JP3289335B2 - 酸化インジウム粉末及びito焼結体の製造方法 - Google Patents
酸化インジウム粉末及びito焼結体の製造方法Info
- Publication number
- JP3289335B2 JP3289335B2 JP25046992A JP25046992A JP3289335B2 JP 3289335 B2 JP3289335 B2 JP 3289335B2 JP 25046992 A JP25046992 A JP 25046992A JP 25046992 A JP25046992 A JP 25046992A JP 3289335 B2 JP3289335 B2 JP 3289335B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxide powder
- sintered body
- indium oxide
- diameter
- indium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化インジウム粉末及
びそれを用いたITO焼結体に関するものである。IT
O焼結体は、ITOターゲットとして主に用いられてお
り、透明導電膜形成材料として、広く知られている材料
である。
びそれを用いたITO焼結体に関するものである。IT
O焼結体は、ITOターゲットとして主に用いられてお
り、透明導電膜形成材料として、広く知られている材料
である。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽電池や液晶ディスプレイ透明
電極やタッチパネルなどに用いる透明導電膜として、I
TO薄膜の需要が増大している。このようなITO薄膜
を形成する方法には、ITO微粒子を基材に塗布する方
法、IT合金ターゲットあるいはITO焼結体ターゲッ
トのスパッタリング、もしくは真空蒸着法により基材面
にITO膜を形成させる方法などが知られているが、現
在では特にITO焼結体のスパッタリング法が高性能な
膜が得られることから一般的となっている。
電極やタッチパネルなどに用いる透明導電膜として、I
TO薄膜の需要が増大している。このようなITO薄膜
を形成する方法には、ITO微粒子を基材に塗布する方
法、IT合金ターゲットあるいはITO焼結体ターゲッ
トのスパッタリング、もしくは真空蒸着法により基材面
にITO膜を形成させる方法などが知られているが、現
在では特にITO焼結体のスパッタリング法が高性能な
膜が得られることから一般的となっている。
【0003】工業的にスパッタリング成膜を行う場合、
スパッタ操作性が優れていることが好ましく、スパッタ
レートの増大、ターゲット表面に生成する黒色のノジュ
ール発生の防止、熱衝撃等による割れの防止等の改善が
望まれている。
スパッタ操作性が優れていることが好ましく、スパッタ
レートの増大、ターゲット表面に生成する黒色のノジュ
ール発生の防止、熱衝撃等による割れの防止等の改善が
望まれている。
【0004】又、近年、ITO透明導電膜の高性能化が
望まれているなか、特に低温基板上に低抵抗なITO透
明導電膜の形成技術の開発が熱望されている。例えば、
液晶のカラー化、表示素子の微細化、アクティブマトリ
ックス方式の採用、TFT、MIMの導入に伴い、より
低温の基板上に低抵抗な透明導電膜を形成する必要性が
増大している。
望まれているなか、特に低温基板上に低抵抗なITO透
明導電膜の形成技術の開発が熱望されている。例えば、
液晶のカラー化、表示素子の微細化、アクティブマトリ
ックス方式の採用、TFT、MIMの導入に伴い、より
低温の基板上に低抵抗な透明導電膜を形成する必要性が
増大している。
【0005】これまでに、ITOターゲットを高密度化
すれば、上記のようなスパッタの操作性、低温成膜特性
が向上することが知られている。
すれば、上記のようなスパッタの操作性、低温成膜特性
が向上することが知られている。
【0006】通常、ITO焼結体は、酸化インジウム粉
末と酸化スズ粉末の混合粉末(ITO粉末)を加圧成型
後焼結して製造されている。酸化インジウムのみでは、
1000℃付近から焼結し、比較的易焼結性であるが、
ITO粉末では難焼結性の酸化スズが焼結阻害剤となり
焼結しにくくなり、一般的な常圧焼結法では高密度な焼
結体を得ることは、非常に困難である。
末と酸化スズ粉末の混合粉末(ITO粉末)を加圧成型
後焼結して製造されている。酸化インジウムのみでは、
1000℃付近から焼結し、比較的易焼結性であるが、
ITO粉末では難焼結性の酸化スズが焼結阻害剤となり
焼結しにくくなり、一般的な常圧焼結法では高密度な焼
結体を得ることは、非常に困難である。
【0007】これまで、酸化インジウム粉末を仮焼し、
