JP3132835B2 - 被覆された塩化ビニル樹脂シートの製造方法および塗料組成物 - Google Patents
被覆された塩化ビニル樹脂シートの製造方法および塗料組成物Info
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- JP3132835B2 JP3132835B2 JP02412091A JP41209190A JP3132835B2 JP 3132835 B2 JP3132835 B2 JP 3132835B2 JP 02412091 A JP02412091 A JP 02412091A JP 41209190 A JP41209190 A JP 41209190A JP 3132835 B2 JP3132835 B2 JP 3132835B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被覆された塩化ビニル
樹脂シートの製造方法および塗料組成物に関する。
樹脂シートの製造方法および塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル樹脂シート表面に対し
て、その成分中の可塑剤の浸み出しを防ぎ、かつ汚れの
付着を低減するとともに、付着した汚れの除去を容易に
する目的で、フッ化ビニリデン樹脂フィルムのラミネー
ト、アクリル系樹脂の被覆などの処理がなされてきた。
しかしながらフッ化ビニリデン樹脂フィルムなどのラミ
ネートは、下地塩化ビニル樹脂フィルムの大きさが規定
されるなど、自由な加工性が制限を受ける。
て、その成分中の可塑剤の浸み出しを防ぎ、かつ汚れの
付着を低減するとともに、付着した汚れの除去を容易に
する目的で、フッ化ビニリデン樹脂フィルムのラミネー
ト、アクリル系樹脂の被覆などの処理がなされてきた。
しかしながらフッ化ビニリデン樹脂フィルムなどのラミ
ネートは、下地塩化ビニル樹脂フィルムの大きさが規定
されるなど、自由な加工性が制限を受ける。
【0003】アクリル系樹脂などの被覆は、主として架
橋反応を伴わない溶剤の揮発乾燥により成膜するラッカ
ータイプであるために、生産加工性は良好である。しか
し、目的である塩化ビニル樹脂シートからの可塑剤の浸
み出しを充分に防ぎきれず、かつ汚れも付着しやすい。
付着した汚れの除去も、例えば溶剤で行うと被膜も溶解
してしまうなど、性能面に問題があった。
橋反応を伴わない溶剤の揮発乾燥により成膜するラッカ
ータイプであるために、生産加工性は良好である。しか
し、目的である塩化ビニル樹脂シートからの可塑剤の浸
み出しを充分に防ぎきれず、かつ汚れも付着しやすい。
付着した汚れの除去も、例えば溶剤で行うと被膜も溶解
してしまうなど、性能面に問題があった。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術が有していた前述の欠点を解決しようとする。すな
わち、フッ化ビニリデン樹脂フィルムラミネート品に匹
敵する性能で、かつアクリル系樹脂などの被覆と同様の
良好な生産加工性を有する被覆された塩化ビニル樹脂シ
ートの製造方法を提供することを目的とする。
技術が有していた前述の欠点を解決しようとする。すな
わち、フッ化ビニリデン樹脂フィルムラミネート品に匹
敵する性能で、かつアクリル系樹脂などの被覆と同様の
良好な生産加工性を有する被覆された塩化ビニル樹脂シ
ートの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】このためには、塩化ビニル樹脂シート上
に、従来から使用されている、アクリル系樹脂などを塗
布、乾燥し、巻き取る装置を使用して、かつフッ化ビニ
リデン樹脂フィルムに匹敵する性能を有する架橋した塗
料組成物による被膜を形成する必要がある。
に、従来から使用されている、アクリル系樹脂などを塗
布、乾燥し、巻き取る装置を使用して、かつフッ化ビニ
リデン樹脂フィルムに匹敵する性能を有する架橋した塗
料組成物による被膜を形成する必要がある。
【0006】塗料としての充分な可使時間は、常温にお
いて5時間以上必要である。乾燥条件としては、温度は
40℃〜200℃、好ましくは80℃〜120℃であ
る。40℃未満では乾燥スピードが遅くなり、200℃
を越えると塩化ビニル樹脂シート自体の熱分解や可塑剤
の揮発が著しくなってしまう。乾燥時間は、塗布速度と
乾燥炉の長さの関係で決定され、5秒〜20分、生産性
と実用上、好ましくは20秒〜3分、であり、5秒未満
では塗料中の溶剤の乾燥は不充分で、20分を越えると
生産性が低い。
いて5時間以上必要である。乾燥条件としては、温度は
40℃〜200℃、好ましくは80℃〜120℃であ
る。40℃未満では乾燥スピードが遅くなり、200℃
を越えると塩化ビニル樹脂シート自体の熱分解や可塑剤
の揮発が著しくなってしまう。乾燥時間は、塗布速度と
乾燥炉の長さの関係で決定され、5秒〜20分、生産性
と実用上、好ましくは20秒〜3分、であり、5秒未満
では塗料中の溶剤の乾燥は不充分で、20分を越えると
生産性が低い。
【0007】塗料は、上述の乾燥条件において充分に架
橋反応が進行し、塩化ビニル樹脂シートが巻き取られた
とき、ブロッキングを生じないことが必要である。
橋反応が進行し、塩化ビニル樹脂シートが巻き取られた
とき、ブロッキングを生じないことが必要である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、以下の(1)〜
(3)の発明である。 (1)活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素共重合
体(a)および(a)と相溶する、アクリル酸またはメ
タクリル酸の炭素数1〜12のアルコールエステルに基
づくアクリル系重合体(b)を主成分とし、架橋剤とし
てポリイソシアネート化合物(c)を含み、さらに、室
温における活性が低く、40〜200℃において高活性
触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)を主成分に
対し0.001〜5重量%の割合で含有する塗料組成
物。 (2)活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素共重合
体(a)および(a)と相溶する、アクリル酸またはメ
タクリル酸の炭素数1〜12のアルコールエステルに基
づくアクリル系重合体(b)を主成分とし、架橋剤とし
てポリイソシアネート化合物(c)を含み、さらに、環
状アミンの有機酸ブロック体または3級アミンの有機酸
