JP3270127B2 - 新規なペプチド - Google Patents
新規なペプチドInfo
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- JP3270127B2 JP3270127B2 JP22027092A JP22027092A JP3270127B2 JP 3270127 B2 JP3270127 B2 JP 3270127B2 JP 22027092 A JP22027092 A JP 22027092A JP 22027092 A JP22027092 A JP 22027092A JP 3270127 B2 JP3270127 B2 JP 3270127B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- peptide
- tyr
- pro
- boc
- lys
- Prior art date
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- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば高血圧の予防
等を目的とする医薬品、健康食品等として有用なアンジ
オテンシン変換酵素の作用を阻害する新規なペプチドに
関するものである。
等を目的とする医薬品、健康食品等として有用なアンジ
オテンシン変換酵素の作用を阻害する新規なペプチドに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】わが国における主要疾病別受診状況をみ
ると、年々高血圧によるものが増加している。これは日
本人の食事パターンが欧米型食事へと変化してきたこと
など、食物による影響が大きな原因になっていると考え
られる。また、高血圧は長期間続くと、心疾患や脳血管
疾患の発症率が高くなることが知られており、早期の改
善が必要である。
ると、年々高血圧によるものが増加している。これは日
本人の食事パターンが欧米型食事へと変化してきたこと
など、食物による影響が大きな原因になっていると考え
られる。また、高血圧は長期間続くと、心疾患や脳血管
疾患の発症率が高くなることが知られており、早期の改
善が必要である。
【0003】現在、この高血圧症を改善するために種々
の方法が用いられているが、その中で食事との関連が深
いと言われるタンパク質加水分解酵素であるレニンと高
血圧の原因物質であるアンジオテンシンとの調整が最も
有効な方法の一つとされている。
の方法が用いられているが、その中で食事との関連が深
いと言われるタンパク質加水分解酵素であるレニンと高
血圧の原因物質であるアンジオテンシンとの調整が最も
有効な方法の一つとされている。
【0004】このレニン−アンジオテンシン系の調整に
はアンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting
Enzyme、以下ACEと言う)が介在する。ACEはペ
プチドからジペプチドを遊離させるジペプチジルカルボ
キシラーゼであり、アンジオテンシンI から血圧を上昇
させる昇圧ペプチドであるアンジオテンシンIIの生成を
促進すると共に、血圧を低下させる降圧物質であるブラ
ジキニンの分解に関与している。従って、このACEの
作用を阻害する物質は血圧降下作用を有する。
はアンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting
Enzyme、以下ACEと言う)が介在する。ACEはペ
プチドからジペプチドを遊離させるジペプチジルカルボ
キシラーゼであり、アンジオテンシンI から血圧を上昇
させる昇圧ペプチドであるアンジオテンシンIIの生成を
促進すると共に、血圧を低下させる降圧物質であるブラ
ジキニンの分解に関与している。従って、このACEの
作用を阻害する物質は血圧降下作用を有する。
【0005】一方、最近大豆、米ぬか、魚肉など各種食
品中にACE阻害ペプチドが存在することが報告されて
いる〔食品工業、Vol.33, No.2, 20〜30(1990)、Vol.
4 ,20〜25(1990)、Vol34,No.22, 18 〜26(1991)
〕。そして、現在までにこのような食品から多数のA
CE阻害ペプチドが単離されている。
品中にACE阻害ペプチドが存在することが報告されて
いる〔食品工業、Vol.33, No.2, 20〜30(1990)、Vol.