平均粒径3〜6μmの酸化インジウムとし、これと酸化
スズとを混合して用いる方法(例えば、特開昭62−2
1751号公報等)、共沈ITO粉末を焼結体原料に用
いる方法(例えば、特開昭62−12009公報等)等
が提案されているが、理論密度(7.15g/cm3)
の70%(5g/cm3)程度で、十分に高密度とはい
えない。
平均粒径3〜6μmの酸化インジウムとし、これと酸化
スズとを混合して用いる方法(例えば、特開昭62−2
1751号公報等)、共沈ITO粉末を焼結体原料に用
いる方法(例えば、特開昭62−12009公報等)等
が提案されているが、理論密度(7.15g/cm3)
の70%(5g/cm3)程度で、十分に高密度とはい
えない。
【0008】一方、常圧焼結法以外の特殊な焼結法が幾
つか提案されているが、必ずしも満足のいくものではな
い。例えば、ホットプレス法(例えば、特開昭56−5
4702公報等)は、ターゲット表層部分が還元される
ため期待されたスパッタ特性を示さず、さらに、製造コ
ストが高く、経済性に乏しい。又、酸素加圧焼結法によ
り、高温で高密度ITOターゲットを製造する方法が提
案されているが(例えば、特開平3−207858公報
等)、装置コストが高く、又、1600℃以上の高温焼
結のため、焼結体が異常粒成長を起こしやすく、ターゲ
ットの熱衝撃性等に問題を生じる可能性がある。
つか提案されているが、必ずしも満足のいくものではな
い。例えば、ホットプレス法(例えば、特開昭56−5
4702公報等)は、ターゲット表層部分が還元される
ため期待されたスパッタ特性を示さず、さらに、製造コ
ストが高く、経済性に乏しい。又、酸素加圧焼結法によ
り、高温で高密度ITOターゲットを製造する方法が提
案されているが(例えば、特開平3−207858公報
等)、装置コストが高く、又、1600℃以上の高温焼
結のため、焼結体が異常粒成長を起こしやすく、ターゲ
ットの熱衝撃性等に問題を生じる可能性がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微細
で高分散状態の酸化インジウム粉末を提案するものであ
り、この粉末を用いることにより常圧焼結で得られる
6.0g/cm3以上の高密度ITO焼結体の製造法を
提案するものである。
で高分散状態の酸化インジウム粉末を提案するものであ
り、この粉末を用いることにより常圧焼結で得られる
6.0g/cm3以上の高密度ITO焼結体の製造法を
提案するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、常圧焼結
でITO焼結体を製造する際の酸化インジウム粉末に関
し、鋭意検討した結果、ITO焼結体の密度は、酸化イ
ンジウムの物性に依存することを見出し、本発明を完成
するに至った。
でITO焼結体を製造する際の酸化インジウム粉末に関
し、鋭意検討した結果、ITO焼結体の密度は、酸化イ
ンジウムの物性に依存することを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】即ち、本発明は、BET表面積が、15m
2/g以上、30m2/g以下、BET径と結晶子径の
比が2以下、粒度分布測定より求めた、一次粒子の平均
粒子径が0.1μm以下である酸化インジウム粉末、及
び、該酸化インジウム粉末に、酸化スズ粉末を混合し、
成形し、焼結することを特徴とする焼結密度6.0g/
cm3以上のITO焼結体の製造方法に関するものであ
る。
2/g以上、30m2/g以下、BET径と結晶子径の
比が2以下、粒度分布測定より求めた、一次粒子の平均
粒子径が0.1μm以下である酸化インジウム粉末、及
び、該酸化インジウム粉末に、酸化スズ粉末を混合し、
成形し、焼結することを特徴とする焼結密度6.0g/
cm3以上のITO焼結体の製造方法に関するものであ
る。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】常圧焼結で高密度ITO焼結体を得るため
には、原料の酸化インジウム粉末は、微細で高分散な粒
子特性が必要である。
には、原料の酸化インジウム粉末は、微細で高分散な粒
子特性が必要である。
【0014】本発明の酸化インジウム粉末は、BET表
面積が、15m2/g以上、30m2/g以下であるこ
とが必要である。BET表面積が、15m2/g未満の
場合は、粒子が凝集しており、高密度のITO焼結体を
与えることはできない。又、30m2/gを越える粒子
は、一次粒子が多孔質であるか、又は、粒子が微細すぎ
て、高密度な焼結体を与えることが困難となる。
面積が、15m2/g以上、30m2/g以下であるこ
とが必要である。BET表面積が、15m2/g未満の
場合は、粒子が凝集しており、高密度のITO焼結体を