ブロック体を主成分に対し0.001〜5重量%の割合
で含有する塗料組成物。 (3)上記(1)または(2)の塗料組成物を塩化ビニ
ル樹脂シート上に塗布し、40〜200℃において5秒
〜20分の範囲で乾燥後、前記塩化ビニル樹脂シートを
巻き取ることを特徴とする被覆された塩化ビニル樹脂シ
ートの製造方法。
を解決すべくなされたものであり、以下の(1)〜
(3)の発明である。 (1)活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素共重合
体(a)および(a)と相溶する、アクリル酸またはメ
タクリル酸の炭素数1〜12のアルコールエステルに基
づくアクリル系重合体(b)を主成分とし、架橋剤とし
てポリイソシアネート化合物(c)を含み、さらに、室
温における活性が低く、40〜200℃において高活性
触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)を主成分に
対し0.001〜5重量%の割合で含有する塗料組成
物。 (2)活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素共重合
体(a)および(a)と相溶する、アクリル酸またはメ
タクリル酸の炭素数1〜12のアルコールエステルに基
づくアクリル系重合体(b)を主成分とし、架橋剤とし
てポリイソシアネート化合物(c)を含み、さらに、環
状アミンの有機酸ブロック体または3級アミンの有機酸
ブロック体を主成分に対し0.001〜5重量%の割合
で含有する塗料組成物。 (3)上記(1)または(2)の塗料組成物を塩化ビニ
ル樹脂シート上に塗布し、40〜200℃において5秒
〜20分の範囲で乾燥後、前記塩化ビニル樹脂シートを
巻き取ることを特徴とする被覆された塩化ビニル樹脂シ
ートの製造方法。
【0009】本発明における塩化ビニル樹脂シートとし
ては、一般に硬質塩化ビニル樹脂シート、軟質塩化ビニ
ル樹脂シート、塩化ビニル樹脂被覆鋼板、塩化ビニル樹
脂積層ポリエステルシートなどが例示される。なかでも
軟質塩化ビニル樹脂シートが最も一般的に用いられてい
る。本発明における塩化ビニル樹脂シートとしては、塩
化ビニルの単独重合体のほかに、塩化ビニルと、酢酸ビ
ニル、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステルなどの単量体の少なくとも1種の4
0重量%以下、好ましくは30重量%以下の量との共重
合体でもよく、該単独重合体または該共重合体に対して
相溶性のある重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などがブレンド
されていてもよい。また、本発明における塩化ビニル樹
脂シートには、適当量の可塑剤が配合され、軟質塩化ビ
ニル樹脂シートとして使用されることが多い。可塑剤の
配合量としては、塩化ビニル樹脂100重量部当たり、
30〜70重量部程度の範囲が好ましく採用される。可
塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチ
ル、アジピン酸ジイソデシル、リン酸トリクレジル、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などが例示され
る。また、本発明における塩化ビニル樹脂シートには、
滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、着色剤、難
燃剤などの通常の添加剤が添加されていてもよい。
ては、一般に硬質塩化ビニル樹脂シート、軟質塩化ビニ
ル樹脂シート、塩化ビニル樹脂被覆鋼板、塩化ビニル樹
脂積層ポリエステルシートなどが例示される。なかでも
軟質塩化ビニル樹脂シートが最も一般的に用いられてい
る。本発明における塩化ビニル樹脂シートとしては、塩
化ビニルの単独重合体のほかに、塩化ビニルと、酢酸ビ
ニル、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステルなどの単量体の少なくとも1種の4
0重量%以下、好ましくは30重量%以下の量との共重
合体でもよく、該単独重合体または該共重合体に対して
相溶性のある重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などがブレンド
されていてもよい。また、本発明における塩化ビニル樹
脂シートには、適当量の可塑剤が配合され、軟質塩化ビ
ニル樹脂シートとして使用されることが多い。可塑剤の
配合量としては、塩化ビニル樹脂100重量部当たり、
30〜70重量部程度の範囲が好ましく採用される。可
塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチ
ル、アジピン酸ジイソデシル、リン酸トリクレジル、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などが例示され
る。また、本発明における塩化ビニル樹脂シートには、
滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、着色剤、難
燃剤などの通常の添加剤が添加されていてもよい。
【0010】本発明の塗料組成物は、活性水素を持つ架
橋部位を有する含フッ素共重合体(a)および(a)と
相溶する、アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜
12のアルコールエステルに基づくアクリル系重合体
(b)を主成分とする。
橋部位を有する含フッ素共重合体(a)および(a)と
相溶する、アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜
12のアルコールエステルに基づくアクリル系重合体
(b)を主成分とする。
【0011】活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素
共重合体(a)としては、フルオロオレフィン単位に基
づくフッ素含有量が10重量%以上である溶剤可溶性含
フッ素共重合体が好ましく採用される。
共重合体(a)としては、フルオロオレフィン単位に基
づくフッ素含有量が10重量%以上である溶剤可溶性含
フッ素共重合体が好ましく採用される。
【0012】含フッ素共重合体(a)としては、フルオ
ロオレフィン単位に基づくフッ素含有量が好ましくは1
0〜70重量%、さらに好ましくは15〜50重量%で
あって、未硬化の状態でテトラヒドロフラン中で測定さ
れる固有粘度が、0.01〜4.0dl/gのものがよ
