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JP3163864B2 - インク供給装置 - Google Patents

インク供給装置

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Publication number
JP3163864B2
JP3163864B2 JP22649493A JP22649493A JP3163864B2 JP 3163864 B2 JP3163864 B2 JP 3163864B2 JP 22649493 A JP22649493 A JP 22649493A JP 22649493 A JP22649493 A JP 22649493A JP 3163864 B2 JP3163864 B2 JP 3163864B2
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ink
storage chamber
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pressure
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淳 高木
淳一 吉田
和之 小田
義彦 藤村
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
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Publication date
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Priority to US08/602,325 priority patent/US6007191A/en
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置において、記録ヘッドにインクを供給するインク供給
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録装置において
用いられているインク供給機構としては、例えば、特開
昭63−87242号公報に記載されているように、記
録ヘッドに連通接続されるインクタンク内部全域にイン
ク吸収体を装填し、このインク吸収体にインクをあらか
じめ含浸保持させておき、インク吸収体内のインクを記
録ヘッドに供給するようにしたものが知られている。イ
ンク吸収体としては、多孔質材料であるスポンジもしく
は繊維状材料であるフェルト等が持ちいられる。このよ
うなインク供給機構では、インクタンク内の容積の約4
0%〜60%のインク量しか使用することができず、使
用効率が低い。そのため、インクタンクの使用寿命を延
ばそうとすると、必然的にインクタンクが大型化してし
まい、小型化の要請に沿わないという問題があった。
【0003】また、上述の従来のインク供給機構では、
インク吸収体の毛細管力によってインクを保持するの
で、印字ヘッドに対する適正負圧を発生させている。そ
のため、インクが消費されるにつれてインク吸収体で保
持されるインク量が減少すると、インク水頭圧の減少か
ら、インク吸収体に含浸したインクに作用する負圧が徐
々に上昇し、記録ヘッドへのインクの供給が妨げられる
という問題が発生する。この現象が進行し、インクにか
かる負圧がある一定値以上になると、記録ヘッドの印字
ノズル部より気泡が逆流し、記録ヘッドにインクが供給
されない状態でインクの吐出動作が行なわれるため、吐
出不良によって記録画像に欠陥を生じ、画質の低下を引
き起こすという問題がある。この現象によっても、イン
クの使用効率は低下する。
【0004】このような問題を解決するため、例えば、
特表昭59−500609号公報、特開平1−1485
59号公報、特開平3−180357号公報等に記載さ
れたインク供給装置では、密閉したインクタンク内にイ
ンクのみを充填し、このインクタンクに一端が大気に解
放された毛細管を連通接続したり、小穴を設けたものが
提案されている。このインク供給装置によれば、インク
タンク内のインクが消費されるにしたがって、インクタ
ンク内の負圧が増加すると、毛細管や小穴を通じて空気
がインクタンク内に導入され、インクタンク内の負圧値
はほぼ一定に保たれ、インクタンク内のインクを記録ヘ
ッドに安定供給できる。
【0005】周囲環境が変化し、例えばインクタンク内
の上方空間の空気が膨張した場合には、インクタンク内
のインクは毛細管を逆流することになる。そのため、上
述の特表平59−500609号公報に記載されている
インク供給装置や、特開平1−148559号公報に記
載されているインク供給装置の一つ例においては、毛細
管のみを介して大気とインクタンクを連通しているの
で、逆流したインクが噴出する恐れがあり、問題であ
る。毛細管を長くすることも考えられるが、構造が複雑
となる。
【0006】特開平1−148559号公報に記載され
ている別のインク供給装置の例や、特開平3−1803
57号公報等に記載されているインク供給装置では、小
室を有しており、インクタンク内の上方空間の空気が膨
張した場合には、インクタンク内のインクが一時的に小
室側へ退避することにより、インクタンク内の圧力を低
下させるので、記録ヘッドからのインク漏れや、大気に
連通する毛細管や小穴からインクの漏れが生じる事態は
有効に阻止される。
【0007】しかし、これらの小室を有する構造のイン
ク供給装置では、小室が主インク室の下部に配置されて
いる。従って、インクタンク内部の圧力変動を緩和する
ために、主インク室から小室へ移動したインクが、再
度、主インク室に戻る際には、毛管力に打ち勝つととも
に、重力方向に逆らって移動させる必要がある。そのた
め、小室内のインクは、完全には主インク室へ移行しき
れず、小室に残留してしまう。すなわち、この残留した
インクの量だけ、体積効率を低下させることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、インク供給性能の安定化、
および、周囲環境変化による影響の抑制を実現するとと
もに、インクの収容効率を高めたインク供給装置を提供
することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、インクジェッ