与えることはできない。又、30m2/gを越える粒子
は、一次粒子が多孔質であるか、又は、粒子が微細すぎ
て、高密度な焼結体を与えることが困難となる。
【0015】本発明の酸化インジウム粉末は、BET径
と結晶子径の比(BET径/結晶子径)が2以下である
ことが必要である。特に、1.5以下が好ましい。BE
T径と結晶子径の比の下限は、約1であり、この時一次
粒子は、単結晶に近い状態と考えることができる。結晶
子径は、200〜600オングストロームの範囲が好ま
しく、BET径は、300〜1000オングストローム
の範囲が好ましい。BET径と結晶子径の比が2を越え
ると、一次粒子の凝集状態が強く、焼結活性が低下し、
高密度の焼結体を与えることが困難となる。
と結晶子径の比(BET径/結晶子径)が2以下である
ことが必要である。特に、1.5以下が好ましい。BE
T径と結晶子径の比の下限は、約1であり、この時一次
粒子は、単結晶に近い状態と考えることができる。結晶
子径は、200〜600オングストロームの範囲が好ま
しく、BET径は、300〜1000オングストローム
の範囲が好ましい。BET径と結晶子径の比が2を越え
ると、一次粒子の凝集状態が強く、焼結活性が低下し、
高密度の焼結体を与えることが困難となる。
【0016】なお、結晶子径の大きさは、酸化インジウ
ムのXRD測定による(222)の回折ピークの半値幅
から求めることができる。又、BET径は、粉末のBE
T値を測定し、粒子を球に近似して求めた値である。
ムのXRD測定による(222)の回折ピークの半値幅
から求めることができる。又、BET径は、粉末のBE
T値を測定し、粒子を球に近似して求めた値である。
【0017】本発明の酸化インジウム粉末は、粒度分布
測定より求められる一次粒子の平均粒子径が、0.1μ
m以下であることが必要である。一次粒子の平均粒子径
が0.1μmを越えると、一次粒子が凝集しており、高
密度の焼結体を与えることが困難となる。
測定より求められる一次粒子の平均粒子径が、0.1μ
m以下であることが必要である。一次粒子の平均粒子径
が0.1μmを越えると、一次粒子が凝集しており、高
密度の焼結体を与えることが困難となる。
【0018】粒度分布測定による一次粒子の平均粒子径
は、以下のように求められる。即ち、粒子を水溶液中で
十分に分散処理を行い(例えば、少量の分散剤を添加
し、超音波で1時間以上分散)、0.12μm以下の粒
度分布測定により平均粒子径を求める。なお、同一の分
散処理を施した粒度分布測定により、二次粒子の平均粒
径も求めることができるが、平均粒径は0.5μm以下
の微細な粒子である。
は、以下のように求められる。即ち、粒子を水溶液中で
十分に分散処理を行い(例えば、少量の分散剤を添加
し、超音波で1時間以上分散)、0.12μm以下の粒
度分布測定により平均粒子径を求める。なお、同一の分
散処理を施した粒度分布測定により、二次粒子の平均粒
径も求めることができるが、平均粒径は0.5μm以下
の微細な粒子である。
【0019】次に、本発明の酸化インジウム粉末を与え
る好ましい実施態様を説明する。酸化インジウム粉末
は、インジウム塩水溶液とアルカリ溶液を混合して、該
溶液のpHを7以上にした後、熟成、濾過、乾燥処理し
て得られる針状水酸化インジウムを仮焼することによ
り、得ることができる。
る好ましい実施態様を説明する。酸化インジウム粉末
は、インジウム塩水溶液とアルカリ溶液を混合して、該
溶液のpHを7以上にした後、熟成、濾過、乾燥処理し
て得られる針状水酸化インジウムを仮焼することによ
り、得ることができる。
【0020】インジウム塩水溶液には、例えば硝酸イン
ジウム溶液や硫酸インジウム溶液を用いることができ
る。アルカリ溶液には、アンモニア水や、水酸化ナトリ
ウム等の水溶液を用いることができる。例えば、0.0
1〜2mol/Lの硝酸インジウム溶液にアンモニア水
を添加し、pH7以上で水酸化インジウム粒子を沈殿さ
せることができる。
ジウム溶液や硫酸インジウム溶液を用いることができ
る。アルカリ溶液には、アンモニア水や、水酸化ナトリ
ウム等の水溶液を用いることができる。例えば、0.0
1〜2mol/Lの硝酸インジウム溶液にアンモニア水
を添加し、pH7以上で水酸化インジウム粒子を沈殿さ
せることができる。
【0021】反応温度は特に限定はないが、一般に室温
から90℃の範囲で実施できる。均一な反応を行うため
に、攪拌することが一般的である。
から90℃の範囲で実施できる。均一な反応を行うため
に、攪拌することが一般的である。
【0022】得られた水酸化インジウムスラリーの均一
性、分散性を向上させるために、熟成操作を加えること
が必要である。熟成とは、当該スラリーをその反応系に
おいて、保持することを言う。熟成時の条件は特に限定