り好ましい。フッ素含有量が10重量%より少ないと、
目的とする耐汚れ性の向上効果は低下する。また、固有
粘度が上記の範囲において、塗料としての塗装性が良好
となり、しかも形成される被膜の物性も優れたものとな
る。かかる含フッ素共重合体(a)としては、フルオロ
オレフィンおよびフルオロオレフィンと共重合可能な共
単量体としてのエチレン性不飽和化合物との共重合体が
好ましく採用される。
ロオレフィン単位に基づくフッ素含有量が好ましくは1
0〜70重量%、さらに好ましくは15〜50重量%で
あって、未硬化の状態でテトラヒドロフラン中で測定さ
れる固有粘度が、0.01〜4.0dl/gのものがよ
り好ましい。フッ素含有量が10重量%より少ないと、
目的とする耐汚れ性の向上効果は低下する。また、固有
粘度が上記の範囲において、塗料としての塗装性が良好
となり、しかも形成される被膜の物性も優れたものとな
る。かかる含フッ素共重合体(a)としては、フルオロ
オレフィンおよびフルオロオレフィンと共重合可能な共
単量体としてのエチレン性不飽和化合物との共重合体が
好ましく採用される。
【0013】かかるフルオロオレフィンとしてはテトラ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリ
フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロ
プロピレン、ペンタフルオロプロピレンなどが例示され
る。これらのうち、特にテトラフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフ
ルオロプロピレンが好ましく採用される。また、フルオ
ロオレフィンと共重合可能な単量体としてのエチレン性
不飽和化合物としては、オレフィン類、アルキルビニル
エーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテ
ル類、アリルエステル類、アクリロイル基含有の化合
物、メタクリロイル基含有の化合物などが例示される。
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリ
フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロ
プロピレン、ペンタフルオロプロピレンなどが例示され
る。これらのうち、特にテトラフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフ
ルオロプロピレンが好ましく採用される。また、フルオ
ロオレフィンと共重合可能な単量体としてのエチレン性
不飽和化合物としては、オレフィン類、アルキルビニル
エーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテ
ル類、アリルエステル類、アクリロイル基含有の化合
物、メタクリロイル基含有の化合物などが例示される。
【0014】これらのうち、特にフルオロオレフィン類
との共重合性に優れるオレフィン類、アルキルビニルエ
ーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテル
類であって炭素数1〜10程度の直鎖状、分岐状または
脂環状のアルキル基を有するものが好ましい。
との共重合性に優れるオレフィン類、アルキルビニルエ
ーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテル
類であって炭素数1〜10程度の直鎖状、分岐状または
脂環状のアルキル基を有するものが好ましい。
【0015】含フッ素共重合体(a)は、フルオロオレ
フィンに基づく単位は30〜70モル%含有するのが好
ましい。30モル%未満であると耐候性の向上効果が充
分でなく、70モル%を越えると溶剤に対する溶解性が
低下する傾向があり、塗布作業に支障を生ずることがあ
る。また、含フッ素共重合体(a)のフルオロオレフィ
ンおよびエチレン性不飽和化合物は、それぞれ単独であ
ってもよいし、2種以上が併用されたものであってもよ
い。
フィンに基づく単位は30〜70モル%含有するのが好
ましい。30モル%未満であると耐候性の向上効果が充
分でなく、70モル%を越えると溶剤に対する溶解性が
低下する傾向があり、塗布作業に支障を生ずることがあ
る。また、含フッ素共重合体(a)のフルオロオレフィ
ンおよびエチレン性不飽和化合物は、それぞれ単独であ
ってもよいし、2種以上が併用されたものであってもよ
い。
【0016】本発明における含フッ素共重合体(a)と
しては、他の成分、硬化剤、または含フッ素共重合体間
で反応して三次元網状構造を形成し、被膜の耐溶剤性、
耐酸性、耐アルカリ性が向上するという好ましい結果を
与えるので、架橋部位を有するものが採用される。
しては、他の成分、硬化剤、または含フッ素共重合体間
で反応して三次元網状構造を形成し、被膜の耐溶剤性、
耐酸性、耐アルカリ性が向上するという好ましい結果を
与えるので、架橋部位を有するものが採用される。
【0017】架橋部位としては、水酸基、カルボキシル
基、酸アミド基、アミノ基、メルカプト基などの活性水
素含有基が挙げられる。
基、酸アミド基、アミノ基、メルカプト基などの活性水
素含有基が挙げられる。
【0018】これらのうち架橋剤として使用されるポリ
イソシアネート化合物(c)との反応性に優れるという
点において、特に水酸基が好適である。
イソシアネート化合物(c)との反応性に優れるという
点において、特に水酸基が好適である。
【0019】かかる架橋部位の含フッ素共重合体への導
入には、例えばヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒ
ドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアリール
ビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸などの架橋
反応部位を有する単量体を共重合せしめる方法、含フッ
素共重合体に酸無水物などを反応させて付加せしめる方
法、などが採用される。また、含フッ素共重合体の一部
を加水分解させてカルボキシル基または水酸基を生成せ
しめる方法として、加水分解可能なエステルである単量
体を共重合せしめた含フッ素重合体を加水分解すること
により、含フッ素共重合体中にカルボキシル基または水
酸基を生成せしめる方法も採用される。さらに、水酸基
含有含フッ素共重合体に、コハク酸などの二価カルボン
酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入する方法も
採用される。
入には、例えばヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒ
ドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアリール
ビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸などの架橋
反応部位を有する単量体を共重合せしめる方法、含フッ
素共重合体に酸無水物などを反応させて付加せしめる方
法、などが採用される。また、含フッ素共重合体の一部
を加水分解させてカルボキシル基または水酸基を生成せ
しめる方法として、加水分解可能なエステルである単量
体を共重合せしめた含フッ素重合体を加水分解すること
により、含フッ素共重合体中にカルボキシル基または水
酸基を生成せしめる方法も採用される。さらに、水酸基
含有含フッ素共重合体に、コハク酸などの二価カルボン
酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入する方法も
採用される。
【0020】本発明における含フッ素共重合体(a)と
相溶する、アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜
12のアルコールエステルに基づくアクリル系重合体
(b)は、分子量500〜80,000が好ましい。該
アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜12のアル
コールエステルとしては、メチルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリ
レート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、tert−ブチルメタクリレート、n−ブチルア
クリレートおよびtert−ブチルアクリレートなどが
例示される。本発明におけるアクリル系重合体(b)と
しては、好ましくは、上記例示の単量体の2種以上より
なる共重合体、または上記例示以外のアクリル酸のアル
コールエステル、スチレン、マレイン酸、ビニルエステ
ル類(酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、ビニルシランなどとの共重合体が使用され
る。アクリル系重合体(b)が架橋部位を有する場合、
アクリル系重合体(b)は含フッ素共重合体(a)の架
橋部位との反応によって架橋され、塗料組成物の被膜は
三次元網状構造となり、優れた特性を示すのでさらに好
ましい。
相溶する、アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜
12のアルコールエステルに基づくアクリル系重合体
(b)は、分子量500〜80,000が好ましい。該
アクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜12のアル
コールエステルとしては、メチルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリ
レート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、tert−ブチルメタクリレート、n−ブチルア
クリレートおよびtert−ブチルアクリレートなどが
例示される。本発明におけるアクリル系重合体(b)と
しては、好ましくは、上記例示の単量体の2種以上より
なる共重合体、または上記例示以外のアクリル酸のアル
コールエステル、スチレン、マレイン酸、ビニルエステ
ル類(酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、ビニルシランなどとの共重合体が使用され
る。アクリル系重合体(b)が架橋部位を有する場合、
アクリル系重合体(b)は含フッ素共重合体(a)の架
橋部位との反応によって架橋され、塗料組成物の被膜は
三次元網状構造となり、優れた特性を示すのでさらに好
ましい。
【0021】アクリル系重合体(b)の架橋部位として
は、水酸基であるのが好適であり、水酸基の導入は、例
えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリ
レート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒ
ドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメ
タクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4
−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレートなどの単量体と、前記
のアクリル系重合体または共重合体を与える共単量体と
を共重合させることによって行われる。
は、水酸基であるのが好適であり、水酸基の導入は、例
えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリ
レート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒ
ドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメ
タクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4
−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレートなどの単量体と、前記
のアクリル系重合体または共重合体を与える共単量体と
を共重合させることによって行われる。
【0022】アクリル系重合体(b)は、架橋部位を有
するアクリル系重合体と架橋部位を有さないアクリル系
重合体との混合物であってもよい。架橋部位を有さない
アクリル系重合体の好ましい割合は、架橋部位を有する
アクリル系重合体に対し50重量%までである。
するアクリル系重合体と架橋部位を有さないアクリル系
重合体との混合物であってもよい。架橋部位を有さない
アクリル系重合体の好ましい割合は、架橋部位を有する
アクリル系重合体に対し50重量%までである。
【0023】さらに、本発明の塗料組成物の主成分であ
る含フッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体
