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JP3161279B2 - フィルム及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

フィルム及びそれを用いた磁気記録媒体

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Publication number
JP3161279B2
JP3161279B2 JP10243595A JP10243595A JP3161279B2 JP 3161279 B2 JP3161279 B2 JP 3161279B2 JP 10243595 A JP10243595 A JP 10243595A JP 10243595 A JP10243595 A JP 10243595A JP 3161279 B2 JP3161279 B2 JP 3161279B2
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JP
Japan
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film
modulus
elongation
magnetic recording
recording medium
Prior art date
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Application number
JP10243595A
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English (en)
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JPH08294975A (ja
Inventor
稔博 筑木
伸明 伊藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP10243595A priority Critical patent/JP3161279B2/ja
Publication of JPH08294975A publication Critical patent/JPH08294975A/ja
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Publication of JP3161279B2 publication Critical patent/JP3161279B2/ja
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非常に過酷な雰囲気下
においても安定な性能を有する、磁気記録媒体等のベー
スとして好適に用いられるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、ポリエス
テルフィルムに酸化物塗布型磁性層やメタル塗布型磁性
層を設けてなる磁気記録媒体が知られている。(例えば
特開昭61−26933、特開昭60−66319な
ど)。また芳香族ポリアミドについては長手方向と幅方
向のヤング率の異なるフィルムの磁気記録媒体への応用
例が特開昭62−62424に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、ビデオカメラの
屋外での使用の増加、あるいは小型化、記録時間の長時
間化の要請により、またコンピュータの外部メモリとし
て使用するため、薄膜で、過酷な条件での耐久性に優れ
た磁気記録媒体の要求が強くなってきている。
【0004】しかしながら、上記ポリエステルフィルム
ベースあるいは芳香族ポリアミドベースからなる磁気記
録媒体では、常温、通常湿度下では問題ないが高温、高
湿度条件下で使用すると走行性や、出力特性が悪化した
り、また、繰り返し走行においてドロップアウトが発生
するという問題が出てきている。これは基材フィルムの
耐熱性、耐湿性が不十分であったり、表面性、走行性が
十分ではないためであると考えられる。
【0005】また、芳香族ポリアミドフィルムは乾燥し
た雰囲気のもとでは耐熱性、剛性に優れるものの該フィ
ルムは吸湿により膨潤し寸法安定性に欠く上、高剛性な
フィルムを得るべく、高重合度化には酸クロリドとジア
ミンを用いた低温溶液重合法が有効であるが、該重合法
を用いたときには発生する塩酸や中和剤、溶解性改善の
ための添加剤等のイオン性不純物を多く含有することが
多いため、高温高湿度下においては大きく物性を低下す
る要因となりうる。
【0006】そこで、我々は鋭意検討し、基材の構成や
基材中の不純物の規制や特に高温下における機械特性を
規定することによって、素材本来の優れた耐熱性、高剛
性を活かし、高温高湿下、繰り返し走行などの厳しい条
件下でも走行性、出力特性の優れた磁気記録媒体に好適
なフィルムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、1
55℃の高圧水蒸気雰囲気中で4日間処理を行ったとき
の伸度保持率が60%以上であり、かつ20℃、相対湿
度60%における少なくとも一方向の引張りヤング率E
20と、80℃、相対湿度80%における同方向の引張り
ヤング率E80が、 E20≧700kg/mm 2 0.5≦E80/E20 を充たすことを特徴とする有機高分子体からなるフィル
ムである。
【0008】本発明のフィルムを構成する有機高分子体
は、155℃の高圧水蒸気雰囲気に4日間処理を行った
ときの伸度保持率が60%以上、好ましくは70%以
上、更に好ましくは80%以上であれば、特に制限はな
い。この伸度保持率が本発明の範囲を充たすことによっ
て高温、高湿下において長期間使用してもぜい化の無い
安定な製品とすることができる。
【0009】これら基材になりうるものとしては例え
ば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリアセテート、ポリアクリレート、ポリア
クリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアルキレ
ン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。中でも本
発明の要件である剛性を持つフィルムが得やすく、また
加工性に優れることからポリアミド、特に芳香族ポリア
ミドが好ましい。
【0010】ここで、芳香族ポリアミドとは、下記一般
式(I)および/または一般式(II) 一般式(I)
【化1】 一般式(II)