されないが、攪拌状態で、70℃以上の温度で数時間以
上保持することが好ましい。熟成により、反応不十分な
状態の水酸化インジウム微粒子が消滅し、分散性の良い
針状微粒子を得られ、微細で高分散な酸化インジウム粉
末を与える前駆体となる。
性、分散性を向上させるために、熟成操作を加えること
が必要である。熟成とは、当該スラリーをその反応系に
おいて、保持することを言う。熟成時の条件は特に限定
されないが、攪拌状態で、70℃以上の温度で数時間以
上保持することが好ましい。熟成により、反応不十分な
状態の水酸化インジウム微粒子が消滅し、分散性の良い
針状微粒子を得られ、微細で高分散な酸化インジウム粉
末を与える前駆体となる。
【0023】熟成した水酸化インジウムスラリーは、固
液分離した後、乾燥する。乾燥温度は、90〜260℃
の範囲で実施することができる。乾燥ケークは、仮焼前
に軽く解砕される。
液分離した後、乾燥する。乾燥温度は、90〜260℃
の範囲で実施することができる。乾燥ケークは、仮焼前
に軽く解砕される。
【0024】解砕した水酸化インジウム粉末は、仮焼
し、酸化インジウム粉末とする。仮焼温度は、600〜
1050℃、特に650〜950℃が好ましい。乾燥温
度が低すぎると、一次粒子が多孔状態で、例えばBET
表面積が30m2以上となったり、又、仮焼温度が高す
ぎると、BET表面積が15m2未満となったりして、
本発明の酸化インジウム粉末を与えることができない場
合がある。
し、酸化インジウム粉末とする。仮焼温度は、600〜
1050℃、特に650〜950℃が好ましい。乾燥温
度が低すぎると、一次粒子が多孔状態で、例えばBET
表面積が30m2以上となったり、又、仮焼温度が高す
ぎると、BET表面積が15m2未満となったりして、
本発明の酸化インジウム粉末を与えることができない場
合がある。
【0025】本発明は、密度6.0g/cm3以上、さ
らに好ましくは6.4g/cm3(相対密度90%以
上)のITO焼結体の製造方法を与えるものである。即
ち、本発明で開示した、微細で高分散な酸化インジウム
粉末に、酸化スズ粉末を混合し、成型し、焼結すること
により、密度6.0g/cm3以上、さらに好ましくは
6.4g/cm3のITO焼結体を得ることができる。
らに好ましくは6.4g/cm3(相対密度90%以
上)のITO焼結体の製造方法を与えるものである。即
ち、本発明で開示した、微細で高分散な酸化インジウム
粉末に、酸化スズ粉末を混合し、成型し、焼結すること
により、密度6.0g/cm3以上、さらに好ましくは
6.4g/cm3のITO焼結体を得ることができる。
【0026】混合する酸化スズ粉末としては、例えばB
ET比表面積が3〜20m2/gが用いられる。酸化ス
ズの混合量は、3〜15wt%が好ましい。
ET比表面積が3〜20m2/gが用いられる。酸化ス
ズの混合量は、3〜15wt%が好ましい。
【0027】次にITO粉末を成型する。成型方法とし
ては、目的とした形状に合った成型方法を選べばよく、
金型成型法、鋳込み成型法等例示されるが特に限定され
ない。
ては、目的とした形状に合った成型方法を選べばよく、
金型成型法、鋳込み成型法等例示されるが特に限定され
ない。
【0028】焼結体の高密度化のために、成型体は冷間
静水圧プレス(CIP)にて加圧処理することが好まし
い。必要に応じて、CIP処理を2〜5回程度繰り返し
ても良い。
静水圧プレス(CIP)にて加圧処理することが好まし
い。必要に応じて、CIP処理を2〜5回程度繰り返し
ても良い。
【0029】成型体の焼結温度は1250℃以上160
0℃以下で特に好ましくは1350℃以上1550℃以
下の範囲である。焼結温度が1250℃未満の場合、密
度が6.0g/cm3未満である焼結体が得られたり、
また、焼結温度が1600℃を越える場合、スズ成分の
蒸発や、焼結粒径の異常な成長が起こり、安定した製造
が困難となる場合がある。焼結時間は、数時間から数十
時間が好ましく、焼結雰囲気としては、特に限定されず
大気中で十分であるが、酸素中、真空中、不活性ガス中
等のいずれの条件でも良い。
0℃以下で特に好ましくは1350℃以上1550℃以
下の範囲である。焼結温度が1250℃未満の場合、密
度が6.0g/cm3未満である焼結体が得られたり、
また、焼結温度が1600℃を越える場合、スズ成分の
蒸発や、焼結粒径の異常な成長が起こり、安定した製造
が困難となる場合がある。焼結時間は、数時間から数十
時間が好ましく、焼結雰囲気としては、特に限定されず
大気中で十分であるが、酸素中、真空中、不活性ガス中
等のいずれの条件でも良い。
【0030】本発明より得られるITO焼結体は以下の
様な特性を具備する。焼結体の焼結粒径は、1μm以上
20μm以下であり、焼結体の比抵抗は、7.0×10