(b)に対し、架橋剤を配合する。この架橋剤は、含フ
ッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体(b)と相
溶し、該主成分を硬化せしめるものが用いられる。かか
る架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物(c)が
採用される。例えばヘキサメチレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネートなどの無黄変ジイソシアネ
ート類およびその付加物、イソシアネート基をフェノー
ルなどのブロック化剤でブロックしたブロックイソシア
ネートなどが好適なものとして採用し得る。
る含フッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体
(b)に対し、架橋剤を配合する。この架橋剤は、含フ
ッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体(b)と相
溶し、該主成分を硬化せしめるものが用いられる。かか
る架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物(c)が
採用される。例えばヘキサメチレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネートなどの無黄変ジイソシアネ
ート類およびその付加物、イソシアネート基をフェノー
ルなどのブロック化剤でブロックしたブロックイソシア
ネートなどが好適なものとして採用し得る。
【0024】架橋剤とともに硬化すなわち架橋を促進さ
せる目的で、触媒が併用されてもよい。例えばジブチル
スズジラウレート(DBTDL)が、含フッ素共重合体
(a)の100重量部に対し0.001〜2重量部の割
合で用いられる場合がある。
せる目的で、触媒が併用されてもよい。例えばジブチル
スズジラウレート(DBTDL)が、含フッ素共重合体
(a)の100重量部に対し0.001〜2重量部の割
合で用いられる場合がある。
【0025】これに対し、室温では活性が低く充分な可
使時間を与えかつ、乾燥条件の40〜200℃において
高活性触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)の1
種以上を、主成分(活性水素を持つ架橋部位を有する含
フッ素共重合体(a)および(a)と相溶するアクリル
系重合体(b))に対し0.001〜5重量%必須成分
として加える。
使時間を与えかつ、乾燥条件の40〜200℃において
高活性触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)の1
種以上を、主成分(活性水素を持つ架橋部位を有する含
フッ素共重合体(a)および(a)と相溶するアクリル
系重合体(b))に対し0.001〜5重量%必須成分
として加える。
【0026】かかるアミン有機酸塩類(d)としては、
一般に遅延性触媒と言われる感温性アミンまたはブロッ
クアミンの中から選ばれるものであり、これらにはピペ
ラジン、モルホリン誘導体といった環状アミンの有機酸
ブロック体または3級アミンの有機酸ブロック体の中か
ら選ばれるものが含まれる。特に1,8−ジアザビシク
ロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのフェノール塩、
オクタン酸塩、もしくは不飽和脂肪酸塩またはトリエチ
レンジアミンの有機酸ブロック体またはビス(2−ジメ
チルアミノエチル)エーテルの有機酸ブロック体等が好
ましく用いられる。
一般に遅延性触媒と言われる感温性アミンまたはブロッ
クアミンの中から選ばれるものであり、これらにはピペ
ラジン、モルホリン誘導体といった環状アミンの有機酸
ブロック体または3級アミンの有機酸ブロック体の中か
ら選ばれるものが含まれる。特に1,8−ジアザビシク
ロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのフェノール塩、
オクタン酸塩、もしくは不飽和脂肪酸塩またはトリエチ
レンジアミンの有機酸ブロック体またはビス(2−ジメ
チルアミノエチル)エーテルの有機酸ブロック体等が好
ましく用いられる。
【0027】本発明の塗料組成物における主要構成成分
のそれぞれの割合は、含フッ素共重合体(a)は30〜
90重量%、アクリル系重合体(b)は10〜70重量
%であるのが好適である。含フッ素共重合体(a)が少
ないと、フッ素含有量が減少し、目的とする耐候性の向
上効果が達成されず、一方アクリル系重合体(b)が少
ないと、基材への接着性が低下する。含フッ素共重合体
(a)およびアクリル系重合体(b)は、それぞれ上記
の割合の範囲内において、1種に限定されることなく2
種以上を併用してもよい。架橋剤は、含フッ素共重合体
(a)とアクリル系重合体(b)の合計量に対し0重量
%超かつ20重量%以下の割合で用いられる。
のそれぞれの割合は、含フッ素共重合体(a)は30〜
90重量%、アクリル系重合体(b)は10〜70重量
%であるのが好適である。含フッ素共重合体(a)が少
ないと、フッ素含有量が減少し、目的とする耐候性の向
上効果が達成されず、一方アクリル系重合体(b)が少
ないと、基材への接着性が低下する。含フッ素共重合体
(a)およびアクリル系重合体(b)は、それぞれ上記
の割合の範囲内において、1種に限定されることなく2
種以上を併用してもよい。架橋剤は、含フッ素共重合体
(a)とアクリル系重合体(b)の合計量に対し0重量
%超かつ20重量%以下の割合で用いられる。
【0028】本発明の塗料組成物には、主要構成成分の
他に、含フッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体
(b)の合計量に対し、0.5〜3重量%の紫外線吸収
剤が含まれることによって耐候性をさらに向上させるこ
とができる。かかる紫外線吸収剤としては、従来公知な
いし周知の2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
(1−メチル−2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタ
クリロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフ
ェノン系または2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリ
アゾールなどのベンゾトリアゾール系のものが単独でま
たは併用して用いられる。
他に、含フッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体
(b)の合計量に対し、0.5〜3重量%の紫外線吸収
剤が含まれることによって耐候性をさらに向上させるこ
とができる。かかる紫外線吸収剤としては、従来公知な
いし周知の2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
(1−メチル−2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタ
クリロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフ
ェノン系または2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリ
アゾールなどのベンゾトリアゾール系のものが単独でま
たは併用して用いられる。
【0029】さらに、本発明の塗料組成物には、フルオ
ロアルキル基を有するアクリル系重合体(e)を添加
し、塩化ビニル樹脂シートの撥水性などを向上せしめて
もよい。かかるフルオロアルキル基を有するアクリル系
重合体(e)としては、前記含フッ素共重合体(a)ま
たはアクリル系重合体(b)と同様の架橋部位を有する
ものを採用すると、撥水性などが長期にわたって保持さ
れるため好ましい。かかるフルオロアルキル基を有する
アクリル系重合体(e)の添加量は、含フッ素共重合体
(a)およびアクリル系重合体(b)の合計の100重
量部当たり0.1〜30重量部程度の範囲で採用するこ
とが好ましい。
ロアルキル基を有するアクリル系重合体(e)を添加
し、塩化ビニル樹脂シートの撥水性などを向上せしめて
もよい。かかるフルオロアルキル基を有するアクリル系
重合体(e)としては、前記含フッ素共重合体(a)ま
たはアクリル系重合体(b)と同様の架橋部位を有する
ものを採用すると、撥水性などが長期にわたって保持さ
れるため好ましい。かかるフルオロアルキル基を有する
アクリル系重合体(e)の添加量は、含フッ素共重合体
(a)およびアクリル系重合体(b)の合計の100重
量部当たり0.1〜30重量部程度の範囲で採用するこ
とが好ましい。
【0030】その他、特性の向上を目的として、本発明
の塗料組成物には、例えば消泡剤、帯電防止剤、顔料、
分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤
などの添加剤を配合することもできる。顔料の配合は、
被膜の隠蔽性という効果を有する。
の塗料組成物には、例えば消泡剤、帯電防止剤、顔料、
分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤
などの添加剤を配合することもできる。顔料の配合は、
被膜の隠蔽性という効果を有する。
【0031】本発明の塗料組成物は、前記の如き、含フ
ッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体(b)など
の主要構成成分、さらに必要に応じ硬化剤、紫外線吸収
剤、フルオロアルキル基を有するアクリル系重合体
(e)、その他の添加剤を有機溶媒に溶解せしめること
によって得られる。用いられる溶媒としては、例えばト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、プロパノー
ル、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸
ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンなどのケトン類、エチルセロソルブな
どのグリコールエーテル類、さらに市販の各種シンナー
類など、種々の一般有機溶媒である。本発明の塗料組成
物成分の濃度としては、好ましくは1〜60重量%、よ
り好ましくは5〜50重量%に調製されてなるのが、被
膜を形成する作業性において好適である。
ッ素共重合体(a)およびアクリル系重合体(b)など
の主要構成成分、さらに必要に応じ硬化剤、紫外線吸収
剤、フルオロアルキル基を有するアクリル系重合体
(e)、その他の添加剤を有機溶媒に溶解せしめること
によって得られる。用いられる溶媒としては、例えばト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、プロパノー
ル、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸
ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンなどのケトン類、エチルセロソルブな
どのグリコールエーテル類、さらに市販の各種シンナー
類など、種々の一般有機溶媒である。本発明の塗料組成
物成分の濃度としては、好ましくは1〜60重量%、よ
り好ましくは5〜50重量%に調製されてなるのが、被
膜を形成する作業性において好適である。
【0032】本発明の塗料組成物の調製に際しては、例
えばボールミル、ペイントシェーカー、サンドミル、ジ
ェットミル、三本ロール、ニーダーなどの通常の塗料化
に用いられる種々の機器を用いることによって行われ、
特に限定されない。この際に、前記例示の如き添加剤を
添加することができる。
えばボールミル、ペイントシェーカー、サンドミル、ジ
ェットミル、三本ロール、ニーダーなどの通常の塗料化
に用いられる種々の機器を用いることによって行われ、
特に限定されない。この際に、前記例示の如き添加剤を
添加することができる。
【0033】本発明において、塩化ビニル樹脂シートに
塗料組成物の被膜を形成する方法としては、塩化ビニル
樹脂シート上に塗料組成物をハケ塗り、スプレー吹付、
フローコータなどにより塗布する、または塗料組成物中
に塩化ビニル樹脂シートを浸漬することによって塗布
し、40〜200℃において、5秒〜20分の範囲で乾
燥した後巻き取るのが好ましい。例えば80℃にて30
秒間の乾燥で充分である。
塗料組成物の被膜を形成する方法としては、塩化ビニル
樹脂シート上に塗料組成物をハケ塗り、スプレー吹付、
フローコータなどにより塗布する、または塗料組成物中
に塩化ビニル樹脂シートを浸漬することによって塗布
し、40〜200℃において、5秒〜20分の範囲で乾
燥した後巻き取るのが好ましい。例えば80℃にて30
秒間の乾燥で充分である。
【0034】形成される被膜の厚さは2〜100μmが
