JP3113512B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェット記録装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット方式の
記録ヘッドにインクを供給するためのインクタンクユニ
ット及びこれを搭載する記録装置全般に関する。
記録ヘッドにインクを供給するためのインクタンクユニ
ット及びこれを搭載する記録装置全般に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明と同様に、インク収容室を複数個
有するものとしては、特開平5ー201021号公報が
挙げられる。これは、図11に示すように区画化された
複数の室(21a〜21f)を備え、この複数の室のう
ちのひとつ21fに記録液を容器外部に供給するための
供給口25が配されており、供給口が配された室と異な
る室21aに大気に解放するための大気連通孔24が配
されており、前記複数の室の夫々が連続した液体供給部
材23のみで接続されている構成となっている。ここで
特開平5ー201021号号公報に於けるインクの消費
過程について説明する。記録ヘッドの駆動によってイン
クが供給口25を通して消費されるのに伴い、供給口2
5が設けられた第6室21fのインクが消費量に見合う
分だけ吸い出される。第6室21fは供給口25の他に
は液体供給部材23を介して第5室21eとつながって
いるのみであるので、第6室21fから供給口25に吸
い出された分のインク量が第5室21eより液体供給部
材23の隙間を通って供給される。同様にして大気連通
孔24寄りの室から順にインクが供給されることによ
り、供給口25に対して連続的にインクが供給されるて
いく。そして、大気連通孔24寄りの隣の室に供給可能
なインクが全くない場合は、大気連通孔24から供給さ
れる空気が液体供給部材23の中を通って供給される。
こうして本説明書の図12の様に大気連通孔24寄りの
室から順にインクが消費される。
有するものとしては、特開平5ー201021号公報が
挙げられる。これは、図11に示すように区画化された
複数の室(21a〜21f)を備え、この複数の室のう
ちのひとつ21fに記録液を容器外部に供給するための
供給口25が配されており、供給口が配された室と異な
る室21aに大気に解放するための大気連通孔24が配
されており、前記複数の室の夫々が連続した液体供給部
材23のみで接続されている構成となっている。ここで
特開平5ー201021号号公報に於けるインクの消費
過程について説明する。記録ヘッドの駆動によってイン
クが供給口25を通して消費されるのに伴い、供給口2
5が設けられた第6室21fのインクが消費量に見合う
分だけ吸い出される。第6室21fは供給口25の他に
は液体供給部材23を介して第5室21eとつながって
いるのみであるので、第6室21fから供給口25に吸
い出された分のインク量が第5室21eより液体供給部
材23の隙間を通って供給される。同様にして大気連通
孔24寄りの室から順にインクが供給されることによ
り、供給口25に対して連続的にインクが供給されるて
いく。そして、大気連通孔24寄りの隣の室に供給可能
なインクが全くない場合は、大気連通孔24から供給さ
れる空気が液体供給部材23の中を通って供給される。
こうして本説明書の図12の様に大気連通孔24寄りの
室から順にインクが消費される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術によれば、例
えば図11の構成ではインクの消費に伴って、大気連通
孔24寄りの室21aから順にインクが消費されるた
め、各室にインクが満たされている初期状態とインクの
残量が少なくなった状態(図12)とではインクの供給
抵抗にかなりの違いが生じる事となり、印字ヘッドによ
るインクの吐出が一様でなくなる。つまり、図11の場
合はインクの供給に際し第6室21fから第2室21b
間の抵抗を受けるが、インクの残量が少なくなった図1
2の場合は第6室21fから第5室21e間の抵抗を受
けるだけである。具体的にはこの構成の場合、インクの
供給抵抗を生じるのは液体供給部材23中のインクが存
在する部分であり、インクが移動する際の摩擦抵抗は図
11の場合の方が大きいことは明らかである。これは各
室(21a〜21f)がインク供給口25と大気連通孔
24に対し直列に配置されているためであり、この構造
を採る以上は避けられない問題点である。また、この問
題はインクタンクの大きさが大きくなるほど顕著に表れ
るようになる。インクの供給において、その供給抵抗が
高い場合、記録ヘッドの駆動に応じて吐出されるインク
滴の量が少なくなり、逆に供給抵抗が低い場合、吐出さ
れるインク量は多くなる。よって、従来技術の場合はイ
ンクタンク内部のインク量によって記録ヘッドからのイ
ンク吐出量は不安定となる。
えば図11の構成ではインクの消費に伴って、大気連通
孔24寄りの室21aから順にインクが消費されるた
め、各室にインクが満たされている初期状態とインクの
残量が少なくなった状態(図12)とではインクの供給
抵抗にかなりの違いが生じる事となり、印字ヘッドによ
るインクの吐出が一様でなくなる。つまり、図11の場
合はインクの供給に際し第6室21fから第2室21b
間の抵抗を受けるが、インクの残量が少なくなった図1
2の場合は第6室21fから第5室21e間の抵抗を受
けるだけである。具体的にはこの構成の場合、インクの
供給抵抗を生じるのは液体供給部材23中のインクが存
在する部分であり、インクが移動する際の摩擦抵抗は図
11の場合の方が大きいことは明らかである。これは各
室(21a〜21f)がインク供給口25と大気連通孔
24に対し直列に配置されているためであり、この構造
を採る以上は避けられない問題点である。また、この問
題はインクタンクの大きさが大きくなるほど顕著に表れ
るようになる。インクの供給において、その供給抵抗が
高い場合、記録ヘッドの駆動に応じて吐出されるインク
滴の量が少なくなり、逆に供給抵抗が低い場合、吐出さ
れるインク量は多くなる。よって、従来技術の場合はイ
ンクタンク内部のインク量によって記録ヘッドからのイ
ンク吐出量は不安定となる。
【0004】また、特開平5ー201021号公報にお
いては、各室内のインクを液体供給部材である多孔質部
材に働く毛細管力によって保持し、外部への漏れを防止
しているが、この方法では保持可能なインクの量は僅か
である。その理由は、この従来技術の場合、その目的が
所定体積の空間に、より多くのインクを収容すること、
つまりインクの収容効率の改善であるために、収容する
インクの量に対して多孔質部材の量が少なく、インクを