−4Ωcm以下である。抗折力は、10kg/mm2以
上を達成することができる。このような焼結体は、スパ
ッタリングターゲット材として用いた場合、成膜速度が
速く、スパッタ成膜中、安定な放電が可能であり、ター
ゲット表面に生成する黒色のノジュール発生が抑制さ
れ、さらには、低温成膜特性に優れている。
様な特性を具備する。焼結体の焼結粒径は、1μm以上
20μm以下であり、焼結体の比抵抗は、7.0×10
−4Ωcm以下である。抗折力は、10kg/mm2以
上を達成することができる。このような焼結体は、スパ
ッタリングターゲット材として用いた場合、成膜速度が
速く、スパッタ成膜中、安定な放電が可能であり、ター
ゲット表面に生成する黒色のノジュール発生が抑制さ
れ、さらには、低温成膜特性に優れている。
【0031】
【発明の効果】本発明の酸化インジウム粉末は、微細で
高分散な粉末であり、該酸化インジウム粉末を用いるこ
とにより、常圧焼結で、高密度ITO焼結体を製造する
ことができる。
高分散な粉末であり、該酸化インジウム粉末を用いるこ
とにより、常圧焼結で、高密度ITO焼結体を製造する
ことができる。
【0032】このITO焼結体をスパッタリングターゲ
ット材として使用すれば、優れたスパッタリング特性を
有するものとなり、その工業的価値は極めて高いもので
ある。
ット材として使用すれば、優れたスパッタリング特性を
有するものとなり、その工業的価値は極めて高いもので
ある。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】実施例1 インジウムイオン濃度0.5mol/Lの硝酸インジウ
ム溶液を調製し、温度85℃で、攪拌しながら14vo
l.%のアンモニア水を約30分間添加し、水酸化イン
ジウムスラリーを析出させ、pH8に調製した。その
後、同一の温度、攪拌条件で、10時間、該スラリーを
熟成した。熟成した水酸化インジウムを濾過、洗浄後、
110℃で乾燥した。この水酸化インジウムを700℃
で4時間仮焼し、酸化インジウム粉末を得た。得られた
酸化インジウム粉末は、BET表面積25m2/g、B
ET径330オングストローム、結晶子径270オング
ストロームで、BET径と結晶子径の比が約1.2であ
り、一次粒子は0.08μmであった。
ム溶液を調製し、温度85℃で、攪拌しながら14vo
l.%のアンモニア水を約30分間添加し、水酸化イン
ジウムスラリーを析出させ、pH8に調製した。その
後、同一の温度、攪拌条件で、10時間、該スラリーを
熟成した。熟成した水酸化インジウムを濾過、洗浄後、
110℃で乾燥した。この水酸化インジウムを700℃
で4時間仮焼し、酸化インジウム粉末を得た。得られた
酸化インジウム粉末は、BET表面積25m2/g、B
ET径330オングストローム、結晶子径270オング
ストロームで、BET径と結晶子径の比が約1.2であ
り、一次粒子は0.08μmであった。
【0035】この酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末を
混合し(酸化スズ:10wt%)、金型プレスで加圧成
型し、さらにCIP(2t/cm2)処理した後、常圧
大気中で1400℃で焼結させた。焼結体は80φの径
であり、焼結密度は6.8g/cm3(95%)であっ
た。
混合し(酸化スズ:10wt%)、金型プレスで加圧成
型し、さらにCIP(2t/cm2)処理した後、常圧
大気中で1400℃で焼結させた。焼結体は80φの径
であり、焼結密度は6.8g/cm3(95%)であっ
た。
【0036】この焼結体をターゲット材として用いて、
表1の条件でスパッタリングテストを実施した。
表1の条件でスパッタリングテストを実施した。
【0037】
【0038】得られた膜の比抵抗は、基板温度が300
℃、200℃、120℃でそれぞれ1.8×10−4Ω
cm、2.2×10−4Ωcm、2.4×10−4Ωc
mであった。
℃、200℃、120℃でそれぞれ1.8×10−4Ω
cm、2.2×10−4Ωcm、2.4×10−4Ωc
mであった。
【0039】実施例2 BET表面積が15m2/g、BET径560オングス
トローム、結晶子径380オングストローム、結晶子径
とBET径の比が約1.5、一次粒子が0.09μmの
酸化インジウム粉末を用いて、実施例1と同様に、酸化
スズ粉末を混合し、スリップキャスト成型法を用いて成
型した後、1400℃で焼結した。得られたITO焼結
体の焼結密度は6.4g/cm3(90%)であった。
トローム、結晶子径380オングストローム、結晶子径
とBET径の比が約1.5、一次粒子が0.09μmの
酸化インジウム粉末を用いて、実施例1と同様に、酸化
スズ粉末を混合し、スリップキャスト成型法を用いて成
型した後、1400℃で焼結した。得られたITO焼結