好ましく、該厚さにおいて充分な効果が認められる。被
膜の厚さの調整は、塗料組成物の成分濃度と塗布条件に
よって決定されるが、多層被膜が形成されても何ら問題
ない。塩化ビニル樹脂シートの形状も何ら限定されな
い。
好ましく、該厚さにおいて充分な効果が認められる。被
膜の厚さの調整は、塗料組成物の成分濃度と塗布条件に
よって決定されるが、多層被膜が形成されても何ら問題
ない。塩化ビニル樹脂シートの形状も何ら限定されな
い。
【0035】
【作用】本発明の塗料組成物は、活性水素を持つ架橋部
位を有する含フッ素共重合体(a)の耐候性、耐久性、
その表面張力からのすぐれた特徴と、アクリル系重合体
(b)による塩化ビニル樹脂シートに対する密着性、塗
装性などに加えて、ポリイソシアネート化合物(c)に
よる架橋により、塩化ビニル樹脂シートよりの可塑剤の
浸み出しを防ぎ、また外部よりの汚れの付着を防止する
優れた被膜を与える。実際に被覆された塩化ビニル樹脂
シートを得るためには、塗料組成物を塗布し、乾燥後、
巻き取る装置を使用して巻き取る。巻き取られたときに
ブロッキングを生じないための塗装上の工夫が必要であ
る。すなわち1回の塗布作業を考えると、塗料組成物を
混合後可使時間が8時間以上必要であり、40℃未満で
は乾燥が遅く、200℃を越えると塩化ビニル樹脂シー
トが劣化する。5秒〜20分の乾燥時間は塗布スピード
と乾燥炉の長さからくる制限である。これを実現するた
めに、室温における活性が低く、40〜200℃におい
て高活性触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)が
必要成分として有効に作用する。
位を有する含フッ素共重合体(a)の耐候性、耐久性、
その表面張力からのすぐれた特徴と、アクリル系重合体
(b)による塩化ビニル樹脂シートに対する密着性、塗
装性などに加えて、ポリイソシアネート化合物(c)に
よる架橋により、塩化ビニル樹脂シートよりの可塑剤の
浸み出しを防ぎ、また外部よりの汚れの付着を防止する
優れた被膜を与える。実際に被覆された塩化ビニル樹脂
シートを得るためには、塗料組成物を塗布し、乾燥後、
巻き取る装置を使用して巻き取る。巻き取られたときに
ブロッキングを生じないための塗装上の工夫が必要であ
る。すなわち1回の塗布作業を考えると、塗料組成物を
混合後可使時間が8時間以上必要であり、40℃未満で
は乾燥が遅く、200℃を越えると塩化ビニル樹脂シー
トが劣化する。5秒〜20分の乾燥時間は塗布スピード
と乾燥炉の長さからくる制限である。これを実現するた
めに、室温における活性が低く、40〜200℃におい
て高活性触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)が
必要成分として有効に作用する。
【0036】
【実施例】実施例(例1〜10)および比較例(例11
〜14) 表1に示す組成よりなる例1〜14の塗料組成物を調製
した。軟質塩化ビニル樹脂シートの表面に例1〜14の
塗料組成物を、ロールコータ(横山製作所、ダイレクト
ロールコータ)にて、被膜の厚さが15μmになるよう
に、塗布速度25m/分で温度100℃、すなわち巻き
取られるまで100℃×30秒の乾燥が行われる条件に
調整して塗布した。24時間後このシートを巻き戻し、
ブロッキングが生じていないかを確認した(ブロッキン
グ有を×、無を○とした)。また、塗布したのと同組成
の塗料組成物を100mlのガラス容器にとり25℃に
て流動性を失った時間(分)を可使時間とした。
〜14) 表1に示す組成よりなる例1〜14の塗料組成物を調製
した。軟質塩化ビニル樹脂シートの表面に例1〜14の
塗料組成物を、ロールコータ(横山製作所、ダイレクト
ロールコータ)にて、被膜の厚さが15μmになるよう
に、塗布速度25m/分で温度100℃、すなわち巻き
取られるまで100℃×30秒の乾燥が行われる条件に
調整して塗布した。24時間後このシートを巻き戻し、
ブロッキングが生じていないかを確認した(ブロッキン
グ有を×、無を○とした)。また、塗布したのと同組成
の塗料組成物を100mlのガラス容器にとり25℃に
て流動性を失った時間(分)を可使時間とした。
【0037】
【表1】
【0038】表1中、含フッ素共重合体はそれぞれ次の
とおり。F−Aは、TFE/HBVE/n−BVE:4
8.1/12.5/39.4(重量%)の割合で共重合
した共重合体であり、テトラヒドロフラン中30℃で測
定される固有粘度([η]という)が0.15(dl/
g)である共重合体。以下、F−B〜F−Fは、組成の
割合、[η]のみを示す。F−Bは、CTFE/HBV
E/CHVE/EVE:56.4/5.7/12.4/
25.5(重量%)、[η]=0.21(dl/g)。
F−Cは、HFP/HBVE/n−BVE:66.7/
8.0/25.3(重量%)、[η]=0.08(dl
/g)。F−Dは、TFE/CH3COOCH=CH2/
CH2=CHCH2OCH2CH2OH:53.7/23.
1/23.2(重量%)、[η]=0.18(dl/
g)。F−Eは、CTFE/EVE/HBVE/ベオバ
9:39.4/17.2/9.5/33.9(重量
%)、[η]=0.40(dl/g)。F−Fは、TF
E/EVE/HBVE/CH2=CHOCH2CF2CF2
H:57.0/22.4/10.8/9.8(重量
%)、[η]=0.10(dl/g)。(TFEはテト
ラフルオロエチレン、HBVEはω−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル、n−BVEはn−ブチルビニルエーテ
ル、CTFEはクロロトリフルオロエチレン、CHVE
はシクロヘキシルビニルエーテル、EVEはエチルビニ
ルエーテル、HFPはヘキサフルオロプロピレン、ベオ
バ9は分岐状カルボン酸(炭素数9)のビニルエステル
(シェル化学社製)である。)
とおり。F−Aは、TFE/HBVE/n−BVE:4
8.1/12.5/39.4(重量%)の割合で共重合
した共重合体であり、テトラヒドロフラン中30℃で測
定される固有粘度([η]という)が0.15(dl/
g)である共重合体。以下、F−B〜F−Fは、組成の
割合、[η]のみを示す。F−Bは、CTFE/HBV
E/CHVE/EVE:56.4/5.7/12.4/
25.5(重量%)、[η]=0.21(dl/g)。
F−Cは、HFP/HBVE/n−BVE:66.7/
8.0/25.3(重量%)、[η]=0.08(dl
/g)。F−Dは、TFE/CH3COOCH=CH2/
CH2=CHCH2OCH2CH2OH:53.7/23.
1/23.2(重量%)、[η]=0.18(dl/
g)。F−Eは、CTFE/EVE/HBVE/ベオバ
9:39.4/17.2/9.5/33.9(重量
%)、[η]=0.40(dl/g)。F−Fは、TF
E/EVE/HBVE/CH2=CHOCH2CF2CF2
H:57.0/22.4/10.8/9.8(重量
%)、[η]=0.10(dl/g)。(TFEはテト
ラフルオロエチレン、HBVEはω−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル、n−BVEはn−ブチルビニルエーテ
ル、CTFEはクロロトリフルオロエチレン、CHVE
はシクロヘキシルビニルエーテル、EVEはエチルビニ
ルエーテル、HFPはヘキサフルオロプロピレン、ベオ
バ9は分岐状カルボン酸(炭素数9)のビニルエステル
(シェル化学社製)である。)
【0039】また、アクリル系共重合体はそれぞれ次の
とおり。M−1は、イソブチルメタクリレート/n−ブ
チルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト:7/2/1(モル比)の割合で共重合した共重合
体。以下、M−2〜M−4は、組成の割合のみを示す。
M−2は、メチルアクリレート/n−ブチルアクリレー
ト/グリシジルアクリレート:8/1/1。M−3は、
n−ブチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート
/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート:1/7/1/1。M−4は、メチルメタクリレー
ト/n−ブチルメタクリレート:5/5。
とおり。M−1は、イソブチルメタクリレート/n−ブ
チルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト:7/2/1(モル比)の割合で共重合した共重合
体。以下、M−2〜M−4は、組成の割合のみを示す。
M−2は、メチルアクリレート/n−ブチルアクリレー
ト/グリシジルアクリレート:8/1/1。M−3は、
n−ブチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート
/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート:1/7/1/1。M−4は、メチルメタクリレー
ト/n−ブチルメタクリレート:5/5。
【0040】架橋剤は、イソシアネート硬化剤[コロネ
ートEH(日本ポリウレタン社製)]。
ートEH(日本ポリウレタン社製)]。
【0041】触媒はそれぞれ次のとおり。DBUは、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−
エン。Ucat−SA No.1は、DBUのフェノー
ル塩(サンアプロ社製)。Ucat−SA No.10
2は、DBUのオクタン酸塩(サンアプロ社製)。Uc
at−SA No.103は、DBUのオレイン酸塩
(サンアプロ社製)。
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−
エン。Ucat−SA No.1は、DBUのフェノー
ル塩(サンアプロ社製)。Ucat−SA No.10
2は、DBUのオクタン酸塩(サンアプロ社製)。Uc
at−SA No.103は、DBUのオレイン酸塩
(サンアプロ社製)。
【0042】ToYoCAT−TFはトリエチレンジア
ミンの有機酸ブロック体(東ソー社製)。ToYoCA
T−ETFは、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エー
テルの有機酸ブロック体(東ソー社製)。
ミンの有機酸ブロック体(東ソー社製)。ToYoCA
T−ETFは、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エー
テルの有機酸ブロック体(東ソー社製)。
【0043】
【発明の効果】本発明により、塩化ビニル樹脂シート上
に一般的に被覆処理を行っている装置および乾燥条件を
変更することなく用い、耐汚染性に優れた被覆処理を行
うことを可能とした。
に一般的に被覆処理を行っている装置および乾燥条件を
変更することなく用い、耐汚染性に優れた被覆処理を行
うことを可能とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08J 7/04 CEV C08J 7/04 CEV (56)参考文献 特開 昭62−212471(JP,A) 特開 昭61−12760(JP,A) 特開 昭59−197471(JP,A) 特開 平1−319521(JP,A) 特開 昭64−16619(JP,A) 特開 平4−218578(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 175/00 B05D 7/02 B32B 27/30 C08J 7/04
Claims (3)
- 【請求項1】活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素
共重合体(a)および(a)と相溶する、アクリル酸ま
たはメタクリル酸の炭素数1〜12のアルコールエステ
ルに基づくアクリル系重合体(b)を主成分とし、架橋
剤としてポリイソシアネート化合物(c)を含み、さら
に、室温における活性が低く、40〜200℃において
高活性触媒作用を発揮するアミン有機酸塩類(d)を主
成分に対し0.001〜5重量%の割合で含有する塗料
組成物。 - 【請求項2】活性水素を持つ架橋部位を有する含フッ素
共重合体(a)および(a)と相溶する、アクリル酸ま
たはメタクリル酸の炭素数1〜12のアルコールエステ
ルに基づくアクリル系重合体(b)を主成分とし、架橋
剤としてポリイソシアネート化合物(c)を含み、さら
に、環状アミンの有機酸ブロック体または3級アミンの
有機酸ブロック体を主成分に対し0.001〜5重量%
の割合で含有する塗料組成物。 - 【請求項3】請求項1または2記載の塗料組成物を塩化
ビニル樹脂シート上に塗布し、40〜200℃において
5秒〜20分の範囲で乾燥後、前記塩化ビニル樹脂シー
トを巻き取ることを特徴とする被覆された塩化ビニル樹
脂シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02412091A JP3132835B2 (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 被覆された塩化ビニル樹脂シートの製造方法および塗料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP02412091A JP3132835B2 (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 被覆された塩化ビニル樹脂シートの製造方法および塗料組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04218539A JPH04218539A (ja) | 1992-08-10 |
JP3132835B2 true JP3132835B2 (ja) | 2001-02-05 |
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ID=18520977
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---|---|---|---|
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---|---|
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---|---|---|---|---|
JP2008188989A (ja) * | 2007-01-12 | 2008-08-21 | Sakai Silk Screen:Kk | 付着防止シート |
CN115521397B (zh) * | 2022-10-13 | 2023-11-21 | 北京化工大学 | 含羟基乙烯基醚/乙烯酯系共聚物及其制造方法与树脂组合物 |
-
1990
- 1990-12-19 JP JP02412091A patent/JP3132835B2/ja not_active Expired - Fee Related
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