トヘッドに連通接続されインクをインクジェットヘッド
へ供給するインク供給装置において、前記インクジェッ
トヘッドに連通しインクが収容される主インク収容室
と、該主インク収容室の側方に隣接して配置され前記主
インク収容室と連通孔を介して下部空間で連通しかつ上
部側に大気連通口が開設された副インク収容室と、該副
インク収容室の内部に配置され少なくとも側方が前記副
インク収容室の内壁に密着するべく配置されたインク吸
収部材と、前記副インク収容室の連通孔を覆うように設
けられ、メニスカスを形成し且つ気泡を発生するメニス
カス形成部を有することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明は、インクジェットヘッドに
連通接続されインクをインクジェットヘッドへ供給する
インク供給装置において、前記インクジェットヘッドに
連通しインクが収容される主インク収容室と、該主イン
ク収容室の側方に隣接して配置され前記主インク収容室
と連通孔を介して下部空間で連通しかつ上部側に大気連
通口が開設された副インク収容室と、該副インク収容室
の内部に配置され少なくとも側方が前記副インク収容室
の内壁に密着するべく配置されたインク吸収部材と、前
記副インク収容室の連通孔を覆うように設けられたメニ
スカス形成部と、前記メニスカス形成部の下面に接し前
記主インク収容室と連通する下部空間内に延在するイン
ク誘導部を有することを特徴とするものである。前記イ
ンク誘導部は、一端が前記メニスカス形成部に接触し、
他端が前記主インク収容室と連通する下部空間の底部に
接触しているように構成することができ、また、前記イ
ンク誘導部は、前記連通孔より断面を小さく形成され、
前記メニスカス形成部に前記インク誘導部と非接触の領
域を形成するように構成することもできる。
【0011】さらに、前記メニスカス形成部は、網目状
体、あるいは、多孔質体により構成することができ、前
記主インク収容室と前記インクジェットヘッドの間に前
記メニスカス形成部よりも濾過精度の高いフィルタを配
置することもできる。
【0012】
【作用】本発明によれば、主インク収容室と副インク収
容室を有し、副インク収容室の内部にインク吸収部材を
挿入しているので、インクが外部に漏れることなく、内
部の負圧を制御でき、インクジェットヘッドにかかる負
圧を所望範囲内に保持させることができる。
【0013】副インク収容室内のインク吸収部材は、初
期段階において毛細管現象により吸収部材の保持能力限
界までインクを吸収させておくことができ、インク室と
して機能する。大気連通口が上部に有り、副インク収容
室内に密着して挿入されたインク吸収部材の下部空間に
て主インク収容室と連通するため、記録ヘッドにおける
インクの消費に伴い発生した負圧により、副インク収容
室内のインクが主インク収容室へと移動する。副インク
収容室内のインクがほとんどなくなった時点で、メニス
カス形成部から気泡が発生し、下部空間を介して主イン
ク収容室へ気泡が供給されることにより、主インク収容
室内の負圧の上昇を抑える。これにより、常に記録ヘッ
ドに適度な負圧が発生し、良好な印字を補償することが
できる。
【0014】さらに、周囲環境が変化し、主インク収容
室内の圧力が上昇した場合には、副インク収容室へイン
クが流れ込むことにより、主インク収容室内の圧力をほ
ぼ一定に保つことができる。このような場合でも、副イ
ンク収容室内に流れ込んだインクは、インクの消費によ
る圧力の低下により、主インク収容室内に移動するの
で、副インク収容室内に残留するインク量を低減でき、
体積効率を上昇させることができる。
【0015】前記メニスカス形成部は、網目状体、ある
いは、多孔質体により構成することにより、網目あるい
は多孔質体の孔の部分にインクのメニスカスを形成させ
ることができ、この表面張力により大気圧との所望の差
圧にて気泡を発生させ、主インク収容室をほぼ一定の負
圧に保つことができる。
【0016】メニスカス形成部において発生した気泡等
により、メニスカス形成部の両面が空気の層に接して
も、インク誘導部により、インクを吸い上げてメニスカ
ス形成部に供給するので、常にメニスカス形成部がイン
クにより濡れた状態に保持され、メニスカス形成部にお
けるインクの表面張力により、主インク収容室内の負圧
をほぼ一定に保つことができる。また、インクが少なく
なってメニスカス形成部より液面が低下しても、同様
に、メニスカス形成部をインクで濡れた状態に保持する
ことができ、インクの残留量を低減できる。
【0017】前記インク誘導部は、一端が前記メニスカ
ス形成部に接触し、他端が前記主インク収容室と連通す
る下部空間の底部に接触するように構成することによ
り、インクが残りわずかになっても、インク誘導部によ
りインクがメニスカス形成部に供給され、メニスカス形
成部により主インク収容室内の圧力がほぼ一定に保たれ
るので、インクを使いきることができ、インクの利用効
率をさらに向上させることができる。
【0018】さらに、前記インク誘導部は、前記連通孔
より断面を小さく形成され、前記メニスカス形成部に前
記インク誘導部と非接触の領域を形成することにより、
この領域において気泡を発生させることができ、生成さ
れた気泡を下部空間へスムーズに移動させることができ
るようになる。
【0019】また、前記主インク収容室と前記インクジ
ェットヘッドの間に前記メニスカス形成部よりも濾過精
度の高いフィルタを配置することにより、周囲環境の変
化した場合における前記吸収部材、メニスカス形成部、
インク誘導部等による圧力の調整を促進し、インクジェ
ットヘッドからのインクの流出を防止することができ
る。
【0020】
【実施例】図1は、本発明のインク供給装置の一実施例
を示す断面図、図2は、副インク室の下部の拡大図であ
る。図中、1はインクジェットヘッド、2はインクタン
ク、3はインク、4は主インク室、5は連通路、6は副
インク室、7は連通孔、8は大気連通孔、9は吸収部
材、10はメニスカス形成部、11はインク誘導部、1
2は供給路である。この実施例では、インクジェットヘ
ッド1とインクタンク2とが一体に構成されている。イ
ンクジェットヘッド1の周囲には、ヘッド自身が取り付
けられた図示しないヒートシンク、インクジェットヘッ
ド1に電気信号を供給する図示しないプリント配線基板