体の焼結密度は6.4g/cm3(90%)であった。
【0040】実施例3 BET表面積20m2/g、BET径420オングスト
ローム、結晶子径300オングストローム、結晶子径と
BET径の比が1.4、一次粒子の粒度分布が、0.0
7μmである酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末を混
合した(酸化スズ:5wt%)。調製したITO粉末を
金型プレスで加圧成型し、さらにCIP(5t/c
m2)処理した後、常圧大気中で1500℃で焼結させ
た。焼結体は80φの径であり、焼結密度は7.0g/
cm3(98%)であった。
ローム、結晶子径300オングストローム、結晶子径と
BET径の比が1.4、一次粒子の粒度分布が、0.0
7μmである酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末を混
合した(酸化スズ:5wt%)。調製したITO粉末を
金型プレスで加圧成型し、さらにCIP(5t/c
m2)処理した後、常圧大気中で1500℃で焼結させ
た。焼結体は80φの径であり、焼結密度は7.0g/
cm3(98%)であった。
【0041】比較例1 実施例1と同様に水酸化インジウムスラリーを調製し、
熟成することなく、実施例1と同様な操作で酸化インジ
ウム粉末を調製した。得られた酸化インジウム粉末は、
BET表面積13m2/g、BET径640オングスト
ローム、結晶子径360オングストローム、BET径と
結晶子径の比は1.8、一次粒子は1.0μmであっ
た。得られた酸化インジウム粉末を実施例1と同様の操
作で焼結したところ、焼結密度は、5.8g/cm
3(81%)であった。
熟成することなく、実施例1と同様な操作で酸化インジ
ウム粉末を調製した。得られた酸化インジウム粉末は、
BET表面積13m2/g、BET径640オングスト
ローム、結晶子径360オングストローム、BET径と
結晶子径の比は1.8、一次粒子は1.0μmであっ
た。得られた酸化インジウム粉末を実施例1と同様の操
作で焼結したところ、焼結密度は、5.8g/cm
3(81%)であった。
【0042】この焼結体をターゲット材料として、実施
例1と同一の条件でスパッタリングした。
例1と同一の条件でスパッタリングした。
【0043】得られた膜の比抵抗は、基板温度が300
℃、200℃、120℃でそれぞれ2.0×10−4Ω
cm、2.7×10−4Ωcm、3.8×10−4Ωc
mであった。
℃、200℃、120℃でそれぞれ2.0×10−4Ω
cm、2.7×10−4Ωcm、3.8×10−4Ωc
mであった。
【0044】比較例2 BET表面積40m2/g、BET径210オングスト
ローム、結晶子径200オングストローム、結晶子径と
BET径の比が約1、一次粒子が、0.09μmである
酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末を混合した(酸化
スズ:10wt%)。調製したITO粉末を金型プレス
で加圧成型し、さらにCIP(5t/cm2)処理した
後、常圧大気中で1500℃で焼結させた。焼結体は8
0φの径であり、焼結密度は5.7g/cm3(80
%)であった。
ローム、結晶子径200オングストローム、結晶子径と
BET径の比が約1、一次粒子が、0.09μmである
酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末を混合した(酸化
スズ:10wt%)。調製したITO粉末を金型プレス
で加圧成型し、さらにCIP(5t/cm2)処理した
後、常圧大気中で1500℃で焼結させた。焼結体は8
0φの径であり、焼結密度は5.7g/cm3(80
%)であった。
【0045】比較例3 BET表面積10m2/g、BET径840オングスト
ローム、結晶子径500オングストローム、結晶子径と
BET径の比が1.7、一次粒子が、1.0μmである
酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末を混合した(酸化
スズ:10wt%)。調製したITO粉末を金型プレス
で加圧成型し、さらにCIP(5t/cm2)処理した
後、常圧大気中で1500℃で焼結させた。焼結体は8
0φの径であり、焼結密度は5.8g/cm3(81
%)であった。
ローム、結晶子径500オングストローム、結晶子径と
BET径の比が1.7、一次粒子が、1.0μmである
酸化インジウム粉末と、酸化スズ粉末を混合した(酸化
スズ:10wt%)。調製したITO粉末を金型プレス
で加圧成型し、さらにCIP(5t/cm2)処理した
後、常圧大気中で1500℃で焼結させた。焼結体は8
0φの径であり、焼結密度は5.8g/cm3(81