4 ,20〜25(1990)、Vol34,No.22, 18 〜26(1991)
〕。そして、現在までにこのような食品から多数のA
CE阻害ペプチドが単離されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、そのような食
品中からACE阻害ペプチドを単離精製するには各種ク
ロマトグラフィー等を用いなければならず、操作が煩雑
で、いずれも極めて低収率である場合が多い。本発明者
らもすでにローヤルゼリー中にACE阻害ペプチドが存
在することを見出し、これを酵素により加水分解する方
法によって取得したペプチドについて特許出願を行った
(特願平3−42022号)。
品中からACE阻害ペプチドを単離精製するには各種ク
ロマトグラフィー等を用いなければならず、操作が煩雑
で、いずれも極めて低収率である場合が多い。本発明者
らもすでにローヤルゼリー中にACE阻害ペプチドが存
在することを見出し、これを酵素により加水分解する方
法によって取得したペプチドについて特許出願を行った
(特願平3−42022号)。
【0007】この発明は上記従来の技術に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、ACE阻害作用を有する
とともに、製造が容易で収率良く得られる新規なペプチ
ドを提供することにある。
たものであって、その目的は、ACE阻害作用を有する
とともに、製造が容易で収率良く得られる新規なペプチ
ドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明はPhe−Val−Ty
r−Thr−Proなる構造からなるペプチド(以下、SP5
と称する)である。なお、Leu−Tyr−Leu−Proなる構造
を有するペプチドを以下SP4と称し、Trp−Lys−Tyr
なる構造を有するペプチドを以下SP3と称する。ま
た、Pheはフェニルアラニン、Valはバリン、Tyrはチロ
シン、Thrはトレオニン、Proはプロリン、Leuはロイシ
ン、Trpはトリプトファン、Lysはリジンを意味する。
r−Thr−Proなる構造からなるペプチド(以下、SP5
と称する)である。なお、Leu−Tyr−Leu−Proなる構造
を有するペプチドを以下SP4と称し、Trp−Lys−Tyr
なる構造を有するペプチドを以下SP3と称する。ま
た、Pheはフェニルアラニン、Valはバリン、Tyrはチロ
シン、Thrはトレオニン、Proはプロリン、Leuはロイシ
ン、Trpはトリプトファン、Lysはリジンを意味する。
【0009】ペプチドの化学合成法は技術的にはほぼ確
立しており、この発明のペプチドも公知の方法によって
合成することが可能である。なお、用いるアミノ酸は通
常L体が使用され、側鎖の官能基等は必要があれば公知
の保護基で保護される。
立しており、この発明のペプチドも公知の方法によって
合成することが可能である。なお、用いるアミノ酸は通
常L体が使用され、側鎖の官能基等は必要があれば公知
の保護基で保護される。
【0010】得られたペプチドの構造確認は、例えば島
津製作所製全自動蛋白質一次構造分析装置PSQ−1に
より行うことができる。また、アミノ酸組成分析はWate
rs社製PICO−TAGシステムにより行うことができ
る。
津製作所製全自動蛋白質一次構造分析装置PSQ−1に
より行うことができる。また、アミノ酸組成分析はWate
rs社製PICO−TAGシステムにより行うことができ
る。
【0011】次に、このようにして得られるペプチドを
そのACE阻害作用に基づいて、食品(特に機能性食
品)として利用するためには、安全性等の問題から化学
合成法より、酵素合成法が適当であると考えられる。
そのACE阻害作用に基づいて、食品(特に機能性食
品)として利用するためには、安全性等の問題から化学
合成法より、酵素合成法が適当であると考えられる。
【0012】ペプチドの酵素合成法については、すでに
優れた総説が多数報告されている(「酵素の新機能開
発」、p75〜129、発行元:講談社サイエンティフ
ィク(1989年)など)が、ペプチド結合の種類によ
って合成の難易があり、またペプチド結合の種類に応じ
て適した酵素を選ぶ必要がある。従って、酵素合成法は
化学合成法とは異なり、完全な方法ではなく、まだ確立
した技術となっていないのが現状であり、目的とするペ
プチドごとに詳細な検討をすることが必要となる。
優れた総説が多数報告されている(「酵素の新機能開
発」、p75〜129、発行元:講談社サイエンティフ
ィク(1989年)など)が、ペプチド結合の種類によ
って合成の難易があり、またペプチド結合の種類に応じ
て適した酵素を選ぶ必要がある。従って、酵素合成法は
化学合成法とは異なり、完全な方法ではなく、まだ確立
した技術となっていないのが現状であり、目的とするペ
プチドごとに詳細な検討をすることが必要となる。
【0013】用いる酵素としてはトリプシン、キモトリ