等が存在している。インクジェットヘッド1には、図示
しない多数のノズルが高密度で形成されている。例え
ば、128個のノズルを300spiの密度で形成する
ことができる。各ノズルには、通電によって気泡を発生
させ、インク滴を噴射するための図示しない発熱体が設
けられている。図1において、インク滴の噴射は下向き
に行なわれる。
【0021】インクタンク2の内部は、主インク室4
と、副インク室6に分けられている。インクタンク2の
筐体は、剛性を持ち、長期のインク保持を可能にするた
め、耐インク性の良い材料が選択される。主インク室4
には、インクのみが収容される。主インク室4から供給
路12を介してインクジェットヘッド1へインクが供給
される。
【0022】副インク室6の下部には、連通孔7が設け
られており、連通路5を介して主インク室4と連通して
いる。連通孔7の断面形状としては、円形、楕円形、多
角形、星形、十字形、スリット形状等、種々の形状とす
ることができる。連通路5の上壁は、平らに構成しても
よいが、図示するように、主インク室4に向かって次第
に高くなるように斜めに構成することにより、連通孔7
に発生した気泡をスムースに主インク室4へ移動させる
ことができる。副インク室6の内部には、吸収部材9が
配置されている。吸収部材9の材料としては、2次元構
造を持つ繊維状材料、3次元構造を持つ多孔質体材料、
繊維状材料を3次元状に紡績したフェルトおよび不織布
材料等を使用することができる。具体的には、例えば、
ポリエステル繊維を一方向に束ねた中綿材を使用するこ
とができる。この中綿材としては、例えば、密度(=重
量/体積)が800g/m3 のポリエステルフェルトを
用いることができる。また、体積密度は、5%〜15%
の間のものを用いることができ、流体抵抗、毛細管力の
観点からこの程度の値のものを用いるのが望ましい。な
お、材料の構成はポリエステル繊維に限定されるもので
はなく、適度な毛細管力を有し、インク耐性のある材料
であれば、例えば、ポリウレタン、メラミンフォーム等
の多孔質性部材や、1次元、2次元状の繊維構造体など
も用いることができる。
【0023】副インク室6の上部には、吸収部材9と大
気連通可能な、大気連通孔8が設けられている。この実
施例では、大気連通孔8の径は、吸収部材9の孔もしく
は繊維間の隙間より大きく構成されている。吸収部材9
は、その上部で大気と連通し、大気圧解放されている。
吸収部材9内のインクは大気圧により押され、また、吸
収部材9の下方から負圧により主インク室側へ引き出さ
れるため、効率よく吸収部材9のインクを使用すること
ができる。このとき、吸収部材9の毛細管力により、主
インク室4内の負圧は一定に保たれる。大気連通孔8か
らインクが飛び出さないように、インクは通さず、空気
を透過させるシートを大気連通孔8に設けることも可能
である。または、大気連通孔8を、インクが流出しない
微細孔を多数配すことにより構成することもできる。吸
収部材9の周囲は、副インク室6の内壁に密着するよう
に挿入されている。この目的は、大気連通孔8から導入
される空気が、副インク室6の内壁に沿って侵入するこ
とを避けるためである。
【0024】メニスカス形成部10は、連通孔7を覆う
ように、また、吸収部材9の底部に接触すべく配置され
ている。例えば、吸収部材9の底面より数ミリだけ突出
するように設置することもでき、その場合には、メニス
カス形成部10に吸収部材9が圧接され、メニスカス形
成部10の表面は吸収部材9に没入した状態となり、さ
らに良好な流体的接合が得られる。メニスカス形成部1
0は、金網や樹脂性の網等の網目状体や、多孔質体等を
用いることができる。網目状体の具体例としては、金属
メッシュフィルタや、金属繊維、例えば、SUSの細線
をフェルト状にし、さらに、圧縮焼結させたものを基材
としたフィルタ、エレクトロフォーミング金属フィルタ
等を使用することができる。また、樹脂繊維の編み物で
あるフィルタや、レーザビーム加工、電子ビーム加工等
による高精細な穴径を有するフィルタを用いることがで
きる。メニスカス形成部10は、吸収部材9に熱融着し
た構成とすることが可能である。
【0025】吸収部材9内にインクが吸収されていると
きは、インクはメニスカス形成部10を通過して主イン
ク室4に移動する。メニスカス形成部10は、吸収部材
9にインクがなくなった場合でも、主インク室4への不
要な空気の侵入を防ぐ。さらにインクが消費されると、
大気連通孔8から入って来た空気は、吸収部材9を通過
し、主インク室4内の負圧の増加により、吸収部材9に
密着したメニスカス形成部10の目に張っているインク
の液面を押し、表面張力に打ち勝ってこれを通過し、気
泡となる。発生した気泡は、連通孔7を通り、主インク
室4へ移動する。気泡が発生する際の圧力(バブルポイ
ント圧)は、メニスカス形成部10の濾過精度に依存す
るが、この濾過精度を最適にすることによって、主イン
ク室4内の負圧、すなわち、インクジェットヘッド1へ
のインクの供給圧を一定に保つことができる。メニスカ
ス形成部10の濾過精度としては、例えば、70μm程
度のものを使用することができる。メニスカス形成部1
0は、その濾過精度よりも大きいゴミ等を除去する働き
もある。
【0026】図3は、メニスカス形成部10に用いるこ
とのできる網目状体の一例の説明図である。メニスカス
形成部10として金網を用いる場合、その金網の織り方
には種々の方法がある。図3には、畳綾織(Twill
ed Dutch Weave)の金網の織り方を示し
ている。畳綾織は、太い縦線を用い、横線は相接し、縦
線を2本ずつ乗り越えるように織られている。図3
(A)のように、正面からみると、横線が相接している
ので、透視することはできな。しかし、斜めにみると、
図3(C)に示すように、裏から表または表から裏へ斜
めに走る横線と、隣接するまっすぐ伸びる横線、およ
び、縦線により、三角形の目開きが存在する。この三角
形の目開きをインクが通過し、また、この部分で気泡が
発生する。このように、畳綾織の金網は、目を細かく織
ることができ、目がそろっており、均一な気泡を発生さ
せることができる。また、同じ濾過精度を有する他の金
網に比べ、機械的強度が大きく、丈夫であるという特徴
を有している。通常、このような金網は、通常は濾過に
用いられるが、本発明では、濾過の他に、上述のよう
に、気泡発生による圧力の調整という働きをも兼ね備え
