB）の関係、および遮音等級（TS−等級) と
の関係を示すグラフである。
透過損失（dB）の関係、および遮音等級（TS−等級) と
の関係を示すグラフである。
１--------複層ガラス ２--------ガラス板 ３--------スペーサー ４--------内部空間 ５--------組格子 ６--------(筒型）格子辺 ７、８---（交差部）継手 ９、９'---中仕切
Claims (3)
- 【請求項１】対面する一対のガラス板の対向面周縁部全
周にスペーサーを配置し、接着して形成された内部空間
に、ガラス板と非接触に筒型格子辺よりなる組格子を配
在した複層ガラスにおいて、前記筒型格子辺は薄肉の中
空体とし、ガラス板の対向面方向の耐圧縮強度を増加さ
せる補強部を有することにより、ガラス板の共鳴振動域
における音響透過損失の低下を抑制し、JIS A 4706によ
る遮音等級がTS−25等級以上であることを特徴とする格
子入り複層ガラス。 - 【請求項２】筒型格子辺内に、ガラス板の対向面方向に
中仕切を配設し、または側辺部をより高厚みとしたこと
を特徴とする請求項１記載の格子入り複層ガラス。 - 【請求項３】組格子を形成する交差部継手に、ガラス板
に緩やかに接し、または近接状態にある出没可能なボタ
ン状突起を配したことを特徴とする請求項１または２記
載の格子入り複層ガラス。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27227697A JP3327458B2 (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 格子入り複層ガラス |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27227697A JP3327458B2 (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 格子入り複層ガラス |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11106242A JPH11106242A (ja) | 1999-04-20 |
| JP3327458B2 true JP3327458B2 (ja) | 2002-09-24 |
Family
ID=17511603
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27227697A Expired - Fee Related JP3327458B2 (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 格子入り複層ガラス |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3327458B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| ES2605401T3 (es) * | 2002-07-03 | 2017-03-14 | Quanex Ig Systems, Inc. | Elementos separadores y de junquillo para unidades de acristalamiento aislante |
-
1997
- 1997-10-06 JP JP27227697A patent/JP3327458B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11106242A (ja) | 1999-04-20 |
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