プシン、パパイン、パンクレアチン、ブロメライン、プ
ロリンエンドペプチターゼなどの蛋白分解酵素のほか、
細菌性蛋白分解酵素、例えば、ズブチリシン、サーモラ
イシン、ナガーゼ、プロテアーゼA,プロテアーゼB、
プロテアーゼM、プロテアーゼN、プロテアーゼP、プ
ロテアーゼP−6などが適当である。
プシン、パパイン、パンクレアチン、ブロメライン、プ
ロリンエンドペプチターゼなどの蛋白分解酵素のほか、
細菌性蛋白分解酵素、例えば、ズブチリシン、サーモラ
イシン、ナガーゼ、プロテアーゼA,プロテアーゼB、
プロテアーゼM、プロテアーゼN、プロテアーゼP、プ
ロテアーゼP−6などが適当である。
【0014】アミノ酸C端の官能基を反応に関与させな
いようにする保護基としては、メチル、エチル、プロピ
ルなどの短鎖アルキル基及びアミド型保護基を、アミノ
酸N端の保護基としてはアセチル、ベンゾイルなどのア
シル基及びベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカ
ルボニルなどのウレタン型保護基が用いられる。反応溶
媒は、酵素の至適pHに合わせて公知の緩衝液を使用
し、これに適宜メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシドなどの有機溶媒を加えることができ
る。
いようにする保護基としては、メチル、エチル、プロピ
ルなどの短鎖アルキル基及びアミド型保護基を、アミノ
酸N端の保護基としてはアセチル、ベンゾイルなどのア
シル基及びベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカ
ルボニルなどのウレタン型保護基が用いられる。反応溶
媒は、酵素の至適pHに合わせて公知の緩衝液を使用
し、これに適宜メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシドなどの有機溶媒を加えることができ
る。
【0015】
【実施例】(実施例1) 以下に、Trp−Lys−Tyrなる構造を有するペプチド(S
P3)の酵素による合成法を示す。
P3)の酵素による合成法を示す。
【0016】グリセリン40mlと炭酸塩緩衝液(pH10.
4)7ml の混合溶媒に、L−アセチルトリプトファンメ
チルエステル1.3 g (最終濃度0.1 M)、L−リジンメ
チルエステル塩酸塩0.98 g(最終濃度0.1 M)を添加し
て懸濁液を調製した。そして、室温で激しく攪拌しなが
ら、α−キモトリプシン62.5mg(最終濃度 50 μM)を
炭酸塩緩衝液3ml に溶解した溶液を約2分かけて滴下
し、さらに3分間攪拌した後、酢酸を加えて反応を停止
させることにより、直線的に反応が進む速度論的制御反
応を行った。
4)7ml の混合溶媒に、L−アセチルトリプトファンメ
チルエステル1.3 g (最終濃度0.1 M)、L−リジンメ
チルエステル塩酸塩0.98 g(最終濃度0.1 M)を添加し
て懸濁液を調製した。そして、室温で激しく攪拌しなが
ら、α−キモトリプシン62.5mg(最終濃度 50 μM)を
炭酸塩緩衝液3ml に溶解した溶液を約2分かけて滴下
し、さらに3分間攪拌した後、酢酸を加えて反応を停止
させることにより、直線的に反応が進む速度論的制御反
応を行った。
【0017】そして、アンモニア水にて中和後、酢酸エ
チル100ml を加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗
浄、さらに飽和食塩水で数回洗浄した。次に、10%ク
エン酸溶液50mlを加え、水層を抽出した後再び炭酸水
素ナトリウムで塩基性とし酢酸エチルで再抽出した。酢
酸エチル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲル
のショートカラムに通し、クロロホルム:メタノール:
トリエチルアミン=51: 1: 0.1の混合溶媒にて溶出
し、Ac -Trp −Lys −OMe を無色結晶として1.59g (83
%)を得た。
チル100ml を加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗
浄、さらに飽和食塩水で数回洗浄した。次に、10%ク
エン酸溶液50mlを加え、水層を抽出した後再び炭酸水
素ナトリウムで塩基性とし酢酸エチルで再抽出した。酢
酸エチル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲル
のショートカラムに通し、クロロホルム:メタノール:
トリエチルアミン=51: 1: 0.1の混合溶媒にて溶出
し、Ac -Trp −Lys −OMe を無色結晶として1.59g (83
%)を得た。
【0018】次に、エタノール 2mlと前記炭酸塩緩衝液
3mlの混合溶媒に、Trp −Lys −Tyr −OMe 232mg (最
終濃度0.1 M)、L−チロシンエチルエステル塩酸塩 1