ることになる。
【0027】図4は、畳綾織の金網の特性の説明図であ
る。図中、Aで示した畳綾織の金網では、濾過粒度が1
0μm程度であり、液体抵抗平均差分は、10.3×1
4g/cm4 s、圧力損失は4.2cmH2 O程度で
ある。また、Bで示した畳綾織の金網では、濾過粒度が
5μm程度であり、液体抵抗平均差分は、56.1×1
4 g/cm4 s、圧力損失は23.1cmH2 O程度
である。このように、液体抵抗及び圧力損失は、用いる
金網の目の荒さにより変化するので、ヘッドにかかるイ
ンク圧などを考慮して、最適な目の金網を用いれば良
い。
【0028】図1、図2に戻り、インク誘導部11は、
メニスカス形成部10と接し、連通孔7を通して下部へ
伸びている。メニスカス形成部10の下面に気泡が溜
り、空気の層ができてしまったり、あるいは、主インク
室4内のインクが減少し、連通路5の径よりもインクの
液面が低下すると、メニスカス形成部10は両面とも空
気にさらされることになる。しかし、主インク室4内の
圧力は負圧に保つ必要があるため、このような場合でも
メニスカス形成部10にインクの液面を形成する必要が
ある。そのため、インク誘導部11は、連通路5の底部
よりインクを吸い上げ、メニスカス形成部10に供給す
ることにより、メニスカス形成部10を濡れた状態に保
ち、主インク室4内の負圧を保つことができる。インク
誘導部11の下面を連通孔7の底部、すなわち、連通路
5の底部に接触するまで伸ばしておくことにより、イン
クを使いきるまで、最良の状態を維持することができ
る。インク誘導部11は、毛細管力によりインクをメニ
スカス形成部10へ上げることができる材料が用いら
れ、例えば、ポリエステル繊維を一方向に束ねた中綿材
や、ポリウレタン、メラミンフォーム等の多孔質性部
材、2次元、3次元状の繊維構造体等を使用することが
できる。形状は任意であり、スリット状や、直方体、三
角柱などの角柱、円筒形状、楕円柱状であってもよい。
また、図2に示したように、メニスカス形成部10の開
口寸法よりもインク誘導部11の断面寸法を小さくする
ことにより、インク誘導部11の周囲に隙間Aを設けて
いる。これにより、メニスカス形成部10で発生した気
泡の主インク室4への移動を容易にすることができる。
隙間Aは、幅0.5mm以上が望ましい。インク誘導部
11は、メニスカス形成部10に直接取り付ける構成と
したり、あるいは、連通孔7の側壁からリブにより固定
される構成とすることもできる。
【0029】このような構成のインク供給装置の体積効
率について説明する。この実施例においては、主インク
室4と副インク室6の容積比を1:1に設定し、インク
タンク2内部の初期状態は主インク室4内が100%イ
ンクで満たされている。一方、副インク室6内部は、吸
収部材9が含浸可能なインク量が充填されている。イン
ク吸収部材9の材料として、例えば、ポリエステル繊維
を一方向に束ねた中綿材を使用することができる。この
材料を使用した場合、インク保液効率(=インク充填量
/全インク室内容積)は約80%である。また、副イン
ク室6のインク使用効率(=供給可能インク量/インク
充填量)は約70%である。一方、主インク室4内のイ
ンク保液効率(=インク充填量/インク吸収部材体積)
は約100%であり、インク使用効率(供給可能インク
量/インク充填量)も約100%である。従って、イン
クタンク2の体積効率(=供給可能インク量/全インク
室内容積)は約78%となる。このように、本発明のイ
ンク供給装置は、インクの使用効率が非常に良い。
【0030】主インク室と副インク室の大きさは、上述
のような1:1の容積比でなくともよく、大きさはイン
ク量などに基づき、決定すれば良い。このとき、後述す
るように、主インク室4の上部に形成される空気層が、
気温の上昇や気圧の低下などのために膨張した場合に、
主インク室4内の負圧を保つために必要な量のインクが
副インク室6内の吸収部材9に蓄えられるので、吸収部
材9の体積はこのとき蓄えられるインク量を勘案して設
定する必要がある。
【0031】また、主インク室と副インク室の位置関係
は、図1に示したように、インクタンクを2つに仕切っ
たような形状の他、副インク室の2方または3方を主イ
ンク室が囲むような形状や、副インク室が主インク室内
に島上に配置されている構成であってもよい。これらの
構成では、インクタンクの側面の全部または一部を透明
体で構成することにより、主インク室内の液面をどの方
向からでも確認することが可能となる。確認の方法は、
視認や、光センサなどによる方法を用いることができ
る。
【0032】本発明のインク供給装置の動作を説明す
る。上述の図1に示した状態がインク充填時を示してい
る。この状態において、インクタンク2には、吸収部材
9の内容積の約80%、主インク室4の内容積の100
%にインクが充填されている。インクジェットヘッド1
におけるインク圧力は、例えば、−20mmH2 Oとす
ることができる。このインク圧力は、吸収部材9の毛細
管力により実現され、インクが保持されている。使用開
始時の状態としては、インク使用効率上の観点から、で
きる限りインクタンク2内にインクを満たすことが望ま
しいが、吸収部材9の毛細管力によって負圧を発生させ
るために、吸収部材にはある程度のインク未充填部分が
必要である。使用前には、インクジェットヘッド1のノ
ズル部および大気連通孔8には機密シールを貼っておく
ことができる。この状態で、パッケージングされてい
る。
【0033】印字が始まると、インクジェットヘッド1
においてインクが消費され、消費されたインクの量だ
け、主インク室4から供給路12を介してインクがイン
クジェットヘッド1に補給される。それに伴って、吸収
部材9がインクを保持している間は、吸収部材9内のイ
ンクが連通路5を介して主インク室4へ移動し、大気連
通孔8から徐々に空気が吸収部材9内に広がってゆく。
【0034】図5は、インクの消費の過程の説明図であ
る。図5(A)は、インクが消費され、空気がメニスカ
ス形成部10上に到達した状態を示している。この状態
となるまで、メニスカス形成部10によって主インク室
4への空気の侵入が防止される。そのため、吸収部材9
内のインク残量を少なくすることが可能である。この時
点で、インクと空気の接するメニスカスがメニスカス形
成部10上に形成される。メニスカス形成部10の上面