保持しようとする多孔質部材の単位体積当たりの負担が
大きかった。このため、従来技術では大容量のインクを
収容させることは不可能であった。詳しくは、インクの
保持材として用いる場合の多孔質体及び繊維束は通例、
それらを構成する微小壁や繊維の隙間が100〜数百μ
m程度であり、その中に毛細管力によってインクを含浸
させる事が可能なインク液の高さは、表面張力50(d
yne/cm)、密度1(g/cm)、接触角60(d
eg.)のインクで、高さ5(cm)程度が限界であ
る。従って例えば、持ち運びを可能とする記録装置など
のようにインクタンクの設置の向きを制限しないとすれ
ば、インクが常に多孔質部材に保持されていて、外部へ
漏れ出さない様にするためには、インクタンクの寸法は
一辺が5(cm)を越えない大きさで制限されることと
なり、大容量のインクを収容させることは不可能であっ
た。(勿論このことは、インクタンク及び記録装置をそ
の設置の向きによらず使用可能とする場合についてであ
って、据え置き型のインクタンクについてはこの限りで
はない。)更に、従来のインクジェツト記録装置におい
ては、当然のことながら、消耗品であるインクをその使
用量に応じて補充する必要があった。また、別の方式と
して、インクタンクをカートリッジ式として交換するも
のや、さらに印字ヘッドをも一体化させ交換させるもの
などがあったが、いずれの方法においても、使用者が自
らインクの補充又はカートリッジの交換作業をする必要
があった。
いては、各室内のインクを液体供給部材である多孔質部
材に働く毛細管力によって保持し、外部への漏れを防止
しているが、この方法では保持可能なインクの量は僅か
である。その理由は、この従来技術の場合、その目的が
所定体積の空間に、より多くのインクを収容すること、
つまりインクの収容効率の改善であるために、収容する
インクの量に対して多孔質部材の量が少なく、インクを
保持しようとする多孔質部材の単位体積当たりの負担が
大きかった。このため、従来技術では大容量のインクを
収容させることは不可能であった。詳しくは、インクの
保持材として用いる場合の多孔質体及び繊維束は通例、
それらを構成する微小壁や繊維の隙間が100〜数百μ
m程度であり、その中に毛細管力によってインクを含浸
させる事が可能なインク液の高さは、表面張力50(d
yne/cm)、密度1(g/cm)、接触角60(d
eg.)のインクで、高さ5(cm)程度が限界であ
る。従って例えば、持ち運びを可能とする記録装置など
のようにインクタンクの設置の向きを制限しないとすれ
ば、インクが常に多孔質部材に保持されていて、外部へ
漏れ出さない様にするためには、インクタンクの寸法は
一辺が5(cm)を越えない大きさで制限されることと
なり、大容量のインクを収容させることは不可能であっ
た。(勿論このことは、インクタンク及び記録装置をそ
の設置の向きによらず使用可能とする場合についてであ
って、据え置き型のインクタンクについてはこの限りで
はない。)更に、従来のインクジェツト記録装置におい
ては、当然のことながら、消耗品であるインクをその使
用量に応じて補充する必要があった。また、別の方式と
して、インクタンクをカートリッジ式として交換するも
のや、さらに印字ヘッドをも一体化させ交換させるもの
などがあったが、いずれの方法においても、使用者が自
らインクの補充又はカートリッジの交換作業をする必要
があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のインクジ
ェツト記録装置は、各々に大気連通孔とフィルタ部とを
具備し、インクを含浸させた多孔質体または繊維束を内
部に充填した複数のインク収容室と前記各インク収容室
のフィルタ部に隣接した1つの共通インク溜めと該イン
ク溜めが設けられた1つのインク供給口とを有し、前記
共通インク溜めより前記インク供給口を経て印字ヘッド
にインクを供給することを特徴とするインクジェツト記
録装置である。
ェツト記録装置は、各々に大気連通孔とフィルタ部とを
具備し、インクを含浸させた多孔質体または繊維束を内
部に充填した複数のインク収容室と前記各インク収容室
のフィルタ部に隣接した1つの共通インク溜めと該イン
ク溜めが設けられた1つのインク供給口とを有し、前記
共通インク溜めより前記インク供給口を経て印字ヘッド
にインクを供給することを特徴とするインクジェツト記
録装置である。
【0006】請求項2記載のインクジェツト記録装置
は、前記インク収容室内の多孔質体または繊維束の目の
粗さは大気連通孔側よりもフィルタ部側で目の粗さが密
であることを特徴とする請求項1記載のインクジェツト
記録装置である。
は、前記インク収容室内の多孔質体または繊維束の目の
粗さは大気連通孔側よりもフィルタ部側で目の粗さが密
であることを特徴とする請求項1記載のインクジェツト
記録装置である。
【0007】請求項3記載のインクジェツト記録装置
は、前記インク収容室の形状は大気連通孔側よりもフィ
ルタ部側でその断面積が小さいことを特徴とする請求項
1記載のインクジェツト記録装置である。
は、前記インク収容室の形状は大気連通孔側よりもフィ
ルタ部側でその断面積が小さいことを特徴とする請求項
1記載のインクジェツト記録装置である。
【0008】
【作用】請求項1記載のインクジェツト記録装置によれ
ば、複数のインク収容室を備えたインクタンクにおい
て、各インク収容室内のインクを順に消費するのではな
く、各インク収容室内のインクを均一に消費する事を可
能とし、初期状態からインクを使い切るまでの間にその
供給抵抗の変動を小さくして、印字ヘッドによるインク
の吐出を始終安定させることが可能である。
ば、複数のインク収容室を備えたインクタンクにおい
て、各インク収容室内のインクを順に消費するのではな
く、各インク収容室内のインクを均一に消費する事を可
能とし、初期状態からインクを使い切るまでの間にその
供給抵抗の変動を小さくして、印字ヘッドによるインク
の吐出を始終安定させることが可能である。
【0009】請求項2記載のインクジェツト記録装置に
よれば、多孔質部材を充填したインクタンクにおいて、
多孔質部材中に残存して使用できないインクの量を少な
くすることが可能で、インクの使用効率が改善されるた
め、インクタンクを小型化することができる。また、使
用できないで廃棄されるインクが少なくなるため、その
分のコストダウンも可能である。
よれば、多孔質部材を充填したインクタンクにおいて、
多孔質部材中に残存して使用できないインクの量を少な
くすることが可能で、インクの使用効率が改善されるた
め、インクタンクを小型化することができる。また、使
用できないで廃棄されるインクが少なくなるため、その
分のコストダウンも可能である。