48mg(最終濃度0.1 M)を添加して懸濁液を得た。そし
て、室温で激しく攪拌しながら、トリプシン 3mg(最終
濃度 20 μM)を炭酸塩緩衝液1mlに溶解した溶液を約
2分間かけて滴下し、さらに3分間攪拌した後、酢酸を
加えて反応を停止させることにより速度論的制御反応を
行った。
3mlの混合溶媒に、Trp −Lys −Tyr −OMe 232mg (最
終濃度0.1 M)、L−チロシンエチルエステル塩酸塩 1
48mg(最終濃度0.1 M)を添加して懸濁液を得た。そし
て、室温で激しく攪拌しながら、トリプシン 3mg(最終
濃度 20 μM)を炭酸塩緩衝液1mlに溶解した溶液を約
2分間かけて滴下し、さらに3分間攪拌した後、酢酸を
加えて反応を停止させることにより速度論的制御反応を
行った。
【0019】この反応の収率を液体クロマトグラフィ
(HPLC)によって測定した。すなわち、反応混合物
にメタノールを加えて 100mlとし、その5μl をHPL
Cに注入することによりクロマトグラムを得た。そし
て、化学合成した標準品との面積比より収率を求めたと
ころ、約68%という良好な収率で Ac −Trp −Lys −
Tyr −OEt が得られていることが判明した。なお、HP
LCの測定条件は次のとおりである。
(HPLC)によって測定した。すなわち、反応混合物
にメタノールを加えて 100mlとし、その5μl をHPL
Cに注入することによりクロマトグラムを得た。そし
て、化学合成した標準品との面積比より収率を求めたと
ころ、約68%という良好な収率で Ac −Trp −Lys −
Tyr −OEt が得られていることが判明した。なお、HP
LCの測定条件は次のとおりである。
【0020】カラム:ODP−50、φ4.6 ×150mm 、
移動相:アセトニトリル/水混合溶媒(30/70)、検出:
紫外線(UV)280nm 、温度:室温、流量:0.6ml/min
また、常法に従って精製した保護ペプチドは、C端及び
N端の保護基を公知の塩基又は酸加水分解法により脱保
護を行い、SP3を無色の結晶として得た。得られたペ
プチドは、液体クロマト質量分析計(島津製作所製の商
品名LC−MS、QP1000EX)により分子量を測定し
たところ 495であり、ペプチドシーケンサー(島津製作
所製の商品名PSQ−1)及びアミノ酸分析装置(Wate
rs社製商品名PICO−TAGシステム)により構造分
析を行ったところ、Trp −Lys −Tyr であることが判明
した。
移動相:アセトニトリル/水混合溶媒(30/70)、検出:
紫外線(UV)280nm 、温度:室温、流量:0.6ml/min
また、常法に従って精製した保護ペプチドは、C端及び
N端の保護基を公知の塩基又は酸加水分解法により脱保
護を行い、SP3を無色の結晶として得た。得られたペ
プチドは、液体クロマト質量分析計(島津製作所製の商
品名LC−MS、QP1000EX)により分子量を測定し
たところ 495であり、ペプチドシーケンサー(島津製作
所製の商品名PSQ−1)及びアミノ酸分析装置(Wate
rs社製商品名PICO−TAGシステム)により構造分
析を行ったところ、Trp −Lys −Tyr であることが判明
した。
【0021】このように、酵素合成法によりSP3を比
較的容易に、しかも収率良く収得できる。そして、AC
E阻害作用を有するこのペプチドは、適当な無毒性の経
口投与用担体と共に適宜な形状、形態からなる組成物と
して、高血圧の予防、高血圧傾向の緩和又は血圧調整を
目的として、医薬品又は健康食品として用いることがで
きる。 (実施例2)次に、この発明のPhe −Val −Tyr −Thr
−Pro なる構造を有するペプチド(SP5)の化学合成
法による製造法について説明する。なお、略号は次のと
おりである。
較的容易に、しかも収率良く収得できる。そして、AC
E阻害作用を有するこのペプチドは、適当な無毒性の経
口投与用担体と共に適宜な形状、形態からなる組成物と
して、高血圧の予防、高血圧傾向の緩和又は血圧調整を
目的として、医薬品又は健康食品として用いることがで
きる。 (実施例2)次に、この発明のPhe −Val −Tyr −Thr
−Pro なる構造を有するペプチド(SP5)の化学合成
法による製造法について説明する。なお、略号は次のと
おりである。
【0022】Boc:tert-Butoxycarbonyl CBZ:Benzyloxycarbonyl AAn:C端からn番目の原子に置換基を有するアミノ
酸 まず、C端アミノ酸であるプロリンメチルエステルをジ
クロロメタンに溶解し、CBZ−又はBoc−AA
2 (トレオニン)(1等量)、N−ヒドロキシサクシン
イミド(1.2等量)、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド(1.2等量)を加え、冷蔵庫内で20〜40時間攪
拌することによって縮合反応を行った。反応終了後、不