に空気が接触した状態でも、メニスカス形成部10の濾
過精度が吸収部材9よりも細かいために、空気はメニス
カス形成部10上にトラップされたままインクの移動が
続く。
【0035】さらにインクが消費されるに従って、イン
ク水頭圧の減少から、徐々に負圧が増大し、ある一定の
負圧値(メニスカス形成部10の濾過精度によって決定
されるフィルタとインクのバブルポイント圧)がメニス
カス形成部10に加わると、メニスカス形成部10上に
形成されているインクのメニスカスを通して空気が細か
な気泡となって発生する。発生した細かな気泡は、隣接
して発生した細かな気泡や、後続の気泡などと合体し、
大きな気泡となりながら、連通路5を通って、主インク
室4の内部に移動する。このとき、連通路5の上壁が主
インク室4に向かって斜めに形成されているので、気泡
はスムースに連通路5内を移動して主インク室4に達す
る。気泡発生時の圧力(バブルポイント圧)は、メニス
カス形成部10の濾過精度に依存するが、この濾過精度
を最適にすることによって、これ以後のインクジェット
ヘッド1へのインクの供給圧を一定に保つことができ
る。主インク室4に移動した気泡は、主インク室4の上
部に溜まることになる。この状態を図5(B)に示して
いる。
【0036】このときのメニスカス形成部10における
気泡の発生過程について説明する。図6は、畳綾織の金
網における気泡の発生の過程の説明図である。メニスカ
ス形成部10として、図3に示した畳綾織の金網を用い
た場合を例に説明する。図3(C)に示したように、畳
綾織の金網では、三角形の目開きを有している。この部
分がインクで濡れた状態であると、インクの表面張力に
よりインクの膜が形成される。金網の両面の圧力がバラ
ンスしている間は、図4(A)に示すように、インク膜
は平坦となっている。図4において、金網の表面側の圧
力が低下すると、圧力差により、金網の裏面の空気がイ
ンク膜を押し、図4(B)に示すように凸状になって来
る。さらに金網の表面側の圧力が低下すると、図4
(C)に示すように、凸状部がせり出し、ついには、図
4(D)に示すように、気泡となってインク内に分離す
る。この時点で、気泡の体積分だけインク内の圧力が上
昇し、金網の表面側の圧力の低下を打ち消すので、イン
ク膜は平坦となる。インク内に分離した気泡は、近くの
目から同様に発生した気泡と合体し、大きな気泡となり
ながら、主インク室4へと移動する。
【0037】図5に戻り、さらにインクが消費される
と、インクの液面が連通路5を満たさなくなる。この状
態を図5(C)に示す。この状態では、メニスカス形成
部10の両面が空気にさらされることになる。しかし、
インク誘導部11がインク内に浸っているので、インク
誘導部11の毛細管現象によってインクがメニスカス形
成部10へ上げられ、メニスカス形成部10が濡れた状
態に保たれる。そのため、メニスカス形成部10には、
インクの膜が形成され続け、気泡発生による主インク室
4の圧力の保持動作は有効に作動する。この状態から、
主インク室4内のインクが完全になくなるまで、インク
ジェットヘッド1へのインクの供給圧は一定に保たれ
る。よって、高効率のインク供給装置を実現できる。
【0038】このように、メニスカス形成部10は、常
にインクに浸漬しているため、気泡発生開始後、インク
がなくなるまで、メニスカス形成部10上に形成されて
いるインクのメニスカスが破壊されることはなく、主イ
ンク室4内の負圧はほぼ一定に保たれる。
【0039】図7は、インク量に対するインクジェット
ヘッドにおけるインク圧力の関係の説明図である。イン
クジェットヘッドにおけるインク圧力の変動は、ノズル
からのインクの噴射特性に影響を与えることとなる。図
7では、図1に示した本発明の実施例のインク供給装置
を用いて計測したインク量に対するインクジェットヘッ
ドにおけるインク静圧とインク動圧の変動を太線および
太い点線で示している。インク静圧とは、印字を行なっ
ていないときの圧力のことである。この圧力は、吸収部
材またはメニスカス形成部の毛管力が発生する圧力と、
インクの液面からの水頭圧によって発生する。また、イ
ンク動圧は、インクの流量と流路系の流体抵抗によって
発生する圧力損失と、インク静圧の和だと考えることが
できる。図中のインク動圧の測定は、ベタ印字時のもの
である。
【0040】また、図7には、計測で用いた本発明の実
施例のインク供給装置と同寸法であり、従来のインク吸
収体を内容積全部に装填したインクタンクを使用して、
同様に計測した。このときのインク量に対するインク静
圧とインク動圧の変動を、比較のために細線および細い
点線で示した。
【0041】図7を参照すると、流路系の流体抵抗によ
って発生する圧力損失、すなわち、実線と破線の差につ
いては、両者間に大きな差は認められないが、インク静
圧についてはかなり異なっている。まず、本発明の実施
例の方が、インクの初期充填量が多くなっているが、こ
れは、インクタンクにより多くのインクを充填できるた
めである。
【0042】また、従来のインクタンクでは、インク残
量の減少にほぼ比例して、インク静圧が上昇してしまっ
ている。これは、インクのヘッド面からの水頭圧が減少
してしまうためである。しかし、本発明の実施例の場合
には、始めのうちは同じような傾きでインク静圧の上昇
が見られるが、吸収部材からインクが消費され、メニス
カス形成部から気泡が発生するようになると、インク静
圧は一定となる。このときのインク圧は次の式のように
表されると考えられる。 Phead=Pair−4γcosθ/D+ρ・g・h2 ここで、Pheadはインクジェットヘッドにおける圧力、
Pair は大気圧、γはインクとメニスカス形成部との界
面張力、θはぬれ角、Dはメニスカス形成部の空隙径、
ρはインクの密度、gは重力加速度、h2はメニスカス
形成部のインク液面からインクジェットヘッドまでの高
さである。この式の1項目と2項目は、大気圧と、メニ
スカス形成部によって決まる。3項目のインクのヘッド
面からの水頭圧も、高さh2が一定となるために一定値
となるので、インク静圧は一定となる。その結果、イン
クの流量と流路系の流体抵抗によって発生する圧力損失
とインク静圧の和であるインク動圧も一定となって、使
用可能インク量の多い効率的なインク供給装置を実現し
ている。
【0043】この例では、インクジェットヘッドでの負
圧値が、125mmH2 Oを超過すると、インクのリフ