【化2】 (ここでAr1 、Ar2 及びAr3 は芳香核であり、ま
たR、R′及びR″はハロゲン基、ニトロ基、シアノ
基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコ
キシ基、トリアルキルシリル基から選ばれる官能基で、
l, m及びnは0〜4の整数。)で示されるものであ
り、一般式(I)および/または一般式(II)で表され
る繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、
70モル%以上からなるものがより好ましい。
【0011】ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 は、例え
ば、一般式(III )
【化3】 などが挙げられ、X、Yは−O−,−CH2 −,−CO
−,−SO2 −、−S−,−C(CH3 2 −等から選
ばれるが、これに限定されるものではない。
【0012】特性面からは上記の芳香環がパラ位で結合
されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは75
%以上を占める重合体が、フィルムの剛性が高く耐熱性
も良好となるため好ましい。
【0013】このパラ結合とは、芳香環における主鎖の
結合方向がパラ位に位置しているかあるいは2つ以上の
芳香環からなる残基において両端の主鎖の方向が同軸あ
るいは平行であることを意味する。このような芳香環の
例としては一般式(IV)のものを例示できる。
【0014】一般式(IV)
【化4】 また、該芳香族ポリアミドは、一般式(I)および/ま
たは一般式(II)で表される繰り返し単位を50モル%
以上含むものであって、50モル%未満は本発明を充た
す限りにおいて他の繰り返し単位が共重合、またはブレ
ンドされていても差し支えない。
【0015】また、該芳香族ポリアミドの伸度保持率を
向上せしめる為に、これらの芳香環上の水素原子の一部
を、一般式(I)及び/または一般式(II)において
R,R′,R″として表される、ハロゲン基(特に塩
素)、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基(特にメチ
ル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基などの置換基で置
換することを好ましく行うことができる。一般式(I)
あるいは一般式(II)におけるl, m及びnの値は任意
であるが、一般式(I)においては、l+mが1以上5
以下、好ましくは2以上4以下でかつl>0、m>0と
するのが実用的である。l+mが5を超えるとフィルム
が脆くなり好ましくない。また、一般式(II)において
はnが0以上2以下、好ましくは1以上2以下であるの
が実用的である。また、導入可能な置換基の中で、好ま
しく用いられる置換基としては、機械物性の低下がほと
んどないことから、塩素,メチル基,メトキシ基が挙げ
られ、耐湿熱性に優れ、伸度低下が少ないことから塩素
がより好ましい。必要以上にバルキーな官能基はかえっ
て他の重要な物性を損ねることとなり本発明の目的には
不適当である。
【0016】更に、芳香環への置換基の導入に際しアミ
ド基のオルト位に置換基を導入することは本発明の目的
を達するのに非常に重要である。すなわち、オルト位に
置換基を有すると伸度保持率の向上が認められる。この
割合は本発明の目的を達することができれば任意である
が、好ましくは総アミド基の40%以上、好ましくは5
0%以上、更に好ましくは60%以上に対し置換されて
いることが好ましい。
【0017】本発明で言う伸度保持率とは初期の伸度が
Er0%である試料を、純水と共に容器内に封入し、試料
管をオーブン中で155℃で4日間処理した処理後の伸
度をEr1%としたとき、(Er1/ Er0)×100(%)
で定義される値であり、60%以上であることが必要で
ある。この値が60%以上であって初めて高温高湿下で
の力学的安定性に優れ、好ましくは70%以上より好ま
しくは80%以上であるとより信頼性の高い製品を得る
ことができる。
【0018】また、伸度としても10%以上、好ましく
は20%以上、更に好ましくは30%以上であると靭性
に優れ、適度な柔軟性を持つため好ましい。
【0019】本発明の伸度保持率をもつ有機高分子体を
得るには、その基本骨格に基づく寄与もあるが、先述の
ように側鎖に置換基を導入する方法の他、含有不純物の
除去が有効である。とりわけ水溶液中で正あるいは負の
荷電を有するイオン性化合物による劣化の影響が大き
く、特に周期表のIA,IIA,VII B族、中でも塩基性
不純物としてIA,IIA族イオンの影響が大である。こ
こで塩基性不純物とはそのものの水溶液(あるいは上澄
み液)又は該イオン性化合物を空気中で強熱して得られ
る残渣の水溶液(あるいは上澄み液)がアルカリ性を呈
する化合物である。フィルムに含有される塩基性不純物
は3000ppm以下であることが好ましいが、磁気記
録媒体とするときには後に形成される磁性層への影響を
少なくできることから好ましくは100ppm以下、更
に好ましくは10ppm以下であると良い。フィルム中
の塩基性不純物量を減らす為には原料純度、添加剤の選
択、重合条件の選択が重要であるが、製膜工程において
も後述するような方法を用いて達成することができる。
【0020】本発明のフィルムの強度保持率については
好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、ヤ
ング率保持率については好ましくは70%以上、更に好
ましくは80%以上であると基材本来の特性を活かすこ
とができ、かつ製品設計上の余裕度を高く取ることがで
きるので好ましい。
【0021】また、本発明のフィルムを塩化メチレンで
抽出したときの抽出残渣は重量比にして0.2%以下で
あることが好ましい。塩化メチレンで抽出できる低分子
量成分等がフィルム中に多く残っていると高温高湿下で
析出しフィルム表面に形成され磁性層、その他の構成に
対し接着性が悪くなり剥離等の問題がある。
【0022】本発明のフィルムは20℃、相対湿度60
%における少なくとも一方向の引張りヤング率E20が、 E20≧700kg/mm 2 である必要がある。より好ましくはE20≧850kg/mm
2 、更に好ましくはE20≧1000kg/mm 2 である。本
発明を磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いようと
するとき、磁気記録媒体は磁気記録媒体の薄型化の要請
に応えて薄膜で使用されることが多いので、テープ走行
中、あるいはストップ/スタート時にかかるテンション