溶物(ジシクロヘキシルウレア)を留去し、有機層を5
%炭酸ナトリウム、水、10%クエン酸、水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮してジペプチ
ドBoc−Thr −Pro メチルエステルを得た。なお、必
要に応じてシリカゲルのカラムクラマトグラフィーによ
って精製してもよい。
酸 まず、C端アミノ酸であるプロリンメチルエステルをジ
クロロメタンに溶解し、CBZ−又はBoc−AA
2 (トレオニン)(1等量)、N−ヒドロキシサクシン
イミド(1.2等量)、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド(1.2等量)を加え、冷蔵庫内で20〜40時間攪
拌することによって縮合反応を行った。反応終了後、不
溶物(ジシクロヘキシルウレア)を留去し、有機層を5
%炭酸ナトリウム、水、10%クエン酸、水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮してジペプチ
ドBoc−Thr −Pro メチルエステルを得た。なお、必
要に応じてシリカゲルのカラムクラマトグラフィーによ
って精製してもよい。
【0023】次に、チロシンメチルエステル及び上記ジ
ペプチドの各々1当量を、前述の縮合条件で縮合させ
て、トリペプチドTyr −Thr −Pro を得た。さらに、生
成したこのトリペプチドとBoc−Val を同様に縮合さ
せて、テトラペプチドVal −Tyr −Thr −Pro を得た。
最後に、このテトラペプチドとBoc−Phe を同様に縮
合させた。N端保護基は、CBZ基の場合は接触還元に
よって、Boc基の場合はトリフルオロ酢酸によって除
去した。以下同様の操作を繰り返し、最後に側鎖保護基
とC端のメチルエステルを常法により除去することによ
って目的のペプチドSP5が得られた。このペプチドの
収率は39%で良好であった。
ペプチドの各々1当量を、前述の縮合条件で縮合させ
て、トリペプチドTyr −Thr −Pro を得た。さらに、生
成したこのトリペプチドとBoc−Val を同様に縮合さ
せて、テトラペプチドVal −Tyr −Thr −Pro を得た。
最後に、このテトラペプチドとBoc−Phe を同様に縮
合させた。N端保護基は、CBZ基の場合は接触還元に
よって、Boc基の場合はトリフルオロ酢酸によって除
去した。以下同様の操作を繰り返し、最後に側鎖保護基
とC端のメチルエステルを常法により除去することによ
って目的のペプチドSP5が得られた。このペプチドの
収率は39%で良好であった。
【0024】このように、化学合成法によりSP5を容
易に、かつ収率良く収得できる。得られたペプチドの構
造確認は、島津製作所製全自動蛋白質一次構造分析装置
PSQ−1により行った。またWaters社製PICO−T
AGシステムにより、アミノ酸組成分析を行った。その
結果を以下に示す。 (SP5の一次構造) Phe−Val−Tyr−Thr−Pro (SP5のアミノ酸組成) Phe19.9%、Val20.4%、Tyr20.7%、Thr19.8%、Pro19.4% (実施例3) 次に、実施例2と同様にして、Leu−Tyr−Leu−Proなる
構造を有するペプチド(SP4)の化学合成法による製
造法について説明する。
易に、かつ収率良く収得できる。得られたペプチドの構
造確認は、島津製作所製全自動蛋白質一次構造分析装置
PSQ−1により行った。またWaters社製PICO−T
AGシステムにより、アミノ酸組成分析を行った。その
結果を以下に示す。 (SP5の一次構造) Phe−Val−Tyr−Thr−Pro (SP5のアミノ酸組成) Phe19.9%、Val20.4%、Tyr20.7%、Thr19.8%、Pro19.4% (実施例3) 次に、実施例2と同様にして、Leu−Tyr−Leu−Proなる
構造を有するペプチド(SP4)の化学合成法による製
造法について説明する。
【0025】実施例2において、CBZ−又はBoc−
AA2 (トレオニン)(1等量)に代えてCBZ−又は
Boc−AA2 (ロイシン)(1等量)とし、縮合反応
によりジペプチド(Boc−Leu −Pro )を得た。次
に、これにチロシンメチルエステルを加えて縮合反応さ
せ、トリペプチド(Tyr −Leu −Pro )を得た。最後
に、これにBoc−Leu を加えて縮合反応させて、目的
とするテトラペプチドSP4を得た。
AA2 (トレオニン)(1等量)に代えてCBZ−又は
Boc−AA2 (ロイシン)(1等量)とし、縮合反応
によりジペプチド(Boc−Leu −Pro )を得た。次
に、これにチロシンメチルエステルを加えて縮合反応さ
せ、トリペプチド(Tyr −Leu −Pro )を得た。最後
に、これにBoc−Leu を加えて縮合反応させて、目的
とするテトラペプチドSP4を得た。
【0026】その収率は47%と良好であった。このペ