ィルが阻害されて、ノズルから吐出されるインク滴量の
減少を引き起こし、かすれと呼ばれる印字画質の低下を
起こすことが判明している。このことから、本発明の実
施例では、インク残量の変化に対して、インク圧は適正
な範囲に保たれており、インクを使いきるまで良好な印
字が可能である。
【0044】ところで、外気圧が変動したり、また、外
気温が変動するなど、周囲の環境が変化する場合があ
る。まず、主インク室にインクが満杯に充填されてお
り、副インク室からインクを供給しているときには、大
気連通孔から吸収部材が受ける大気圧と、インクジェッ
トヘッドのノズルの先端が受ける大気圧が同じであるの
で、大気圧が変化しても圧力バランスは崩れず、影響は
少ない。
【0045】次に、主インク室内に空気の層が形成され
ている場合を考える。図8、図9は、周囲環境の変化に
よるインクタンク内部の状態の説明図である。図中、1
3は空気層である。外気圧が下降するとき、または外気
温が上昇する際には、主インク室4の上部の空気層13
の体積が膨張するために、主インク室4内の負圧値が相
対的に小さくなろうとする。そのため、図8に示すよう
に、主インク室4内のインクは、連通孔7を介し、メニ
スカス形成部10を通過し、副インク室6内の吸収部材
9で吸収される。これにより、主インク室4内の圧力と
大気圧との差圧を保ち、かつ、インクは漏れることはな
い。
【0046】外気圧が上昇するとき、または外気温が下
降する際には、主インク室4の上部の空気層13が収縮
するために、主インク室4内の負圧値は相対的に大きく
なろうとする。この場合には、図9に示すように、イン
クの消費時と同様に、大気連通孔8から吸収部材9を通
過し、さらにメニスカス形成部10を通過し、連通孔7
を介して主インク室4内に空気が導入されることによっ
て、主インク室4の内部の差圧を一定に保つ。また、副
インク室6内にインクが存在するときは、インクの主イ
ンク室4内への移動が生じ、主インク室4内の負圧は保
たれる。どちらの場合も、インクが漏れることはない。
【0047】図10は、大気圧とインク静圧との関係の
説明図である。図1に示したインク供給装置を減圧チャ
ンバー内に設置し、周囲気圧を0.02気圧/hour
という変動速度で、徐々に減少させて行った。図10
は、このときのインクジェットヘッド1に生じるインク
負圧値の変化を示している。ただし、インクタンク2の
インク残量は、インクタンク2の内容積の40%で、主
インク室4内には、主インク室4の内容積の半分程度の
空気層13が形成されていた。この空気層は、図9を用
いて説明したように、空気がメニスカス形成部を通して
インク室内に移動することによって生じたものである。
【0048】減圧前の状態、すなわち、大気圧が1気圧
の状態におけるインクジェットヘッドのインク負圧値
は、60mmH2 Oの負圧となっている。周囲の大気圧
を徐々に減少させて行くと、相対的にインクタンク内部
の負圧値は小さくなって行く。このとき、上述したよう
に、主インク室4内の空気層13の圧力が相対的に増大
し、膨張するため、メニスカス形成部10の下に接して
設けられたインク誘導部11を通して、インクが主イン
ク室4から副インク室6内に移動を開始し、移動したイ
ンクは吸収部材9に吸収される。インクが再び吸収部材
9に供給されることによって、インクとの界面張力は、
吸収部材9の繊維間空隙径によって定まることになる。
このとき、図7に示した気泡発生開始前のインク静圧曲
線に従い、副インク室6内のインク量に対応したインク
負圧値がインクジェットヘッド1に作用すると考えられ
る。
【0049】図10では、大気圧が0.8気圧となるま
では、主インク室4から副インク室6へのインクの移動
が起こることによって、インクジェットヘッド1は負圧
値が20mmH2 O以上に保たれている。大気圧がこれ
以下に低下すると、副インク室6に移動したインク量
は、吸収部材9が負圧を保持できる量を越え、負圧を保
持できなくなってインクジェットヘッド1の負圧値は急
激に低下し、インクリークを発生してしまう。このと
き、吸収部材9のインク保持可能な容量を増加させるこ
とにより、インクリークが発生する大気圧をさらに引き
下げることができる。このように、主インク室4と副イ
ンク室6内の吸収部材9との容積比を変化させることに
よって、外気圧変動、外気温変動に対する耐性が変化す
る。
【0050】上述した体積効率の説明では、主インク室
4と副インク室6の容積比を1:1とした。また、副イ
ンク室6内の吸収部材9のインク保液効率は100%で
はなく、例えば、80%程度である。そのため、インク
供給装置の体積効率を考えると、吸収部材9の容積は小
さい方がよい。しかし、上述した大気圧の変動を考慮し
た場合、吸収部材9の容積が大きい方が大気圧の変動を
吸収する能力が高くなる。そのため、主インク室4と吸
収部材9の容積は、インク使用効率と、外気圧や外気温
の変動に対する耐性の双方の観点から鑑みて決定する必
要がある。
【0051】主インク室4と副インク室6の容積比を、
ある条件のもとで試算してみる。ここでは、大気圧が低
下する場合、および、周囲の温度が上昇する場合につい
て考える。この逆の場合には、主インク室4内の空気層
13が収縮し、通常のインクの消費時と同様にして負圧
が保たれるので問題はない。以下の説明では、大気圧の
変動を0.15気圧以内、温度の変動を25℃〜70℃
とする。また、主インク室4の容積をX,副インク室6
内の吸収部材9の容積をYとする。
【0052】初期状態における静圧を、インクジェット
ヘッド1において50mmH2 Oと仮定する。また、1
気圧=10332mmH2 Oである。インクジェットヘ
ッド1の静圧が負となったときにインクリークが発生す
るとすれば、インクリークが発生するまでの大気圧の変
化分は、初期負圧の緩和に費やされるので、大気圧の変
化量は、 0.15−0.005=0.145(気圧) である。この後の変化は、定圧体積変化であると考える
ことができ、P・V=nRT=const.(ただし、
Pは気圧、Vは体積、Rは気体定数、Tは絶対温度)で
あると仮定し、インクリーク量はこの体積変化分に相当
すると考える。ここで、変化後の体積をV’、変化分を
△V’とすると、 V’=1.145V △V’=0.145V である。
【0053】また、温度変化分(25℃(T)から70
℃(T’))も、体積膨張に寄与するから、変化後の体