に耐えるために、高いヤング率(E20≧700kg/mm
2 )を持つ必要がある。ヤング率がこれより低いとテ
ープの伸びが起こり記録再生性が低下する。また、基材
フィルムが高いヤング率(E20≧700kg/mm 2 )を持
つことにより塗布層形成、バックコート層形成工程など
磁気記録媒体形成時にかかるテンションにも耐えること
が出来、加工上も有利である。
【0023】また、本発明のフィルムは20℃における
少なくとも一方向の引張りヤング率E20が、700kg/m
m 2 以上であれば、長手方向にテンシライズまたは幅方
向にテンシライズされても差し支えない。テンシライズ
の度合いは特に限定されないが、伸度、引き裂き抵抗力
等の特性を考慮に入れると、長手方向の引張りヤング率
EMDと幅方向の引張りヤング率ETDが、 0.5≦EMD/ETD≦2 の範囲であるのが実用的である。
【0024】更に本発明のフィルムは20℃、相対湿度
60%における少なくとも一方向の引張りヤング率E20
と80℃、相対湿度80%における同方向の引張りヤン
グ率E80が、 0.5≦E80/E20 である必要がある。より好ましくは0.6≦E80/E20
であり、更に好ましくは0.7≦E80/E20である。
0.5>E80/E20であると高温、高湿度下などでの使
用時に熱、湿度によりテープの剛性が低下し寸法変化が
起こり記録再生性が低下する。また、高温でのヤング率
低下が小さい(0.5≦E80/E20)と磁性層塗布後の
乾燥工程においてテープの寸法変化が抑えられるため、
加工上も有利である。
【0025】本発明のフィルムの厚みは用途にもよる
が、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10
μm、更に好ましくは2〜6μmであると良い。
【0026】本発明のフィルムの250℃における熱収
縮率は2%以下、好ましくは1%以下であることが好ま
しい。2%以上であれば加工時、例えば磁性塗料のキュ
アリング等による加熱等によって収縮ししわを生ずるた
め製品としての用をなさなくなる可能性が高い。
【0027】また、本発明のフィルムは加重下100
℃、10分間での寸法変化率は1%以下、好ましくは
0.5%以下であることが好ましい。1%以下にするこ
とによって温度変化あるいは緊張下におけるフィルムの
寸法変化が小さくでき、信頼性の高い製品を得ることが
できる。
【0028】また、本発明のフィルムの湿度膨張係数は
20×10-6(1/%RH )以下、好ましくは15×10-6
以下であると高湿下での寸法安定性が良好で特に磁気記
録媒体用途においてはデジタルデータのエラーを抑えた
り、ビデオテープでは良好な画質を得ることができ好ま
しい。
【0029】本発明のフィルムは積層されてなるもので
あっても良く、同一のポリマー種あるいは異種のポリマ
ー種から構成されていても差し支えない。また、上述の
特性は、積層フィルムとしたときにも満足することが好
ましい。
【0030】本発明は基材フィルム中に、様々目的で好
ましく粒子を含有させることができる。
【0031】このような粒子の種類としては、特に限定
されないが、例えば、SiO2 、TiO2 、TiN、A
2 3 、ZrO2 、ゼオライト、その他の金属微粉末
などの無機粒子やカ−ボンブラック、ゼオライト、その
他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリ
イミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒
子、テフロン粒子などの有機粒子を挙げることができ
る。
【0032】また、該フィルムに含有される粒子の含有
量は0.01〜40重量%、好ましくは0.05〜20
重量%であると良い。
【0033】本発明は磁気記録媒体用ベースフィルムと
して好ましく用いることができ、磁性体原料となる金属
あるいは金属化合物の種類は磁性層として、例えば鉄、
コバルト、ニッケル、クロムあるいはこれらの酸化物あ
るいは合金等を有する公知の強磁性層が形成できれば特
に限定されない。また磁性薄膜の形成方法についてはメ
ッキや真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティ
ング法等の真空薄膜形成技術や強磁性粉末を例えば、塩
化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポ
リウレタンプレポリマおよびポリイソシアネートよりな
るバインダーを用い磁性塗料として付与する湿式法を用
いることができる。この時バインダーは熱硬化性樹脂系
バインダーおよび放射線硬化系バインダーであることが
好ましく、その他添加剤として分散剤、潤滑剤、帯電防
止剤等を含有していてもよい。
【0034】また、該用途に用いるときには基材フィル
ムの表面としても、磁性層を設ける面の表面に設けられ
る微細突起高さが3〜100nmであることが好まし
く、更に好ましくは5〜70nmであると良い。上記範
囲より小さいときには、耐滑り性が悪くなり、耐スクラ
ッチ、耐削れ性を低下させる。一方、上記範囲より大き
いときには、ドロップアウトが増加する。更に、これら
微細突起は基材フィルム上に径として、0.01μm以
上のものが、104 〜108 個/mm2 存在することが
好ましい。微細突起径が0.01μm未満、あるいは微
細突起数が104個/mm2 未満である時には、耐滑り
性が悪くなり、耐スクラッチ、耐削れ性を低下させる。
また、微細突起数が108 個/mm2 を越えると、磁気
ヘッドとのあたりが悪くなり、S/N比の低下を起こ
す。
【0035】また、本発明は基材フィルムの任意の一面
の表面において高さ546nm以上の表面粗大突起個数
H2が、50個/100cm2 以下、より好ましくは3
0個/100cm2 以下、更に好ましくは20個/10
0cm2 以下であることが好ましい。50個/100c
2 を超えると磁気記録媒体としたときの表面性が悪化
し、ドロップアウトが発生し、高密度の磁気記録媒体と
して用いることができない。
【0036】また本発明のフィルムは上記した面の裏面
において高さ819nm以上の表面粗大突起個数H3
が、2〜100個/100cm2 、より好ましくは、2
〜70個/100cm2 、更に好ましくは2〜50個/
100cm2 であることが好ましい。2個/100cm
2 未満であると磁気記録媒体としたときのガイドロール
などとの接触抵抗が大きくなり、走行性が低下する。ま
た100個/100cm2 を超えると塗布工程における
カレンダー処理時あるいは磁気記録媒体としての使用時
に粗大突起が磁性層側の表面に影響を及ぼすことがあ
り、ドロップアウトの原因となって好ましくない。