プチドについて、一次構造とアミノ酸組成の分析を行っ
た。その結果を以下に示す。 (SP4の一次構造) Leu−Tyr−Leu−Pro (SP4のアミノ酸組成) Leu49.8%、Tyr25.8%、Pro24.4% (実施例4) 次に、実施例2と同様にして、Trp−Lys−Tyrなる構造
を有するペプチド(SP3)の化学合成法による製造法
について説明する。
プチドについて、一次構造とアミノ酸組成の分析を行っ
た。その結果を以下に示す。 (SP4の一次構造) Leu−Tyr−Leu−Pro (SP4のアミノ酸組成) Leu49.8%、Tyr25.8%、Pro24.4% (実施例4) 次に、実施例2と同様にして、Trp−Lys−Tyrなる構造
を有するペプチド(SP3)の化学合成法による製造法
について説明する。
【0027】実施例2において、プロリンメチルエステ
ルに代えてチロシンメチルエステルを用い、CBZ−又
はBoc−AA2 (トレオニン)(1等量)に代えてC
BZ−又はBoc−AA3 (リジン)(1等量)とし、
縮合反応によりジペプチド(Boc−Lys −Tyr )を得
た。次に、これにBoc−Trp を加えて縮合反応させ、
目的とするトリペプチドSP3を得た。
ルに代えてチロシンメチルエステルを用い、CBZ−又
はBoc−AA2 (トレオニン)(1等量)に代えてC
BZ−又はBoc−AA3 (リジン)(1等量)とし、
縮合反応によりジペプチド(Boc−Lys −Tyr )を得
た。次に、これにBoc−Trp を加えて縮合反応させ、
目的とするトリペプチドSP3を得た。
【0028】このトリペプチドの収率は53%と良好で
あった。このペプチドについて、一次構造とアミノ酸組
成の分析を行った。その結果を以下に示す。 (SP3の一次構造) Trp −Lys −Tyr (SP3のアミノ酸組成)PICO−TAGシステムに
よる測定では、Trp は分解して測定不能であった。従っ
て、残りのLys は51.1%、Tyr は48.9%であった。な
お、前記PSQ−1による3成分の測定結果は、Trp 3
2.1%、Lys 34.8%、Tyr 33.1%であった。 (実施例5)次に、前記ペプチドのACE阻害活性の測
定について説明する。 (ACE阻害活性測定)1gの家兎の肺をアセトン中で
沈降、乾燥した粉末(シグマ社製)を 5 ml のリン酸緩
衝液(pH 8.3) に溶解し、10000 G、30分の遠心分
離処理後の上清液を上記緩衝液で3倍に希釈してACE
酵素液として、酵素阻害を測定した。その測定法は Bio
chem. Pharm.,20,p1637 〜1648(1971)及び Anal. Bioch
em.,84,p361 〜369(1978) に記載の方法に準じた。
あった。このペプチドについて、一次構造とアミノ酸組
成の分析を行った。その結果を以下に示す。 (SP3の一次構造) Trp −Lys −Tyr (SP3のアミノ酸組成)PICO−TAGシステムに
よる測定では、Trp は分解して測定不能であった。従っ
て、残りのLys は51.1%、Tyr は48.9%であった。な
お、前記PSQ−1による3成分の測定結果は、Trp 3
2.1%、Lys 34.8%、Tyr 33.1%であった。 (実施例5)次に、前記ペプチドのACE阻害活性の測
定について説明する。 (ACE阻害活性測定)1gの家兎の肺をアセトン中で
沈降、乾燥した粉末(シグマ社製)を 5 ml のリン酸緩
衝液(pH 8.3) に溶解し、10000 G、30分の遠心分
離処理後の上清液を上記緩衝液で3倍に希釈してACE
酵素液として、酵素阻害を測定した。その測定法は Bio
chem. Pharm.,20,p1637 〜1648(1971)及び Anal. Bioch
em.,84,p361 〜369(1978) に記載の方法に準じた。
【0029】即ち、100 mMリン酸カリウム緩衝液( 300
mM塩化ナトリウムを含む、pH 8.3)に、基質として 1
mMトリペプチド(Hip −His −Leu ,ペプチド研究所
製)を100μl 、ACE酵素液 100μl 及び試料液 100
μl を加え、37℃、30分間の反応後、沸騰水中で5
分間加熱することにより反応を終了させ、反応生成物の
馬尿酸をトリクロロトリアジン試薬で誘導体化し、測定
波長 382nmにおける吸光度を比色定量する方法である。
mM塩化ナトリウムを含む、pH 8.3)に、基質として 1
mMトリペプチド(Hip −His −Leu ,ペプチド研究所
製)を100μl 、ACE酵素液 100μl 及び試料液 100
μl を加え、37℃、30分間の反応後、沸騰水中で5
分間加熱することにより反応を終了させ、反応生成物の
馬尿酸をトリクロロトリアジン試薬で誘導体化し、測定
波長 382nmにおける吸光度を比色定量する方法である。