積をV”、変化分を△V”とすれば、 V”=(T’/T)V=(343/298)V=1.1
5V △V”=0.15V である。ここで、インクの蒸気圧の変化分も、体積膨張
に寄与するから、変化後の体積をV’’’、変化分を△
V’’’とすると、 △V’’’=(0.31−0.03)V=0.28V である。
【0054】気圧変化、温度変化、蒸気圧変化の影響を
考えたときの体積変化分を△V””とすると、 △V””=△V’+△V”+△V’’’=0.145V
+0.15V+0.28V=0.575V である。これから、体積膨張分は、0.575・Xとな
る。
【0055】また、主インク室4と吸収部材9の全容積
を1とすると、 X+Y=1 である。吸収部材9の実質使用効率を56%とすると、
体積膨張分を吸収するためには、次の2つの関係が成立
する必要がある。 0.56Y≧0.575X Y≧1.03X(ほぼ、=X) この関係式をほぼ満足し、なるべく主インク室4の容積
Xを大きくすると、主インク室4と吸収部材9の容積比
は、ほぼ50%:50%となる。このときのインク保水
効率H,使用効率S,実質使用効率Jは、 H=50+50×0.8=90(%) S=50+50×0.7=85(%) J=S×H=0.9×0.85=77(%) である。
【0056】上述の計算では、許容する気圧の変動を
0.15気圧、温度の変動を25℃から70℃としてい
るが、これらの許容値を変更する場合には、主インク室
4と吸収部材9の容積比は変化する。また、上述の計算
では、吸収部材9の保水能力や、インクジェットヘッド
1における静圧、インク蒸気圧など、種々の条件に対し
て仮定をおいているので、これらの諸条件に基づき、主
インク室4と吸収部材9の容積比を決定すればよい。
【0057】図11は、本発明のインク供給装置の別の
実施例を示す断面図である。図中、図1と同様の部分に
は同じ符号を付して説明を省略する。14はフィルタ、
15は緩衝部材である。この実施例は、図1で示した実
施例とほぼ同じであるが、主インク室4と供給路12の
間に、フィルタ14および緩衝部材15が挿入されてい
る。フィルタ14は、緩衝部材20の下部に配置されて
いる。これにより、インクジェットヘッド1へつながる
供給路12の最後での濾過が可能となり、ゴミ、異物の
除去を確実に行なうことができる。フィルタ14は、超
音波融着、もしくは、熱融着等により、供給路12の上
部に確実に接着される。フィルタ14の材料としては、
濾過粒度が5μmから50μmとなるようなメッシュ、
もしくは、SUSの細線をフェルト状にし、さらに、圧
縮焼結させたものを基材としたフィルタ等を使用するこ
とができる。濾過粒度は、インクジェットヘッド中のイ
ンク流路径よりも大きい異物をトラップする程度に決定
される。
【0058】メニスカス形成部10とフィルタ14の濾
過精度の関係は、メニスカス形成部10の方が粗となる
ように決められる。例えば、メニスカス形成部10の濾
過精度を70μmとし、フィルタ14の濾過精度を20
μmとすることができる。これは、インク供給装置を横
向きなどの状態で放置した際に、インク残量が少ないと
メニスカス形成部10、フィルタ14にインクが接触し
なくなることが考えられる。この状態で外気温の上昇、
または外気圧の減少が起こり、相対的に主インク室内の
負圧が小さくなったときには、インクの吸収部材9への
移動が起こらなくなり、主インク室の内圧はかなり高く
なってしまう。ここで、メニスカス形成部10における
メニスカスの発生する毛細管力の方が、フィルタ14、
または、インクジェットヘッド1のノズルに形成される
メニスカスの発生する毛細管力よりも小さくしておくこ
とにより、膨張した空気はメニスカス形成部10のメニ
スカスを破壊し、空気は副インク室6へ移動するため、
記録ヘッドノズルからインクがもれるなどということは
ない。なお、フィルタ14は、振動および衝撃、加速度
によりインクジェットヘッド1に過度な圧力変動を与え
ない効果も一部有する。
【0059】緩衝部材15は、例えば、吸収部材9と同
様のポリエステル繊維を一方向に束ねた中綿材等により
構成される。緩衝部材15は、供給路12の口部の直前
に配置することが望ましく、振動および衝撃、加速度に
よる圧力変動、および、インクジェットヘッド1のノズ
ル側からの気泡混入を防止する。
【0060】図12は、本発明のインク供給装置を用い
たインクジェット記録ユニットの概略構成図である。図
中、21はインクジェット記録ユニット、22はインク
タンク、23は放熱板、24は流路形成部材、25は基
板、26はインクジェットヘッド、27は配線パッド、
28は副インク室、29は大気連通孔、30は吸収部
材、31はインク誘導部、32は主インク室、33はメ
ニスカス形成部である。
【0061】インクジェット記録ユニット21は、イン
クタンク22、放熱板23、流路形成部材24、基板2
5、インクジェットヘッド26、配線パッド27等から
構成される。インクタンク22は、副インク室28、大
気連通孔29、吸収部材30、インク誘導部31、主イ
ンク室32、メニスカス形成部33により構成されてい
る。放熱板23上にインクジェットヘッド26と基板2
5を配置させ、ワイヤボンド等により電気的な接続を行
なう。図示しない記録装置本体からの電気信号の享受
は、基板25上の配線パッド27を介して行われる。基
板25上には、駆動回路などが配置されており、インク
ジェットヘッド26に設けられている発熱体の制御を行
ない、インクをノズルから吐出させる。一方、インクタ
ンク22からのインクの供給は、上述した通りである。
インクタンク22から供給されるインクは、流路形成部
材24により形成されたインク供給路を介して、インク
ジェットヘッド26に送られ、ノズルから吐出されて印
字が行われる。
【0062】図12に示したインクジェット記録ユニッ
ト21は、インクタンクとインクジェットヘッドが一体
に構成されており、本発明のインク供給装置を用いるこ
とによって、インク利用率の良い、コンパクトな記録ユ
ニットを構成することが可能となっている。このような
構成では、インクジェット記録ユニット21は記録装置
本体に着脱自在に構成される。そのため、インク切れと
ともに、インクジェットヘッドも交換することになる
が、使用可能なインク量も従来より多くできるので、交
換の間隔を長くすることができ、コストの低減、およ