【0037】更に、走行性の確保と言う観点から、さら
に先述の微粒子よりもモース硬度が小さく、かつ平均粒
径が0.3〜3μmの範囲にある粒子を0.01〜5重
量%の範囲で同時に含有すると、走行性が向上し、さら
に耐スクラッチ性、耐削れ性がより一層良好となる。
【0038】次に本発明フィルムの製造方法について具
体的に本発明の目的を最も好適に達成できるポリマー群
の中から芳香族ポリアミドを例に述べるが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0039】芳香族ポリアミドを得る方法は例えば、低
温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法な
どが挙げられるが、本発明には溶液系、特に低温溶液重
合法にての重合が高剛性な基材として得易いため適して
いる。
【0040】重合溶媒としては公知の溶媒例えばN−メ
チルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(D
MAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プ
ロトン性有機極性溶媒を用いる。この時重合溶媒中の水
分等の不純物は極力除かれていなければならず、水分率
は200ppm以下、好ましくは100ppm以下、更
に好ましくは50ppm以下であると良い。また、溶解
助剤として塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カルシウ
ムなどを加えても良い。次にジアミン及び酸クロリドを
添加する。芳香族ポリアミドの場合高重合度化のために
はジアミン及び酸クロリドの等量性は非常に重要である
が、重合度を調整する必要のある時は熱安定性に優れる
ことからジアミン成分を過剰に用いることが好ましく、
更にベンゾイルクロリド、無水フタル酸等を用いて末端
封鎖を好ましく行うことができる。
【0041】また、酸クロリドは水分その他の要因で分
解していることが多いが、本発明に用いる酸クロリドの
純度は99.0%以上の純度を有することが好ましい。
【0042】また、反応容器としてはなるだけ効率的に
撹拌できるものを用いることが好ましい。
【0043】また、ポリマ溶液は、単量体として酸クロ
リドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、こ
れを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオ
キサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエ
チルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ンなどの有機の中和剤が使用される。一般的にこれら中
和剤は磁性層を劣化せしめる要因となるが、後述するよ
うに含有不純物は製膜工程を適正化することで効果的に
除去できるのである。
【0044】上記の様な方法によって得られたポリマー
溶液は一様な重合の進行の結果、重合度が高くまた分散
度を小さくすることができ、数平均分子量を重量平均分
子量で除した値が本発明に好適な1.2以上3.5以
下、より好ましくは1.2以上2以下の範囲とすること
ができる。
【0045】これらポリマ溶液はそのまま製膜原液とし
て使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してから
上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製膜
原液を調製してもよいが無機系溶剤はそれ自身ポリマを
劣化せしめる可能性があるためなるだけ有機溶媒系で行
うべきである。またポリマ濃度は2〜40重量%程度が
好ましい。
【0046】本発明の要件である機械特性を持つ芳香族
ポリアミドフィルムを得るためにはポリマの固有粘度
(ポリマ0.5gを硫酸中で100mlの溶液として3
0℃で測定した値)は、0.5以上であることが好まし
い。
【0047】粒子の添加方法は、特に制限はないが、凝
集度の調整,粗大突起の出現を抑制するためには、例え
ば、粒子を予め10ポイズ好ましくは1ポイズ以下の溶
媒中に分散させる方法を挙げることができる。溶媒とし
ては、製膜時に用いるものと同一であることが好ましい
が、特に悪影響が見られないときには、他の溶媒を用い
て差し支えない。また、これら溶媒には分散助剤等の添
加物が分散に悪影響を及ぼさない範囲で用いられて構わ
ない。粒子の分散には撹拌分散器、ボールミル、超音波
分散器等を用い、粒子径、凝集度を調整する。
【0048】この分散された粒子は前記ポリマ溶液に混
合するが、混合にあたっては重合前の溶媒に添加あるい
は重合後に添加あるいはポリマ溶液調整時に添加しても
よく、さらにはキャスト直前でも構わないが、原液中に
均一に分散されていることが走行性の確保の点で重要で
ある。
【0049】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいづれの
方法で製膜されても差し支えないが、乾式法は不揮発性
の不純物を除去し得ないため一般的でない。以下に乾湿
式法を例にとって説明する。
【0050】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して
薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜
が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は例えば、
室温〜220℃、60分以内の範囲、好ましくは室温〜
200℃の範囲で行うことができる。またこの乾燥工程
で用いられるドラム、エンドレスベルトの表面欠点頻度
を制御することができ、例えば、径が30μm以上の表
面欠点頻度が0.001〜0.02個/mm 2 、好ましく
は0.002〜0.015個/mm 2 であればよい。乾式
工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて湿式工程
に導入されるが、湿式工程での不純物の脱離を効果的に
行うためには自己保持性を失わない範囲でフィルム中の
ポリマ濃度がなるだけ低いことが好ましく、50%以下
であれば容易に目的を達することができる。剥離したフ
ィルムは上記の湿式法と同様に脱塩、脱溶媒などが行な
われ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルム
となる。
【0051】この工程において湿式工程、延伸・熱処理