【0030】また、阻害率は次式により算出した。 阻害率=(EO −ES )/EO ×100(%) EO :阻害剤を含まないときの 382nmの吸光度 ES :阻害剤を含むときの 382nmの吸光度 そして、阻害率50%のときの試料濃度をIC50(μg/m
l)とした。このIC50の値は低い方がACE阻害活性
が高いことになる。また、対照例として、特願平3−4
2022号で開示したペプチド、即ち Tyr−Asn −Glu
−Val −Pro (RJP5 )、Ser −Leu −Pro −Lys −
Leu −His −Glu −Trp (RJP8 )、Ser −Leu −Pr
o −Ile −His −Glu −Trp −Lys (RJP9 )につい
ても同様にIC50を測定した。その結果、次の表1のよ
うな結果が得られた。
l)とした。このIC50の値は低い方がACE阻害活性
が高いことになる。また、対照例として、特願平3−4
2022号で開示したペプチド、即ち Tyr−Asn −Glu
−Val −Pro (RJP5 )、Ser −Leu −Pro −Lys −
Leu −His −Glu −Trp (RJP8 )、Ser −Leu −Pr
o −Ile −His −Glu −Trp −Lys (RJP9 )につい
ても同様にIC50を測定した。その結果、次の表1のよ
うな結果が得られた。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示したように、各実施例 5-1〜 5-3
のIC50の値は、各対照例 5-4〜 5-6とほぼ同等に低
く、十分なACE阻害作用を有することがわかる。
のIC50の値は、各対照例 5-4〜 5-6とほぼ同等に低
く、十分なACE阻害作用を有することがわかる。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明のペプチド
は、新規なペプチドであり、アンジオテンシン酵素阻害
作用を有するとともに、製造が容易で収率良く得られ、
高血圧の予防、治療などを目的とした医薬品や食品とし
て有用であるという優れた効果を奏する。
は、新規なペプチドであり、アンジオテンシン酵素阻害
作用を有するとともに、製造が容易で収率良く得られ、
高血圧の予防、治療などを目的とした医薬品や食品とし
て有用であるという優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 7/06 CA(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 Phe−Val−Tyr−Thr−Proなる構造から
なるペプチド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22027092A JP3270127B2 (ja) | 1992-08-19 | 1992-08-19 | 新規なペプチド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22027092A JP3270127B2 (ja) | 1992-08-19 | 1992-08-19 | 新規なペプチド |
Related Child Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001261169A Division JP3364210B2 (ja) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | 新規なペプチド |
JP2001261168A Division JP3379950B2 (ja) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | 新規なペプチド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0665288A JPH0665288A (ja) | 1994-03-08 |
JP3270127B2 true JP3270127B2 (ja) | 2002-04-02 |
Family
ID=16748550
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22027092A Expired - Lifetime JP3270127B2 (ja) | 1992-08-19 | 1992-08-19 | 新規なペプチド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3270127B2 (ja) |
-
1992
- 1992-08-19 JP JP22027092A patent/JP3270127B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0665288A (ja) | 1994-03-08 |
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