【0010】請求項3記載のインクジェツト記録装置に
よれば、インクタンクのフィルター配置側の断面積を狭
くしたので、単に柱状の多孔質部材を充填する(押し込
む)ことにより、フィルター側の多孔質部材を密にする
ことができ、多孔質部材中に残存するインクの量を減ら
すことが可能となる。
よれば、インクタンクのフィルター配置側の断面積を狭
くしたので、単に柱状の多孔質部材を充填する(押し込
む)ことにより、フィルター側の多孔質部材を密にする
ことができ、多孔質部材中に残存するインクの量を減ら
すことが可能となる。
【0011】
(実施例1)本発明の実施例を図1〜図4に基づいて説
明する。
明する。
【0012】図1は本発明のインクタンクを搭載したイ
ンクジェット記録装置の外観図である。記録ヘッド1は
キャリッジ2上に固定して取り付けられており、キャリ
ッジ2はプラテン3に沿って往復運動を行うことで、プ
ラテン3に巻き付けられた記録用紙へ記録を行う。ま
た、インク供給チューブ4は、インクタンク11のイン
ク供給口(図示せず)と記録ヘッド1を接続し、インク
の供給を行う。
ンクジェット記録装置の外観図である。記録ヘッド1は
キャリッジ2上に固定して取り付けられており、キャリ
ッジ2はプラテン3に沿って往復運動を行うことで、プ
ラテン3に巻き付けられた記録用紙へ記録を行う。ま
た、インク供給チューブ4は、インクタンク11のイン
ク供給口(図示せず)と記録ヘッド1を接続し、インク
の供給を行う。
【0013】図2は本発明のインクタンク11の断面図
であり、共通インク溜め13に対して複数のインク収容
室14が夫々独立してフィルタ17を介して接続されて
おり、インク収容室の内部にはインクを含浸させた多孔
質部材(多孔質体または繊維束を総称したもの)15が
配置されている。さらに、各々のインク収容室14は夫
々、独立した大気連通孔16を備えている。
であり、共通インク溜め13に対して複数のインク収容
室14が夫々独立してフィルタ17を介して接続されて
おり、インク収容室の内部にはインクを含浸させた多孔
質部材(多孔質体または繊維束を総称したもの)15が
配置されている。さらに、各々のインク収容室14は夫
々、独立した大気連通孔16を備えている。
【0014】次いで、インクの消費される過程について
説明する。図2において、インクの充満している共通イ
ンク溜め13より、記録ヘッドの記録量に応じたインク
量が、インク供給口12、さらにはインク供給チューブ
を経て、記録ヘッドへ自然と供給される。共通インク溜
め13では消費されたインク量と同量のインクが、イン
ク収容室14よりフィルター17を経て供給される。ま
た、各インク収容室では消費したインク量と同量の空気
が、大気連通孔16を通じて外部より導入される。この
ように各インク収容室14内のインクが消費される場
合、共通インク溜め13に対し、各インク収容室14は
並列に夫々が独立して接続されているため、いずれか1
つのインク収容室より順にインクが消費されていくので
はなく、各インク収容室より均一にインクが消費される
ようになり、このため、インクの供給は始終安定して行
われる。
説明する。図2において、インクの充満している共通イ
ンク溜め13より、記録ヘッドの記録量に応じたインク
量が、インク供給口12、さらにはインク供給チューブ
を経て、記録ヘッドへ自然と供給される。共通インク溜
め13では消費されたインク量と同量のインクが、イン
ク収容室14よりフィルター17を経て供給される。ま
た、各インク収容室では消費したインク量と同量の空気
が、大気連通孔16を通じて外部より導入される。この
ように各インク収容室14内のインクが消費される場
合、共通インク溜め13に対し、各インク収容室14は
並列に夫々が独立して接続されているため、いずれか1
つのインク収容室より順にインクが消費されていくので
はなく、各インク収容室より均一にインクが消費される
ようになり、このため、インクの供給は始終安定して行
われる。
【0015】ここで、フィルター17は、各インク収容
室14のインクが共通インク溜め13へ移動する際、気
泡を混入させないようにするため設けられているもので
ある。多孔質部材15に保持されているインクは、イン
クと空気の混在状態にあり、フィルター17では、イン
ク自身の持つ表面張力の作用により、インクのみを通過
させ、共通インク13への気泡の侵入を防いでいる。続
いて本願と従来例に対しての吐出状態について詳細を説
明すれば、インクの供給において、抵抗を生じる要素
は、本願の場合は、各インク収容室内の多孔質部材とフ
ィルター部材であり、従来例では液体供給部材巾のイン
クが存在する部分である。又、本願で用いたフィルター
部材は後述するようにステンレスの細線で編んだもので
あり、細線の隙間は数μm〜数十μmであるため多孔質
部材での抵抗と同様無視できないものである。よってイ
ンクが充満している初期状態と例えば丁度半分のインク
を消費した後の全体の抵抗は従来ではその抵抗値も半分
となるのに対し、本願では殆ど変化を生じない。それ故
安定的なインクの吐出が可能となる。
室14のインクが共通インク溜め13へ移動する際、気
泡を混入させないようにするため設けられているもので
ある。多孔質部材15に保持されているインクは、イン
クと空気の混在状態にあり、フィルター17では、イン
ク自身の持つ表面張力の作用により、インクのみを通過
させ、共通インク13への気泡の侵入を防いでいる。続
いて本願と従来例に対しての吐出状態について詳細を説
明すれば、インクの供給において、抵抗を生じる要素
は、本願の場合は、各インク収容室内の多孔質部材とフ
ィルター部材であり、従来例では液体供給部材巾のイン
クが存在する部分である。又、本願で用いたフィルター
部材は後述するようにステンレスの細線で編んだもので
あり、細線の隙間は数μm〜数十μmであるため多孔質
部材での抵抗と同様無視できないものである。よってイ
ンクが充満している初期状態と例えば丁度半分のインク
を消費した後の全体の抵抗は従来ではその抵抗値も半分
となるのに対し、本願では殆ど変化を生じない。それ故
安定的なインクの吐出が可能となる。
【0016】フィルター17の部分では、インク自身の
持つ表面張力の作用により、多孔質部材15から確実に
インクのみを導くことが可能なため、共通インク溜め1
3内に空気が侵入することはない。この時の様子は図3
に示され、図示したインク収容室14内の色の矢印は、
多孔質部材15中のインク含浸率の大小を表しており、
空気とインクの混在する状態で、インクの占める割合が
多い部位に向かって、矢印が記されている。ここで、一
例としては、多孔質部材にはポリウレタンフォームを用
い、フィルターにはステンレスの細線を編んだものを用
いるものとする。注意すべき点としては、このインクタ