工程は重要な役割をもつ。湿式工程を制御することで、
伸度保持率劣化の原因物質を系外へ排出し、より好適な
フィルムとすることができる。
【0052】この工程には水を脱溶媒としても構わない
が、水と有機溶媒との混合媒を好適に用いることができ
る。この時有機溶媒としては水溶性であり、好ましくは
重合溶媒と同様、N−メチルピロリドン(NMP)、ジ
メチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒が好まし
く、組成比を変化させた複数の浴を用いることはより好
適に本発明の目的を達することができる。また、温度は
浴組成が適当であれば速度的メリットが高く、40℃以
上であればより容易に目的を達することができる。
【0053】また、好適な延伸・熱処理工程は、より秩
序だった高次構造を与え、伸度保持率及び熱収縮率の改
善に寄与する。延伸は延伸倍率として面倍率で1.1〜
8.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフ
ィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラック
スを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より
好ましくは1.3〜5.0あるいは最高延伸倍率の70
%以上である。この時なるだけ大きな延伸倍率をとるこ
とが伸度保持率向上に有効である。更に、200℃〜5
00℃、好ましくは250℃〜400℃の温度で数秒か
ら数分間熱処理を行うことで更に伸度保持率が向上す
る。また、延伸後は50℃/秒以下の速度で冷却するこ
とが好ましく行われる。
【0054】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族
ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加し
た後、積層する。さらに3層以上の場合も同様である。
これら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金
内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成してお
いてその上に他の層を形成する方法などがある。
【0055】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。
【0056】(1)伸度、ヤング率 インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて測定し
た。試験片は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度
は300mm/分である。また、E20、E80のサンプル
準備には恒温恒湿槽を用いそれぞれ48時間調温調湿し
たサンプルを槽から取り出し素早く測定した。
【0057】(2)伸度保持率 カットフィルム数枚を封管中に少量(但し155℃にお
いて液層を持つ)の水を加えて封をし、155℃のオー
ブン中で4日間処理処理を行った。次に室温に冷却後封
を開き、各物性は上記方法で測定した。各保持率は以下
の式で求めた。
【0058】(伸度保持率)=(処理後の伸度)/ (処
理前の伸度)×100 (%) (3)表面粗大突起個数(H2,H3) フィルム表面100cm2 の範囲を実体顕微鏡により偏
光下、異物を観測し、マーキングする。マーキングした
異物の高さを波長546nmで多重干渉計を用いて観測
し、干渉縞の数でチェックする。二重環以上のものの個
数をH2、三重環以上のものの個数をH3とした。
【0059】(4)熱収縮率 フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り、両端か
ら25mmの位置に印を付けて試長200mmの試験片
を作成し、これを250℃の雰囲気した10分間加熱し
放冷後の長さを測定して熱収縮率を次式によって算出し
た。
【0060】(試長(mm)- 加熱後の長さ(mm))/
(試長(mm))×100 (%) (5)塩基性不純物量 フィルム0.7グラムを白金坩堝に精秤し、550℃以
上の温度で灰化させた。この灰分を硝酸及びフッ化水素
酸で溶解した後希硝酸で定容とした。この定容液につい
て、K,Naは原子吸光光度法により、その他成分はI
CP発光分析法によって分析した。また、別途フィルム
20gを熱水中で24時間加熱還流し抽出された液及び
フィルム20gを酸化性雰囲気で焼いた残渣を水抽出し
た液についてイオンクロマトグラムを用い分析した。
【0061】なお、単位ppmはμg/gである。
【0062】(6)湿度膨張係数 25℃に保った恒温恒湿槽中で脱湿時(湿度30%R
H)と加湿時(湿度90%RH)でそれぞれ平衡に到っ
た時のフィルム長を読みとり下式により求めた。
【0063】 (フィルムの伸び量(mm))/(試長(mm))/60 (7)電磁変換特性 得られたフィルムに下地層としてポリウレタン系の下地
層を形成後、下記組成の磁性塗料を調整し、グラビアロ
ールを用いて塗布,硬化を行い、ついでカレンダー処理
を実施して磁性層を形成した。
【0064】 磁性粉(Co-Ni 粉) 80重量部 塩ビ系共重合体 20重量部 ポリウレタン 10重量部 硬化剤 5重量部 研磨剤 5重量部 溶剤(トルエンなど) 200重量部 さらにこれを1/2インチ幅にスリットし、VTRカセ
ットに組み込みVTRテ−プとした。このテ−プに家庭
用VTRを用いてテレビ試験波形発生器により100%
クロマ信号からカラ−ビデオノイズ測定器でクロマS/
Nを測定した。S/N比は次式で示される。
【0065】S/N=20log(Vs /Vn ) ここで、 Vs :100%振幅のカラー信号レベル Vn :リファレンス記録電流で記録・再生し、AM復調
及びPM復調した100%レベルにおけるノイズの実効
値電圧 市販テ−プを基準として評価し、−2dB以上を○、そ
れ未満を×とした。
【0066】(8)走行性 フィルムを幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたも
のを、横浜システム研究所製テ−プ走行性試験機(SF
T−700型)を使用し、40℃、80%RH雰囲気で
走行させ、下式により求めた。
【0067】μK=0.733log(T2 /T1 ) ここでT1 は入側張力、T2 は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン
(表面粗さ20〜40nm程度のもの)巻き付け角は9