%)であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−219315(JP,A) 特開 平3−207858(JP,A) 特開 昭62−21751(JP,A) 特開 昭56−54702(JP,A) 特開 昭62−12009(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 15/00 C04B 35/457 C23C 14/34
Claims (3)
- 【請求項1】 BET表面積が、15m2/g以上、3
0m2/g以下、BET径と結晶子径の比が2以下、粒
度分布測定より求めた一次粒子の平均粒子径が0.1μ
m以下である酸化インジウム粉末。 - 【請求項2】 インジウム塩水溶液とアルカリ水溶液を
混合し、該混合溶液のpHを7以上にした後、熟成、濾
過、乾燥処理して得られる針状水酸化インジウムを仮焼
することを特徴とする酸化インジウム粉末の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の酸化インジウム粉末
に、酸化スズ粉末を混合し、成形し、焼結することを特
徴とする焼結密度6.0g/cm3以上のITO焼結体
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25046992A JP3289335B2 (ja) | 1991-08-30 | 1992-08-27 | 酸化インジウム粉末及びito焼結体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24430191 | 1991-08-30 | ||
JP3-244301 | 1991-08-30 | ||
JP25046992A JP3289335B2 (ja) | 1991-08-30 | 1992-08-27 | 酸化インジウム粉末及びito焼結体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05193939A JPH05193939A (ja) | 1993-08-03 |
JP3289335B2 true JP3289335B2 (ja) | 2002-06-04 |
Family
ID=26536679
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25046992A Expired - Fee Related JP3289335B2 (ja) | 1991-08-30 | 1992-08-27 | 酸化インジウム粉末及びito焼結体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3289335B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006306670A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 酸化インジウム粉末 |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NL1004635C2 (nl) * | 1995-12-06 | 1999-01-12 | Sumitomo Chemical Co | Indiumoxyde-tinoxydepoeders en werkwijze voor het voortbrengen daarvan. |
JP3862385B2 (ja) * | 1996-11-08 | 2006-12-27 | Dowaホールディングス株式会社 | 酸化スズ含有酸化インジウム粉及び焼結体の製造方法 |
JP2003264307A (ja) * | 2002-03-11 | 2003-09-19 | Sharp Corp | 薄膜太陽電池及びその製造方法 |
KR100474846B1 (ko) * | 2002-03-22 | 2005-03-09 | 삼성코닝 주식회사 | 인듐산화물 분말 및 인듐 주석 산화물 타겟의 제조방법 |
KR100960876B1 (ko) | 2003-12-25 | 2010-06-04 | 미쓰이 긴조꾸 고교 가부시키가이샤 | 산화인듐-산화주석 분말 및 그것을 사용한 스퍼터링 타깃 |
JP5898558B2 (ja) * | 2012-04-27 | 2016-04-06 | 国立大学法人東京工業大学 | オレフィン製造用触媒の製造方法及びオレフィン製造用触媒、並びにオレフィンの製造方法 |
JP6085780B2 (ja) * | 2013-05-31 | 2017-03-01 | 国立大学法人東京工業大学 | オレフィン製造用触媒の調製方法及びオレフィンの製造方法 |