ンクを製造する過程において、直方形に切り出されたポ
リウレタンフォームをインク収容室14内に挿入する
際、その目の粗さに偏りが生じないよう、均一な状態で
挿入する必要があるということである。仮に、多孔質部
材15の各部で、目の粗さに違いが生じた場合は、つま
り、その部分に働く毛細管力に違いが生じていることと
なり、比較的目の粗い部分、即ち毛細管力の弱い部分で
は、インクの保持力が弱いため、この部分のインク先に
消費されることになる。
持つ表面張力の作用により、多孔質部材15から確実に
インクのみを導くことが可能なため、共通インク溜め1
3内に空気が侵入することはない。この時の様子は図3
に示され、図示したインク収容室14内の色の矢印は、
多孔質部材15中のインク含浸率の大小を表しており、
空気とインクの混在する状態で、インクの占める割合が
多い部位に向かって、矢印が記されている。ここで、一
例としては、多孔質部材にはポリウレタンフォームを用
い、フィルターにはステンレスの細線を編んだものを用
いるものとする。注意すべき点としては、このインクタ
ンクを製造する過程において、直方形に切り出されたポ
リウレタンフォームをインク収容室14内に挿入する
際、その目の粗さに偏りが生じないよう、均一な状態で
挿入する必要があるということである。仮に、多孔質部
材15の各部で、目の粗さに違いが生じた場合は、つま
り、その部分に働く毛細管力に違いが生じていることと
なり、比較的目の粗い部分、即ち毛細管力の弱い部分で
は、インクの保持力が弱いため、この部分のインク先に
消費されることになる。
【0017】図4は、各インク収容室14内の多孔質部
材(15a〜15f)の挿入に偏りが生じている場合
の、インクが消費されていく様子を示す図である。例え
ば、第3インク収容室内の多孔質部材15cでは、大気
連通孔16付近でその目の粗さが密となっており、第5
インク収容室内の多孔質部材15fでは、両端部で密と
なっている。このため、インクが消費されていく様子は
図の矢印の方向で表されるように、ばらつきを生じるこ
ととなる。この場合、やがてインクの消費が進むにつれ
て、例えば、多孔質部材15c中に残ったインクは、共
通インク溜め13中のインクと切り離されてしまい、孤
立する。このようになると、もはや残留インクは、これ
以上消費されなくなってしまい、インクタンク11全体
としてのインクの使用効率は著しく低下してしまう。こ
れを避けるためには、先述の様に、多孔質部材15をイ
ンク収容室14内に偏りなく挿入する必要がある。
材(15a〜15f)の挿入に偏りが生じている場合
の、インクが消費されていく様子を示す図である。例え
ば、第3インク収容室内の多孔質部材15cでは、大気
連通孔16付近でその目の粗さが密となっており、第5
インク収容室内の多孔質部材15fでは、両端部で密と
なっている。このため、インクが消費されていく様子は
図の矢印の方向で表されるように、ばらつきを生じるこ
ととなる。この場合、やがてインクの消費が進むにつれ
て、例えば、多孔質部材15c中に残ったインクは、共
通インク溜め13中のインクと切り離されてしまい、孤
立する。このようになると、もはや残留インクは、これ
以上消費されなくなってしまい、インクタンク11全体
としてのインクの使用効率は著しく低下してしまう。こ
れを避けるためには、先述の様に、多孔質部材15をイ
ンク収容室14内に偏りなく挿入する必要がある。
【0018】尚、本発明においてはインク収容室を複数
固有することを特徴としているがこれは下記の理由によ
る。すなわち、インク収容室を複数固設ける事の利点
は、より多くのインクを収容可能とすることであり、各
インク収容室の仕切りをなくして大きな多孔質部材を配
設することは、後述(実施例4)で説明するようにイン
ク漏れを起こすため結局多くのインクを収容することは
できない。また、大きな多孔質部材を製造することは歩
溜まりが悪く、更に大きな多孔質部材をインク収容室の
ような箱形の容器へ均一な状態で挿入する事は非常に困
難である。更に、複数のインク収容室に夫々大気連通孔
を設けることにより、ある1つの大気連通孔に異物やイ
ンクが詰まった際にも、他のインク収容室からのインク
供給が可能であるため、使用不能とならないといった利
点も有る。この場合、インク収容室の仕切りをなくして
1つのインク収容室に複数の大気連通孔を設ける構造も
考えられるが、これは閉空間に複数の空気の出入口が存
在するため、インク収容室内部の通気性が良くなり、イ
ンクの蒸発による損失が増加するといった欠点が生じ
る。以上より本発明では複数のインク収容室を備え、か
つ各インク収容室に1つの大気連通孔を設けた構成とな
っている。
固有することを特徴としているがこれは下記の理由によ
る。すなわち、インク収容室を複数固設ける事の利点
は、より多くのインクを収容可能とすることであり、各
インク収容室の仕切りをなくして大きな多孔質部材を配
設することは、後述(実施例4)で説明するようにイン
ク漏れを起こすため結局多くのインクを収容することは
できない。また、大きな多孔質部材を製造することは歩
溜まりが悪く、更に大きな多孔質部材をインク収容室の
ような箱形の容器へ均一な状態で挿入する事は非常に困
難である。更に、複数のインク収容室に夫々大気連通孔
を設けることにより、ある1つの大気連通孔に異物やイ
ンクが詰まった際にも、他のインク収容室からのインク
供給が可能であるため、使用不能とならないといった利
点も有る。この場合、インク収容室の仕切りをなくして
1つのインク収容室に複数の大気連通孔を設ける構造も
考えられるが、これは閉空間に複数の空気の出入口が存
在するため、インク収容室内部の通気性が良くなり、イ
ンクの蒸発による損失が増加するといった欠点が生じ
る。以上より本発明では複数のインク収容室を備え、か
つ各インク収容室に1つの大気連通孔を設けた構成とな
っている。
【0019】(実施例2)本発明の他の実施例を図5に
基づいて説明する。
基づいて説明する。
【0020】先述の様に、多孔質部材の挿入の際、目の
粗さにばらつきが生じないようにすることは非常に重要
である。しかし、実際のインクタンクの製造において
は、多孔質部材の製造工程上、最も安価に製造可能な直
方体形状を採ることが多く、直方体に成形された多孔質
部材を、全くの偏り無くインク収容室内に配置すること
は非常に困難で、目の粗さにばらつきが生じるのが必然
である。その問題点を解決すべくここで、本発明の第2
実施例について説明する。図5は本発明の実施例であ
り、これを搭載する記録装置の全体構成や、インクタン
ク11の内部構造については、先に述べた第1実施例と
概ね同様であるため省略する。ここで、本発明のインク
タンクは図5に示すようにインク収容室14は、その形
状がフィルター17近傍で狭く、大気連通孔16側で広
くなっており、その中に直方体形状の多孔質部材15を
挿入することで得られる。このようにすることで、この
多孔質部材はフィルター17近傍で圧縮され、その目の
粗さが密となることから、この部分でのインクの保持力
は他の部分に比べて強くなる。よって、インクの消費は
比較的インクの保持力が弱い大気連通孔16側より順に
行なわれることになり、図5に示すように常にフィルタ
ー17の位置で、各多孔質部材15に含浸されるインク
と共通インク溜め13内のインクとが連続しているた
め、インク収容室14内で孤立するインクが無く、残留
するインクの量を大幅に減らすことができる。
粗さにばらつきが生じないようにすることは非常に重要
である。しかし、実際のインクタンクの製造において
は、多孔質部材の製造工程上、最も安価に製造可能な直
方体形状を採ることが多く、直方体に成形された多孔質
部材を、全くの偏り無くインク収容室内に配置すること
は非常に困難で、目の粗さにばらつきが生じるのが必然
である。その問題点を解決すべくここで、本発明の第2
実施例について説明する。図5は本発明の実施例であ
り、これを搭載する記録装置の全体構成や、インクタン
ク11の内部構造については、先に述べた第1実施例と
概ね同様であるため省略する。ここで、本発明のインク
タンクは図5に示すようにインク収容室14は、その形
状がフィルター17近傍で狭く、大気連通孔16側で広
くなっており、その中に直方体形状の多孔質部材15を
挿入することで得られる。このようにすることで、この
多孔質部材はフィルター17近傍で圧縮され、その目の
粗さが密となることから、この部分でのインクの保持力
は他の部分に比べて強くなる。よって、インクの消費は
比較的インクの保持力が弱い大気連通孔16側より順に
行なわれることになり、図5に示すように常にフィルタ
ー17の位置で、各多孔質部材15に含浸されるインク
と共通インク溜め13内のインクとが連続しているた
め、インク収容室14内で孤立するインクが無く、残留
するインクの量を大幅に減らすことができる。
【0021】ここで多孔質部材の目の粗さについて説明
すれば、多孔質部材の目の粗さの単位は通常1インチ当
たりの孔(cell)の個数で表す。例えば40[ce
ll/inch]と50[cell/inch]とで
は、50[cell/inch]の方が目が“密”とい
うことになる。又、実際の多孔質部材は立体であるため
3次元(3方向)での定義が必要となる。図5の場合矢
印の向きに従って目の粗さが“密”になるわけである
が、大気連通孔側ではX,Y,Z=40,120,40
[cell/inch](Xはインク収容室の上下方
向、Yはインク収容室の左右方向、Zはインク収容室の
奥行方向を表す。)、フィルター部側ではX,Y,Z=
40,160,40[cell/inch]という具合
になる。すなわちフィルター部材近傍での目の粗さを他
の部分(大気連通孔側)より“密”にすることでインク
の保持力を毛細管力の作用によりインク溜め部側(フィ
ルター側)で増大させインクの流れ(目の“疎”な大気
連通孔側から目の“密”なフィルター部側への流れ)を
スムーズにせしめる。また、多孔質体は連続体であるこ
とからその他の部分との間で急激に“粗”とはならず、
徐々に変化していくことから、このインク収容室内のイ
ンクは連続的に使用する事が可能となる。
すれば、多孔質部材の目の粗さの単位は通常1インチ当
たりの孔(cell)の個数で表す。例えば40[ce
ll/inch]と50[cell/inch]とで
は、50[cell/inch]の方が目が“密”とい
うことになる。又、実際の多孔質部材は立体であるため
3次元(3方向)での定義が必要となる。図5の場合矢
印の向きに従って目の粗さが“密”になるわけである
が、大気連通孔側ではX,Y,Z=40,120,40
[cell/inch](Xはインク収容室の上下方
向、Yはインク収容室の左右方向、Zはインク収容室の
奥行方向を表す。)、フィルター部側ではX,Y,Z=
40,160,40[cell/inch]という具合
になる。すなわちフィルター部材近傍での目の粗さを他
の部分(大気連通孔側)より“密”にすることでインク
の保持力を毛細管力の作用によりインク溜め部側(フィ
ルター側)で増大させインクの流れ(目の“疎”な大気
連通孔側から目の“密”なフィルター部側への流れ)を
スムーズにせしめる。また、多孔質体は連続体であるこ
とからその他の部分との間で急激に“粗”とはならず、
徐々に変化していくことから、このインク収容室内のイ
ンクは連続的に使用する事が可能となる。
【0022】(実施例3)本発明の他の実施例を図6に
基づいて説明する。
基づいて説明する。
【0023】実施例2と同様に、記録装置の全体構成
や、インクタンク11の内部構造については、概ね同様
であるため省略する。ここで、本発明のインクタンクは
図6に示すようにフィルター17の取付け部位が、イン
ク収容室14の内側に突出しており、直方体形状の多孔
質部材15を挿入した際、フィルター17部分で圧縮さ
れるように構成されている。よって、多孔質部材15の
この部分でのインクの保持力は他の部分に比べて強く、
第2実施例と同様にインクの消費は大気連通孔16側よ
り順に行なわれることになり、この方法によっても残留
するインクの量を大幅に減らすことが可能である。
や、インクタンク11の内部構造については、概ね同様
であるため省略する。ここで、本発明のインクタンクは
図6に示すようにフィルター17の取付け部位が、イン
ク収容室14の内側に突出しており、直方体形状の多孔
質部材15を挿入した際、フィルター17部分で圧縮さ
れるように構成されている。よって、多孔質部材15の
この部分でのインクの保持力は他の部分に比べて強く、
第2実施例と同様にインクの消費は大気連通孔16側よ
り順に行なわれることになり、この方法によっても残留
するインクの量を大幅に減らすことが可能である。
【0024】(実施例4)本発明の他の実施例を図7〜
図9に基づいて説明する。
図9に基づいて説明する。
【0025】本実施例においては、その設置の向きによ
らず使用を可能としたインクタンク、又はそのインクタ
ンクを搭載した記録装置において、インクの漏れを起こ
すことなく使用を可能とするため、いずれの方向の長さ
も5cmを越えない範囲で形成されるインク収容室を、
実施例を1と同様の構成にて複数個設け、記録用インク
を収容させるものである。
らず使用を可能としたインクタンク、又はそのインクタ
ンクを搭載した記録装置において、インクの漏れを起こ
すことなく使用を可能とするため、いずれの方向の長さ
も5cmを越えない範囲で形成されるインク収容室を、
実施例を1と同様の構成にて複数個設け、記録用インク
を収容させるものである。
【0026】図7は本発明の請求項3に基づいた実施例
4のインクタンクの断面図であり、構成は先に述べた請
求項1に基づく図2と同様である。インクの漏れについ
て説明するための便宜上、大気連通孔16が下方になる
よう設置するものとする。各インク収容室の大きさは図
に示したように各辺共に5cmを越えない大きさで構成
されている。尚、図中には示されていないが、紙面に垂
直な方向の寸法もこれに準じた大きさに設定されている
ものとする。ここで、各インク収容室14内の多孔質部
材15は、その高さが5cmであるため、その内部に含
浸されたインクを十分に保持できる。このため、図の様
にインクの漏れ出す恐れのある大気連通孔16が下方に
位置していてもインクの漏れは起こらないが図8の様に
高さ方向の寸法が5cmを越える大きさで構成されてい
る場合、多孔質部材15の内部に保持できなくなったイ
ンクが、その分だけ大気連通孔より外部へ漏れ出す事に
なる。
4のインクタンクの断面図であり、構成は先に述べた請
求項1に基づく図2と同様である。インクの漏れについ
て説明するための便宜上、大気連通孔16が下方になる
よう設置するものとする。各インク収容室の大きさは図
に示したように各辺共に5cmを越えない大きさで構成
されている。尚、図中には示されていないが、紙面に垂
直な方向の寸法もこれに準じた大きさに設定されている
ものとする。ここで、各インク収容室14内の多孔質部
材15は、その高さが5cmであるため、その内部に含
浸されたインクを十分に保持できる。このため、図の様
にインクの漏れ出す恐れのある大気連通孔16が下方に
位置していてもインクの漏れは起こらないが図8の様に
高さ方向の寸法が5cmを越える大きさで構成されてい
る場合、多孔質部材15の内部に保持できなくなったイ
ンクが、その分だけ大気連通孔より外部へ漏れ出す事に
なる。
【0027】図8は図7のインクタンク11を別の向き
に設置した場合の断面図である。この場合、インクタン
ク11全体ではその高さが5cmを越えているが、各イ
ンク収容室14内のインクは、夫々の多孔質部材15に
より保持されており、各々の多孔質部材の高さ方向の寸
法は5cmを越えない範囲であるため、インクが外部に
漏れることはない。また、この場合、多孔質部材によっ
て保持されていないインクとして、共通インク溜め13
内のインクが存在するが、このインクが外部に漏れださ
ない理由について次に説明する。
に設置した場合の断面図である。この場合、インクタン
ク11全体ではその高さが5cmを越えているが、各イ
ンク収容室14内のインクは、夫々の多孔質部材15に
より保持されており、各々の多孔質部材の高さ方向の寸
法は5cmを越えない範囲であるため、インクが外部に
漏れることはない。また、この場合、多孔質部材によっ
て保持されていないインクとして、共通インク溜め13
内のインクが存在するが、このインクが外部に漏れださ
ない理由について次に説明する。
【0028】図9の共通インク溜め13において、イン
クが漏れる可能性のある出入り口は、インク供給口12
とフィルター17の部分のみである。インク供給口12
は図1に示したようにインク供給チューブ4を介して記
録ヘッド21と接続されており、記録ヘッドのインク噴
射口より外部に通じている。よって、共通インク溜め1
3はその両端を記録ヘッドのインク噴射口とフィルター
17とに挟まれた空間となっている。ここで、仮に共通
インク溜め13より外部に漏れ出したとすると、その空
間内にはその同体積のインクもしくは空気が外部より補
われるはずである。しかし、空間の両端に位置する記録
ヘッドのインク吐出口とフィルター一部は、いずれもそ
の穴径が非常に小さく、また、常にインクに接した状態
であるため、インクの表面張力による作用で外部からの
空気の侵入は起こらない。また、この部分にインクが侵
入する可能性としては、各インク収容室14内のインク
が考えられるが、このインクは多孔質部材15によって
保持されているため、記録ヘッドの駆動時による強制的
なインクの吸い出し等がない限り、移動できない。よっ
て、自然な状態では、外部よりインク又は空気がこの空
間に侵入する可能性が無いこととなり、つまり、この空
間内から外部へインクが漏れ出すこともない。
クが漏れる可能性のある出入り口は、インク供給口12
とフィルター17の部分のみである。インク供給口12
は図1に示したようにインク供給チューブ4を介して記
録ヘッド21と接続されており、記録ヘッドのインク噴
射口より外部に通じている。よって、共通インク溜め1
3はその両端を記録ヘッドのインク噴射口とフィルター
17とに挟まれた空間となっている。ここで、仮に共通
インク溜め13より外部に漏れ出したとすると、その空
間内にはその同体積のインクもしくは空気が外部より補
われるはずである。しかし、空間の両端に位置する記録
ヘッドのインク吐出口とフィルター一部は、いずれもそ
の穴径が非常に小さく、また、常にインクに接した状態
であるため、インクの表面張力による作用で外部からの
空気の侵入は起こらない。また、この部分にインクが侵
入する可能性としては、各インク収容室14内のインク
が考えられるが、このインクは多孔質部材15によって
保持されているため、記録ヘッドの駆動時による強制的
なインクの吸い出し等がない限り、移動できない。よっ
て、自然な状態では、外部よりインク又は空気がこの空
間に侵入する可能性が無いこととなり、つまり、この空
間内から外部へインクが漏れ出すこともない。
【0029】次に、各インク収容室の大きさを一辺が5
cmを越えない範囲で制限した根拠について詳細に説明
する。
cmを越えない範囲で制限した根拠について詳細に説明
する。
【0030】多孔質部材を構成する孔の平均直径をD、
多孔質部材とこれに保持させるインクとの接触角をθ、
インクの表面張力をT、インクの比重をρ、重力加速度
をgとし、この多孔質部材が保持しているインクの高さ
をhとすると、毛細管力とインクの重量の釣り合いによ
り、多孔質部材の毛細管によってインクを保持可能な範
囲は次式が成立する範囲、つまりは、毛細管力の方が大
きい場合で求められている。
多孔質部材とこれに保持させるインクとの接触角をθ、
インクの表面張力をT、インクの比重をρ、重力加速度
をgとし、この多孔質部材が保持しているインクの高さ
をhとすると、毛細管力とインクの重量の釣り合いによ
り、多孔質部材の毛細管によってインクを保持可能な範
囲は次式が成立する範囲、つまりは、毛細管力の方が大
きい場合で求められている。
【0031】πDTcos>π(D/2)2ρgh ここで、インクジェット方式として用いられる一般的な
水系のインク及び、ポリウレタンの多孔質部材を用いた
場合の各値は、 D=2×10-2[cm],θ=60[°],T=50
[dyne/cm] ρ=1.1[g/cm3],g=980[cm/s2] であり、これらを代入することによって、h≦5[c
m]を得る。従って、多孔質部材の一辺の長さを5cm
以下とすれば、その内部にインクを保持することは可能
で、逆に一辺の長さが5cmを越える大きさのインク収
容室を用いた場合、たとえ、その内部に多孔質部材を配
置したとしても、全てのインクを保持することは不可能
で、保持されずに余ったインクは非常に流動的であるた
め、大気連通孔などから外部へ漏れ出る危険性が大き
い。
水系のインク及び、ポリウレタンの多孔質部材を用いた
場合の各値は、 D=2×10-2[cm],θ=60[°],T=50
[dyne/cm] ρ=1.1[g/cm3],g=980[cm/s2] であり、これらを代入することによって、h≦5[c
m]を得る。従って、多孔質部材の一辺の長さを5cm
以下とすれば、その内部にインクを保持することは可能
で、逆に一辺の長さが5cmを越える大きさのインク収
容室を用いた場合、たとえ、その内部に多孔質部材を配
置したとしても、全てのインクを保持することは不可能
で、保持されずに余ったインクは非常に流動的であるた
め、大気連通孔などから外部へ漏れ出る危険性が大き
い。
【0032】本実施例によれば、インクの漏れが起こら
ないため、その設置の向きによらないで使用を可能とし
た記録装置を提供することが可能となり、また、このこ
とによって持ち運びのできる記録装置を実現できる。
ないため、その設置の向きによらないで使用を可能とし
た記録装置を提供することが可能となり、また、このこ
とによって持ち運びのできる記録装置を実現できる。
【0033】(実施例5)本発明の他の実施例を図10
に基づいて説明する。
に基づいて説明する。
【0034】本実施例においては、記録装置の長時間に
亙る連続使用を可能とし、インクの補充などによる記録
装置の使用者による操作上の手間を省くため、請求項3
と同様の構成にて全体として大きなインクタンクを構成
し、予め大容量のインクをインクタンク内に収容し、イ
ンクタンク部の交換及びインクの補充を行わない事で、
記録装置を使い捨て型とするものである。
亙る連続使用を可能とし、インクの補充などによる記録
装置の使用者による操作上の手間を省くため、請求項3
と同様の構成にて全体として大きなインクタンクを構成
し、予め大容量のインクをインクタンク内に収容し、イ
ンクタンク部の交換及びインクの補充を行わない事で、
記録装置を使い捨て型とするものである。
【0035】本実施例のインクタンクは、その内部に実
施例1〜4の方法と同様にして複数のインク収容室を備
え、予めその内部に使用可能なインクが合計300c
c.以上のインクを収容しているものとする。具体例と
しては図10に示すように、インクタンク内に各インク
収容室の大きさを5[cm]×3[cm]×4[cm]
とし、これを9個備えるものとする。この大きさはノー
トブックサイズの記録装置として持ち歩き可能な範囲で
あり、この場合、インク収容室の合計容積は540c
c.であり、この内、インクの占める割合を70%とす
ると、そのインク量は378cc.となる。さらに、こ
の内の10%は使用されずに残るものおよび大気連通孔
より蒸発して使用できないものとして、全体で使用でき
るインク量は340cc.となる。
施例1〜4の方法と同様にして複数のインク収容室を備
え、予めその内部に使用可能なインクが合計300c
c.以上のインクを収容しているものとする。具体例と
しては図10に示すように、インクタンク内に各インク
収容室の大きさを5[cm]×3[cm]×4[cm]
とし、これを9個備えるものとする。この大きさはノー
トブックサイズの記録装置として持ち歩き可能な範囲で
あり、この場合、インク収容室の合計容積は540c
c.であり、この内、インクの占める割合を70%とす
ると、そのインク量は378cc.となる。さらに、こ
の内の10%は使用されずに残るものおよび大気連通孔
より蒸発して使用できないものとして、全体で使用でき
るインク量は340cc.となる。
【0036】次に、この340cc.のインクで記録で
きる印刷量を計算する。実験の結果によれば、英数文字
1文字当りの平均ドット数は226ドットであり、A4
サイズの用紙に1枚当り1500文字を記録すると、1
枚当りのドット数は3.39×105ドットとなる。さ
らに、1ドット当りのインク量は6×10-8cc.であ
るため、よって、340cc.にて記録できるA4用紙
は約17000枚となる。これは記録装置を個人で使用
した場合、約10年間の使用に耐えるもので、事実上、
使用可能なインク量を300cc.以上収容することが
可能であれば、この記録装置を使い捨て型とすることは
可能である。
きる印刷量を計算する。実験の結果によれば、英数文字
1文字当りの平均ドット数は226ドットであり、A4
サイズの用紙に1枚当り1500文字を記録すると、1
枚当りのドット数は3.39×105ドットとなる。さ
らに、1ドット当りのインク量は6×10-8cc.であ
るため、よって、340cc.にて記録できるA4用紙
は約17000枚となる。これは記録装置を個人で使用
した場合、約10年間の使用に耐えるもので、事実上、
使用可能なインク量を300cc.以上収容することが
可能であれば、この記録装置を使い捨て型とすることは
可能である。
【0037】本実施例によれば、インクタンク内に大容
量のインクを予め収容させておき、インクタンク部の交
換や、外部からのインクタンクの補充を行わないため、
交換時のミスによるインクの漏れや、交換の手間をなく
すことができ、また、交換や補充の時期を知らせるイン
ク残量検出器を設けることも不要となり、かなりのコス
トダウンが期待でき、且つ、使用者にとっても非常に扱
いやすい記録装置を提供することが可能となる。さら
に、使用中にインクが無くなることがないため、長時間
に亙る連続印刷等も可能で、ロール紙等への印刷にも適
した記録装置を提供することが可能となる。
量のインクを予め収容させておき、インクタンク部の交
換や、外部からのインクタンクの補充を行わないため、
交換時のミスによるインクの漏れや、交換の手間をなく
すことができ、また、交換や補充の時期を知らせるイン
ク残量検出器を設けることも不要となり、かなりのコス
トダウンが期待でき、且つ、使用者にとっても非常に扱
いやすい記録装置を提供することが可能となる。さら
に、使用中にインクが無くなることがないため、長時間
に亙る連続印刷等も可能で、ロール紙等への印刷にも適
した記録装置を提供することが可能となる。
【0038】
【発明の効果】請求項1記載のインクジェット記録装置
によれば、複数のインク収容室を備えたインクタンクに
おいて、各インク収容室内のインクを順に消費するので
はなく、各インク収容室内のインクを均一に消費する事
を可能とし、初期状態からインクを使い切るまでの間に
その供給抵抗の変動を小さくして、印字ヘッドによるイ
ンクの吐出を始終安定させることが可能であり、印字精
度の良好なインクジェット記録装置を提供できる。
によれば、複数のインク収容室を備えたインクタンクに
おいて、各インク収容室内のインクを順に消費するので
はなく、各インク収容室内のインクを均一に消費する事
を可能とし、初期状態からインクを使い切るまでの間に
その供給抵抗の変動を小さくして、印字ヘッドによるイ
ンクの吐出を始終安定させることが可能であり、印字精
度の良好なインクジェット記録装置を提供できる。
【0039】請求項2記載のインクジェット記録装置に
よれば、多孔質部材を充填したインクタンクにおいて、
多孔質部材中に残存して使用できないインクの量を少な
くすることが可能で、インクの使用効率が改善されるた
め、インクタンクを小型化することができる。また、使
用できないで廃棄されるインクが少なくなるため、その
分のコストダウンも可能であり、安価で印字精度の良好
なインクジェット記録装置を提供できる。
よれば、多孔質部材を充填したインクタンクにおいて、
多孔質部材中に残存して使用できないインクの量を少な
くすることが可能で、インクの使用効率が改善されるた
め、インクタンクを小型化することができる。また、使
用できないで廃棄されるインクが少なくなるため、その
分のコストダウンも可能であり、安価で印字精度の良好
なインクジェット記録装置を提供できる。
【0040】請求項3記載のインクジェット記録装置に
よれば、インクタンクのフィルター配置側の断面積を狭
くしたので、単に柱状の多孔質部材を充填する(押し込
む)ことにより、フィルター側の多孔質部材を密にする
ことができ、多孔質部材巾に残存するインクの量を減ら
すことができ、取り扱いに優れたインクジェット記録装
置を提供できる。
よれば、インクタンクのフィルター配置側の断面積を狭
くしたので、単に柱状の多孔質部材を充填する(押し込
む)ことにより、フィルター側の多孔質部材を密にする
ことができ、多孔質部材巾に残存するインクの量を減ら
すことができ、取り扱いに優れたインクジェット記録装
置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示すインク収容部の断
面図である。
面図である。
【図3】インクタンク内の各インク収容部でのインクの
消費状態を示す図である。
消費状態を示す図である。
【図4】各インク収容室内の多孔質部材の充填にばらつ
きが生じた場合のインクの消費状態を示す図である。
きが生じた場合のインクの消費状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示すインク収容部の断
面図である。
面図である。
【図6】本発明の第3の実施例を示すインク収容部の断
面図である。
面図である。
【図7】本発明の第4の実施例を示すインク収容部の断
面図である。
面図である。
【図8】インク収容部の一辺の寸法が大きい場合にイン
ク漏れが生じることを示す図である。
ク漏れが生じることを示す図である。
【図9】本発明のインクタンクを別の向きに設置した状
態を示す図である。
態を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施例を示す記録装置の全体
斜視図である。
斜視図である。
【図11】従来装置のインクタンク部の断面図である。
【図12】従来装置のインクタンクに於いてインク残量
が少なくなった状態を示す図である。
が少なくなった状態を示す図である。
1 記録ヘッド 2 キャリッジ 3 プラテン 4 インク供給チューブ 11 インクタンク 12 インク供給口 13 共通インク溜め 14 インク収容室 15 多孔質体又は繊維束 15a 多孔質体又は繊維束 15b 多孔質体又は繊維束 15c 多孔質体又は繊維束 15d 多孔質体又は繊維束 15e 多孔質体又は繊維束 15f 多孔質体又は繊維束 16 大気連通孔 17 フィルター 21a インク収容室 21b インク収容室 21c インク収容室 21b インク収容室 21e インク収容室 21f インク収容室 23 液体供給部材 24 大気連通孔 25 供給口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲鶴▼井 康史 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 ▲吉▼村 久 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 金山 義雄 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/175
Claims (3)
- 【請求項1】 各々に大気連通孔とフィルタ部とを具備
しインクを含浸せた多孔質体または繊維束を内部に充填
した複数のインク収容室と前記各インク収容室のフィル
タ部に隣接した1つの共通インク溜めと該インク溜めに
設けられた1つのインク供給口とを有し、前記共通イン
ク溜めより前記インク供給口を経て印字ヘッドにインク
を供給することを特徴とするインクジェツト記録装置。 - 【請求項2】 前記インク収容室内の多孔質体または繊
維束の目の粗さは大気連通孔側よりもフィルタ部側で目
の粗さが密であることを特徴とする請求項1記載のイン
クジェット記録装置。 - 【請求項3】 前記インク収容室の形状は大気連通孔側
よりもフィルタ部側でその断面積が小さいことを特徴と
する請求項1記載のインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17659494A JP3113512B2 (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | インクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17659494A JP3113512B2 (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | インクジェット記録装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0839819A JPH0839819A (ja) | 1996-02-13 |
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