0°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ−クは
15cmである。この測定によって得られる10パス目
のμKをμK10、100パス目のμKをμK100 とした
時、μK10/μK100 が0.8以上1.2以下の場合は
走行性を○、この範囲外は走行性を×と判定した。な
お、測定に当たっては静電気の影響を避けるためフィル
ムを毎回除電して測定した。
【0068】(9)耐久性 1/2インチにスリットされたフィルムロールに対し、
オートクレーブを用いて上記(2)の処理を実施し、そ
の後磁性層を形成せずVTRカセットに組み込んだ。次
に60℃、80%RHの環境下市販のビデオ再生機を用
い、再生モードで1000回走行を実施しフィルムのダ
メージを観察し、次の評価基準で判定した。
【0069】○:フィルム表面に微かなキズが認められ
るあるいはそれ以上の品位 ×:フィルムの切断、欠けあるいは表面に大きなキズが
認められる。
【0070】実施例1〜4、比較例1〜3 但し、原料欄に示す各略記号はそれぞれ次の通りであ
る。また各略記号前につく数字は置換基の置換部位を示
す。(例、3,3'- DOB:3,3'-ジメトキシベンジジン) 芳香族ジアミン成分: PA: パラフェニレンジアミン CPA: クロロパラフェニレンジアミン DOB: ジメトキシベンジジン DAE: ジアミノジフェニルエーテル 酸クロリド成分: TPC: テレフタロイルクロリド IPC: イソフタル酸クロリド CTPC: クロロテレフタロイルクロリド 実施例1 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレン
ジアミンと、20モル%に相当する4、4−ジアミノジ
フェニルエ−テルとを溶解させ、これに100モル%に
相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2
時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで
中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3000ポイズ
の芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径
16nmの乾式シリカをポリマ当たり2wt%添加し
た。
【0071】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−を通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、180℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得
たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に65℃
に保った水/NMP比がそれぞれ1/1,3/1,5/
1及び10/0の濃度比を持つ複数の水槽内へフィルム
を導入して残存溶媒および無機塩の抽出を行ない、テン
タ−で280℃で水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ6
μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この間にフィ
ルム長手方向と幅方向に各々1.2倍、1.3倍延伸を
行ない、280℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった
後、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0072】このフィルムを酸化性雰囲気で燃焼させる
と、用いたフィルムに対し2重量%の灰分が残った。
【0073】このフィルムの伸度は35%、伸度保持率
は82%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
20個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は40個/100cm2 であった。また20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長手
方向、幅方向ともに1230kg/mm 2 の等方的フィルム
であり、80℃、相対湿度80%における引張りヤング
率E80との比は長手方向、幅方向ともにE80/E20=
0.68、また塩基性不純物量は1ppm 、湿度膨張係数
は10×10-6であった。
【0074】次にこのフィルムの電磁変換特性、走行性
及び耐久性を測定すると共に良好であった。
【0075】比較例1 実施例1で用いたポリマ溶液を用い水浴中での処理を水
/NMP比が10/0の浴のみを用いた他は実施例1に
準拠して行い厚さ6μmの芳香族ポリアミドフィルムを
得た。
【0076】このフィルムの伸度は35%、伸度保持率
は40%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
22個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は42個/100cm2 であった。また20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長手
方向、幅方向ともに1230kg/mm 2 の等方的フィルム
であり、80℃、相対湿度80%における引張りヤング
率E80との比は長手方向、幅方向ともにE80/E20=
0.62、また塩基性不純物量は3500ppm 、湿度膨
張係数は25×10-6であった。
【0077】このフィルムの走行性は良好であったが、
耐久性、電磁変換特性に劣るものであった。
【0078】実施例2 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として80モル%に相当する4,4’−DOBと、20
モル%に相当する4,4’−DAEとを溶解させ、これ
に99モル%に相当する2−CTPCを添加し、2時間
撹拌して重合を完了し、フィルムの延伸を長手方向に
1.1倍、幅方向に1.45倍すること以外は実施例1
と同様にして厚さ10μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。
【0079】このフィルムの伸度は25%、伸度保持率
は87%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
18個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は35個/100cm2 であった。また20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長手
方向は1200kg/mm 2 、幅方向は1550kg/mm 2
フィルムであり、80℃、相対湿度80%における引張
りヤング率E80との比は長手方向はE80/E20=0.7
0、幅方向はE80/E20=0.75、また塩基性不純物
量は1ppm 、湿度膨張係数は8×10-6であった。
【0080】次にこのフィルムの電磁変換特性、走行性
及び耐久性を測定すると共に良好であった。
【0081】実施例3 実施例1で得た同じポリマ溶液を5μmカットのフィル
タ−を通した後、表面の欠点頻度が0.025個/mm
2 であるSUS製ベルト上に流延し、以下実施例1と同
様の方法で厚さ6μmの芳香族ポリアミドフィルムを得
た。
【0082】このフィルムの伸度は35%、伸度保持率
は82%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
60個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は150個/100cm2 であった。また2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長
手方向、幅方向ともに1230kg/mm 2 の等方的フィル
ムであり、80℃、相対湿度80%における引張りヤン
グ率E80との比は長手方向、幅方向ともにE80/E20=
0.68、また塩基性不純物量は1ppm 、湿度膨張係数
は8×10-6であった。
【0083】次にこのフィルムの走行性、耐久性は良好
であったが電磁変換特性試験において若干のちらつきが
認められた。
【0084】実施例4 実施例1で得た同じポリマ溶液を5μmカットのフィル
タ−を通した後、表面の欠点頻度が0.0001個/m
2 であるSUS製ベルト上に流延し、以下実施例1と
同様の方法で厚さ6μmの芳香族ポリアミドフィルムを
得た。
【0085】このフィルムの伸度は35%、伸度保持率
は82%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
15個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は1.5個/100cm2 であった。また2
0℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長
手方向、幅方向ともに1230kg/mm 2 の等方的フィル
ムであり、80℃、相対湿度80%における引張りヤン
グ率E80との比は長手方向、幅方向ともにE80/E20=
0.72、また塩基性不純物量は1ppm 、湿度膨張係数
は8×10-6であった。
【0086】次にこのフィルムの耐久性、電磁変換特性
は良好であったが走行性試験はぎりぎり良好なレベルで
あったがフィルム面にキズが認められた。
【0087】実施例5 NMPに芳香族ジアミン成分として100モル%に相当
するPAを溶解させ、−10℃に冷却する。これに10
0モル%に相当するTPCを添加し、重合中に析出する
固体は小さく粉砕しながら2時間撹拌して重合を完了し
た。この固形物スラリーを水中にて沈殿,水洗し、濃硫
酸に溶解して、芳香族ポリアミド溶液を得た。このポリ
マ溶液を5μmカットのフィルタ−を通した後、表面の
欠点頻度が0.006個/mm2 である研磨された耐食
性ベルト上へ流延し、85%RHの雰囲気下において等
方性溶液となるまでおき、ついで水槽に導いて凝固さ
せ、この凝固フィルムをベルトから剥離して水洗、つい
で中和のため、0.1%苛性ソーダ水溶液の槽へ通じ、
その後70℃の温水槽中にフィルム中の塩基性不純物量
が20ppmとなるように通じ、以下実施例1と同様の
方法で、長手方向に1.2倍、幅方向に1.3倍フィル
ムを延伸し、厚さ10μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。
【0088】このフィルムの伸度は20%、伸度保持率
は75%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
40個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は50個/100cm2 であった。また20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長手
方向、幅方向ともに1480kg/mm 2 の等方的フィルム
であり、80℃、相対湿度80%における引張りヤング
率E80との比は長手方向、幅方向ともにE80/E20=
0.7、また塩基性不純物量は30ppm 、湿度膨張係数は
25×10-6であった。
【0089】このフィルムの走行性、耐久性は良好であ
った。また、電磁変換特性は良好なものの若干 が認め
られた。
【0090】比較例2 N−メチルピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分
として100モル%に相当する4、4−ジアミノジフェ
ニルエ−テルとを溶解させ、これに50モル%に相当す
るイソフタル酸クロリド、50モル%に相当する2−ク
ロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重
合を完了した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリ
マ濃度10重量%、粘度2500ポイズの芳香族ポリア
ミド溶液を得た。この溶液に、一次粒径16nmの乾式
シリカをポリマ当たり2wt%添加した。
【0091】このポリマ溶液を5μmカットのフィルタ
−を通した後、径が30μm以上の表面欠点の頻度が
0.006個/mm2 のベルト上に流延し、以下実施例
1の方法に準拠して厚さ6μmの芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。
【0092】このフィルムの伸度は60%、伸度保持率
は82%、ベルト非接触面での表面粗大突起個数H2は
20個/100cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突
起個数H3は40個/100cm2 であった。また20
℃、相対湿度60%における引張りヤング率E20は長手
方向、幅方向ともに800kg/mm 2 の等方的フィルムで
あり、80℃、相対湿度80%における引張りヤング率
E80との比は長手方向、幅方向ともにE80/E20=0.
43、また塩基性不純物量は2ppm 、湿度膨張係数は25
×10-6であった。
【0093】このフィルムの走行性、耐久性は良好であ
ったが、電磁変換特性に劣るものであった。
【0094】比較例3 東レ(株)社製ポリパラフェニレンスルフィドフィルム
(″トレリナ″、厚さ6μm)を用い同様に評価した。
【0095】このフィルムの伸度は70%、伸度保持率
は76%、一方の表面粗大突起個数H2は45個/10
0cm2 で、ベルト接触面での表面粗大突起個数H3は
30個/100cm2 であった。また20℃、相対湿度
60%における引張りヤング率E20は長手方向、幅方向
ともに400kg/mm 2 の等方的フィルムであり、80
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E80との比
は長手方向、幅方向ともにE80/E20=0.84、塩基
性不純物量は10ppm 、湿度膨張係数は1.5×10-6
あった。
【0096】このフィルムの走行性、耐久性は良好であ
ったが、電磁変換特性に劣るものであった。
【0097】比較例4 エチレングリコ−ルと、ジメチルナフタレ−トの重合に
より、実質的に粒子を含まないポリエチレンナフタレ−
トのペレットAを得た。また、同ポリマに平均粒径0.
3μmで粒度分布の相対標準偏差が0.4の球状で熱重
量分析で10%減量の起こる温度が390℃の耐熱性架
橋ポリスチレン粒子で、該粒子の含有量が0.2重量%
であるペレットBを調製し、複合フィルムを製膜した。
まずペレットAについては溶融押出機から、濾過精度1
μmのフィルタ−にて濾過し、ペレットBについてはペ
レットAで用いたものとは別の溶融押出機から、濾過精
度5μmのフィルタ−にて濾過し、スリット状口金真上
に設置したピノ−ルでポリマ−厚み方向に積層し、未延
伸フィルムを作った。その未延伸フィルムを長手方向に
135℃で4.3倍に延伸し、その後、ステンタ−にて
横方向に135℃で4.8倍に延伸し、延伸終了後にス
テンタ−にて200℃で10秒間、熱処理を施し、最終
的に厚さ6μmのフィルムを製造した。
【0098】このフィルムの伸度は70%、伸度保持率
は40%、一方の面の表面粗大突起個数H2は10個/
100cm2 で、もう一方の面の表面粗大突起個数H3
は20個/100cm2 であった。また20℃、相対湿
度60%における引張りヤング率E20は長手方向、幅方
向ともに710kg/mm 2 の等方的フィルムであり、80
℃、相対湿度80%における引張りヤング率E80との比
は長手方向、幅方向ともにE80/E20=0.88、また
塩基性不純物量は1ppm 、湿度膨張係数は10×10-6
あった。
【0099】このフィルムの走行性、電磁変換特性は良
好なものの、耐久性に劣るものであった。
【0100】
【表1】
【0101】
【発明の効果】本発明は、高温高湿度下つまり過酷な環
境下においても有機高分子体の本来持つ特徴を殆ど失う
ことなくフィルムとして得られた物であり、磁気記録媒
体を始めとして、FPC、感熱転写記録材、絶縁材、電
線被覆材、包装材料など加工あるいは使用時にかような
環境にさらされる用途分野において好適に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 77:00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 155℃の高圧水蒸気雰囲気中で4日間
    処理を行ったときの伸度保持率が60%以上であり、か
    つ20℃、相対湿度60%における少なくとも一方向の
    引張りヤング率E20と、80℃、相対湿度80%におけ
    る同方向の引張りヤング率E80が、 E20≧700kg/mm2 0.5≦E80/E20 を充たすことを特徴とする有機高分子体からなるフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 フィルム中に含有される塩基性不純物の
    含有量が3000ppm以下であることを特徴とする請
    求項1に記載のフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの任意の一表面において高さ5
    46nm以上の表面粗大突起個数H2が、H2≦50
    (個/100cm2であり、かつその反対側のフィルム
    表面において高さ819nm以上の表面粗大突起個数H
    3が2≦H3≦100(個/100cm2)を充たすこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 【請求項4】 有機高分子体が芳香族ポリアミドである
    請求項1〜3のいずれかにに記載のフィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のフィル
    ムの少なくとも片面に磁性層が形成されてなる磁気記録
    媒体。
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JP2013228041A (ja) * 2012-04-25 2013-11-07 Yazaki Energy System Corp 低圧lpガス発電システム

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