び、廃棄物の少量化を図ることができる。もちろん、イ
ンクタンク部を別体として交換可能に構成することもで
きる。
【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、インクタンク内にインクを貯留するための主
インク室、吸収部材の入った副インク室を有し、また、
メニスカス形成部、インク誘導部を有することによっ
て、印字によるインクの消費に伴って発生するインク室
内の圧力低下に応じて、主インク室内へ空気を導入し、
インクジェットヘッドに作用するインク圧力の変動を適
正な値の範囲内にとどめ、常に良好な画質を得ることが
できる。また、副インク室内のインクを使いきることが
できるとともに、主インク室内のインクがわずかになっ
たときにも、主インク室内の圧力変動を発生させずに印
字を行なうことができ、インクの使用効率の向上を図る
ことができる。さらに、周囲環境の変化によって発生す
る主インク室内の圧力変化があっても、インク漏れがな
く、また、適正な圧力を維持することができるので、良
好な印字が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインク供給装置の一実施例を示す断
面図である。
【図2】 副インク室の下部の拡大図である。
【図3】 メニスカス形成部10に用いることのできる
網目状体の一例の説明図である。
【図4】 畳綾織の金網の特性の説明図である。
【図5】 インクの消費の過程の説明図である。
【図6】 畳綾織の金網における気泡の発生の過程の説
明図である。
【図7】 インク量に対するインクジェットヘッドにお
けるインク圧力の関係の説明図である。
【図8】 周囲環境の変化によるインクタンク内部の状
態の説明図である。
【図9】 周囲環境の別の変化によるインクタンク内部
の状態の説明図である。
【図10】 大気圧とインク静圧との関係の説明図であ
る。
【図11】 本発明のインク供給装置の別の実施例を示
す断面図である。
【図12】 本発明のインク供給装置を用いたインクジ
ェット記録ユニットの概略構成図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド、2 インクタンク、3 イ
ンク、4 主インク室、5 連通路、6 副インク室、
7 連通孔、8 大気連通孔、9 吸収部材、10 メ
ニスカス形成部、11 インク誘導部、12 供給路、
13 空気層、14 フィルタ、15 緩衝部材、21
インクジェット記録ユニット、22インクタンク、2
3 放熱板、24 流路形成部材、25 基板、26
インクジェットヘッド、27 配線パッド、28 副イ
ンク室、29 大気連通孔、30 吸収部材、31 イ
ンク誘導部、32 主インク室、33 メニスカス形成
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 義彦 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−238908(JP,A) 特開 平6−286160(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/175

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェットヘッドに連通接続されイ
    ンクをインクジェットヘッドへ供給するインク供給装置
    において、前記インクジェットヘッドに連通しインクが
    収容される主インク収容室と、該主インク収容室の側方
    に隣接して配置され前記主インク収容室と連通孔を介し
    て下部空間で連通しかつ上部側に大気連通口が開設され
    た副インク収容室と、該副インク収容室の内部に配置さ
    れ少なくとも側方が前記副インク収容室の内壁に密着す
    るべく配置されたインク吸収部材と、前記副インク収容
    室の連通孔を覆うように設けられ、メニスカスを形成し
    且つ気泡を発生するメニスカス形成部を有することを特
    徴とするインク供給装置。
  2. 【請求項2】 インクジェットヘッドに連通接続されイ
    ンクをインクジェットヘッドへ供給するインク供給装置
    において、前記インクジェットヘッドに連通しインクが
    収容される主インク収容室と、該主インク収容室の側方
    に隣接して配置され前記主インク収容室と連通孔を介し
    て下部空間で連通しかつ上部側に大気連通口が開設され
    た副インク収容室と、該副インク収容室の内部に配置さ
    れ少なくとも側方が前記副インク収容室の内壁に密着す
    るべく配置されたインク吸収部材と、前記副インク収容
    室の連通孔を覆うように設けられたメニスカス形成部
    と、前記メニスカス形成部の下面に接し前記主インク収
    容室と連通する下部空間内に延在するインク誘導部を有
    することを特徴とするインク供給装置。
  3. 【請求項3】 前記インク誘導部は、一端が前記メニス
    カス形成部に接触し、他端が前記主インク収容室と連通
    する下部空間の底部に接触していることを特徴とする請
    求項2に記載のインク供給装置。
  4. 【請求項4】 前記インク誘導部は、前記連通孔より断
    面を小さく形成され、前記メニスカス形成部に前記イン
    ク誘導部と非接触の領域を形成することを特徴とする請
    求項2に記載のインク供給装置。
  5. 【請求項5】 前記メニスカス形成部は、網目状体によ
    り構成されていることを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれか1項に記載のインク供給装置。
  6. 【請求項6】 前記メニスカス形成部は、多孔質体によ
    り構成されていることを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれか1項に記載のインク供給装置。
  7. 【請求項7】 前記主インク収容室と前記インクジェッ
    トヘッドの間に前記メニスカス形成部よりも濾過精度の
    高いフィルタを配置したことを特徴とする請求項1なし
    6のいずれか1項に記載のインク供給装置。
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