JP6314904B2 (ja) * | 2015-05-14 | 2018-04-25 | 住友金属鉱山株式会社 | 水酸化インジウム粉の製造方法及び酸化インジウム粉の製造方法、並びにスパッタリングターゲットの製造方法 |
WO2019051737A1 (zh) * | 2017-09-14 | 2019-03-21 | 孟永辉 | 一种高纯纳米二氧化锡球形粉末的制备方法 |
-
1992
- 1992-08-27 JP JP25046992A patent/JP3289335B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006306670A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 酸化インジウム粉末 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05193939A (ja) | 1993-08-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5071800A (en) | Oxide powder, sintered body, process for preparation thereof and targe composed thereof | |
JP2695605B2 (ja) | ターゲットおよびその製造方法 | |
JP5016993B2 (ja) | 酸化マグネシウム粒子凝集体及びその製造方法 | |
EP0584672B1 (en) | Method of manufacturing an indium oxide powder useful as material of a high-density ITO sintered body | |
CN1837055B (zh) | 氧化铟粉末及其制备方法 | |
JP3128861B2 (ja) | スパッタリングターゲット及びその製造方法 | |
JP4018974B2 (ja) | 錫酸化物粉末、その製造方法及びこれを使用した高密度インジウム錫酸化物ターゲットの製造方法 | |
JP3289335B2 (ja) | 酸化インジウム粉末及びito焼結体の製造方法 | |
JP3936655B2 (ja) | インジウム酸化物粉末、その製造方法及びこれを使用した高密度インジウム錫酸化物ターゲットの製造方法 | |
US6051166A (en) | Indium oxide-tin oxide powders and method for producing the same | |
JP3314388B2 (ja) | 水酸化インジウム、酸化インジウム及びito焼結体の製造方法 | |
JP5233007B2 (ja) | 透明導電材用塗料および透明導電膜の製造方法 | |
US5866493A (en) | Method of manufacturing a sintered body of indium tin oxide | |
JP4841029B2 (ja) | 酸化錫添加酸化インジウム粉末及びその製造方法 | |
JP3324164B2 (ja) | 酸化インジウム粉末及びその製造方法並びにito焼結体の製造方法 | |
JPH1017324A (ja) | 酸化インジウム粉末の製造方法 | |
CN116288181B (zh) | 一种镧系金属掺杂izo靶材及其制备方法与应用 | |
JP3878867B2 (ja) | インジウム水酸化物及び酸化物 | |
JP4224007B2 (ja) | 酸化インジウム粉末 | |
JP3173440B2 (ja) | 酸化錫粉末の製造方法 | |
JPH11322336A (ja) | 酸化錫粉末の製造方法 | |
JPH1179745A (ja) | Itoタ−ゲット用酸化インジウム粉末の製造方法 | |
JPS61146713A (ja) | チタン酸バリウムの製造方法 | |
JPH03218924A (ja) | 酸化物粉末及びその製造方法 | |
KR101117309B1 (ko) | 산화인듐주석 미세분말의 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080322 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090322 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100322 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |