JP3155332B2 - スイッチング素子 - Google Patents
スイッチング素子Info
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- JP3155332B2 JP3155332B2 JP10164692A JP10164692A JP3155332B2 JP 3155332 B2 JP3155332 B2 JP 3155332B2 JP 10164692 A JP10164692 A JP 10164692A JP 10164692 A JP10164692 A JP 10164692A JP 3155332 B2 JP3155332 B2 JP 3155332B2
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Description
【0001】
【技術分野】本発明は、スイッチング素子、特にアクテ
ィブマトリックス型液晶表示装置用スイッチング素子に
関する。
ィブマトリックス型液晶表示装置用スイッチング素子に
関する。
【0002】
【従来技術】OA機器端末機や液晶TVには大面積液晶
パネルの使用の要望が強く、そのため、アクティブマト
リックス方式では各画素ごとにスイッチを設け、電圧を
保持するように工夫されている。ところで、前記スイッ
チの一つとしてMIM(Metal Insulator Metal)素子
が多く用いられている。これは薄膜二端子素子がスイッ
チングに良好な非線形な電流−電圧特性を示すためであ
る。そして、従来からの薄膜二端子素子は、ガラス板の
ような絶縁基板上に下部電極としてTa,Al,Ti等
の金属電極を設け、その上に前記金属の酸化物又はSi
Ox,SiNx等からなる絶縁膜を設け、更にその上
に、上部電極としてAl,Cr等の金属電極を設けたも
のが知られている。しかし、絶縁体(絶縁膜)に金属酸
化物を用いた薄膜二端子素子(特開昭57−19658
9号、同61−232689号、同62−62333号
等の公報に記載)の場合、絶縁膜は下部電極の陽極酸化
又は熱酸化により形成されるため、工程が複雑であり、
しかも高温熱処理を必要とし(陽極酸化法でも不純物の
除去等を確実にするためには高温熱処理が必要であ
る。)、また膜制御性(膜質及び膜厚の均一性及び再現
性)に劣る上、基板が耐熱材料に限られること、及び、
絶縁膜は物性が一定な金属酸化物からなること等から、
デバイスの材料やデバイス特性を自由に変えることがで
きず、設計上の自由度が狭いという欠点がある。これは
薄膜二端子素子を組込んだ液晶表示装置からの仕様を十
分に満たすデバイスを設計・作製することが困難である
ことを意味する。また、このように膜制御性が悪いと、
素子特性としての電流(I)−電圧(V)特性、特にI
−V特性やI−V特性の対称性(プラスバイアス時とマ
イナスバイアス時との電流比〔I(−)/I(+)〕の
バラツキが大きくなるという問題も生じる。その他、薄
膜二端子素子を液晶表示装置(LCD)用として使用す
る場合、液晶部容量/薄膜二端子素子容量比は一般に1
0以上が望ましいが、金属酸化物膜の場合は誘電率が大
きいことから素子容量も大きくなり、このため、素子容
量を減少させること即ち素子面積を小さくするための微
細加工を必要とする。またこの場合、液晶材料封入時の
ラビング工程等で絶縁膜が機械的損傷を受けることによ
り、微細加工とも相まって歩留り低下を来たすという問
題もある。
パネルの使用の要望が強く、そのため、アクティブマト
リックス方式では各画素ごとにスイッチを設け、電圧を
保持するように工夫されている。ところで、前記スイッ
チの一つとしてMIM(Metal Insulator Metal)素子
が多く用いられている。これは薄膜二端子素子がスイッ
チングに良好な非線形な電流−電圧特性を示すためであ
る。そして、従来からの薄膜二端子素子は、ガラス板の
ような絶縁基板上に下部電極としてTa,Al,Ti等
の金属電極を設け、その上に前記金属の酸化物又はSi
Ox,SiNx等からなる絶縁膜を設け、更にその上
に、上部電極としてAl,Cr等の金属電極を設けたも
のが知られている。しかし、絶縁体(絶縁膜)に金属酸
化物を用いた薄膜二端子素子(特開昭57−19658
9号、同61−232689号、同62−62333号
等の公報に記載)の場合、絶縁膜は下部電極の陽極酸化
又は熱酸化により形成されるため、工程が複雑であり、
しかも高温熱処理を必要とし(陽極酸化法でも不純物の
除去等を確実にするためには高温熱処理が必要であ
る。)、また膜制御性(膜質及び膜厚の均一性及び再現
性)に劣る上、基板が耐熱材料に限られること、及び、
絶縁膜は物性が一定な金属酸化物からなること等から、
デバイスの材料やデバイス特性を自由に変えることがで
きず、設計上の自由度が狭いという欠点がある。これは
薄膜二端子素子を組込んだ液晶表示装置からの仕様を十
分に満たすデバイスを設計・作製することが困難である
ことを意味する。また、このように膜制御性が悪いと、
素子特性としての電流(I)−電圧(V)特性、特にI
−V特性やI−V特性の対称性(プラスバイアス時とマ
イナスバイアス時との電流比〔I(−)/I(+)〕の
バラツキが大きくなるという問題も生じる。その他、薄
膜二端子素子を液晶表示装置(LCD)用として使用す
る場合、液晶部容量/薄膜二端子素子容量比は一般に1
0以上が望ましいが、金属酸化物膜の場合は誘電率が大
きいことから素子容量も大きくなり、このため、素子容
量を減少させること即ち素子面積を小さくするための微
細加工を必要とする。またこの場合、液晶材料封入時の
ラビング工程等で絶縁膜が機械的損傷を受けることによ
り、微細加工とも相まって歩留り低下を来たすという問
題もある。
【0003】一方、絶縁膜にSiOxやSiNxを用い
たMIM素子(特開昭61−260219号公報)の場
合、絶縁膜はプラズマCVD法、スパッタ法等の気相法
で成膜するが、基板温度が通常300℃程度必要である
ため、低コスト基板は使用できず、また大面積化の際、
基板温度分布のため膜厚、膜質が不均一になり易いとい
う欠点がある。また、これらの絶縁膜を合成する際には
気相でなされることから、ダストが多く発生し、膜のピ
ンホールが多いため素子の歩留りが低下する。更には、
膜ストレスが大きく、膜剥離が起こり、この点からも素
子の歩留りが低下する。
たMIM素子(特開昭61−260219号公報)の場
合、絶縁膜はプラズマCVD法、スパッタ法等の気相法
で成膜するが、基板温度が通常300℃程度必要である
ため、低コスト基板は使用できず、また大面積化の際、
基板温度分布のため膜厚、膜質が不均一になり易いとい
う欠点がある。また、これらの絶縁膜を合成する際には
気相でなされることから、ダストが多く発生し、膜のピ
ンホールが多いため素子の歩留りが低下する。更には、
膜ストレスが大きく、膜剥離が起こり、この点からも素
子の歩留りが低下する。
【0004】
【目的】本発明の目的は、広範囲でのデバイス設計が可
能で、しかも素子特性のバラツキが少なく、またしきい
値電圧、耐圧に優れ、歩留り良く製造され、かつ耐環境
性に優れた信頼性の高い薄膜二端子素子を提供すること
である。
能で、しかも素子特性のバラツキが少なく、またしきい
値電圧、耐圧に優れ、歩留り良く製造され、かつ耐環境
性に優れた信頼性の高い薄膜二端子素子を提供すること
である。
【0005】
【構成】本発明は、第一の導体と第二の導体との間に硬
質炭素膜を介在させてなり、硬質炭素膜に接して、その
下に設けられる導体(以下下部導体と記す)中に含有さ
れる酸素量が8原子%以上30原子%以下、より好まし
くは10原子%以上、25原子%以下であることを特徴
とする薄膜二端子素子に関する。本発明の薄膜二端子素
子の構成およびその作成方法を図1に基づき説明する。
本発明の二端子素子は、基板(図示せず)上に下部導体
1、絶縁体(硬質炭素膜)2、上部導体3および画素電
極4を設けてなる。但し、本発明の薄膜二端子素子は、
この図面のものに限定されるものではない。
質炭素膜を介在させてなり、硬質炭素膜に接して、その
下に設けられる導体(以下下部導体と記す)中に含有さ
れる酸素量が8原子%以上30原子%以下、より好まし
くは10原子%以上、25原子%以下であることを特徴
とする薄膜二端子素子に関する。本発明の薄膜二端子素
子の構成およびその作成方法を図1に基づき説明する。
本発明の二端子素子は、基板(図示せず)上に下部導体
1、絶縁体(硬質炭素膜)2、上部導体3および画素電
極4を設けてなる。但し、本発明の薄膜二端子素子は、
この図面のものに限定されるものではない。
【0006】基板としては、ガラス、プラスチック等が
用いられる。プラスチックとしては、特にその種類には
制限はないが、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の耐熱性
プラスチックの使用が好ましい。特にプラスチックの基
板としては、本発明者らが先に提案したように、少なく
とも片面に無機物質からなる薄膜が形成され、プラスチ
ックへの水分の進入を防ぐとともに、プラスチックが含
有している水分等の素子への進入を防ぐことのできるも
の(特開平2−417313号)がさらに好ましい。
用いられる。プラスチックとしては、特にその種類には
制限はないが、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の耐熱性
プラスチックの使用が好ましい。特にプラスチックの基
板としては、本発明者らが先に提案したように、少なく
とも片面に無機物質からなる薄膜が形成され、プラスチ
ックへの水分の進入を防ぐとともに、プラスチックが含
有している水分等の素子への進入を防ぐことのできるも
の(特開平2−417313号)がさらに好ましい。
【0007】基板上に、ITO、ZnO:Al,In2
O3,SnO2等の透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸
着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜し、所定の
パターンにエッチングして画素電極4を設けた。次にA
l,Ta,Ti,Cr,Ni,Cu,Au,Ag,W,
Mo,Pt,Ni−Cr等の導電性薄膜をスパッタリン
グ、蒸着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜し、
エッチングにより所定のパターンにパターニングして下
部導体1を形成した。この下部導体上に、プラズマCV
D法あるいはイオンビーム法によって、100〜800
0Å、好ましくは200〜6000Å、さらに好ましく
は300〜4000Åの厚さに成膜したのち、所定のパ
ターンにエッチングして硬質炭素膜2を形成した。最後
に、Ni,Pt,Ag,Al,Cr,Ti,Cu,A
u,W,Mo,Ta,Ni−Cr,ITO,ZnO:A
l,In2O3,SnO2等の導電性薄膜をスパッタリン
グ、蒸着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜した
後、所定のパターンにエッチングして上部導体3を設け
た。
O3,SnO2等の透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸
着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜し、所定の
パターンにエッチングして画素電極4を設けた。次にA
l,Ta,Ti,Cr,Ni,Cu,Au,Ag,W,
Mo,Pt,Ni−Cr等の導電性薄膜をスパッタリン
グ、蒸着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜し、
エッチングにより所定のパターンにパターニングして下
部導体1を形成した。この下部導体上に、プラズマCV
D法あるいはイオンビーム法によって、100〜800
0Å、好ましくは200〜6000Å、さらに好ましく
は300〜4000Åの厚さに成膜したのち、所定のパ
ターンにエッチングして硬質炭素膜2を形成した。最後
に、Ni,Pt,Ag,Al,Cr,Ti,Cu,A
u,W,Mo,Ta,Ni−Cr,ITO,ZnO:A
l,In2O3,SnO2等の導電性薄膜をスパッタリン
グ、蒸着等の方法により数百〜数千Åの厚さに成膜した
後、所定のパターンにエッチングして上部導体3を設け
た。
【0008】上部導体および下部導体は、上記のような
各種導電性薄膜を必要に応じて2層以上重ね合せたもの
を用いてもよい。さらに本発明の素子は、上記図1に示
した構成のものに限られるものではなく、上部導体と下
部導体の位置関係を変えた構成、あるいは上部導体と下
部導体の位置関係を変え、かつ上部導体が画素電極を兼
ねた構成のようなものであってもよい。
各種導電性薄膜を必要に応じて2層以上重ね合せたもの
を用いてもよい。さらに本発明の素子は、上記図1に示
した構成のものに限られるものではなく、上部導体と下
部導体の位置関係を変えた構成、あるいは上部導体と下
部導体の位置関係を変え、かつ上部導体が画素電極を兼
ねた構成のようなものであってもよい。
【0009】本発明の特徴点の1つは、比較的低温でし
かも簡単な工程で形成でき、膜制御性及び機械強度に優
れた低誘電率の硬質炭素膜を使用することで、広範囲で
のデバイス設計が可能で、しかも素子特性のバラツキが
少なく、またしきい値電圧、耐圧に優れ、歩留りの良い
薄膜二端子素子を提供することにある。本発明の特徴点
の2つは、下部導体1に含有される酸素含有量を、8原
子%以上30原子%以下、より好ましくは10原子%以
上、25原子%以下にコントロールすることにより素子
特性の経時変化が少なく、また膜剥離等による欠陥もほ
とんどない信頼性の高い薄膜二端子素子を提供すること
にある。
かも簡単な工程で形成でき、膜制御性及び機械強度に優
れた低誘電率の硬質炭素膜を使用することで、広範囲で
のデバイス設計が可能で、しかも素子特性のバラツキが
少なく、またしきい値電圧、耐圧に優れ、歩留りの良い
薄膜二端子素子を提供することにある。本発明の特徴点
の2つは、下部導体1に含有される酸素含有量を、8原
子%以上30原子%以下、より好ましくは10原子%以
上、25原子%以下にコントロールすることにより素子
特性の経時変化が少なく、また膜剥離等による欠陥もほ
とんどない信頼性の高い薄膜二端子素子を提供すること
にある。
【0010】下部導体中に含有される酸素量を変化させ
た時の下部導体上の硬質炭素膜の剥離割合を表1に示
す。剥離割合は、ガラス基板上に図1に示す素子を10
000個(100×100ドット)作製した時の剥離の
生じた素子数の割合として求めた。下部導体の製膜条件
は、Alの場合を記述した。硬質炭素膜は、プラズマC
VD法により1100Å堆積した。堆積条件は、 圧力 :0.035Torr CH4流量 :10SCCM RFパワー:0.6W/cm2 とした。
た時の下部導体上の硬質炭素膜の剥離割合を表1に示
す。剥離割合は、ガラス基板上に図1に示す素子を10
000個(100×100ドット)作製した時の剥離の
生じた素子数の割合として求めた。下部導体の製膜条件
は、Alの場合を記述した。硬質炭素膜は、プラズマC
VD法により1100Å堆積した。堆積条件は、 圧力 :0.035Torr CH4流量 :10SCCM RFパワー:0.6W/cm2 とした。
【表1】 表1から下部導体中の酸素含有量が増加するにつれて硬
質炭素膜の剥離割合が減少することがわかる。剥離割合
は1%以下、好ましくは0%が好適であることから下部
導体中の酸素含有量は8原子%以上、好ましくは10原
子%以上とするのがよい。次に、下部導体中に含有され
る酸素量を変化させたときの素子特性の経時変化量を表
2に示す。特性の経時変化量は、ガラス基板上に図1に
示す素子を作製し、12V印加したときの電流値(Io
n)の初期値に対する保持率(Ion保持率)で示した。
経時の条件は、80℃ドライ雰囲気中で1000時間保
存とした。硬質炭素膜の堆積条件は前述と同じとした。
質炭素膜の剥離割合が減少することがわかる。剥離割合
は1%以下、好ましくは0%が好適であることから下部
導体中の酸素含有量は8原子%以上、好ましくは10原
子%以上とするのがよい。次に、下部導体中に含有され
る酸素量を変化させたときの素子特性の経時変化量を表
2に示す。特性の経時変化量は、ガラス基板上に図1に
示す素子を作製し、12V印加したときの電流値(Io
n)の初期値に対する保持率(Ion保持率)で示した。
経時の条件は、80℃ドライ雰囲気中で1000時間保
存とした。硬質炭素膜の堆積条件は前述と同じとした。
【表2】 表2から下部導体中の酸素含有量が減少するにつれてI
on保持率が増加することがわかる。Ion保持率は、85
%以上、好ましくは90%以上が好適であることから、
下部導体中の酸素含有量は30原子%以下、好ましくは
25原子%以下とするのがよい。この下部導体中の酸素
含有量の制御は、成膜時の圧力と成膜速度を変えること
によって容易に行うことできる。また、その酸素含有量
の分析は、元素分析の常法、例えばAES,XPS,S
IMS等によって知ることができる。
on保持率が増加することがわかる。Ion保持率は、85
%以上、好ましくは90%以上が好適であることから、
下部導体中の酸素含有量は30原子%以下、好ましくは
25原子%以下とするのがよい。この下部導体中の酸素
含有量の制御は、成膜時の圧力と成膜速度を変えること
によって容易に行うことできる。また、その酸素含有量
の分析は、元素分析の常法、例えばAES,XPS,S
IMS等によって知ることができる。
【0011】次に本発明で用いられる硬質炭素膜につい
て詳しく説明する。この膜は、炭素原子及び水素原子を
主要な組織形成元素として非晶質及び微結晶質の少なく
とも一方を含む硬質炭素膜(i−C膜、ダイヤモンド状
炭素膜、アモルファスダイヤモンド膜、ダイヤモンド薄
膜とも呼ばれる)からなっている。硬質炭素膜の一つの
特徴は気相成長膜であるがために、後述するように、そ
の諸物性が製膜条件によって広範囲に制御できることで
ある。従って、絶縁膜といってもその抵抗値は半絶縁体
から絶縁体までの領域をカバーしており、この意味では
本発明の薄膜二端子素子はMIM素子は勿論のことそれ
以外でも例えば特開昭61−260219号公報でいう
ところのMSI素子(Melal Semi Insulator)や、SI
S素子(半導体−絶縁体−半導体であって、ここでの
「半導体」は不純物を高濃度にドープさせたものであ
る)としても位置付けられるものである。なお、この硬
質炭素膜中には、さらに物性制御範囲を広げるために、
構成元素の一つとして少なくとも周期律表第III族元素
を全構成原子に対し5原子%以下、同じく第IV族元素を
35原子%以下、同じく第V族元素を5原子%以下、ア
ルカリ土類金属元素を5原子%以下、アルカリ金属元素
を5原子%、窒素原子を5原子%以下、酸素原子を5原
子%以下、カルコゲン系元素を35原子%以下、または
ハロゲン系元素を35原子%以下の量で含有させてもよ
い。これら元素又は原子の量は元素分析の常法例えばオ
ージェ分析によって測定することができる。また、この
量の多少は原料ガスに含まれる他の化合物の量や成膜条
件で調節可能である。こうした硬質炭素膜を形成するた
めには有機化合物ガス、特に炭化水素ガスが用いられ
る。これら原料における相状態は常温常圧において必ず
しも気相である必要はなく、加熱或は減圧等により溶
融、蒸発、昇華等を経て気化し得るものであれば、液相
でも固相でも使用可能である。原料ガスとしての炭化水
素ガスについては、例えばCH4、C2H8、C4H10等の
パラフィン系炭化水素、C2H4等のオレフィン系炭化水
素、ジオレフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、
さらには芳香族炭化水素などすベての炭化水素を少なく
とも含むガスが使用可能である。また、炭化水素以外で
も、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エ
ステル類などであって、少なくとも炭素元素を含む化合
物であれば使用可能である。本発明における原料ガスか
らの硬質炭素膜の形成方法としては、成膜活性種が直
流、低周波、高周波或いはマイクロ波等を用いたプラズ
マ法により生成されるプラズマ状態を経て形成される方
法が好ましいが、より大面積化、均一性向上及び/又は
低温成膜の目的で低圧下で堆積を行わせしめるのには磁
界効果を利用する方法がさらに好ましい。また、高温に
おける熱分解によっても活性種を形成できる。その他に
も、イオン化蒸着法、或いはイオンビーム蒸着法等によ
り生成されるイオン状態を経て形成されてもよいし、真
空蒸着法或いはスパッタリング法等により生成される中
性粒子から形成されてもよいし、さらには、これらの組
み合せにより形成されてもよい。こうして作製される硬
質炭素膜の堆積条件の一例はプラズマCVD法の場合、
概ね次の通りである。 RF出力:0.1〜50W/cm2 圧 力:10-3〜10Torr 堆積温度:室温〜950℃で行なうことができるが、好
ましくは室温〜300℃ このプラズマ状態により原料ガスがラジカルとイオンと
に分解され反応することによって、基板上に炭素原子C
と水素原子Hとからなるアモルファス(非晶質)及び微
結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μm)の少くとも
一方を含む硬質炭素膜が堆積する。硬質炭素膜の諸特性
を表3に示す。 (以下余白)
て詳しく説明する。この膜は、炭素原子及び水素原子を
主要な組織形成元素として非晶質及び微結晶質の少なく
とも一方を含む硬質炭素膜(i−C膜、ダイヤモンド状
炭素膜、アモルファスダイヤモンド膜、ダイヤモンド薄
膜とも呼ばれる)からなっている。硬質炭素膜の一つの
特徴は気相成長膜であるがために、後述するように、そ
の諸物性が製膜条件によって広範囲に制御できることで
ある。従って、絶縁膜といってもその抵抗値は半絶縁体
から絶縁体までの領域をカバーしており、この意味では
本発明の薄膜二端子素子はMIM素子は勿論のことそれ
以外でも例えば特開昭61−260219号公報でいう
ところのMSI素子(Melal Semi Insulator)や、SI
S素子(半導体−絶縁体−半導体であって、ここでの
「半導体」は不純物を高濃度にドープさせたものであ
る)としても位置付けられるものである。なお、この硬
質炭素膜中には、さらに物性制御範囲を広げるために、
構成元素の一つとして少なくとも周期律表第III族元素
を全構成原子に対し5原子%以下、同じく第IV族元素を
35原子%以下、同じく第V族元素を5原子%以下、ア
ルカリ土類金属元素を5原子%以下、アルカリ金属元素
を5原子%、窒素原子を5原子%以下、酸素原子を5原
子%以下、カルコゲン系元素を35原子%以下、または
ハロゲン系元素を35原子%以下の量で含有させてもよ
い。これら元素又は原子の量は元素分析の常法例えばオ
ージェ分析によって測定することができる。また、この
量の多少は原料ガスに含まれる他の化合物の量や成膜条
件で調節可能である。こうした硬質炭素膜を形成するた
めには有機化合物ガス、特に炭化水素ガスが用いられ
る。これら原料における相状態は常温常圧において必ず
しも気相である必要はなく、加熱或は減圧等により溶
融、蒸発、昇華等を経て気化し得るものであれば、液相
でも固相でも使用可能である。原料ガスとしての炭化水
素ガスについては、例えばCH4、C2H8、C4H10等の
パラフィン系炭化水素、C2H4等のオレフィン系炭化水
素、ジオレフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、
さらには芳香族炭化水素などすベての炭化水素を少なく
とも含むガスが使用可能である。また、炭化水素以外で
も、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エ
ステル類などであって、少なくとも炭素元素を含む化合
物であれば使用可能である。本発明における原料ガスか
らの硬質炭素膜の形成方法としては、成膜活性種が直
流、低周波、高周波或いはマイクロ波等を用いたプラズ
マ法により生成されるプラズマ状態を経て形成される方
法が好ましいが、より大面積化、均一性向上及び/又は
低温成膜の目的で低圧下で堆積を行わせしめるのには磁
界効果を利用する方法がさらに好ましい。また、高温に
おける熱分解によっても活性種を形成できる。その他に
も、イオン化蒸着法、或いはイオンビーム蒸着法等によ
り生成されるイオン状態を経て形成されてもよいし、真
空蒸着法或いはスパッタリング法等により生成される中
性粒子から形成されてもよいし、さらには、これらの組
み合せにより形成されてもよい。こうして作製される硬
質炭素膜の堆積条件の一例はプラズマCVD法の場合、
概ね次の通りである。 RF出力:0.1〜50W/cm2 圧 力:10-3〜10Torr 堆積温度:室温〜950℃で行なうことができるが、好
ましくは室温〜300℃ このプラズマ状態により原料ガスがラジカルとイオンと
に分解され反応することによって、基板上に炭素原子C
と水素原子Hとからなるアモルファス(非晶質)及び微
結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μm)の少くとも
一方を含む硬質炭素膜が堆積する。硬質炭素膜の諸特性
を表3に示す。 (以下余白)
【表3】 注)測定法; 比抵抗(ρ) :コプレナー型セルによるI-V
特性より求める。 光学的バンドギャップ(Egopt):分光特性から吸収係数
(α)を求め、数1式の関係より決定。
特性より求める。 光学的バンドギャップ(Egopt):分光特性から吸収係数
(α)を求め、数1式の関係より決定。
【数1】 膜中水素量〔C(H)〕:赤外吸収スペクトルから29
00cm-1近のピークを積分し、吸収断面積Aを掛けて
求める。すなわち、 〔C(H)〕=A・∫α(ν)/ν・dν SP3/SP2比 :赤外吸収スペクトルを、SP
3,SP2にそれぞれ帰属されるガウス関数に分解し、そ
の面積比より求める。 ビッカース硬度(H) :マイクロビッカース計によ
る。 屈折率(n) :エリプソメーターによる。 欠陥密度 :ESRによる。 こうして形成される硬質炭素膜はIR吸収法及びラマン
分光法による分析の結果、夫々、図2及び図3に示すよ
うに炭素原子がSP3の混成軌道とSP2の混成軌道とを
形成した原子間結合が混在していることが明らかになっ
ている。SP3結合とSP2結合の比率は、IRスペクト
ルをピーク分離することで概ね推定できる。IRスペク
トルには、2800〜3150cm-1に多くのモードの
スペクトルが重なって測定されるが、それぞれの波数に
対応するピークの帰属は明らかになっており、図4に示
したごときガウス分布によってピーク分離を行ないそれ
ぞれのピーク面積を算出し、その比率を求めればSP3
/SP2を知ることができる。また、前記の硬質炭素膜
は、X線及び電子線回折分析によれば、アモルファス状
態(a−C:H)、及び/又は数10Å〜数μm程度の
微結晶粒を含むアモルファス状態にあることが判かる。
一般に量産に適しているプラズマCVD法の場合には、
RF出力が小さいほど膜の比抵抗値および硬度が増加
し、また低圧力なほど活性種の寿命が増加するために基
板温度の低温化、大面積での均一化が図れ、かつ比抵
抗、硬度が増加する傾向にある。更に、低圧力ではプラ
ズマ密度が減少するため、磁場閉じ込め効果を利用する
方法は比抵抗の増加には特に効果的である。さらにま
た、この方法(プラズマCVD法)は常温〜150℃程
度の比較的低い温度条件でも同様に良質の硬質炭素膜を
形成できるという特徴を有しているため、薄膜二端子素
子製造プロセスの低温化には最適である。従って、使用
する基板材料の選択自由度が広がり、基板温度をコント
ロールし易いために大面積に均一な膜が得られるという
特徴をもっている。硬質炭素膜の構造、物性は表1に示
したように、広範囲に制御可能であるため、デバイス特
性を自由に設計できる利点もある。さらには膜の誘電率
も3〜5と従来のMIM素子に使用されていたTa
2O5,Al2O3,SiNx等と比較して小さいため、同
じ電気容量を持った素子を作る場合、素子サイズが大き
くてすむので、それほど微細加工を必要とせず、歩留り
が向上する(駆動条件の関係からLCDとMIM素子と
の容量比はC(LCD):C(MIM)=10:1程度
必要である)。さらに膜の硬度が高いため、液晶材料封
入時のラビング工程による損傷が少なくこの点からも歩
留りが向上する。液晶駆動用薄膜二端子素子として好適
な硬質炭素膜は、駆動条件から膜厚が100〜8000
Å、比抵抗が106〜1013Ω・cmの範囲であること
が有利である。なお、駆動電圧と耐圧(絶縁破壊電圧)
とのマージンを考慮すると膜厚は200Å以上であるこ
とが望ましく、また、画素部と薄膜二端子素子部の段差
(セルギャップ差)に起因する色むらが実用上問題とな
らないようにするには膜厚は6000Å以下であること
が望ましいことから、硬質炭素膜の膜厚は200〜60
00Å、比抵抗は5×106〜1012Ω・cmであるこ
とがより好ましい。
00cm-1近のピークを積分し、吸収断面積Aを掛けて
求める。すなわち、 〔C(H)〕=A・∫α(ν)/ν・dν SP3/SP2比 :赤外吸収スペクトルを、SP
3,SP2にそれぞれ帰属されるガウス関数に分解し、そ
の面積比より求める。 ビッカース硬度(H) :マイクロビッカース計によ
る。 屈折率(n) :エリプソメーターによる。 欠陥密度 :ESRによる。 こうして形成される硬質炭素膜はIR吸収法及びラマン
分光法による分析の結果、夫々、図2及び図3に示すよ
うに炭素原子がSP3の混成軌道とSP2の混成軌道とを
形成した原子間結合が混在していることが明らかになっ
ている。SP3結合とSP2結合の比率は、IRスペクト
ルをピーク分離することで概ね推定できる。IRスペク
トルには、2800〜3150cm-1に多くのモードの
スペクトルが重なって測定されるが、それぞれの波数に
対応するピークの帰属は明らかになっており、図4に示
したごときガウス分布によってピーク分離を行ないそれ
ぞれのピーク面積を算出し、その比率を求めればSP3
/SP2を知ることができる。また、前記の硬質炭素膜
は、X線及び電子線回折分析によれば、アモルファス状
態(a−C:H)、及び/又は数10Å〜数μm程度の
微結晶粒を含むアモルファス状態にあることが判かる。
一般に量産に適しているプラズマCVD法の場合には、
RF出力が小さいほど膜の比抵抗値および硬度が増加
し、また低圧力なほど活性種の寿命が増加するために基
板温度の低温化、大面積での均一化が図れ、かつ比抵
抗、硬度が増加する傾向にある。更に、低圧力ではプラ
ズマ密度が減少するため、磁場閉じ込め効果を利用する
方法は比抵抗の増加には特に効果的である。さらにま
た、この方法(プラズマCVD法)は常温〜150℃程
度の比較的低い温度条件でも同様に良質の硬質炭素膜を
形成できるという特徴を有しているため、薄膜二端子素
子製造プロセスの低温化には最適である。従って、使用
する基板材料の選択自由度が広がり、基板温度をコント
ロールし易いために大面積に均一な膜が得られるという
特徴をもっている。硬質炭素膜の構造、物性は表1に示
したように、広範囲に制御可能であるため、デバイス特
性を自由に設計できる利点もある。さらには膜の誘電率
も3〜5と従来のMIM素子に使用されていたTa
2O5,Al2O3,SiNx等と比較して小さいため、同
じ電気容量を持った素子を作る場合、素子サイズが大き
くてすむので、それほど微細加工を必要とせず、歩留り
が向上する(駆動条件の関係からLCDとMIM素子と
の容量比はC(LCD):C(MIM)=10:1程度
必要である)。さらに膜の硬度が高いため、液晶材料封
入時のラビング工程による損傷が少なくこの点からも歩
留りが向上する。液晶駆動用薄膜二端子素子として好適
な硬質炭素膜は、駆動条件から膜厚が100〜8000
Å、比抵抗が106〜1013Ω・cmの範囲であること
が有利である。なお、駆動電圧と耐圧(絶縁破壊電圧)
とのマージンを考慮すると膜厚は200Å以上であるこ
とが望ましく、また、画素部と薄膜二端子素子部の段差
(セルギャップ差)に起因する色むらが実用上問題とな
らないようにするには膜厚は6000Å以下であること
が望ましいことから、硬質炭素膜の膜厚は200〜60
00Å、比抵抗は5×106〜1012Ω・cmであるこ
とがより好ましい。
【0012】本発明者らは、先に絶縁膜として硬質炭素
膜を使用したMIM素子を提案したが、絶縁膜の厚さは
20〜100Åと薄いものであった。この絶縁膜の場
合、その伝導機構はトンネル伝導であり、むしろ高速ス
イッチやトンネル発光等、超薄膜素子としての応用には
適している。しかし、液晶表示装置等に応用する場合
は、硬質炭素膜のピンホールによる素子の欠陥数は膜厚
が減少にともなって増加し、300Å以下では特に顕著
になること(欠陥率は1%を超える)、及び、膜厚の面
内分布の均一性(ひいては素子特性の均一性)が確保で
きなくなる(膜厚制御の精度は30Å程度が限度で、膜
厚のバラツキが10%を超える)ことから、膜厚は30
0Å以上であることがより望ましい。また、ストレスに
よる硬質炭素膜の剥離が起こりにくくするため、及び、
より低デューティ比(望ましくは1/1000以下)で
駆動するために、膜厚は4000Å以下であることがよ
り望ましい。これらを総合して考慮すると、硬質炭素膜
の膜厚は300〜4000Å、比抵抗は107〜1011
Ω・cmであることが一層好ましい。
膜を使用したMIM素子を提案したが、絶縁膜の厚さは
20〜100Åと薄いものであった。この絶縁膜の場
合、その伝導機構はトンネル伝導であり、むしろ高速ス
イッチやトンネル発光等、超薄膜素子としての応用には
適している。しかし、液晶表示装置等に応用する場合
は、硬質炭素膜のピンホールによる素子の欠陥数は膜厚
が減少にともなって増加し、300Å以下では特に顕著
になること(欠陥率は1%を超える)、及び、膜厚の面
内分布の均一性(ひいては素子特性の均一性)が確保で
きなくなる(膜厚制御の精度は30Å程度が限度で、膜
厚のバラツキが10%を超える)ことから、膜厚は30
0Å以上であることがより望ましい。また、ストレスに
よる硬質炭素膜の剥離が起こりにくくするため、及び、
より低デューティ比(望ましくは1/1000以下)で
駆動するために、膜厚は4000Å以下であることがよ
り望ましい。これらを総合して考慮すると、硬質炭素膜
の膜厚は300〜4000Å、比抵抗は107〜1011
Ω・cmであることが一層好ましい。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。 実施例1 パイレックス基板上に、図1に示すような薄膜二端子素
子を以下のように作製した。まず、ITOをスパッタリ
ング法により500Å厚に堆積後、パターニングして画
素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により600Å
厚に堆積後、パターニングして下部導体1を形成した。
Alの成膜条件は以下の通りとした。 圧 力:4.0×10-6Torr 成膜速度:10Å/sec Al膜中の酸素量は15原子%であった。次いで硬質炭
素膜をプラズマCVD法により900Å堆積させたの
ち、ドライエッチングによりパターンニングし、絶縁膜
2とした。さらに、この上にNiをEB蒸着法により1
000Å厚に堆積後、パターニングして上部導体3を形
成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以下の通りであ
る。 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.3W/cm2 実施例2 プラスチック基板上に、図6に示すような薄膜二端子素
子を以下のように作製した。まず、ITOをスパッタリ
ング法により700Å厚に堆積後、パターンニングして
画素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により100
0Å厚に堆積後、パターンニングして下部導体1を形成
した。Alの成膜条件は以下の通りとした。 圧 力:2.0×10-6Torr 成膜速度:12Å/sec Al膜中の酸素量は10原子%であった。次いで硬質炭
素膜をプラズマCVD法により1100Å堆積させたの
ち、NiをEB蒸着法により1000Å堆積させた。N
i、硬質炭素膜を順次エッチングし、上部導体3、絶縁
膜2を形成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以下の
通りである。 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.6W/cm2
らに限定されるものではない。 実施例1 パイレックス基板上に、図1に示すような薄膜二端子素
子を以下のように作製した。まず、ITOをスパッタリ
ング法により500Å厚に堆積後、パターニングして画
素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により600Å
厚に堆積後、パターニングして下部導体1を形成した。
Alの成膜条件は以下の通りとした。 圧 力:4.0×10-6Torr 成膜速度:10Å/sec Al膜中の酸素量は15原子%であった。次いで硬質炭
素膜をプラズマCVD法により900Å堆積させたの
ち、ドライエッチングによりパターンニングし、絶縁膜
2とした。さらに、この上にNiをEB蒸着法により1
000Å厚に堆積後、パターニングして上部導体3を形
成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以下の通りであ
る。 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.3W/cm2 実施例2 プラスチック基板上に、図6に示すような薄膜二端子素
子を以下のように作製した。まず、ITOをスパッタリ
ング法により700Å厚に堆積後、パターンニングして
画素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により100
0Å厚に堆積後、パターンニングして下部導体1を形成
した。Alの成膜条件は以下の通りとした。 圧 力:2.0×10-6Torr 成膜速度:12Å/sec Al膜中の酸素量は10原子%であった。次いで硬質炭
素膜をプラズマCVD法により1100Å堆積させたの
ち、NiをEB蒸着法により1000Å堆積させた。N
i、硬質炭素膜を順次エッチングし、上部導体3、絶縁
膜2を形成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以下の
通りである。 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.6W/cm2
【0014】
【効果】本発明の薄膜二端子素子は絶縁膜に硬質炭素膜
を用いており、この硬質炭素膜は、 1) プラズマCVD法等の気相合成法で作製されるた
め、成膜条件によって物性が広範に制御でき、従ってデ
バイス設計上の自由度が大きい、 2) 硬質でしかも厚膜にできるため、機械的損傷を受
け難く、また厚膜化によるピンホールの減少も期待でき
る、 3) 室温付近の低温においても良質な膜を形成できる
ので、基板材質に制約がない、 4) 膜厚、膜質の均一性に優れているため、薄膜デバ
イス用として適している、 5) 誘電率が低いので、高度の微細加工技術を必要と
せず、従って素子の大面積化に有利であり、さらに誘電
率が低いので素子の急峻性が高く、Ion/Ioff 比がと
れるので、低デューティ比での駆動が可能である、等の
特長を有し、また、下部電極中の酸素含有量を特定の範
囲にコントロールすることで耐環境性の点ですぐれてい
るので特に信頼性の高い液晶表示用スイッチング素子と
して好適である。
を用いており、この硬質炭素膜は、 1) プラズマCVD法等の気相合成法で作製されるた
め、成膜条件によって物性が広範に制御でき、従ってデ
バイス設計上の自由度が大きい、 2) 硬質でしかも厚膜にできるため、機械的損傷を受
け難く、また厚膜化によるピンホールの減少も期待でき
る、 3) 室温付近の低温においても良質な膜を形成できる
ので、基板材質に制約がない、 4) 膜厚、膜質の均一性に優れているため、薄膜デバ
イス用として適している、 5) 誘電率が低いので、高度の微細加工技術を必要と
せず、従って素子の大面積化に有利であり、さらに誘電
率が低いので素子の急峻性が高く、Ion/Ioff 比がと
れるので、低デューティ比での駆動が可能である、等の
特長を有し、また、下部電極中の酸素含有量を特定の範
囲にコントロールすることで耐環境性の点ですぐれてい
るので特に信頼性の高い液晶表示用スイッチング素子と
して好適である。
【図1】本発明のMIM素子の1例を示す図である。
【図2】本発明で使用した硬質炭素膜をIR吸収法で分
析した結果を示すIRスペクトル図である。
析した結果を示すIRスペクトル図である。
【図3】本発明で使用した硬質炭素膜をラマン分光法で
分析した結果を示すラマンスペクトル図である。
分析した結果を示すラマンスペクトル図である。
【図4】図2のIRスペクトルのガウス分布を示す図で
ある。
ある。
【図5】本発明のMIM素子の他の1例を示す斜視図で
ある。
ある。
1 下部導体 2 絶縁膜 3 上部導体 4 画素電極
フロントページの続き (72)発明者 高橋 正悦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 田辺 誠 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山田 勝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 亀山 健司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平3−290625(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1365 H01L 49/02
Claims (1)
- 【請求項1】 下部電極と上部電極との間に、絶縁膜を
介在させてなる薄膜二端子素子において、絶縁膜として
硬質炭素膜を使用し下部電極に含有される酸素含有量が
8原子%以上30原子%以下であることを特徴とする薄
膜二端子素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10164692A JP3155332B2 (ja) | 1991-06-21 | 1992-03-27 | スイッチング素子 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17761091 | 1991-06-21 | ||
JP3-177610 | 1991-06-21 | ||
JP10164692A JP3155332B2 (ja) | 1991-06-21 | 1992-03-27 | スイッチング素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05119355A JPH05119355A (ja) | 1993-05-18 |
JP3155332B2 true JP3155332B2 (ja) | 2001-04-09 |
Family
ID=26442498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10164692A Expired - Fee Related JP3155332B2 (ja) | 1991-06-21 | 1992-03-27 | スイッチング素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3155332B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4541787B2 (ja) * | 2004-07-06 | 2010-09-08 | 株式会社神戸製鋼所 | 表示デバイス |
JP5096522B2 (ja) * | 2010-05-27 | 2012-12-12 | 株式会社神戸製鋼所 | 表示デバイス |
-
1992
- 1992-03-27 JP JP10164692A patent/JP3155332B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05119355A (ja) | 1993-05-18 |
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